2026年度 大学入学共通テスト 本試験 地理総合・地理探求 解答・解説

2026年度 大学入学共通テスト 本試験「地理総合・地理探求」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次

解答

解説

2026年度 大学入学共通テスト 本試験「地理総合,地理探究」は、試験時間60分・満点100点、全6大問・全30問の全問必答で構成されています。配点は第1問13点、第2問12点、第3問21点、第4問17点、第5問20点、第6問17点です。

第1問は乾燥・半乾燥地域の生活文化と農牧業、第2問は青森県津軽平野を対象とした地域調査、第3問は海底地形から土壌・湿地・水資源・火山災害までの自然環境、第4問は繊維・アパレル産業、第5問は人口と都市、第6問はドナウ川・ナイル川・メコン川という三つの国際河川を扱います。このうち第1問と第2問は「地理総合」(地理総合,歴史総合,公共)の地理総合分野と同一の問題で、写真・陰影地形図・空中写真・統計表の数値・グラフから選択肢の文言まで一致しており、異なるのは解答番号だけです。

全体として、単独の知識で即答できる設問は少なく、地図・写真・統計表・グラフを二つ以上突き合わせて絞り込む形が中心です。とくに注意したいのは、割合の変化と実数の変化を取り違えないこと(総量が増えていれば構成比の伸び以上に実数が増える)、分布図の対応づけを「どこに多いか」だけでなく「どこに無いか」で確かめること、そして統計表から国や地域を当てる設問では人口規模・1人当たりの値・産業構成など判定に使う指標を先に一つ決めてから当てにいくことです。

第1問 乾燥・半乾燥地域の生活文化の多様性(配点13)

乾燥・半乾燥地域を題材に、写真から読み取る住居とオアシス農業、陰影地形図上の3地点でみられる水資源の利用形態、高地の気候資料と家畜の飼育、そして家畜の分布図を扱う大問です。生活文化の背景にある自然環境と、統計・分布図の読み取りが問われます。

問1:正解 ④(解答番号1/配点3)

<問題要旨>

乾燥地域の集落と農業を写した写真について述べた4つの文のうち、適当でないものを選ばせる設問です。写真には土を用いた伝統的な集落と、オアシスで栽培される樹木が示されています。

<考え方>

住居の素材・窓の小ささ・オアシス農業という3点は、いずれも乾燥気候への適応として説明がつきます。残る1つは作物の用途にかかわる記述なので、ナツメヤシが現地で何に使われているかに戻れば決まります。ナツメヤシの実は糖分が多く保存もきくため、住民の主食に近い位置を占め、周辺地域へも食料として流通します。

<選択肢>

①【正】

乾燥地域では建築用の樹木が乏しく、粘土質の土を型に入れて日干しにした煉瓦が伝統的な建築材料として用いられてきた。記述のとおり。

②【正】

窓を小さくすることは、日射による室温の上昇を抑えるだけでなく、砂やほこりの侵入を防ぐうえでも意味がある。記述のとおり。

③【正】

ナツメヤシは高温と乾燥に強く、地下水が得られるオアシスで伝統的に栽培されてきた。記述のとおり。

④【誤】

用途のすり替え。ナツメヤシの実は現地や周辺地域で食料として消費されるのが大部分であり、大部分が工業用として輸出されるという記述は成り立たない。

正解【④】

乾燥気候への適応として説明できる3つに対し、ナツメヤシの実の用途を工業用の輸出とする記述だけが実態と合わない。

問2:正解 ⑤(解答番号2/配点4)

<問題要旨>

西アジアから中央アジアにかけての陰影地形図に3地点が示され、それぞれで主に利用されている水資源を説明した3つの文との組合せを選ばせる設問です。文は施設内での淡水化、高山の雪氷の融解水を集める内陸河川、上流の湿潤地域を水源とする外来河川からのダム・水路の3種類です。

<考え方>

3地点の位置を、海岸からの距離と周囲の標高(色の濃い部分ほど高い)の二つで確かめるのが出発点になります。地中海とペルシア湾にはさまれた内陸にあって大河の流路が近い地点は、上流の湿潤地域に源をもつ外来河川の水をダムと水路で配分する地域です。ペルシア湾の沿岸に置かれた地点は産油国で、豊富なエネルギーを使って海水を淡水化できます。北東部の高峻な山脈のすぐ北側にある地点は、山地の雪氷が季節的に融けて流量が増える内陸河川に依存します。

<選択肢>

ア=C(外来河川からダムや水路で得た水)【正】

地中海とペルシア湾にはさまれた内陸に位置し、上流の湿潤地域を水源とする大河の流路に近い。降水の乏しい土地でも、外から流れ込む水をダムと水路で配分して灌漑できる。海に面していないので淡水化は当てはまらず、周囲に高峻な山脈もないので雪氷の融解水も当てはまらない。

イ=A(施設内で淡水化した水)【正】

ペルシア湾の沿岸に位置する。エネルギー資源が豊富に得られる産油国では、海水の淡水化に必要な大量の熱や電力を確保できる。大河の流路から離れており、外来河川や内陸河川の水には頼れない。

ウ=B(高山の雪氷の融解水で増水する内陸河川の水)【正】

高峻な山脈のすぐ北側に位置する。春から夏に山地の雪氷が融けて流量が増える河川が、海に出ずに内陸の湖沼へ注ぐ地域である。海岸から遠いので淡水化は当てはまらず、湿潤地域を源とする外来河川でもない。

正解【⑤】

内陸の外来河川・湾岸の淡水化・山麓の雪氷融解水という3つの対応から⑤が決まる。

問3:正解 ②(解答番号3/配点3)

<問題要旨>

ある地域の月平均気温と月降水量を示した資料が与えられ、ジャガイモの栽培とアルパカ・リャマの飼育が行われているという説明を手がかりに、南アメリカの地図上の4地点から該当するものを選ばせる設問です。

<考え方>

気温と降水の年変化から、緯度・標高・半球の3つを順に絞るのが筋道です。年平均気温は10℃に達せず年較差もごく小さいので、低緯度でありながら標高の高い土地だと分かります。気温が最も低い月が7月付近で、降水は12月から3月に集中し6月から8月はほとんどないため、南半球で雨季と乾季をもつ高地です。ジャガイモの原産地であり、毛の利用と物資の運搬にアルパカとリャマを用いる地域という説明も、この条件に重なります。

<選択肢>

①【誤】

北半球側に位置する。北半球では7月が高温期にあたるため、資料で気温が7月付近に最低となることと季節の対応が合わない。

②【正】

南半球の低緯度にあって標高の高い高原に位置する。年較差が小さく年平均気温が低いこと、南半球の夏にあたる12月から3月に降水が集中することの両方を満たす。ジャガイモの栽培とアルパカ・リャマの利用が伝統的に行われてきた地域でもある。

③【誤】

中緯度の西岸に位置し、冬に降水が多く夏に乾燥する気候となる。資料は逆に南半球の夏に降水が集中しており、降水期の対応が合わない。

④【誤】

より高緯度に位置するため、資料のように年較差がごく小さくなることはない。

正解【②】

年較差の小ささと南半球の夏に集中する降水から、低緯度の高地にある②が決まる。

問4:正解 ③(解答番号4/配点3)

<問題要旨>

アジアを中心とした地域について、牛・羊・ヤギのうち2種の飼育密度の分布図が示され、そのうち羊に当たる図を選ばせるとともに、モンゴルでヤギの飼育頭数が著しく増えた要因を語句から選ばせる設問です。

<考え方>

分布の中心ではなく、どの地域で濃くどの地域で薄いかという端の差で対応づけます。一方の図はインドからバングラデシュにかけての大河の平野に極端に集中し、中国の内陸ではほとんど広がりません。宗教的な背景と水牛を含む役畜としての利用から、この地域に世界最大の頭数が集まる家畜の分布です。もう一方の図は華北から内モンゴル、新疆、中央アジアといった降水の少ない草原・ステップに広く分布し、草丈の低い乾いた草地でも群れで飼える家畜であることを示します。ヤギの増加要因は、細く柔らかい毛を高級衣料の原料として輸出できるようになったことに求められます。

<選択肢>

羊=x【誤】

xはインドからバングラデシュの沖積平野に極端に集中し、乾燥した内陸アジアの草原ではほとんど分布しない。水牛を含めて世界で最も頭数が多い牛の分布に対応する。

羊=y【正】

yは華北から内モンゴル・新疆・中央アジアにかけての降水の少ない草原地帯に広く分布する。草丈の低い乾いた草地でも群れで飼える羊の分布に対応する。

E=カ(高級衣料の原料繊維需要の高まり)【正】

ヤギの細い毛は高級衣料の原料繊維として高値で取引され、その需要の高まりが遊牧民の飼育頭数を押し上げた。

E=キ(砂漠化の抑制に向けた対策の広がり)【誤】

因果の逆転。ヤギは草を根元から食べるため過放牧による草原の劣化を招きやすく、頭数の増加は砂漠化の抑制ではなく進行の要因として問題視されている。

正解【③】

乾燥した草原に広がるyが羊、ヤギの増加要因は高級衣料向けの繊維需要で、組合せは③となる。

第2問 津軽平野の地域調査(配点12)

青森県の津軽平野とその周辺を対象に、生徒が地域の農業・災害・水産物・特産品の輸出を順に調べていく地域調査の形をとる大問です。写真・陰影地形図・地形図・空中写真・統計表・グラフを組み合わせ、地形と土地利用の対応、ため池のハザードマップ、汽水湖の漁業と地理的表示、リンゴの輸出先の変化が問われます。

問1:正解 ②(解答番号5/配点3)

<問題要旨>

津軽平野とその周辺の農地・農作物を示した3枚の写真と説明が与えられ、弘前市・五所川原市・つがる市それぞれの農業産出額に占める品目の割合を示した統計表について、米・野菜・果実に当たる項目の組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

判定に使う指標を「どの市でその品目の割合が最大になるか」の一つに絞って当てにいきます。写真と説明から、大河の下流域の低湿地は水田、海岸付近の砂丘は1970年代に造成された畑、山麓はリンゴ園という3つの土地利用が読み取れます。したがって、低湿地が広がる市で最大となる項目が米、砂丘の畑をもつ市で最大となる項目が野菜、リンゴの大産地で9割近くを占める項目が果実です。

<選択肢>

米=ア【正】

下流域の低湿地に水田が広がる市でアが48.6%と最も高く、リンゴ産地では5.8%にとどまる。かつて腰まで沈むほどの低湿地帯だった水田地帯に対応する。

野菜=ウ【正】

海岸の砂丘に大規模な農地が造成された市でウが34.9%と3市中で最も高く、他の2市では数%にすぎない。砂丘に造られた畑での野菜栽培に対応する。

果実=イ【正】

山麓でリンゴが大規模に生産される市でイが89.0%を占める。地域の特産品であるリンゴに対応する。

正解【②】

低湿地の米・砂丘の野菜・山麓の果実という土地利用との対応から、②が決まる。

問2:正解 ②(解答番号6/配点3)

<問題要旨>

灌漑用水を確保するために近代以前から多くのため池がつくられてきた地域の地形図が示され、図中のため池のつくり方を表す語句と、ため池から離れるほど値が大きくなる破線の等値線が何を示すかの組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

まず地形図でため池の周囲の等高線を見ます。ため池は等高線が密に走る丘陵の谷の中にあり、西側の出口に堤が描かれ、その先には標高3m台の平坦な低地が広がっています。平坦な土地を堤で囲んだ池ではなく、谷の出口をせき止めた池です。次に等値線は値の増減の向きで決めます。決壊したときの浸水深は水が広い範囲に分散するにつれて浅くなるため、ため池から離れるほど値は小さくなります。離れるほど値が大きくなるのは、水が到達するまでに時間がかかるからで、示されているのは浸水までの時間です。

<選択肢>

カ=谷口を堰き止めて【正】

池は等高線が密な丘陵の谷の内部にあり、低地に向かう谷の出口に堤が置かれている。谷に集まる水をせき止めて貯める形である。

カ=平坦な土地を堤で囲んで【誤】

地形の読み違え。平野の中に堤で囲んだ池をつくった場合、池の周囲に等高線はほとんど現れない。図では池の三方が等高線の密な丘陵に囲まれている。

キ=浸水までの時間【正】

水はため池から遠い場所に遅れて到達するため、距離が大きくなるほど値も大きくなる。等値線の値の向きと一致する。

キ=浸水深【誤】

値の増減が逆。決壊した水は広い範囲に分散しながら流れ下るため、ため池から離れるにつれて浸水深は小さくなる。離れるほど値が大きいという条件に反する。

正解【②】

谷の出口をせき止めた池であり、離れるほど大きくなる等値線は浸水までの時間なので、②が決まる。

問3:正解 ④(解答番号7/配点3)

<問題要旨>

汽水湖とその周辺について、現在の地形図・2時期の空中写真・漁具の写真が与えられ、湖の性質、湖岸の土地の変化、資源管理の工夫、特産品のブランド化について述べた文の下線部のうち、適当でないものを選ばせる設問です。

<考え方>

地理的表示保護制度が何のための制度かに戻れば決まります。この制度は、産地と結びついた品質や評価を国が登録して保護し、他産地の産品との差別化を図る仕組みです。目的は付加価値を高めて有利に販売することであり、低価格での販売を目的とするものではありません。

<選択肢>

①【正】

汽水湖は海とつながっており、河川から流れ込む淡水と海から入る海水が混じり合う。記述のとおり。

②【正】

現在の地形図と過去の空中写真を比べると、湖の南東部では土地が造成されて陸地の形が変わったことが読み取れる。記述のとおり。

③【正】

漁具の網の目を規定の幅以上とすれば小さい個体は網目を抜けるため、漁獲が抑えられる。資源を減らさずに漁を続ける工夫として妥当。

④【誤】

制度の目的のすり替え。地理的表示保護制度への登録は、産地名の保護とブランド化によって付加価値を高めるための仕組みであり、低価格での販売を目的とするものではない。

正解【④】

地理的表示保護制度は差別化と付加価値の向上を目的とする制度なので、低価格での販売を目的とするという記述だけが誤り。

問4:正解 ②(解答番号8/配点3)

<問題要旨>

リンゴの輸出について生徒と職員の会話が与えられ、主な輸出先の内訳を示した統計表から東南アジア諸国への輸出量の変化を判断させ、あわせて台湾の月別輸入量のグラフから日本を示す凡例を選ばせる設問です。会話文には、日本の輸出量が10年前の約1.4倍に増えたことが示されています。

<考え方>

ここは割合と実数を混同しないことが要点です。統計表に並ぶのは輸出先の構成比で、東南アジア諸国の合計は1.8%から4.8%へと約2.7倍になっています。さらに総輸出量そのものが約1.4倍に増えているので、実数では2.7×1.4で約3.7倍、つまり構成比の伸びを上回って大きく増えています。構成比が上がっているのに実数が減ることがあり得るのは総量が減っている場合だけで、ここは総量も増えているので迷う必要はありません。凡例の判定は収穫期で決めます。南半球の産地は収穫直後の北半球の春から夏に、秋に収穫する北半球の産地は晩秋から冬に輸入のピークが来ます。

<選択肢>

サ=増加【正】

構成比が1.8%から4.8%へ約2.7倍になり、さらに総輸出量が約1.4倍に増えているため、実数では約3.7倍に増えている。

サ=減少【誤】

割合と実数の混同。構成比が上がっているうえに総量も増えているので、実数が減ることはない。実数が減るのは総量が減少している場合である。

シ=A【誤】

Aは5月から8月にピークがあり、それ以外の月はほぼゼロになる。収穫期が北半球と半年ずれる南半球の産地の出荷時期であり、日本のリンゴの出荷時期とは合わない。

シ=B【正】

Bは1月に多く、夏にほぼゼロまで下がり、10月から12月にかけて再び増える。秋に収穫し、貯蔵しながら冬を中心に出荷する日本のリンゴの動きに一致する。

正解【②】

東南アジア向けは実数で増加しており、冬を中心に輸入が伸びるBが日本なので、組合せは②となる。

第3問 海底地形・土壌・水資源と火山災害(配点21)

海洋底の地形、大気中の二酸化炭素濃度の季節変動、日本の土壌分布、北アメリカの湿地、地域別の水資源量、火山のハザードマップという六つの題材を通して、自然環境を地球規模と地域規模の両方から問う大問です。画像・分布図・統計・ハザードマップの読み取りが中心になります。

問1:正解 ④(解答番号9/配点3)

<問題要旨>

世界の海洋に示されたA〜Cの範囲について、海底地形の起伏を表した3枚の画像ア〜ウとの組合せを選ばせる設問です。画像は色の濃淡で水深を表しています。

<考え方>

3つの範囲がプレート境界のどの型に当たるかを先に決めます。日本の南東に置かれた範囲は海洋プレートが沈み込む境界にあたり、細長く深い海溝とその西側の浅い島弧が対になって並びます。中部太平洋の範囲はプレートの内部で、ホットスポット起源の海山や環礁が点在するため、浅い場所が斑点状に現れます。南大西洋の範囲はプレートが広がる境界で、南北にのびる海嶺がトランスフォーム断層によって東西にずれ、平行な高まりが階段状に食い違って並びます。

<選択肢>

A=イ【正】

日本の南東にあたり、海洋プレートが沈み込む境界。南北方向にのびる細長い最深部(海溝)と、その西側の浅い高まり(島弧)が対になって現れている。

B=ウ【正】

中部太平洋のプレート内部。周囲の深い海底の中に浅い高まりが点々と散らばっており、海山や環礁の集まりであることが分かる。

C=ア【正】

南大西洋の海嶺付近。南北にのびる高まりが東西方向のずれで区切られ、平行な帯が階段状に食い違う形になっている。海嶺とトランスフォーム断層の組合せに対応する。

正解【④】

沈み込み帯の海溝と島弧、プレート内部の海山群、拡大境界の海嶺とトランスフォーム断層という3つの対応から④が決まる。

問2:正解 ③(解答番号10/配点3)

<問題要旨>

アラスカ・ハワイ・ニュージーランドの3地点で観測された大気中の二酸化炭素濃度の推移が示され、ニュージーランドに当たる凡例を選ばせるとともに、季節変動の主な原因となる陸域の活動を語句から選ばせる設問です。

<考え方>

季節変動の幅の大小で緯度と半球を決めます。二酸化炭素濃度の季節変動は、陸上の植物が夏に光合成で吸収し、冬に呼吸や分解で放出することによって生じます。したがって陸地が広く森林が多い北半球の高緯度では変動幅が大きく、陸地が狭く海洋に囲まれた南半球の中緯度では変動幅がごく小さくなります。3つの折れ線のうち、1年の中の上下がほとんど目立たず値も最も低い線が、南半球の観測点です。

<選択肢>

ニュージーランド=カ【誤】

カは1年の中で十数ppmも上下し、3つの中で変動幅が最も大きい。陸地が広く落葉樹林やツンドラが広がる北半球高緯度の特徴であり、南半球中緯度の観測点には当てはまらない。

ニュージーランド=キ【正】

キは季節による上下がほとんど見られず、値も3つの中で最も低い。陸地が狭く周囲を海洋に囲まれた南半球中緯度の観測点の特徴に一致する。

x=植物【正】

夏に光合成で吸収し冬に放出するという陸上植物の活動が、濃度の季節変動を生む主な原因である。

x=人間【誤】

因果の取り違え。化石燃料の消費などの人間活動は濃度の長期的な増加傾向をもたらすが、いずれの地点にも共通して現れる規則的な季節変動の主因ではない。

正解【③】

季節変動が最も小さいキが南半球のニュージーランドで、変動の主因は陸上植物の活動なので、組合せは③となる。

問3:正解 ①(解答番号11/配点4)

<問題要旨>

日本の土壌のうち3種類について、それぞれの分布を示した図サ〜スが与えられ、黒ボク土・低地土・褐色森林土の特徴を述べた文E〜Gとの組合せを選ばせる設問です。文Eは厚い腐植層をもち火山の活動状況を反映する土壌、文Fは主に河川氾濫によって堆積した土砂を母材とし水田利用が多い土壌、文Gは腐植と粘土に富み山地や丘陵に多く畑利用が多い土壌です。

<考え方>

分布図の対応づけは「どこに多いか」だけでは決まりません。同じくらい大切なのは「どこに無いか」で、3枚の図で空白になっている地域を見比べると一通りに決まります。十勝平野・根釧台地・東北北部・関東平野の台地・中部の高原・南九州で濃い一方、中国地方・四国・近畿の大半と越後平野がほとんど空白になる図があります。火山の周辺に集まり非火山地域で抜けるという偏りは、火山灰を母材とする土壌でなければ説明がつきません。次に、河川の流路に沿って細い樹枝状にのび、関東では利根川・鬼怒川・荒川・江戸川の谷筋が放射状に、日本海側では越後・庄内・秋田の各平野に帯状に、有明海の奥では筑紫平野に濃い塊として現れる図があります。台地の上と山体の内部が空白であることも合わせれば、河川の氾濫による堆積物を母材とする土壌です。残る図は中国山地・四国山地・紀伊山地・関東山地・越後山脈・九州山地や北海道の各山地を面として覆い、逆に十勝平野・関東平野の内部・越後平野・南九州が空白になります。山地・丘陵を面で覆う分布が、山地や丘陵に多くみられる土壌に対応します。

<選択肢>

サ=E(黒ボク土)【正】

十勝平野・根釧台地・北海道南西部・東北北部・関東平野の台地・浅間や八ヶ岳・富士などの中部の高原・南九州や阿蘇の周辺で濃く、中国地方・四国・近畿の大半と越後平野はほぼ空白になる。火山地域だけに集中し非火山地域で抜けるという偏りは、火山灰を母材とする土壌でしか説明できない。河川に沿わず沖積平野で逆に空白なので河川氾濫による土壌ではなく、中国・四国・近畿の山地が空白なので山地や丘陵に多い土壌でもない。

シ=F(低地土)【正】

太い塊ではなく、河川の流路網に沿う細い樹枝状の線として現れる。関東では利根川・鬼怒川・荒川・江戸川の谷筋が放射状にのび、北海道では十勝川・釧路川の流域と石狩低地帯、日本海側では越後・庄内・秋田の各平野に帯状、筑紫平野では濃い塊となる。台地部と山体の内部が空白であることが決め手で、山地・丘陵を面で覆う土壌ではありえない。

ス=G(褐色森林土)【正】

中国山地・四国山地・紀伊山地・関東山地・越後山脈・飛騨や木曽の山地・九州山地、北海道の天塩・北見・日高の各山地を面として覆う。逆に十勝平野・根釧台地・関東平野の内部・越後平野・南九州は空白で、主要な沖積平野が抜けているので河川氾濫による土壌ではなく、非火山地域でこそ濃いので火山灰を母材とする土壌でもない。シとは排他的に噛み合い、スが山塊を面で覆い、シがその間の谷筋と平野を線と帯で埋めている。

正解【①】

火山地域に集中するサが黒ボク土、河川の谷筋と沖積平野を線と帯で埋めるシが低地土、山地・丘陵を面で覆うスが褐色森林土で、組合せは①となる。

問4:正解 ③(解答番号12/配点3)

<問題要旨>

北アメリカの地図上に湿地が分布する4地点が示され、そのうち1地点の湿地について、成因や周囲の自然環境を説明した文として最も適当なものを選ばせる設問です。

<考え方>

地点の緯度と地形上の位置から成因を決めます。この地点はグレートプレーンズ北部にあたる中緯度の平坦な内陸で、氷期にはこの一帯が大陸氷床に広く覆われていました。氷床が地表を削り、後退したあとに残された無数のくぼ地に水がたまって、小さな湖沼と湿地が密集しています。三角州や海岸の湿地でもなく、高緯度のツンドラでもありません。

<選択肢>

①【誤】

ツンドラの植生とトナカイ・ライチョウの生息を述べており、はるかに高緯度の地域に当てはまる。中緯度の内陸平原の説明ではない。

②【誤】

鳥趾状三角州にみられる湿地の説明で、大河の河口部に当てはまる。内陸の平原には当てはまらない。

③【正】

氷期にこの一帯を広く覆った氷床が地表を削って形成された湖沼に対応する。氷床の後退後に残されたくぼ地に水がたまり、平坦な地域に小さな湖沼と湿地が密集している。

④【誤】

マングローブやワニ・フラミンゴなど亜熱帯から熱帯の低湿地の生物を挙げており、より低緯度の半島部に当てはまる。

正解【③】

氷床に覆われていた内陸の平原で、氷床が地表を削って生じた無数のくぼ地に水がたまった湖沼群であることから③が決まる。

問5:正解 ⑤(解答番号13/配点4)

<問題要旨>

アジア・アフリカ・北中央アメリカとJ〜Lの6地域について、水資源量と1人当たり水資源量を示したグラフが与えられ、J〜Lがオセアニア・南アメリカ・ヨーロッパのいずれかであるとして、その組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

判定に使う指標を先に一つ決めます。ここでは水資源量と1人当たり水資源量の両方が読めるので、その2つから人口規模を割り出すのが最も確実です。水資源量を1人当たりの値で割れば、その地域の人口がおよその桁で出てきます。1人当たりの値が4万m³前後と極端に大きい2つのうち、水資源量が1.7千km³しかない方は人口4千万人台、18千km³ある方は人口4億人台となり、前者がオセアニア、後者が南アメリカです。残る1つは水資源量3.2千km³で1人当たり5千m³、人口6億人台にあたるヨーロッパです。

<選択肢>

オセアニア=L【正】

水資源量1.7千km³に対して1人当たり4万m³。割り戻すと人口は4千万人台となり、面積は広いが人口が少ない地域に対応する。

南アメリカ=J【正】

水資源量18千km³で1人当たり約4.2万m³。人口は4億人台となり、アマゾン川をはじめ豊富な降水と河川をもつ地域に対応する。1人当たりの値が大きい点はオセアニアと似ているが、水資源量の絶対量が10倍以上大きい。

ヨーロッパ=K【正】

水資源量3.2千km³で1人当たり5千m³。人口は6億人台となり、水資源量に対して人口が多い地域に対応する。1人当たりの値はアジアやアフリカの4千m³に近く、LやJとは桁が違う。

正解【⑤】

水資源量を1人当たりの値で割って人口規模を出すと、L=オセアニア、J=南アメリカ、K=ヨーロッパと決まり、組合せは⑤となる。

問6:正解 ④(解答番号14/配点4)

<問題要旨>

ある火山について、2種類の現象の想定影響範囲を示した2枚のハザードマップPとQが与えられ、積雪期の融雪型火山泥流に当たるものを選ばせるとともに、本州の火山の大規模噴火で火山灰が主にどちら側に降るかを選ばせる設問です。

<考え方>

2つの現象で動く水の量がどれだけ違うかを考えます。融雪型火山泥流は、噴出した高温の物質が積雪を一度に融かすことで大量の水を生み、火口を囲む多くの谷筋に流れ込んで遠方まで達します。一方、噴火後の降雨による土石流は、火山灰などが厚く堆積した限られた範囲でしか起こらず、到達距離も短くなります。したがって、火口から多方向に枝分かれして遠くまでのびる範囲が融雪型火山泥流です。降灰の方向は上空の風で決まり、日本の上空では偏西風が吹くため、火山灰は火口の東側に広く降ります。

<選択肢>

積雪期の融雪型火山泥流=Q【正】

火口から北・北東・南・南西など多方向の谷筋に枝分かれし、火砕流の想定範囲をはるかに越えて遠方までのびている。積雪が一度に融けて生じる大量の水が周囲の谷を下って長距離を流れることに対応する。

積雪期の融雪型火山泥流=P【誤】

Pは火砕流の想定範囲に接する南南東側の狭い範囲だけにとどまる。噴出物が厚く堆積した限られた場所で降雨によって起こる土石流の範囲であり、融雪による大量の水を前提とする現象の範囲ではない。

マ=東側【正】

日本の上空では偏西風が吹くため、噴煙に含まれる細かい火山灰は東へ流されて火口の東側に広く降下する。

マ=西側【誤】

風向の取り違え。中緯度の上空は西から東へ吹く偏西風帯にあたるので、降灰の範囲が火口の西側に広がることはない。

正解【④】

多方向の谷筋を遠方まで下るQが融雪型火山泥流で、降灰は偏西風によって東側に広がるため、組合せは④となる。

第4問 繊維・アパレル産業の原料と立地の変化(配点17)

繊維の原料作物から日本の繊維産地の変化、衣料品の輸入相手国、小売業の立地、中古衣料品の国際流通までを、生徒が順に調べていく形で扱う大問です。分布図・円グラフ・指数表・帯グラフを読み、原料から廃棄までの産業の連鎖を追う力が問われます。

問1:正解 ③(解答番号15/配点3)

<問題要旨>

綿花・ジュート・亜麻の生産量を国別に円の大きさで示した3枚の分布図と、主要生産国での栽培のしかたを述べた3つの文が与えられ、綿花に当たる図と文の組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

分布の端、つまりどの国に最大の円があり、どの大陸に円が無いかで作物を特定します。南北アメリカ・アジア・アフリカ・オセアニアと多数の国に円が散らばる図は、温暖で日照に恵まれた地域で広く栽培される繊維原料です。インドとバングラデシュの2国だけに大きな円が集まる図は、大河の三角州の低湿地で栽培される作物です。フランスを最大にヨーロッパとロシア・中国に円が限られる図は、冷涼な気候に適した作物です。そのうえで、栽培のしかたの説明をこの3つの立地に対応させます。

<選択肢>

綿花=図ア・文C【正】

アは南北アメリカ・アジア・アフリカ・オセアニアと広い範囲に円が分布する。綿花はかつてプランテーションで大規模に生産され、現在も乾燥した地域では灌漑施設を用いて栽培されており、文Cの説明に対応する。

図イ(ジュート)・文A【誤】

イはインドとバングラデシュに集中する。ジュートはガンジス川・ブラフマプトラ川の三角州のような河川沿いの肥沃な低湿地で栽培され、文Aに対応する。綿花の分布ではない。

図ウ(亜麻)・文B【誤】

ウはフランスを最大にベラルーシ・ベルギー・ロシア・中国に限られる。亜麻は冷涼な地域の作物で、地力の低下を防ぐため小麦やエン麦と組み合わせた混合農業の輪作に組み込まれており、文Bに対応する。綿花の分布ではない。

正解【③】

広い範囲に分布し、プランテーションや灌漑によって栽培される綿花は図アと文Cの組合せなので、③が正解となる。

問2:正解 ②(解答番号16/配点4)

<問題要旨>

化学繊維製造業と綿紡績業について、1967年と2021年の都道府県別事業所数の割合を示した4つの円グラフが与えられ、2021年の化学繊維製造業に当たるものを選ばせる設問です。各グラフには総事業所数も併記されています。

<考え方>

4つのうち、業種と年次の両方が確実に決まる組を先に押さえるのが近道です。総事業所数が491と29の2つは、大阪・愛知・静岡という近代以来の綿紡績・綿織物の集積地が上位を占めるので綿紡績業です。しかも491から29への激減は、輸入品との競合で国内の綿紡績が大きく縮小した流れそのものなので、491が1967年、29が2021年と決まります。同じ並びに置かれた残る2つが化学繊維製造業で、年次も同じ対応になります。都道府県の顔ぶれからも確かめられます。岡山・愛媛・山口・兵庫といった瀬戸内の石油化学コンビナート立地県が並ぶ方は、コンビナートの整備が進んだ高度経済成長期の姿です。愛知・福井・滋賀・石川・京都と、現在も合成繊維関連の事業所が集まる産地が並ぶ方が2021年です。

<選択肢>

①【誤】

年次の取り違え。総事業所数102で、岡山・愛媛・愛知・山口・兵庫という瀬戸内の石油化学コンビナート立地県が上位に並ぶ。大企業の大規模工場がコンビナートとともに立地した高度経済成長期、すなわち1967年の化学繊維製造業にあたる。

②【正】

総事業所数127で、愛知・福井・滋賀・石川・京都・愛媛が上位を占める。福井や石川は現在も合成繊維関連の事業所が集まる繊維産地であり、2021年の化学繊維製造業にあたる。

③【誤】

業種が異なる。総事業所数491で、大阪・愛知・静岡という綿紡績・綿織物の集積地が上位を占める。1967年の綿紡績業である。

④【誤】

業種が異なる。総事業所数が29まで減り、大阪・愛知に加えて愛媛・富山・岐阜・京都が並ぶ。輸入品との競合で大きく縮小した2021年の綿紡績業である。

正解【②】

綿紡績業が491から29へ激減したことから年次の並びが確定し、同じ並びで愛知・福井などが上位に来る②が2021年の化学繊維製造業となる。

問3:正解 ①(解答番号17/配点3)

<問題要旨>

日本の衣料品輸入額について、韓国・中国・バングラデシュ・ベトナムの4か国の推移を2013年を100とする指数で示した表が与えられ、バングラデシュに当たるものを選ばせる設問です。表には2013年の輸入額そのものも併記されています。

<考え方>

判定に使う指標を、2013年の輸入額の大きさと2003年の指数の2つに絞ります。まず輸入額が1兆円に近い項目は、日本の衣料品輸入を長く大きく占めてきた国です。次に2003年の指数を見ると、100を超えている国はかつての方が輸入額が多かった国、つまり早い時期に生産地としての役割を終えた国です。逆に2003年の指数が一桁しかない国は、この20年で新たに供給地として台頭した国であり、賃金の安さを背景に縫製業が急拡大した国が当てはまります。

<選択肢>

①【正】

2013年の輸入額は329億円と小さいが、2003年の指数が5で、10年間に20倍以上に拡大している。2023年も255と伸び続けており、低賃金を背景に縫製業が急成長した国にあたる。

②【誤】

2013年の輸入額が1,280億円で①の約4倍あり、2003年の指数も30ある。①より早い段階から日本向けの供給地となっていた国で、規模も立ち上がりの時期も①とは異なる。

③【誤】

2013年の輸入額が10,092億円と圧倒的に大きく、日本の衣料品輸入の大半を占めてきた国である。2023年は66まで下がり、生産拠点の分散が進んだことを示す。

④【誤】

2013年の輸入額が30億円と最も小さいうえ、2003年の指数が129で当時の方が多かった。早い時期に日本向け衣料品の生産から退いた国であり、近年台頭した国ではない。

正解【①】

2013年の輸入額が小さいのに2003年の指数が5にすぎず、10年で20倍以上に拡大した①が、近年供給地として急成長した国にあたる。

問4:正解 ①(解答番号18/配点3)

<問題要旨>

商業集積地区の類型別に、衣料品・身回品小売業と自動車小売業、そして比較のための飲食料品小売業の店舗数の割合を示した帯グラフが与えられ、衣料品・身回品小売業に当たる帯と、都市中心部に当たる凡例の組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

与えられている飲食料品小売業を手がかりに、まず凡例の方を決めます。食料品店は最寄り品を扱うため、駅周辺や市街地の商店街と住宅地周辺に多く、幹線道路沿いには相対的に少ないはずです。飲食料品小売業の帯でEが約6割を占め、Fがわずか8%しかないことから、Eが都市中心部、Fがロードサイドと決まります。凡例が決まれば業種は3者の相対的な比較で決まります。自動車小売業は広い敷地と駐車場を必要とするため、3業種のうち都市中心部の割合が最も低くロードサイドの割合が最も高くなります。衣料品・身回品小売業は百貨店・駅ビル・商店街に集まるため、都市中心部の割合が最も高くなります。

<選択肢>

衣料品・身回品小売業=カ、都市中心部=E【正】

飲食料品小売業でEが約6割、Fが8%しかないことからEが都市中心部と決まる。そのEが63%と3業種で最も高いカが、百貨店や駅ビル、商店街に集まる衣料品・身回品小売業にあたる。

衣料品・身回品小売業=カ、都市中心部=F【誤】

凡例の取り違え。Fを都市中心部とすると、飲食料品小売業では都市中心部が8%しかないことになり、市街地の商店街に食料品店が多いという実態と合わない。

衣料品・身回品小売業=キ、都市中心部=E【誤】

業種の取り違え。キは都市中心部が29%で3業種のうち最も低く、ロードサイドが29.5%で最も高い。広い敷地と駐車場を必要とする自動車小売業の立地であり、衣料品・身回品小売業ではない。

衣料品・身回品小売業=キ、都市中心部=F【誤】

凡例と業種の両方が合わない。Fを都市中心部とすれば飲食料品小売業の値が実態と合わず、キは都市中心部の割合が最も低い業種であって衣料品・身回品小売業ではない。

正解【①】

飲食料品小売業を基準にEが都市中心部と決まり、そのEが最も高いカが衣料品・身回品小売業となるので、①が正解となる。

問5:正解 ④(解答番号19/配点4)

<問題要旨>

世界の中古衣料品類の輸出額と輸入額について、世界に占める割合が1%以上の国を円の大きさで示した2枚の地図JとKが与えられ、輸入に当たる図を選ばせるとともに、国際的なアパレル企業の本社が多く立地する地域を語句から選ばせる設問です。

<考え方>

円が大きい国の所得水準で輸出と輸入を分けます。中古衣料品は大量に衣料を消費する高所得の国から出ていき、安価な衣料の需要がある国へ入っていきます。したがってアメリカ合衆国・イギリス・ドイツ・オランダ・韓国・日本・カナダ・オーストラリアなどに大きな円が並ぶ図が輸出です。パキスタンを最大に、アラブ首長国連邦やガーナ・ケニア・タンザニアなどのアフリカ諸国、中央アメリカ、チリに円が並び、消費大国であるアメリカ合衆国にはほとんど円がない図が輸入です。本社の立地は、世界的な衣料品チェーンを生んだ地域を考えます。

<選択肢>

輸入=K【正】

パキスタンを最大に、アラブ首長国連邦、ガーナ・ケニア・タンザニア・モザンビークなどのアフリカ諸国、グアテマラなどの中央アメリカ、チリに円が並ぶ。安価な衣料の需要が大きい国々であり、衣料の消費大国であるアメリカ合衆国に円がほとんどないことが決め手になる。

輸入=J【誤】

Jはアメリカ合衆国と中国に最大の円があり、イギリス・ドイツ・オランダ・ポーランド・韓国・日本・カナダ・オーストラリアが続く。衣料の消費量が大きい高所得国が並ぶので、これは輸出の分布である。

サ=EU【正】

ファストファッションを含む国際的なアパレル企業の本社が集まり、衣料品の再資源化についても域内で規制づくりと技術開発の取組みが進められている。

サ=ASEAN【誤】

主体の入れ替え。東南アジアは縫製など生産の工程を担う地域であり、世界的なアパレル企業の本社が多く立地する地域ではない。

正解【④】

高所得国に円が集まるJが輸出、アフリカや南アジアに円が集まるKが輸入で、アパレル企業の本社が多いのはEUなので、組合せは④となる。

第5問 人口の分布と移動、都市の内部構造(配点20)

地域別の人口密度と穀物生産、国際人口移動、人口転換、アメリカ合衆国の都市圏における職業構成、日本の都道府県別指標、地方都市の市街地の拡大という六つの題材を通して、人口と都市の地理を扱う大問です。統計表・散布図・人口ピラミッド・帯グラフ・主題図・地形図を読み分ける力が問われます。

問1:正解 ④(解答番号20/配点3)

<問題要旨>

アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・ヨーロッパの4地域について、1970年と2020年の人口密度と1人当たり穀物生産量を示した表が与えられ、南アメリカに当たるものを選ばせる設問です。

<考え方>

判定に使う指標を、人口密度の水準と50年間の伸びに絞ります。人口密度は面積と人口の比なので、面積が広く人口の少ない地域は低く、面積が小さく人口の多い地域は高くなります。1970年に100人/km²近い水準にあるのは、面積が小さく人口が多い地域です。1970年に10人台前半と低い地域が3つありますが、50年でほぼ4倍になった地域と、2倍前後にとどまった地域に分かれます。南アメリカは人口が2倍強に増えたうえ、大豆やとうもろこしの生産が伸びて1人当たり穀物生産量も約2倍になった地域です。

<選択肢>

①【誤】

1970年に97.4人/km²と最も高く、2020年も114.3人/km²。面積が小さく人口が多い地域であり、南アメリカの人口密度の水準とは大きく異なる。

②【誤】

人口密度は12.6から20.7人/km²と低いが、1人当たり穀物生産量が0.94から1.32トンと際立って大きい。大規模な穀物の輸出地域であり、南アメリカの2倍以上の水準にある。

③【誤】

人口密度が12.4から46.7人/km²へとほぼ4倍に急増する一方、1人当たり穀物生産量は0.17から0.16トンへとほとんど変わらない。人口増加に穀物生産が追いついていない地域である。

④【正】

人口密度が10.9から24.2人/km²へと2倍強に増え、1人当たり穀物生産量も0.28から0.58トンへと約2倍になっている。人口が増えながら穀物生産の拡大がそれを上回った地域で、南アメリカにあたる。

正解【④】

低い人口密度が2倍強に増え、1人当たり穀物生産量も約2倍になった④が南アメリカである。

問2:正解 ②(解答番号21/配点3)

<問題要旨>

アラブ首長国連邦・インドネシア・フランスの3か国について、当該国出身の国外居住者数と当該国における外国人居住者数を示した散布図が与えられ、3か国とア〜ウの組合せを選ばせる設問です。参考として日本の位置も示されています。

<考え方>

判定に使う指標を、2つの軸のどちらが大きいかという向きに絞ります。産油国は労働力を大量に受け入れる一方で自国民が国外に出ることは少ないので、外国人居住者が極端に多く国外居住者はごくわずかになります。人口が多く経済的な理由で国外に出る人が多い国はその逆で、国外居住者が多く外国人居住者は少なくなります。旧宗主国として移民を受け入れ、かつ国民も近隣国へ出ていく国は、両方が多くなります。

<選択肢>

アラブ首長国連邦=ア【正】

国外居住者が20万人程度と3か国で最も少ない一方、外国人居住者は870万人に達する。石油収入を背景に建設業やサービス業の労働力を大量に受け入れ、外国人が人口の大半を占める国にあたる。

フランス=イ【正】

外国人居住者が860万人と多く、国外居住者も230万人ある。旧植民地からの移民を受け入れてきた一方で国民も近隣諸国へ移動しており、両方が多いという特徴をもつ。

インドネシア=ウ【正】

国外居住者が460万人と3か国で最も多いのに対し、外国人居住者は40万人にとどまる。人口が多く、近隣諸国や西アジアへ出稼ぎに出る人が多い送り出し国にあたる。

正解【②】

受け入れに偏るアが産油国、両方が多いイがフランス、送り出しに偏るウがインドネシアで、組合せは②となる。

問3:正解 ⑤(解答番号22/配点3)

<問題要旨>

フィンランド・マリ・メキシコの3か国について、1950年から2020年までの自然増加率の推移を示したグラフと、1960年・1990年・2020年の人口ピラミッドの変化を示した図が与えられ、メキシコに当たる記号と図の組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

人口転換のどの段階にあるかで3か国を並べます。多産多死から多産少死を経て少産少死に至る過程で、自然増加率は一度大きく上がり、その後下がります。すでに転換を終えた国は1950年代から自然増加率が低く、やがてマイナスに転じます。転換の初期にある国は死亡率の低下によって自然増加率が上がり、現在も高い水準にあります。メキシコは1960年代に自然増加率が最高となり、その後急速に低下して現在は一桁という、転換の後半にある国です。人口ピラミッドも、かつての富士山型から、若い年齢層のふくらみを残しつつ底辺が狭まる形へ変わります。

<選択肢>

自然増加率=B【正】

1950年代から1960年代にかけて上昇して最も高くなり、その後一貫して低下して2020年には8‰程度になっている。出生率の急激な低下が進んだ国の推移で、メキシコにあたる。

自然増加率=A【誤】

1950年に15‰程度だったものが上昇を続け、2020年でもなお15‰を大きく上回る。死亡率の低下に出生率の低下が追いついていない、人口転換の初期にある国の推移である。

自然増加率=C【誤】

1950年の14‰から下がり続け、2020年には0を下回っている。早くから少産少死に移行して自然減に入った国の推移である。

人口ピラミッド=キ【正】

1960年には0〜4歳が最も広い富士山型だが、2020年には0〜4歳が10〜14歳より狭くなり、若い年齢層のふくらみを残したベル型に変わっている。急速に出生率が下がった国の変化で、メキシコにあたる。

人口ピラミッド=カ【誤】

1960年の時点ですでに底辺が狭く中ほどにふくらみがあり、2020年には高齢層が厚い釣鐘型から紡錘型に近い形になっている。早く人口転換を終えた国の変化である。

人口ピラミッド=ク【誤】

1960年から2020年まで一貫して底辺が最も広い富士山型を保っている。出生率が高い水準にとどまる国の変化である。

正解【⑤】

1960年代に自然増加率が最高となりその後急落するBと、2020年に底辺が狭まるキの組合せなので、⑤が正解となる。

問4:正解 ②(解答番号23/配点4)

<問題要旨>

アメリカ合衆国の2つの都市圏について、中心都市と周辺地域それぞれの職業別就業者割合を示した帯グラフが与えられ、ニューヨーク都市圏に当たる記号と、生産・輸送に関わる職業に当たる凡例の組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

まず、あり得ない値を外して凡例を決めます。現在のアメリカ合衆国では製造業の就業者割合が大きく下がっているため、大都市圏で生産・輸送職が4割を超えることはありません。両地域で4割台を占める凡例は管理的・専門的職業で、1割前後にとどまる凡例が生産・輸送職です。次に都市圏を決めます。金融・情報・専門サービスが集積する都市圏では、中心都市も周辺地域もそろって専門職の割合が高くなります。自動車工業で発展した都市圏では、中心都市に生産職が多く残り、周辺の郊外に専門職が偏るという中心と周辺の対比が生じます。

<選択肢>

ニューヨーク都市圏=E、生産・輸送職=シ【正】

Eは中心都市43%、周辺地域45.5%と管理的・専門的職業(サ)の割合が高く、しかも中心と周辺の差が小さい。金融・情報・専門サービスが集積する都市圏の特徴であり、生産・輸送職にあたるシは1割前後にとどまる。

ニューヨーク都市圏=E、生産・輸送職=サ【誤】

凡例の取り違え。サは中心都市でも周辺地域でも4割台を占める。製造業の就業者割合が大きく低下した現在のアメリカ合衆国の大都市圏で、生産・輸送職がこの水準になることはない。

ニューヨーク都市圏=F、生産・輸送職=シ【誤】

都市圏の取り違え。Fは中心都市で管理的・専門的職業が25%にとどまり生産・輸送職が25.5%と高く、逆に周辺地域では専門職が42.5%に上がる。中心都市に生産職が残り郊外に専門職が偏るという、自動車工業で発展した都市圏の姿である。

ニューヨーク都市圏=F、生産・輸送職=サ【誤】

凡例と都市圏の両方が合わない。サを生産・輸送職とすると割合が過大であり、Fは中心と周辺で職業構成の差が大きい都市圏である。

正解【②】

4割台を占めるサが管理的・専門的職業と決まり、中心も周辺も専門職が高いEがニューヨーク都市圏なので、②が正解となる。

問5:正解 ③(解答番号24/配点3)

<問題要旨>

都道府県別の第一次産業就業者割合・平均通勤・通学時間・持ち家住宅割合を高位・中位・低位の3階級で示した3枚の主題図が与えられ、3つの指標と図タ〜ツの組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

3つの指標が同時に高くはならない都道府県を一つ選び、そこでの階級の違いから割り振るのが確実です。北海道は農業が盛んで第一次産業就業者割合が高い一方、持ち家住宅割合は全国でも低い方に入り、通勤・通学時間は全国の平均的な水準にあります。したがって、北海道が高位の図が第一次産業就業者割合、低位の図が持ち家住宅割合、中位の図が平均通勤・通学時間です。残る特徴からも確かめられます。大都市圏で高位となる図が平均通勤・通学時間、北陸や東北の日本海側で高位となる図が持ち家住宅割合です。

<選択肢>

第一次産業就業者割合=チ【正】

北海道・青森・岩手・秋田・高知・宮崎・鹿児島・山陰といった農林水産業の比重が大きい道県で高位となり、東京・神奈川・大阪といった大都市圏で低位となる。

平均通勤・通学時間=タ【正】

東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・愛知・岐阜・大阪・京都・奈良・兵庫・宮城といった大都市への通勤圏で高位、青森・秋田・岩手・山形など地方で低位、北海道は中位となる。通勤距離が長くなる大都市圏の特徴を示す。

持ち家住宅割合=ツ【正】

秋田・山形・富山・石川・福井・新潟・岐阜・長野といった日本海側と中部で高位、東京・神奈川・千葉・大阪・福岡・北海道・沖縄で低位となる。借家の供給が多い大都市と、持ち家が一般的な地方との対比を示す。

正解【③】

北海道が高位のチが第一次産業就業者割合、低位のツが持ち家住宅割合、中位のタが平均通勤・通学時間で、組合せは③となる。

問6:正解 ②(解答番号25/配点4)

<問題要旨>

城下町を起源とする地方都市について、1980年と2020年の人口集中地区の範囲や大型店舗・道路・鉄道を示した2枚の地図と、両年の人口集中地区の人口が与えられ、この都市の変化を述べた文の下線部のうち適当でないものを選ばせる設問です。

<考え方>

ここは実数の増減と密度の増減を区別することが要点です。人口集中地区の人口は52,920人から57,328人へ、増加率でいえば1割にも届きません。これに対して人口集中地区の範囲は北・東・西へ大きく広がっており、面積の拡大率は人口の増加率をはるかに上回ります。人口密度は人口を面積で割った値なので、面積の伸びが人口の伸びを上回れば密度は下がります。市街地が低密度のまま外へ広がったと読むのが正しく、密度が高まったとするのは誤りです。

<選択肢>

①【正】

1980年の地図では城跡の近くと鉄道駅の付近に大型店舗と市役所が集まっており、商業の中心地が形成されていたと読める。記述のとおり。

②【誤】

面積の拡大と人口密度の混同。人口は52,920人から57,328人へと1割に満たない増加にとどまる一方、人口集中地区の範囲は大きく拡大している。面積の拡大率が人口の増加率を上回るため、人口密度は高まるのではなく低下している。

③【正】

2020年の地図では人口集中地区の外側の幹線道路沿いに大型店舗が多数立地している。中心部の商店街が衰退する変化と対応する。記述のとおり。

④【正】

都市機能を中心部に集めて公共交通の利用を促すのは、市街地の拡散に対応するコンパクトシティの考え方であり、記述のとおり。

正解【②】

人口は1割未満の増加にとどまるのに範囲は大きく広がっており、人口密度は低下しているので、密度も高まったとする②が誤りである。

第6問 ドナウ川・ナイル川・メコン川の流域(配点17)

三つの国際河川の流域を取り上げ、源流から河口までの気候帯の変化、流域の都市の景観と歩み、国境を越える貨物輸送、水資源の国外依存度、流域国の経済格差を比べていく大問です。模式図・写真・円グラフ・分布図・統計表を横断して読む力が問われます。

問1:正解 ②(解答番号26/配点4)

<問題要旨>

三つの国際河川について、源流から河口までの流路に沿って現れる気候帯を模式的に示した図ア〜ウが与えられ、河川との組合せを選ばせる設問です。凡例は3図に共通で、熱帯・乾燥帯・温帯・寒帯の4つが用いられています。

<考え方>

凡例が3図に共通であることを使い、同じ模様がどの図のどこに現れるかを突き合わせれば、模様と気候帯の対応まで一度に決まります。源流から河口まで一つの模様だけで貫かれる図があり、これは中緯度の温帯を東西に流れる河川です。この図と同じ模様が中流部に現れる図は、上流にそれより寒冷な気候帯、下流にそれより低緯度の気候帯をもつことになり、高原の源流から熱帯の三角州に至る河川にあたります。残る図は源流部だけが下流部と違う模様で、しかもその模様は前の図の下流部と同じなので、赤道付近の湖沼地帯を源流とし、そこから砂漠を貫いて流れる河川です。

<選択肢>

ドナウ川=ア【正】

源流から河口まで同じ模様で貫かれている。中緯度を東西に流れ、全流域が温帯におさまる河川にあたる。

メコン川=イ【正】

上流・中流・下流で模様が3つに分かれ、中流の模様がアと同じ温帯である。上流は高原の寒帯、下流は三角州の熱帯にあたり、標高の高い源流から低緯度の河口へ下る河川に対応する。

ナイル川=ウ【正】

源流部の模様がイの下流部と同じ熱帯で、そこから河口までが残る一つの模様で占められる。赤道付近の湖沼地帯を源流とし、流路の大部分が乾燥帯の砂漠を貫く外来河川に対応する。

正解【②】

全流域が温帯のアがドナウ川、寒帯から温帯を経て熱帯に至るイがメコン川、熱帯の源流から乾燥帯を貫くウがナイル川で、組合せは②となる。

問2:正解 ①(解答番号27/配点3)

<問題要旨>

ナイル川流域のハルツームとメコン川流域のプノンペンのいずれかで撮影された2枚の写真と、2都市のいずれかについて述べた2つの文が与えられ、プノンペンに当たる写真と文の組合せを選ばせる設問です。

<考え方>

写真は宗教施設の形で分け、文は都市の近代史で分ける、という二段構えで決まります。尖塔の連なる仏教寺院と三輪タクシー・二輪車が写る写真は、上座仏教が信仰される東南アジアの都市の景観です。2本のミナレットをもつモスクが写る写真はイスラーム圏の都市の景観です。文の方は、20年以上続いた内戦で建築物が破壊され、その後の再建と経済特区への外国企業進出という筋が東南アジアの都市に、古くからの交易の拠点で石油収入によるインフラ整備を進めたが政情不安が続くという筋がイスラーム圏の都市に対応します。

<選択肢>

写真=カ、文=A【正】

カには尖塔の連なる仏教寺院と三輪タクシー・二輪車が写り、東南アジアの都市の景観である。文Aの、20年以上に及ぶ内戦で建築物が破壊されたのちに都市が再建され、経済特区に外国企業が進出しているという内容も、内戦を経て縫製業などの外資を受け入れた歩みに合う。

写真=カ、文=B【誤】

文の取り違え。石油資源をもとにインフラ整備や都市開発を進めたという記述は産油国の都市に当てはまる。写真カの都市は石油資源を基盤に開発を進めた都市ではない。

写真=キ、文=A【誤】

写真の取り違え。キには2本のミナレットをもつモスクが写り、イスラーム圏の都市の景観である。東南アジアの都市の景観ではない。

写真=キ、文=B【誤】

いずれも他方の都市に当たる。キのモスクの景観と、古くから交易や文化の拠点として栄え石油資源をもとに開発を進めたが政情不安が障害になっているという文Bは、ともにナイル川流域の都市の説明である。

正解【①】

仏教寺院と三輪タクシーの景観カと、内戦からの再建と経済特区を述べた文Aがプノンペンに対応するので、①が正解となる。

問3:正解 ④(解答番号28/配点3)

<問題要旨>

ドナウ川の中流域に位置するオーストリアについて、ドナウ川周辺の国境を通過する貨物量と輸送手段別の割合を、上流側と下流側に分けて示した円グラフが与えられ、上流側に当たる記号と船舶に当たる凡例の組合せを選ばせる設問です。注記により、上流側はドイツ、下流側はスロバキアとハンガリーに接していることが示されています。

<考え方>

貨物量の総量と、凡例が占める割合の大きさという2つの手がかりで決めます。オーストリアの貿易はドイツとの結びつきが最も大きいので、国境を越える貨物量が2倍近く多い方が上流側です。凡例は、国境を越える貨物輸送で最大の割合を占めるのが自動車であることから決まります。6〜7割を占める凡例が自動車、十数%と数%にとどまる凡例が船舶です。ドナウ川の航行は黒海へ向かう下流側の方が盛んなので、船舶の割合が下流側で高いという結果とも整合します。

<選択肢>

上流側=シ、船舶=E【正】

シは貨物量が4,200万トンで、2,300万トンのサの約1.8倍。最大の貿易相手国であるドイツと接する上流側にあたる。凡例では64%と72%を占めるDが自動車、残るEが船舶で、船舶の割合は上流側のシで3%、下流側のサで16%と、黒海に向かう下流側の方が高い。

上流側=シ、船舶=D【誤】

凡例の取り違え。Dは64%と72%を占める。国境を越える貨物輸送で船舶がこれほどの割合を占めることはなく、これは自動車である。

上流側=サ、船舶=E【誤】

上流側の取り違え。サは貨物量が2,300万トンでシより少ない。オーストリアの貿易はドイツとの結びつきが最も大きいため、ドイツと接する上流側の貨物量が、スロバキア・ハンガリーと接する下流側を下回ることはない。

上流側=サ、船舶=D【誤】

上流側と凡例の両方が合わない。貨物量の少ないサを上流側とするのは貿易相手国の規模と合わず、6〜7割を占めるDを船舶とするのも国境を越える貨物輸送の実態と合わない。

正解【④】

貨物量が多いシがドイツと接する上流側、6〜7割を占めるDが自動車で残るEが船舶なので、④が正解となる。

問4:正解 ②(解答番号29/配点3)

<問題要旨>

三つの河川の流域を含む国々について、水資源の国外依存度を国別に3階級で示した分布図が与えられ、図から読み取れることや流域で生じている国際問題について述べた文の下線部のうち、適当でないものを選ばせる設問です。

<考え方>

国外依存度は、国内で使える水のうち国外から流れ込む分がどれだけを占めるかを表す値です。したがって、国土のほとんどが流域に入り、しかも上流が他国にある国で高くなり、流域が国土のごく一部にすぎない上流側の大国では低くなります。図で依存度が70%以上とされている国と30%未満とされている国が、それぞれ流域のどこに位置するかを確かめれば、傾向の向きが判定できます。

<選択肢>

①【正】

ドナウ川流域ではハンガリーなどが70%以上でオーストリアなどが30%未満、ナイル川流域ではエジプトが70%以上でエチオピアなどが30%未満、メコン川流域ではカンボジアが70%以上で中国が30%未満。いずれの流域でも両方の階級の国が混在している。

②【誤】

傾向が逆。流域と国土の重複が小さい国は、メコン川流域の中国やミャンマー、ドナウ川流域のドイツ・イタリア・ポーランド、ナイル川流域のエチオピアやケニアのように、いずれも依存度が低い。依存度が70%以上になるのは、ハンガリー・エジプト・カンボジアのように国土の大部分が流域に含まれ、上流を他国に握られている国である。

③【正】

メコン川では上流の中国などでダム建設や灌漑が進み、流量の変化が下流のカンボジア・ベトナムの農業に制約をもたらしている。記述のとおり。

④【正】

ナイル川では上流のエチオピアが大規模なダムを建設し、下流のエジプト・スーダンへの水供給量が減ることが懸念されて対立が生じた。記述のとおり。

正解【②】

重複が小さい上流側の国ほど依存度は低く、国土の大部分が流域に入る下流の国で高いので、②の傾向は逆である。

問5:正解 ④(解答番号30/配点4)

<問題要旨>

三つの河川の流域を含む国々について、1人当たりGDPの平均値と変動係数を1995年と2023年で示した表が与えられ、メコン川に当たる記号と、流域国の多くが参画する経済協力の枠組みで行われていることを表す語句との組合せを選ばせる設問です。注記には、対象がドナウ川17か国・ナイル川10か国・メコン川6か国であることが示されています。

<考え方>

判定に使う指標を1人当たりGDPの平均値に絞ります。メコン川の流域国は中国・ミャンマー・ラオス・タイ・カンボジア・ベトナムの6か国で、高所得国は含まれないものの中所得の国が複数あるため、平均値は数千ドルの水準になります。ヨーロッパの17か国には高所得国が多く含まれるので平均値は2万ドル台、ナイル川の10か国は低所得国が中心なので1千ドル台です。語句の方は「どちらの流域においても」という条件が効きます。単一通貨はヨーロッパの枠組みに限られるので、両方に当てはまるのは域内での国際分業です。

<選択肢>

メコン川=K【正】

1人当たりGDPの平均値が1995年に756ドル、2023年に4,878ドル。中国やタイのような中所得国と、ラオス・カンボジア・ミャンマーのような低所得国が混じる6か国の平均として妥当な水準である。

メコン川=J【誤】

Jは平均値が1995年に10,371ドル、2023年に27,729ドル。高所得国を多く含む17か国の水準であり、ヨーロッパの流域国にあたる。

メコン川=L【誤】

Lは平均値が1995年に330ドル、2023年に1,355ドル。低所得国が中心の10か国の水準であり、アフリカの流域国にあたる。

x=チ(域内での国際分業)【正】

ヨーロッパの枠組みでも東南アジアの枠組みでも、関税の引下げや投資の自由化を通じて工程ごとに生産を分担する国際分業が進み、後発の国の所得が伸びて国々の間の格差が縮小した。どちらの流域にも当てはまる。

x=タ(単一通貨の導入)【誤】

対象の取り違え。単一通貨を導入しているのはヨーロッパの枠組みだけで、東南アジアの枠組みには共通通貨はない。「どちらの流域においても」という条件を満たさない。

正解【④】

平均値が数千ドル台のKがメコン川で、両方の枠組みに共通するのは域内での国際分業なので、④が正解となる。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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