2026年度 大学入学共通テスト 本試験「地学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
地学基礎は試験時間30分、満点50点、第1問〜第4問の4大問すべて必答で、解答する項目は全15項目です。配点は第1問20点・第2問10点・第3問10点・第4問10点。理科基礎は「物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎」の4科目が1冊の問題冊子にまとめられ、そのうち2科目を選んであわせて60分で解答します。冊子全体で100点満点となるため、地学基礎の解答番号は1ではなく101から115までになっています。
内容は、第1問が固体地球・火山と岩石・地質(A 地球の構造と地震、B 火山と岩石、C 生物の大量絶滅と地質構造)、第2問が大気と海洋(A 大気、B 海洋)、第3問が宇宙(A 宇宙と太陽、B 太陽系)、第4問が自然災害という、地学基礎の全分野をひととおり回る構成です。全15項目のうち10項目が「語の組合せを選ぶ」形式で、残りが計算2問・誤文選択1問・図の対応づけ1問・証拠を選ぶ1問という内訳になっています。
得点差がつくのは、計算と図の突き合わせです。解答番号102は二つの地点の地震計記録から発震時を求める問題で、初期微動継続時間の比から震源距離の比を出し、P波到着時刻の差を使うという二段構えになります。解答番号109は酸素飽和度の鉛直分布とコンベアベルトの概念図を突き合わせる問題で、「深層水は沈降してからの経過時間が長いほど酸素が少ない」という原理を先に立てられるかで決まります。解答番号112の誤文選択は、日周運動の向きを決めるのが自転か公転かという一点が決め手です。
一方で、カルデラと火山砕屑物(解答番号103)、大理石と接触変成作用(104)、K-Pg境界のイリジウム(105)、オホーツク海高気圧と冷夏(107)、宇宙の晴れ上がりと太陽の年齢(110・111)、花こう岩の物理的風化(115)は、用語を対比の形で覚えていれば短時間で確定できます。30分という試験時間に対して知識問題の比重が大きいので、まず知識で取れるところを確実に押さえ、残りの時間を計算と図の設問に回す配分が有効です。
第1問 A 地球内部の層構造と地震の計算
第1問は配点20の4大問中で最も大きく、A・B・Cの三つに分かれます。Aは地球の構造と地震で、層構造の表の穴埋めと、二つの観測点の地震計記録から発震時を求める計算の2問です。
問1:正解 ②(解答番号101/配点4)
<問題要旨>
表1に地球内部の層構造(地殻・マントル・外核・内核)と各層の構成物質・状態が示され、マントルの構成物質(ア)、外核の構成物質(イ)と状態(ウ)、内核の状態(エ)に入る語の組合せを選びます。地殻が岩石で固体、内核が金属であることは表に与えられています。
<考え方>
地球内部を「岩石の層(地殻・マントル)」と「金属の層(核)」に二分し、そのうえで外核だけが液体であるという層構造の基本に戻れば決まります。外核が液体であることはS波が核を通過しないという観測事実から分かり、内核は同じ金属でも圧力が非常に高いため固体です。
【ア】マントルの構成物質 核より軽く、地殻の岩石より重いかんらん岩質の岩石でできている → 岩石 【イ】外核の構成物質 核は鉄・ニッケルを主成分とする → 金属 【ウ】外核の状態 S波(横波)は液体を伝わらず、核を通過しない → 液体 【エ】内核の状態 外核と同じ金属だが、超高圧のため融点が上がっている → 固体 ア 岩石 ・ イ 金属 ・ ウ 液体 ・ エ 固体 よって ②
「核は金属」「液体なのは外核だけ」の2点を押さえれば選択肢は一つに決まります。内核まで液体としてしまう誤りが多いところです。
問2:正解 ③(解答番号102/配点3)
<問題要旨>
図1に、ある地震について二つの地点A・Bで観測された地震計の記録が、0時31分20秒から44秒の範囲で示されています。▼印がP波、▽印がS波の到着時刻で、この地震が発生した時刻(発震時)を選びます。P波・S波の速度はそれぞれ一定とします。
<考え方>
初期微動継続時間(S波とP波の到着時刻の差)が震源距離に比例する、という大森公式に戻ります。まず横軸の目盛りから各地点のP波・S波の到着時刻を読み、継続時間の比から震源距離の比を出します。次にP波の走時も震源距離に比例することを使い、二つの地点のP波到着時刻の差から走時そのものを決めます。
【図1の読み取り】横軸は2秒ごとの目盛り。▼▽がどの目盛りに立っているかを見る 地点A P波 0時31分32秒 S波 0時31分38秒 → 初期微動継続時間 = 6 秒 地点B P波 0時31分28秒 S波 0時31分31秒 → 初期微動継続時間 = 3 秒 【震源距離の比】 初期微動継続時間 T = d ×(1/Vs − 1/Vp) なので T ∝ d d(A) : d(B) = 6 : 3 = 2 : 1 つまり d(A) = 2 × d(B) 【発震時 t₀ を求める】 P波の走時は (P波到着時刻)− t₀ = d / Vp 地点A 32 = t₀ + 2 × d(B)/Vp 地点B 28 = t₀ + d(B)/Vp 辺々引くと 32 − 28 = d(B)/Vp → d(B)/Vp = 4 秒 t₀ = 28 − 4 = 24 秒 【検算】t₀ = 24 秒として地点Aを逆算すると 24 + 2 × 4 = 32 秒 … 図の▼の位置と一致する 初期微動継続時間の比も 6 : 3 = 2 : 1 を満たす よって ③(0時31分24秒)
走時曲線を引かなくても、「継続時間の比=震源距離の比」と「P波到着時刻の差=走時の差」の2本だけで発震時が出ます。震源に近い地点Bの到着(28秒)より前に発震時が来ることも、答えの妥当性の目安になります。
第1問 B 火山地形と噴出物・接触変成作用
Bは火山と岩石です。九州のある火山の地形と噴出物の分布図を読む問3と、石灰岩が大理石に変わる変成作用を扱う問4の2問で、いずれも語の組合せを選びます。
問3:正解 ④(解答番号103/配点3)
<問題要旨>
九州地方のある火山について、下線部(a)「直径約20 kmの陥没した火山地形」と下線部(b)「厚さ数m〜数十mの火山噴出物」を表す語の組合せを選びます。図2には、この火山から放出された噴出物が九州中部から北部の広い範囲に分布する様子が濃い灰色で示されています。
<考え方>
火山地形は「盛り上がってできたもの」と「陥没してできたもの」に分けて考えるのが基本です。噴出物は、溶岩が流れ下れる距離と、火砕流や降下火砕物が到達できる距離の違いで判別します。
【下線部(a)】直径約20 km の「陥没した」火山地形 盾状火山 … 流動性の高い玄武岩質の溶岩が広がってできた、なだらかに盛り上がった地形 → 不可 溶岩ドーム … 流動性の低い溶岩が火口に盛り上がってできた地形 → 不可 カルデラ … 大規模噴火でマグマだまりの天井が落ち込んでできた陥没地形 → 適 【下線部(b)】厚さ数m〜数十mで、図2のように広範囲に分布 溶岩 … 流れ下る距離はふつう数km〜十数km。県をまたぐ広域分布はつくれない → 不可 火山砕屑物 … 火砕流や降下火砕物は高速で遠方まで達し、広い範囲に厚い層をつくる → 適 (a) カルデラ ・ (b) 火山砕屑物 よって ④
直径約20 kmのカルデラをつくる噴火では、火砕流が数十kmにわたって地表を覆います。図2の分布が火山を中心に放射状に広がっていることも、火砕流堆積物と判断する手がかりです。
問4:正解 ⑥(解答番号104/配点4)
<問題要旨>
花こう岩が分布する地域で見つかった白色・粗粒の岩石Xは、薄片の観察から主に(オ)からできていました。同じ地層の離れた場所から採取した岩石Yは、有孔虫化石を含む石灰岩でした。岩石Xが結晶質石灰岩(大理石)であり、Yが(カ)変成作用を受けてXになったとして、(オ)(カ)の組合せを選びます。図3は両者の偏光顕微鏡写真です。
<考え方>
変成岩に現れる鉱物は「もとの岩石の化学組成」で決まり、変成作用の型は「熱だけか、熱と圧力の両方か」で決まります。石灰岩の主成分は炭酸カルシウムなので、変成しても同じ組成の鉱物が粗粒に成長します。
【オ】もとの岩石Yは石灰岩(主成分 CaCO₃) 石英(SiO₂)・斜長石(Ca や Na を含むケイ酸塩鉱物)は、石灰岩の変成では主成分にならない → 不可 結晶質石灰岩(大理石)は方解石(CaCO₃)の粗粒な結晶が集まったもの → 方解石 【カ】岩石Xの露頭は、花こう岩が分布する地域の中にある 接触変成作用 … 貫入したマグマの熱で、岩体の周囲だけが局所的に変成する → 適 広域変成作用 … プレートの沈み込み帯などで広い範囲が熱と圧力を受け、片岩・片麻岩をつくる → 花こう岩体の周囲だけの変成には当たらない → 不可 オ 方解石 ・ カ 接触 よって ⑥
接触変成岩の代表は大理石(石灰岩起源)とホルンフェルス(泥岩・砂岩起源)、広域変成岩の代表は結晶片岩・片麻岩です。広域変成岩は片理や縞状構造をもつ点でも区別できます。
第1問 C 白亜紀末の大量絶滅と褶曲の読み取り
Cは生物の大量絶滅と地質構造です。白亜紀末の隕石衝突の証拠を選ぶ問5と、海岸の褶曲の写真から褶曲の型と圧縮方向を決める問6の2問です。
問5:正解 ①(解答番号105/配点3)
<問題要旨>
白亜紀末期の大量絶滅のおもな原因が、直径約10 kmの天体(隕石)の衝突による地球環境の激変であったとして、この衝突の証拠とされるものを四つの選択肢から選びます。
<考え方>
「隕石にしか由来しえない物質が、その時代の地層に世界的に濃集しているか」で判定します。残りの選択肢が、それぞれ別の出来事の証拠であることも合わせて確認しておくと確実です。
① 正 イリジウムが濃集した層(粘土層)… イリジウムは地殻にごく乏しく隕石に富む元素。白亜紀と古第三紀の境界(K-Pg境界)の粘土層に世界各地で濃集しており、衝突の直接的な証拠とされる ② 誤 直径約1 kmの複数のクレーター … 直径約10 kmの天体が衝突すると直径100 km規模のクレーターができる(メキシコのチクシュルーブクレーターは約180 km)。「約1 kmが複数」では規模が合わない ③ 誤 黒色または灰色のチャート層 … チャートは放散虫などケイ質の殻をもつ生物の遺骸が深海底に堆積してできた岩石。隕石衝突とは関係がない ④ 誤 赤道付近で形成されたドロップストーン … 低緯度にまで氷河があったことを示すもので、原生代の全球凍結(スノーボールアース)の証拠 よって ①
K-Pg境界の証拠としては、イリジウムのほかに衝撃を受けた石英や、大規模な森林火災を示すすすの層も挙げられます。「絶滅の原因」と「原因を示す証拠」を混同しないことが大切です。
問6:正解 ③(解答番号106/配点3)
<問題要旨>
図4は、ある地域の海岸で観察された褶曲の写真で、地層の曲がりの中心部を結んだ方向が白い破線で示されています。北側の地点Aでは地層が南側に傾斜し、南側の地点Bでは北側に傾斜していました(A・B間の距離は約100 m)。この褶曲の名称と、地層を曲げた圧縮の力が加わった方向の組合せを選びます。地層の逆転はなく、褶曲の形成後に大きな変形は受けていないものとします。
<考え方>
背斜と向斜は「両翼の傾斜が外向きか内向きか」で決まります。地層の逆転がないので、両翼が中央に向かって下がっていれば軸部が谷型にくぼんだ向斜、中央から外へ下がっていれば軸部が山型に盛り上がった背斜です。圧縮の力は褶曲軸に直交する方向に働きます。
【名称】 地点A(北側)は南へ傾斜 … 中央(A・Bの間)に向かって下がる 地点B(南側)は北へ傾斜 … 中央に向かって下がる どちらの翼も内側へ傾斜している = 軸部が谷型にくぼんだ構造 (背斜なら、両翼は軸から外側へ向かって傾斜する)→ 向斜 【力の方向】 A と B は南北に約100 m 離れ、向かい合う両翼をなしている したがって褶曲軸(白い破線の方向)は東西の走向 圧縮の力は褶曲軸に直交する方向に働く → 南北 名称 向斜 ・ 力の方向 南北 よって ③
地層は傾斜の向きへ進むほど新しくなるので、向斜では軸部に最も新しい地層が、背斜では軸部に最も古い地層が現れます。傾斜の向きを押さえられれば、地層の新旧からも同じ結論になります。
第2問 A 梅雨期の気圧配置と大気の大循環
第2問は配点10で、Aが大気、Bが海洋です。Aは梅雨期の天気図を使った空欄補充と、18世紀にハドレーが考えた大循環の概念図をめぐる会話文の2問です。
問1:正解 ③(解答番号107/配点3)
<問題要旨>
図1は梅雨期の天気図です。(ア)高気圧と太平洋高気圧(小笠原高気圧)の間に前線が形成されて日本付近に停滞する、という文章の(ア)に入る高気圧の名称と、(ア)高気圧の勢力が強いままの場合の梅雨明け(イ)、東日本の太平洋側の夏(ウ)の組合せを選びます。
<考え方>
梅雨前線がどの二つの気団の境界にできるかに戻ります。北側の冷たく湿った気団と南側の暖かく湿った気団がぶつかる位置が梅雨前線で、北側の気団が優勢なら前線は北上できません。
【ア】梅雨前線は、北側の冷涼・湿潤な高気圧と南の太平洋高気圧の間にできる シベリア高気圧 … 冬に大陸上で発達する寒冷・乾燥の高気圧。梅雨期には現れない → 不可 オホーツク海高気圧 … 梅雨期にオホーツク海上で発達する冷涼・湿潤な高気圧 → 適 (図1でも日本の北東、40°N 付近に 1020 hPa の高気圧の中心があり、日本の南に太平洋高気圧、その間の 30°N 付近に停滞前線が延びている) 【イ】ア高気圧が強いままなら前線は北上できない 問題文の「太平洋高気圧が優勢となって前線が北上すると梅雨が明ける」の裏返し → 梅雨明けは遅れる 【ウ】オホーツク海高気圧から吹き出す冷たく湿った北東風(やませ)が東日本の太平洋側に流れ込む 日照不足と低温が続く → 冷夏 ア オホーツク海 ・ イ 遅れ ・ ウ 冷夏 よって ③
(イ)は問題文中の「太平洋高気圧が優勢となって前線が北上すると梅雨が明ける」という一文がそのまま判定根拠になります。図を見る前に文章の論理で半分が決まる設問です。
問2:正解 ④(解答番号108/配点3)
<問題要旨>
図2は、18世紀にハドレーが考えた大気の大循環の概念図で、赤道から極域まで一つの大規模な対流が形成されて熱を極向きに運ぶ形になっています。現実の地球でそうならない理由(エ)と、中緯度で大気が熱を極向きに運ぶしくみ(オ)を、会話文の空欄に入れる組合せとして選びます。
<考え方>
南北に動く空気が東西に曲げられる原因、すなわち地球の自転による転向力(コリオリの力)に戻ります。中緯度の熱輸送は、赤道から極までつながる子午面循環ではなく、偏西風の蛇行とそれに伴う低気圧・高気圧が担っています。
【エ】赤道で上昇した大気が極まで到達できない理由 公転 … 地球が太陽のまわりを回る運動で、大気の流れを東西に曲げる力は生じない → 不可 自転 … 転向力(コリオリの力)が働き、極向きの流れが次々と東向きに曲げられる。その結果、循環は緯度30°付近で下降して閉じ(ハドレー循環)、それより高緯度へは進めない → 適 【オ】中緯度で熱を極向きに運ぶしくみ 台風 … 熱帯の海上で発生する熱帯低気圧。中緯度の恒常的な南北熱輸送の主役ではない → 不可 温帯低気圧 … 寒気と暖気の境界(前線)で発達し、暖気を北へ、寒気を南へ運ぶ。会話文の「偏西風が蛇行すること」「移動性高気圧」と並ぶのはこちら → 適 エ 自転 ・ オ 温帯低気圧 よって ④
空欄(オ)は「偏西風が蛇行することや、(オ)や移動性高気圧が発達することによって」という並びの中にあるので、偏西風帯で発達するものを選びます。台風は中緯度に達すると温帯低気圧に変わります。
第2問 B 深層循環と海水中の酸素飽和度
Bは海洋です。三つの海域の酸素飽和度の鉛直分布と、コンベアベルト(深層循環)の概念図を突き合わせる1問で、配点4が置かれています。
問3:正解 ⑥(解答番号109/配点4)
<問題要旨>
図3のA〜Cは、異なる三つの海域における酸素飽和度の鉛直分布を示しています。図4はコンベアベルト(深層循環)の概念図で、海域X・Y・Zが示されています。X〜Zの酸素飽和度の鉛直分布がA〜Cのどれかを選びます。問題文の下線部(a)には「深層では酸素の供給はなく、有機物の分解などによって時間とともに、徐々に酸素が消費されている」とあります。
<考え方>
原理は一つです。深層水は沈降した時点で酸素がほぼ飽和に近く、そのあとは供給がないので、沈降してからの経過時間が長い海域ほど酸素飽和度が低くなります。あとは図4でX・Y・Zが深層循環の流路のどこにあたるかを読み、経過時間の順に図3の3本を割り当てるだけです。
【原理】深層水の酸素飽和度は、沈降してからの経過時間が長いほど低い 【図4で流路上の位置を読む】 X … 北大西洋。表層の暖かい海水が北上し、冷えて沈み込む場所(深層循環の出発点)→ 経過時間が最も短い Y … 南極周辺からインド洋・太平洋へ向かう深層流の途中 → 経過時間は中間 Z … 北太平洋。深層流の終着点で、深層水が湧き上がっている → 経過時間が最も長い 【図3の3本を酸素飽和度の高い順に並べる】 C … 深層でおよそ 80 % を保つ(最も高い) B … 深層でおよそ 65 %(中間) A … 深さ 1000〜1200 m で 10 % 近くまで下がり、最も深いところでも 45 % 程度(最も低い) 【対応づけ】 経過時間の短い順 X < Y < Z 酸素飽和度の高い順 C > B > A X = C Y = B Z = A よって ⑥
Aで中層に酸素の極小が現れるのは、沈降してきた有機物の分解が中層で盛んな一方、より深いところには比べて新しい南極付近由来の底層水が入り込んでいるためです。「太平洋の深層水は世界で最も古い」ことを押さえておくと、この種の設問で迷いません。
第3問 A 宇宙の晴れ上がりと太陽の核融合
第3問は配点10で、Aが宇宙と太陽、Bが太陽系です。Aは一つの文章に四つの空欄を置き、それを問1(ア・イ)と問2(ウ・エ)に分けて問う形です。年代の数値を正確に覚えているかが問われます。
問1:正解 ③(解答番号110/配点3)
<問題要旨>
誕生直後の高温・高密度の宇宙が膨張して温度が下がり、今から約(ア)億年前に宇宙の温度が約3000 Kになった。そのころ(イ)から水素原子ができたことで宇宙の晴れ上がりが起きた、という文章の(ア)(イ)の組合せを選びます。
<考え方>
宇宙の年齢が約138億年であること、そして晴れ上がりがビッグバンから約38万年後に起きたことに戻ります。38万年は138億年に比べてごくわずかなので、晴れ上がりの時期は「今から約138億年前」とみなせます。晴れ上がりの中身は、自由電子が原子核に捕らえられて光の散乱が止まることです。
【ア】宇宙の年齢は約138億年。晴れ上がりはビッグバンから約38万年後 138億年 − 38万年 ≒ 138億年前 → 138 (100億年前では宇宙の年齢そのものと合わない) 【イ】水素原子 = 陽子1個 + 電子1個 陽子と中性子 … 結びついてできるのは原子核(重水素やヘリウムなどの軽元素)で、原子ではない → 不可 電子と陽子 … 自由電子が陽子に捕らえられて中性の水素原子になると、光を散乱する自由電子がなくなり宇宙が晴れ上がる → 適 ア 138 ・ イ 電子と陽子 よって ③
晴れ上がりのときに宇宙を満たしていた光が、現在は宇宙背景放射(約3 K)として観測されます。3000 K がその後の膨張で約1000分の1に下がった値です。
問2:正解 ④(解答番号111/配点3)
<問題要旨>
同じ文章の、今から約(ウ)億年前に水素を主成分とする星間物質から太陽が生まれた、現在の太陽の中心部は約1600万Kと高温で、そこでは4個の水素原子核をもとにして(エ)をつくる核融合反応が起きている、という部分の空欄の組合せを選びます。
<考え方>
太陽系の年齢は隕石の放射年代から約46億年と決まっています。太陽のエネルギー源である水素核融合は「4個の水素原子核(陽子)から1個のヘリウム原子核をつくる反応」です。
【ウ】太陽・地球・隕石を含む太陽系の年齢は約46億年 → 46 (38億年前は地球に残る最古の岩石の年代に近く、太陽の誕生としては新しすぎる) 【エ】太陽中心部の水素核融合 4 ¹H → ⁴He + 2 e⁺ + 2 ν 4個の水素原子核から1個のヘリウム原子核ができ、その質量の差がエネルギーとして放出される 中性子 … この反応の生成物として太陽のエネルギー源を説明するものではない → 不可 ウ 46 ・ エ ヘリウム原子核 よって ④
問題文の「表面での全元素に対する水素の個数の割合は約92 %であり、宇宙の晴れ上がりのころの値と大きくは変わっていない」という一文は、核融合が中心部だけで進み、表面の組成をほとんど変えていないことを示しています。
第3問 B 太陽系(自転・公転と月・太陽)
Bは太陽系で、「もし現在と状況が異なるとしたら」という仮定の記述から誤りを一つ選ぶ1問です。配点4で、四つすべての可否を判定する必要があります。
問3:正解 ①(解答番号112/配点4)
<問題要旨>
太陽と地球、月の状況が現在と異なると仮定した場合の記述として、誤っているものを一つ選びます。自転と公転の向き、月の距離と皆既日食、太陽までの平均距離と太陽定数、太陽からの荷電粒子とオーロラの四つが並びます。
<考え方>
誤りを選ぶ設問なので、四つすべての可否を判定します。決め手は、太陽が東から昇り西に沈むという日周運動の向きを決めているのは地球の自転であって、公転ではないという点です。
① 誤 自転の向きが現在と変わらないなら、天体の日周運動の向きは変わらないので、太陽は現在と同じく東から昇り西に沈む。公転の向きが逆になって変わるのは太陽日の長さであって(自転と公転が逆向きになるため太陽日が恒星日より短くなる)、昇る方位ではない ② 正 月の視直径は距離に反比例する。距離が2倍になれば視直径は現在の約0.5°の半分の約0.26°となり、太陽(約0.53°)を覆いきれないので皆既日食は起きない(金環日食になる) ③ 正 太陽定数は太陽からの距離の2乗に反比例するので、平均距離が現在より短くなれば大きくなる ④ 正 オーロラは、太陽風の荷電粒子が地球の磁気圏に取り込まれて極域の大気に降り込み、大気の原子・分子を光らせる現象。荷電粒子が放出されなければ発生しない よって ①
②は視直径の大小を比べるだけで判定できます。月と地球の距離が変わると日食の型(皆既・金環)が変わることは、現在でも金環日食が起こる理由そのものです。
第4問 自然災害(津波と土石流)
第4問は配点10で、A・Bの区分はなく問1〜問3です。津波が波浪と異なる理由、海底の観測点を使った津波の到達時間の計算、風化した岩石と土石流の関係を扱います。
問1:正解 ③(解答番号113/配点3)
<問題要旨>
予測波高が50 cm程度でも津波注意報は発表されるのに、通常の波(波浪)では同じ予測波高で注意報が出ないことの理由として、津波では(ア)の海水が動くためエネルギーが大きく、また波長が波浪の波長よりも(イ)減衰しにくいので影響が広範囲に及ぶ、という文章の空欄の組合せを選びます。
<考え方>
津波と波浪の違いは「波長と水深の関係」に戻ります。波長が水深よりはるかに長い波(長波)では水の動きが海底まで及び、波長が水深に比べて短い波浪では水の動きは海面付近にとどまります。
【ア】津波の波長は数十〜数百 km で、水深(深海でも数千 m)よりはるかに長い このような長波では、水粒子の運動が海底まで及ぶ → 海底から海面まで 波浪の波長は数m〜数百mで、水の動きは深さがおよそ波長の半分までの海面近傍にとどまる 同じ波高でも動く水の量が桁違いに多いので、津波のエネルギーは大きい 【イ】波長の長い波ほど、減衰せずに遠方まで伝わる 問題文の「減衰しにくいので、影響が広範囲に及ぶ」に合うのは → 長く ア 海底から海面まで ・ イ 長く よって ③
津波の速度が水深だけで決まる(問2の式)のも、水の動きが海底まで及ぶ長波だからです。問1で押さえた性質が問2の式の根拠になっています。
問2:正解 ②(解答番号114/配点3)
<問題要旨>
図1の津波観測システムで、沿岸の都市Bから見て観測点Aの方向にある海域Xで津波が発生する場合を考えます。観測点Aと都市Bの水平距離は約90 km、図中の海の深さは約1000 mです。都市Bに津波が到達する約(ウ)分前に観測点Aでこの津波を検知できるとして、(ウ)の数値を選びます。海の深さが h〔m〕のとき、津波の速度は √(10h)〔m/s〕とします。
<考え方>
与えられた速度の式に水深を代入して速度を出し、距離を速度で割るだけです。距離をmに、時間をsに揃えて計算し、最後に分に直します。
【津波の速度】与えられた式に h = 1000 m を代入 v = √(10h) = √(10 × 1000) = √10000 = 100 m/s 【観測点Aから都市Bまで伝わる時間】 距離 L = 90 km = 9.0×10⁴ m t = L / v = 9.0×10⁴ ÷ 100 = 9.0×10² s = 900 s 【分に直す】 900 ÷ 60 = 15 分 【検算】v = 100 m/s = 360 km/h なので 90 ÷ 360 = 0.25 時間 = 15 分 … 一致する よって ②
水深1000 mでの津波の速度は時速約360 kmで、ジェット機に近い速さです。観測点を沖合の海底に置いてはじめて十数分の猶予が生まれることが、海底観測網が整備されている理由です。
問3:正解 ③(解答番号115/配点4)
<問題要旨>
土石流が起きやすい地域についての会話文で、風化した(エ)からなる斜面は土石流が起きやすく、(エ)は成長した数種類の粗粒の鉱物からなり、鉱物ごとに熱膨張の割合が違うため温度変化で膨張・収縮が繰り返されると鉱物間に隙間ができる、と説明されます。(エ)に入る岩石と、この風化を表す語(オ)の組合せを選びます。
<考え方>
岩石は組織(粗粒か細粒か)で、風化は「化学組成が変わるか変わらないか」で判定します。粗粒の結晶が組み合わさった岩石は深成岩であり、温度変化による機械的な破壊は物理的風化です。
【エ】「成長した数種類の粗粒の鉱物からなる」 玄武岩 … 急に冷えてできた火山岩で、細粒またはガラス質の組織をもつ → 不可 花こう岩 … ゆっくり冷えてできた深成岩で、石英・長石・黒雲母などの粗粒な結晶が組み合わさる等粒状組織 → 適 (会話の後段に「水と長石が反応すると粘土に変化」とあり、長石を多く含む岩石であることとも合う) 【オ】鉱物ごとの熱膨張の割合の差により、膨張・収縮が繰り返されて隙間ができる 物理的風化 … 化学組成を変えずに、岩石が機械的に破壊されていく作用 → 適 化学的風化 … 鉱物が水などと反応して別の鉱物に変わる作用。会話の後段の「長石+水 → 粘土鉱物」がこちらに当たり、(オ)とは別の段階 → 不可 エ 花こう岩 ・ オ 物理 よって ③
風化して砂状にもろくなった花こう岩を「まさ土(真砂土)」といい、西日本に広く分布します。大雨のときに崩れやすく、土石流の素因になります。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

