2017年度 大学入試センター試験 本試験「化学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2017年度 大学入試センター試験 本試験「化学基礎」の解答・解説です。第1問(25点)・第2問(25点)とも必答で、50点満点。解答番号は 1 〜 16 の通し番号です。
設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。
第1問 物質の構成(同素体・原子の構造・化学結合・結晶と分子の形・三態・気体の性質・生活と物質)
前半分野からの小問7題。いずれも教科書の基本事項ですが、問6の噴水実験だけは「なぜ噴き上がるのか」を理解しているかが問われます。
問1:正解 ⑤(配点3)
<問題要旨>
同素体に関する記述として誤りを含むものを選ぶ。
<考え方>
同素体は「同じ元素からなる単体で、性質の異なるもの」。代表例を思い出します。
① ダイヤモンドは炭素の同素体(ほかに黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ)。正しい。 ② 黒鉛は層状構造をもち、電気を通す。正しい。 ③ 黄リンは赤リンとともにリンの同素体。正しい。 ④ 硫黄の同素体のうちゴム状硫黄は弾性をもつ(ほかに斜方硫黄、単斜硫黄)。正しい。 ⑤ 酸素には O₂ とオゾン O₃ という同素体がある。「存在しない」は誤り。 ← (同素体をもつ代表元素は S・C・O・P。「スコップ」で覚える。)
問2:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
中性子の数が最も多い原子を選ぶ(³⁸Ar、⁴⁰Ar、⁴⁰Ca、³⁷Cl、³⁹K、⁴⁰K)。
<考え方>
中性子の数 = 質量数 − 原子番号。原子番号は元素記号から読みます。
³⁸Ar:38 − 18 = 20 ⁴⁰Ar:40 − 18 = 22 ← ⁴⁰Ca:40 − 20 = 20 ³⁷Cl:37 − 17 = 20 ³⁹K :39 − 19 = 20 ⁴⁰K :40 − 19 = 21 最も多いのは ⁴⁰Ar の 22 個。
問3:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
単結合のみからなる分子を選ぶ(N₂、O₂、H₂O、CO₂、C₂H₂、C₂H₄)。
<考え方>
構造式を書いて、二重結合・三重結合がないものを探します。
N₂ … N≡N(三重結合) O₂ … O=O(二重結合) H₂O … H−O−H(単結合のみ) ← CO₂ … O=C=O(二重結合) C₂H₂(アセチレン)… HC≡CH(三重結合) C₂H₄(エチレン)… H₂C=CH₂(二重結合)
問4:正解 ①,③(配点3,3)
<問題要旨>
a 結晶がイオン結晶でないものを選ぶ(二酸化ケイ素/硝酸ナトリウム/塩化銀/硫酸アンモニウム/酸化カルシウム/炭酸カルシウム)。
b 分子が直線形であるものを選ぶ(メタン/水/二酸化炭素/アンモニア)。
<考え方>
a は「金属元素+非金属元素」または「アンモニウムイオンを含む」かどうか、b は中心原子の非共有電子対の数で決まります。
a 二酸化ケイ素 SiO₂ は非金属どうしで、ケイ素原子と酸素原子が次々に共有結合した共有結合の結晶。 ← 硝酸ナトリウム・塩化銀・酸化カルシウム・炭酸カルシウムは金属元素と非金属元素の組合せ、硫酸アンモニウムは NH₄⁺ と SO₄²⁻ からなるイオン結晶。 b メタン CH₄ … 正四面体形 水 H₂O … 折れ線形(O に非共有電子対2組) 二酸化炭素 CO₂ … 直線形 ← アンモニア NH₃ … 三角錐形(N に非共有電子対1組)
問5:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
1種類の分子のみからなる物質の大気圧下での三態に関する記述として、誤りを含むものを選ぶ。
<考え方>
沸点が圧力で変わることは、山の上でご飯が炊けにくい例で知られています。
① 液体は気体より分子どうしが近い。正しい。 ② 液体中の分子は熱運動で位置を変えている。正しい。 ③ 沸点は「蒸気圧が外圧と等しくなる温度」なので、大気圧が下がれば沸点も下がる。「変化しない」は誤り。 ← ④ ドライアイスやヨウ素のように、加熱すると液体を経ず直接気体になる(昇華する)物質がある。正しい。 ⑤ 沸点未満でも液面から蒸発は起こっている。正しい。
問6:正解 ⑥(配点3)
<問題要旨>
乾いた丸底フラスコにアンモニアを一定量捕集した後、図1のような装置を組み立てた。ゴム栓に固定したスポイト内の水を丸底フラスコの中に少量入れたところ、ビーカー内の水がガラス管を通って丸底フラスコ内に噴水のように噴き上がった。この実験に関する記述として誤りを含むものを選ぶ。
<考え方>
噴水が上がる理由は「気体が水に大量に溶けてフラスコ内が減圧されるから」。この一点ですべて判定できます。
① アンモニアは水に溶けやすく空気より軽いので上方置換法。正しい。 ② すき間があると外から空気が入り、減圧されないので噴き上がらないことがある。正しい。 ③ アンモニアが少なければ、溶けて減る気体の量も少なく、吸い上げられる水も少ない。正しい。 ④ 内側がぬれていると、スポイトの水を入れる前にアンモニアが溶けてしまい、圧力差がつくれないことがある。正しい。 ⑤ アンモニア水は塩基性なので、BTB 溶液を加えておけば噴き上がった水は青くなる。正しい。 ⑥ メタンは水にほとんど溶けないので、フラスコ内が減圧されず噴き上がらない。誤り。 ←
問7:正解 ③(配点4)
<問題要旨>
日常生活に関連する物質の記述として、下線部に誤りを含むものを選ぶ(アルミニウムのリサイクル/スナック菓子の窒素充填/水道水の塩素/プラスチックの廃棄/雨水の pH/洗剤の分子)。
<考え方>
どれも身近な話題ですが、目的を取り違えている選択肢が1つあります。
① アルミニウムはボーキサイトからの製錬(溶融塩電解)に大量の電力を要するため、リサイクルの方がはるかに省エネルギー。正しい。 ② 窒素は反応しにくい気体なので、酸素を追い出して油の酸化を防ぐ。正しい。 ③ 水道水に塩素が加えられているのは殺菌のため。pH の調整が目的ではない。誤り。 ← ④ 多くのプラスチックは自然界で分解されにくい。正しい。 ⑤ 空気中の CO₂ が溶けて炭酸となるため、清浄な雨水でも pH は 5.6 程度。正しい。 ⑥ 洗剤の分子は親水基と疎水基(親油基)をあわせもつ。正しい。
第2問 物質の変化(物質量・単分子膜・燃焼・中和滴定の器具と操作・指示薬・酸化還元の係数・量的関係)
後半分野からの小問7題。問4の実験操作と問5の指示薬の選び方は、実験をしたことがあるかどうかで差がつくところです。
問1:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
物質の量に関する記述として誤りを含むものを選ぶ(4 L の水素と 1 L のヘリウムの重さ/16 g のメタン中の水素原子/塩化ナトリウム水溶液の質量パーセント濃度/水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度)。
<考え方>
① だけは、体積がそろっていないので mol に直してから比べます。
① 0 ℃、1.013 × 10⁵ Pa で 水素 4 L = 4/22.4 = 0.179 mol → 0.179 × 2.0 = 0.36 g ヘリウム 1 L = 1/22.4 = 0.0446 mol → 0.0446 × 4.0 = 0.18 g 水素の方が重い。「軽い」は誤り。 ← ② CH₄ の分子量 16 なので 16 g = 1.0 mol。H 原子は 4.0 mol。正しい。 ③ 25 /(100 + 25) × 100 = 20 %。正しい。 ④ 4.0 / 40 = 0.10 mol、0.10 / 0.100 L = 1.0 mol/L。正しい。
問2:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
物質Aは、棒状の分子が水面に直立してすき間なく並び、一層の膜(単分子膜)を形成する。物質Aの質量が w〔g〕のとき、この膜の全体の面積は X〔cm²〕であった。物質Aのモル質量を M〔g/mol〕、アボガドロ定数を N_A〔/mol〕としたとき、分子1個の断面積 s〔cm²〕を表す式は。
<考え方>
「全体の面積 ÷ 分子の個数」で1個あたりの断面積が出ます。
分子の物質量
w / M〔mol〕
分子の個数
(w/M) × N_A〔個〕
すき間なく並んでいるので
s = X ÷ { (w/M) × N_A } = X M /(w N_A)
(この方法はアボガドロ定数を求める古典的な実験としても知られる。)
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
トウモロコシの発酵により生成したエタノール C₂H₅OH を完全燃焼させたところ、44 g の二酸化炭素が生成した。このとき燃焼したエタノールの質量は何 g か。
<考え方>
燃焼の化学反応式を書き、C の数の比を使います。
C₂H₅OH + 3O₂ → 2CO₂ + 3H₂O CO₂ 44 g = 44 / 44 = 1.0 mol 反応式より、エタノールはその半分 1.0 / 2 = 0.50 mol エタノールの分子量は 12×2 + 1.0×6 + 16 = 46 だから 0.50 × 46 = 23 g (選択肢⑤の 46 は「1 mol ぶん」の引っかけ。)
問4:正解 ④,④(配点2,2)
<問題要旨>
ある物質の水溶液をホールピペットではかりとり、メスフラスコに移して、定められた濃度に純水で希釈したい。
a ホールピペットの図として正しいものを選ぶ。
b このとき行う操作I・IIの組合せを選ぶ。
操作I A:ホールピペットは洗浄後、内部を純水ですすぎそのまま用いる/B:内部をはかりとる水溶液ですすぎそのまま用いる。
操作II C:純水は液面の上端が標線に達するまで加える/D:純水は液面の底面が標線に達するまで加える。
<考え方>
a は器具の形、b は「共洗いをする器具・しない器具」の区別です。
a ホールピペットは、中央がふくらんだ細長いガラス管で、目盛りは1本の標線だけ。上端にゴム球はついていない。 (①は駒込ピペット、②はビュレット、③はメスシリンダー、⑤はメスフラスコ。) b 操作I:ホールピペットの内部が純水でぬれていると、はかりとった溶液が薄まってしまう。だから、はかりとる水溶液で共洗いする → B (一方メスフラスコやコニカルビーカーは、あとで純水を加える/濃度でなく物質量が問題になるので、純水でぬれたままでよい。) 操作II:液面はへこんだ曲面(メニスカス)をつくるので、その底面(最も低いところ)を標線に合わせる → D
問5:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
化合物群(NH₃、KOH、Ca(OH)₂、CH₃COOH、HNO₃)のいずれかを用いて調製された 0.01 mol/L 水溶液A〜Cがある。各水溶液 100 mL ずつを別々のビーカーにとり、指示薬としてフェノールフタレインを加え、0.1 mol/L 塩酸または 0.1 mol/L NaOH 水溶液で中和滴定を試みた。次に指示薬をメチルオレンジに変えて同じ実験を行い、表1の結果を得た。水溶液A〜Cに入っていた化合物の組合せを選ぶ。
<考え方>
「酸か塩基か」「価数」「強いか弱いか」の3点を、表の3つの列がそれぞれ教えてくれます。
【酸か塩基か】色の変化の向きから A・B … 赤 → 無色(フェノールフタレイン)なので塩基を酸で滴定 C … 無色 → 赤 なので酸を塩基で滴定 【価数】溶質は 0.01 × 0.100 = 0.001 mol。滴定液は 0.1 mol/L だから A:10 mL = 0.001 mol → 1価 B:20 mL = 0.002 mol → 2価 → Ca(OH)₂ C:10 mL = 0.001 mol → 1価 【強いか弱いか】色が「徐々に」変わるのは、その指示薬の変色域が pH ジャンプから外れているとき。 A:フェノールフタレインが徐々に → 中和点が酸性側 → 弱塩基+強酸 → NH₃ C:メチルオレンジが徐々に → 中和点が塩基性側 → 弱酸+強塩基 → CH₃COOH B:どちらも急激 → 強塩基(Ca(OH)₂ と矛盾しない) よって A = NH₃、B = Ca(OH)₂、C = CH₃COOH
問6:正解 ⑥(配点3)
<問題要旨>
MnO₄⁻ は中性または塩基性水溶液中では酸化剤としてはたらき、MnO₄⁻ + aH₂O + be⁻ → MnO₂ + 2aOH⁻、M²⁺ → M³⁺ + e⁻ のように 2価の金属イオン M²⁺ を酸化する。電子を消去した全体の式が MnO₄⁻ + cM²⁺ + aH₂O → MnO₂ + cM³⁺ + 2aOH⁻ となるとき、係数 b と c の組合せを選ぶ。
<考え方>
原子の数と電荷の総和がそれぞれ左右で等しくなるように決めます。
まず a を酸素原子の数から決める。 左辺の O:4 + a 右辺の O:2(MnO₂)+ 2a(OH⁻) 4 + a = 2 + 2a → a = 2 (水素の数でも 2a = 2a で矛盾しない。) 次に b を電荷の総和から決める。 左辺:(−1) + (−b) = −1 − b 右辺:−2a = −4 −1 − b = −4 → b = 3 M²⁺ は1個あたり電子1個を放出するので、電子3個を受け取るには M²⁺ が3個必要。 c = 3
問7:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
濃度が不明の塩酸 25 mL と炭酸カルシウム CaCO₃ が反応して二酸化炭素を発生した(CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂)。炭酸カルシウムの質量と発生した二酸化炭素の物質量の関係が図2のようになったとき、反応に用いた塩酸の濃度は何 mol/L か。
<考え方>
グラフが水平になった後は「塩酸を使い切った」状態。その頭打ちの値を使います。
グラフは CaCO₃ が 2.5 g を超えると CO₂ が 0.025 mol で頭打ちになる。ここから先は塩酸がすべて反応してしまっている。 反応式より、CO₂ 1 mol あたり HCl は 2 mol 必要だから HCl = 0.025 × 2 = 0.050 mol これが 25 mL = 0.025 L 中にあるので 0.050 / 0.025 = 2.0 mol/L (検算:グラフの直線部分の傾きは、CaCO₃ 1.0 g = 1.0/100 = 0.010 mol に対して CO₂ 0.010 mol で 1 : 1。反応式と合う。)
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

