2024年度 大学入学共通テスト 追試験 化学 解答・解説

2024年度 大学入学共通テスト 追試験「化学」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト 追試験「化学」の全問解説です。第1問が物質の状態、第2問が物質の変化と平衡、第3問が無機、第4問が有機、第5問が高分子と、5つの大問がそれぞれ20点。すべて必答で100点満点です。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と計算過程が開きます。まちがえた設問だけを選んで確認してください。

第1問 物質の状態(塩の性質・沸点・気体の状態方程式・溶解と相分離)

問4はヘキサンとメタノールの相互溶解度を扱う探究型で、表1の「g/100 g 溶媒」という単位の意味を正確につかめるかが勝負です。c は「1.0 g ずつ加える」という設定なので、溶解の限界を超える最初の回を答えることになります。

問1:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
ア「水溶液は塩基性を示す」とイ「二重結合をもたない」の両方に当てはまる塩を選びます。

<考え方>
アは「強塩基と弱酸からできた塩か」で判定します。イは構造式を書いて C=O などの二重結合がないかを確かめます。両方を満たすものを探すので、片方だけ見て決めないことが大切です。

① 塩化アンモニウム NH₄Cl
  弱塩基 NH₃ + 強酸 HCl → 酸性 ×

② 硫化ナトリウム Na₂S
  強塩基 NaOH + 弱酸 H₂S → 塩基性 ○
  Na⁺ と S²⁻ のみ。二重結合なし ○

③ 乳酸ナトリウム CH₃CH(OH)COONa
  強塩基 + 弱酸(乳酸)→ 塩基性 ○
  しかし −COO⁻ に C=O があり
  二重結合をもつ ×

④ 塩化カルシウム CaCl₂
  強塩基 Ca(OH)₂ + 強酸 HCl → 中性 ×

ア・イ の両方を満たすのは ②
問2:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
沸点に関する記述とその理由のうち、下線部(理由の部分)に誤りを含むものを選びます。

<考え方>
結論ではなく「理由」が正しいかを問う形式です。分子間力の強さは、極性が大きいほど強くなる、という向きを確かめます。

① CH₄ < SiH₄ < GeH₄ < SnH₄ の順に沸点が高い
  理由:分子量が大きいとファンデルワールス力が
    強くはたらくため
 → 正しい

② HCl の沸点が分子量のほぼ同じ F₂ より高い
  理由:分子の極性が「小さく」なると
    分子間力が強くはたらくため
 → 誤り
  逆である。極性が「大きい」ほど
  分子間に静電気的な引力がはたらき、
  分子間力は強くなる。
  HCl は極性分子、F₂ は無極性分子

③ H₂O の沸点が H₂S や H₂Se より高い
  理由:H₂O では水素結合が強くはたらくため
 → 正しい

④ スクロースの希薄水溶液の沸点が純水より高い
  理由:100℃ で水溶液の蒸気圧が純水より低いため
 → 正しい(蒸気圧降下 → 沸点上昇)
問3:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
温度 280 K、圧力 1.0×10⁵ Pa の乾燥空気を圧縮して体積を3分の1にしたところ、温度が 420 K になりました。このときの圧力を求めます。

<考え方>
物質量が変わらないので、ボイル・シャルルの法則をそのまま当てはめます。体積が 1/3 になる分と、温度が上がる分の両方が圧力を上げる向きにはたらきます。

ボイル・シャルルの法則
 P₁V₁/T₁ = P₂V₂/T₂

 V₂ = V₁/3 として代入する

 (1.0×10⁵ × V₁)/280 = (P₂ × V₁/3)/420

両辺の V₁ を消す
 1.0×10⁵/280 = P₂/(3 × 420)

 P₂ = 1.0×10⁵ × 1260/280
  = 1.0×10⁵ × 4.5
  = 4.5×10⁵ Pa

(体積 1/3 で3倍、温度 280→420 K で1.5倍。
  3 × 1.5 = 4.5 倍と考えても同じ)
問4 a:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
ヘキサンやメタノールの性質に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
「似たものどうしがよく溶ける」が原則。メタノールは −OH をもつので水と非常によく混ざります。

① ヘキサンは無極性分子である
 → 正しい(C₆H₁₄、対称な鎖状分子)

② メタノールは極性分子である
 → 正しい(−OH をもつ)

③ 室温でヘキサンは水にほとんど溶けない
 → 正しい(無極性 と 極性 で溶けにくい)

④ 室温で水とメタノールは、混合する割合に
  よっては二層に分離する
 → 誤り
  水とメタノールはどちらも極性が大きく
  水素結合をつくるため、
  任意の割合で均一に混ざる。
  二層に分離することはない
問4 b:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
20℃ でメタノールに同じ質量のヘキサンを加えて二層に分離したとき、下層のメタノールに溶けているヘキサンの質量パーセント濃度を求めます。

<考え方>
下層は「メタノールにヘキサンが飽和した溶液」です。表1 の 20℃ の右側の値がそのまま使えます。単位が「g/100 g メタノール」なので、分母は 100 ではなく (100+59) になることに注意します。

表1 の 20℃、下層の値
 メタノールに対するヘキサンの溶解度
  59 g/100 g メタノール

つまり下層の組成は
 メタノール 100 g
 ヘキサン  59 g
 合計    159 g

質量パーセント濃度
 = 59/159 × 100
 = 37.1
 ≒ 37 %

(分母を 100 にして 59 % としないこと。
  溶解度は「溶媒 100 g あたり」の値)
問4 c:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
10℃ で 10 g のメタノールにヘキサンを 1.0 g ずつ追加・撹拌・静置する操作を繰り返すとき、二層に初めて分離するのはヘキサンを合計何 g 加えたときかを求めます。

<考え方>
まずメタノール 10 g に溶けるヘキサンの限界量を計算します。1.0 g ずつ加えるので、その限界を初めて超える回が答えです。「限界量そのもの」ではないところが引っかけになります。

表1 の 10℃、下層の値
 メタノール 100 g にヘキサン 44 g まで溶ける

メタノール 10 g に溶けるヘキサンの限界
 44 × 10/100 = 4.4 g

1.0 g ずつ加えていくと
 1.0 g → 溶ける
 2.0 g → 溶ける
 3.0 g → 溶ける
 4.0 g → 溶ける(4.0 < 4.4)
 5.0 g → 4.4 g を超える
     → 溶けきれず二層に分離する

よって 5.0 g

(4.4 g という限界の値そのものは
  選択肢になく、1.0 g 刻みで初めて
  超えるのが 5.0 g)

第2問 物質の変化と平衡(反応速度・平衡定数・溶解度積・電気分解)

問4は電気分解を三方向から問う総合問題。b はグラフの読み替えで、「同じ電気量で何 mol の電子が流れるか」を基準に Cu と Al を比べます。c のカールフィッシャー法は初見でも、文章に書かれた物質量の対応をたどれば解けます。

問1:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
H₂ + Br₂ → 2HBr の反応速度が v = k[H₂][Br₂]^(1/2) で表されるとき、反応速度が最も大きくなる条件を選びます。

<考え方>
指数が 1 と 1/2 で違うことがポイント。①②④は1つの因子しか変わりませんが、③は圧縮によって両方の濃度が同時に2倍になります。それぞれ何倍になるかを計算して比べます。

v = k[H₂][Br₂]^(1/2)

① [H₂] を2倍
 v は 2¹ = 2 倍

② [Br₂] を2倍
 v は 2^(1/2) ≒ 1.4 倍

③ 同じ温度・物質量で圧力を2倍
 → 体積が 1/2 になる
 → [H₂] も [Br₂] も 2 倍
 v は 2¹ × 2^(1/2)
  = 2 × 1.4 = 2.8 倍

④ k が2倍になる温度にする
 v は 2 倍

最も大きいのは ③
問2:正解 ⑦(配点3)

<問題要旨>
aX + bY ⇄ cZ の反応で、X と Y を 1.0 mol ずつ入れて平衡に達したとき、X,Y,Z がそれぞれ 0.60 mol,0.80 mol,0.40 mol になりました。a/b を求めます。

<考え方>
係数の比は「変化した物質量の比」に等しくなります。平衡時の量ではなく、はじめの量からどれだけ減ったかを計算します。

変化した物質量を求める

 X:1.0 − 0.60 = 0.40 mol 減少
 Y:1.0 − 0.80 = 0.20 mol 減少
 Z:0 → 0.40 mol 増加

係数の比 = 変化量の比
 a : b : c = 0.40 : 0.20 : 0.40
     = 2 : 1 : 2

 a/b = 2/1 = 2.0

(平衡時の量 0.60 : 0.80 で比を
  つくらないこと)
問3:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
BaSO₄ 飽和水溶液の濃度が 1×10⁻⁵ mol/L のとき、BaCl₂ 10.4 mg を含む水 900 mL に、Na₂SO₄ 142 mg を含む水 100 mL を加えました。沈殿せずに残る Ba²⁺ の濃度を求めます。

<考え方>
まず飽和濃度から溶解度積 K_sp を出します。SO₄²⁻ が大過剰なので、残る Ba²⁺ は K_sp を [SO₄²⁻] で割れば求まります。

〔溶解度積を求める〕
 飽和水溶液では
 [Ba²⁺] = [SO₄²⁻] = 1×10⁻⁵ mol/L
 K_sp = (1×10⁻⁵)² = 1×10⁻¹⁰

〔加えた物質量〕
 BaCl₂ 10.4 mg / 208 = 5.0×10⁻² mmol
     = 5.0×10⁻⁵ mol
 Na₂SO₄ 142 mg / 142 = 1.0 mmol
     = 1.0×10⁻³ mol

混合後の体積 900 + 100 = 1000 mL = 1.0 L

〔SO₄²⁻ が大過剰〕
 SO₄²⁻ 1.0×10⁻³ mol に対し
 Ba²⁺ は 5.0×10⁻⁵ mol しかない
 → Ba²⁺ はほとんど沈殿する
 → 問題文の指示どおり SO₄²⁻ の減少は無視
 [SO₄²⁻] = 1.0×10⁻³ mol/L

〔残る Ba²⁺〕
 [Ba²⁺] = K_sp/[SO₄²⁻]
    = 1×10⁻¹⁰ / 1.0×10⁻³
    = 1×10⁻⁷ mol/L
問4 a:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
銅の電解精錬について、粗銅板と純銅板をそれぞれどちらの電極にするか(ア・イ)と、不純物の Zn と Ag のうちどちらが陽極泥になり、どちらがイオンとして溶け出すか(ウ・エ)を答えます。

<考え方>
「溶かしたい方が陽極」と覚えます。不純物の行き先は銅とのイオン化傾向の大小で決まり、銅より大きければ溶け、小さければ溶けずに落ちます。

〔ア・イ〕
 粗銅を溶かして純銅を析出させたい
 → 溶ける側(酸化される側)が陽極
 → ア=陽極(粗銅板)
 → イ=陰極(純銅板)

〔ウ・エ〕イオン化傾向で判断する
 Zn > (Cu) > Ag

 Ag は Cu より小さい
 → 陽極で酸化されず、そのまま
  はがれ落ちて陽極泥になる
 → ウ = Ag

 Zn は Cu より大きい
 → 陽極で酸化されて Zn²⁺ になり、
  陰極では析出しないので溶液に残る
 → エ = Zn

(陽極 ,陰極 ,Ag ,Zn)の組 → ④
問4 b:正解 ①(配点3)

<問題要旨>
CuSO₄ 水溶液の電気分解で Cu が 16 g 析出するときの電気量を Q₀ とします。Al₂O₃ の溶融塩電解で Al を得るとき、電気量と析出する Al の質量の関係を表すグラフを選びます。

<考え方>
同じ電気量なら流れる電子の物質量も同じ。Cu は 2 個、Al は 3 個の電子を必要とするので、その違いが析出量に効きます。

〔Q₀ が何 mol の電子に相当するか〕
 Cu 16 g / 64 = 0.25 mol
 Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu より
 電子 = 0.25 × 2 = 0.50 mol
 → Q₀ は電子 0.50 mol 分

〔同じ Q₀ で析出する Al〕
 Al³⁺ + 3e⁻ → Al
 Al = 0.50/3 = 0.167 mol
 質量 = 0.167 × 27 = 4.5 g

〔2Q₀ のとき〕
 電子 1.0 mol
 Al = 1.0/3 = 0.333 mol
 質量 = 0.333 × 27 = 9.0 g

原点を通り、Q₀ で約4.5 g、
2Q₀ で約9 g となる直線 → ①
問4 c:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
カールフィッシャー法で、電流 5.00×10⁻² A で電気分解したところ余剰の I₂ が検出されるまでに193秒かかりました。試料に含まれていた H₂O の物質量を求めます。

<考え方>
文章に「I₂ が同じ物質量の H₂O とともに消費される」と書かれています。電気量 → 電子 → I₂ → H₂O と、係数をたどって換算していきます。

〔電気量〕
 Q = It = 5.00×10⁻² × 193
  = 9.65 C

〔電子の物質量〕
 9.65 / (9.65×10⁴) = 1.00×10⁻⁴ mol

〔生成した I₂〕
 2I⁻ → I₂ + 2e⁻
 → 電子 2 mol あたり I₂ 1 mol
 I₂ = 1.00×10⁻⁴ / 2
  = 5.00×10⁻⁵ mol

〔H₂O の物質量〕
 I₂ は「同じ物質量の H₂O」とともに
 消費される(問題文より)
 → H₂O = 5.00×10⁻⁵ mol

第3問 無機物質(14族元素・金属イオンの沈殿・コバルト錯塩の組成決定)

問3はコバルト錯塩の配位数を実験から決める本格的な総合問題です。実験Ⅰで Co の量を、実験Ⅱで NH₃ の量を別々に求め、最後に比をとる、という設計。逆滴定なので「加えた酸の全量 − 余った酸」で NH₃ を出すところがポイントです。

問1:正解 ⑧(配点4)

<問題要旨>
元素ア〜エは C,Si,Sn,Pb のいずれかで、記述Ⅰ〜Ⅲの性質をもちます。ア〜エに当てはまる元素の組合せを選びます。

<考え方>
Ⅰで両性の2つに絞り、Ⅱで「鉛ガラス」を思い出してアを確定。Ⅲはケイ素の工業的製法そのものです。三つの記述を順に使えば一意に決まります。

〔Ⅰ〕アとイの単体は希硝酸にも NaOH 水溶液にも溶ける
 → 酸にも塩基にも溶ける=両性
 → 14族では Sn と Pb
 → ア,イ は Sn か Pb

〔Ⅱ〕アを含むガラスは屈折率が大きく
  光学レンズに用いられる
 → 鉛ガラス(クリスタルガラス)
 → ア = Pb
 → したがって イ = Sn

〔Ⅲ〕ウの酸化物をエの単体で還元してウの単体を得る
 → SiO₂ + 2C → Si + 2CO
  (ケイ素の工業的製法)
 → ウ = Si,エ = C

(Pb,Sn,Si,C)の組 → ⑧
問2:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
表1のア〜ウについて、B欄の操作では一方の金属イオンのみを沈殿させることが「できない」水溶液をすべて選びます。

<考え方>
「できない」を選ぶ設問です。それぞれの操作で2つのイオンがどうなるかを書き出し、両方とも沈殿してしまうもの、あるいは両方とも溶けたままのものを探します。

ア Pb²⁺,Fe²⁺ に塩酸
  Pb²⁺ + 2Cl⁻ → PbCl₂↓(白色)
  Fe²⁺ は塩化物が水に溶ける → 沈殿しない
 → Pb²⁺ のみ沈殿する。分離できる ○

イ Fe³⁺,Zn²⁺ に過剰のアンモニア水
  Fe³⁺ → Fe(OH)₃↓(赤褐色)
  Zn²⁺ → [Zn(NH₃)₄]²⁺ となって溶ける
 → Fe³⁺ のみ沈殿する。分離できる ○

ウ Ca²⁺,Ba²⁺ にアンモニア水で弱塩基性に
  してから炭酸アンモニウム水溶液
  Ca²⁺ → CaCO₃↓
  Ba²⁺ → BaCO₃↓
 → どちらも沈殿してしまう
 → 一方のみを沈殿させられない ×

よって ウ
問3 a:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
錯塩 A を 3.01 g とり、シュウ酸を加えて加熱したところ 0.964 g の Co₃O₄(式量241)が得られました。A 中のコバルトの含有率(質量パーセント)を求めます。

<考え方>
Co₃O₄ 1個の中に Co が3個あることを忘れないのが要点です。物質量を出したら3倍してから原子量をかけます。

〔Co₃O₄ の物質量〕
 0.964 / 241 = 4.00×10⁻³ mol

〔Co の物質量〕
 Co₃O₄ 1 mol 中に Co は 3 mol
 4.00×10⁻³ × 3 = 1.20×10⁻² mol

〔Co の質量〕
 1.20×10⁻² × 59 = 0.708 g

〔含有率〕
 0.708 / 3.01 × 100 = 23.5 %
問3 b:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
実験Ⅱ(発生した NH₃ を過剰の希硫酸に吸収させ、残った硫酸を NaOH で滴定する逆滴定)に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
中和点が中性かどうかは、そこに何が残っているかで決まります。NH₃ を吸収した溶液には (NH₄)₂SO₄ ができているので、中和点は中性にはなりません。

① 希硫酸を入れる三角フラスコは、ぬれたまま
  用いてもよい
 → 正しい
  中に入れる硫酸の物質量が決まっていれば、
  水で薄まっても中和に必要な量は変わらない
  (コニカルビーカー・三角フラスコは
   「ぬれていてよい」)

② 残った硫酸と NaOH が過不足なく反応した
  時点で水溶液は中性となる
 → 誤り
  この溶液には NH₃ を吸収してできた
  (NH₄)₂SO₄ が残っている。
  NH₄⁺ は弱酸としてはたらくため、
  中和点は酸性側(pH 5前後)になる

③ 指示薬にメチルオレンジを用いる
 → 正しい
  中和点が酸性側なので、変色域が酸性側の
  メチルオレンジが適する
  (フェノールフタレインでは早く変色する)

④ ビュレット上部のソーダ石灰管は NaOH 水溶液が
  大気中の CO₂ を吸収するのを防ぐため
 → 正しい
問3 c:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
結果Ⅱ(1.00 mol/L 希硫酸 35.0 mL に吸収させ、1.00 mol/L NaOH 水溶液 20.00 mL で滴定)から、一つの Co³⁺ に配位結合している NH₃ の数を求めます。

<考え方>
逆滴定です。「はじめの酸の H⁺」から「NaOH で中和された余りの H⁺」を引くと、NH₃ が受け取った H⁺ の量になります。硫酸は2価なので H⁺ は2倍です。

〔はじめの H⁺〕
 希硫酸 1.00 mol/L × 35.0 mL = 35.0 mmol
 H₂SO₄ は2価なので
 H⁺ = 35.0 × 2 = 70.0 mmol

〔余っていた H⁺(NaOH で中和した分)〕
 NaOH 1.00 mol/L × 20.00 mL = 20.0 mmol
 → 余った H⁺ = 20.0 mmol

〔NH₃ が受け取った H⁺〕
 70.0 − 20.0 = 50.0 mmol
 NH₃ + H⁺ → NH₄⁺ より 1:1
 → NH₃ = 50.0 mmol = 5.00×10⁻² mol

〔Co³⁺ 1個あたりの NH₃ の数〕
 Co³⁺ は 1.00×10⁻² mol

 5.00×10⁻² / 1.00×10⁻² = 5

(配位数6のうち5つが NH₃、
  残り1つが Cl⁻ か H₂O ということになる)

第4問 有機化合物(芳香族・合成高分子・エステルの分離・界面活性剤)

問3aは分液操作の定番で、「エーテル層は上」「塩は水層」「酸性にするとカルボン酸が遊離してエーテル層へ移る」の三つで追えます。問4bは単分子膜の実験から分子1個の断面積を出す、有名な計算です。

問1:正解 ⑤(配点3)

<問題要旨>
芳香族化合物に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
スルホン酸は「強酸」です。カルボン酸(弱酸)より強い、という序列を押さえておきます。

① ベンゼン + プロペン(触媒)→ クメン
 → 正しい(クメン法の第一段階)

② フェノール + 臭素水
  → 2,4,6−トリブロモフェノール(白色沈殿)
 → 正しい

③ アセチレンを赤熱した鉄に触れさせる
  → 3分子が重合してベンゼン
 → 正しい

④ アニリンをさらし粉水溶液で酸化すると赤紫色
 → 正しい(アニリンの検出反応)

⑤ ベンゼンスルホン酸は安息香酸よりも弱い酸
 → 誤り
  ベンゼンスルホン酸 −SO₃H は
  硫酸に匹敵する強酸。
  安息香酸 −COOH(弱酸)よりずっと強い
問2:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
合成高分子に関する記述のうち、下線部に誤りを含むものを選びます。

<考え方>
イソプレンの 1,4−付加重合では、二重結合の位置が移動して主鎖に残ります。これが天然ゴムの弾性や加硫の前提になっています。

① 同じモノマーからでも重合度にばらつきがある
 → 正しい(だから平均分子量で表す)

② 固体の合成高分子の多くは非結晶部分を含む
 → 正しい(結晶部分と非晶部分が混在)

③ ポリメタクリル酸メチルは結晶化しにくく
  透明度が高い
 → 正しい(アクリル樹脂。有機ガラス)

④ イソプレンを 1,4 位で付加重合して得られる
  ポリイソプレン分子中に二重結合は存在しない
 → 誤り
  1,4−付加重合では、もとの2つの二重結合が
  1つになって主鎖の中央に残る。
  この残った C=C があるからこそ
  ゴム弾性を示し、硫黄による加硫もできる
問3 a:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
エステル C₆H₅CO−O−(CH₂)₄−C₆H₅ を NaOH 水溶液で加水分解し、図1の手順で分離しました。カルボン酸 A とアルコール B は主にどの層に含まれるかを選びます。

<考え方>
まず加水分解で何ができるかを書きます。次に「塩は水層、中性の有機物はエーテル層」「エーテルは水より軽いので上層」の二つで追い、最後に酸を加えたときの移動を考えます。

〔加水分解の生成物〕
 C₆H₅COO⁻Na⁺(安息香酸ナトリウム)
 C₆H₅(CH₂)₄OH(アルコール B)

〔1回目の分液〕
 エーテルは水より密度が小さい → 上層

 アルコール B は中性の有機物
 → エーテルに溶ける → 上層1

 安息香酸ナトリウムは塩(イオン性)
 → 水に溶ける → 下層1

〔2回目の分液〕
 下層1 に塩酸を加えて酸性にする
 C₆H₅COO⁻ + H⁺ → C₆H₅COOH
 → 中性分子の安息香酸が遊離する
 → エーテルに溶ける → 上層2

よって
 カルボン酸A = 上層2
 アルコールB = 上層1
問3 b:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
アルコール B(C₁₀H₁₄O)と構造異性体の関係にある化合物のうち、フェニル基をもち、不斉炭素原子をもつ第一級アルコールはいくつあるかを求めます(鏡像異性体は区別しません)。

<考え方>
C₆H₅− を取り除くと C₄H₉−OH の部分が残ります。第一級(−CH₂OH)の骨格を書き出し、フェニル基をつける位置を変えて、不斉炭素ができるかを一つずつ確かめます。

C₁₀H₁₄O から C₆H₅− を除くと C₄H₈−OH
 → ブタノールの骨格にフェニル基がついた形

第一級アルコール(−CH₂OH)の骨格は2種類
 (i) HOCH₂−CH₂−CH₂−CH₃
 (ii) HOCH₂−CH(CH₃)−CH₃

〔(i) にフェニル基をつける〕
 C2 に:HOCH₂−CH(C₆H₅)−CH₂CH₃
  C2 に H,C₆H₅,CH₂OH,C₂H₅
  → すべて異なる ○
 C3 に:HOCH₂−CH₂−CH(C₆H₅)−CH₃
  C3 に H,C₆H₅,CH₃,CH₂CH₂OH
  → すべて異なる ○
 C4 に:HOCH₂−CH₂−CH₂−CH₂C₆H₅
  → 不斉炭素なし ×(これが B 自身)

〔(ii) にフェニル基をつける〕
 C2 に:HOCH₂−C(CH₃)(C₆H₅)−CH₃
  CH₃ が2つ → 不斉炭素でない ×
 末端の CH₃ に:HOCH₂−CH(CH₃)−CH₂C₆H₅
  C2 に H,CH₃,CH₂OH,CH₂C₆H₅
  → すべて異なる ○

条件を満たすのは 3 個
問4 a:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
界面活性剤の性質に関する記述のうち、下線部に誤りを含むものを選びます。

<考え方>
セッケンの弱点は硬水です。Ca²⁺ や Mg²⁺ と難溶性の塩をつくって沈殿してしまい、泡立たなくなります。

① セッケンは水の表面張力を低下させるため
  繊維の内部に浸透できる
 → 正しい(浸透作用)

② セッケンの洗浄力は硬水中でも低下しない
 → 誤り
  硬水に含まれる Ca²⁺ や Mg²⁺ と
  難溶性の塩をつくって沈殿するため、
  泡立たず洗浄力が低下する。
  (合成洗剤はこの欠点がない)

③ 陽イオン界面活性剤は洗浄力は弱いが
  リンスなどに含まれ帯電防止・柔軟効果を与える
 → 正しい

④ 乳化作用により油分をミセル内部に取り込んだ
  微粒子を水中に分散させた乳濁液が得られる
 → 正しい
問4 b:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
0.568 g/L のステアリン酸(分子量284)のシクロヘキサン溶液 0.100 mL を水面に滴下し、単分子膜の面積が 252 cm² になりました。ステアリン酸1分子が水面上で占める面積を求めます。

<考え方>
「質量 → 物質量 → 分子の個数 → 1個あたりの面積」と一直線にたどります。体積の単位を L に直すところだけ気をつけます。

〔ステアリン酸の質量〕
 0.100 mL = 1.00×10⁻⁴ L
 0.568 g/L × 1.00×10⁻⁴ L
 = 5.68×10⁻⁵ g

〔物質量〕
 5.68×10⁻⁵ / 284 = 2.00×10⁻⁷ mol

〔分子の個数〕
 2.00×10⁻⁷ × 6.0×10²³
 = 1.20×10¹⁷ 個

〔1分子が占める面積〕
 252 / (1.20×10¹⁷)
 = 2.10×10⁻¹⁵ cm²

(1個あたり約 2×10⁻¹⁵ cm²、
  つまり一辺 約0.5 nm 程度の断面積で、
  炭化水素鎖の太さとして妥当)

第5問 高分子化合物(ナイロンの発明をめぐる総合問題)

カロザースによるナイロン66の発明を題材にした大問です。問3は「4/(m+n+2) が融点と関係する」という与えられた指標を使ってグラフから読み取る探究型。b は「図から読み取れないもの」を選ぶので、図に情報が載っていない選択肢を探すことになります。

問1:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
高分子化合物とそれを得るための重合反応の組合せとして、誤っているものを選びます。

<考え方>
重合反応は3種類。付加重合(C=C が開く)、縮合重合(水などが取れる)、開環重合(環が開く)。モノマーの形から判断します。

① ナイロン6 ── 開環重合
 → 正しい
  ε−カプロラクタム(環状アミド)の環が開く

② ポリスチレン ── 付加重合
 → 正しい
  スチレン CH₂=CH−C₆H₅ の C=C が開く

③ ポリ酢酸ビニル ── 縮合重合
 → 誤り
  酢酸ビニル CH₂=CH−OCOCH₃ の
  C=C が開く「付加重合」。
  小さい分子が取れる縮合重合ではない

④ フェノール樹脂 ── 付加縮合
 → 正しい
  フェノールとホルムアルデヒドが
  付加と縮合を繰り返す
問2 a:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
pH 6.0 の緩衝液で湿らせたろ紙に、アラニン A(等電点6.0)、グルタミン酸 B、B が2分子結合した化合物 C をつけて電気泳動しました。結果として最も適当なものを選びます。

<考え方>
それぞれが pH 6.0 で正味どちらに帯電するかを考えます。等電点と溶液の pH を比べるのが基本で、C はカルボキシ基が3つある強い酸性化合物です。

〔A:アラニン〕
 等電点 6.0 = 溶液の pH 6.0
 → 正味の電荷が 0
 → 移動しない(× の位置で発色)

〔B:グルタミン酸〕
 側鎖に −COOH をもつ酸性アミノ酸
 等電点は約3.2 で、pH 6.0 より小さい
 → 溶液は等電点より塩基性側
 → 正味「負」に帯電
 → 陽極側に移動する

〔C:B が2分子結合した化合物〕
 −COOH が3つ、−NH₂ が1つ
 → B よりさらに酸性が強い
 → 負の電荷が大きく、より大きく
  陽極側に移動する

A は動かず、B が陽極側へ、
C はさらに陽極側へ → ④
問2 b:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
グリシン2分子を脱水反応させたときに得られると予想される、六員環構造をもつ化合物の構造式を選びます。

<考え方>
グリシン2分子が「両端どうし」で2か所結合すると環になります。−COOH と −NH₂ から水が取れてアミド結合ができる、という繰り返しで環を組み立てます。

グリシン H₂N−CH₂−COOH が2分子

1か所目
 分子1の −COOH と分子2の −NH₂ から
 H₂O が取れてアミド結合 −CO−NH−

2か所目
 残った 分子2の −COOH と分子1の −NH₂ でも
 同じく H₂O が取れてアミド結合
 → 環が閉じる

できる環をたどると
 −NH−CH₂−CO−NH−CH₂−CO−(環)

 原子の並びは
 N,C,C,N,C,C の六員環で、
 2つの C=O が向かい合う位置にある

この並びになっているのは ①
(ジケトピペラジンと呼ばれる環状ジペプチド)

② ③ は C=O の位置や N の並びが合わない
④ は2つの C=O が隣り合っており、
 アミド結合の繰り返しになっていない
問3 a:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
ナイロン mn(m,n は偶数)の融点と数値 4/(m+n+2) の関係が図2 です。ナイロン68 の推定される融点を選びます。

<考え方>
与えられた指標に m と n を代入して横軸の値を出し、図2 の直線から縦軸を読むだけです。

ナイロン68 は m = 6,n = 8

横軸の値
 4/(m + n + 2) = 4/(6 + 8 + 2)
       = 4/16
       = 0.25

図2 で横軸 0.25 のときの直線を読む
 0.20 のとき約205℃
 0.30 のとき約270℃
 → 0.25 では約240〜245℃

よって 約245℃

(参考:ナイロン66 なら
  4/(6+6+2) = 0.286 で約260℃、
  実際のナイロン66 の融点 約265℃ と近い)
問3 b:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
ナイロン mn の構造と融点の関係に関する記述のうち、図1と図2から「読み取れないもの」を選びます。

<考え方>
図に何が描かれているかを確かめます。図1は繰り返し単位と水素結合、図2は 4/(m+n+2) と融点の関係。どちらにも情報がない量を探します。

① ジアミンの炭素数が同じでもジカルボン酸の
  炭素数が変わると融点は変わる
 → 読み取れる
  n が変われば m + n + 2 が変わり、
  図2 上で位置が動く

② 同じ長さ当たりのアミド結合の数が多くなると
  融点は高くなる
 → 読み取れる
  4/(m + n + 2) は繰り返し単位の原子数に対する
  水素結合に関わる原子数の割合。
  これが大きい=アミド結合が密である。
  図2 では右へ行くほど融点が高い

③ ジアミンとジカルボン酸の炭素数の合計が
  大きくなると融点は低くなる
 → 読み取れる
  m + n が大きい → 4/(m+n+2) は小さい
  → 図2 の左側 → 融点が低い

④ 重合度が大きくなると融点は高くなる
 → 読み取れない
  図1 にも図2 にも「重合度」に関する
  情報は一切ない。
  横軸は m と n だけで決まる量であり、
  鎖の長さ(重合度)は変数に入っていない

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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