2023年度 大学入学共通テスト 追試験 現代社会 解答・解説

2023年度 大学入学共通テスト 追試験「現代社会」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

第1問 武力紛争から読み解く冷戦後の国際政治(配点21)

サエキさんとシミズさんが参加した大学の公開授業「武力紛争から読み解く冷戦後の国際政治」を題材にした大問です。アフガニスタン攻撃とイラク戦争、各国の政治体制、ゲーム理論による軍拡の説明、核軍縮、国際刑事裁判所、そして勢力均衡と国際ルールという二つの見方まで、国際政治の基本枠組みが一通り問われます。

問1:正解 ②(解答番号1/配点3)

<問題要旨>

アメリカの主導で始まった二つの武力紛争をまとめた配布プリントの空欄ア(2001年、同時多発テロをきっかけにタリバンへの攻撃が行われた国)と、空欄イ(2003年のイラク戦争の主なきっかけ)の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

アは「タリバン」という語で一つに決まります。イは、イラク戦争が2003年に始まった点と、「イスラム国(IS)の台頭」が2014年前後の出来事である点を比べれば絞り込めます。

<選択肢>

ア=A(アフガニスタン)【正】

タリバンはアフガニスタンの政権を握っていたイスラム主義勢力で、同時多発テロの首謀者とされたビン=ラーディンをかくまったとして、2001年にアメリカを中心とする攻撃を受けました。

ア=B(シリア)【誤】

シリアで2011年から続く内戦にタリバンは関与していません。

イ=Q(イラクにおける大量破壊兵器の保有疑惑)【正】

アメリカはイラクが大量破壊兵器を保有しているとして、国連安保理の明確な決議のないまま2003年に開戦しました。のちに大量破壊兵器は発見されず、開戦の正当性が国際的に問われることになります。

イ=P(中東におけるイスラム国(IS)の台頭)【誤】

ISが台頭したのは2014年前後で、2003年のイラク戦争のきっかけにはなり得ません。むしろイラク戦争後の混乱がISの台頭の一因とされています。

正解【②】

ア=A、イ=Qの組合せなので②が正解です。

問2:正解 ④(解答番号2/配点3)

<問題要旨>

各国の政治体制の特徴に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

イギリスの議院内閣制、日本の憲法改正手続、アメリカの厳格な三権分立、中国の民主集中制という、四つの代表的な政治体制の基本を確認します。

<選択肢>

①【誤り】

イギリスでは1911年の議会法以来、下院(庶民院)が上院(貴族院)に優越する原則が確立しています。上下が逆です。

②【誤り】

日本国憲法第96条は、憲法改正の発議には各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要と定めています。過半数ではありません。

③【誤り】

アメリカは厳格な三権分立をとり、大統領に連邦議会の解散権はありません。逆に議会も大統領に対する不信任決議権を持ちません。

④【正しい】

中国は民主集中制をとり、最高国家権力機関である全国人民代表大会(全人代)も中国共産党の指導の下で運営されています。

正解【④】

正しいものを選ぶ問題なので④が正解です。

問3:正解 ③(解答番号3/配点4)

<問題要旨>

X国とY国が「軍縮」か「軍拡」かを1回だけ同時に選ぶという設定の利得表(X軍縮・Y軍縮=両国10点/X軍縮・Y軍拡=X0点・Y11点/X軍拡・Y軍縮=X11点・Y0点/X軍拡・Y軍拡=両国5点)から読み取れる内容として正しいものを、ア〜ウからすべて選ぶ問題です。

<考え方>

いわゆる囚人のジレンマの構造です。「相手がどちらを選んだ場合でも、自分にとってどちらが得か」を場合分けして確かめるのが基本の手順になります。

<選択肢>

ア【正しい】

X国の得点で最大なのは軍拡を選んだときの11点ですが、これはY国が軍縮を選んだ場合に限られます。Y国が軍拡を選べばX国は5点にとどまるので、「Y国が軍拡を選択しないという条件が必要」というのは表と合致します。

イ【誤り】

両国とも軍拡なら各5点、両国とも軍縮なら各10点です。軍縮のほうが大きな利益になるので、記述は逆です。

ウ【正しい】

X国の立場で見ると、Y国が軍縮なら軍縮10点に対し軍拡11点、Y国が軍拡なら軍縮0点に対し軍拡5点で、いずれの場合も軍拡が有利です。表はX国とY国で対称なのでY国も同じです。だからこそ両国とも軍拡を選び、ともに軍縮する場合より悪い結果(各5点)に落ち着いてしまいます。

正解【③】

アとウが正しいので③が正解です。

問4:正解 ①(解答番号4/配点3)

<問題要旨>

核兵器使用の禁止・制限の取組みに関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

核兵器禁止条約、非核地帯条約、INF全廃条約、IAEAの査察という四つの事項について、当事者と内容を確認します。

<選択肢>

①【正しい】

核兵器禁止条約は、核兵器の開発・実験・保有・使用などを全面的に禁止する条約で、2017年に国連で採択され2021年に発効しました。ただし核保有国や日本は参加していません。

②【誤り】

非核地帯条約はラテンアメリカ(トラテロルコ条約)、南太平洋(ラロトンガ条約)、東南アジア(バンコク条約)、アフリカ(ペリンダバ条約)、中央アジアなどに設けられていますが、日本を含む東アジア地域全体を非核地帯とする条約は存在しません。

③【誤り】

中距離核戦力(INF)全廃条約は1987年にアメリカとソ連の間で結ばれた条約です。中国ではありません(なお同条約は2019年に失効しています)。

④【誤り】

核物質が平和利用から軍事利用に転用されることを防ぐための査察を行うのは国際原子力機関(IAEA)です。国連軍縮特別総会は軍縮を議論する国連総会の特別会期であり、査察は行いません。

正解【①】

最も適当なものを選ぶ問題なので①が正解です。

問5:正解 ⑦(解答番号5/配点4)

<問題要旨>

発表プリントの空欄ア(2002年発効の「ローマ規程」に基づきオランダのハーグに設置された機関)と、空欄イ(関係国の同意規則に基づくと非締約国の一部が強く反発する状況)の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

アは「集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪等を行った個人を訴追・処罰する」という説明から決まります。イは「自国民が裁かれる可能性がある」ことを理由に非締約国が反発する場面を、プリントの管轄権のルールに照らして特定します。

<選択肢>

ア=C(国際刑事裁判所)【正】

国際刑事裁判所(ICC)は、個人の国際犯罪を裁く常設の裁判所で、2002年に発効したローマ規程に基づきハーグに設置されました。

ア=A(国際司法裁判所)【誤】

国際司法裁判所(ICJ)は国連の主要機関で、国家間の紛争を扱います。個人を訴追・処罰する機関ではありません。

ア=B(常設国際司法裁判所)【誤】

常設国際司法裁判所は国際連盟の下に置かれた機関で、国際司法裁判所の前身にあたります。2002年設置ではありません。

イ=P【正】

プリントには「対象犯罪が締約国の領域内で行われた場合や、対象犯罪が締約国の国籍を有する者によって行われた場合には、裁判所は管轄権を有する」とあります。したがって、非締約国の国籍を持つ者でも締約国の領域内で犯罪を行えば裁かれます。非締約国が反発する理由はここにあります。

イ=Q【誤】

締約国の国民が締約国の領域内で行った場合は、その国が自ら管轄権に同意しているので、非締約国が反発する理由になりません。

イ=R【誤】

非締約国の国民が非締約国の領域内で行った場合は、そもそも管轄権が及びません。

正解【⑦】

ア=C、イ=Pの組合せなので⑦が正解です。

問6:正解 ⑦(解答番号6/配点4)

<問題要旨>

国家間の武力紛争の予防について、二つの対照的な考え方をまとめたノートの空欄ア〜ウに入る語句の組合せを選ぶ問題です。見方1は勢力均衡の考え方、見方2は国際的なルールによる問題処理の考え方です。

<考え方>

アは「各国が頼れるのは自国か◯◯の軍事力だけ」という勢力均衡の前提、イは勢力均衡策の弊害の実例、ウは国際ルールによる紛争予防が抱える限界です。

<選択肢>

ア=B(同盟国)【正】

勢力均衡(バランス・オブ・パワー)の考え方では、各国は自国の軍備と同盟によって力の均衡をつくり出そうとします。Aの「国連憲章で規定された国連軍」は、むしろ集団安全保障(見方2の側)の発想で、しかも正規の国連軍は実際には組織されたことがありません。

イ=Q(米ソ間の軍拡競争)【正】

勢力均衡を保とうとする対策は、際限のない軍備拡張競争を招くという弊害を伴います。冷戦期の米ソの核軍拡競争がその典型です。Pのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争へのNATO介入は勢力均衡策の弊害の例とはいえません。

ウ=X(すべての国家を統治する世界政府)【正】

国際社会には各国の上に立つ世界政府が存在しないため、ルールを作っても強制力が働きにくく、実効性が限られます。Yの「軍事的な強制措置の仕組み」は、国連憲章第7章に定めがあるので「ない」とはいえません。

正解【⑦】

ア=B、イ=Q、ウ=Xの組合せなので⑦が正解です。

第2問 意思決定を経済学と心理学から考える(配点17)

経済学部を志望するモリさんが姉と買物に出かけるという設定で、機会費用、情報の非対称性と逆選択、消費者行動の実験データの読み取り、防衛機制と葛藤、功利主義と正義論までを扱う大問です。経済分野と心理・倫理分野をまたぐ、現代社会らしい構成になっています。

問1:正解 ③(解答番号7/配点3)

<問題要旨>

「人々があるものを選択したら他のものを選択できないので、どのような行動の費用も失われた機会を踏まえて測られる」という費用の考え方(機会費用)について、正しい記述をア〜ウからすべて選ぶ問題です。

<考え方>

機会費用とは、ある選択をしたために断念することになった選択肢から得られたはずの利益のことです。実際に支払った金額(明示的費用)に、この逸失利益を足したものが機会費用の考え方による「費用」になります。実際の支出だけを足している選択肢は該当しません。

<選択肢>

ア【正しい】

4年間の大学生活の費用は、学費・教科書代などの実際の支出に加えて、高校卒業後に就職していれば得られたはずの4年分の所得(断念した機会)を合計したものになります。

イ【誤り】

購入代金200万円も古い機械の廃棄費用50万円も、どちらも実際に支払った金額です。断念した機会にあたるものが含まれていないので、機会費用の考え方の例にはなりません。

ウ【正しい】

代金3,000円という実際の支出に、パートタイムの仕事を入れずに5時間並んだために得られなかった報酬5,500円(時給1,100円×5時間)を合計しています。問題文の遊園地の例と同じ構造です。

正解【③】

アとウが正しいので③が正解です。

問2:正解 ②(解答番号8/配点4)

<問題要旨>

情報の非対称性を中古車市場の例で説明する会話文の空欄A(買手がとる行動)とB(売手がとる行動)に入る発言の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

買手は品質を見分けられないので、高い車でも質の悪い車が混じっているリスクを織り込みます。すると買手が払える価格が下がり、その価格では割に合わない売手が市場から退出する、という連鎖を追います。この結果、良質な財が市場から駆逐される現象を逆選択(アドバース・セレクション)といいます。

<選択肢>

A=予算の上限を下げて、高価格の中古車を買わない【正】

買手は品質が分からないので、高い値段を払って質の悪い車をつかまされる危険を避けようとします。損をしたくないなら、支払う上限を下げるのが合理的な行動です。

A=予算の上限を上げて、高価格の中古車を買う【誤】

品質が保証されないのに支払額を増やすのは、損を避けたい買手の行動として不自然です。

B=品質の良い中古車の持ち主は自分の車を売りに出さなくなる【正】

買手が低い価格しか払わなくなると、良い車を持つ売手にとってはその価格が品質に見合わなくなり、売却を取りやめます。結果として市場には質の悪い車ばかりが残ります。これが逆選択です。

B=品質の悪い中古車の持ち主は自分の車を売りに出さなくなる【誤】

質の悪い車の持ち主にとっては、低い価格でも品質以上の値がつくので、むしろ積極的に売りに出します。逆です。

正解【②】

A=予算の上限を下げる、B=良い車の持ち主が売らなくなる、の組合せなので②が正解です。

問3:正解 ④(解答番号9/配点4)

<問題要旨>

3種類のピーナッツバターから一つを選ぶ実験(A群は3つとも無名ブランドのラベル、B群は1つが有名ブランドのラベル)について、参加者が商品を選んだ理由の割合を示した表から読み取れることを、ア〜ウからすべて選ぶ問題です。

<考え方>

表は「1回目(味見前)」と「5回目(4回の味見後)」でA群・B群の理由の割合を示しています。各記述がどの列を比べるよう求めているかを確認し、該当する数値を拾って比較します。

<選択肢>

ア【誤り】

A群(有名ブランドがない場合)の1回目で最も多い理由は「パッケージの好み」の45.2%です。「値段が一番安い」は2.2%にすぎません。

イ【正しい】

B群(有名ブランドがある場合)の1回目では「ブランドの知名度の高さ」が60.0%で最も多くなっています。

ウ【正しい】

「味・食感」は1回目から5回目にかけてA群が4.3%→62.4%、B群が0%→41.1%と両群とも増加しています。また5回目の「ブランドの知名度の高さ」はA群5.4%に対しB群17.8%で、有名ブランドがある場合のほうが多くなっています。

正解【④】

イとウが正しいので④が正解です。

問4:正解 ④(解答番号10/配点3)

<問題要旨>

購買行動の事例ア〜ウと、防衛機制や葛藤を説明する用語A〜D(「接近—接近」/「接近—回避」/投射/合理化)の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

まず葛藤(コンフリクト)の三つの型を整理します。「接近—接近」は二つとも魅力があって選べない状態、「接近—回避」は一つのものに魅力と嫌悪が同居している状態、「回避—回避」はどちらも避けたい状態です。投射は自分の受け入れがたい感情を他人のものだとみなすこと、合理化はもっともらしい理由をつけて自分を納得させることです。

<選択肢>

ア=B(「接近—回避」)【正】

欲しい1冊を手に入れたいという接近の気持ちと、そのために10巻セットを買う出費はしたくないという回避の気持ちが、同じ対象について同時に生じています。

イ=D(合理化)【正】

食べられていないという事実に対して「きっと私の口には合わないだろうな」と理由づけをして自分を納得させています。イソップ寓話の「すっぱいぶどう」の型です。

ウ=A(「接近—接近」)【正】

ライブにも行きたい、花火大会にも行きたいという、どちらも魅力的な二つの選択肢の間で迷っています。

正解【④】

ア=B、イ=D、ウ=Aの組合せなので④が正解です。

問5:正解 ①(解答番号11/配点3)

<問題要旨>

ベンサム、ロールズ、J. S. ミルの著作カードのうち、J. S. ミルとロールズのカードの組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

それぞれの思想のキーワードを引用文の中から探します。「満足した豚」「満足したソクラテス」、「公正としての正義」、「快楽と苦痛という二人の主権者」がそれぞれの目印になります。

<選択肢>

J. S. ミル=ア【正】

「満足した豚であるよりも、満足していない人間がよい。満足した愚者よりも、満足していないソクラテスがよい」は、J. S. ミルが快楽に質の差を認めた(質的功利主義)ことを示す有名な一節です。

ロールズ=イ【正】

「公正としての正義」はロールズの正義論の中心概念です。原初状態・無知のヴェールという思考実験を通じて、公正な社会の原理を導こうとしました。

ウ=ベンサム【—】

「自然は、人類を苦痛と快楽という、二人の主権者の支配のもとにおいてきた」は、ベンサム『道徳および立法の諸原理序説』の冒頭部分です。快楽計算によって「最大多数の最大幸福」を目指す量的功利主義の立場を示しています。

正解【①】

J. S. ミル=ア、ロールズ=イの組合せなので①が正解です。

第3問 漁村から考える公害・環境問題(配点26)

漁師の家に生まれた高校生ハラさんの三つの場面を通して、公害の定義、外部経済と外部不経済、家族に関する最高裁判決、3R、税制、固定価格買取制度と需給曲線、行政統制、環境影響評価までを扱う大問です。設問数8で配点26と、この試験で最も大きな大問になっています。

問1:正解 ⑤(解答番号12/配点3)

<問題要旨>

環境基本法に基づく公害の定義(A 事業活動等、人の活動に伴って生ずる/B 相当範囲にわたる/C 大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭による/D 人の健康または生活環境に係る被害が生ずる)を踏まえ、メモの空欄I〜IIIに入る記号の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

メモは「漁業に係る被害が生じているので I」「工場の稼働による汚染なので II」「水質の悪化なので III」という順で述べています。それぞれの記述が定義のどの要素に対応するかを一つずつ当てはめます。

<選択肢>

I=D【正】

「漁業に係る被害」は、定義Dの括弧書きにある「人の生活に密接な関係のある財産や動植物とその生育環境」に係る被害にあたります。配布資料の注意点でも、公害事件には農林水産業や財産に係る被害が生じたものもあると説明されています。

II=A【正】

「工場の稼働による汚染」は、Aの「事業活動等、人の活動に伴って生ずる」に対応します。

III=C【正】

「水質の悪化」は、Cに列挙された典型七公害のうち水質汚濁にあたります。

正解【⑤】

I=D、II=A、III=Cの組合せなので⑤が正解です。なお残るBの「相当範囲にわたる」は、メモの最後で「この海域一帯が汚染されていた」ことから満たされると論じられています。

問2:正解 ⑦(解答番号13/配点4)

<問題要旨>

「外部経済を拡大させる施策」をA〜Cからすべて選ぶ問題です。外部経済とは、ある経済活動が市場を介さずに他の主体へ与える利益のことです。

<考え方>

ポイントは二つあります。第一に、その活動が「市場を介さずに」他の主体へ利益を与えているかどうか。第二に、外部「経済」(利益)なのか外部「不経済」(不利益)なのかです。課税は外部不経済を縮小させる手段なので、外部経済の拡大にはあたりません。

<選択肢>

A【該当しない】

漁師が設備のメンテナンス業者に代金を払って修理してもらうのは、市場を介した通常の取引です。市場を介さずに他の主体へ利益が及ぶ関係にはあたりません。

B【該当しない】

水質汚濁と漁獲量の減少という外部不経済をもたらす企業に課税するものです。これは外部不経済を縮小させる施策であって、外部経済を拡大させる施策ではありません。

C【該当する】

景観ガイドラインに沿った対応をする企業は、自分の利益のために景観を整えるだけですが、その結果として市場を介さずに観光業の売上げが増えます。これが外部経済であり、補助金でその対応を促せば外部経済が拡大します。

正解【⑦】

Cだけが該当するので⑦が正解です。

問3:正解 ②(解答番号14/配点3)

<問題要旨>

家族についての日本の最高裁判所の判断に関する記述として「適当でないもの」を選ぶ問題です。

<考え方>

国籍法違憲判決、再婚禁止期間、夫婦同姓、婚外子の相続分という四つの判例について、合憲判断だったのか違憲判断だったのかを正確に押さえます。適当でないものを選ぶ点に注意してください。

<選択肢>

①【適当】

2008年の国籍法違憲判決です。日本人の父と外国人の母の子について、父母が婚姻しているかどうかで国籍取得の条件が変わる国籍法の規定を、法の下の平等に反するとして違憲としました。

②【適当でない】

2015年の判決で最高裁は、女性のみに再婚禁止期間を定める民法の規定のうち、100日を超える部分は違憲としました。「憲法に違反しないとしている」という記述は判決内容と逆です。

③【適当】

2015年および2021年の決定で、最高裁は夫婦同姓を定める民法の規定を合憲としています。

④【適当】

2013年の決定で、最高裁は婚外子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定を違憲としました。この決定を受けて民法が改正されています。

正解【②】

適当でないものを選ぶ問題なので②が正解です。

問4:正解 ⑦(解答番号15/配点3)

<問題要旨>

循環型社会形成推進基本法における基本原則に基づく優先順位の第1位と第2位に該当する事例を、a〜dから選ぶ問題です。

<考え方>

同法が定める優先順位は、①発生抑制(リデュース)②再使用(リユース)③再生利用(マテリアルリサイクル)④熱回収(サーマルリサイクル)⑤適正処分、の順です。a〜dがこのどれにあたるかを判定します。

<選択肢>

c(第1位)【正】

アルミ缶を軽量化して廃棄後のごみの量を減らすのは、そもそも廃棄物を出さない・減らす発生抑制(リデュース)で、優先順位の第1位です。

a(第2位)【正】

ガラス瓶を洗って消毒し何度も使うのは再使用(リユース)で、第2位です。

b【—】

紙パックを紙パルプに加工して別の製品の原料にするのは再生利用(マテリアルリサイクル)で、第3位です。

d【—】

プラスチックトレーを焼却して燃料として利用するのは熱回収(サーマルリサイクル)で、第4位です。

正解【⑦】

第1位=c、第2位=aの組合せなので⑦が正解です。

問5:正解 ①(解答番号16/配点3)

<問題要旨>

税制に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

所得の捕捉率、直接税と間接税の性質、戦後日本の税体系の原型、そして水平的公平と垂直的公平の区別という四つの論点が並んでいます。

<選択肢>

①【正しい】

給与所得者は勤務先が源泉徴収を行うため所得がほぼ完全に把握されるのに対し、自営業者や農業従事者は申告方式のため捕捉率が低いとされます。この不均衡は「クロヨン」「トーゴーサン」と呼ばれます。

②【誤り】

所得税や法人税といった直接税は、所得や利益に応じて課されるため景気変動の影響を受けやすい税です。消費税などの間接税のほうが税収は安定しています。

③【誤り】

戦後日本の直接税中心の税体系は、1949年のシャウプ勧告に基づくものです。ドッジ・ラインは超均衡予算・単一為替レートなどインフレ収束のための経済安定策で、税体系の設計とは別のものです。

④【誤り】

所得によって税負担率を変える(累進課税など)のは垂直的公平です。水平的公平とは、同じ経済力の人には同じ負担を求めるという考え方を指します。

正解【①】

最も適当なものを選ぶ問題なので①が正解です。

問6:正解 ④(解答番号17/配点4)

<問題要旨>

再生可能エネルギーの固定価格買取制度についての解説文の空欄I(固定価格で買い取るために水平になる曲線)、II(全体を表す図)、III(この制度が狙うシフト)の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

制度の内容を需要と供給の言葉に翻訳するのが要点です。「電力会社が買い取る」のですから、電力会社は電力の買い手=需要側です。その買取価格が国の定める固定価格に固定されるので、需要曲線が水平になります。

<選択肢>

I=需要曲線【正】

固定価格で買い取ることを義務づけられているのは電力会社(送電事業者)で、電力の需要側です。価格が一定なので需要曲線は水平になります。

II=C【正】

図Cは需要が水平線、供給が右上がりの直線で描かれています。水平な需要曲線と、価格が上がるほど発電量が増える通常の供給曲線という組合せに合致します。

III=供給曲線を右【正】

高い価格で売れる利益を求めて新規参入した家庭や企業が発電するようになると、同じ価格でも供給される電力量が増えます。これは供給曲線が右にシフトすることを意味します。

正解【④】

I=需要曲線、II=C、III=供給曲線を右、の組合せなので④が正解です。

問7:正解 ①(解答番号18/配点3)

<問題要旨>

日本における行政活動の統制に関する現行制度の記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

行政手続法の目的、特別裁判所の禁止、オンブズマン制度と常設型住民投票の実例という四つの論点です。③・④はいずれも「存在しない」という強い言い切りなので、実例が一つでもあれば誤りになります。

<選択肢>

①【正しい】

行政手続法(1993年制定)は、処分・行政指導・届出などの手続について共通のルールを定め、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ることを目的としています。

②【誤り】

日本国憲法第76条第2項は特別裁判所の設置を禁止しており、戦前に存在した行政裁判所は現在ありません。行政事件も通常の裁判所が審理します。

③【誤り】

1990年の川崎市を皮切りに、オンブズマン(オンブズパーソン)制度を導入している自治体は複数存在します。

④【誤り】

高知県大川村や広島市など、常設型の住民投票条例を定めている自治体は存在します。

正解【①】

最も適当なものを選ぶ問題なので①が正解です。

問8:正解 ⑦(解答番号19/配点3)

<問題要旨>

「事業の実施が環境に与える影響をあらかじめ調査し、当該事業による環境の悪化を事業者自らが防止または緩和すること」という環境影響評価の定義に当てはまる事例を、a〜cからすべて選ぶ問題です。

<考え方>

定義には三つの条件が含まれています。①あらかじめ(事前に)調査すること、②事業者自らが行うこと、③環境の悪化を防止または緩和すること。金銭で埋め合わせることは、環境の悪化そのものを防いだり和らげたりすることにはあたりません。

<選択肢>

a【当てはまらない】

調査したのは工場を稼働させた後で、しかも被害が出てからです。「あらかじめ調査し」という条件を満たしません。賠償も環境の悪化を防止・緩和する措置ではありません。

b【当てはまらない】

事前に調査した点は条件を満たしますが、行ったのは事前の金銭補償です。騒音そのものを防いだり和らげたりしていないので、「環境の悪化を防止または緩和する」にあたりません。

c【当てはまる】

事前に調査してサケが上流に上れなくなることを把握し、魚道を設置して環境への悪影響を緩和しています。三つの条件をすべて満たします。

正解【⑦】

cだけが当てはまるので⑦が正解です。

第4問 起業と会社をめぐる制度(配点25)

「起業が成功するためには何が重要か?」というテーマで発表を準備するクリタさんと先生の会話文をもとに、個人企業と株式会社の違い、貸借対照表の読み取り、株主総会の権能、インセンティブの設計、消費者保護法制、労働法制、社会保障、市場競争と企業形態までを問う大問です。

問1:正解 ⑥(解答番号20/配点3)

<問題要旨>

会話文Iの空欄A(個人企業の企業財産を拠出する者)、B(株式会社の株主が負う責任)、C(会社が銀行から借入れをする際の名義)に当てはまる語句の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

株式会社が個人企業より資金を集めやすい理由を、三つの角度から整理する問題です。出資者は誰か、株主のリスクはどこまでか、会社そのものに法律上の人格が認められるか、という順に考えます。

<選択肢>

A=事業主【正】

個人企業の企業財産は、通常その事業主本人が拠出します。従業員が企業財産を拠出することはありません。

B=有限責任【正】

株式会社の株主は、出資した額を限度として責任を負う有限責任です。会社が負債を抱えても出資額以上の負担を求められないため、事業に自ら参画するつもりのない人でも出資しやすくなります。

C=法人【正】

会社には法人格が認められるので、出資者個人ではなく会社そのものの名義で借入れができます。

正解【⑥】

A=事業主、B=有限責任、C=法人の組合せなので⑥が正解です。

問2:正解 ①(解答番号21/配点4)

<問題要旨>

昨年度末に資産500万円・負債300万円・純資産200万円だった会社について、本年度の取引(株式発行による400万円の増資、製造機械300万円の購入、銀行からの200万円の借入れ、150万円かけた作業スペースの増設、30万円の利益)を踏まえ、本年度末の貸借対照表の資産A・負債B・純資産Cに入る数字を選ぶ問題です。

<考え方>

負債と純資産を先に求めて、その合計を資産とするのが最短です(ルール1により資産=負債+純資産)。増資と利益は純資産を増やし、借入れは負債を増やします。機械の購入や作業スペースの増設は現金が別の資産に変わるだけなので、資産の合計額は変わりません。

<選択肢>

B=500【正】

負債は昨年度末の300万円に、本年度の新規借入れ200万円を加えて500万円です。

C=630【正】

純資産は昨年度末の200万円に、株式発行による増資400万円(ルール4)と期末の利益30万円(ルール5)を加えて630万円です。

A=1130【正】

ルール1により資産=負債+純資産なので、500+630=1130万円です。増資400万円と借入れ200万円で現金が600万円増え、そのうち300万円が製造機械に、150万円が作業スペースに形を変えただけなので、資産の合計は減りません。

正解【①】

A=1130、B=500、C=630の組合せなので①が正解です。

問3:正解 ④(解答番号22/配点3)

<問題要旨>

取締役会と監査役を置く株式会社において、株主総会の権能に含まれるものをA〜Cからすべて選ぶ問題です。

<考え方>

株主総会は会社の最高意思決定機関で、経営の基本方針の決定と役員(取締役・監査役)の選任・解任を担います。一方で、日々の業務執行は取締役会と代表取締役の仕事です。この線引きで判定します。

<選択肢>

A【含まれない】

従業員の雇用は日常的な業務執行の一環で、取締役会・代表取締役の職務です。株主総会が個々の採用を決めることはありません。

B【含まれる】

会社の経営方針の決定は、最高意思決定機関である株主総会の権能です。

C【含まれる】

監査役は株主総会で選任されます。取締役も同様に株主総会で選任されます。

正解【④】

BとCが含まれるので④が正解です。

問4:正解 ②(解答番号23/配点3)

<問題要旨>

インセンティブについての仮説的な事例(事例I=保険加入後に加入者が不摂生になる問題、事例II=雇われた後にアルバイトがサボる問題)に対処する仕組みを、それぞれA・BとC・Dから選ぶ問題です。

<考え方>

どちらの事例も、契約を結んだ「後」に相手の行動が変わってしまうモラルハザードの問題です。したがって対処するインセンティブも、契約後の行動に応じて報酬や負担が変わる仕組みでなければ効きません。契約時点の属性で条件を決める仕組みは、逆選択への対処にはなってもモラルハザードには効かない点が分かれ目です。

<選択肢>

ア=A【正】

加入後の治療期間が長いほど保険料が高くなる設定なら、加入者は不摂生な生活を続けると自分の負担が増えることになります。加入後の行動を改めるインセンティブが働きます。

ア=B【誤】

加入時の健康状態で保険料を決める仕組みです。契約時点の情報に基づくもので、加入した後に不摂生になることを止める効果はありません。

イ=D【正】

給仕した数に応じて追加の報酬が出るなら、サボるほど自分の収入が減ります。働いた分だけ報われる仕組みが、店長の目が届かない場面でも仕事に向かわせます。

イ=C【誤】

採用時の職歴で時給と最低給仕数を決める仕組みで、採用後にサボるかどうかとは直接結びつきません。

正解【②】

ア=A、イ=Dの組合せなので②が正解です。

問5:正解 ①(解答番号24/配点3)

<問題要旨>

消費者保護についての日本の法制度に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

消費者基本法、消費者契約法の取消権の期間制限、クーリングオフの効果、多重債務対策の法律という四つの論点です。

<選択肢>

①【正しい】

2004年、消費者保護基本法が改正されて消費者基本法となりました。従来の「保護」中心から、消費者の権利の尊重と自立の支援を基本理念とする方向へ転換したものです。

②【誤り】

消費者契約法による取消権には期間の制限があり、追認をすることができる時から1年(霊感商法などは3年)、契約締結の時から5年(同10年)を過ぎると行使できません。「いつでも」ではありません。

③【誤り】

クーリングオフは、一定期間内であれば無条件・無負担で契約を解除できる制度です。違約金や損害賠償を請求されることはありません。

④【誤り】

多重債務問題への対処として整備されたのは、上限金利の引下げや総量規制を導入した2006年の貸金業法改正などです。金融再生法(1998年)は破綻した金融機関の処理を定める法律で、目的が異なります。

正解【①】

最も適当なものを選ぶ問題なので①が正解です。

問6:正解 ③(解答番号25/配点3)

<問題要旨>

労働者の権利や使用者の義務についての日本の法制度に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

労働三権の内訳、労働三法の内訳、障害者の法定雇用率、労災保険の保険料負担という四つの論点です。「三権」「三法」の中身は取り違えやすいので正確に覚えておきましょう。

<選択肢>

①【誤り】

労働三権は団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)です。勤労権は憲法第27条が定める権利で、労働三権(第28条)には含まれません。

②【誤り】

労働三法は労働基準法・労働組合法・労働関係調整法です。労働契約法は2007年制定の別の法律で、労働三法には含まれません。

③【正しい】

障害者雇用促進法は、事業主に対して全従業員のうち一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用する義務を課しています。

④【誤り】

労災保険の保険料は全額を事業主が負担します。労働者や政府が保険料を負担することはありません。

正解【③】

最も適当なものを選ぶ問題なので③が正解です。

問7:正解 ③(解答番号26/配点3)

<問題要旨>

日本の社会保障に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

朝日訴訟・堀木訴訟の判決内容、介護保険の財源、後期高齢者医療制度の自己負担という四つの論点です。生存権をめぐる二つの訴訟はいずれも原告敗訴だった点を押さえておきましょう。

<選択肢>

①【誤り】

朝日訴訟で最高裁は、憲法第25条の規定は国の責務を宣言したものであって、直接個々の国民に具体的な権利を賦与したものではない、というプログラム規定説に立つ判断を示しました。

②【誤り】

堀木訴訟で最高裁は、障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止規定について、立法府の広い裁量に属するとして合憲と判断しました。

③【正しい】

介護保険制度の給付費用は、およそ半分が40歳以上の被保険者の保険料、残り半分が国・都道府県・市町村の公費で賄われています。

④【誤り】

後期高齢者医療制度では、2022年10月から一定以上の所得がある人の自己負担割合が1割から2割へ引き上げられました。引下げではありません。

正解【③】

最も適当なものを選ぶ問題なので③が正解です。

問8:正解 ④(解答番号27/配点3)

<問題要旨>

市場競争と企業に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

コングロマリット、経済の二重構造、持株会社、非価格競争という四つの用語について、定義が正しく述べられているかを確かめます。用語の入れ替えによる誤りが並んでいます。

<選択肢>

①【誤り】

高い専門性や技術力で新しい市場の開拓に挑戦する企業はベンチャー企業です。コングロマリットは、異業種のM&Aを重ねて多角化した複合企業を指します。

②【誤り】

中小企業が大企業から部品の発注を継続的に受ける関係は下請け(系列)です。経済の二重構造は、大企業と中小企業の間に生産性・賃金などの大きな格差がある状態を指します。

③【誤り】

証券取引所を通じて不特定多数が株式を売買できる会社は上場会社(公開会社)です。持株会社は、他社の株式を保有してその会社を支配することを主たる事業とする会社を指します。

④【正しい】

価格以外の面、すなわち製品の品質・デザイン・アフターサービス・広告などで競うことを非価格競争といいます。少数の企業が市場を占める寡占市場で顕著になります。

正解【④】

最も適当なものを選ぶ問題なので④が正解です。

第5問 メディア・リテラシー(配点11)

メディア・リテラシーを学んだキタノさんが、選挙報道と投票行動、メディアの利用実態と信頼度、同じ記者会見を報じた二つの記事の比較を通して、情報との付き合い方を考えていく大問です。設問数は3つですが、統計資料の読み取りと記事の比較という共通テストらしい出題が並びます。

問1:正解 ④(解答番号28/配点4)

<問題要旨>

選挙報道と投票行動をめぐる会話文の空欄ア(「A候補、当選の勢い」という記事を見てA候補に投票する有権者の考え方)、イ(比例区に同一順位で重複立候補した小選挙区候補者が復活当選する基準)、ウ(世論調査と実際の選挙結果が入れ替わることがあり得る効果)の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

アは小選挙区制の「得票第一位の候補者しか当選しない」という性質から考えます。イは衆議院選挙の重複立候補の仕組みそのものの知識です。ウはバンドワゴン効果とアンダードッグ効果のどちらが結果の逆転を生むかを考えます。

<選択肢>

ア=a【正】

小選挙区制では第一位以外への票はすべて死票になります。自分の票を無駄にしたくない有権者は、本来支持していない候補でも当選しそうなほうに投票することになります。bの「死票となっても構わない」では、A候補に投票する理由の説明になりません。

イ=d(惜敗率)【正】

衆議院選挙で比例区に同一順位で重複立候補した候補者は、小選挙区での惜敗率(当選者の得票数に対する自分の得票数の割合)が高い順に復活当選します。得票率ではありません。

ウ=f(アンダードッグ効果)【正】

世論調査で劣勢とされた候補への同情から支持が増えるのがアンダードッグ効果(判官びいき)です。これが強く働けば、調査で優勢だった候補が敗れ、結果が入れ替わることになります。バンドワゴン効果は優勢な候補の支持がさらに拡大するので、調査結果を追認する方向に働きます。

正解【④】

ア=a、イ=d、ウ=fの組合せなので④が正解です。

問2:正解 ③(解答番号29/配点3)

<問題要旨>

資料1(メディア別平均利用時間・平日1日あたり)と資料2(情報源としての重要度および信頼度)を説明した記述として最も適当なものを選ぶ問題です。

<考え方>

選択肢はいずれも「資料1によると〜。資料2によると〜。」という二段構えなので、前半と後半の両方が資料と合っていなければ正解になりません。「すべての年齢階層で」「最も高い」といった強い言い切りは、反例を一つ探せば崩せます。

<選択肢>

①【誤り】

前半(10代から30代でインターネットの利用時間が最長)は資料1の通りですが、後半が誤りです。資料2のインターネットの重要度は60代が58.5%で、70%を超えていません。

②【誤り】

前半は資料1の通りですが、後半が誤りです。資料2で10代のテレビの信頼度は65.5%、新聞は62.7%で、テレビのほうが高くなっています。「すべての年齢階層で新聞に次いで高い」とはいえません。

③【正しい】

資料1で「全体」の新聞の利用時間は8.5分で、テレビ183.4分・インターネット168.4分より短く最短です。資料2で「全体」の新聞の信頼度は66.0%で、テレビ61.6%・インターネット29.9%より高く最も高くなっています。前半・後半とも資料と合致します。

④【誤り】

前半(60代のインターネット利用時間105.5分が最短)と、重要度58.5%が最も低いことは資料の通りですが、信頼度は誤りです。60代の32.6%に対して20代が36.2%で、60代が最も高いわけではありません。

正解【③】

最も適当なものを選ぶ問題なので③が正解です。

問3:正解 ①(解答番号30/配点4)

<問題要旨>

同じ記者会見を報じた記事1(動画配信チャンネルの投稿。コメント欄付き)と記事2(新聞記事)を比較した会話文の空欄ア(記事2の情報の中身の特徴)とイ(正確な情報を得るための方法)に入る記述の組合せを選ぶ問題です。

<考え方>

アは記事2を実際に読んで確かめます。記事2は会見の内容を伝えたうえで、教育委員会担当者への取材や隣接P市の動向という会見では語られなかった情報を加えています。イは、メディアによって「事実」の伝え方が異なるという直前の指摘から、どうすればより正確に近づけるかを考えます。

<選択肢>

ア=a【正】

記事2は会見で語られた「誰一人取り残さない教育」の方針を紹介したうえで、本紙記者の取材に対する教育委員会担当者のコメントや、隣接するP市が半年前から同様の改革を進めているという背景情報を追加しています。

ア=b【誤】

記事2に改革への反対意見は載っておらず、賛否の両論併記にはなっていません。

イ=c【正】

報道される「事実」がメディアによって異なるのであれば、多様なメディアから多くの記事を集めて比較・分析することが、より正確な情報に近づく方法になります。これがメディア・リテラシーの基本姿勢です。

イ=d【誤】

自分と同じ意見のメディアだけを見ることは、かえって偏った理解(エコーチェンバーやフィルターバブル)を強めてしまいます。

正解【①】

ア=a、イ=cの組合せなので①が正解です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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