2024年度 大学入学共通テスト 本試験 数学Ⅱ・B 解答・解説

目次

解答

解説

2024年度 大学入学共通テスト 本試験「数学Ⅱ・数学B」の全設問について、正解と考え方を解説します。第1問・第2問は必答、第3問〜第5問は2問を選択して解答します(計4問・100点)。各設問の見出しをタップすると解説が開きます。

第1問 〔1〕 対数関数(グラフと領域)

底 k を動かしたときの y = logkx と y = log2kx のグラフを比べ、後半では logxy を x を変数とみなすという視点の転換が求められます。「底の変換公式で書き直す」「指数の形に戻す」の2つが通しの武器になります。

ア:正解 ③(配点1)

<問題要旨>
y = log3x のグラフが点 (27, ア) を通ることから、log327 を求める設問です。

<考え方>
27 を 3 の累乗で表します。

27 = 3³

  log₃27 = log₃3³ = 3

ア=③

イ,ウ:正解 ①, ⓪(配点1)

<問題要旨>
y = log2(x/5) のグラフが点 (イウ, 1) を通るときの x を求める設問です。

<考え方>
y = 1 を代入して、対数の定義どおり指数の形に戻します。

log₂(x/5) = 1

  x/5 = 2¹ = 2

  x = 10

イウ=10、すなわち イ=①、ウ=⓪

エ,オ:正解 ①, ⓪(配点2)

<問題要旨>
y = logkx のグラフが k の値によらず通る定点を求める設問です。

<考え方>
「k によらない」ということは、底が何であっても同じ値になるところを探すという意味です。対数の性質 logk1 = 0 がそれにあたります。

どんな底 k についても k⁰ = 1 なので

  log_k 1 = 0

  よって定点は (1, 0)

エ=①、オ=⓪

カ:正解 ⓪(配点3)

<問題要旨>
k = 2, 3, 4 のときの y = logkx のグラフの概形を選ぶ設問です。

<考え方>
2つの特徴で選択肢をふるいにかけます。(1)どれも定点 (1, 0) を通る(2)x > 1 では底が小さいほど値が大きい

底の変換公式より

  log_k x = (log x) / (log k)

  x > 1 のとき log x > 0 で、log k は
  k が大きいほど大きい。
  → 分母が大きいほど値は小さい
  → k = 2 が最も上、k = 4 が最も下

3本が (1, 0) で交わり、右側で k = 2 が最上位にある図は⓪です。カ=⓪

キ:正解 ⑤(配点3)

<問題要旨>
同じ k = 2, 3, 4 で、y = log2kx のグラフの概形を選ぶ設問です。

<考え方>
底はすべて 2 で固定されている点がカとの決定的な違いです。積の対数を分解します。

log₂(kx) = log₂k + log₂x

  つまり y = log₂x を
  上へ log₂k だけ平行移動したもの。

  k = 2 → +1
  k = 3 → +log₂3 ≒ +1.58
  k = 4 → +2

3本は平行に上下へずれるだけで、決して交わりません。k = 4 が最上位、k = 2 が最下位です。これは⑤。キ=⑤

※ カとキの違いは「底が動く/真数が動く」です。カは1点で交わり、キは交わらない。ここを取り違えると2問まとめて失点します。

ク:正解 ②(配点2)

<問題要旨>
方程式 logxy = 2 の表す図形を選ぶ設問です。

<考え方>
対数の定義に戻して、指数の形に直すだけです。

log_x y = 2

  ⟺ y = x²   (x > 0, x ≠ 1, y > 0)

放物線 y = x² の図は②です。ク=②

※ 条件 x ≠ 1 があるので、実際には (1, 1) だけが抜けた放物線です。

ケ:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
不等式 0 < logxy < 1 の表す領域を選ぶ設問です。第1問前半の山場です。

<考え方>
底 x が 1 より大きいか小さいかで不等号の向きが変わるので、必ず場合分けします。

■ x > 1 のとき(log_x は増加)

    log_x y > 0 ⟺ y > x⁰ = 1
    log_x y < 1 ⟺ y < x¹ = x

    → 1 < y < x
■ 0 < x < 1 のとき(log_x は減少)

    log_x y > 0 ⟺ y < 1
    log_x y < 1 ⟺ y > x

    → x < y < 1

つまり、直線 y = x と直線 y = 1 にはさまれた部分が、x > 1 側と 0 < x < 1 側の両方に現れます。これは②です。ケ=②

※ 「x > 1 の側だけ」を選ぶと誤りです。0 < x < 1 の細い三角形の部分を落とさないでください。

第1問 〔2〕 整式の割り算(余りが定数になる条件)

2次式 S(x) で整式 P(x) を割ったときの余りが定数になる条件を、S(x) = 0 の2解 α,β を使って言い換えていく設問です。P(x) = S(x)T(x) + U(x) に α,β を代入するという一手が、最後まで効き続けます。

コ,サ,シ:正解 −, ②, ③(配点2)

<問題要旨>
S(x) = x² + 4x + 7 について、S(x) = 0 の解を求める設問です。

<考え方>
解の公式を使います。判別式が負なので虚数解になります。

x = (−4 ± √(16 − 28)) / 2
    = (−4 ± √(−12)) / 2
    = (−4 ± 2√3 i) / 2
    = −2 ± √3 i

コサ=−2、シ=3、すなわち コ=−、サ=②、シ=③

ス,セ:正解 ②, ①(配点2)

<問題要旨>
P(x) = 2x³ + 7x² + 10x + 5 を S(x) = x² + 4x + 7 で割った商 T(x) を求める設問です。

<考え方>
素直に筆算で割ります。

              2x − 1
        ┌────────────────────
x²+4x+7 │ 2x³ + 7x² + 10x + 5
        │ 2x³ + 8x² + 14x
        ├────────────────────
        │      − x² −  4x + 5
        │      − x² −  4x − 7
        ├────────────────────
        │                  12

商は T(x) = 2x − 1。問題の形 <ス>x − <セ> と比べて ス=②、セ=①

ソ,タ:正解 ①, ②(配点1)

<問題要旨>
同じ割り算の余り U(x) を答える設問です。

<考え方>
スセの筆算の最後に残った数がそのまま答えです。

U(x) = 12

ソタ=12、すなわち ソ=①、タ=②。(この場合、余りは x を含まない定数になっています。)

チ:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
「余りが定数 k である」という仮定から何が導かれるかを、論理の向きも含めて選ぶ設問です。

<考え方>
選択肢の違いは「何を根拠に何を導いたか」だけです。事実の正しさではなく、矢印の向きを見比べます。

余りが定数 k という仮定から

    P(x) = S(x)T(x) + k   … (あ)

  また α, β は S(x) = 0 の解だから

    S(α) = S(β) = 0        … (い)

  (あ) に x = α, β を代入すると

    P(α) = 0 × T(α) + k = k
    P(β) = 0 × T(β) + k = k

つまり (あ) と (い) の両方を根拠にして P(α) = P(β) = k が導かれる、という順序です。これは③。チ=③

※ ②は「S(α)=S(β)=0 から P(x)=S(x)T(x)+k が導かれる」としていますが、この式は割り算の仮定から出るもので、解の性質から出るものではありません。ここが引っかけです。

ツ:正解 ①(配点1)

<問題要旨>
余りが定数になるとき成り立つ関係式を選ぶ設問です。

<考え方>
チで導いた P(α) = P(β) = k から、k を消した形を読み取ります。

P(α) = k かつ P(β) = k

  → P(α) = P(β)

ツ=①

テ,ト:正解 ①, ①(配点2)

<問題要旨>
今度は逆向き、「P(α) = P(β) ならば余りは定数」を示す流れです。P(x) の表し方と、α,β を代入した結果を選びます。

<考え方>
S(x) が2次式なので、余りは1次以下、すなわち U(x) = mx + n とおけます。

P(x) = S(x)T(x) + mx + n    → テ = ①

  x = α を代入(S(α) = 0 より)
    P(α) = 0 × T(α) + mα + n = mα + n

  x = β を代入
    P(β) = mβ + n              → ト = ①

テ=①、ト=①

ナ:正解 ③(配点1)

<問題要旨>
P(α) = P(β) と α ≠ β から、m と n について何が言えるかを選ぶ設問です。

<考え方>
テトで得た2式を等号で結び、整理します。

mα + n = mβ + n

  mα = mβ
  m(α − β) = 0

  α ≠ β より α − β ≠ 0 なので

  m = 0

余りは U(x) = n という定数になります。n については何も言えないので、条件は m = 0 だけです。ナ=③

※ この設問には「解答記号テ,トが両方正解の場合のみ点を与える」という注がついています。テ・トを落とすとナも0点になるので、代入の一手は確実に押さえてください。

ニ,ヌ:正解 −, ⑥(配点2)

<問題要旨>
P(x) = x¹⁰ − 2x⁹ − px² − 5x を S(x) = x² − x − 2 で割った余りが定数になるときの p を求める設問です。

<考え方>
ここまでの結論「余りが定数 ⟺ P(α) = P(β)」をそのまま使います。10次式を割る必要はまったくありません。

S(x) = x² − x − 2 = (x − 2)(x + 1)
  → α = 2,  β = −1

  P(2)  = 2¹⁰ − 2·2⁹ − 4p − 10
        = 1024 − 1024 − 4p − 10
        = −4p − 10

  P(−1) = 1 − 2·(−1) − p − 5·(−1)
        = 1 + 2 − p + 5
        = 8 − p
P(2) = P(−1) より

  −4p − 10 = 8 − p
     −3p = 18
       p = −6

ニヌ=−6、すなわち ニ=−、ヌ=⑥

※ 2¹⁰ と 2·2⁹ はどちらも 1024 で打ち消し合います。ここに気づけば計算はほぼ暗算で済みます。

ネ,ノ:正解 ①, ④(配点1)

<問題要旨>
そのときの余り(定数)を求める設問です。

<考え方>
余りは P(α) の値そのものです。p = −6 を代入します。

余り = P(2) = −4p − 10
           = −4×(−6) − 10
           = 24 − 10 = 14

  検算: P(−1) = 8 − p = 8 − (−6) = 14 ✓

ネノ=14、すなわち ネ=①、ノ=④

第2問 微分・積分(f(x) と S(x) = ∫f のグラフの関係)

f(x) = 3(x − 1)(x − m) と、その原始関数 S(x) = ∫0xf(t)dt の関係を追う設問です。S′(x) = f(x) という一本の関係だけで最後まで通せる構成になっています。後半は f のグラフの対称性を S の性質に翻訳する、やや抽象的な議論になります。

ア,イ:正解 ③, ②(配点2)

<問題要旨>
m = 2 のとき、f′(x) = 0 となる x を求める設問です。

<考え方>
f を展開して微分します。あるいは、下に凸の放物線の軸は2つの解の中点だと気づけば即答できます。

f(x) = 3(x − 1)(x − 2) = 3x² − 9x + 6

  f′(x) = 6x − 9 = 0

  x = 9/6 = 3/2

  (軸は 1 と 2 の中点 = 3/2 でも同じ)

ア/イ=3/2、すなわち ア=③、イ=②

ウ,エ:正解 ⑨, ⑥(配点1)

<問題要旨>
S(x) の被積分関数を展開した形を答える設問です。

<考え方>
アイで展開済みです。

f(t) = 3t² − 9t + 6

ウ=⑨、エ=⑥

オ,カ,キ:正解 ⑨, ②, ⑥(配点2)

<問題要旨>
S(x) を実際に積分して求める設問です。

<考え方>
各項を積分し、0 から x まで代入します。定数項は 0 になります。

S(x) = ∫₀ˣ (3t² − 9t + 6) dt

     = [ t³ − (9/2)t² + 6t ]₀ˣ

     = x³ − (9/2)x² + 6x

オ/カ=9/2、キ=6、すなわち オ=⑨、カ=②、キ=⑥

ク:正解 ①(配点1)

<問題要旨>
S(x) が極大となる x を求める設問です。

<考え方>
S′(x) = f(x) = 3(x − 1)(x − 2) なので、増減表は f の符号だけで決まります。

  x     …  1  …  2  …
 S′(x)   +  0  −  0  +
 S(x)    ↗ 極大 ↘ 極小 ↗

極大は x = 1。ク=①

ケ,コ:正解 ⑤, ②(配点1)

<問題要旨>
その極大値を求める設問です。

<考え方>
S(1) を計算します。

S(1) = 1 − 9/2 + 6 = 5/2

ケ/コ=5/2、すなわち ケ=⑤、コ=②

サ:正解 ②(配点1)

<問題要旨>
S(x) が極小となる x を求める設問です。

<考え方>
クの増減表をそのまま読みます。

極小となるのは x = 2

サ=②

シ:正解 ②(配点1)

<問題要旨>
その極小値を求める設問です。

<考え方>
S(2) を計算します。

S(2) = 8 − (9/2)×4 + 12
     = 8 − 18 + 12 = 2

シ=②

ス:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
f(3) と一致するものを選ぶ設問です。

<考え方>
S′(x) = f(x) という関係を、「接線の傾き」という言葉に翻訳できるかだけが問われています。

S′(x) = f(x) なので

  f(3) = S′(3)

  S′(3) は、y = S(x) のグラフ上の
  点 (3, S(3)) における接線の傾き

ス=③

※ ④「y = f(x) 上の点 (3, f(3)) における接線の傾き」は f′(3) のことで別物です。S と f を取り違えないようにしてください。

セ,ソ:正解 ⓪, ⑤(配点2)

<問題要旨>
面積 S1(0 ≦ x ≦ 1)と S2(1 ≦ x ≦ m)を、積分の式で表す設問です。

<考え方>
面積を積分で書くときは、まずその区間で f が正か負かを確かめます。f(x) = 3(x − 1)(x − m)、m > 1 です。

■ 0 ≦ x ≦ 1
    (x − 1) ≦ 0,  (x − m) < 0
    → f(x) ≧ 0(グラフは x 軸の上)
    S₁ = ∫₀¹ f(x)dx           → ⓪

  ■ 1 ≦ x ≦ m
    (x − 1) ≧ 0,  (x − m) ≦ 0
    → f(x) ≦ 0(グラフは x 軸の下)
    S₂ = ∫₁^m {−f(x)}dx      → ⑤

セ=⓪、ソ=⑤

タ:正解 ①(配点2)

<問題要旨>
S1 = S2 となる条件を、1本の積分が 0 になる形で表す設問です。

<考え方>
差 S1 − S2 を作ると、マイナスが打ち消えて1本の積分にまとまります。

S₁ − S₂ = ∫₀¹ f dx − ∫₁^m (−f) dx
         = ∫₀¹ f dx + ∫₁^m f dx
         = ∫₀^m f(x) dx
         = S(m)

  S₁ = S₂ ⟺ ∫₀^m f(x)dx = 0

タ=①。この条件は S(m) = 0、つまり「S の極小値がちょうど 0」ということです。

チ:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
S1 = S2 のときの y = S(x) のグラフの概形を選ぶ設問です。

<考え方>
S のグラフについてわかっていることを並べます。

・S(0) = 0     (定義より)
  ・x = 1 で極大
  ・x = m で極小(m > 1)
  ・タより S(m) = 0

  → 原点から立ち上がって山をつくり、
    下がってきて x = m で
    ちょうど x 軸に接し、また上がる

極小点が x 軸に接している図は①です。チ=①

ツ:正解 ②(配点2)

<問題要旨>
S1 > S2 のときの y = S(x) のグラフの概形を選ぶ設問です。

<考え方>
チと同じ枠組みで、極小値の符号だけが変わります。

S₁ − S₂ = S(m) だったので

  S₁ > S₂ ⟺ S(m) > 0

  → 極小値が x 軸より上にある
  → S は x = 0 以外で x 軸と交わらない

極小点が x 軸の上にある図は②です。ツ=②

テ:正解 ③(配点1)

<問題要旨>
y = f(x) のグラフの対称軸を答える設問です。

<考え方>
放物線の軸は、2つの解の中点です。

f(x) = 3(x − 1)(x − m) の解は 1 と m

  軸 : x = (1 + m)/2

テ=③。以下ではこれを M とおきます。

ト,ナ:正解 ④, ②(配点3)

<問題要旨>
対称性を使って、積分区間を反対側へ移す設問です。

<考え方>
軸 x = M に関する対称移動は x → 2M − x です。区間の端点をそれぞれ折り返します。

2M = 1 + m なので

  1 − p の折り返し先
    2M − (1 − p) = (1 + m) − 1 + p = m + p

  1 の折り返し先
    2M − 1 = m

  よって
    ∫_{1−p}^{1} f dx = ∫_{m}^{m+p} f dx   → ト = ④
同様に M − q の折り返し先は M + q なので

    ∫_{M−q}^{M} (−f) dx = ∫_{M}^{M+q} (−f) dx  → ナ = ②

ト=④、ナ=②

ニ,ヌ:正解 ⓪, ④(配点2)

<問題要旨>
①②の等式を、S を使った形に書き換える設問です。

<考え方>
αβf dx = S(β) − S(α) をそのまま当てはめます。

■ ① について

  S(1) − S(1−p) = S(m+p) − S(m)

  移項して

  S(1−p) + S(m+p) = S(1) + S(m)   → ニ = ⓪
■ ② について(−f の積分なので符号が反転)

  左辺 = −{S(M) − S(M−q)} = S(M−q) − S(M)
  右辺 = −{S(M+q) − S(M)} = S(M) − S(M+q)

  S(M−q) − S(M) = S(M) − S(M+q)

  2S(M) = S(M−q) + S(M+q)        → ヌ = ④

ニ=⓪、ヌ=④

ネ:正解 ②(配点2)

<問題要旨>
2点 (1−p, S(1−p)) と (m+p, S(m+p)) を結ぶ線分の中点について、正しい記述を選ぶ第2問の結論です。

<考え方>
中点の x 座標と y 座標を、それぞれ p の式で書いてみます。

■ x 座標

    { (1 − p) + (m + p) } / 2 = (1 + m)/2 = M

    p が消える → p によらず一定
■ y 座標

    { S(1−p) + S(m+p) } / 2

    ニより分子は S(1) + S(m) なので

    = { S(1) + S(m) } / 2

    やはり p によらず一定
■ その点は S のグラフ上にあるか

  ヌの 2S(M) = S(M−q) + S(M+q) で
  q = M − 1 とおくと

    M − q = 1,  M + q = 2M − 1 = m

    2S(M) = S(1) + S(m)

  よって { S(1) + S(m) }/2 = S(M)

  中点は (M, S(M)) → y = S(x) のグラフ上

中点は p によらず一つに定まり、しかも y = S(x) 上にあります。ネ=②

第3問(選択問題) 統計的な推測(日曜日が晴れになる確率)

前半は 0 と 1 だけをとる確率変数の母平均の区間推定、後半は「1 がちょうど3個続く箇所の個数」の期待値です。後半は統計というより期待値の線形性の問題で、「1か所ずつ確率を出して足す」という発想に切り替えられるかが分かれ目です。

ア:正解 ⓪(配点2)

<問題要旨>
X = 1 の確率が p であるとき、X の平均 m を求める設問です。

<考え方>
期待値の定義どおりに計算します。

m = E(X)
    = 0 × (1 − p) + 1 × p
    = p

ア=⓪

イ:正解 ③(配点2)

<問題要旨>
標本平均 X̄ が従う正規分布の分散を答える設問です。

<考え方>
標本平均の分布について、平均と分散は次のように決まります。

E(X̄) = m
  V(X̄) = σ² / n

  n が十分大きいとき
    X̄ 〜 N(m, σ²/n)

イ=③

※ ④の σ/√n は標準偏差です。N( , ) の2つ目に入るのは分散なので、混同しないでください。

ウ,エ:正解 ①, ②(配点3)

<問題要旨>
標本の標準偏差 S の式を変形していく設問です。

<考え方>
前半は「分散=2乗の平均−平均の2乗」、後半は X が 0 か 1 しかとらないという特殊事情を使います。

■ ウ

  S² = (1/n)Σ(Xᵢ − X̄)²
     = (1/n)ΣXᵢ² − (X̄)²

  → ウ = ①  ( (X̄)² )
■ エ

  Xᵢ は 0 か 1 なので Xᵢ² = Xᵢ

  (1/n)ΣXᵢ² = (1/n)ΣXᵢ = X̄

  S = √( X̄ − (X̄)² ) = √( X̄(1 − X̄) )

  → エ = ②

ウ=①、エ=②

オ:正解 ⓪(配点3)

<問題要旨>
表2の実測値から、母平均 m の信頼度 95% の信頼区間を求める設問です。

<考え方>
X̄ と S を数値で出してから、公式 X̄ ± 1.96 × S/√n に入れます。

X̄ = 75 / 300 = 0.25

  S = √(0.25 × 0.75) = √0.1875 = 0.4330

  √300 = 17.32

  S / √n = 0.4330 / 17.32 = 0.025

  1.96 × 0.025 = 0.049
信頼区間

  0.25 − 0.049 ≦ m ≦ 0.25 + 0.049

  0.201 ≦ m ≦ 0.299

オ=⓪

※ S/√n が 0.025 ときれいな値になるように作られています。ここが割り切れなければ計算を疑ってください。

カ:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
p = 1/4 のとき、k = 4 での U4 の期待値を求める設問です。

<考え方>
表3のうち U4 = 1 になる行を拾って、その確率を足します。

U₄ = 1 となるのは

    (X₁,X₂,X₃,X₄) = (1,1,1,0)
    (X₁,X₂,X₃,X₄) = (0,1,1,1)

  それぞれの確率は

    (1/4)³ × (3/4) = 3/256

  E(U₄) = 1 × (3/256 + 3/256)
        = 6/256 = 3/128

カ=③

※ (1,1,1,1) は U4 = 0 です。1 が4つ以上続く部分は「ちょうど3つ」ではないので数えません。

キ,ク:正解 ③, ③(配点3)

<問題要旨>
k = 5 のときの U5 の期待値を求める設問です。

<考え方>
32通りを書き出す必要はありません。「1 がちょうど3つ続く箇所が始まる位置」ごとに確率を出して足します(期待値の線形性)。始まる位置は 1, 2, 3 の3通りです。

■ 位置1から始まる(X₁X₂X₃ = 111, X₄ = 0)
    X₅ は自由
    (1/4)³ × (3/4) = 3/256 = 12/1024

  ■ 位置2から始まる(X₁ = 0, X₂X₃X₄ = 111, X₅ = 0)
    (3/4) × (1/4)³ × (3/4) = 9/1024

  ■ 位置3から始まる(X₂ = 0, X₃X₄X₅ = 111)
    (3/4) × (1/4)³ = 3/256 = 12/1024
E(U₅) = 12/1024 + 9/1024 + 12/1024
        = 33/1024

キク=33、すなわち キ=③、ク=③

※ 両端では「外側の隣」が存在しないので条件が1つ少なく、確率が大きくなります。この違いがケコサの直線の式を生みます。

ケ,コ,サ:正解 ②, ①, ⑧(配点4)

<問題要旨>
E(Uk) が k の1次式になることを使って、E(U300) を求める第3問の結論です。

<考え方>
キクの数え方を一般の k に広げます。始まる位置は 1 から k − 2 までで、両端の2か所だけ確率が違うという構造です。

■ 両端(位置1 と 位置 k−2)… 2か所
    それぞれ 3/256 = 12/1024

  ■ 内側(位置2 〜 位置 k−3)… (k − 4)か所
    それぞれ 9/1024

  E(U_k) = 2×(12/1024) + (k − 4)×(9/1024)
         = (24 + 9k − 36) / 1024
         = (9k − 12) / 1024
検算
  k = 4 → (36 − 12)/1024 = 24/1024 = 3/128 ✓
  k = 5 → (45 − 12)/1024 = 33/1024 ✓

  k = 300 のとき

  E(U₃₀₀) = (2700 − 12) / 1024
           = 2688 / 1024
           = 21 / 8

ケコ/サ=21/8、すなわち ケ=②、コ=①、サ=⑧

※ 一般式を立てなくても、2点 (4, 3/128) と (5, 33/1024) を通る直線として求められます。傾きは 33/1024 − 24/1024 = 9/1024 です。

第4問(選択問題) 数列(積の形の漸化式と数学的帰納法)

等差数列・等比型の漸化式という基本から始まり、後半は (cn + 3)(2cn+1 − cn + 3) = 0 という積が 0 の形の漸化式を扱います。「積が 0 ならどちらかが 0」という当たり前の事実が、数列を一意に決めなくするという点が、この問題の核心です。

ア,イ,ウ,エ:正解 ②, ④, ③, ⑧(配点2)

<問題要旨>
an+1 − an = 14、a1 = 10 のときの a2、a3 を求める設問です。

<考え方>
公差 14 の等差数列です。順に足していきます。

a₂ = 10 + 14 = 24
  a₃ = 24 + 14 = 38

アイ=24、ウエ=38、すなわち ア=②、イ=④、ウ=③、エ=⑧

オ,カ:正解 ①, ④(配点2)

<問題要旨>
{an} の一般項を求める設問です。

<考え方>
等差数列の一般項の公式そのものです。

aₙ = a₁ + (公差) × (n − 1)
     = a₁ + 14(n − 1)

オカ=14、すなわち オ=①、カ=④

キ,ク,ケ,コ:正解 ③, ①, ②, ③(配点3)

<問題要旨>
2bn+1 − bn + 3 = 0 を満たす {bn} の一般項を求める設問です。

<考え方>
bn+1 = pbn + q 型なので、特性方程式(不動点)を使います。

2b_{n+1} = b_n − 3
  b_{n+1} = (1/2)b_n − 3/2

  特性方程式 x = (1/2)x − 3/2
    (1/2)x = −3/2
         x = −3
両辺から −3 を引く(= +3 する)と

  b_{n+1} + 3 = (1/2)(b_n + 3)

  {b_n + 3} は公比 1/2 の等比数列なので

  b_n + 3 = (b₁ + 3)(1/2)^{n−1}

  b_n = (b₁ + 3)(1/2)^{n−1} − 3

キ=③、ク/ケ=1/2、コ=③、すなわち キ=③、ク=①、ケ=②、コ=③

※ この −3 という値が、以降ずっと鍵になります。

サ:正解 ①(配点1)

<問題要旨>
(cn + 3)(2cn+1 − cn + 3) = 0 …① を満たし、c1 = 5 のときの c2 を求める設問です。

<考え方>
n = 1 として①に代入します。前の因数が 0 でないなら、後ろの因数が 0です。

c₁ + 3 = 5 + 3 = 8 ≠ 0

  よって 2c₂ − c₁ + 3 = 0

     2c₂ = c₁ − 3 = 5 − 3 = 2
      c₂ = 1

サ=①

シ,ス,セ,ソ:正解 −, ③, −, ③(配点3)

<問題要旨>
①を満たし c3 = −3 のときの c2、c1 を求める、さかのぼる設問です。

<考え方>
n = 2 として①に代入し、c3 = −3 を入れます。すると完全平方の形が現れます。

n = 2 のとき
  (c₂ + 3)(2c₃ − c₂ + 3) = 0

  c₃ = −3 を代入
  2c₃ + 3 = −6 + 3 = −3 なので

  (c₂ + 3)(−3 − c₂) = 0
  −(c₂ + 3)² = 0

  c₂ = −3
同じことを n = 1 で繰り返すと

  (c₁ + 3)(2c₂ − c₁ + 3) = 0
  c₂ = −3 より 2c₂ + 3 = −3

  (c₁ + 3)(−3 − c₁) = 0
  −(c₁ + 3)² = 0

  c₁ = −3

シス=−3、セソ=−3、すなわち シ=−、ス=③、セ=−、ソ=③

※ 「ある項が −3 なら、その前の項も必ず −3」という、過去へは一意に決まる性質が出てきました。これがテ・トの根拠になります。

タ,チ,ツ:正解 ①, ④, ⓪(配点3)

<問題要旨>
c3 = −3 のとき、c4 = 5 の場合と c4 = 83 の場合それぞれの c5 を求める設問です。

<考え方>
c3 = −3 のときは (c3 + 3) = 0 なので、n = 3 の式は c4 が何であっても成り立ちます。つまり c4 は自由です。そこから先は n = 4 の式で決まります。

■ c₄ = 5 のとき
    c₄ + 3 = 8 ≠ 0 なので
    2c₅ = c₄ − 3 = 5 − 3 = 2
     c₅ = 1
■ c₄ = 83 のとき
    c₄ + 3 = 86 ≠ 0 なので
    2c₅ = 83 − 3 = 80
     c₅ = 40

タ=①、チツ=40、すなわち タ=①、チ=④、ツ=⓪

※ 「−3 が現れると、次の項が決まらなくなる(未来へは分岐する)」。シスセソの逆向きの性質です。

テ:正解 ③(配点2)

<問題要旨>
命題A「c1 ≠ −3 ならすべての n で cn ≠ −3」を証明するために示すべきことを選ぶ設問です。

<考え方>
「すべての自然数 n について」を示すのですから、数学的帰納法です。帰納法の2段目(帰納段階)の書き方を選びます。

数学的帰納法

  (1) n = 1 のとき c₁ ≠ −3   (仮定より成立)
  (2) n = k で c_k ≠ −3 と仮定すると
      n = k+1 でも c_{k+1} ≠ −3

  → (2) を示せばよい

テ=③

※ ⓪や①は「特定の番号だけ」を示すもので、すべての n をカバーできません。④は結論が逆(= −3)になっています。

ト:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
3つの命題 (I)(II)(III) の真偽を判定する、第4問の結論です。

<考え方>
ここまでで得た2つの性質を使います。(あ)−3 より前の項も必ず −3(い)−3 の次の項は自由

■ (I) c₁ = 3 かつ c₁₀₀ = −3

  c₁ = 3 ≠ −3 なので、命題A よりすべての n で
  cₙ ≠ −3。c₁₀₀ = −3 はあり得ない。

  → 偽
■ (II) c₁ = −3 かつ c₁₀₀ = −3

  すべての n で cₙ = −3 とすれば
  (cₙ + 3) = 0 なので①は常に成立。

  → 真(実例がある)
■ (III) c₁ = −3 かつ c₁₀₀ = 3

  c₁ = −3 だから n = 1 の式は c₂ が何でも成立。
  そこで c₂ ≠ −3 に選ぶと、n ≧ 2 では

    2c_{n+1} = c_n − 3
    c_n = (c₂ + 3)(1/2)^{n−2} − 3   (n ≧ 2)

  c₁₀₀ = 3 となるには
    (c₂ + 3)(1/2)⁹⁸ = 6
    c₂ = 6×2⁹⁸ − 3

  これは実際に存在する値。

  → 真

(I) 偽・(II) 真・(III) 真 の組合せは④です。ト=④

※ (III) は「そんな数列があるのか」と迷いますが、c2 を巨大な値にとれば作れます。「ある」を示すには実例を一つ作ればよいという原則どおりです。

第5問(選択問題) 空間ベクトル(2直線の最短距離)

座標空間の2直線について、原点から直線への最短距離、そして2直線間の最短距離を求める設問です。最短になるとき垂直という一点さえ押さえれば、あとは内積の計算だけで進みます。

ア,イ,ウ,エ:正解 ①, −, ①, ①(配点2)

<問題要旨>
A(2, 7, −1)、B(3, 6, 0) について、ベクトル AB を成分で求める設問です。

<考え方>
終点の座標から始点の座標を引きます。

AB→ = (3 − 2, 6 − 7, 0 − (−1))
      = (1, −1, 1)

ア=①、イウ=−1、エ=①、すなわち ア=①、イ=−、ウ=①、エ=①

オ:正解 ⓪(配点2)

<問題要旨>
AB→ と CD→ の内積を求める設問です。

<考え方>
CD→ も同じように成分で出してから、内積を計算します。

C(−8, 10, −3),  D(−9, 8, −4)

  CD→ = (−9 − (−8), 8 − 10, −4 − (−3))
       = (−1, −2, −1)

  AB→・CD→ = 1×(−1) + (−1)×(−2) + 1×(−1)
            = −1 + 2 − 1 = 0

オ=⓪。内積が 0 なので、1 と ℓ2 は垂直(ねじれの位置にある垂直な2直線)です。

カ:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
P が ℓ1 上にあるときの OP→ の表し方を選ぶ設問です。

<考え方>
始点を O にそろえます。

AP→ = s AB→ より

  OP→ = OA→ + AP→
       = OA→ + s AB→

カ=②

キ,ク,ケ,コ,サ:正解 ③, ①, ②, ⑤, ④(配点3)

<問題要旨>
|OP→|² を s の2次式で表す設問です。

<考え方>
OP→ = OA→ + s AB→ を2乗して展開します。

|OP→|² = |OA→ + s AB→|²
         = |AB→|² s² + 2(OA→・AB→)s + |OA→|²
|AB→|² = 1² + (−1)² + 1² = 3

  OA→・AB→ = 2×1 + 7×(−1) + (−1)×1
            = 2 − 7 − 1 = −6
    → 2×(−6) = −12

  |OA→|² = 2² + 7² + (−1)² = 4 + 49 + 1 = 54
|OP→|² = 3s² − 12s + 54

キ=③、クケ=12、コサ=54、すなわち キ=③、ク=①、ケ=②、コ=⑤、サ=④

シ:正解 ①(配点3)

<問題要旨>
|OP→| が最小になるときの、直線 OP と ℓ1 の関係を選ぶ設問です。

<考え方>
点から直線までの距離が最小になるのは垂線を下ろしたときです。垂直は内積 0 で表します。

OP ⊥ ℓ₁

  ℓ₁ の方向ベクトルは AB→ なので

  OP→・AB→ = 0

シ=①

ス:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
|OP→| が最小となる s の値を求める設問です。

<考え方>
2通りの解き方があり、どちらでも同じ答えになります。

■ 花子さんの方法(平方完成)

  |OP→|² = 3s² − 12s + 54
          = 3(s − 2)² + 42

  s = 2 で最小(最小値 √42)
■ 太郎さんの方法(垂直条件)

  OP→・AB→ = (OA→ + s AB→)・AB→
            = OA→・AB→ + s|AB→|²
            = −6 + 3s = 0

  s = 2

ス=②

セ,ソ,タ,チ,ツ,テ,ト,ナ,ニ,ヌ,ネ,ノ:正解 −, ③, ①, ②, −, ⑥, −, ⑦, ①, ②, −, ②(配点4)

<問題要旨>
P が ℓ1 上、Q が ℓ2 上を動くとき、線分 PQ が最小になる P と Q の座標を求める、第5問の結論です。

<考え方>
PQ が最小になるのは、PQ が ℓ1 と ℓ2 の両方に垂直になるときです。内積 0 の式を2本立てて連立します。

P = A + s AB→ = (2 + s, 7 − s, −1 + s)
  Q = C + t CD→ = (−8 − t, 10 − 2t, −3 − t)

  PQ→ = Q − P
       = (−10 − t − s, 3 − 2t + s, −2 − t − s)
■ PQ→・AB→ = 0    (AB→ = (1, −1, 1))

  (−10 − t − s) − (3 − 2t + s) + (−2 − t − s)
  = −15 − 3s = 0

    s = −5
■ PQ→・CD→ = 0    (CD→ = (−1, −2, −1))

  −(−10 − t − s) − 2(3 − 2t + s) − (−2 − t − s)
  = 6 + 6t = 0

    t = −1
P = (2 − 5, 7 + 5, −1 − 5) = (−3, 12, −6)
  Q = (−8 + 1, 10 + 2, −3 + 1) = (−7, 12, −2)

  検算: PQ→ = (−4, 0, 4)
    PQ→・AB→ = −4 + 0 + 4 = 0 ✓
    PQ→・CD→ = 4 + 0 − 4 = 0 ✓
    |PQ→| = √32 = 4√2

P(−3, 12, −6)、Q(−7, 12, −2)、すなわち セ=−、ソ=③、タ=①、チ=②、ツ=−、テ=⑥、ト=−、ナ=⑦、ニ=①、ヌ=②、ネ=−、ノ=②

※ s と t の式がそれぞれ片方の文字しか含まない形(−15 − 3s = 0 と 6 + 6t = 0)になるのは、オで見た AB→・CD→ = 0 のおかげです。連立を解く手間がかからないよう作られています。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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