2017年度 大学入試センター試験 本試験「生物」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2017年度 大学入試センター試験 本試験「生物」の解答・解説です。第1問〜第5問が必答(各18点=90点)、第6問と第7問はどちらか1問を選択(10点)で、合計100点。解答番号は大問ごとに1に戻ります。
本記事では第6問・第7問の両方を解説していますので、選ばなかったほうの復習にも使ってください。設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と考える手順が読めます。
第1問 A タンパク質とホルモン(タンパク質の高次構造・ペプチドホルモンの受容)
タンパク質の一次〜四次構造の定義と、ペプチドホルモンが細胞膜の受容体にはたらくという2点。用語の言いかえに引っかからないことが大切です。
問1:正解 ③・⑦(配点6/各3、順序は問わない)
<問題要旨>
タンパク質とその構造に関する記述として誤っているものを二つ選ぶ。
<考え方>
一次〜四次構造がそれぞれ何を指すか、そして変性が何によって起こるかを確認します。
① ペプチド結合でアミノ酸が多数つながる。正しい。 ② アミノ酸配列(一次構造)が立体構造を決める。正しい。 ③ 一次構造とはアミノ酸の配列順序のこと。ジグザグ状(β シート)やらせん状(α ヘリックス)は二次構造。誤り。 ← ④ 離れたアミノ酸どうしの水素結合が立体構造を安定させる。正しい。 ⑤ 三次構造は、システインの側鎖間のジスルフィド結合などによって二次構造が立体的に配置されたもの。正しい。 ⑥ 複数のポリペプチドが組み合わさったものが四次構造。正しい。 ⑦ 高温処理では水素結合が切れて立体構造がこわれる(熱変性)。「形成される」「変化することはない」はどちらも誤り。 ← ⑧ 強い酸やアルカリでも変性する。正しい。
問2:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
ペプチドホルモンに関する記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
ペプチドは水になじみやすく、リン脂質二重層を通り抜けられません。
ペプチドホルモンは親水性で細胞膜を通過できないため、受容体は細胞膜上にある。ホルモンが結合すると、細胞内でセカンドメッセンジャー(cAMP など)の量が変化したり、リン酸化酵素の活性が変わったりして情報が伝わる。 一方、ステロイドホルモンは脂溶性で細胞膜を通過し、細胞質や核内の受容体と結合して、その複合体が調節タンパク質として遺伝子発現を調節する。 ①②は「細胞膜を通過して」が誤り、④は細胞膜上の受容体としながらステロイドホルモンのしくみを述べていて誤り。
第1問 B 遺伝子の発現調節(転写調節領域と調節タンパク質)
同じゲノムをもつ細胞で発現する遺伝子が違うのはなぜか。問5は「活性化する条件」と「抑制する条件」を図の上で重ね合わせる作業です。
問3:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
真核生物の体細胞において、転写される遺伝子の種類が細胞の種類によって異なる理由の記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
同一個体の体細胞は同じゲノムをもつ、という前提から出発します。
同一個体の体細胞は同じゲノム(同じ染色体、同じ遺伝子)をもつので、①②④のように「数が異なる」という説明は成り立たない(オペレーターは原核生物の用語でもある)。 違いを生むのは、それぞれの細胞に存在する調節タンパク質の種類と量。これが転写調節領域に結合して転写を活性化したり抑制したりするため、細胞ごとに転写される遺伝子が変わる。
問4:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
転写調節領域に関する記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
転写調節領域は「転写の段階」ではたらく、という一点で選択肢を切り分けます。
真核生物では、プロモーターに基本転写因子と RNA ポリメラーゼが集まって転写複合体をつくる。転写調節領域に結合した調節タンパク質は、この複合体に作用して転写を活性化したり抑制したりする。 ①はリボソームへの結合(翻訳の段階)、③は mRNA の核外輸送の話で、いずれも転写調節領域のはたらきではない。②は「アミノ酸配列を指定する」=翻訳される領域の説明で誤り。
問5:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
平面上に一層に並んだ細胞群が遺伝子Aをもち、その転写調節領域としてBおよびCがあるとする。転写調節領域Bには調節タンパク質Dが結合して遺伝子Aの転写を活性化し、転写調節領域Cには調節タンパク質Eが結合して転写を抑制する。ただし調節タンパク質Eのはたらきは調節タンパク質Dのはたらきよりも強い。図2の灰色部分にDとEが存在するとき、遺伝子Aの転写が活性化される細胞の位置を示す図を選ぶ。
<考え方>
「Dがある」かつ「Eがない」領域を、図の上で重ね合わせて求めます。
図2より D が存在するのは、細胞群の中央にある正方形の領域 E が存在するのは、細胞群を上下に貫く中央の縦帯 E のはたらきのほうが強いので、D と E の両方がある細胞では転写は抑制される。転写が活性化されるのは (D がある)かつ(E がない) すなわち、中央の正方形から中央の縦帯を除いた部分。 これは、縦帯をはさんで左右に分かれた2つの長方形になる。
第2問 A 発生と誘導(マウスの眼の形成・ES細胞)
眼杯が水晶体の分化を誘導するしくみを、突然変異体との組合せ実験で切り分けます。「誘導する側」と「受け取る側」のどちらに異常があるかを読むのが主題。
問1:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
イモリの発生過程における分化の誘導に関する記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
形成体(オーガナイザー)としてはたらくのは何か、という基本の確認です。
④ 初期原腸胚の原口背唇部は形成体としてはたらき、接している外胚葉を神経管へ分化させる(シュペーマンの実験)。正しい。 ① 予定外胚葉域と予定内胚葉域を合わせても、内胚葉域が神経管になることはない。 ② 角膜の分化を誘導するのは水晶体であって、胞胚の予定中胚葉域ではない。 ③ 後期原腸胚の内胚葉を神経板域に移植しても水晶体にはならない。水晶体を誘導するのは眼杯。
問2:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
実験1・実験2の結果から導かれる考察として最も適当なものを選ぶ。実験2では、胚Xの眼杯+胚Xの予定水晶体領域は分化せず、胚Wの眼杯+胚Xの予定水晶体領域は分化し、胚Xの眼杯+胚Wの予定水晶体領域は分化しなかった。
<考え方>
「眼杯を入れかえたときにどうなったか」を2行だけ見比べます。
表1の下2行を比べる。 胚Wの眼杯 + 胚Xの予定水晶体領域 → 分化した → 胚Xの予定水晶体領域は、誘導物質を受け取る能力をもっている 胚Xの眼杯 + 胚Wの予定水晶体領域 → 分化しなかった → 胚Xの眼杯は、誘導物質を出していない つまり突然変異体Xの異常は「誘導する側(眼杯)」にある。②は予定水晶体領域に異常があるとする説明で、上の1行目と矛盾する。③④は胚W(野生型)に異常があることになり、実験1と矛盾する。
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
実験1〜3の結果から導かれる考察として最も適当なものを選ぶ。実験3では、胚WのES細胞の塊を培養すると、細胞塊の表面に眼胞が形成され、眼杯になった後に網膜へ分化したが、水晶体は形成されなかった。
<考え方>
実験3では、予定水晶体領域を一切加えていない点に注目します。
実験3では ES 細胞の塊だけを培養しており、予定水晶体領域は入れていない。それでも眼胞ができ、さらに眼杯になった。 → 眼胞は、予定水晶体領域と合わせなくても眼杯になる能力をもつ ① 実験3では予定水晶体領域と合わせていないので、「誘導する物質を産生できない」とまでは言えない。 ③ 胚Xの眼胞との交換移植は行っていないので、結果は判断できない。 ④ 実験3では網膜より先に眼杯が形成されている(眼杯になった後に網膜へ分化した)ので、網膜が眼杯形成の形成体であるとは言えない。
第2問 B 被子植物の生殖(重複受精と胚乳の遺伝子型)
花粉・胚のうの染色体数と、重複受精でできる胚乳が3n であること。問5は「胚乳の遺伝子型は、母親由来2+父親由来1」と書き出せば片づきます。
問4:正解 ①,②,④(配点2,2,2)
<問題要旨>
体細胞における染色体数が24本であるイネでは、減数分裂により、花粉の中に染色体を[ア]本もつ精細胞がつくられる。胚珠内では、染色体を[イ]本もつ胚のう母細胞が減数分裂し、その後3回の核分裂が起こり胚のうがつくられる。一つの胚のうは合計[ウ]本の染色体をもつ。
<考え方>
[ウ]は「胚のうの核が全部で何個か」を数えるのがポイントです。
体細胞が 2n = 24 本なので n = 12 本。 [ア]精細胞は減数分裂でできた花粉に由来する配偶子なので n = 12 本。 [イ]胚のう母細胞は減数分裂を行う前の細胞なので 2n = 24 本。 [ウ]胚のう母細胞が減数分裂して1個の胚のう細胞(n)になり、そこから3回の核分裂が起こるので核の数は 1 → 2 → 4 → 8 個 (卵細胞1・助細胞2・極核2・反足細胞3 で計8核)。それぞれが n = 12 本もつので 12 × 8 = 96 本
問5:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
イネの種子の胚乳には、ヨウ素液で青紫色に呈色する形質(優性、遺伝子W)と赤紫色に呈色する形質(劣性、遺伝子w)とがある。青紫色の純系Aと赤紫色の純系Bを用いて表2の交配を行い、雌親に実った種子をヨウ素液で呈色させた。この結果から導かれる考察として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
胚乳は「母親の極核2つ+精細胞1つ」からできる 3n。まず4つの交配の胚乳の遺伝子型を書き出します。
純系A = WW、純系B = ww。胚乳の遺伝子型は「母親由来2 + 父親由来1」。 交配1 ♀A(WW) × ♂B(ww) → W W w(=WWw、青紫) 交配2 ♀B(ww) × ♂A(WW) → w w W(=Www、青紫) 交配3 ♀B(ww) × ♂F₁(Ww) → w w W(青紫)または w w w(赤紫) 交配4 ♀F₁(Ww) × ♂B(ww) → W W w(青紫)または w w w(赤紫) (1つの胚のうの2個の極核は同じ核に由来するので、WW か ww のどちらかにそろう) これを選択肢に当てはめる。 ① WWw と Www は異なる。誤り ② WWw と wwW は異なる。誤り ③ 交配2(Www)と交配3の青紫(wwW)は同じ。正しい ← ④ どちらも www で同じ。「異なる」は誤り ⑤ 交配3の青紫(wwW)と交配4の青紫(WWw)は異なる。誤り
第3問 A 神経(神経系の区分・跳躍伝導・シナプスでの伝達)
神経系の分類、興奮の伝導、シナプスでの伝達という基本三題。用語を正確に置ければ全問即答できます。
問1:正解 ⑤(配点3)
<問題要旨>
脊椎動物の神経系は中枢神経系と末梢神経系とに大きく分けられる。中枢神経系は脳と[ア]からなり、末梢神経系は、はたらきの上では、感覚や運動に関与する[イ]と、消化や循環などの調節を行う[ウ]からなっている。
<考え方>
中枢神経系は「脳+脊髄」。延髄は脳の一部である点に注意します。
[ア]中枢神経系は脳と脊髄。延髄は脳の一部(脳幹)なので、ここには入らない。 [イ]感覚や運動に関与する末梢神経は体性神経(感覚神経と運動神経)。 [ウ]消化や循環などを無意識に調節するのは自律神経(交感神経と副交感神経)。
問2:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
軸索には有髄神経繊維と無髄神経繊維の2種類があり、有髄神経繊維の方が活動電位の伝導速度が速いことが知られている。この理由として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
「速い理由」を問われているので、有髄・無髄の両方に当てはまる性質は答えになりません。
有髄神経繊維では、軸索が絶縁性の髄鞘(ミエリン鞘)で覆われており、髄鞘の切れ目であるランビエ絞輪でのみ活動電位が発生する。興奮が絞輪から絞輪へ飛び飛びに伝わるので(跳躍伝導)、無髄神経繊維より速い。 ①(不応期)、②(静止電位)、④(全か無かの法則)、⑤(Na⁺ の流入)、⑥(両方向への伝導)は、いずれも無髄神経繊維にも当てはまる性質で、速さの違いの理由にはならない。
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
シナプスで生じる化学的伝達のしくみについて、文章中の[エ]〜[カ]に入る語の組合せを選ぶ。活動電位が軸索の末端に到達すると、末端部にある[エ]が軸索の膜に融合し、内部に蓄えられていた[オ]が、シナプスの間隙に向かって放出される。[オ]は、隣接するニューロンの樹状突起上などにある受容体に結合して、[カ]の活性化による電位変化などを起こす。
<考え方>
「膜に融合するもの」「放出されるもの」「受容体側で開くもの」の順に埋めます。
[エ]膜に融合して内容物を放出するのは膜でできた袋、すなわちシナプス小胞。 [オ]小胞に蓄えられ、間隙に放出されるのは神経伝達物質(アセチルコリンやノルアドレナリンなど)。 [カ]受容体に神経伝達物質が結合するとイオンチャネルが開き、イオンの出入りによって膜電位が変化する。
第3問 B 植物の環境応答(フィトクロムとレタスの光発芽)
日なたと日かげの光の質の違いを、フィトクロムの2つの型に結びつけます。「最後に当てた光がどちらか」で発芽が決まる、という原則が問6で効きます。
問4:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
レタスの種子の光発芽が起こる時のフィトクロムのはたらきに関する記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
光発芽を実際に引き起こす物質は何か、という問いです。
赤色光を受けたフィトクロムは、種子の中でジベレリンの合成を促進する。ジベレリンが胚乳や子葉の貯蔵物質の分解を進めることで発芽が起こる。 ② アブシシン酸は発芽を抑制する(ジベレリンと拮抗する)。 ③ フロリゲンは花芽形成を促進する物質で、発芽とは関係しない。 ④ 春化は低温にさらすことで花芽形成が促進される現象で、光発芽とは別。
問5:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
文章中の[ク]〜[コ]に入る数値と語の組合せを選ぶ。日なたとは異なり、日かげでは、上方を覆う他の植物の葉が波長[ク]nm 付近の光をよく吸収するため、波長[ケ]nm 付近の光より波長[ク]nm 付近の光が弱くなる。その結果、[コ]型のフィトクロムが減少し、レタスの種子の発芽率が低下する。
<考え方>
図1の日かげのグラフで、どの波長がへこんでいるかを読み取ります。
図1の日かげ(点線)を見ると、660 nm 付近までは低いままで、700 nm を超えると急に強くなっている。これは上方の葉のクロロフィルが赤色光(660 nm 付近)を吸収し、遠赤色光(730 nm 付近)は吸収せずに透過させるため。 → [ク]= 660、[ケ]= 730 フィトクロムは、X 型が 660 nm を吸収して Y 型に、Y 型が 730 nm を吸収して X 型に変わる。日かげでは 660 nm が弱く 730 nm が強いので、X 型 → Y 型 の変換が起こりにくく、Y 型 → X 型 の変換が進む。 → [コ]= Y 型が減少 (Y 型が発芽を促進する型。これが減るので発芽率が下がる。)
問6:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
実験2において、図2のVの結果(発芽率)として最も適当なものを選ぶ。Vは 暗所 → 日なた(5分)→ 日かげ(5分)→ 日なた(5分)→ 暗所 の順に処理したものである。
<考え方>
光発芽は「最後に当てた光がどちらだったか」で決まります。
図2の I〜IV から読み取れること I(暗所のみ)… 0 % II・III(最後が日なた)… 100 % IV(日なた → 日かげ で終わり)… 20 % つまり、最後に日なたの光(660 nm を多く含む)を受けると発芽し、最後が日かげの光(730 nm が優勢)だと発芽しない。フィトクロムが X 型 ⇄ Y 型 と可逆的に変化し、最後の状態が結果を決めるためである。 V は「日なた → 日かげ → 日なた」で、最後が日なた。したがって III と同じ 100 % になる。
第4問 A 寄生と生態系(ハリガネムシがバッタの行動を変える)
実験1で「行動がどう変わるか」を確かめ、実験2でその行動変化が川の生態系に何をもたらすかを読む、二段構えの実験考察です。
問1:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
実験1の結果から導かれる考察として最も適当なものを選ぶ。ハリガネムシが寄生した42個体のバッタと寄生していない38個体のバッタをY字路の入口に置いたところ、寄生バッタは21個体ずつが通路1・通路2へ、非寄生バッタは19個体ずつが通路1・通路2へ進んだ。通路2へ進んだ個体のうち、非寄生バッタはどの個体も水に飛び込まなかったが、寄生バッタは全ての個体が飛び込んでいた。
<考え方>
数字が「半々」であることと、飛び込んだかどうかの差を切り分けます。
分岐点からはくぼみが水で満たされているかどうかは見えない、という設定に注意する。 ・通路の選択:寄生バッタも非寄生バッタも 21:21、19:19 でちょうど半々。どちらへ進むかに差はない。 → 寄生されても「水辺に近づく/遠ざかる」という変化は生じない(①②は誤り) ・水を目の前にしたとき:寄生バッタは全個体が飛び込み、非寄生バッタは1個体も飛び込まなかった。 → 寄生されると、目の前の水に飛び込むようになる ← ④は結果と逆。
問2:正解 ④・⑦(配点6/各3、順序は問わない)
<問題要旨>
実験1・実験2の結果から導かれる、川X〜Zが流れる地域の生態系に関する考察として適当なものを二つ選ぶ。川X・Y・Zでハリガネムシに寄生されているバッタの割合はそれぞれ 20%・35%・50% で、淡水魚Aの食物の重量割合は図3のとおりであった。
<考え方>
図3の棒グラフを、寄生率の順(X → Y → Z)に並べて読みます。
図3を寄生率の順に読むと バッタの重量割合 X < Y < Z(寄生率が高い川ほど大きい) バッタ以外の陸生無脊椎動物 X > Y > Z 水生無脊椎動物 X > Y > Z ① 寄生率が高い川ほどバッタ以外の陸生無脊椎動物の割合は「低い」。誤り。 ② 寄生率が低い川ほど水生無脊椎動物の割合は「高い」。誤り。 ③ 寄生率が低い川ほどバッタの割合は「低い」。誤り。 ④ どの川でも、水生無脊椎動物より陸生無脊椎動物(バッタ+その他)のほうが重量割合が高い。図3のとおりで正しい。 ← ⑤ 川にも寄生者はいる。実験の結果からは導けない。 ⑥ バッタが川に落ちて魚に食べられている以上、陸から川へエネルギーが流入している。誤り。 ⑦ 寄生者がバッタを水に飛び込ませることで、陸のエネルギーが川へ多く流れ込むようになる。実験1・2を合わせた結論として正しい。 ← ⑧ 水に落ちても、バッタは有機物を食べる消費者のまま。生産者にはならない。誤り。
第4問 B 撹乱と種間競争(中規模撹乱説)
撹乱・種間競争という用語の具体例を選び、最後に「中規模撹乱説」をサンゴ礁のグラフで確認します。
問3:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
撹乱(外部の要因によって既存の生態系やその一部が破壊される現象)の例として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
「外部の要因」「破壊される」の両方を満たすものを探します。
④ 人間が導入したマングースという外来生物によって、在来のヤンバルクイナが激減した。外部からの要因で生態系の一部がこわされているので撹乱の例。 ← ① 草原から森林への変化は遷移。 ② アユが他個体を追い払うのは、同種内での縄張り行動。 ③ 根粒菌と植物は相利共生。 ⑤ コノハチョウの翅は擬態。 ⑥ ムクドリの集団生活は群れの利点(警戒)。
問4:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
種間競争(異なる種の間で、食物、生活場所、光、栄養分などをめぐって競い合う現象)の例として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
「異なる種」が「同じ資源」をめぐって競う、という2条件で選びます。
① 2種の草本植物が土壌中の窒素という同じ資源をめぐって競い、一方が排除された(競争的排除)。種間競争の例。 ← ② キツネとウサギは被食者と捕食者の関係。 ③ アブラムシとアリは相利共生。 ④ ハチの幼虫がチョウの幼虫を食べて殺すのは捕食寄生。 ⑤ コバンザメとサメは片利共生。 ⑥ カとマラリア原虫、ヒトの関係は寄生(媒介)。
問5:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
生息場所をめぐって互いに競争している複数種のサンゴによって構成されるサンゴ礁で、サンゴの被度とサンゴの種数を調べたところ図4の結果が得られた。図中の領域I〜IIIで起こっている現象の説明の組合せを選ぶ。ただしサンゴの被度は台風などの撹乱の程度によって決まり、撹乱の程度が増加すると被度は減少するものとする。
<考え方>
「被度が低い=撹乱が大きい」という読みかえを最初に済ませてしまいます。
被度が低いほど撹乱が大きい、という関係に注意する。 領域I(被度が低い=撹乱が大きい) サンゴ礁のほとんどが破壊され、撹乱後に素早く侵入できる種だけが生き残る → ⓐ 領域II(被度が中程度=撹乱も中程度) 破壊された部分と残った部分がモザイク状に混在するので、素早く侵入する種も、種間競争に強い種も、それぞれの場所で生き残れる。種数が最大になる → ⓓ 領域III(被度が高い=撹乱が小さい) ほとんど破壊されないため競争が進み、種間競争に強い種だけが残る → ⓕ これが中規模撹乱説である。
第5問 A 系統と進化(地質時代・哺乳類の系統樹・生きている化石)
中生代の区分と出現時期、DNA にもとづく系統樹の読み取り。問2は与えられた2つの類縁関係を系統樹に当てはめるだけです。
問1:正解 ⑤(配点3)
<問題要旨>
哺乳類は中生代の[ア]に、鳥類は[イ]に出現した。中生代は約[ウ]年前に終わり、新生代になると哺乳類や鳥類は多様化した。
<考え方>
中生代は三畳紀・ジュラ紀・白亜紀の3つ。それぞれに何が現れたかを整理します。
[ア]哺乳類は中生代のはじめ、三畳紀に出現した。 [イ]鳥類はジュラ紀に出現した(始祖鳥がその代表)。 [ウ]中生代と新生代の境界は約 6600 万年前(白亜紀末の大量絶滅、恐竜の絶滅)。2300 万年前は新生代の中新世のはじまりにあたる年代で、中生代の終わりではない。
問2:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
イヌ、ハツカネズミ、アフリカゾウ、マッコウクジラ、およびキリンの間には、ⓐ ハツカネズミはアフリカゾウよりマッコウクジラと近縁である、ⓑ キリンはハツカネズミよりイヌと近縁である、という類縁関係がある。このとき図1の[エ]〜[カ]に入る動物の組合せを選ぶ。
<考え方>
系統樹の3つの大きなまとまりを見つけ、ⓐ・ⓑ を当てはめます。
図1は大きく3つのまとまりに分かれている。 まとまり1:ハネジネズミ、[エ]、ジュゴン まとまり2:[オ]、ゴマフアザラシ/カバ、マッコウクジラ、キリン まとまり3:ゴリラ、[カ] ⓑ より、キリンとイヌは同じまとまりに入る。キリンはまとまり2 にいるので、[オ]= イヌ(食肉目としてゴマフアザラシと近縁なのとも合う)。 ⓐ より、ハツカネズミはアフリカゾウよりマッコウクジラと近縁。図1でまとまり2とまとまり3 は先に枝分かれし、まとまり1 はそれより前に分かれている。したがってハツカネズミはまとまり3 に、アフリカゾウはまとまり1 に入る。 [カ]= ハツカネズミ、[エ]= アフリカゾウ (まとまり1 はアフリカ獣類、まとまり2 はローラシア獣類にあたる。)
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
シーラカンス、イチョウ、ソテツ、カモノハシなどの生物は生きている化石とよばれている。これらの種に関する記述として誤っているものを選ぶ。
<考え方>
分類の位置づけを一つずつ確認します。
① シーラカンスは肉質のひれ(肉鰭)をもつ硬骨魚類。四肢動物に近縁とされる。正しい。 ② イチョウは裸子植物であって被子植物ではない。誤り。 ← (なお、イチョウとソテツが精子をつくることは、平瀬作五郎・池野成一郎の発見として知られる。「精子をつくる」の部分は正しい。) ③ ソテツは種子をつくる裸子植物。正しい。 ④ カモノハシは卵を産む哺乳類(単孔類)。正しい。
第5問 B 集団遺伝(遺伝子頻度とハーディ・ワインベルグの法則)
遺伝子頻度の計算と、その頻度が変わらないための条件。問6は「条件そのもの」と「条件が破れる場合」を区別できるかが問われます。
問4:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
ある地域に生息する植物がもつ対立遺伝子A、a について、遺伝子型 AA、Aa、aa をもつ個体の数を調べたところ、それぞれ 250、200、50 であった。このとき対立遺伝子Aの遺伝子頻度として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
個体数ではなく「遺伝子(対立遺伝子)の数」を数えます。1個体は2個もっています。
個体数の合計は 250 + 200 + 50 = 500 個体 対立遺伝子の総数は 500 × 2 = 1000 個 A の数は AA から 250 × 2 = 500 個 Aa から 200 × 1 = 200 個 合計 700 個 遺伝子頻度は 700 / 1000 = 0.70
問5:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
ある条件の下では、世代を経ても集団内の遺伝子頻度は変化しないことが分かっており、[キ]とよばれている。
<考え方>
集団遺伝の分野の法則名を選びます。
③ ハーディ・ワインベルグの法則。十分に大きい集団で、自由に交配し、突然変異・自然選択・移出入がないとき、遺伝子頻度は世代を経ても変化しない。 ① シャルガフの法則は DNA の塩基組成(A=T、G=C)についての規則。 ② 全か無かの法則は、単一のニューロンや筋繊維の興奮についての性質。 ④ 分離の法則、⑤ 優性の法則はメンデルの法則で、集団の遺伝子頻度の話ではない。
問6:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
十分に大きな集団において遺伝子頻度が変化する場合、その要因として適当でないものを選ぶ。
<考え方>
ハーディ・ワインベルグの法則が成り立つ条件を思い出し、それを破るものが「変化する要因」です。
遺伝子頻度が変化しないための条件は (1) 集団が十分に大きい (2) 自由に交配する(任意交配) (3) 突然変異が起こらない (4) 自然選択がはたらかない (5) 他集団との間で移出入がない ①(自然選択)、③(突然変異)、④(移出入)はいずれも条件を破るので、遺伝子頻度が変化する要因になる。 ② の「自由に交配する」は、むしろ遺伝子頻度が変化しないための条件そのもの。変化の要因ではないので、これが適当でない。 ←
第6問〔選択問題〕 研究技術(遠心分離とDNAの半保存的複製・細胞小器官の分画)
第6問と第7問はどちらか1問を選択します(配点10点)。こちらは遠心分離。メセルソン・スタールの実験と、密度による細胞小器官の分画です。
問1:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
¹⁵N のみを窒素源とする培地で大腸菌を長期間培養して菌内の窒素をほぼ全て ¹⁵N に置き換えた後、¹⁴N のみの培地に移して2回分裂させた。この大腸菌から DNA を抽出し、密度に基づいて分離したときの遠心管中の DNA の様子として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
DNA の半保存的複製を、鎖1本ずつ数えて追いかけます。
はじめの DNA は 2本鎖とも ¹⁵N(重い)。 1回目の分裂後(DNA 2分子) どちらも ¹⁵N 鎖1本 + ¹⁴N 鎖1本 → 中間の重さ(¹⁴N と ¹⁵N)が2分子 2回目の分裂後(DNA 4分子) 中間の2分子がそれぞれ分かれ、¹⁵N 鎖を鋳型にしたもの2分子(中間)と、¹⁴N 鎖を鋳型にしたもの2分子(軽い)ができる → 中間(¹⁴N と ¹⁵N)2分子、軽い(¹⁴N)2分子 重い(¹⁵N のみ)DNA はもう残っていない。したがって遠心管には「¹⁴N」と「¹⁴N と ¹⁵N」の2本のバンドが現れる。
問2:正解 ①・⑦(配点6/各3、順序は問わない)
<問題要旨>
ラットの肝細胞を破裂させ、ほとんど全ての遺伝情報を含む細胞小器官Aを沈殿物として分離した。その後、密度勾配をつけた溶液で遠心分離したところ、タンパク質を分解する酵素を多く含む密度 1.12 g/cm³ の細胞小器官B、ATP を合成する酵素を多く含む密度 1.18 g/cm³ の細胞小器官C、およびカタラーゼを多く含む密度 1.23 g/cm³ の細胞小器官D が分離された。細胞小器官A〜Dに関する記述として適当なものを二つ選ぶ。
<考え方>
まず A〜D が何かを特定し、次に「密度が高いほど遠心管の底に近い」を使います。
含まれる酵素から A = 核(ほとんど全ての遺伝情報を含む) B = リソソーム(タンパク質分解酵素) C = ミトコンドリア(ATP 合成酵素) D = ペルオキシソーム(カタラーゼ) 密度は B(1.12) < C(1.18) < D(1.23) なので 底から一番遠い=B、底から一番近い=D ① 核ではスプライシング(mRNA 前駆体からイントロンを除く過程)が起こる。正しい。 ← ② 酸化的リン酸化はミトコンドリア(C)。誤り。 ③ アルコール発酵は酵母の細胞質基質で起こる。誤り。 ④ 光エネルギーを利用した ATP 合成は葉緑体。動物細胞にはない。誤り。 ⑤ 底から一番遠いのは B(リソソーム)。クエン酸回路はミトコンドリア。誤り。 ⑥ カルビン・ベンソン回路は葉緑体。誤り。 ⑦ 底から一番近いのは D(ペルオキシソーム)。カタラーゼが過酸化水素を酸素と水に分解する。正しい。 ← ⑧ アルコールは酸素と水には分解されない(アセトアルデヒドを経て分解される)。誤り。
第7問〔選択問題〕 動物の分類と行動(無脊椎動物の分類群・慣れと学習)
第6問との選択問題(配点10点)。海岸で見られる生物を題材に、動物の分類群、慣れと学習、旧口動物と新口動物の違いを問います。
問1:正解 ①,⑥(配点2,2)
<問題要旨>
会話文中の下線部(a) アサリ・(b) クラゲの動物はどの分類群に属するか、それぞれ選ぶ(軟体動物/扁形動物/線形動物/環形動物/脊索動物/刺胞動物)。
<考え方>
貝のなかまと、刺胞をもつなかまです。
(a) アサリは二枚貝で、外とう膜をもつ軟体動物。タコ・イカ・アメフラシも軟体動物である。 (b) クラゲは刺胞(毒針の入った細胞小器官)をもつ刺胞動物。イソギンチャク、サンゴも同じなかま。 (会話文中のゴカイは環形動物、エビは節足動物、ヒトデとウニは棘皮動物。)
問2:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
会話文中の下線部(c)「何度も水管を触ると、鰓を引っ込めなくなる」と、(d)「動物が経験によって、行動を変化させたり、新しい行動を示すようになったりする」のような現象を表す語の組合せを選ぶ。
<考え方>
アメフラシの鰓引っ込め反射は、行動の実験材料として有名です。
(c) 同じ刺激を繰り返し受けるうちに反応が弱まり、やがて起こらなくなる現象を慣れという。アメフラシの鰓引っ込め反射で詳しく調べられている。 反射は生まれつきの決まった反応で、繰り返しても弱まらないので不適。適刺激は「その受容器が受け取れる刺激」の意味で、現象の名前ではない。 (d) 経験によって行動が変化することを学習という。慣れは学習の最も単純な形。進化は世代を超えた集団の変化であって、個体の経験による変化ではない。
問3:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
観察された生物の特徴についての記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
旧口動物と新口動物、そして裸子植物と被子植物の区別が問われています。
① ヒトデは棘皮動物で、ウニやナメクジウオ、脊椎動物とともに新口動物。原口が肛門になり、口は反対側に新しくできる。正しい。 ← ② タコは軟体動物(旧口動物)で、脊索はもたない。 ③ ウニの原腸胚では、外胚葉・内胚葉に加えて中胚葉も分化する。「二つの胚葉のみ」は誤り。 ④ アマモは会話文にあるとおり被子植物なので、胚珠は子房に包まれている。胚珠が裸出しているのは裸子植物。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

