2026年度 大学入学共通テスト 追試験「化学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2026年度大学入学共通テスト追試験の化学基礎は、第1問・第2問の2大問構成で、設問数は問単位で13問、解答番号では101から116までの16問です。満点は50点で全問必答、試験時間は30分(理科基礎は物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目から2科目を選択して計60分)です。配点は第1問が30点、第2問が20点。理科基礎は4科目が1冊の問題冊子にまとめられ、冊子全体で100点満点となっているため、化学基礎の解答番号は1番ではなく101番から始まります。
第1問は配点30の小問集合で、A・Bの区分はありません。イオンに含まれる電子の数、物質の分類(混合物・化合物・同素体)、還元剤の判別、物質の三態と分子の熱運動、金属の製法と電池への利用、ダニエル電池のしくみ、中和滴定における指示薬の選び方、濃硫酸を安全に希釈する手順が問1〜問8に並び、最後の問9a・bで鉄の製錬を題材にした量計算が出ます。第2問は配点20で、こちらもA・Bの区分はなく、身のまわりの製品を題材に、製品の取扱いについての正誤判定、塩素水に溶かす塩素の体積とpHによる存在割合、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物の組成決定、塩の水溶液の性質とセッケンの洗浄作用の粒子数計算が問われます。
この回は、知識で即答できる設問と、物質量を軸にした換算をたどる設問がはっきり分かれているのが特徴です。つまずきやすい箇所は3つあります。1つ目は第1問問6で、電子は亜鉛板から銅板へ流れますが導線中の電流の向きはその逆なので、「電子の流れ」と「電流の向き」を取り違えると誤答を選びます。2つ目は第1問問8で、安全な希釈の手順(水に濃硫酸を少量ずつ加える)だけで判断すると、できあがる溶液の体積をちょうど 1000 mL にそろえるという濃度の条件を見落とします。3つ目は第2問問3と問4bで、前者は NaCl が Na₂CO₃ から2 mol、NaHCO₃ から1 mol 生じる係数の違いを、後者は「ラウリン酸イオンの個数」と「油の微粒子の個数」の区別を押さえないと答えが合いません。なお第2問問2bのグラフは、曲線の形で判断せず、記述Ⅰ・Ⅱが指定するpHの端(pH<2 と pH>10)で目盛りを読めば確実に決まります。
第1問 小問集合(イオンの電子数・物質の分類・還元剤・三態と熱運動・金属の利用・ダニエル電池・指示薬の選択・濃硫酸の希釈・鉄の製錬の量計算)
配点30。化学基礎の全範囲から、物質の構成、物質の変化、酸化還元と電池、酸と塩基、そして物質量を使った量計算までを、問1〜問9の10の解答番号で横断的に問う小問集合です。問8までは定義と基本原理で判断でき、問9で高炉と転炉の反応式を使った量的関係の処理が求められます。
問1:正解 ①(解答番号101/配点3)
<問題要旨>
質量数64・原子番号30と示された亜鉛から生じる2価の陽イオン Zn²⁺ に含まれる電子の数を、6つの数値から選ぶ設問です。
<考え方>
元素記号の左下に書かれた原子番号が陽子の数で、電気的に中性な原子はそれと同じ数の電子をもちます。亜鉛の原子番号は30なので、中性の Zn 原子の電子は30個です。2価の陽イオンは電子を2個失った粒子なので、電子の数は 30 − 2 = 28 個になります。左上の質量数64は陽子と中性子の合計を表す数で、電子の数には関係しません。選択肢の62(=64−2)や66(=64+2)は質量数から引き算・足し算をした形になっていて、質量数と原子番号の混同を誘っています。よって ①
問2:正解 ⑦(解答番号102/配点3)
<問題要旨>
都市ガスについての文章に空欄ア〜ウがあり、アは純物質か混合物か、イは単体か化合物か、ウは同素体か同位体かという3つの選択が組み合わされた8通りから、正しい組合せを選ぶ設問です。
<考え方>
3つの用語の定義にそのまま戻れば決まります。アは「成分が1種類の物質だけか」で分かれ、都市ガスはメタンを主成分としつつエタンなどの可燃性ガスも含むと本文に書かれているので混合物です。イは「成分元素が1種類か2種類以上か」で分かれ、メタン CH₄ とエタン C₂H₆ はどちらも炭素と水素の2元素からなるので化合物です。ウは、同素体が同じ元素の単体で性質が異なるもの、同位体が同じ元素の原子で中性子の数が異なるものという区別なので、ダイヤモンドと黒鉛はどちらも炭素だけからなる単体で構造と性質が異なる同素体にあたります。混合物・化合物・同素体の組合せは ⑦
問3:正解 ④(解答番号103/配点3)
<問題要旨>
4つの反応式のそれぞれで1つの物質に下線が付されており、その下線の物質が還元剤としてはたらいている反応を選ぶ設問です。
<考え方>
還元剤は相手を還元して自分が酸化される物質なので、下線の物質に含まれる原子の酸化数が反応の前後で増えているかどうかだけを見ればよいことになります。酸化数が減っていればその物質は還元されたことになり、はたらきは酸化剤です。①〜③の下線の物質はいずれも酸化数が減っていて酸化剤としてはたらいており、増えているのは④の SO₂ の硫黄だけです。
① CO₂ の C:+4 → 生成した C の 0(減少 = 還元された = 酸化剤) ② Cl₂ の Cl:0 → KCl の −1(減少 = 還元された = 酸化剤) ③ CuO の Cu:+2 → Cu の 0(減少 = 還元された = 酸化剤) ④ SO₂ の S :+4 → H₂SO₄ の +6(増加 = 酸化された = 還元剤) よって ④
問4:正解 ②(解答番号104/配点3)
<問題要旨>
物質の三態と分子の熱運動についての4つの記述から、誤りを含むものを選ぶ設問です。
<考え方>
「熱運動の激しさは温度で決まる」という一点で切れます。②は温度が変化しても液体状態にある分子の熱運動の激しさは変化しないとしていますが、温度が高くなれば分子の熱運動は激しくなり、それが蒸発しやすさや拡散の速さの違いとして現れます。この記述が誤りです。①はドライアイスやヨウ素のように昇華する物質が実際にあるので正しく、③は気体では分子間の距離が大きく分子が自由に飛びまわっているという事実そのもの、④は拡散が分子の熱運動の結果として起こる現象であることを述べたもので、いずれも正しい記述です。よって ②
問5:正解 ④(解答番号105/配点3)
<問題要旨>
金属についての記述Ⅰ〜Ⅲに当てはまる金属の組合せを8通りから選ぶ設問です。Ⅰは酸化物の溶融塩電解によって単体が得られる金属、Ⅱはベーキングパウダーに用いられ加熱で気体を発生する化合物をつくる金属、Ⅲは酸化物が一次電池の正極活物質に用いられている金属です。
<考え方>
Ⅰの溶融塩電解は、イオン化傾向が大きく水溶液の電気分解では水が先に反応してしまう金属に使う製法で、酸化アルミニウム Al₂O₃ を氷晶石とともに融解して電気分解するアルミニウムの製造がその代表例です。銅は硫化物を還元して粗銅とし、水溶液の電解精錬で純度を上げるのでⅠには当てはまらず、Ⅰは Al に決まります。Ⅱはベーキングパウダーの主成分が炭酸水素ナトリウム NaHCO₃ で、加熱すると 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂ と分解して二酸化炭素を発生することからナトリウムです。Ⅲはマンガン乾電池やアルカリマンガン乾電池の正極活物質が酸化マンガン(Ⅳ)MnO₂ であることから Mn で、PbO₂ は鉛蓄電池の正極活物質ですが鉛蓄電池は充電して繰り返し使える二次電池なので「一次電池」という条件に合いません。Al・Na・Mn の組合せは ④
問6:正解 ①(解答番号106/配点3)
<問題要旨>
亜鉛板を浸した硫酸亜鉛水溶液と銅板を浸した硫酸銅(Ⅱ)水溶液を素焼き板で仕切り、亜鉛板と銅板を導線でつないだダニエル電池の模式図(図1)が与えられ、この電池についての4つの記述から誤りを含むものを選ぶ設問です。
<考え方>
イオン化傾向は亜鉛のほうが銅より大きいので、亜鉛板が負極、銅板が正極になります。負極では Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ の酸化反応が起こるので④は正しく、放出された電子は導線を亜鉛板から銅板へ向かって流れ、正極では Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu によって銅板上に銅が析出するので②も正しい記述です。ここで、電流の向きは負電荷をもつ電子の流れとは逆向きに定義されているため、導線中の電流は銅板から亜鉛板へ流れます。①は「亜鉛板から銅板の向きに導線を伝わって電流が流れる」としており、電子の流れの向きをそのまま電流の向きとしてしまっているので誤りです。なお素焼き板は2つの水溶液が混ざるのを防ぎながらイオンを通し、各液の電気的な中性を保つはたらきをするので③も正しい記述です。よって ①
問7:正解 ②(解答番号107/配点3)
<問題要旨>
1価の酸の水溶液に1価の塩基の水溶液を滴下する中和滴定について、メチルオレンジの変色域をおおよそ pH 3.1 から 4.4、フェノールフタレインの変色域をおおよそ pH 8.0 から 9.8 として、指示薬の選び方についての4つの記述から誤りを含むものを選ぶ設問です。
<考え方>
指示薬を選ぶ基準は「中和点付近でpHが急激に変化する範囲(pHジャンプ)の中に、その指示薬の変色域が入っているか」の一点です。強酸と強塩基の中和では中和点がpH7で、pHジャンプがおおよそpH4から10にまで及ぶため、メチルオレンジでもフェノールフタレインでも中和点をとらえられます(①は正しい)。強酸を弱塩基で滴定すると、生じる塩の加水分解によって中和点は酸性側に寄るので、変色域が酸性側にあるメチルオレンジが適しており③も正しいです。ところが弱酸を強塩基で滴定すると中和点は塩基性側(pH8〜9程度)になり、pHジャンプも塩基性側にしか現れないので、pH 3.1〜4.4 で変色するメチルオレンジは中和点よりはるかに手前で色が変わってしまい使えません。したがって誤りを含むのは ②。弱酸と弱塩基の組合せではpHジャンプそのものがほとんど生じないため、どちらの指示薬でも中和点を判定できず④は正しい記述です。
問8:正解 ②(解答番号108/配点3)
<問題要旨>
50 mL 中に硫酸 H₂SO₄ が 0.90 mol 含まれている濃硫酸を安全に希釈して、0.90 mol/L の H₂SO₄ 水溶液 1000 mL を調製する手順として正しいものを、4つから選ぶ設問です。
<考え方>
満たすべき条件が2つあり、その両方で選択肢を落としていきます。1つ目は操作の安全性で、濃硫酸の希釈は必ず「水に濃硫酸を少量ずつ加える」向きで行います。逆に濃硫酸へ水を加えると、硫酸と水が混ざるときの大きな発熱が水の少ない局所で起こって突沸し、高温の硫酸が飛散する危険があるため、③と④はこの時点で不適です。2つ目は濃度の条件で、0.90 mol の H₂SO₄ を 0.90 mol/L にするには溶液全体の体積をちょうど 1000 mL にそろえる必要があります。①は純水 1000 mL に濃硫酸 50 mL を加える手順なので、できあがる溶液の体積は 1000 mL より多くなり濃度が 0.90 mol/L になりません。500 mL の純水に濃硫酸を少量ずつ加えたうえで、純水を足して 1000 mL の水溶液に仕上げる②だけが安全性と濃度の両方を満たします。よって ②
問9a:正解 ①(解答番号109/配点3)
<問題要旨>
高炉の中でコークスの炭素と二酸化炭素から一酸化炭素が生じる式(1) C + CO₂ → 2CO と、その CO が酸化鉄(Ⅲ)を還元する式(2) Fe₂O₃ + 3CO → 2Fe + 3CO₂ が与えられ、80 kg の Fe₂O₃(式量160)のすべてを Fe にするのに必要な CO を式(1)で用意するとき、少なくとも何 kg のコークス(炭素のみ、原子量12)が必要かを4つの数値から選ぶ設問です。
<考え方>
質量をいったん物質量に直し、2つの反応式の係数比を順に使って戻す、という標準的な流れで決まります。まず Fe₂O₃ の物質量を式量160から求め、式(2)の係数比 Fe₂O₃ : CO = 1 : 3 で必要な CO の物質量を出します。次に式(1)の係数比 C : CO = 1 : 2 を使って、その CO を得るのに要る炭素の物質量を求め、原子量12をかけて質量に戻します。式(1)では炭素1 mol から CO が2 mol 生じるので、必要な炭素は CO の物質量の半分でよい、という点がこの設問の要点です。ここで半分にするのを忘れると18 kg を選んでしまいます。
Fe₂O₃ の物質量:80×10³ g ÷ 160 = 5.0×10² mol 必要な CO :5.0×10² mol × 3 = 1.5×10³ mol 必要な C :1.5×10³ mol ÷ 2 = 7.5×10² mol C の質量 :7.5×10² mol × 12 = 9.0×10³ g = 9.0 kg よって ①
問9b:正解 ③(解答番号110/配点3)
<問題要旨>
転炉で銑鉄の炭素を除く反応の式(3) 2C + O₂ → 2CO と、生じた CO がさらに酸化される式(4) 2CO + O₂ → 2CO₂ が与えられます。式(3)で a mol の炭素が反応して CO が生じ、そのうち一部が式(4)によって b mol の CO₂ に変えられたとき、残っている未反応の CO のすべてを CO₂ に変換するのに必要な O₂ の物質量を表す式を、5つから選ぶ設問です。
<考え方>
数値の代入はなく、2つの反応式の係数比だけで決まります。式(3)は C と CO の係数がどちらも2で比が 1 : 1 なので、a mol の炭素からは CO が a mol 生じます。式(4)も CO と CO₂ の係数がどちらも2で比が 1 : 1 なので、CO₂ が b mol できた時点で消費された CO も b mol です。したがって残っている未反応の CO は a − b mol。これを式(4)で CO₂ に変えるとき、CO と O₂ の係数比は 2 : 1 なので、必要な O₂ は未反応 CO の物質量の半分になります。ここで CO と O₂ を 1 : 1 と見てしまうと a − b のまま①を選ぶことになります。
式(3) C : CO = 2 : 2 = 1 : 1 → 生じた CO = a (mol) 式(4) CO : CO₂ = 2 : 2 = 1 : 1 → 消費された CO = b (mol) 未反応の CO = a − b (mol) 式(4) CO : O₂ = 2 : 1 → 必要な O₂ = (a − b) ÷ 2 = (a − b)/2 (mol) よって ③
第2問 身のまわりの製品の化学(取扱い上の注意の正誤・塩素水の存在割合とpH・炭酸塩混合物の組成決定・セッケンの洗浄作用)
配点20。カイロ・洗浄剤・ドライアイス・塩素水・掃除用の炭酸塩・セッケンといった身近な製品を題材に、化学反応式と物質量を使って量を求める力を問う大問です。問1と問4aの知識問題は短く決まりますが、問3と問4bでは複数の手がかりや換算の段階を突き合わせる処理が必要になります。
問1:正解 ⑤(解答番号111/配点3)
<問題要旨>
身のまわりの製品の取扱いについての記述ア〜ウが与えられ、それぞれの下線部の正誤の組合せを8通りから選ぶ設問です。下線部はア「鉄粉と窒素が反応する」、イ「アルミニウムと酸性の水溶液が反応する」、ウ「ドライアイスが気体になり」の3か所で、下線部以外の記述(低温やけどへの注意、容器の破損・破裂のおそれ)は判定の対象ではありません。
<考え方>
下線が引かれた箇所だけを1つずつ確かめます。アは、使い捨てのカイロの発熱が鉄粉が空気中の酸素と結びつく酸化反応によるものであり、窒素は常温では非常に反応しにくい気体なので、「鉄粉と窒素が反応する」は誤りです。イは、アルミニウムが酸にも強塩基の水溶液にも溶ける両性の金属で、塩酸とは 2Al + 6HCl → 2AlCl₃ + 3H₂ のように反応して水素を発生するため、密閉容器では内圧が上がって破損しうるという説明は正しいです。ウは、ドライアイスが固体の二酸化炭素で、液体を経ずに昇華して気体になるため、密閉容器では気体の圧力が高まって破裂の危険があるという説明で、これも正しいです。誤・正・正の組合せは ⑤
問2a:正解 ④(解答番号112/配点3)
<問題要旨>
濃度 5.00×10⁻³ mol/L の塩素水 5.00 L を調製するために水に溶かす気体の塩素 Cl₂ が、0℃、1.013×10⁵ Pa において何 L 必要かを4つの数値から選ぶ設問です。塩素はすべて Cl₂ のまま溶けているものとして扱います。
<考え方>
濃度と体積から溶けている Cl₂ の物質量を出し、それを気体の体積に直すだけの2段階です。0℃、1.013×10⁵ Pa は標準状態なので、気体のモル体積 22.4 L/mol をそのまま使えます。なお選択肢の 2.50×10⁻² は求めた物質量の数値そのままで、mol を L と読み違えたときに選んでしまう形になっています。
溶けている Cl₂ の物質量:5.00×10⁻³ mol/L × 5.00 L = 2.50×10⁻² mol その気体の体積 :2.50×10⁻² mol × 22.4 L/mol = 0.560 L = 5.60×10⁻¹ L よって ④
問2b:正解 ①(解答番号113/配点3)
<問題要旨>
塩素水では式(1) Cl₂ + H₂O ⇄ HClO + HCl と式(2) HClO ⇄ H⁺ + ClO⁻ の変化が起こることが示され、pHを変えたときの Cl₂・HClO・ClO⁻ の存在割合を表した図1の3本の曲線ア(●)・イ(□)・ウ(▲)が、それぞれどの分子やイオンに対応するかの組合せを6通りから選ぶ設問です。判断材料として、記述Ⅰ「pH<2 の水溶液中で存在割合がほぼ100%である物質の気体は黄緑色で刺激臭をもつ」と、記述Ⅱ「pH>10 の水溶液中ではほぼ ClO⁻ のみが存在する」が与えられています。
<考え方>
3本とも似た形の曲線なので、山の位置の印象ではなく記述Ⅰ・Ⅱが指定するpHの端で目盛りを読んで決めます。図1で pH 0 から2 の範囲に100%の点が並んでいるのは●のアで、黄緑色で刺激臭をもつ気体は塩素なので、ア=Cl₂ と確定します。pH 10 以上で100%になっているのは▲のウなので、記述Ⅱからウ=ClO⁻ です。残る□のイは pH 4.5 から6 付近で約100%になる中間的な存在で、式(1)で Cl₂ から生じ式(2)で ClO⁻ に変わる HClO にあたります。式(2)が酸の電離であることからも、H⁺ が多い低いpHでは左に偏って HClO 側、H⁺ が少ない高いpHでは右に偏って ClO⁻ 側という順番になり、Cl₂ → HClO → ClO⁻ の並びが確認できます。よって ①
問3:正解 ④(解答番号114/配点4)
<問題要旨>
炭酸ナトリウム Na₂CO₃(式量106)と炭酸水素ナトリウム NaHCO₃(式量84)を含む混合物Aに塩酸を十分に加えると、式(3) Na₂CO₃ + 2HCl → 2NaCl + H₂O + CO₂ と式(4) NaHCO₃ + HCl → NaCl + H₂O + CO₂ が進み、0℃、1.013×10⁵ Pa で 1.12 L の CO₂ が発生しました(実験Ⅰ)。その水溶液から水と塩化水素を完全に取り除くと 4.68 g の NaCl(式量58.5)が得られました(実験Ⅱ)。この2つの結果から、混合物Aに含まれる Na₂CO₃ と NaHCO₃ の物質量の比を5つから選ぶ設問です。
<考え方>
未知数が2つ(2つの塩の物質量)で手がかりも2つ(CO₂ の体積と NaCl の質量)なので、連立方程式で一意に決まります。鍵になるのは2つの反応式の係数の違いです。CO₂ はどちらの塩からも1 mol につき1 mol しか生じないので、CO₂ の物質量は2つの塩の物質量の単純な和になります。一方 NaCl は Na₂CO₃ 1 mol から2 mol、NaHCO₃ 1 mol から1 mol 生じるので、こちらは Na₂CO₃ の項だけ係数が2になります。この係数の非対称性が2式の差を生み、差を取るだけで Na₂CO₃ の物質量が求まります。NaCl の係数を両方1としてしまうと2式が同じ形になり比が決まりません。
Na₂CO₃ を x (mol)、NaHCO₃ を y (mol) とする
CO₂ について :x + y = 1.12 ÷ 22.4 = 0.0500 (mol)
NaCl について:2x + y = 4.68 ÷ 58.5 = 0.0800 (mol)
2式の差 :x = 0.0800 − 0.0500 = 0.0300 (mol)
y = 0.0500 − 0.0300 = 0.0200 (mol)
x : y = 0.0300 : 0.0200 = 3 : 2
よって ④
問4a:正解 ②(解答番号115/配点3)
<問題要旨>
セッケンであるラウリン酸ナトリウムの水溶液が塩基性を示すことを受けて、塩化カルシウム CaCl₂、シュウ酸ナトリウム(COONa)₂、硫酸アンモニウム(NH₄)₂SO₄、硝酸カリウム KNO₃ の4つの塩のうち、水溶液が塩基性を示すものを選ぶ設問です。
<考え方>
塩の水溶液の性質は、その塩をつくるもとになった酸と塩基の強弱で決まります。弱酸と強塩基からできた塩は水溶液中で加水分解して塩基性、強酸と弱塩基からできた塩は酸性、強酸と強塩基からできた塩は中性です。①の CaCl₂ は塩酸(強酸)と水酸化カルシウム(強塩基)の塩なので中性、④の KNO₃ は硝酸(強酸)と水酸化カリウム(強塩基)の塩なので中性です。③の(NH₄)₂SO₄ は硫酸(強酸)とアンモニア(弱塩基)の塩なので酸性を示します。②のシュウ酸ナトリウム(COONa)₂ はシュウ酸(弱酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)の塩なので、加水分解によって塩基性を示します。塩の化学式に H が残っていなくても水溶液が中性とは限らない、という点がこの設問の要点です。よって ②
問4b:正解 ④(解答番号116/配点4)
<問題要旨>
ラウリン酸イオンが油を取り囲んで球状の微粒子にする模式図(図3)が示され、油 3.0×10⁻¹⁸ g をラウリン酸イオン 5.0×10³ 個で取り囲むと考えるとき、22.2 g のラウリン酸ナトリウム(式量222)が溶けた水溶液が最大で何 g の油を取り除けるかを5つの数値から選ぶ設問です。アボガドロ定数は 6.0×10²³/mol、ラウリン酸ナトリウムはすべて電離しているものとします。
<考え方>
「質量 → 物質量 → イオンの個数 → 油の微粒子の個数 → 油の質量」と、4段階の換算を順に進めます。まず 22.2 g を式量222で割ってラウリン酸ナトリウムの物質量を出し、すべて電離するのでラウリン酸イオンも同じ物質量だけ生じると考えてアボガドロ定数をかけ、イオンの個数にします。次に油の微粒子1個に 5.0×10³ 個のイオンが使われるので、イオンの総数をこの数で割れば取り囲める微粒子の個数が出ます。最後に微粒子1個が抱えている油の質量 3.0×10⁻¹⁸ g をかけると答えになります。イオンの個数をそのまま油の微粒子の個数として扱うと、5.0×10³ 倍だけ大きい値になってしまうので、どちらの個数を求めているのかを段階ごとに書き分けるのが安全です。
ラウリン酸ナトリウムの物質量:22.2 g ÷ 222 = 0.100 mol ラウリン酸イオンの個数 :0.100 mol × 6.0×10²³ /mol = 6.0×10²² 個 油の微粒子の個数 :6.0×10²² ÷ 5.0×10³ = 1.2×10¹⁹ 個 取り除ける油の質量 :1.2×10¹⁹ × 3.0×10⁻¹⁸ g = 36 g よって ④
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

