2026年度 大学入学共通テスト 本試験「化学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
化学基礎は全16項目、50点満点です。理科基礎は物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目が1冊の問題冊子にまとめられ、このうち2科目を選択してあわせて60分(1科目あたり30分)で解答します。冊子全体で100点満点となるため、化学基礎の解答番号は101から116までで、1からは始まりません。大問は2つでいずれも必答、配点は第1問が30点、第2問が20点です。
第1問は問1〜問10の小問集合(解答番号101〜110)で、各3点。電子配置と同位体、原子の個数比から質量パーセントを出す計算、酸化数、水への溶解と電気伝導性からの物質の推定、分子の極性、溶解度曲線、蒸留装置の操作、電離度、そして加えた炭酸カルシウムの溶け方から塩酸の濃度の範囲を挟み込む問題まで、化学基礎の全単元が一通り並びます。
第2問は肥料を題材にした総合問題(解答番号111〜116)で、問1〜問3がそれぞれa・bの2つに枝分かれします。苦土石灰のカルシウムとマグネシウム、酸と塩基の強弱の分類、肥料の三要素である窒素・リン・カリウム、そして大気中の窒素から窒素肥料をつくる石灰窒素法へと進み、最後は検量線を使った定量計算で締めます。問2bと問3bが4点で、この2問の重みが大きい構成です。
つまずきやすいのは第1問問7と第2問問3aです。問7は溶解度の縦軸が「水100 g あたり」である一方、問題の水は200 gなので、読み取った値を2倍する一手が必要で、これを飛ばすと用意された誤答にきれいに吸い込まれます。問3aは炭化カルシウムとカルシウムシアナミド中の炭素・窒素の酸化数を自分で置かないと、元素の組替えだけの反応に見えてしまいます。いずれも「先に式と数値を書く」ことで避けられる種類のつまずきです。
第1問 小問集合(電子配置・同位体・質量パーセント・酸化数・分子の極性・溶解度曲線・蒸留の実験操作・電離度)
配点30。問1〜問10がすべて独立した小問で、各3点です。原子の構造から物質の推定、分子の極性、溶解度、実験操作、酸・塩基、反応量の計算まで、化学基礎の全単元を一巡する構成になっています。
問1:正解 ④(解答番号101/配点3)
<問題要旨>
Al³⁺ と電子配置が異なるものを、Na⁺・O²⁻・F⁻・Ar の4つから1つ選ぶ設問です。
<考え方>
単原子イオンの電子配置は、電子数を「原子番号 − イオンの電荷」で出し、どの貴ガスと同じ配置になるかを見れば決まります。Al³⁺ の電子数を先に確定させ、各選択肢の電子数と比べます。
Al(原子番号 13)→ Al³⁺ の電子数 = 13 − 3 = 10 (Ne型 K2 L8) ① Na(11)→ Na⁺ の電子数 = 11 − 1 = 10 Ne型 同じ ② O(8)→ O²⁻ の電子数 = 8 + 2 = 10 Ne型 同じ ③ F(9)→ F⁻ の電子数 = 9 + 1 = 10 Ne型 同じ ④ Ar(18)→ 電子数 = 18 Ar型 K2 L8 M8 異なる よって ④
Ne型の10電子粒子は N³⁻・O²⁻・F⁻・Ne・Na⁺・Mg²⁺・Al³⁺ とひとまとめに覚えておくと即答できます。Ar型の18電子粒子(S²⁻・Cl⁻・Ar・K⁺・Ca²⁺)と混ぜないことが要点です。
問2:正解 ①(解答番号102/配点3)
<問題要旨>
同位体に関する4つの記述から、誤りを含むものを選ぶ設問です。
<考え方>
同位体の定義に戻れば決まります。同位体とは「陽子の数(原子番号)が同じで中性子の数が異なる原子どうし」です。化学的性質は電子配置で決まるので、同位体どうしではほぼ同じになります。
① 誤 陽子の数が同じで中性子の数が異なるのが同位体。陽子と中性子の説明が入れ替わっている ② 正 化学的性質は電子配置で決まり、同位体どうしは電子数が等しいのでほぼ同じ ③ 正 原子核が不安定な同位体(放射性同位体)は放射線を出して別の元素の原子に変わる ④ 正 ¹⁴C は放射性同位体で、その減り方から遺跡の年代を測定できる よって ①
質量数 = 陽子の数 + 中性子の数 なので、同位体どうしは質量数が異なります。化学的性質はほぼ同じでも、密度や沸点などの物理的性質にはわずかな差が出ます。
問3:正解 ③(解答番号103/配点3)
<問題要旨>
ケイ素原子99個に対して鉄原子1個の割合で含まれる試料(ケイ素と鉄以外の元素は含まない)について、鉄の質量パーセントを求める設問です。
<考え方>
原子の個数比が与えられたときは、個数 × 原子量で質量比に直してから割合をとります。原子量は問題冊子に与えられた Si 28、Fe 56 を使います。
ケイ素の質量に相当する量 = 99 × 28 = 2772 鉄の質量に相当する量 = 1 × 56 = 56 試料全体 = 2772 + 56 = 2828 鉄の含有率 = 56 / 2828 × 100 = 1.980… ≒ 2.0 % よって ③
個数の割合1/100をそのまま1.0%としてしまうと②に落ちます。鉄の原子量がケイ素のちょうど2倍なので、質量で見ると約2倍の約2%になる、という関係をつかんでおくと検算が速くなります。
問4:正解 ①(解答番号104/配点3)
<問題要旨>
二酸化硫黄 SO₂ の硫黄原子の酸化数と同じ酸化数をもつ原子(下線が付された原子)を、Na₂CO₃・NaNO₃・Na₂SO₄・NaCl の4つから選ぶ設問です。
<考え方>
酸化数は規則で機械的に出ます。化合物中の O は −2、アルカリ金属は +1、化合物全体では酸化数の総和が0。まず基準となる SO₂ の硫黄を出してから、各選択肢の下線原子を求めます。
【基準】SO₂:S + 2 ×(−2)= 0 → S = +4 ① Na₂CO₃:2 ×(+1)+ C + 3 ×(−2)= 0 → C = +4 一致 ② NaNO₃:(+1)+ N + 3 ×(−2)= 0 → N = +5 ③ Na₂SO₄:2 ×(+1)+ S + 4 ×(−2)= 0 → S = +6 ④ NaCl:Na = +1、Cl = −1 よって ①
③は同じ硫黄を含むので選びたくなりますが、SO₄²⁻ の硫黄は +6 で、SO₂ の +4 とは違います。「同じ元素なら同じ酸化数」ではないことをここで確認しておきたい設問です。
問5:正解 ⑥(解答番号105/配点3)
<問題要旨>
塩化ナトリウム・ショ糖(スクロース)・硫酸バリウムのいずれかである物質A〜Cについて、同じ質量を同じ量の純水に加える実験Ⅰ(Aはほとんど溶けず、BとCは完全に溶けた)と、水溶液の電気伝導性を調べる実験Ⅱ(Bはほとんど電気を通さず、Cはよく通した)の結果から、A〜Cの組合せを決める設問です。
<考え方>
2つの実験がそれぞれ別の性質を切り分けています。実験Ⅰが見ているのは「水に溶けるかどうか(難溶性の塩かどうか)」、実験Ⅱが見ているのは「電解質か非電解質か」です。この順に当てはめます。
【実験Ⅰ】A はほとんど溶けなかった → 水に難溶な塩 → A = 硫酸バリウム BaSO₄ 【実験Ⅱ】B の水溶液は電気をほとんど通さない → 水に溶けてもイオンにならない非電解質 → B = ショ糖(分子性物質) C の水溶液は電気をよく通した → 水中で Na⁺ と Cl⁻ に電離する電解質 → C = 塩化ナトリウム NaCl 【検算】残る2物質はどちらも水に溶けるので実験Ⅰだけでは分かれない。だからこそ電気伝導性を見る実験Ⅱが置かれている、という設問の構成と合う よって ⑥
硫酸バリウムは水に溶けにくい塩で、X線撮影の造影剤に使われます。同じ硫酸塩でも Na₂SO₄ や K₂SO₄ は水に溶けるので、「硫酸塩は溶けない」と覆いかぶせて覚えないことが大切です。
問6:正解 ③(解答番号106/配点3)
<問題要旨>
図1に水 H₂O、二酸化炭素 CO₂、アンモニア NH₃ の分子の形の模式図が示され、分子全体としての極性の有無の組合せを選ぶ設問です。○が極性あり、×が極性なしを表します。
<考え方>
分子の極性は「結合の極性」と「分子の形」の両方で決まります。結合に極性があっても、形が対称で結合の極性が打ち消し合えば、分子全体としては無極性になります。図1の形を見て、打ち消し合うかどうかを判定します。
H₂O 折れ線形(O を頂点に H が2つ) O−H の極性が打ち消されない → 極性あり ○ CO₂ 直線形(O=C=O) 左右の C=O の極性が大きさ同じ・向き逆で打ち消し合う → 極性なし × NH₃ 三角錐形(N を頂点に H が3つ) N−H の極性が打ち消されない → 極性あり ○ 組合せは(水 ○、二酸化炭素 ×、アンモニア ○) よって ③
図1で二酸化炭素だけが3つの球が一直線に並んでいることが決め手です。同じ考え方で、C−H や C−Cl に極性があっても正四面体形のため無極性になる CH₄ や CCl₄ も説明できます。
問7:正解 ②(解答番号107/配点3)
<問題要旨>
図2に硝酸カリウム KNO₃ の水に対する溶解度曲線(縦軸は溶解度 g/100 g 水、横軸は温度℃)が示されます。水200 gに KNO₃ 100 gを溶かした40℃の水溶液を20℃に冷却したとき、析出する KNO₃ の質量を求める設問です。
<考え方>
決め手は縦軸の単位です。溶解度は「水100 gに溶ける溶質の最大質量」なので、水が200 gなら図から読み取った値を2倍します。そのうえで、析出量 =(溶かした質量)−(冷却後の温度で溶けていられる質量)で求めます。
【図2の読み取り】横軸20℃の目盛りから真上に見ると、曲線は縦軸の主目盛り30と40の間の30寄り、約31〜32にある(ここでは 31.4 とする) 同じように横軸40℃では約64 【40℃で全部溶けているかの確認】 水200 g に溶ける最大量 = 64 × 200/100 = 128 g 128 g > 100 g → 40℃では KNO₃ 100 g はすべて溶けている 【20℃で溶けていられる量】 31.4 × 200/100 = 62.8 g 【析出する量】 100 − 62.8 = 37.2 ≒ 37 g 【検算】20℃の溶解度を30と読んでも 100 − 30×2 = 40、32と読んでも 100 − 32×2 = 36。読み取りの幅の中でも選択肢では37が唯一近い よって ②
溶解度をそのまま使って 100 − 31.4 = 68.6 とすると④に、40℃と20℃の溶解度の差(64 − 31.4)を2倍して約65としてしまうと③に、20℃の値を34と読み違えて 100 − 34×2 = 32 とすると①に落ちます。縦軸の「g/100 g 水」を先に読み、水の量に合わせて何倍するかを決めてから数値を入れる、という順番を崩さないことが対策になります。
問8:正解 ③(解答番号108/配点3)
<問題要旨>
図3に食塩水から水を蒸留するための装置(枝付きフラスコ・温度計・沸騰石・リービッヒ冷却器・アダプター・アルミニウム箔・三角フラスコ)が示され、実験器具とその操作に関する4つの記述から誤りを含むものを選ぶ設問です。
<考え方>
蒸留の操作にはそれぞれ理由があります。突沸を防ぐ、蒸気の温度を測る、冷却水は蒸気と逆向きに流す、加熱系を密閉しない。この4点に照らして1つずつ当否を決めます。
① 正 液量が多いと突沸したり液が枝へ飛び込んだりする。フラスコの容量の半分以下にするのは正しい操作 ② 正 沸騰石は突沸(急激な沸騰)を防ぐために入れる ③ 誤 冷却水は下部から入れて上部から出す(蒸気の流れと逆向きの向流)。こうしないと冷却器の外套が水で満たされず、冷却が不十分になる。「上部から下部に流れるようにする」は逆 ④ 正 密閉すると加熱によって内圧が上がり危険。アルミニウム箔で覆うのは外からの混入をおさえるためで、密閉はしない よって ③
温度計は球部を枝の付け根の高さに合わせ、液に浸けずに蒸気の温度を測ります。図3でも温度計の先端が枝の高さに来ていることを確かめておくと、装置図を問う設問全般に通用します。
問9:正解 ②(解答番号109/配点3)
<問題要旨>
濃度が 0.050 mol/L の1価の弱酸水溶液について、25℃における pH が 3.0 であったときの電離度を求める設問です。
<考え方>
電離度 α は「電離した酸の物質量 ÷ もとの酸の物質量」です。1価の酸なら電離した酸の濃度がそのまま [H⁺] になるので、pH から [H⁺] を出して、もとの濃度で割れば決まります。
pH = 3.0 → [H⁺] = 1.0×10⁻³ mol/L 1価の弱酸なので [H⁺] = c α (c = 0.050 mol/L) α = [H⁺] / c = 1.0×10⁻³ / 0.050 = 2.0×10⁻² = 0.02 【検算】もし α = 0.1(④)なら [H⁺] = 0.050 × 0.1 = 5.0×10⁻³ mol/L となり pH は約2.3。与えられた3.0にならない よって ②
2価の酸だと [H⁺] = 2 c α となるので、「1価」という条件を必ず確認します。逆に α が与えられて pH を求める向きの出題もあるので、[H⁺] = c α の式は両向きに使えるようにしておきたいところです。
問10:正解 ⑤(解答番号110/配点3)
<問題要旨>
濃度がわからない塩酸 0.10 L に炭酸カルシウム CaCO₃(式量100)を 0.20 gずつ加え、そのたびに気体の発生の有無と CaCO₃ の溶け方を調べた表1が与えられます。1回目・2回目は気体が発生してすべて溶け、3回目は気体が発生したが溶け残り、4回目は気体が発生せず溶けませんでした。式(1) CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂ に従うとして、塩酸の濃度 c がとりうる範囲を選ぶ設問です。
<考え方>
「すべて溶けた最大の量」と「溶け残った最小の量」で、塩酸に含まれる HCl の物質量を下から上から挟みます。式(1)の係数から、CaCO₃ 1 mol を溶かすには HCl 2 mol が必要という比が要です。
【下限:2回目まではすべて溶けた】 加えた CaCO₃ = 0.40 g → 0.40 / 100 = 4.0×10⁻³ mol これをすべて溶かすのに必要な HCl = 2 × 4.0×10⁻³ = 8.0×10⁻³ mol すべて溶けたのだから n(HCl) ≧ 8.0×10⁻³ mol 【上限:3回目で溶け残った】 加えた CaCO₃ = 0.60 g → 0.60 / 100 = 6.0×10⁻³ mol これをすべて溶かすのに必要な HCl = 2 × 6.0×10⁻³ = 1.2×10⁻² mol 溶け残ったのだから n(HCl) < 1.2×10⁻² mol 【濃度に直す】塩酸は 0.10 L なので n(HCl) = 0.10 c 8.0×10⁻³ < 0.10 c < 1.2×10⁻² 0.080 < c < 0.12 (mol/L) 【検算】4回目は気体の発生が無く、まったく溶けなかった。これは3回目で HCl を使い切ったことの確認にあたり、上限の判定と矛盾しない よって ⑤
係数の2を忘れて 4.0×10⁻³ < 0.10 c < 6.0×10⁻³ とすると④に、体積 0.10 L で割るのを忘れて物質量をそのまま濃度にすると③に、両方をやってしまうと②に落ちます。範囲を挟む境界は「すべて溶けた最後の点」と「溶け残った最初の点」でしか決まらない、という点を先に押さえてから計算に入るのが安全です。
第2問 肥料を題材にした総合問題(苦土石灰と酸・塩基、肥料三要素の含有率、塩化カリウムの識別、石灰窒素法の酸化還元と窒素定量)
配点20。鉱物資源などを原料とする肥料の利用(図1)を枠組みにして、問1で苦土石灰のカルシウム・マグネシウムと酸・塩基の強弱、問2で肥料の三要素である窒素・リン・カリウムの含有率と塩化カリウムの識別、問3で石灰窒素法の酸化還元と検量線による窒素定量を扱います。問2bと問3bが4点で、残りは各3点です。
問1a:正解 ②(解答番号111/配点3)
<問題要旨>
炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを主成分とする苦土石灰が土壌に供給するカルシウム Ca とマグネシウム Mg について、4つの記述から誤りを含むものを選ぶ設問です。
<考え方>
周期表の位置で決まります。Ca と Mg はともに2族で価電子2個。そして同族では下にいくほど陽イオンになりやすい、という傾向を使います。「アルカリ金属」と「アルカリ土類金属」という言葉の区別が判定の中心です。
① 正 Ca・Mg はいずれも2族。価電子2個を失って2価の陽イオンになりやすい ② 誤 アルカリ金属は1族の元素(Li・Na・K・Rb・Cs・Fr)。Ca・Mg は2族なのでアルカリ金属ではない ③ 正 同族では下にいくほど原子半径が大きく最外殻電子が原子核から離れやすい。Ca(第4周期)のイオン化エネルギーは Mg(第3周期)より小さい ④ 正 イオン化エネルギーが小さいほど陽イオンになりやすい。イオン化傾向は Ca > Mg よって ②
③と④は「イオン化エネルギーが小さい」と「イオン化傾向が大きい」を言い換えた関係にあり、両方正しいか両方誤りかのどちらかにしかなりません。ここに気づけば、残る①②のうち言葉の入れ替えがある②に絞れます。
問1b:正解 ④(解答番号112/配点3)
<問題要旨>
土壌中の酸を中和する塩基としての利用に関連して、CH₃COOH・HNO₃・NH₃・KOH の4つを強酸・弱酸・強塩基・弱塩基に正しく振り分けた組合せを選ぶ設問です。
<考え方>
強弱を決めるのは電離度です。水溶液中でほぼ完全に電離するものが強酸・強塩基、一部しか電離しないものが弱酸・弱塩基。代表的な強酸(HCl・HNO₃・H₂SO₄)と強塩基(アルカリ金属の水酸化物、Ca(OH)₂ など)を押さえていれば即決まります。
HNO₃(硝酸) 水溶液中でほぼ完全に電離 → 強酸 CH₃COOH(酢酸) 一部しか電離しない → 弱酸 KOH(水酸化カリウム) 1族の水酸化物でほぼ完全に電離 → 強塩基 NH₃(アンモニア) NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻ が一部しか進まない → 弱塩基 (強酸 HNO₃、弱酸 CH₃COOH、強塩基 KOH、弱塩基 NH₃)を満たす行は ④ だけ よって ④
強弱は「価数」ではなく「電離度」で決まります。酢酸は1価の弱酸、硫酸は2価の強酸のように、価数と強弱は独立に決まるので、混ぜて覚えないことが大切です。
問2a:正解 ⑧(解答番号113/配点3)
<問題要旨>
リン酸水素二アンモニウム (NH₄)₂HPO₄(式量132)は加熱されると式(1)に従って NH₃ を放出し、リン酸二水素アンモニウム (NH₄)H₂PO₄(式量115)に変化します。この2つからなる混合物で (NH₄)H₂PO₄ の質量の割合が増えたとき、窒素 N とリン P の含有率(質量パーセント)がどう変わるかを選ぶ設問です。
<考え方>
混合物の含有率は、2成分それぞれ単独の含有率の間の値になります。したがって各成分単独の N・P の含有率を計算して大小を比べれば、割合が増えたときに上がるか下がるかが決まります。P は式(1)の前後で個数が変わらず、N は1個減ることに注意します。
【(NH₄)₂HPO₄(式量 132)】 N は2個 → N の含有率 = 2×14 / 132 × 100 = 28 / 132 × 100 = 21.2 % P は1個 → P の含有率 = 31 / 132 × 100 = 23.5 % 【(NH₄)H₂PO₄(式量 115)】 N は1個 → N の含有率 = 14 / 115 × 100 = 12.2 % P は1個 → P の含有率 = 31 / 115 × 100 = 27.0 % 【比べる】 N:21.2 % > 12.2 % → (NH₄)H₂PO₄ の割合が増えると N の含有率は 減少 P:23.5 % < 27.0 % → (NH₄)H₂PO₄ の割合が増えると P の含有率は 増加 よって ⑧
リンは原子の個数が変わらないのに含有率が上がります。NH₃ が抜けて全体の式量が 132 → 115 と小さくなり、分母が減るためです。「Pの個数は変わらないから変化なし」と考えると②や③に落ちるので、含有率は必ず分母まで含めて比べます。
問2b:正解 ①(解答番号114/配点4)
<問題要旨>
白色粉末の塩化カリウム KCl を他の白色粉末と区別する実験について、「KCl と区別したい物質」と「実験操作」の組合せが4つ与えられ、2種類の物質を区別できないものを選ぶ設問です。
<考え方>
「区別できる」とは、2つの水溶液で観察される結果が違うということです。組合せごとに、KCl 側とその相手側で何が起きるかを両方書き出し、結果が同じになるものを探します。フェノールフタレインの変色域(およそ pH 8.3以上で赤色)が判定の鍵です。
① 区別できない NH₄Cl 水溶液は弱酸性(NH₄⁺ + H₂O ⇄ NH₃ + H₃O⁺ が少し進む)、KCl 水溶液は中性。 フェノールフタレインは pH 約8.3以下では無色なので、どちらも無色のままで差が出ない ② 区別できる 炎色反応は Na が黄色、K が赤紫色で、見える色が違う ③ 区別できる 硝酸銀水溶液を加えると KCl は AgCl の白色沈殿を生じ、KNO₃ は沈殿を生じない ④ 区別できる 硫酸酸性の過酸化水素水を加えると、KI では I⁻ が酸化されて I₂ が生じ褐色になる。KCl の Cl⁻ は酸化されず変化しない よって ①
NH₄Cl と KCl を区別したいなら、リトマス紙やメチルオレンジのように酸性側に変色域をもつ指示薬を使うか、水酸化ナトリウム水溶液を加えて NH₃ の発生を確かめればよいことになります。指示薬は名前だけでなく「変色域がどの pH にあるか」まで覚えておきたいところです。
問3a:正解 ⑥(解答番号115/配点3)
<問題要旨>
石灰窒素法でカルシウムシアナミド CaCN₂ を合成する一連の反応、ア CaCO₃ → CaO + CO₂、イ CaO + 3C → CaC₂ + CO、ウ CaC₂ + N₂ → CaCN₂ + C のうち、酸化還元反応をすべて正しく選んでいるものを答える設問です。
<考え方>
酸化還元反応かどうかは「反応の前後で酸化数が変化する原子があるか」だけで決まります。単体の原子は0、化合物では O が −2・アルカリ土類金属が +2 で総和0、という規則を使い、3つの反応すべてで両辺の酸化数を書き出して比べます。
【ア CaCO₃ → CaO + CO₂】 左辺 CaCO₃:Ca +2、C +4、O −2 右辺 CaO:Ca +2、O −2 / CO₂:C +4、O −2 どの原子も酸化数が変わらない → 酸化還元反応ではない 【イ CaO + 3C → CaC₂ + CO】 左辺 C(単体)= 0 右辺 CaC₂:Ca = +2 なので C₂ 全体で −2 → C は1個あたり −1 右辺 CO:O = −2 なので C = +2 炭素が 0 → −1(還元)と 0 → +2(酸化)に分かれる → 酸化還元反応 【ウ CaC₂ + N₂ → CaCN₂ + C】 左辺 CaC₂:C = −1 / N₂(単体):N = 0 右辺 CaCN₂:Ca = +2 なので CN₂ 全体で −2。N を −3 とすると C = −2 −(−3)×2 = +4 右辺 C(単体)= 0 窒素 0 → −3(還元) 炭素 −1 → +4(酸化)、−1 → 0(酸化) → 酸化還元反応 【まとめ】酸化還元反応は イ と ウ よって ⑥
ウは「CaC₂ の炭素が単体として出ていき、代わりに窒素が入る」形に見えるため、酸化数を置かずに眺めると元素の組替えだけの反応と誤読して、イだけの②を選んでしまいます。CaC₂ 中の炭素を −1、CaCN₂ 中を N −3・C +4 と具体的に置いて初めて、窒素の還元と炭素の酸化が見えてきます。アのように酸化数がまったく動かない反応と並べられているぶん、3つすべてを書き出す手間を惜しまないことが得点に直結します。
問3b:正解 ③(解答番号116/配点4)
<問題要旨>
窒素の量を測定する装置の検出器は、試料中の窒素 N(原子量14)の質量に比例した強さの信号を出力します。図2にその関係(横軸が試料中の N の質量 0〜0.03 g、縦軸が信号の強さ 0〜500)が原点を通る直線として与えられます。窒素を含む成分が CaCN₂(式量80)のみである石灰窒素 X の試料 0.100 gを分析して信号の強さ210を得たとき、X における CaCN₂ の含有率(質量パーセント)を求める設問です。
<考え方>
図2は原点を通る直線なので、読み取りやすい1点から比例定数を出せば、信号から N の質量が一意に決まります。求まるのは N の質量なので、そこから CaCN₂ 中の N の質量比(2×14 ÷ 80)で CaCN₂ の質量に換算し、試料の質量で割ります。
【図2から比例定数を出す】横軸 0.0200 g のところで直線は縦軸の主目盛り300をちょうど通る(横軸 0.0100 g では150) 信号の強さ = k ×(N の質量) より k = 300 / 0.0200 = 1.5×10⁴ (1/g) 【信号210に対応する N の質量】 m(N) = 210 / (1.5×10⁴) = 1.40×10⁻² = 0.0140 g 【N の質量を CaCN₂ の質量に換算】CaCN₂(式量 80)中の N は2個で 2×14 = 28 m(CaCN₂) = 0.0140 × 80 / 28 = 0.0400 g 【含有率】 0.0400 / 0.100 × 100 = 40 % 【検算】CaCN₂ の N の含有率は 28 / 80 × 100 = 35 %。試料 0.100 gが純粋な CaCN₂ なら N は 0.0350 gで、信号は 1.5×10⁴ × 0.0350 = 525 になる。実際の信号210はその 210 / 525 = 0.40 倍なので、含有率40 %と一致する よって ③
図から求まるのは N の質量なので、そのまま 0.0140 / 0.100 = 14 % としてしまうと①に落ちます。また CaCN₂ の N 含有率である35 %(②)や、式量80をそのまま並べた④も用意されています。N から CaCN₂ へ 80/28 を掛けて戻す一手が、この設問の配点4点ぶんの中身です。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

