2025年度 大学入学共通テスト 追試験「地学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2025年度 大学入学共通テスト 追試験「地学基礎」は、解答すべき項目が15、満点50点です。理科基礎は物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目から2科目を選んで解く形式で、4科目が1冊の問題冊子にまとまっているため、地学基礎の解答番号は1ではなく101から115までとなります。2科目あわせて60分なので、1科目あたりの目安は30分です。全問必答で、大問ごとの配点は第1問23点・第2問7点・第3問10点・第4問10点となっています。
この回でまず目につくのは配点の偏りです。第1問だけで23点と全体の半分近くを占める一方、第2問は7点しかありません。第1問はA(固体地球)・B(岩石)・C(地球大気の変化)・D(海底の堆積物)の4区分に分かれ、設問も7問と多い作りです。時間配分を考えるときは、第1問を確実に取りきることを最優先にし、第2問は2問しかない分を落ち着いて押さえる、という組み立てが現実的です。
扱う内容は、第1問がホットスポットのつくる島列・本震と余震・岩石の密度・原始大気の変遷・混濁流(乱泥流)、第2問が季節風のしくみと海洋の大規模な還流、第3問が太陽の姿と太陽系の形成・惑星の諸量、第4問が黄砂・火山災害・太陽活動と、地学基礎の全分野をひととおり通っています。知識だけで即答できる設問(問4の鉱物、問6の流れの名称など)と、図を読んで組み立てる設問がはっきり分かれているので、前者を素早く片づけて後者に時間を残したいところです。
図やグラフを使う設問が多いのもこの回の特徴です。第1問問2の「累積数」のグラフは高さではなく傾きを読む、第1問問7は区間ごとに速さを計算して並べる、第2問問1は等圧線の混み具合を比べる、第3問問3は縦軸の最大目盛りで3つのグラフを見分ける——いずれも、図を眺めて雰囲気で選ぶと外れ、どの目盛りのどの点を見るかを決めてから読むと確実に決まる作りになっています。
第1問(必答) A 固体地球(ホットスポットがつくる島列・本震と余震)
Aは固体地球からの2問で、配点は問1が3点、問2が4点です。問1はホットスポットと島列の関係を地形断面の模式図で、問2は本震と余震の関係を累積数のグラフで問う、どちらも図の読み取りが中心の設問です。
問1:正解 ④(解答番号101/配点3)
<問題要旨>
あるホットスポットでの火山活動によって一連の島が「それぞれ同じ規模で」順に形成されたとき、ホットスポットの位置と海洋プレートの移動の向きを書き加えた地形断面図として正しいものを選ばせる設問です。選択肢①〜④は、海面より高くとがった山・頂部が海面付近で平らな島・海面下に沈んだ低い高まりという同じ3つの高まりが並び、違うのはホットスポットを示す縦線の位置(右端か左端か)と矢印の向きだけです。
<考え方>
模式図の設問は、正解を探しにいく前に「破ってはいけない性質」を挙げて1つずつ落とすのが速い解き方です。ホットスポットはプレートの下のほぼ同じ場所に固定されており、島はその真上で生まれ、プレートに乗って運ばれながら沈降と侵食で低くなっていきます。したがって、(1)ホットスポットの真上にあるのが最も新しく最も高い火山、(2)そこから離れるほど低くなりやがて海面下に沈む、(3)プレートの移動の向きは低くなっていく側を指す、の3点が満たされていなければなりません。
【性質1】ホットスポットの真上 = 生まれたばかり = いちばん高い ①② ホットスポットの縦線は右端。そこにあるのは海面下に沈んだ最も低い高まり → 性質1に反するので、矢印の向きを見るまでもなく不可 ③④ ホットスポットの縦線は左端のとがった高い山の上 → 性質1を満たす 【性質2】ホットスポットから離れるほど低い ③④ 左(海面上に高くとがる)→ 中央(頂部が海面付近で平ら)→ 右(海面下) と順に低くなっている → 満たす 【性質3】プレートの移動の向きは、島が低くなっていく側 低くなっているのは右側 → 島は右へ運ばれた → 矢印は右向き ③ 矢印は左向き → 不可 ④ 矢印は右向き → 可 【検算】ハワイ諸島は南東端のハワイ島で今も噴火し、北西へ向かうほど島は低く小さくなり、 さらに北西の天皇海山列は完全に海面下に沈んでいる。 太平洋プレートの移動の向き(北西)と、低くなっていく向きが一致している よって ④
「それぞれ同じ規模で」とわざわざ断ってあるのは、高さの違いが噴火の規模の差ではなく、できてからの時間の差(沈降と侵食)であることを読ませるためです。ここを読み落とすと、いちばん高い山を「いちばん大きな噴火をした場所」と取り違えてしまいます。
問2:正解 ①(解答番号102/配点4)
<問題要旨>
本震直後に起こる余震の震源分布域が本震の震源域とどういう関係にあるか(ア)と、図1から読み取れる、本震後に1日あたりに起こる余震の数の変化(イ)を答えさせる設問です。図1は、震源付近の領域で1日あたりに起こった地震の回数を4月1日から積算した「累積数」のグラフで、5月1日の本震の直後にほぼ垂直に立ち上がり、その後しだいに寝ていく曲線が描かれています。
<考え方>
縦軸が「累積数」のグラフでは、読むべきは高さではなく傾きです。累積数の傾きがそのまま1日あたりの発生回数にあたるので、曲線が寝ていくことは1日あたりの回数が減っていくことを意味します。アのほうは、余震が本震で割れた断層面とその周辺で起こるという定義に戻れば決まります。
【ア】余震は、本震で割れた断層面やその周辺の、ひずみが調整されきっていない場所で起こる → 本震直後の余震の震源分布域は、本震の震源域と 重なる(③④ が消える) 【イ】図1の縦軸は「累積数」なので、1日あたりの回数 = グラフの傾き 5月1日の直後:ほぼ垂直に立ち上がる → 傾きが非常に大きい 5月11日ごろ:ゆるやかな上りに変わる → 傾きが小さくなる 5月31日近く:ほぼ水平に近い → 傾きがさらに小さい 傾きが一貫して小さくなる → 1日あたりの余震の数は 減っていく 【検算】本震からの10日ほどで累積数はおよそ500以上増えている 5月21日から31日までの10日間では、上がり幅は100にも満たない 同じ10日間で比べて後半のほうが少ない → 「減っていく」と整合 ア = 重なる、イ = 減っていく よって ①
累積数のグラフは定義上けっして減らないので、「線が上がり続けているから余震が増えている」と読むのが最大の落とし穴です。イを「増えていく」と取ってしまう②④は、この読み違いを拾う選択肢になっています。
第1問(必答) B 岩石(地殻をつくる岩石の密度とかんらん岩)
Bは高校生のジオさんとT先生の会話文を題材にした2問で、配点は問3・問4とも3点です。理科室で玄武岩・花こう岩・斑れい岩の密度を測るという場面設定から、岩石の組成と密度の関係、そして上部マントルをつくるかんらん岩の構成鉱物へと進みます。
問3:正解 ③(解答番号103/配点3)
<問題要旨>
会話文の中で斑れい岩の密度が3.0 g/cm³と測定されたことが示され、玄武岩の密度(ウ)と花こう岩の密度(エ)の組合せを、2.7/3.0/3.3という3つの値の中から選ばせる設問です。会話の最後にはT先生が「上部マントルをつくるかんらん岩は、今回測定した地殻の岩石よりも密度が大きい」と述べています。
<考え方>
岩石の密度は、それをつくる鉱物の組成で決まります。有色鉱物(苦鉄質鉱物)を多く含むほど密度は大きく、石英やカリ長石といった無色鉱物が多いほど小さくなります。与えられた斑れい岩の3.0を軸に、玄武岩は斑れい岩と同じ組成、花こう岩はより珪長質、という関係で並べ、残る3.3の行き先を会話文の最後の一文で確かめれば決まります。
与えられている値 斑れい岩 = 3.0 g/cm³ 選べる値 2.7 / 3.0 / 3.3 【ウ:玄武岩】 玄武岩と斑れい岩は化学組成が同じ苦鉄質の岩石で、違うのは冷え方(火山岩か深成岩か)だけ → 密度も斑れい岩とほぼ同じ ウ = 3.0 【エ:花こう岩】 花こう岩は石英・カリ長石を多く含む珪長質岩で、有色鉱物が少ない → 玄武岩・斑れい岩より小さい エ = 2.7 【残る 3.3 の行き先】 会話文「かんらん岩は…今回測定した地殻の岩石よりも密度が大きくなっています」 → 3.3 はかんらん岩の値であり、地殻の岩石(玄武岩・花こう岩)には当てられない → ウ・エ に 3.3 が入る ②④⑤⑥ が消える 残るのは ①(ウ 2.7、エ 3.0)と ③(ウ 3.0、エ 2.7) 玄武岩 > 花こう岩 でなければならないので ③ よって ③
密度の目安は花こう岩が約2.7、玄武岩・斑れい岩が約3.0、かんらん岩が約3.3です。この3つの数を「珪長質 → 苦鉄質 → 超苦鉄質」の順に並べて覚えておくと、大陸地殻が海洋地殻より浮き、どちらもマントルの上に浮いているという重なり方もそのまま説明できます。
問4:正解 ②(解答番号104/配点3)
<問題要旨>
会話文の下線部にあるかんらん岩が「おもにかんらん石と鉱物Aからなる」として、鉱物Aにあたるものを石英・輝石・角閃石・黒雲母の4つから選ばせる設問です。
<考え方>
鉱物は「どんな組成のマグマから、どのくらいの温度で晶出するか」で並べられます(ボーエンの反応系列)。かんらん岩はSiO₂の少ない超苦鉄質岩で、最も高温側で晶出する有色鉱物だけからできているので、候補は自動的に絞られます。
① 石英 誤 珪長質岩(花こう岩・流紋岩)に多い無色鉱物。 SiO₂ が余ったときに最後に晶出するので、超苦鉄質のかんらん岩には含まれない ② 輝石 正 かんらん石に次いで高温で晶出する有色鉱物。 かんらん岩は かんらん石 + 輝石 が主体で、これが上部マントルをつくる ③ 角閃石 誤 中間質〜珪長質(安山岩・閃緑岩など)に多い有色鉱物で、より低温側 ④ 黒雲母 誤 珪長質岩(花こう岩など)に多い有色鉱物。含水鉱物で最も低温側 よって ②
SiO₂の量で並べると、かんらん岩(超苦鉄質)< 斑れい岩・玄武岩(苦鉄質)< 閃緑岩・安山岩(中間質)< 花こう岩・流紋岩(珪長質)となり、問3の密度の並びと同じ順番になります。密度と鉱物組成はセットで覚えると効率がよいところです。
第1問(必答) C 地球大気の変化(原始大気の主成分とその減少)
Cは高校生のペルムさんとT先生の会話文による1問だけの区分で、配点は4点です。原始大気の主成分が何であったかと、それが先カンブリア時代の前半に大きく減った理由を問います。
問5:正解 ⑤(解答番号105/配点4)
<問題要旨>
原始大気の主成分は水蒸気と何だったか(オ)、そしてその成分が先カンブリア時代の前半に大きく減少したのはなぜか(カ)を、会話文の空欄として答えさせる設問です。
<考え方>
地球大気の歴史は「その時代に何が存在したか」で切るのが基本です。原始大気は微惑星の衝突にともなう脱ガスでできたので、組成は火山ガスに近く、水蒸気と二酸化炭素が主成分になります。減少の原因を選ぶときは、その仕組みが先カンブリア時代の前半(およそ40億〜25億年前)に存在しえたかどうかを一つずつ確かめます。
【オ】原始大気は微惑星の衝突による脱ガスで生じた 火山ガスの主成分は 水蒸気 と 二酸化炭素 (メタンは原始大気に含まれはしても「主成分」ではない) → オ = 二酸化炭素(①②③ が消える) 【カ】残る ④⑤⑥ を、先カンブリア時代の前半に起こりえたかで判定する ④ 植物体に取り込まれ、地層中に埋没した 誤 陸上植物が広がるのは古生代のシルル紀以降。 大量の埋没が起こるのは石炭紀で、10億年単位で時代がずれる ⑤ 原始海洋が形成され、海洋に溶け込んだ 正 地表が冷えて水蒸気が凝結し海ができると、二酸化炭素は海水に溶け、 カルシウムイオンなどと結びついて石灰岩(炭酸塩)として固定された ⑥ 氷床が発達し、その中に閉じ込められた 誤 氷は大気の二酸化炭素を大量に固定する貯留場所にはならない。 全球凍結も、二酸化炭素が減った結果として起こった側の出来事 よって ⑤
オの穴が二酸化炭素と決まった時点で、残りは「その仕組みは何年前から使えるか」という年代の突き合わせだけになります。カの選択肢を、仕組みの説得力ではなく時代で切るのがこの設問の要です。
第1問(必答) D 海底の堆積物(海底ケーブルの切断から流れを読む)
Dは、地震で海底堆積物が崩れ、沖合の4本の海底ケーブルがAからDの順に切れたという記録を題材にした2問で、配点はどちらも3点です。問6は流れの名称を、問7は図2の距離と時刻から流れの速さの変化を読ませます。
問6:正解 ④(解答番号106/配点3)
<問題要旨>
地震で海底堆積物が大規模に崩れたあと、どの海底ケーブルの周辺にも1層の連続したタービダイトが新たに堆積していた、という事実を踏まえ、ケーブルを切断した「タービダイトを堆積させた流れ」の名称を選ばせる設問です。
<考え方>
堆積物の名前から流れの正体をたどります。タービダイトは、砂や泥を大量に懸濁させて周囲の海水より重くなった流れが海底斜面を流れ下り、止まるときに粗い粒子から順に沈んで級化層理をつくった地層です。これを残す流れは定義上ひとつに決まります。
① 津波 誤 海面を伝わる波であり、海底を流れ下って級化した砂泥層を 深海底に残す流れではない ② 海流 誤 表層をほぼ定常的に流れる水の流れ。 大量の砕屑物を深海底まで一気に運ぶ働きはない ③ 土石流 誤 陸上の山腹や谷で、水と土砂が一体となって流れ下る現象 ④ 混濁流(乱泥流)正 堆積物を懸濁させて重くなった水が海底斜面を流れ下る流れ。 その堆積物がタービダイト よって ④
「タービダイト = 混濁流(乱泥流)の堆積物」という言い換えを押さえておけば即答できます。また、1回の流れが1層の級化層をつくるので、本文の「1層の連続したタービダイトが新たに堆積していた」という記述は、4本のケーブルが同じ1回の流れで切られたことの証拠にもなっており、問7の前提になっています。
問7:正解 ③(解答番号107/配点3)
<問題要旨>
図2には、地震で崩壊した場所(×)から沖合へ向かって並ぶケーブルA〜Dの切断位置と、地震発生時から通信が不通になるまでの時間(A 02:30、B 05:30、C 07:30、D 12:00)、および隣り合う切断位置の間の距離(A-B間140 km、B-C間70 km、C-D間140 km)が示されています。ケーブルAの切断位置からケーブルDの切断位置に達するまでの流れの速さがどう変化したかを答えさせる設問です。
<考え方>
速さ=距離÷時間を、区間ごとに計算して並べるだけの設問です。AからDまでをひとまとめにした平均の速さを出しても「増えたか減ったか」は分からないので、必ずA-B・B-C・C-Dの3区間に分けます。時刻は「地震発生時からの経過時間」なので、引き算すればそのまま区間の所要時間になります。
【図から読む値】 時刻 A 02:30 B 05:30 C 07:30 D 12:00 距離 A-B 140 km B-C 70 km C-D 140 km 【区間ごとの速さ】 A→B 所要時間 = 5:30 − 2:30 = 3時間00分 = 3.0 時間 速さ = 140 ÷ 3.0 = 約47 km/h B→C 所要時間 = 7:30 − 5:30 = 2時間00分 = 2.0 時間 速さ = 70 ÷ 2.0 = 35 km/h C→D 所要時間 = 12:00 − 7:30 = 4時間30分 = 4.5 時間 速さ = 140 ÷ 4.5 = 約31 km/h 約47 > 35 > 約31 → どの区間でも前の区間より小さい 【① ほぼ一定 との切り分け】最初の区間が約47 km/h、最後の区間が約31 km/h。 1.5 倍の開きがあり、3区間が一方向に下がり続けているので「ほぼ一定」とは言えない 【④ 増加した後に減少 との切り分け】前の区間より速くなった区間が1つも無い 【② 増加した との切り分け】同上 よって ③
図2の海底地形を見ると、崩壊した場所(×)のあたりは水深2 km付近の急な斜面で、ケーブルが並ぶ沖合は水深5 km前後のほぼ平らな深海底です。斜面を下るときに得た勢いが、平坦な海底に出たあとしだいに失われていくという描像と、計算で出た「速さが落ちていく」結果は矛盾しません。
第2問(必答) 大気と海洋(季節風のしくみと海洋の大規模な還流)
第2問は配点7点、設問が2問だけの軽い大問です。問1(4点)は夏と冬の海面気圧分布図から季節風が吹くしくみを組み立てさせ、問2(3点)は北太平洋・北大西洋の亜熱帯還流の向きと駆動源を問います。
問1:正解 ④(解答番号108/配点4)
<問題要旨>
図1は、日本付近における夏(6月〜8月平均)と冬(12月〜2月平均)の海抜0 mにおける気圧分布で、等圧線は夏・冬とも3 hPa間隔で描かれています。夏の図では地点Aが大陸上、地点Bが北太平洋上に、冬の図では地点Bが大陸(シベリア)上、地点Aが北太平洋上に置かれています。海洋と大陸の暖まりやすさの違い(ア)、地点Bと地点Aの気圧の大小(イ)、冬と夏の季節風の強さの比較(ウ)を答えさせる設問です。
<考え方>
季節風は「陸と海の比熱の違い → 温度差 → 気圧差 → 風」という一本の筋道で決まります。水は岩石より比熱が大きいので、海洋は暖まりにくく冷めにくい——この一語が決まれば、夏は海洋が相対的に低温で高圧、冬は海洋が相対的に高温で低圧と、符号がすべて自動的に決まります。風の強さは気圧傾度で決まるので、等圧線の間隔が同じ3 hPaである以上、同じ範囲に何本通っているかで比べられます。
【ア】水は岩石より比熱が大きく、しかも対流と混合で熱が深くまで運ばれる → 海洋は大陸より 暖まりにくく、冷めにくい(①②③ が消える) 【イ】アから温度と気圧の関係を決める 夏:海洋が相対的に低温 → 下降気流 → 高圧(北太平洋高気圧) 大陸が相対的に高温 → 上昇気流 → 低圧 夏の図では B が北太平洋上(高圧側)、A が大陸上(低圧側) → B > A 冬:大陸が相対的に低温 → 高圧(シベリア高気圧) 海洋が相対的に高温 → 低圧(アリューシャン低気圧) 冬の図では B が大陸上(高圧側)、A が北太平洋上(低圧側) → B > A 夏・冬のどちらでも B は A より 高い(⑤ が消える) 【ウ】等圧線はどちらの図も3 hPa間隔なので、本数の多さがそのまま気圧傾度の大きさ 冬の図:日本付近を南北に走る等圧線が何本も密に並ぶ 夏の図:同じ範囲を通る等圧線はごく少なく、間隔も広い → 冬のほうが気圧傾度が大きい → 冬の季節風は夏にくらべて 強い → ア・イ が同じ ④ と ⑥ のうち、ウ = 強い の ④ よって ④
問題文の「このため、冬の日本付近では北西の季節風が吹く」という一文自体が、イの答えの念押しになっています。大陸の高気圧から海洋の低気圧へ向かう風が転向力で右にそれるから北西風になるのであって、イを「低い」としてしまうと、この一文と話がつながらなくなります。
問2:正解 ①(解答番号109/配点3)
<問題要旨>
北太平洋にある、黒潮やカリフォルニア海流を含む大規模な還流の回転の向き(エ)と、北大西洋の湾流(メキシコ湾流)・北大西洋海流を含む同様の還流も合わせて、こうした還流を駆動しているもの(オ)を選ばせる設問です。
<考え方>
還流の向きは、名前の挙がっている海流がどこをどちら向きに流れるかを地図の上でつなげば決まります。駆動源については、「表層の大規模な還流は風で駆動される風成循環」「深層の流れは水温と塩分の差による密度差で駆動される熱塩循環」という二分法に戻れば選べます。
【エ】黒潮 北太平洋の西側(日本の南岸)を 北へ 流れる暖流 カリフォルニア海流 北太平洋の東側(北アメリカ西岸)を 南へ 流れる寒流 西で北上し、東で南下する → 地図の上では 時計回り (北大西洋でも、西岸の湾流が北上し東側が南下するので同じ向き) → エ = 時計回り(③④ が消える) 【オ】亜熱帯還流は、低緯度の貿易風(東寄りの風)と中緯度の偏西風(西寄りの風)が 海面を引きずることで生じる 風成循環 海水の密度差(水温・塩分の差)で駆動されるのは、 北大西洋北部で沈み込んで深海をめぐる深層循環のほう → オ = 海上の風 よって ①
同じしくみでも、南半球の亜熱帯還流は反時計回りになります。転向力の向きが北半球と逆だからで、「北半球は時計回り」と丸暗記するより、風の向きと転向力から組み立て直せるようにしておくほうが応用が利きます。
第3問(必答) 太陽系の天体(太陽の姿・惑星の形成・惑星の諸量グラフ)
第3問は配点10点で3問。問1(4点)は太陽についての4つの文から正しい2つを選ぶ正誤判定、問2(3点)は原始太陽系円盤から木星型惑星ができるまでの筋道、問3(3点)は地球・木星・天王星の半径・平均密度・公転周期を示した3つのグラフを見分ける設問です。
問1:正解 ⑤(解答番号110/配点4)
<問題要旨>
太陽について述べたa〜dの4つの文のうち、内容が正しい2つの文の組合せを選ばせる設問です。aは原始太陽からの変化、bは核融合反応が起こる場所、cは太陽を構成する元素、dは太陽の進化段階について述べています。
<考え方>
組合せの設問では、選択肢を見る前に4文すべての正誤を独立に決めてしまうのが確実です。判断の拠りどころは、星は収縮して中心が高温になること、核融合は中心核でのみ起こること、太陽の組成は水素が圧倒的であること、太陽は現在主系列星であること、の4点です。
a 原始太陽がゆっくり膨張して太陽になった。 誤 星間物質が自らの重力で 収縮 し、中心部の温度と密度が上がって 核融合が始まったのが太陽。向きが逆で、膨張ではない b 太陽の核融合反応はその中心部で起こっている。 正 水素の核融合が起こるのは、温度が約1600万Kに達する中心核だけ。 その外側の放射層・対流層は、できたエネルギーを運ぶ役割 c 太陽を構成する元素は酸素が最も多い。 誤 原子の個数の割合で水素が約92%、ヘリウムが約8%を占める。 酸素はごく微量にすぎない d 太陽は現在、主系列星の段階にある。 正 中心部で水素を燃やしている安定した段階。年齢は約46億年で、 主系列星としての寿命(約100億年)の途中にある 正しいのは b と d よって ⑤
cは「地殻で最も多い元素は酸素」という別の知識と混線させる作りになっています。宇宙全体と太陽は水素、地球の地殻は酸素、と対にして覚えておくと引っかかりません。
問2:正解 ⑥(解答番号111/配点3)
<問題要旨>
原始太陽系円盤の太陽に近い高温領域では固体として存在できないが、遠い低温領域では固体になる物質(ア)、その物質を含む微惑星が成長したのち強い重力で引き付けた多量のもの(イ)、その結果できた惑星の種類(ウ)を答えさせる設問です。
<考え方>
太陽系の惑星が2種類に分かれた原因は、円盤のどこに「氷ができる境目(雪線)」があったかに尽きます。雪線の外側では固体成分の量が一気に増えるので原始惑星が大きく育ち、重力が強くなってガスまで捕まえられる——この順に追えば、3つの空欄は一本の流れで決まります。
【ア】太陽に近い高温領域では固体になれず、遠い低温領域では固体(氷)になる物質 = 水 窒素は凝結温度が低すぎて、惑星形成領域で固体の主役になる物質ではない → ア = 水(①②③ が消える) 【イ・ウ】ア = 水 である ④⑤⑥ を比べる 雪線の外側では、岩石に氷が加わる分、固体物質の量が内側より数倍多い → 微惑星が衝突・合体して大きな原始惑星に育つ → 重力が強くなる 強い重力で「引き付けられる」のは、軽く広がっている水素・ヘリウムの ガス (岩石は重力で引き寄せる対象ではなく、衝突・合体で集まるもの) → イ = ガス(⑤ が消える) 厚いガスの層をまとった惑星 = 木星型惑星 → ウ = 木星型惑星(④ が消える) よって ⑥
地球型惑星は雪線の内側でできたため固体材料が少なく、小さいままで重力も弱く、ガスを捕まえられずに岩石と金属だけの惑星になりました。この違いがそのまま数値に出たのが、次の問3の平均密度のグラフです。
問3:正解 ⑤(解答番号112/配点3)
<問題要旨>
図1のa〜cは、地球・木星・天王星について、横軸に太陽からの距離(天文単位)、縦軸に半径・平均密度・公転周期のいずれかを、いずれも地球を1とする値で示したものです。a〜cの縦軸がそれぞれ何かを見分けさせる設問で、3つのグラフはどれも「右上がりまたは右下がりに3点が並ぶ」似た見た目をしています。
<考え方>
図の選択肢は形ではなく縦軸の目盛りの数値で切ります。地球を1としたときの3つの量のおおよその値を先に自分で出しておき、それぞれのグラフの最大の点がどの目盛りまで届いているかと突き合わせれば、形を見比べる必要はありません。横軸は地球が1、木星が約5.2、天王星が約19天文単位なので、3点の左右の順もあらかじめ決まっています。
【先に値を出す】いずれも地球 = 1 とする 半径 地球 1 木星 約11 天王星 約4 平均密度 地球 1 木星 約0.24 天王星 約0.23(どちらも 1 より小さい) 公転周期 地球 1 木星 約12 天王星 約84 【グラフの縦軸の最大目盛りと点の位置で切る】 a 縦軸は 0〜100。いちばん右(天王星、約19天文単位)の点が 80 と 100 の間にある 80 台まで届く量は 公転周期 だけ → a = 公転周期 b 縦軸は 0〜12。木星(約5.2天文単位)の点が 11 あたり、天王星の点が 4 あたり 地球 1・木星 11・天王星 4 という並びは 半径 → b = 半径 c 縦軸は 0〜1.2。地球が 1.0、木星と天王星はどちらも 0.2 あたりで並ぶ 1 を超えない量は 平均密度 だけ → c = 平均密度 【検算】c で木星と天王星がほぼ同じ高さに並ぶのは、 どちらもガスや氷が主体で平均密度が 0.2 台という事実と合う b で木星が天王星の3倍近く高いのは、半径の比(約11.2 : 約4.0)と合う a が右へ行くほど急に高くなるのは、ケプラーの第三法則(周期の2乗が 軌道長半径の3乗に比例)と合う よって ⑤
aとbは「木星と天王星のどちらが高いか」が逆になっている点が決め手です。半径は木星が最大ですが、公転周期は太陽から遠い天王星が最大になります。ケプラーの第三法則から、太陽から遠いほど公転周期は必ず長くなると押さえておけば迷いません。
第4問(必答) 自然環境と災害(黄砂・火山災害・太陽活動)
第4問は配点10点で3問。問1(3点)は黄砂を運ぶ風と移動にかかる時間の見積もり、問2(4点)は火山災害にかかわる用語と火山ガスの組成、問3(3点)は太陽黒点とフレアが地球に及ぼす影響の時間差を扱います。
問1:正解 ①(解答番号113/配点3)
<問題要旨>
黄砂が、日本から3000〜5000 kmほど離れた大陸の乾燥域から運ばれてくることを踏まえ、それを運ぶ風の名称(ア)と、その風の速度が時速100 km程度だとしたときに砂塵が巻き上がったのはどれくらい前かという見積もり(イ)を答えさせる設問です。
<考え方>
語句の空欄は緯度で決まり、時間の空欄は割り算で決まります。日本は中緯度にあり、その上空を西から東へ吹くのは偏西風です。貿易風は低緯度を東から西へ吹くので、大陸から日本へ運ぶ働きはしません。時間のほうは、時間=距離÷速さで数値を出してから、「数日」「数週間」と桁を比べます。
【ア】日本は北緯およそ30〜45度の 中緯度 に位置する 中緯度の上空を西から東へ吹く風 = 偏西風 貿易風は低緯度を東から西へ吹く風なので、 西にある大陸から東の日本へ運ぶ向きにならない → ア = 偏西風(③④ が消える) 【イ】時間 = 距離 ÷ 速さ 近い側 3000 km ÷ 100 km/h = 30 時間 遠い側 5000 km ÷ 100 km/h = 50 時間 30〜50 時間 = 1.3〜2.1 日 → およそ 1〜2 日 これは「数日」の範囲に収まる 【数週間 との切り分け】数週間を2週間とすると 24 × 14 = 336 時間。 時速100 kmなら 33600 km 進むことになり、地球1周(約4万km)に近い。 3000〜5000 km とは桁が1つ違うので不可 よって ①
「時速100 km程度」という設定は、上空を吹くジェット気流の風速(秒速30 m前後、時速にしておよそ100 km)とおおむね一致しています。桁の見積もりを求められたら、出した時間を24で割って日数に直すところまでやると、選択肢と比べやすくなります。
問2:正解 ①(解答番号114/配点4)
<問題要旨>
マグマの噴出がなくてもマグマが地下水と接したときに起こり、規模が大きい場合には山体崩壊を招くことのある現象(ウ)、そうして生じた大量の土石が山腹を流れ下る現象の名称(エ)、火山ガスの大部分を占める成分(オ)の組合せを選ばせる設問です。
<考え方>
3つの空欄はそれぞれ独立した知識なので、1つずつ確定させて選択肢を半分ずつ落としていきます。ウは「水が急に気化して体積が一気に増える」現象、エは「すでに固まっている岩石が崩れて流れ下る」現象、オは火山ガスの組成の順位、と押さえます。
【ウ】マグマの熱で地下水が急激に気化し、体積が一気に増えて起こる爆発 = 水蒸気爆発 液状化現象は、地震の揺れで地下水を含む砂層が液体のようにふるまう現象であり、 マグマや火山とは関係しない → ウ = 水蒸気爆発(⑤⑥⑦⑧ が消える) 【エ】山体崩壊で生じた 大量の土石(すでに固まった岩石の破片)が山腹を流れ下る現象 = 岩なだれ(岩屑なだれ) 溶岩流は噴出した溶融状態のマグマそのものが流れる現象なので、 「マグマの噴出がなくても」という本文の前提と合わない → エ = 岩なだれ(岩屑なだれ)(③④ が消える) 【オ】火山ガスの組成は体積で水蒸気が9割前後を占め、次に多いのが二酸化炭素 本文も「火山ガスの大部分は オ であるが、二酸化硫黄や硫化水素などの 人体に有害な成分も含んでいる」と、オ が圧倒的多数であることを示している → オ = 水蒸気(② が消える) よって ①
岩なだれ(岩屑なだれ)と火砕流は別物です。火砕流は高温の火山灰・軽石と火山ガスが一体となって高速で流れ下る現象、岩なだれは山体が崩れた土砂の流れで、必ずしも噴火をともないません。日本では1888年の磐梯山の噴火が岩なだれの代表例です。
問3:正解 ④(解答番号115/配点3)
<問題要旨>
太陽表面の黒点の温度が周辺と比べてどうか(カ)と、フレアで放出された荷電粒子が地球に到達するまでにかかる時間(キ)を答えさせる設問です。本文には、光速で進む電磁波は約8分で地球に届くと書かれています。
<考え方>
黒点が黒く見える理由と、電磁波と荷電粒子の速さの違いに戻れば決まります。黒点が暗いのは周囲より温度が低いからです。荷電粒子は質量をもつ粒子なので光速では進めず、到達時間は電磁波の約8分より必ず長くなります。この不等号だけで時間の選択肢が切れます。
【カ】黒点の温度は約4000 K、周囲の光球は約6000 K 温度が 低い ほど単位面積あたりの放射が弱く、暗い斑点に見える → カ = 低い(①② が消える) 【キ】本文より、光速で進む電磁波は 約8分 で地球に届く 荷電粒子は質量をもつ粒子なので、光速より遅くしか進めない → 到達時間は必ず 8分より長い 選択肢「約1分」は 8分 より 短い → 光速を超えることになり不可(③ が消える) → キ = 数日 【検算】太陽と地球の距離は約1.5億 km = 1.5×10⁸ km 3日(=72時間)で到達するとすると 1.5×10⁸ ÷ 72 = 約2.1×10⁶ km/h = 秒速 約580 km 実際の太陽風の速さ(秒速400〜800 km程度)と同じ桁 → 「数日」と整合 よって ④
電磁波は約8分、荷電粒子は数日という時間差があるため、フレアを観測してから磁気嵐に備えることができます。「デリンジャー現象(短波の通信障害)は電磁波が原因でフレアの直後に起こる/磁気嵐やオーロラは荷電粒子が原因で数日後に起こる」と対にして押さえておくと整理しやすいところです。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

