2025年度 大学入学共通テスト 追試験「生物」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2025年度 大学入学共通テスト 追試験「生物」は、第1問から第5問までの全問必答、満点100点、試験時間60分です。大問ごとの配点は、第1問20点・第2問18点・第3問20点・第4問21点・第5問21点。解答番号は1から25までの25か所で、この解説では問題冊子の設問の区切りに合わせ、全22項目に分けて扱います。
第1問はタンパク質の立体構造とシャペロン、そして遺伝子Xの選択的スプライシングです。mRNAの塩基数の差から抜けたエキソンを特定し、アミノ酸の数から終止コドンの位置まで追う、計算で押し切る設問が中心になります。第2問はイネを窒素濃度の異なる培地で育てた実験で、光合成速度・呼吸速度・葉のデンプン量・地上部の乾燥重量という4つのグラフを、光合成産物がどこへ行ったかという一本の筋で読み解きます。
第3問は眼の発生と視覚。単離培養の結果から「水晶体になる能力があるか」と「周囲に抑えられているか」を切り分ける問2と、視交叉で軸索がどう左右に振り分けられるかを追う問3が山場です。第4問はナメクジの忌避行動(A)と群れの大きさ(B)で、Aでは仮説が主張する信号の向き、Bでは曲線を警戒の成分と争いの成分に分ける見方が問われます。第5問は塩基配列の相違から作る系統樹、最節約法による角の進化、アカシカの繁殖数と生存曲線です。
この回でつまずきやすいのは、表やグラフに直接は書かれていないことをどこまで言ってよいかの線引きです。第3問問2では、試されていない組合せがあることを理由に途中で切り上げると結論に届きません。逆に第5問問4では、グラフから読めるのは値とその増減だけで、因果関係までは読めないと踏みとどまる必要があります。どちらも、その実験や図が何を切り分けるために用意されたのかを考えると向きが決まります。
第1問(必答) タンパク質と遺伝子発現(シャペロン・選択的スプライシング)
異常な立体構造のタンパク質を修復するシャペロンと、その調節に関わる遺伝子Xを題材にした大問です。突然変異とアミノ酸配列の関係から始まり、mRNAの塩基数を使ってエキソンを特定する計算、レポーター遺伝子を用いた実験の解釈まで進みます。配点20。
問1:正解 ①(解答番号1/配点4)
<問題要旨>
ⓐ1塩基の置換・ⓑ1塩基の挿入・ⓒ1塩基の欠失のうち、アミノ酸を指定するDNA領域で起こっても、その変異した遺伝子から転写・翻訳されたタンパク質のアミノ酸配列が全く変化しない場合があるものはどれか、過不足なく含む組合せを選びます。
<考え方>
コドンは3塩基1組で読まれること、そして遺伝暗号には同じアミノ酸を指定するコドンが複数あること、この2点に戻れば決まります。置換は塩基が入れ替わるだけで塩基の総数が変わらないので読み枠は保たれ、同義のコドンになればアミノ酸配列は変わりません。一方、挿入と欠失は「1塩基」と指定されているので必ず3の倍数からずれ、その下流のコドンの区切りがすべてずれます。
【ⓐ 1塩基の置換】 塩基の総数は変わらないので読み枠は保たれる 例 CTT(ロイシン)→ CTC(ロイシン) …指定するアミノ酸は同じ → アミノ酸配列が全く変化しない場合がある ○ 【ⓑ 1塩基の挿入】 挿入位置より下流でコドンの区切りが1塩基ずれる(フレームシフト) → 以降のアミノ酸がすべて別のものになり、終止コドンの位置も変わる × 【ⓒ 1塩基の欠失】 欠失位置より下流でコドンの区切りが1塩基ずれる(フレームシフト) → ⓑと同じ理由で、配列が変わらないことはない × 過不足なく含むのは ⓐ のみ よって ①
もし「3塩基の挿入・欠失」であれば読み枠は保たれますが、その場合もアミノ酸が1個増減するので配列は変化します。選択肢が「1塩基の」と限定していることを読み落とさないようにしましょう。
問2:正解 ③(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
シャペロンの直接的な作用によって修復される可能性のある構造として最も適当なものを、4つの選択肢から選びます。
<考え方>
シャペロンは、正しく折りたたまれなくなったポリペプチドを折りたたみ直す、すなわち立体構造(高次構造)を回復させるタンパク質だという定義に戻ります。アミノ酸配列そのもの(一次構造)を書き換えたり、切れた共有結合をつなぎ直したりはできません。
① 誤 DNAの突然変異で変わったのは一次構造(アミノ酸配列)そのもの。折りたたみ直しでは元に戻らない ② 誤 ペプチド結合の切断は共有結合の切断。シャペロンは結合をつなぎ直す酵素ではない ③ 正 pHの変化で崩れたのは活性部位の立体構造。立体構造の変化なので折りたたみ直しで回復しうる ④ 誤 補酵素(補助因子)はタンパク質ではなく、シャペロンが折りたたむ対象ではない よって ③
高温などで変性したタンパク質が凝集する前に立体構造を整え直すのがシャペロンの代表的な働きで、この大問の後半で高温条件下の培養が出てくる伏線にもなっています。
問3:正解 ③(解答番号3/配点4)
<問題要旨>
実験1では、通常条件で培養した細胞の遺伝子XのmRNAは1160塩基で、そこから翻訳されるタンパク質Xuは252アミノ酸。高温条件では選択的スプライシングで特定のエキソンに相当する領域が取り除かれ、mRNAは1134塩基、タンパク質Xsは172アミノ酸になりました。第1問の図1にはエキソン1〜6それぞれの塩基対数が示されています。取り除かれた領域(ア)と、それ以外の領域の配列がXu mRNAと同じか異なるか(イ)を答えます。
<考え方>
「mRNAの塩基数の差=取り除かれた領域の長さ」という引き算ひとつで、どのエキソンが抜けたかが決まります。また選択的スプライシングはつなぐエキソンの組合せを変える操作であって、残った領域の塩基配列を書き換えるものではありません。
【取り除かれた領域の長さ】 1160 − 1134 = 26(塩基) 【第1問の図1にあるエキソンの塩基対数】 エキソン1 … 96+143 エキソン2 … 240 エキソン3 … 26 エキソン4 … 80 エキソン5 … 71 エキソン6 … 193+305 26塩基対のエキソンはエキソン3だけ → ア = エキソン3 【イ】 選択的スプライシングはエキソンの選び方を変えるだけで、塩基配列そのものは書き換えない → 取り除かれた領域以外は Xu mRNA と同じ配列 よって ③
第1問の図1でエキソン1が96と143、エキソン6が193と305に分けて書かれているのは、その位置に開始コドンATGと終止コドンTGAがあるためで、エキソン自体は1〜6の6つです。区切りの数を数えてエキソンが8つあると誤解しないようにしましょう。
問3:正解 ⑨(解答番号4/配点5)
<問題要旨>
エキソン3に相当する領域が取り除かれた結果、取り除かれた領域よりどちら側で読み枠がずれたか(ウ)、そして、どのエキソンに相当する領域に生じた終止コドンで翻訳が終了したか(エ)を答えます。
<考え方>
抜けた塩基数が3の倍数かどうかでフレームシフトの有無が決まり、「アミノ酸数×3+3」で終止コドンの位置が開始コドンからの塩基数として出せます。あとは開始コドンから順にエキソンの長さを足していき、その位置がどのエキソンに入るかを見るだけです。
【ウ:読み枠がずれる向き】 26 ÷ 3 = 8 あまり 2 → 3の倍数ではないのでフレームシフトが起こる ずれるのは取り除かれた領域より下流、すなわち 3′末端側 → ウ = 3′ 【エ:終止コドンが生じたエキソン】 Xs は172アミノ酸 → 終止コドンは173番目のコドン 開始コドンのAを1番目として 173×3 = 519 → 終止コドンは 517〜519 番目の3塩基 Xs mRNA を開始コドンから順に並べる(エキソン3は欠落) エキソン1の残り 1 〜 143 エキソン2 144 〜 383 (143+240) エキソン4 384 〜 463 (+80) エキソン5 464 〜 534 (+71) エキソン6 535 〜 517〜519 は 464〜534 の中にある → エ = エキソン5 【検算】読み枠がずれ始める位置 開始コドンから エキソン1の残り143 + エキソン2の240 = 383 塩基 383 ÷ 3 = 127 あまり 2 エキソン2の末尾で2塩基あまり、それがエキソン4の先頭とつながって1つのコドンになる → ずれはエキソン4から始まり、その下流のエキソン5で終止コドンが現れる。筋が通る よって ⑨
Xuでは終止コドンはエキソン6にありますが、Xsでは読み枠がずれた結果、それより手前のエキソン5に終止コドンが現れます。これがXsのほうが短い(172<252)理由です。
問3:正解 ⑧(解答番号5/配点4)
<問題要旨>
実験2は、シャペロンA遺伝子のプロモーターと転写調節領域を含むDNAをGFP遺伝子につないだプラスミドを、遺伝子Xを欠損した培養細胞に導入し、そこへタンパク質XuまたはXsを入れて緑色蛍光の有無を見たものです。表1では、どちらも入れない場合とXuを入れた場合は蛍光なし、Xsを入れた場合だけ蛍光ありでした。この結果から支持される仮説(ⓐ〜ⓓ)と、その仮説をさらに検証する実験(ⓔ・ⓕ)の組合せを選びます。
<考え方>
このプラスミドが読み出しているのは「シャペロンA遺伝子のプロモーター・転写調節領域から転写が起こったかどうか」だけだ、という一点に戻ります。蛍光を出すのはGFPであってシャペロンAではないので、シャペロンAタンパク質が分解されたかどうかは、この仕掛けでは測れません。
【表1の読み取り】 導入なし → 蛍光なし … このプロモーターからの転写は起きていない Xu 導入 → 蛍光なし … Xu があっても転写は始まらない Xs 導入 → 蛍光あり … Xs があると転写が起こる 【仮説の当否】 ⓐ 不適 XuがシャペロンAタンパク質を分解するかどうかは、GFPの蛍光からは分からない ⓑ 不適 ⓐと同じく、シャペロンAタンパク質の分解は測定対象になっていない ⓒ 不適 Xuでは蛍光なし。mRNA合成は促進されていない ⓓ 適 Xsのときだけ転写が起こった → XsがシャペロンAのmRNA合成を促進する 【検証実験の当否】 ⓔ 不適 シャペロンAタンパク質との結合を調べても、転写を促進するという仮説ⓓの検証にならない ⓕ 適 転写を促進するなら、その調節領域に結合しているはず。プロモーターや転写調節領域への結合を調べればよい ⓓ と ⓕ の組合せ よって ⑧
遺伝子Xを欠損した細胞を使っているのは、細胞がもともと持つXu・Xsの影響を消して、外から入れたタンパク質の効果だけを見るためです。対照が「どちらも導入しないもの」になっている点も確認しておきましょう。
第2問(必答) 植物による無機窒素化合物の利用と物質生産
イネを窒素濃度の異なる培地で栽培し、光合成速度・呼吸速度・葉のデンプン量・地上部の乾燥重量を調べた実験(第2問の図1)が中心です。光合成と呼吸の電子伝達系の比較から入り、最後は窒素肥料が生態系に及ぼす影響まで広がります。配点18。
問1:正解 ⑥(解答番号6/配点4)
<問題要旨>
光合成と呼吸の電子伝達系を比べ、水素イオン(H⁺)の濃度が高くなる区画(ア=葉緑体、イ=ミトコンドリア)と、光合成で最初に電子伝達系に電子を渡す化合物(ウ)の組合せを選びます。
<考え方>
どちらの電子伝達系も「膜をはさんでH⁺を汲み出し、その濃度勾配でATP合成酵素を回す」という共通の仕組みなので、汲み出された先=H⁺が濃くなる側をそれぞれ押さえれば決まります。光合成で電子を供給しているのは水の分解です。
【ア 葉緑体】 チラコイド膜の電子伝達系は、ストロマ側からチラコイドの内腔へ H⁺ を汲み出す → H⁺ の濃度が高いのは チラコイドの内側 【イ ミトコンドリア】 内膜の電子伝達系は、マトリックスから膜間腔へ H⁺ を汲み出す → H⁺ の濃度が高いのは 内膜と外膜の間 【ウ 光合成で最初に電子伝達系に電子を渡す化合物】 光化学系Ⅱで水が分解される 2H₂O → 4H⁺ + O₂ + 4e⁻ 電子の供給源は H₂O (O₂ は電子を渡す側ではなく、水の分解で生じる産物) よって ⑥
呼吸ではNADHとFADH₂が電子を渡し、最後にO₂が電子を受け取ります。「最初に渡す」と「最後に受け取る」を取り違えると、ウでO₂を選んでしまいます。
問2(1):正解 ②(解答番号7/配点4)
<問題要旨>
第2問の図1の左上のグラフでは、培地中の窒素濃度が7・30・120 mg/Lと高くなるにつれて、葉の光合成速度がおよそ26・29・46と大きくなっています。その理由として最も適当なものを選びます。
<考え方>
窒素同化でつくられる有機窒素化合物のうち、光合成速度を直接決めているのはどれか、に戻ります。葉でつくられる代表は、CO₂を固定する酵素ルビスコ(タンパク質)と、光を吸収するクロロフィル(分子内に窒素を含む)です。
① 誤 フィトクロム・フォトトロピンは光を受容して発芽や屈性を調節する光受容体。光合成の反応そのものを担わない ② 正 窒素が十分にあるとルビスコなどの酵素タンパク質とクロロフィルが増え、CO₂固定能力と光の吸収量がともに上がる ③ 誤 ATPとNADPHは光合成が供給する側。窒素同化はそれらを消費する側なので向きが逆 ④ 誤 有機酸は窒素同化でアミノ酸をつくるときの炭素骨格として使われる側で、光合成の反応を促進する働きではない ⑤ 誤 第2問の図1右上より呼吸速度は約3.6〜4.3で、光合成速度の約26〜46に比べてはるかに小さい。光合成速度の大きな増加は説明できない よって ②
同じ第2問の図1の右上から、窒素濃度が高いと呼吸速度もやや大きくなることが読み取れます。タンパク質が増えればその維持に使うエネルギーも増えるためで、②と矛盾しません。
問2(2):正解 ⑤・⑥(解答番号8・9/配点6)
<問題要旨>
第2問の図1の左下から、培地中の窒素濃度が高いほど葉のデンプン量が約0.022→0.018→0.015と少なくなることが読み取れます。その理由として適当なものを6つの選択肢から2つ選びます(順序は問いません)。
<考え方>
葉のデンプンは「つくられた光合成産物のうち、使われずに葉に残った分」です。問2(1)で光合成速度はむしろ増えているのですから、デンプンが減る理由は「つくる量が減った」ではなく「つくった分の行き先が増えた」という向きで探します。
① 誤 光化学系の反応は光エネルギーの吸収と水の分解。デンプンを材料にしない ② 誤 光合成の電子伝達系も同様で、デンプンを消費する反応ではない ③ 誤 RuBPはカルビン回路の中で再生される。デンプンから供給されるわけではない ④ 誤 根粒菌と共生して根粒をつくるのはマメ科植物。イネは根粒をつくらない ⑤ 正 窒素濃度が高いほど窒素同化が盛んで、アミノ酸などをつくるための炭素骨格とエネルギーに光合成産物が回される ⑥ 正 第2問の図1右下のとおり地上部の乾燥重量が約2.0→2.35→3.3と増えており、光合成産物が個体の成長に使われている よって ⑤・⑥
解答番号8と9は順序を問わないので、⑤と⑥のどちらをどちらに入れてもかまいません。①〜③はいずれも「デンプンが光合成の反応に使われる」という向きで、デンプンが光合成の産物であることと合いません。
問3:正解 ③(解答番号10/配点4)
<問題要旨>
大量の窒素肥料の使用が生態系に及ぼす影響に関する記述として、最も適当なものを4つの選択肢から選びます。
<考え方>
施肥された無機窒素化合物のうち植物に吸収されなかった分がどこへ行くか、という物質の流れに戻ります。硝酸イオンは土壌の粒子に吸着されにくく、水に溶けて流れ出しやすい性質があります。
① 誤 硝化菌はアンモニウムイオンを亜硝酸イオン・硝酸イオンへ酸化する。無機窒素化合物どうしの変換であり、有機窒素化合物を蓄積させる働きではない ② 誤 施肥によって生態系に入り循環する窒素量はむしろ増える。低下するという向きが逆 ③ 正 流出した硝酸イオンなどが河川・湖沼・海洋に入って富栄養化を招き、植物プランクトンの大量発生(アオコ・赤潮)の原因になる ④ 誤 窒素化合物をN₂にして大気へ戻すのは脱窒菌の働きで、植物が行うのではない。またN₂は大気の約78%を占める成分で、それ自体が大気汚染の原因物質ではない よって ③
富栄養化では、増えた植物プランクトンの遺骸を分解する細菌が酸素を大量に消費し、水中が貧酸素状態になって魚介類が死ぬところまでが一連の影響です。
第3問(必答) 眼の発生と視覚(水晶体の誘導・視交叉と軸索の伸長)
前半は眼胞と頭部外胚葉の相互作用を単離培養で調べる実験、後半は視神経の軸索が視交叉でどのように左右へ振り分けられるか、そしてそれを決めるタンパク質Pの働きです。図の読み取りと論理の切り分けが続けて問われます。配点20。
問1:正解 ①・⑥(解答番号11・12/配点6)
<問題要旨>
ヒトの視覚に関する6つの記述から、適当なものを2つ選びます(順序は問いません)。盲斑、立体視の範囲、網膜の層構造、遠近調節、瞳孔の調節、明順応と、視覚の基本事項が一通り並んでいます。
<考え方>
網膜の層構造(硝子体側から順に、視神経細胞→連絡細胞→視細胞→色素細胞層)と、自律神経による瞳孔の調節(交感神経は散大、副交感神経は縮小)という2つの型に当てれば、ほとんどが機械的に切れます。
① 正 視神経の軸索束が眼球を出る場所が盲斑(盲点)で、ここには視細胞が分布しない ② 誤 眼が前面にあるほど左右の視野の重なりが大きく、立体視できる範囲は広い。側方についている動物のほうが狭い ③ 誤 色素細胞層に隣接するのは視細胞。視神経(視神経細胞)は網膜の硝子体側にある ④ 誤 近距離に焦点を合わせるときは毛様筋が収縮してチン小帯がゆるみ、水晶体は厚くなる ⑤ 誤 交感神経は瞳孔を散大させる。収縮させるのは副交感神経 ⑥ 正 明所ではロドプシンが分解されて減り、桿体細胞の光に対する感度が下がる(明順応) よって ①・⑥
⑥の裏返しが暗順応で、暗所ではロドプシンが蓄積して感度が上がります。ロドプシンの量と感度は同じ向きに動く、と押さえておけば迷いません。
問2:正解 ⑥(解答番号13/配点5)
<問題要旨>
第3問の図1のように、胚の頭部外胚葉を背側から順にA・B・Cと分け、それぞれを単独で、あるいは同じ発生段階の胚から取った眼胞や間充織と一緒に培養して、水晶体ができるかを調べました(表1)。結果はA単独−、B単独+、B+間充織−、B+眼胞+、C単独+、C+間充織−です。この結果から考えられることをⓐ〜ⓒから過不足なく選びます。
<考え方>
+になる条件と−になる条件を突き合わせ、水晶体形成を決めている要因を切り分けます。ここで効いているのは、頭部外胚葉が自分で水晶体になる能力を持っているかどうかと、間充織による抑制があるかどうかの2つです。どの組織が阻害因子として同定されたのかを先に確定させると、そのあとが速く進みます。
【表1の整理】 A + なし − … A には水晶体になる能力がない B + なし + … B はこの発生段階ですでに単独で水晶体になれる B + 間充織 − … 間充織があると形成されない B + 眼胞 + … 眼胞は形成を妨げない C + なし + … C もこの発生段階ですでに単独で水晶体になれる C + 間充織 − … C も間充織で抑えられる 【ⓐ】誤 B は眼胞がなくても(B+なし)水晶体を形成している → 第3問の図1の発生段階では、眼胞から頭部外胚葉への作用はもう必要ない 【ⓑ】正 B・C とも 単独では+、間充織と一緒だと− 阻害因子として同定されたのは間充織だけで、眼胞は妨げない(B+眼胞=+) → 眼胞の周りの間充織は水晶体の形成を阻害する 【ⓒ】正 C は B と、共通に試されたすべての条件(単独=+、間充織と共培養=−)で同じ振る舞いをする C が胚の中で水晶体にならないのは、能力がないからではなく周囲の間充織に抑えられているから (能力がない場合は A のように単独でも−になる) B の位置は、眼胞が頭部外胚葉に直接接していて間充織が間に入らない場所であり、 現に胚の中で水晶体ができる場所、すなわち形成を許容する環境である → C を B の位置に移植すれば間充織による抑制がはずれ、C は水晶体を形成する 過不足なく含むのは ⓑ と ⓒ よって ⑥
公式解答では、②または③を解答した場合に2点が与えられます。表1に「A+なし=−」と「C+なし=+」の2行がわざわざ置かれているのは、胚の中でCが水晶体にならない理由が能力の欠如ではなく環境による抑制だと示すためで、ここを読み取ればⓒまで進めます。
問3:正解 ①(解答番号14/配点4)
<問題要旨>
右の耳腹側の網膜と、左の耳腹側以外の網膜(第3問の図4で黒く塗られた領域)の細胞体から伸びた軸索が右脳へ、残りの網膜の細胞体が左脳へ興奮を伝えます。第3問の図4に示されたⓓ〜ⓗの5か所のうち1か所を切断したところ、右脳に興奮が伝わった網膜の領域が右の耳腹側だけになりました。その切断箇所2通り(ア・イ)の組合せを選びます。
<考え方>
まず「正常のとき右脳に何が入っているか」を2つの成分に分けてから、片方だけを消せる切断を探します。耳腹側の軸索は交叉せずに同じ側の脳へ、それ以外の軸索は視交叉で交叉して反対側の脳へ向かう、という振り分けが出発点です。
【正常時に右脳へ入る2成分】 (i) 右網膜の耳腹側 … 交叉しない(右眼 → 右脳) (ii) 左網膜の耳腹側以外 … 視交叉で交叉する(左眼 → 右脳) 【求める条件】 結果は「右脳に伝わったのは右の耳腹側のみ」 → (i) を残したまま (ii) だけを消せる切断 【ⓓ〜ⓗの検討(第3問の図4)】 ⓓ 左網膜から出る視神経 … 左網膜の入力がすべて消える → (ii) が消え (i) は残る ○ ⓔ 視交叉の正中を縦に切る… 正中を越える軸索、すなわち交叉する軸索だけが切れる → (ii) が消え (i) は残る ○ ⓕ 右網膜から出る視神経 … (i) まで消えてしまう × ⓖ 左脳へ向かう視索 … 右脳への入力は変わらない × ⓗ 右脳へ向かう視索 … 右脳への入力がすべて消える × ア・イ = ⓓ と ⓔ よって ①
ⓔで切れるのは交叉する軸索だけなので、このとき左脳に届くのも左網膜の耳腹側だけになります。設問が右脳についてしか問うていないので、ⓓとⓔは同じ結果を与える2通りとして並びます。
問3:正解 ①(解答番号15/配点5)
<問題要旨>
第3問の図5のとおり、成長円錐は反発因子の方向には伸びず、誘引因子の方向に伸びます。タンパク質Pは、軸索が伸びる以前から、のちに視交叉の中心になる部分に存在しています(第3問の図6)。Pの機能を失ったマウスでは、左の網膜の全ての細胞体の興奮が右脳に、右の網膜の全ての細胞体の興奮が左脳に伝わりました(第3問の図7)。この結果から考えられるPの働きを選びます。
<考え方>
「Pが無いと何がどう変わったか」を正常と引き算し、Pが押さえていたものだけを特定します。正常で交叉しないのは耳腹側の軸索だけ、Pが無いと全ての軸索が交叉する。この差だけを見れば決まります。
【正常】 耳腹側の軸索 … 交叉しない(正中を越えない) それ以外の軸索 … 交叉する(正中を越える) 【Pの機能を失ったマウス】 全ての軸索が交叉する 【差を取る】 変わったのは耳腹側の軸索だけ。それ以外は正常でも交叉しており、変化していない 耳腹側の軸索は、正中にPがあるときだけ正中を越えられなかった → Pは耳腹側の軸索に対して反発因子として働いている → それ以外の軸索は、Pの有無で挙動が変わらない=影響を受けていない 【選択肢の当否】 ① 正 上の筋のとおり ② 誤 それ以外の軸索に誘引因子として働くなら、Pを失ったとき交叉しなくなるはず。実際は交叉している ③ 誤 網膜全体に反発因子として働くなら、Pがあるとき誰も交叉できないはず。実際は正常でも大部分が交叉している ④ 誤 網膜全体に誘引因子として働くなら、Pを失ったとき交叉が減るはず。実際は全ての軸索が交叉した よって ①
この型の設問は「機能を失わせたら何が変わったか」だけを見るのが鉄則で、変わらなかった部分については、その因子はもともと働いていなかったと判断してかまいません。
第4問(必答) A ナメクジの匂いの受容と忌避行動の学習
ナメクジが触角で匂いを受容し、外套を縮める忌避行動を示すことを題材に、神経と筋の基本事項、仮説を検証する実験の組み立て方、そして匂いと電気刺激を組み合わせた連合学習を扱います。
問1:正解 ⑤(解答番号16/配点3)
<問題要旨>
脊椎動物の運動神経の反応や骨格筋の運動に関する5つの記述から、最も適当なものを選びます。
<考え方>
活動電位におけるイオンの出入り、神経筋接合部の伝達物質、滑り説によるサルコメアの短縮という3つの型に当てれば、すべて機械的に切れます。
① 誤 電位依存性ナトリウムチャネルが開くとNa⁺は細胞内へ流入する。もとの電位に戻すのはK⁺の流出 ② 誤 運動神経と筋繊維の間のシナプス(神経筋接合部)の伝達物質はアセチルコリン ③ 誤 筋肉全体では、刺激が強いほど興奮する運動単位が増え、収縮も強くなる ④ 誤 滑り説では、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの長さは変わらないが、重なりが増えてサルコメアは短くなる ⑤ 正 ミオシン頭部がATPアーゼとして働き、ATPを分解して得たエネルギーで首を振る よって ⑤
③の「刺激の強さにかかわらず常に同じ強さの収縮」が成り立つのは筋繊維1本の場合(全か無かの法則)で、多数の筋繊維からなる筋肉全体には当てはまりません。
問2:正解 ④(解答番号17/配点4)
<問題要旨>
ニンニクの匂いを与えたナメクジは外套の長さが短くなります(第4問の図1)。ここから「ニンニクの匂いを受容すると、感覚神経と運動神経を介して外套に信号が伝わり、その結果、外套の筋肉が収縮してからだが縮まる」という仮説を立てました。この仮説を検証するための実験として適当でないものを選びます。
<考え方>
仮説が主張しているのは信号の向き、すなわち 匂い → 触角の感覚神経 → 外套の運動神経 → 外套の筋肉の収縮 という一方通行の経路です。各選択肢が、この矢印のどこを、どの向きで調べているのかを確かめます。
【仮説の経路】 匂い → 触角の感覚神経 → 外套の運動神経 → 外套の筋肉の収縮 ① 適 匂い → 感覚神経 の段(入口が匂いに応じて働くか)を調べている ② 適 匂い → 運動神経 まで信号が届くかを調べている ③ 適 感覚神経 → 筋肉の収縮 の段を、感覚神経を人工的に興奮させて調べている ④ 不適 筋肉を電気刺激して運動神経の活動電位を見る=矢印を逆向きにたどっている 仮説は「運動神経が筋肉を収縮させる」と言っているのであって、 「筋肉が運動神経を興奮させる」とは言っていない よって ④
①と②を並べると、匂いの情報が感覚神経から運動神経まで伝わったことを確かめられます。どの選択肢も人工飼料の匂いを対照として併せて与えている点も、実験の組み方として押さえておきたいところです。
問3:正解 ⑦(解答番号18/配点5)
<問題要旨>
口の部分に電気刺激を与えると、匂いがなくても外套が収縮する忌避行動が起こります。実験1では、キュウリまたはニンジンの匂いを与えながら口に電気刺激を与える処理を行い、その後にそれぞれの匂いを与えたときの外套の長さを調べました(第4問の図2)。処理にキュウリを使った群ではキュウリのときに外套が短く、処理にニンジンを使った群ではニンジンのときに外套が短くなっています。この結果と考察を述べた文章の空欄ア〜ウを埋めます。
<考え方>
まず縦軸の意味を確定させます。外套の長さは忌避行動の強さの指標で、短いほど強く縮んだ=忌避行動が強い、という対応です。次に空欄イですが、測っている外套の長さは外套の筋肉の収縮そのものであり、その筋肉を直接収縮させているのは外套の運動神経です。したがって「応答が増加している」と図の結果から直接いえるのは、触角の感覚神経ではなく外套の運動神経になります。空欄ウには、この行動と区別される生得的行動の例が入ります。
【ア 忌避行動の強さ】 処理にキュウリを使った群 … ニンジン 約97、キュウリ 約79 処理にニンジンを使った群 … ニンジン 約72、キュウリ 約93 どちらの群でも、処理に使った匂いのほうが外套が短い=強く縮んでいる → ア = 強い 【イ 応答が増加した神経】 指標にしている外套の長さ = 外套の筋肉の収縮の大きさ その筋肉を収縮させているのは 外套の運動神経 → 処理に使った匂いに対する応答が増えたと結果から直接いえるのは 外套の運動神経 触角の感覚神経ではない理由 与えている匂いは処理の前後で同じもので、匂いを受け取る段が変わったとは図からは言えない 一方、行動として現れた変化(外套がより短くなる)は運動神経の出力の増加そのもの → イ = 外套の運動神経 【ウ 生得的行動の例】 光に対する負の走性 … 生まれつき備わった走性=生得的行動 ○ 接触刺激に対する慣れ … 経験によって反応が変わる学習 × → ウ = 光に対する負の走性 強い・外套の運動神経・光に対する負の走性 よって ⑦
この行動は、それ自体では忌避を起こさない匂い(条件刺激)と、忌避を起こす電気刺激(無条件刺激)を組み合わせて成立した連合学習で、生得的行動と区別されます。処理に使わなかったほうの匂いでは外套が短くならないことが、学習が匂いに固有であることを示しています。
第4問(必答) B 群れの形成と最適な群れの大きさ
群れをつくる利点(警戒の負担が減る・捕食される危険を的確に回避できる)と、群れが大きくなることの不利(食物をめぐる争い)を、予測とグラフの形で考えさせます。
問4:正解 ⑤(解答番号19/配点4)
<問題要旨>
「群れの形成は、捕食者を発見するための負担の軽減と、捕食される危険を的確に回避することに役立つ」が成り立つとして、群れの個体数が増えたときのⓐ〜ⓒの値の変化を予測します。ⓐはスズメ1個体あたりの見回し回数、ⓑはメダカの群れの近くに天敵を置いたとき天敵を避ける個体の割合、ⓒはハトの群れがタカを発見できる距離です。
<考え方>
下線部が挙げる2つの利点を、そのまま3つの量に割り当てます。「発見するための負担の軽減」がⓐ、「危険を的確に回避すること」がⓑ、そして負担が軽くなっても発見能力が落ちない理由(多数の目で早く気づける)がⓒに対応します。
ⓐ 見回しを仲間と分担できる → 1個体あたりの見回し回数は 減少する ⓑ 危険を的確に回避できるようになる → 天敵を避ける個体の割合は 増加する ⓒ 多くの個体が周囲を見ている分だけ早い段階で気づける → 天敵を発見できる距離は 長くなる 減少する・増加する・長くなる の組合せ よって ⑤
ⓐが減るのにⓒが長くなる、この両立が群れの利点の核心です。1個体あたりの警戒の負担は軽いのに、群れ全体としての警戒能力はむしろ高い、という関係になっています。
問5:正解 ⑦(解答番号20/配点5)
<問題要旨>
第4問の図3は、群れの大きさに対する「1個体が警戒や争いにかける合計時間」を表すU字形の曲線で、この時間が最も少なくなるとき群れの大きさが最適になります。警戒にかかる時間は変わらないまま群れ全体で得られる食物量が増えたときのグラフ(空欄エ)を第4問の図4のⓓ〜ⓖから選び、あわせて、順位関係があっても食物を独占できない場合の食物の分布(空欄オ)を答えます。第4問の図4では破線が図3の曲線を表しています。
<考え方>
U字形の曲線を、群れが小さい側=警戒にかける時間が効く左半分と、群れが大きい側=争いにかける時間が効く右半分の2つの成分に分けて考えます。今回の条件で変わるのは争いの側だけなので、左半分は破線と重なったまま、右半分だけが下がって立ち上がりが遅くなる形を選びます。
【条件の読みかえ】 警戒にかかる時間は変わらない → 群れが小さい側(左半分)は破線と一致する 群れ全体で得られる食物量が増える → 食物をめぐる争いが減る → 群れが大きい側(右半分)は破線より下がり、立ち上がりが右へずれる → 最小点は右へ移る(最適な群れの大きさが大きくなる) 【第4問の図4の検討】 ⓓ 左半分が破線より上にある(警戒の時間が増えている) × ⓔ 右半分が破線より早く立ち上がり、最小点が左へ移っている(争いが増えた形) × ⓕ 左半分が破線より下にある(警戒の時間が減っている) × ⓖ 左半分は破線と重なり、右半分だけ下がって最小点が右へ移っている ○ → エ = ⓖ 【オ 食物の分布】 高順位の個体が食物を独占できるのは、食物が1か所に集中しているとき ランダムに散らばっていれば、どの個体も同じように食べられて独占できない → 第4問の図5で、順位によらずほぼ一定という破線の形になる → オ = ランダムに ⓖ・ランダムに の組合せ よって ⑦
公式解答では、⑧を解答した場合に2点が与えられます。「食物が増えれば、より大きな群れまで争いを抑えられるので最適な群れの大きさは大きくなる」という結論を先に言葉でつくってからグラフを選ぶと、4つの似た形に迷わされません。
第5問(必答) 生物の進化と個体群(系統樹・角の進化・アカシカの繁殖と生存曲線)
DNAの塩基配列の相違から系統樹をつくり、最節約の考え方で角の進化回数を数え、最後はアカシカの繁殖数と生存曲線を読みます。計算と論理の切り分けが続く大問です。配点21。
問1:正解 ④・⑦(解答番号21・22/配点8)
<問題要旨>
DNAの塩基配列の相違に関する7つの記述から、適当なものを2つ選びます(順序は問いません)。変異の蓄積速度、種内の多様性、中立な変異、遺伝する変異、ハーディ・ワインベルグの法則、遺伝子プール、遺伝的浮動が並んでいます。
<考え方>
「進化とは集団の遺伝子頻度が変化すること」という定義と、ハーディ・ワインベルグの法則の成立条件(突然変異が起こらない、自然選択が働かない、個体数が十分に多い、自由に交配する、移出入がない)の2つに当てれば切れます。
① 誤 生存に重要な遺伝子ほど、変異した個体が淘汰されるので変異は蓄積しにくい。重要でない遺伝子のほうが蓄積は速い ② 誤 有性生殖をする種でも、同一種内の個体間にDNAの塩基配列の相違はある ③ 誤 生存に有利でも不利でもない中立な変異も、遺伝的浮動によって集団に広がり進化に関わる ④ 正 体細胞に生じた変異は子に伝わらない。進化に関わるのは生殖細胞に生じて遺伝する変異 ⑤ 誤 突然変異が起こらないことが、ハーディ・ワインベルグの法則の成立条件の一つ ⑥ 誤 過去に生じた相違も自然選択や遺伝的浮動で失われる。全てが保存されているわけではない ⑦ 正 遺伝的浮動は偶然による遺伝子頻度の変動なので、集団が小さいほど影響を受けやすい よって ④・⑦
①の裏返しが分子時計の考え方で、機能への影響が小さい部位ほど変異が一定の速さで蓄積するため、種が分かれた年代の推定に使われます。この考え方が次の問2につながります。
問2:正解 ②(解答番号23/配点5)
<問題要旨>
鯨偶蹄目の5種について一部のDNAの塩基配列を総当たりで比べ、異なる塩基の割合(%)を表1にまとめました。この結果からつくった系統樹が第5問の図1で、上から キリン・オカピ・アカシカ・ジャコウジカ・マメジカ の順に並び、(キリン,オカピ)と(アカシカ,ジャコウジカ)がそれぞれ一つのまとまりをつくり、マメジカが最も外側で分かれています。表1のア〜ウに入る動物名の組合せを選びます。
<考え方>
「異なる塩基の割合が小さいほど分かれたのが新しく、系統樹の上で近い」という対応ひとつで決まります。まず、系統樹で最も外側に分かれる種は他の全ての種との相違がどれも大きくなる、という特徴から確定させるのが最短です。
【表1の数値】 ア イ ウ オカピ イ 13.8 ウ 17.7 18.2 オカピ 12.0 14.2 17.6 ジャコウジカ 13.2 12.7 17.4 12.9 【ウ】 ウと他の4種の相違は 17.7・18.2・17.6・17.4 で、どれも17%台以上と一様に大きい → 最も外側で分かれた種 = マメジカ 【ア】 アと他の種の相違のうち最小は オカピとの 12.0 → アはオカピと最も近い = キリン 【イ】 イと他の種の相違のうち最小は ジャコウジカとの 12.7 → イはジャコウジカと最も近い = アカシカ 【検算】 まとまりの中の相違 キリン−オカピ 12.0、アカシカ−ジャコウジカ 12.7 2つのまとまりをまたぐ相違 キリン−アカシカ 13.8、キリン−ジャコウジカ 13.2、 アカシカ−オカピ 14.2、オカピ−ジャコウジカ 12.9 またぐ相違のほうが大きく、第5問の図1の枝分かれと矛盾しない キリン・アカシカ・マメジカ の組合せ よって ②
表が総当たりの下三角になっているので、ある種については行と列の両方を拾うと、他の4種すべてとの相違がそろいます。ウのように全部が大きい種を外群と見抜くのが、この型の最短経路です。
問3:正解 ③(解答番号24/配点4)
<問題要旨>
化石種Zを含む鯨偶蹄目の系統樹が第5問の図2で、分岐点あるいは端点を結ぶ各枝上の記号A〜Iがそれぞれの祖先の系統を表します。キリン・オカピ・アカシカは角を持ち、ジャコウジカ・マメジカ・化石種Zは角を持ちません。角を持つよう進化した回数と失うよう進化した回数の合計が系統樹全体で最小になると仮定して、角の進化の過程を推測します。
<考え方>
最節約法、すなわち「形質の変化回数が最も少なくなる説明を採る」という考え方に戻ります。各選択肢が要求する変化回数(獲得の回数+喪失の回数)を数え上げ、最小のものを選ぶだけです。
【第5問の図2の枝分かれと角の有無】 A から B と C に分かれる B → D(化石種Z:なし)と E E → F(キリン:あり)と G(オカピ:あり) C → H(アカシカ:あり)と I(ジャコウジカ:なし) マメジカ(なし)は最も外側で分かれる 【各選択肢に必要な変化回数】 ① 祖先Cと祖先Eで獲得 Cで獲得するとアカシカもジャコウジカも角ありになる → ジャコウジカを角なしにするためIで喪失が1回必要 獲得2回 + 喪失1回 = 3回 ② 祖先F・祖先G・祖先Hで獲得 獲得3回 + 喪失0回 = 3回 ③ 祖先Eと祖先Hで獲得 Eの獲得でキリンとオカピが角あり、Hの獲得でアカシカが角あり 化石種Z・ジャコウジカ・マメジカは祖先のまま角なしでよい 獲得2回 + 喪失0回 = 2回 ④ 祖先Aで獲得したのち祖先Iで喪失 Aで獲得すると化石種Zも角ありになるので、Dでも喪失が必要 獲得1回 + 喪失2回 = 3回 最小は ③ の 2回 よって ③
④のように「まとめて獲得してから個別に失う」という筋は一見すっきり見えますが、角を持たない種が系統樹の別々の場所に散らばっているときは喪失の回数がかさみ、最節約にならないことが多くなります。
問4:正解 ④(解答番号25/配点4)
<問題要旨>
第5問の図3は、ある地域のアカシカ全個体を対象とした調査から、各年齢で一頭が一年当たりにつくる子の数の平均(左)と、生存曲線(右、縦軸は対数表示)を雌雄別に示したものです。ⓐ〜ⓓのうち、この図から読み取れることの組合せを選びます。
<考え方>
グラフから直接読めるのは値とその大小・増減だけで、因果関係までは読めない、という線引きをまず引きます。そのうえで「総数」を問う記述は、必ず 生存個体数 × 一頭当たりの子の数 に分解してから比べます。
【第5問の図3から読める値】 左(一頭が一年当たりにつくる子の数) 雌 3歳から立ち上がり(約0.2)、以後 約0.6〜0.8 でほぼ横ばい 雄 5歳から立ち上がり(約0.3)、7歳 約1.6、8歳 約2.1、10歳 約2.2(ピーク)、 11歳 約1.4、12歳 約1.4、13歳 約0.3 右(生存個体数) 雌 1000 →(9歳)約750 →(11歳)約640 →(12歳)約500 →(13歳)約365 雄 1000 →(9歳)約720 →(11歳)約455 →(12歳)約180 →(13歳)約105 【ⓐ】誤 10歳以降に雄の子の数が減ること自体はグラフから読める しかし、それが生存個体数の減少の「結果」だという因果関係は図からは読み取れない (縦軸は一頭当たりの平均値で、すでに頭数で割ってある) 【ⓑ】正 雄のピークは10歳。それ以降、雄の生存個体数は 約720 → 455 → 180 → 105 と急落 同じ期間の雌は 約750 → 640 → 500 → 365 とゆるやか → ピークを迎えた後、雄の死亡率が雌より高まっている 【ⓒ】正 子の数が0から立ち上がる年齢は 雌 3歳、雄 5歳 → 子を残し始める年齢は雌のほうが低い 【ⓓ】誤 子の総数 = 生存個体数 × 一頭当たりの子の数 8歳の雌 約750 × 約0.8 ≒ 600 13歳の雌 約365 × 約0.8 ≒ 290 一頭当たりはほぼ同じでも生存個体数が約2倍違うので、総数もおよそ2倍違う → ほぼ同じとはいえない 読み取れるのは ⓑ と ⓒ よって ④
生存曲線は縦軸が対数表示なので、傾きの急さがそのまま死亡率の高さを表します。ⓑのように死亡率を比べるときは、減った頭数の差ではなく傾きで見るのが正しい読み方です。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

