2023年度 大学入学共通テスト 追試験 地理B 解答・解説

2023年度 大学入学共通テスト 追試験「地理B」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

第1問 自然環境と自然災害(配点20)

世界の降水パターン、内陸河川と乾燥地域の環境問題、侵食の速さ、熱帯低気圧の経路、日本の河川流量、日本の微地形と豪雨時の危険性という、自然地理の主要テーマを一通り扱う大問です。統計表・分布図・グラフ・地形分類図と資料の種類が毎問変わります。

問1:正解 ①(解答番号1/配点3)

<問題要旨>

図1中の地点ア〜エ(ア=西ヨーロッパの大西洋岸、イ=地中海東部、ウ=ユーラシア内陸部、エ=日本付近)のうち、地点エに該当する年降水量・最少雨月・最少雨月の降水量の組合せを、表1の①〜④から選ぶ問題です。

<考え方>

「最少雨月がいつか」で気候区を切り分けるのが最短です。夏に雨が少なければ地中海性気候、冬に雨が少なければ夏雨型(モンスーンや大陸性)。そのうえで年降水量の多寡と最少雨月の降水量で絞ります。

<選択肢>

①【正しい】

年降水量837.0mm、最少雨月は1月で13.4mm。冬に雨が少なく夏に多い夏雨型で、年降水量も4つの中で最多です。冬季に降水の少ない日本の内陸部(北海道内陸など)の値として整合します。

②【誤り】

年降水量775.2mmで最少雨月2月の降水量が48.2mmと、最少の月でも一定量の雨があります。年間を通じて平均した降水がある西岸海洋性気候の地点アにあたります。

③【誤り】

最少雨月が8月で2.2mmと、夏に極端に乾燥します。地中海性気候の地点イです。

④【誤り】

年降水量281.4mmと最も少なく、最少雨月は1月。夏雨型ではありますが年降水量が乾燥帯の水準で、ユーラシア内陸部の地点ウにあたります。

正解【①】

地点エに該当するのは①です。

問2:正解 ③(解答番号2/配点4)

<問題要旨>

図1中のある河川の流域A(アフリカ内陸の内陸河川の流域)について、図2中のcとdを結ぶ流路の流れる方向と、空欄F(この流域で問題になっている環境問題。カ 人口の急増に伴う過伐採や過放牧による砂漠化の進行/キ 地下水路を用いた灌漑農業による水資源の枯渇)の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

内陸河川は湖や湿地に流れ込んで終わります。したがって「湖のある側が下流」です。図2で流域の輪郭を見て、湖が位置する側を突き止めます。Fは、地下水路(カナートやフォガラ)が発達しているのが西アジア・北アフリカの乾燥地域であるのに対し、この流域がサハラ南縁のサヘル地域である点で決まります。

<選択肢>

流れる方向=dからc【正】

流域Aはチャド湖の流域にあたります。湖は流域の北西部(c側)にあり、南東の湿潤な地域(d側)で降った雨水が北西へ流れ込みます。問題文の「流域Aの下流にある湖には、雨季に上流で降った雨水が流入する」という記述とも合います。

流れる方向=cからd【誤】

湖のある側を上流とすることになり、内陸河川の定義と矛盾します。

F=カ(砂漠化の進行)【正】

この流域はサハラ砂漠の南縁にあたるサヘル地域を含みます。人口の急増に伴う薪炭材の過伐採、家畜の過放牧、休閑期間を短縮した過耕作によって植生が失われ、砂漠化が進行しています。湖の面積が大きく縮小したことでも知られます。

F=キ(地下水路による水資源の枯渇)【誤】

地下水路を用いた灌漑(イランのカナート、北アフリカのフォガラ、中央アジアのカレーズ)が問題になるのは西アジア・中央アジアなどで、サヘル地域の特徴ではありません。

正解【③】

流れる方向=dからc、F=カの組合せなので③が正解です。

問3:正解 ②(解答番号3/配点3)

<問題要旨>

アペニン山脈・グレートディヴァイディング山脈・スリランカ高原のいずれかにおける侵食の速さを示した表2のサ〜スと、その地域の状況を説明した文J(活断層があり、山崩れが発生することがある)・K(地殻変動は活発ではなく、森林伐採が進んでいる)・L(地殻変動は活発ではなく、森林に覆われている)との組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

表2は「過去数千年間」と「最近数十年間」の2列です。この2つの数値の関係を見るのが要点になります。両方とも速ければ自然の営力(地殻変動)が強い地域、両方とも遅ければ安定して植生に守られた地域、そして最近だけ急増していれば人間活動が原因です。

<選択肢>

サ=J【正】

過去数千年間200〜580、最近数十年間120〜440と、どちらの期間も桁違いに速い侵食が続いています。継続的な隆起があり山崩れが起きやすい、地殻変動の活発な新期造山帯の山地です。

シ=L【正】

過去15〜21、最近2〜10と、どちらも遅く、しかも最近はさらに遅くなっています。地殻変動が穏やかで、森林に覆われて土壌が守られている古期造山帯の山地です。

ス=K【正】

過去5〜11に対して最近50〜800と、100倍近く急増しています。自然の営力ではこれほど急には変わらないので、原因は人間活動です。森林伐採によって地表が露出し、雨で土壌が流されるようになったと読めます。

正解【②】

サ=J、シ=L、ス=Kの組合せなので②が正解です。

問4:正解 ③(解答番号4/配点4)

<問題要旨>

熱帯付近の海域P〜S(P=インド洋東部・オーストラリア北西沖、Q=フィリピン東方海上、R=北西太平洋の東部、S=南太平洋のソロモン・フィジー付近)のうち、海域Rにおける熱帯低気圧の移動経路と主な移動方向を示したものを、図4の①〜④から選ぶ問題です。

<考え方>

半球で大きく2つに分かれます。北半球のコリオリの力で経路は北西〜北へ曲がり、南半球では南西〜南へ曲がります。次に発生数で絞ります。フィリピン東方は世界で最も台風の発生が多い海域なので経路が最も密になり、その東側は発生数が少なくなります。

<選択肢>

③【正しい】

経路の本数が中程度で、矢印は西および北西を向いています。北半球で、フィリピン東方ほど密ではない北西太平洋東部の特徴です。ここで発生した熱帯低気圧が西進しながら発達し、やがてQの海域へ進んでいきます。

④【誤り】

経路が最も密で、複数の矢印が北西・西を向いています。世界最多の発生数を誇るフィリピン東方海上(Q)にあたります。

①【誤り】

経路の本数が少なく、矢印は南〜南東を向いています。南半球のインド洋東部(P)です。

②【誤り】

経路が多く、矢印が南西と南東の両方向を向いています。南半球の南太平洋(S)です。

正解【③】

海域Rに該当するのは③です。

問5:正解 ③(解答番号5/配点3)

<問題要旨>

図5中の地点X(東北地方)・Y(中国地方西部)・Z(九州南部)における月平均流量の年変化を示した図6のタ〜ツとの組合せを選ぶ問題です。各月の平均流量の合計を100%としています。

<考え方>

河川の流量が増えるのは、降水が多い時期と融雪の時期です。積雪の多い地域では春の融雪出水が最大の山になり、太平洋側や西日本では梅雨と台風で夏に山ができます。ピークが何月にあるかで地域が決まります。

<選択肢>

X=チ【正】

チは4月に18%と突出し、3月も11%と高くなっています。冬に積もった雪が春に一斉に融ける融雪出水によるもので、積雪の多い東北地方の河川の特徴です。

Y=タ【正】

タは7月に15%、9月に11%と2つの山があり、全体としては比較的平坦です。梅雨と台風の2回の増水がある一方、年間を通じて極端な差の小さい中国地方西部にあたります。

Z=ツ【正】

ツは6月18%・7月18.5%と梅雨期に集中する一方、1〜3月は4%前後と低くなっています。梅雨前線の影響が特に強い九州南部の特徴です。

正解【③】

X=チ、Y=タ、Z=ツの組合せなので③が正解です。

問6:正解 ②(解答番号6/配点3)

<問題要旨>

日本のある地域について陰影をつけて地形の起伏を表現した図7と、同じ範囲の地形を分類して示した図8をもとに、凡例メ(旧河道・自然堤防・扇状地・台地/段丘のいずれか)の豪雨時に想定される危険性を述べた文を選ぶ問題です。

<考え方>

まず図8の4つの凡例がどの地形かを、分布の形で決めます。曲がりくねった帯状なら旧河道、山地の麓に広がるなら扇状地、現河道に沿った細長い高まりなら自然堤防、一段高くまとまった平坦面なら台地・段丘です。図7の陰影で高低を確かめると確実になります。地形が決まれば、浸水(低いほど危険)と土砂災害(崖や急斜面があるほど危険)の2軸で判定できます。

<選択肢>

凡例の読み分け【—】

ミ(灰色の太い帯)は蛇行して曲がりくねっているので旧河道。ム(右下がりの斜線)は北西の山地の麓に沿って広がるので扇状地。マ(縦線)は扇状地の縁と平野内に島状に分布するので自然堤防。そしてメ(横線)は南東部にまとまった一段高い平坦面で、図7でも崖に縁取られた高まりとして見えるので台地・段丘です。

②【正しい】

台地・段丘は周囲の低地より一段高い平坦面なので、豪雨時の浸水の危険性は4つの中で最も低くなります。一方、その縁は急な崖になっているため、崖崩れという形で一部に土砂災害の危険性があります。

①【誤り】

「一部で浸水の危険性はあるが土砂災害の危険性は低い」は、微高地である自然堤防(マ)の説明にあたります。

③【誤り】

「浸水の危険性が最も高い」のは、周囲より低くくぼんだ旧河道(ミ)です。

④【誤り】

「土砂災害の危険性が最も高い」のは、山地に接し崖崩れの堆積物を含む扇状地(ム)です。

正解【②】

最も適当なものを選ぶ問題なので②が正解です。

第2問 資源と産業(配点20)

缶詰という身近な題材から入り、金属資源、ツナ缶詰の生産と貿易、漁獲量と養殖業、米の栽培カレンダー、穀物の輸出入、情報通信の普及までを扱う大問です。統計地図・グラフ・栽培カレンダーと資料の形式が多彩で、読み取りの練習に向いています。

問1:正解 ④(解答番号7/配点3)

<問題要旨>

缶詰に利用される主な金属の生産国と割合を示した図1のアとイ(アルミニウムと粗鋼のいずれか)のうち粗鋼に該当する記号と、それらの原料の主な産出地を示した図2の凡例AとB(ボーキサイトと鉄鉱石のいずれか)のうち鉄鉱石に該当する凡例との組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

図1では上位国の顔ぶれで見分けます。粗鋼は日本・韓国など東アジアの工業国が上位に入るのが特徴です。図2では産出地点の数と分布の広がりで見分けます。鉄鉱石は世界各地に広く分布するのに対し、ボーキサイトは熱帯・亜熱帯のラテライト土壌の地域に限られます。

<選択肢>

粗鋼=イ【正】

イは中国に次いでインド・日本・ロシア・韓国・アメリカ合衆国が並びます。日本と韓国が上位に入るのは粗鋼の特徴です。

粗鋼=ア【誤】

アは中国に次いでインド・ロシア・カナダ・オーストラリア・アラブ首長国連邦。カナダやアラブ首長国連邦が上位に入るのは、安価な電力(水力・天然ガス)を必要とするアルミニウム精錬の特徴です。

鉄鉱石=B【正】

Bはオーストラリア西部、ブラジル、中国、インド、ロシア、ウクライナ、アメリカ合衆国、南アフリカと世界各地に多数分布しています。安定陸塊の楯状地に広く産する鉄鉱石の分布です。

鉄鉱石=A【誤】

Aは地点数が少なく、オーストラリア北部、ギニア、ブラジル北部、インド、ジャマイカなど熱帯・亜熱帯に偏っています。ラテライト土壌に生成するボーキサイトの分布です。

正解【④】

粗鋼=イ、鉄鉱石=Bの組合せなので④が正解です。

問2:正解 ①(解答番号8/配点3)

<問題要旨>

カツオ・マグロ類を使用したツナ缶詰の生産量と輸入量について、世界に占める割合が1%以上の国・地域を示した図3に関して述べた文章中の下線部①〜④のうち、最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

2枚の地図を上下で見比べます。生産量の地図に円があるのに輸入量の地図にもある国は、自国生産だけでは需要を満たせていません。逆に輸入量の地図に円があれば、その国では消費されています。「ほとんど消費されていない」「ほとんどを充足している」といった強い言い切りは、地図に円が1つでもあれば崩せます。

<選択肢>

①【最も適当】

図3の生産量の地図には、インド洋上の島嶼国(セーシェルやモルディブなど)に円が描かれています。マグロ・カツオの好漁場に近い立地をいかして、水揚げした魚をその場で加工する形の缶詰生産が行われています。

②【適当でない】

図3の生産量の地図でヨーロッパに円があるのはスペイン・イタリアなど地中海に面した沿岸国です。内陸国に工場が集中しているわけではありません。

③【適当でない】

アメリカ合衆国もスペインも、生産量の地図と輸入量の地図の両方に大きな円があります。自国生産だけで国内需要を充足しているとはいえません。

④【適当でない】

図3の輸入量の地図には、エジプト・リビアなど北アフリカや西アジアの国にも円が描かれています。「ほとんど消費されていない」は事実と異なります。

正解【①】

最も適当なものを選ぶ問題なので①が正解です。

問3:正解 ①(解答番号9/配点3)

<問題要旨>

二つの地域における漁獲量と養殖業生産量の推移を示した図4について、カとキ(南アメリカの太平洋沿岸国と東南アジアのいずれか)のうち南アメリカの太平洋沿岸国に該当するものと、DとE(漁獲量と養殖業生産量のいずれか)のうち漁獲量に該当するものの組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

グラフの「かたち」で読み分けます。天然の魚を獲る漁獲量は資源量や海況に左右されて年ごとの変動が激しく、人が育てる養殖業生産量は技術の普及とともに滑らかに右上がりで伸びます。南アメリカの太平洋沿岸は、エルニーニョ現象でアンチョビーの漁獲が激減することで知られる海域です。

<選択肢>

南アメリカの太平洋沿岸国=カ【正】

カの実線は1960年代から激しく上下し、1970年前後と1994年前後に大きな山、その間に深い谷があります。エルニーニョ現象によるアンチョビーの不漁と回復を繰り返してきたペルー・チリの漁業の姿です。破線はほぼ0のままで、養殖業が発達していないことも符合します。

東南アジア=キ【—】

キは実線が着実に右上がりに伸び、さらに破線が2000年代以降に急増して2018年には実線を上回っています。エビや魚類の養殖が急拡大した東南アジアの姿です。

漁獲量=D【正】

Dは両方のグラフで実線として描かれ、カでは激しく変動しています。天然資源に依存する漁獲量の特徴です。Eは滑らかに増加する養殖業生産量にあたります。

正解【①】

南アメリカの太平洋沿岸国=カ、漁獲量=Dの組合せなので①が正解です。

問4:正解 ②(解答番号10/配点4)

<問題要旨>

いくつかの国における米の栽培カレンダーを示した図5の①〜④(イタリア・インドネシア・コートジボワール・チリ中南部のいずれか)から、コートジボワールに該当するものを選ぶ問題です。

<考え方>

まず半球で分けます。南半球の国は北半球と季節が逆になるので、作付が年末、収穫が年明けになります。次に熱帯かどうかで分けます。年中高温の熱帯では二期作・三期作が可能です。残る2つは北半球の温帯と熱帯で、作付から収穫までの期間の長さと時期で判断します。

<選択肢>

②【正しい】

作付が4〜7月と長く、収穫が8〜12月にわたっています。北半球の熱帯にあたり、雨季に合わせて作付時期に幅があるコートジボワールです。

①【誤り】

作付が4〜5月、収穫が9〜11月と、北半球の温帯における一期作の標準的なパターンです。ポー平原で米作が行われるイタリアにあたります。

③【誤り】

第1期・第2期・第3期と年に3回の栽培が行われています。年中高温で灌漑設備が整い、三期作が可能な熱帯のインドネシアです。

④【誤り】

作付が10〜12月、収穫が2〜4月と、北半球とは季節が逆になっています。南半球のチリ中南部です。

正解【②】

コートジボワールに該当するのは②です。

問5:正解 ②(解答番号11/配点4)

<問題要旨>

世界における穀物の輸出入量を地域別に集計した図6について、サとシ(輸出量と輸入量のいずれか)のうち輸入量に該当するものと、GとH(北アメリカとヨーロッパのいずれか)のうち北アメリカに該当するものの組合せを選ぶ問題です。同一地域内の各国間の輸出入量も含まれます。

<考え方>

まずアジアとアフリカに注目します。この2地域は人口が多く食料を大量に輸入する一方、輸出はごくわずかです。したがってアジア・アフリカの棒が長いほうが輸入量です。次にGとHを分けます。EU域内の国どうしの取引が計上されるヨーロッパは輸出も輸入も大きく、北アメリカは輸出が大きい一方で輸入はごくわずかになります。

<選択肢>

輸入量=サ【正】

サではアジアが約20千万トンと最大で、アフリカも約8千万トンと大きくなっています。人口を多く抱え食料を輸入に依存する地域が上位を占めるのは輸入量の特徴です。

輸入量=シ【誤】

シではアフリカがほぼ0です。アフリカが穀物をほとんど輸出していないことを踏まえると、シは輸出量になります。

北アメリカ=H【正】

Hはシ(輸出量)で約12千万トンと大きい一方、サ(輸入量)ではほぼ0です。世界有数の穀物輸出地域でありながら輸入はほとんどないという、北アメリカの姿と一致します。

北アメリカ=G【誤】

Gはサでも約9千万トン、シでも約19千万トンと、輸出入の両方が大きくなっています。EU域内の国どうしの取引が両方に計上されるヨーロッパです。

正解【②】

輸入量=サ、北アメリカ=Hの組合せなので②が正解です。

問6:正解 ①(解答番号12/配点3)

<問題要旨>

携帯電話と固定電話について、いくつかの国における人口百人当たりの契約数の変化を示した図7のJ〜Lが、オーストラリア・ブラジル・モンゴルのいずれにあたるかを選ぶ問題です。横軸が携帯電話、縦軸が固定電話の契約数で、1997年・2007年・2017年の3時点が線で結ばれています。

<考え方>

固定電話の契約数の「出発点」が決め手です。先進国は携帯電話が普及する前から固定電話網が行き渡っていたため1997年の値が高く、その後は携帯への置き換えで減少します。一方、固定電話網の整備が遅れた国では、固定電話をほとんど経ずに携帯電話が一気に普及します(リープフロッグ現象)。

<選択肢>

オーストラリア=J【正】

1997年の時点ですでに固定電話が百人当たり約52と高く、その後2017年に約34へ減少しています。固定電話網が先に完成していた先進国の軌跡です。

ブラジル=K【正】

1997年は固定電話約10・携帯約3と低い水準から出発し、2007年に固定電話が約21まで増えたあと2017年には約19へ微減、携帯電話は約105まで伸びています。固定電話がある程度普及した段階で携帯電話に移行した中所得国の姿です。

モンゴル=L【正】

1997年は固定電話約4・携帯ほぼ0と最も低く、その後も固定電話は約8までしか伸びない一方、携帯電話は約125まで急増しています。固定電話網の整備を飛び越えて携帯電話が普及した典型です。

正解【①】

オーストラリア=J、ブラジル=K、モンゴル=Lの組合せなので①が正解です。

第3問 日本の人口や都市(配点20)

ユミさんたちが日本の人口や都市について探究するという設定です。人口ピラミッドと人口転換、社会増加率、合計特殊出生率、社会保障負担と租税負担、都道府県別の統計地図、そして保育所の立地と待機児童問題までを扱います。

問1:正解 ②(解答番号13/配点3)

<問題要旨>

日本を含む4つの国における1970年と2010年の年齢別人口構成を示した図1のア〜ウと、それらの国の出生率・死亡率の変化を示した資料1のカードA〜Cとの組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

人口ピラミッドの形の「変化のしかた」と、出生率・死亡率のグラフを対応させます。2時点とも富士山型なら出生率が高いまま、富士山型からつりがね型へ変わったなら出生率が急落した国、2時点とも裾のすぼまった形なら出生率がすでに低い国です。

<選択肢>

ア=A【正】

アは1970年も2010年も0〜4歳が最も多い富士山型のままです。Aは出生率が1960年の約50‰から2015年でも約32‰と高い水準を保っており、多産少死の段階が続いていることを示します。

イ=C【正】

イは1970年の時点ですでに裾のすぼまった形で、2010年にはさらに高齢層が厚くなっています。Cは出生率が1960年の約20‰から2015年の約11‰へと、もともと低い水準からゆるやかに低下しており、少産少死の段階に達した国です。

ウ=B【正】

ウは1970年の富士山型から2010年のつりがね型へと大きく形が変わっています。Bは出生率が1960年の約44‰から2015年の約17‰へと急落しており、多産少死から少産少死へ一気に移行した国の姿です。

正解【②】

ア=A、イ=C、ウ=Bの組合せなので②が正解です。

問2:正解 ②(解答番号14/配点3)

<問題要旨>

いくつかの国における社会増加率の推移を示した図2の①〜④(日本・フランス・ベトナム・メキシコのいずれか)から、日本に該当するものを選ぶ問題です。社会増加率は国際的な人の移動による人口の増減率です。

<考え方>

まず大きくプラスかマイナスかで分けます。継続的に大きなマイナスなら人を送り出す国、大きなプラスなら受け入れる国です。日本は歴史的に外国人労働者の受け入れが限定的で、移民の送り出しも少ないため、社会増加率はゼロ近辺で推移します。

<選択肢>

②【正しい】

1950年代から2010年代まで、おおむね0%の線に張りついたまま推移しています。国際的な人の移動による人口の増減がごく小さい日本の特徴です。

①【誤り】

1960〜65年に6%の大きなピークがあり、その後も一貫してプラスです。第二次世界大戦後の労働力不足を移民で補い、アルジェリア独立に伴う引揚げも受け入れたフランスにあたります。

③【誤り】

1950年代から一貫して大きなマイナスで、1980〜2000年代には−4%台に達しています。アメリカ合衆国へ多くの人が流出したメキシコです。

④【誤り】

1970年代半ばに−3.4%まで急落し、その後もマイナスが続いています。戦争終結後に多数の難民が国外へ流出したベトナムの動きです。

正解【②】

日本に該当するのは②です。

問3:正解 ③(解答番号15/配点3)

<問題要旨>

いくつかの国における現在の合計特殊出生率について日本と比較し、その背景を考察した内容として、下線部に誤りを含むものを選ぶ問題です。

<考え方>

それぞれの記述が「出生率の高低」と「挙げられた背景」を正しく結びつけているかを確かめます。とくに、出生率と直接の因果関係を持たない事柄が背景として挙げられていないかに注意します。

<選択肢>

①【正しい】

アメリカ合衆国は移民を多く受け入れてきました。出生率の比較的高い出身国からの移民が加わることで、国全体の合計特殊出生率が押し上げられています。

②【正しい】

韓国は大学進学率が世界でも最も高い水準にあり、塾などを含む教育費の家計負担が非常に重くなっています。これが子どもを持つことをためらわせる要因とされ、合計特殊出生率は1.0を下回るまで低下しています。

③【誤りを含む】

平均寿命が延びたことは高齢化の進行を意味しますが、合計特殊出生率が低いことの背景としては説明になりません。シンガポールの低出生率の背景として挙げるべきは、住宅費・教育費の負担や女性の高い就業率などです。

④【正しい】

ノルウェーをはじめとする北欧諸国は、1970年代から育児休業制度や保育サービスの充実など仕事と育児の両立支援に取り組んできました。その結果、他の先進国より高い出生率を維持しています。

正解【③】

誤りを含むものを選ぶ問題なので③が正解です。

問4:正解 ①(解答番号16/配点3)

<問題要旨>

いくつかの国における社会保障負担率(社会保障負担額を国民所得で除した値)と租税負担率(租税収入金額を国民所得で除した値)を示した表1のサ〜スが、日本・アメリカ合衆国・デンマークのいずれにあたるかを選ぶ問題です。

<考え方>

国民負担の「集め方」の違いに注目します。社会保障を保険料で賄う国は社会保障負担率が高く、税で賄う国は租税負担率が極端に高くなる代わりに社会保障負担率がほぼ0になります。そして小さな政府を志向する国は両方とも低くなります。

<選択肢>

ス=デンマーク【正】

社会保障負担率が1.2%とほぼ0である一方、租税負担率が61.9%と際立って高くなっています。医療も年金も税を財源として給付する北欧型の福祉国家の姿です。

サ=日本【正】

社会保障負担率18.2%、租税負担率26.1%。医療保険や年金保険といった社会保険料が負担の大きな部分を占める日本の構造です。掲載されているフランス(25.6%/42.7%)と同じく社会保険中心型ですが、負担の水準はより低くなっています。

シ=アメリカ合衆国【正】

社会保障負担率8.4%、租税負担率23.4%と、どちらも4か国の中で低い水準です。公的な社会保障の範囲が限られ、民間保険の役割が大きい国の特徴です。

正解【①】

日本=サ、アメリカ合衆国=シ、デンマーク=スの組合せなので①が正解です。

問5:正解 ⑥(解答番号17/配点4)

<問題要旨>

単独世帯の割合・夫婦共働き世帯の割合・平日の平均通勤通学時間のいずれかについて、全国を100とした場合の各都道府県の値を示した図3のタ〜ツとの組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

まず凡例の区分幅を見ます。タだけが115以上/100〜115/85〜100/85未満と幅が広く、都道府県間の差が大きい指標です。次に「どこが高いか」で決めます。三大都市圏が高いもの、北陸・東北が高いもの、大都市と地方の一部がともに高いものという3つの型に分かれます。

<選択肢>

平日の平均通勤・通学時間=タ【正】

東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・愛知といった三大都市圏の中心とその周辺が115以上、地方が85未満と、格差が最も大きくなっています。郊外から都心へ長距離を移動する大都市圏の通勤事情を反映しています。

夫婦共働き世帯の割合=チ【正】

福井・富山・石川・新潟・山形といった北陸・東北日本海側が105以上で高くなっています。これらの県は三世代同居率が高く女性の就業率も高いことで知られ、共働き世帯の割合が全国最高水準にあります。

単独世帯の割合=ツ【正】

北海道・東京・大阪・京都・福岡に加え、高知・鹿児島も105以上です。若年層が単身で暮らす大都市と、高齢の単身世帯が多い地方の両方で高くなるという、単独世帯に特有の二極分布です。

正解【⑥】

単独世帯=ツ、夫婦共働き=チ、平均通勤・通学時間=タの組合せなので⑥が正解です。

問6:正解 ④(解答番号18/配点4)

<問題要旨>

東京大都市圏内のある地域における認可保育所の定員と開設年、および6歳未満世帯員のいる世帯数の変化を示した図4について、会話文中の下線部①〜④のうち誤りを含むものを選ぶ問題です。

<考え方>

図4は上下2枚で、上が保育所の位置・定員(円の大きさ)・開設年(塗り分け)、下が世帯数の変化(メッシュの塗り分け)です。下線部が「上の図だけ」で確かめられるのか、「上下を重ねて」確かめる必要があるのかを見分けます。上下を重ねる主張は、大きい円の位置と濃いメッシュの位置が実際に対応しているかを一つずつ照合してください。

<選択肢>

①【正しい】

図4の上を見ると、保育所を示す円は鉄道と駅の周辺に密集しています。通勤の途中で送り迎えができる立地が選ばれているという推論は、図と整合します。

②【正しい】

図4の下で、駅Xから矢印が指すメッシュは「2倍以上増加」の濃い塗りです。スケールバーが500mなので、駅Xから半径500m以内にこのメッシュが含まれます。

③【正しい】

図4の上の凡例で、2001〜2015年と2016〜2021年に開設された円を合わせると、2000年以前開設の白い円をはるかに上回ります。とくに2016年以降を示す黒い円が多く、開設のペースが加速していると読めます。

④【誤りを含む】

図4の上下を重ねると、定員の多い大きな円は地域全体に散らばっており、下の図で「2倍以上増加」となっている濃いメッシュに集中してはいません。濃いメッシュは駅X周辺や南東部など一部に限られます。

正解【④】

誤りを含むものを選ぶ問題なので④が正解です。

第4問 地中海周辺の地域(配点20)

地中海を囲む北アフリカ・西アジア・ヨーロッパの結びつきを扱う大問です。Aで自然エネルギー、モロッコのトマト栽培、自動車貿易、観光客数と国際援助額を、Bでセビリアとチュニスの都市景観、スペインとチュニジアの産業別・男女別就業構造を比較します。

問1:正解 ④(解答番号19/配点3)

<問題要旨>

地中海周辺の主な発電施設をエネルギー源別に示した図1の凡例ア〜ウ(水力・地熱・風力のいずれか)との組合せを選ぶ問題です。地図の範囲内における発電能力の上位30か所が示されています。

<考え方>

エネルギー源ごとに「立地の条件」が違います。地熱はプレート境界や火山帯という、地球上のごく限られた場所にしか成立しません。風力は偏西風や地形風の卓越する場所、水力は大河川や山地の谷に立地します。まず最も分布が限定される地熱から特定するのが早道です。

<選択肢>

地熱=ウ【正】

ウは3つの中で最も地点数が少なく、イタリア中部とトルコ西部という2か所に集中しています。イタリアのラルデレロは世界最初の地熱発電所があった土地、トルコ西部も地熱資源に恵まれた地域で、いずれも地殻変動の活発な地帯です。

風力=ア【正】

アはイベリア半島(スペイン・ポルトガル)に集中し、モロッコやエジプトにも分布しています。偏西風が卓越し風力発電の導入で世界をリードしてきたスペインの立地と一致します。

水力=イ【正】

イは最も広く分布し、アルプス周辺、トルコ、コーカサス、イラン、そしてエジプト(アスワンハイダム)やスーダンといった大河川の流域に及んでいます。

正解【④】

水力=イ、地熱=ウ、風力=アの組合せなので④が正解です。

問2:正解 ④(解答番号20/配点3)

<問題要旨>

モロッコにおけるトマトの栽培面積と、生産量・輸出量・EU諸国向け輸出量の推移を示した図2に関して述べた文章中の下線部①〜④のうち、適当でないものを選ぶ問題です。

<考え方>

図2は棒グラフ(栽培面積・左軸)と3本の折れ線(生産量・輸出量・EU向け輸出量・右軸)の複合グラフです。「割合が高まった」という主張は、2本の折れ線の「差」がどう変化したかを見ます。「土地生産性が向上した」という主張は、生産量を栽培面積で割って比べます。

<選択肢>

①【適当】

モロッコは地中海性気候で冬でも温暖なため、冬に寒冷なアルプス以北のヨーロッパへ端境期の生鮮トマトを出荷できます。気温や日照時間の違いをいかした生産です。

②【適当】

1990年代以降のEUとの経済連携協定の締結を受けて国外からの投資が増え、図2でも輸出量の折れ線が2000年代後半から明確に上向いています。

③【適当】

1994年は栽培面積23.5千haで生産量約80万トン(1千haあたり約3.4万トン)、2019年は栽培面積約15千haで生産量約135万トン(1千haあたり約9万トン)です。面積が減ったのに生産量は増えており、土地生産性は大きく向上しています。

④【適当でない】

1994年は輸出量とEU諸国向け輸出量の2本の折れ線がほぼ重なっており、輸出のほぼ全量がEU向けでした。2019年は輸出量約60万トンに対しEU向けが約50万トンで、両者の差が開いています。EU向けの割合はむしろ低下しました。

正解【④】

適当でないものを選ぶ問題なので④が正解です。

問3:正解 ①(解答番号21/配点4)

<問題要旨>

2005年と2015年における、いくつかの国の完成乗用車の1万人当たり輸出台数と輸入台数を示した図3のD〜Fが、イスラエル・スペイン・モロッコのいずれにあたるかを選ぶ問題です。

<考え方>

横軸(輸出)の位置で3つに分かれます。輸出が非常に多い国は自動車工業が確立した生産国、輸出がほぼ0の国は国内に自動車産業を持たない国、その中間で近年輸出が伸びた国は外資の生産拠点が進出した新興の生産国です。

<選択肢>

スペイン=E【正】

1万人当たり輸出台数が2005年に約460台、2015年に約490台と突出しています。フォルクスワーゲンやルノーなどの工場が立地し、ヨーロッパ有数の自動車生産国であるスペインです。輸入台数が375台から220台へ減っているのも国内生産の充実を示します。

イスラエル=D【正】

輸出がほぼ0のまま、輸入台数が165台から295台へ増えています。国内に完成乗用車の生産拠点を持たず、所得水準の高さから輸入だけが伸びる国の姿です。

モロッコ=F【正】

輸出台数が2005年の約5台から2015年の約75台へ大きく伸びています。ルノーのタンジェ工場をはじめ外国企業の生産拠点が進出し、対岸のヨーロッパ市場へ輸出する体制が整った時期にあたります。

正解【①】

イスラエル=D、スペイン=E、モロッコ=Fの組合せなので①が正解です。

問4:正解 ④(解答番号22/配点4)

<問題要旨>

北アフリカと西アジアの国々における、イギリスとフランスからの2018年の観光客数と国際援助額を示した図4について、カとキのうち国際援助額に該当するものと、凡例JとKのうちフランスに該当するものの組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

2つの地図で「上位7か国の顔ぶれ」を見比べるのが決め手です。観光地として人気の国が並ぶ地図と、紛争や貧困を抱え援助を必要とする国が並ぶ地図とでは、登場する国が大きく違います。凡例のほうは、旧宗主国との結びつきで判定します。

<選択肢>

国際援助額=キ【正】

キにはアフガニスタンとイエメンが上位に入っています。いずれも長く紛争が続き、観光客がほとんど訪れない国です。国際援助の対象国として上位に来ることに整合します。

観光客数=カ【—】

カにはトルコやアラブ首長国連邦(ドバイ)といった、ヨーロッパからの観光客が多い国が並んでいます。

フランス=K【正】

カ(観光客数)でもキ(国際援助額)でも、モロッコで斜線の棒(K)が黒い棒(J)を大きく上回っています。モロッコ・チュニジアはフランスの旧保護領で、言語と歴史のつながりからフランスとの往来・援助がとくに深いためです。逆にキでアフガニスタンやイエメンの黒い棒(J)が大きいのは、イギリスの援助にあたります。

正解【④】

国際援助額=キ、フランス=Kの組合せなので④が正解です。

問5:正解 ②(解答番号23/配点3)

<問題要旨>

スペインのセビリアとチュニジアのチュニスの中心部を撮影した衛星画像と、旧市街を撮影した景観写真(写真1)に関して述べた文章中の下線部①〜④のうち、適当でないものを選ぶ問題です。

<考え方>

衛星画像で両都市の旧市街を見ると、細い道が不規則に入り組んだ稠密な街区になっています。イスラーム世界の旧市街(メディナ)に共通する形で、日射を遮り外敵の侵入を防ぐという合理性がありました。「衛生環境のために道を広くした」という近代都市計画の発想と取り違えないことが要点です。

<選択肢>

①【適当】

衛星画像では、両都市とも道が細く不規則に入り組んだ旧市街と、直線的な街路が格子状・放射状に走る新市街とがはっきり分かれています。

②【適当でない】

イスラーム世界の旧市街は、道の幅が狭く迷路のように入り組んでいるのが特徴です。強い日射を遮り、外敵の侵入を防ぐためのつくりで、「道の幅を広くし、風通しをよくしている」という記述は事実と逆です。

③【適当】

セビリアは地中海性気候で夏に晴天が続き、アルカサルやカテドラルなどの世界遺産を目当てに夏季に多くの国際観光客が訪れます。景観写真でも旧市街の路上で市民がくつろぐ様子が写っています。

④【適当】

チュニスの旧市街の景観写真には、日用品を並べた店舗が連なり買い物客でにぎわう市場(スーク)が写っています。観光用ではなく住民の日常生活を支えていることが読み取れます。

正解【②】

適当でないものを選ぶ問題なので②が正解です。

問6:正解 ②(解答番号24/配点3)

<問題要旨>

スペインとチュニジアについて、全就業人口に占める産業別・男女別の就業人口割合の推移を示した図6の①〜④から、チュニジアの第3次産業を示す図を選ぶ問題です。第1次産業は示されていません。

<考え方>

各図の男性と女性の値を足すと、その国のその産業の就業人口割合になります。これを4つの図で出せば、第2次産業か第3次産業か、そしてどちらの国かが同時に決まります。先進国のスペインは第3次産業の割合が高く、女性の就業も進んでいる点も手がかりです。

<選択肢>

②【正しい】

男性が約38%、女性が約15%で合計約53%。第3次産業の水準にあたり、かつ女性の割合が男性の半分に満たないことから、女性の社会進出が途上にあるチュニジアと判断できます。

①【誤り】

男性約38%、女性約41%で合計約79%。第3次産業の中でも極めて高い水準で、しかも女性が男性を上回っています。サービス経済化が進み女性の就業も進んだスペインの第3次産業です。

③【誤り】

男性約16%、女性約4%で合計約20%。第2次産業の水準で、しかも2008年前後に男性が急落しています。住宅バブル崩壊で建設業が縮小したスペインの第2次産業です。

④【誤り】

男性約25%、女性約9%で合計約34%。第2次産業の水準で、チュニジアの第2次産業にあたります。

正解【②】

チュニジアの第3次産業を示す図は②です。

第5問 高知県須崎市周辺の地域調査(配点20)

香川県高松市の高校に通うセイラさんたちが、高知県須崎市周辺で地域調査を行うという設定です。ニホンカワウソを入り口に、公共交通機関、地形と土地利用の変化、農業、津波対策、生物多様性までをたどります。新旧地形図の比較(問3)が最大の山場です。なおこの第5問は「地理A」の第5問とまったく同じ問題で、問題文・図・写真・選択肢はもちろん、解答番号(25〜30)と配点まで同一です。両科目を併願する場合は、どちらか一方を解けば足ります。

問1:正解 ②(解答番号25/配点3)

<問題要旨>

高知県と香川県から東京都・愛知県・大阪府・福岡県への公共交通機関別の旅客数を示した図1の凡例ア〜ウが、航空・鉄道・バスのいずれにあたるかを選ぶ問題です。

<考え方>

四国から本州・九州への移動は、距離と鉄道網の有無で使う手段が変わります。高知県は瀬戸大橋から遠く、東京へは航空が中心。香川県は瀬戸大橋で岡山とつながり、新幹線に乗り継げます。「高知県→東京都でほぼ100%を占める凡例は何か」から出発するのが最短です。

<選択肢>

ア=航空【正】

高知県から東京都への旅客の9割以上を占めています。高知龍馬空港と羽田を結ぶ路線が移動の主役であることを示しています。香川県から東京都でも約8割と大きく、高松空港からの路線が使われています。

ウ=鉄道【正】

香川県から愛知県(約88%)・福岡県(約75%)で圧倒的な割合を占めます。瀬戸大橋を渡って岡山で新幹線に乗り継ぐルートで、東海道・山陽新幹線の沿線へは鉄道が優位になります。

イ=バス【正】

香川県から大阪府で約78%と最も高くなっています。高松—大阪間は高速バスが多数運行され、運賃の安さから広く利用されています。高知県から大阪府でも約33%を占めます。

正解【②】

航空=ア、鉄道=ウ、バス=イの組合せなので②が正解です。

問2:正解 ③(解答番号26/配点3)

<問題要旨>

須崎市周辺の地形図(図2)と、その矢印方向の景観を立体的に示した図3について述べた文として、適当でないものを選ぶ問題です。

<考え方>

地形図と鳥瞰図を行き来しながら、地名の位置関係を確認します。とくに駅の立地は、周囲が山地なのか海岸低地なのかを図3の立体表現で確かめられます。

<選択肢>

①【適当】

図2で須崎湾から北西へ伸びる国道は、新荘川に沿って走っています。河川がつくった谷が交通路として利用されている典型例です。

②【適当】

須崎湾は入り組んだ湾入と半島が交互に並ぶリアス海岸で、土地の沈降または海面上昇によって谷が海に沈んでできた沈水地形です。

③【適当でない】

図2・図3で吾桑駅は内陸の山あいに位置しており、周囲は等高線が密な斜面に囲まれています。砂州は須崎湾の海岸部に発達する地形であり、吾桑駅の立地とは異なります。

④【適当】

蟠蛇森から吾桑駅にかけての斜面は新荘川とは尾根で隔てられており、別の水系に属します。新荘川の流域には含まれません。

正解【③】

適当でないものを選ぶ問題なので③が正解です。

問3:正解 ④(解答番号27/配点3)

<問題要旨>

須崎市中心部の1936年と2017年の2万5千分の1地形図(図4)に関して述べた文章中の下線部①〜④のうち、最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

新旧地形図の比較では、①同じ地名を両図で探して位置を合わせる、②海岸線がどこまで動いたかを見る、③地図記号(建物・工場・ため池・鉄道)の増減を数える、の順に進めます。文章の記述が「どこで」「何が」起きたと言っているかを、必ず両方の図で確かめてください。

<選択肢>

④【最も適当】

2017年図では、池山の北側に「池ノ内」の地名が記され、その周辺に建物や公共施設の記号が並び、新たな住宅地が広がっています。1936年図ではこの一帯は水田と山林でした。

①【適当でない】

2017年図で「富士ヶ浜」は市街地南側の海岸沿いに地名として残っています。鉄道は市街地の北側(山側)を通っており、埋立地上に延伸されたものではありません。

②【適当でない】

湾奥部の工場は、海面を埋め立ててできた平坦な土地の上に立地しています。「斜面に盛土して」建てられたものではありません。

③【適当でない】

2017年図でも池ノ内の水田地帯にはため池の記号が残っています。「完全に埋め立てられ」たとはいえません。

正解【④】

最も適当なものを選ぶ問題なので④が正解です。

問4:正解 ②(解答番号28/配点4)

<問題要旨>

須崎市と高知県における主な野菜の品目別作付面積と産出額を示した表と、東京都中央卸売市場におけるミョウガの生産地別入荷量と市場価格の月ごとの変化を示した図からなる資料2について、適当でないものを選ぶ問題です。

<考え方>

「特化している」という表現は、全体に占める割合が他と比べて高いことを意味します。須崎市と高知県それぞれについて、品目の作付面積を野菜合計で割った割合を出して比べれば、機械的に判定できます。

<選択肢>

①【適当】

高知県のミョウガは産出額94億円÷作付面積108ha=約0.87億円/ha、キュウリは71億円÷117ha=約0.61億円/ha。単位面積当たりの産出額はミョウガのほうが高くなっています。

②【適当でない】

須崎市のミョウガは70ha÷123ha=約57%で、高知県全体の108ha÷2029ha=約5%を大きく上回り、確かに特化しています。しかしショウガは須崎市が6ha÷123ha=約5%で、高知県全体の434ha÷2029ha=約21%を下回っており、むしろ特化していません。

③【適当】

図で入荷量の少ない1〜3月や11〜12月に市場価格は2500円/kg前後まで上がり、入荷量の多い7〜8月には1500円/kg台まで下がっています。

④【適当】

図のどの月も、高知県産(グレー)が高知県以外(白)を上回って過半数を占めています。

正解【②】

適当でないものを選ぶ問題なので②が正解です。

問5:正解 ①(解答番号29/配点3)

<問題要旨>

須崎市周辺でみられる津波への対策事例の写真とその目的をまとめた資料3について、津波への対策の目的として誤りを含むものを選ぶ問題です。

<考え方>

それぞれの構造物が「何をするためのものか」を、形から考えます。閉じるもの(水門・ゲート)は水の侵入を止めるため、伝えるもの(石碑)は記録を残すため、登るもの(階段)は避難するためです。

<選択肢>

①【誤りを含む】

河口部の水門は、津波が河川を遡上して上流の市街地に浸水するのを防ぐために閉じるものです。住民が一時的に避難するための施設ではありません。

②【正しい】

集落の海沿いの堤防は、津波の際にゲートを閉じることで海水の侵入を防ぎ、堤防より陸地側の建物の被害を軽減します。

③【正しい】

津波に関する石碑は、過去の津波がその地点まで到達したことを刻んで後世に伝え、避難の目安とするためのものです。

④【正しい】

ビルの外壁に付けられた幅の広い緩やかな階段は津波避難階段で、高台まで避難する時間がない周辺住民が緊急に垂直避難するためのものです。

正解【①】

誤りを含むものを選ぶ問題なので①が正解です。

問6:正解 ②(解答番号30/配点4)

<問題要旨>

在来種のカモシカと外来種のアライグマの生息分布を5kmメッシュで示した図5のカとキについて、アライグマに当たる分布図(空欄a)と、下線部b「人間の自然への働きかけによって長らく保たれてきた生物多様性についても、働きかけを続けていくこと」に関する取組みの具体例(X 石灰石採掘跡の植林ボランティア/Y 野焼き作業のボランティア)との組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

在来種と外来種は分布の「かたち」が違います。在来種のカモシカは本来の生息環境である山地の森林に沿って分布し、外来種のアライグマはペットとして持ち込まれた場所を起点に都市周辺から放射状に広がります。bは「人が手を入れ続けることで保たれてきた自然」=二次的自然を指しているので、手入れをやめると失われる環境を選びます。

<選択肢>

a=カ(アライグマ)【正】

カは大阪平野・名古屋周辺・四国北部など、人口が集中する平野部とその周辺にまとまって分布しています。ペットとして持ち込まれた個体が逃げ出し・遺棄されて定着し、都市の周縁から広がった外来種の分布パターンです。

キ【—】

キは中部山岳・紀伊半島・四国山地・九州山地といった山地の森林に濃く分布しています。標高の高い森林に生息する在来種カモシカの分布です。

b=Y(野焼き)【正】

日本の草原の多くは、人が定期的に野焼きを行って樹林化を防ぐことで維持されてきた二次的自然です。担い手が減って野焼きが途絶えると草原は失われるため、「働きかけを続けていく」取組みの例として適切です。

b=X(植林)【誤】

石灰石の採掘で削り取られた斜面の植林は、人間活動によって破壊された自然を回復させる取組みです。「人間の働きかけによって長らく保たれてきた」自然にはあたりません。

正解【②】

a=カ、b=Yの組合せなので②が正解です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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