2020年度 大学入試センター試験 本試験 地理A 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解3

<問題要旨>

この小問では,地図上の地点Dの方向と時刻に関する問題が問われている。東京と地点Dの相対的な位置関係や,グリニッジ標準時(GMT)との時差を手掛かりに,東京での時刻と地点Dの時刻のずれを推定する力が求められる。

<選択肢>

①【誤】
東京からみるとDがおおむね東側にあるという想定や,GMTとの時差が合わない設定になっている可能性がある。問題文の地図や時差計算と一致しない。
②【誤】
東京からみる方向の設定が妥当であっても,地点DとGMTの時差がこの選択肢の組合せとはずれていると考えられる。
③【正】
地図上で東京から北東またはそれに近い方向に位置し,GMTとの差が約6時間である地域を考慮すると,東京との時差は実際に15時間前後離れる。この条件下では「2019年12月31日の午前9時」などになる組合せが成り立つ。
④【誤】
仮に東京から見た方向が合っていても,日付変更線付近やGMTとの時差の関係から,提示された時刻の組合せでは不自然になる場合がある。よって整合しにくい。

問2:正解4

<問題要旨>

世界各地には気候や成り立ちによって多様な土壌が分布している。本小問では,図中の地点J~Mのいずれかにみられる土壌の特徴を説明した文が①~④で示され,それらのうち,地点Jに該当するものを選ぶ問題となっている。土壌の色合いや肥沃度がポイントとなる。

<選択肢>

①【誤】
「灰白色で栄養分が乏しい土壌」は,寒冷地帯のポドゾルなどを想起させるが,それがJに当たるとは限らない。
②【誤】
「赤色で栄養分が乏しい土壌」は,熱帯や亜熱帯でみられるラトソルなどが想定されるが,Jがその地域に対応している根拠には乏しい。
③【誤】
「岩石や砂が主で農業に不向きな土壌」は,砂漠や半砂漠地帯を連想させる。図中のJの位置(たとえば高緯度のステップ地帯など)とは合わない可能性が高い。
④【正】
「肥沃な黒色の土壌」はステップ地帯などに見られる黒色土(チェルノーゼムなど)を指すことが多い。地図からJがそのような地域に位置する場合は,この説明が当てはまる。

問3:正解1

<問題要旨>

図2には降水量の棒グラフが示され,ある地点の最も降水量が多い月と少ない月を比較するデータが与えられている。このグラフをカ~ケのどれかと照合し,該当する降水パターンを読み取る問題である。南北半球の季節差やモンスーンの影響などを考慮して,最大・最小雨月を分析することがポイント。

<選択肢>

①【正】
グラフに示される最大・最小の月(12月と6月など)の差やその降水量の傾向が,問題文の図2(①)の降水パターンと合致すると考えられる。
②【誤】
7月や1月が大きく差のあるパターンであっても,図2(②)の棒グラフとは食い違いが生じるため,一致しない可能性が高い。
③【誤】
図2(③)の最大降水月と最小降水月が10月と2月になっており,問題文中のケにあてはまらない場合が多い。
④【誤】
図2(④)では降水量が5月と12月などの組合せで最大・最小になっているため,問題文中のケとの符合が難しい。

問4:正解6

<問題要旨>

図1中のP,Q,Rは主なプレート境界を示しており,それぞれ横ずれ型,沈み込み型,広がる型といった特徴をもつ。その地形として,サ(=すべる境界),シ(=せばまる境界),ス(=広がる境界)をどのプレート境界にあてはめるかを問う問題である。断層による横ずれの地形や,深い海溝,山脈の連なりなどを手掛かりに判断する。

<選択肢>
①【誤】
P, Q, Rへの割り振りが,横ずれ・狭まる・広がるの順番と一致しない。
②【誤】
選択肢に示されたサ・シ・スの対応が,それぞれのプレート境界タイプの典型例と合わず,不自然になる。
③【誤】
Pがせばまる境界,Qが広がる境界,Rがすべる境界のような並びだとすると,地図や代表的な事例と整合しにくい。
④【誤】
まだP, Q, Rの順序に合わない組合せで,地形の特徴も不一致がみられる。
⑤【誤】
同様に,プレート境界のタイプと選択肢の並びがずれた組合せである。
⑥【正】
Pがすべる境界(サ),Qがせばまる境界(シ),Rが広がる境界(ス)の特徴が最も自然に当てはまり,代表的な事例との照合もしやすい。

問5:正解4

<問題要旨>

写真1には四つの景観が示されており,これらが図1のター~テのいずれかの地点で撮影されたものにあたる。地形や岩石の特徴から,どこを撮った写真かを判別する問題である。乾燥地帯の砂丘や石灰岩のタワーカルスト,高山地帯の氷河地形などを見分けることがポイント。

<選択肢>
①【誤】
平坦にそびえ立つ巨大な一枚岩に近い風景(いわゆるウルルのような地形)だが,問題文のター~テの地点すべてに当てはまるわけではなく,写真4とは明らかに形態が異なる。
②【誤】
砂漠地帯にみられるような大規模な砂丘だが,写真4のような岩峰群ではないため誤り。
③【誤】
雪をいただく山並みや氷河湖のようにもみえる高山景観で,これも写真4の石灰岩の峰々らしき姿とは大きく異なる。
④【正】
水辺に連なる塔状の岩が特徴的な,いわゆるカルスト地形(タワーカルスト)の風景。ター~テの中にこれに該当する場所がある場合,写真とよく一致すると考えられる。

問6:正解1

<問題要旨>

自然災害に対する備えとして,適切な避難経路の事前確認や住民どうしの支援体制などが問われる問題。火山ハザードマップや地域の協力関係の構築など,災害時の被害軽減策の理解が必要となる。

<選択肢>
①【正】
マの文(火山噴火時に備え,複数の避難路を確認しておくこと)もミの文(住民どうしの迅速な救助・支援が可能となる地域協力の重要性)も,いずれも防災対策として理にかなっている。
②【誤】
マは正しい記述でも,ミの文が防災の視点で誤解を含む場合に当てはまるが,本問の内容と合致しない。
③【誤】
マが誤り,ミが正しいなどの組合せを想定するが,噴火時の避難路確保の重要性を否定する根拠は薄い。
④【誤】
両方とも誤りとする組合せだが,どちらも災害対策において妥当性が高いので不適切。

問7:正解4

<問題要旨>

日本各地の都市における「積雪日」「多降水日」「猛暑日」の多寡を比較した地図が示されており,指標名ラ・リ・ルのどれが積雪日に対応するか,どれが多降水日に対応するか,どれが猛暑日に対応するかを判別する問題である。日本列島の地形や気候区分の基本知識が求められる。

<選択肢>
①【誤】
ラ,リ,ルの割り振り方が日本列島の降雪量・降水量・最高気温の分布傾向と合わない。
②【誤】
多降水日がラ,猛暑日がリなどの振り分けをしている可能性があるが,日本海側や太平洋側の特徴との対応が不自然。
③【誤】
猛暑日の分布がラ,積雪日の分布がリという設定だと,北日本や日本海側の特徴とずれる。
④【正】
ラ=積雪日,リ=多降水日,ル=猛暑日(あるいは地域ごとに高温が多い分布)などの区分が,日本の気候分布を考えたときにもっとも合理的である。
⑤【誤】
組合せをさらに入れ替えているが,多雪地帯や猛暑地帯が混在するため矛盾が生じる。
⑥【誤】
本問の地図上の分布パターンと合致しづらいため正解にあたらない。

問8:正解2

<問題要旨>

1927年の地形図と現在の土地利用状況を対比し,住宅地の立地条件や周囲の地形変化から災害リスクを読み取る問題。天井川(川床が周囲の土地より高くなった川)や谷地形への宅地造成などが,豪雨時や地震時にどのような被害を受けやすいかを考察する。

<選択肢>

①【誤】
急傾斜地の開発を想定した記述だが,図中のX~Zなどの場所関係からみて,大雨や地震での崖崩れを直接指摘しているわけではなさそう。
②【正】
天井川に近い住宅地では,川が周囲の土地より高い状態で流れているため,大雨時に氾濫がおきれば浸水被害を受けやすい。図中の川やその標高線の情報からも,これが当てはまる。
③【誤】
大規模に造成されて液状化が起こりやすい地形,という説明だが,図4のW~Z付近の標高線の様子などからは急激な盛土とは言えない部分もある。
④【誤】
「谷に近い土地で大雨時に土石流の被害を受けやすい」説明は,急峻な山間部を想定するが,図4のY地点などからは天井川などの方が大きな脅威となるため,条件が合わない。

第2問

問9:正解6

<問題要旨>
図1には複数の作物(小麦・大豆・ライ麦のいずれか)について,主要生産国・地域の年間食料供給量(上位10か国・地域)が示されている。ア,イ,ウの分布を比較し,それぞれがどの作物に該当するかを組合せで答える問題。生産地の分布や数量規模(万トン,百万トン)のちがいから作物を識別していくことが求められる。

<選択肢>
①【誤】
アを小麦,イを大豆,ウをライ麦とする組合せ。小麦は中国やインドなど世界各地で大量に生産されるが,アの分布円と比べるとやや偏りがある。また,大豆がイに相当すると南北アメリカでより大きな生産量を示すはずで,図の分布からずれる。
②【誤】
アを大豆,イを小麦,ウをライ麦としている組合せ。大豆は南米や北米で非常に大きな円が見られるはずだが,アの地図に合致しにくい。小麦生産量上位国の分布とも整合が難しい。
③【誤】
アをライ麦,イを小麦,ウを大豆とする組合せ。ライ麦は主にヨーロッパで比較的多く生産されるが,アの分布からはヨーロッパで顕著な円が目立つわけではなく,逆にアジア圏で大きい円があり,ライ麦とは合致しにくい。
④【誤】
アを大豆,イをライ麦,ウを小麦とする組合せ。ウ(小麦)を確認する際には中国やインドをはじめ広範に生産量が大きいことが想定されるが,ウの分布と照らし合わせると不自然な点がある。
⑤【誤】
アをライ麦,イを大豆,ウを小麦としている組合せ。大豆の大産地であるアメリカ合衆国やブラジルがイの地図と合わない可能性がある。
⑥【正】
アを小麦,イを大豆,ウをライ麦とする組合せ。ア(小麦)は中国やインドを中心に多く生産され,イ(大豆)は南北アメリカや中国が大きな円で示される。ウ(ライ麦)はヨーロッパや一部の地域の円が比較的限定的に見られる。これらの分布が図1の地図と最も整合性が高い。

問10:正解4

<問題要旨>
図2にはいくつかの国における「1人1日当たりの食料供給量」を品目別に示したグラフがある。①~④がそれぞれカナダ,カンボジア,タンザニア,日本のいずれかであり,肉類や乳製品の比率,イモ類や穀類の比率から国の食生活の特徴を推定して該当国を選び出す問題。ここではタンザニアがどのグラフに該当するかを問うている。

<選択肢>
①【誤】
グラフでは肉類や乳製品の割合が大きく,穀類などもしっかり見られる。一人あたりの供給量が全体的に高く先進国型の特徴に近い。タンザニアのイメージとはかけ離れる。
②【誤】
穀類中心ではあるが,一人当たりの総供給量がやや多めで,他の品目(肉類,乳製品など)もほどほど占める。具体的な配分をみるとカンボジアに近い傾向も考えられるが,タンザニアとは断定しづらい。
③【誤】
一人当たりの総供給量が非常に大きく,肉類や乳製品などの消費も多い。一見すると先進国の食生活に近い構成で,タンザニアの一般的な供給量よりかなり高い。
④【正】
穀類やイモ類などの比率が高く,肉類や乳製品の割合が低いのが特徴。全体の供給量も比較的少なめで,アフリカ諸国の傾向に近い。これがタンザニアの特徴と合致する。

問11:正解3

<問題要旨>
世界各地の民族や宗教に関して,ある説明文が4つ示され,そのうち下線部が「事実とそぐわない」ものを選ぶ問題。例として,スコットランドの独立住民投票やサーミ人の生活,クルド人の信仰事情,ラグビーのニュージーランド代表チームが踊るハカの起源などが挙げられている。

<選択肢>
①【誤】
「2014年にスコットランド独立の賛否を問う住民投票を実施した」という事実は確認されており,この下線部は史実に沿っている。
②【誤】
「サーミの人々がトナカイの遊牧を行ってきた」こともよく知られる伝統であり,史実にかなっている。
③【正】
「クルド人は多くがキリスト教を信仰している」とする下線部は事実と異なる。クルド人は主にイスラム教(特にスンナ派)を信仰する人が多い。よって下線部が誤りにあたる。
④【誤】
「ハカは先住民マオリの民族舞踊を起源とする」という説明は広く認められているとおり,事実に近い。

問12:正解5

<問題要旨>
表1にはスイス,スリランカ,ベルギーの主要言語が話者人口の多い順に示され,カ~クのいずれかが英語・オランダ語・フランス語を指す。ここでは,それぞれの第三位までに示される言語と照らし合わせつつ,「カ~ク」をどの言語に対応させるかを選ぶ問題である。

<選択肢>
①【誤】
英語を「カ」,オランダ語を「キ」,フランス語を「ク」に割り振っているが,ベルギーの言語事情(フラマン語圏=オランダ語,ワロン語圏=フランス語)やスリランカのタミル語との対応が合わない箇所がある。
②【誤】
割り振りがスイス,スリランカ,ベルギーの言語構成と整合性を欠いている。特にスイスではドイツ語,フランス語,イタリア語の順となるが,この選択肢では不自然な部分が多い。
③【誤】
英語を「カ」,オランダ語を「ク」,フランス語を「キ」のような配列と解釈されるが,ベルギー側の第1位はオランダ語,第2位がフランス語であるなど,整合が取りづらい。
④【誤】
割り振りが,スリランカのシンハラ語・タミル語以外の英語事情を示す場合でも,スイスやベルギーとの対応がずれている。
⑤【正】
スイスの第2位がフランス語,ベルギーの第1位がオランダ語,第2位がフランス語,そしてスリランカの公用語の一つとして英語も一定数話されるなどの事情から,英語・オランダ語・フランス語の並びを「カ」「キ」「ク」と対応づけるこの組合せが最もしっくりくる。
⑥【誤】
フランス語とオランダ語の順序などでベルギーやスイスの事情が反映しきれず,不正解となる。

問13:正解2

<問題要旨>
「国内で最も多くの人々が信仰する宗教が,隣国では異なる」例として正しい組合せを選ぶ問題。南アジアや中東,東南アジアなど国境を接する国々で,多数派宗教に違いがあるケースが比較される。

<選択肢>
①【誤】
アルゼンチンもチリもカトリックをはじめキリスト教が多数派であり,両国とも同じ宗教の大勢を占めるため違いは少ない。
②【正】
インドではヒンドゥー教が最も信者数が多い。一方で隣国のバングラデシュではイスラム教が多数派であり,両国で異なる宗教が最も多くの人に信仰されている。
③【誤】
エジプトとリビアはいずれもイスラム教徒が大多数を占める国。よって両国で多数派宗教が異なるわけではない。
④【誤】
タイもラオスも上座部仏教の信徒が圧倒的に多く,両国とも仏教が国民の大半を占めるため,多数派宗教は共通している。

問14:正解1

<問題要旨>
日本の都市が海外の都市(姉妹・友好都市)と提携する理由には,文化・歴史的なつながり,経済・産業の交流,風土や観光振興などさまざまな要素がある。ここでは「最も適当な文」を選び,その姉妹都市の特色を示す問題となっている。

<選択肢>
①【正】
京都市と中国のシーアン(西安)は,古都として歴史的建造物が多く残る点が共通する。中国史において長安と呼ばれた西安はかつての都であり,京都も日本の古都。これらが連携している事実がある。
②【誤】
山口県下関市とトルコのイスタンブールとの関係については,直接的に三角州(デルタ)地帯の発展や海上・陸上交通の要衝という面での強い共通点を根拠づけるにはやや無理がある。
③【誤】
愛知県豊田市とアメリカ・デトロイトを自動車産業や航空機産業の歴史の観点で捉えるが,両都市の交流要因を必ずしも「航空機産業」の発展とは結び付けにくい。
④【誤】
長野県松本市とネパールのカトマンズが「山岳地域の水源を利用した半導体生産の拠点」とする説明は不自然であり,水資源の利用と半導体産業との関連が明確には示されていない。

問15:正解3

<問題要旨>
「インドの山岳鉄道群」に含まれるダージリン・ヒマラヤ鉄道は,紅茶やコーヒーなどの農産物を旧宗主国へ向けて輸送する目的などで敷設されたとされる。一方,「マカオ歴史地区」にはかつての宗主国の宗教施設の面影が残り,旧宗主国との結びつきが顕著である。この文中の空欄サとシに入る言葉(コーヒー・茶などとキリスト教・ヒンドゥー教など)を問う問題。

<選択肢>
①【誤】
サをコーヒー,シをキリスト教とする組合せ。ダージリンの特産品は「茶」のイメージが強く,コーヒーを輸送の主要目的にするのは史実と合わない。
②【誤】
サをコーヒー,シをヒンドゥー教としている。コーヒーは南インドなどの一部地域で生産されるものの,ダージリン・ヒマラヤ鉄道では茶が著名。またマカオ歴史地区と深いかかわりのある宗教はキリスト教系の施設であり,ヒンドゥー教ではない。
③【正】
サを「茶」,シを「キリスト教」とする組合せは,ダージリン特産の茶と,マカオの旧宗主国(ポルトガル)由来のカトリック教会などを含むキリスト教施設が歴史的に遺る点で整合する。
④【誤】
サを「茶」,シを「ヒンドゥー教」とする組合せ。ダージリンの茶は正しいが,マカオ歴史地区の宗教施設の中心がヒンドゥー教であった事実はなく,歴史的にはキリスト教施設が主要である。

第3問

問16:正解4

<問題要旨>
図1中のA~Dに含まれるヨーロッパ各地の地形的特徴について記した4つの説明文のうち,「該当しない(適当でない)もの」を選ぶ問題。A,B,C,Dの周辺がどのような地形で知られているかを整理し,リアス海岸・氷食谷・エスチュアリー・火山地帯などの分布を照合しながら判断することが求められる。

<選択肢>
①【正】
「Aでは,山地や丘陵が沈水して形成されたリアス海岸がみられる」。Aがスペインやポルトガル北西部の沿岸域を含むと考えれば,沈水して複雑な海岸線が連なるリアス海岸が分布することはよく知られる。
②【正】
「Bでは,山岳氷河の侵食によって形成されたU字谷(氷食谷)がみられる」。アルプス山脈周辺などを含む地域であれば,かつての氷河作用によるU字谷が形成されることは確かにみられる。
③【正】
「Cでは,大きな河川の河口部が沈水して形成された三角江(エスチュアリー)がみられる」。北西ヨーロッパではテムズ川やエルベ川などの河口が沈水してつくられたエスチュアリーが多いことが知られており,これと合致する。
④【誤】
「Dでは,プレート境界に位置し地殻変動が活発なため,火山が多くみられる」。Dが北欧(スウェーデンやフィンランド)の一角を含むとすれば,その地域はプレート境界からは離れており,火山活動はほとんどみられない。よってこの説明は適当でない。

問17:正解2

<問題要旨>
図2には,図1のア~エの地点いずれかの月平均気温と月降水量が4パターン示されている。問題文では,「イに該当するグラフ」を①~④から一つ選ぶよう求められている。ヨーロッパ内での緯度の差や海洋性気候・大陸性気候などを考慮し,夏冬の気温差や降水量の傾向を照らし合わせて判断する問題である。

<選択肢>
①【誤】
夏に気温が高く降水量も増える一方,冬はやや冷涼で降水量が減少する典型的な内陸性のパターンとも考えられるが,これを「イ」の地点と結びつけるには地図上の位置などと矛盾が生じやすい。
②【正】
グラフの夏の気温上昇はそこそこ大きく,降水量も年較差が中程度で冬場はやや少なめ。海洋から距離がある程度あるものの,緯度的に温帯や西岸海洋性気候の移行帯などを想定すると「イ」の地点に合致しやすい。
③【誤】
1年を通じて降水が多く,気温の変化もあまり大きくないパターンや,逆に乾燥気候のような特徴が表れている場合など,「イ」の候補とは異なるイメージが強い。
④【誤】
夏冬の気温差が大きく見られるタイプで,降水量が夏に著しく増加する内陸性・大陸性気候を想起させる。イの場所を考えると当てはまりにくい。

問18:正解3

<問題要旨>
ヨーロッパ各地で見られる食文化と農業生産の背景を述べた4つの文のうち,下線部が「適当でない」もの(事実にそぐわないもの)を選ぶ問題。イギリスやイタリア,スイス,ドイツなどの農産物や食文化に関する一般知識が問われる。

<選択肢>
①【正】
「イギリスではジャガイモの生産が盛んであり,肉や魚に添えて日常的に食されている」ことは広く知られる事実。
②【正】
「イタリアではパスタの原料として主に小麦が使われる」ことは当然のことで,おおむね事実に適合する。
③【誤】
「スイスでは,夏季に低地へ移動し家畜を放牧する移牧が営まれ,様々なチーズが伝統的な食材の一つとなっている」という文中に問題がある。スイスの場合はむしろ夏季に高地(アルプスの高地牧場)へ家畜を移す(移牧)形態が典型であり,「夏季に低地へ移動」するという説明は事実と逆であるため適当でない。
④【正】
「ドイツでは,豚肉生産が盛んなことを背景に,ハムやソーセージが日常的な食材となっている」ことは事実に近い。

問19:正解1

<問題要旨>
図3にはアイスランド,ノルウェー,フランス,ポーランドにおけるエネルギー源別の発電量の割合が示されている。①~④が火力・原子力・水力・地熱などに対応しており,「水力」に該当するものを選ぶ問題。ノルウェーなどで非常に高い割合を占めるのが水力発電であることが大きな手掛かりとなる。

<選択肢>
①【正】
棒グラフからノルウェーの電源で極めて大きな比率を占めているものがあり,アイスランドでもある程度の比率が見られる。それらが一般に「水力」であると推定でき,合致する。
②【誤】
原子力や火力などに当てはまる可能性があり,ノルウェーのように高い割合を占める水力とは異なる部分が多い。
③【誤】
火力(石炭・石油・天然ガス)や地熱などの別のエネルギー源と対応している可能性が高く,水力の特徴的な比率には当てはまらない。
④【誤】
いずれかの国で一部に見られるが,①ほど大きな比率を示していないなど,水力には適合しにくい。

問20:正解3

<問題要旨>
図4には,ヨーロッパのいくつかの国(スペイン,チェコ,フランス,ベルギー)について,2000年と2017年の最低賃金(ユーロ換算)と乗用車生産台数を示すグラフがある。「フランス」に該当するものを①~④から一つ選ぶ問題。フランスはEU主要国のなかでも最低賃金が高めであり,自動車産業も一定規模を保つことが手掛かりになる。

<選択肢>
①【誤】
最低賃金が比較的低めにとどまり,乗用車生産台数が中~小規模の国のデータとして推測される。フランスに当てはまるとは言いがたい。
②【誤】
最低賃金が中程度で,乗用車生産台数がやや多い国という印象はあるが,フランスほどの最低賃金水準に達していない可能性があるため不適合。
③【正】
最低賃金がEU加盟国中でも相対的に高く,自動車産業の規模も大きい。このグラフの位置や変化がフランスの状況に最も合致すると考えられる。
④【誤】
最低賃金がやや低めであり,自動車生産規模もそこまで大きくない国に対応しているようで,フランスとは整合しにくい。

問21:正解2

<問題要旨>
「2010年時点でカトリック信徒が総人口の過半数を占めるヨーロッパの国」として最も適当な選択肢を①~④から選ぶ問題。国民の信仰状況を大まかに把握しておく必要がある。

<選択肢>
①【誤】
イギリスは英国国教会(聖公会)やその他プロテスタント系宗派が多数で,カトリックは過半数に達していない。
②【正】
イタリアはカトリックの信徒が国民の大半を占める伝統があり,バチカン市国も国内に存在するほどカトリックと結びつきが深い。
③【誤】
スウェーデンはルター派(プロテスタント)の国教会が主流で,カトリックの割合は少ない。
④【誤】
ブルガリアは正教会(東方正教)の信徒が多い国であり,カトリックは過半数ではない。

問22:正解1

<問題要旨>
写真1には,ヴェネツィア(ベネチア),キンデルダイク,ニース,ロンドンにみられる特徴的な水辺の景観が4枚示されている。そこから「ロンドン」を写したものを①~④から選ぶ問題。干拓地や潟湖上の都市,リゾートビーチなどとは異なる,河川沿い再開発地区の高層ビル群が特徴になる。

<選択肢>
①【正】
河川沿いの再開発により金融街など高層ビルが並ぶ景観はロンドン東部のドックランズやカナリー・ワーフ近辺を連想させる。これがロンドンの一角と考えられる。
②【誤】
干拓によって生み出された農地というイメージはオランダのキンデルダイクなどが該当し,ロンドンとは異なる。
③【誤】
潟湖(ラグーン)上に築かれた都市はイタリアのヴェネツィアであり,ロンドンではない。
④【誤】
リゾート地として知られるビーチの景観はフランス南東部のニースを想起させ,ロンドンとは結び付きにくい。

第4問

問23:正解2

<問題要旨>
表1には,ある都市圏の主要空港について「国際線の就航都市数」と「国内線の就航都市数」が示されている。①~④がアトランタ(アメリカ合衆国),ソウル,東京,パリのいずれかであり,「ソウル」に該当するデータを選ぶ問題である。国土や国内移動需要の規模によって「国内線」の就航数が大きく変わることや,国際線の就航都市数の多寡が東アジアのハブ空港としての役割と整合するかがポイントとなる。

<選択肢>
①【誤】
国際線の就航都市数が260とかなり多い一方,国内線の就航都市数が37程度である。この大きな国際線網は東京(成田・羽田合計)に近い印象があり,ソウルよりもさらに国際線の就航数が多い可能性がある。
②【正】
国際線の就航都市数が144,国内線が8と比較的少ない。これは国土面積の小ささや鉄道網の発達により国内線が限定的な一方,東アジアの主要ハブとして国際線が充実するソウルの特徴に合致する。
③【誤】
国際線が109,国内線が48というバランスは,国内移動が一定の需要を持ち,大都市圏を複数抱える国に近い印象がある。パリ(シャルル・ド・ゴールなど)に該当する可能性が高く,ソウルとは合わない。
④【誤】
国際線の就航都市数75,国内線が155とかなり国内線が発達している。アメリカ合衆国の主要ハブ空港(アトランタなど)を想起させるものであり,ソウルには合致しない。

問24:正解4

<問題要旨>
図1にはアメリカ合衆国,イギリス,中国,日本の4か国間の訪問客数(観光客,商用客など)を表す矢印が描かれている。ア~ウが「日本以外の3か国」に当てはまるが,それぞれがどの国を示すのかを組合せで答える問題。国ごとの相互訪問の規模や矢印の太さ(人数規模)を比較し,どれがアメリカ合衆国,イギリス,中国なのかを見極める。

<選択肢>
①【誤】
アを米,イを英,ウを中のような割り振りにしているが,日米間や米中間の人数差との整合が薄い場合がある。
②【誤】
アを英,イを米,ウを中とするなどの設定であっても,人口規模や訪問者数の大きさを照合すると矛盾が生じやすい。
③【誤】
アを中,イを米,ウを英のように割り振ると,中国とアメリカの人数のやりとりやイギリスとの関係などで数値が合いにくい。
④【正】
それぞれの訪問者数の規模から総合すると,アが米,イが中,ウが英といった組合せが最も自然に合致する。アメリカと日本の交流や,中国と日本の交流規模などを踏まえると,この割り振りで説明しやすい。
⑤【誤】
さらに別の組合せとして考えられるが,訪問者数の相関関係から乖離が大きい。
⑥【誤】
上記と同様,数値の整合に難があるため不正解となる。

問25:正解1

<問題要旨>
図2では,いくつかの国について「1人当たりのGNI(国民総所得)」と「GDPに占める送金受取額の割合」を示す散布図が描かれており,①~④が韓国,タイ,バングラデシュ,フランスのいずれかである。バングラデシュに該当する点を,①~④のうちから選ぶ問題。1人当たりGNIが低めで,送金の占める比率が比較的高い国としてどれが適切かを判断する。

<選択肢>
①【正】
低いGNI水準ながら,GDPに占める送金受取額の割合が大きい点が特徴的で,出稼ぎ労働者からの送金が重要なバングラデシュの状況と合致する。
②【誤】
GNIが比較的低いとしても,送金比率がそれほど高くない国(たとえばタイ)を想起しやすく,バングラデシュとは異なる。
③【誤】
GNIが一定程度高く,送金比率はあまり大きくない国(たとえば韓国)に近いイメージであり,バングラデシュとは整わない。
④【誤】
高いGNIを示しつつ送金比率が低めの国,典型的には先進国のフランスを連想させるため,バングラデシュとは正反対。

問26:正解1

<問題要旨>
図3には,「一人当たり二酸化炭素排出量」「衛生的なトイレや下水の施設を使用している人口の割合」「都市人口の増加率」の3種類の世界分布図がカ~クとして示されている。どれがどの指標を表しているかを組合せで答える問題である。経済的に豊かな国は二酸化炭素排出量が多く,貧困国では衛生設備の普及が低く,急激な都市化が進む国や地域がどのあたりにあるかも手掛かりになる。

<選択肢>
①【正】
「カ」が一人当たり二酸化炭素排出量,「キ」が衛生的なトイレ・下水の普及率,「ク」が都市人口の増加率,という組合せが世界の経済水準や衛生環境,都市化動向を最も的確に映し出す。
②【誤】
指標の割り振りを入れ替えているため,例えば「カ」が衛生普及率だった場合,欧米先進国が低位に色分けされるはずはなく,矛盾が生じる。
③【誤】
「カ」を都市人口の増加率とし,「キ」「ク」の順を変えるなどしても,各大陸の色分けと合わない点が出てくる。
④【誤】
複数の指標が誤って入れ替わり,先進国と発展途上国の分布傾向が整わなくなる。
⑤【誤】
同様に指標の配置が不自然になり,図中の高位・中位・低位の分布と合致しない。
⑥【誤】
指標の関係がさらにずれてしまうため,不正解となる。

問27:正解3

<問題要旨>
図4では,いくつかの国における「プラスチックごみの1人当たり年間発生量」について,未処理の量と処理された量が棒グラフで示されている。①~④がケニア,ドイツ,トルコ,ベトナムのいずれかであり,ベトナムに該当する棒グラフを選ぶ問題。経済水準や廃棄物処理システムの整備状況から推測し,未処理の割合が比較的高く,一人当たりの総量はそこまで大きくない国に着目する。

<選択肢>
①【誤】
一人当たりの年間発生量が50kg程度とやや少なめだが,未処理と処理済みの比率が図からは異なって見える。ケニアなどの可能性がある。
②【誤】
ドイツのように一人当たりのプラスチックごみ発生量が多い国を示す場合は,総量が大きく処理率がかなり高いパターンも想定される。ベトナムとは異なる。
③【正】
一人当たりの発生量が中位くらいで,未処理の割合が高い特徴を持つ。経済水準や廃棄物管理の未整備を考慮すると,ベトナムの状況と合致すると考えられる。
④【誤】
発生量がさらに多めか少なめか,または未処理の割合が低いなどの特徴を示しており,ベトナムには当てはまりにくい。

問28:正解3

<問題要旨>
世界が直面する環境問題への取り組みの中で,下線部が「適当でない(事実と異なる)」ものを選ぶ問題。オゾン層破壊対策,酸性雨対策,多様性保全,温暖化対策など,各国で進められてきた施策の正確な理解が問われる。

<選択肢>
①【正】
オゾン層破壊の影響で皮膚癌が増える恐れがあるため,紫外線対策の教育プログラムが南半球の一部の国で普及していることは知られている。
②【正】
酸性雨対策として,ヨーロッパ諸国を中心に自動車や工場の大気汚染物質排出に規制を設けることは広く実施されてきた。
③【誤】
「発展途上国では生物多様性保全の一環として緑の革命がすすめられてきた」という下線部は適切でない。緑の革命は主に穀物の高収量品種の導入など農業生産性向上が狙いであり,むしろ単一品種化により生物多様性を脅かす一面があったとされる。
④【正】
温暖化対策として欧州のいくつかの国が二酸化炭素排出を抑制するための課税制度(炭素税)を導入している事例がある。

第5問

問29:正解5

<問題要旨>
表1には「夏季の気温の日較差(6月・7月・8月の平均値)」と「冬季の総降水量(1月・2月・12月の合計値)」がア,イ,ウの3種類として示され,それぞれが御前崎・甲府・東京のいずれかである。どの観測所に対応しているかを①~⑥の組合せから選び出す問題である。内陸(甲府)は夏季に日較差が大きく,冬季降水量が比較的少なく,沿岸(御前崎)は冬季の降水が多いなどの特徴を押さえることがポイントとなる。

<選択肢>
①【誤】
ア=御前崎,イ=御前崎,ウ=東京 と重複するような割り振りになってしまい,甲府の特徴が反映されない組合せとなる。
②【誤】
ア=甲府,イ=東京,ウ=甲府 など,アとウの両方が甲府の特徴に合わさってしまうなど整合性に欠ける。
③【誤】
ア=東京,イ=甲府,ウ=御前崎 のようなパターンでは,夏の日較差が最も大きい観測所が東京になり,実際の地理やデータと矛盾が生じる。
④【誤】
ア=御前崎,イ=甲府,ウ=東京 などと振り分けているが,御前崎の冬季降水量が最大級であることが十分反映されず,整合しにくい。
⑤【正】
ア=甲府,イ=東京,ウ=御前崎 という割り振りが,甲府(夏の日較差が最も大きく冬季降水が少ない),東京(中間的),御前崎(冬季降水が最も多い)という実態をよく表し,もっとも自然な組合せである。
⑥【誤】
ア=東京,イ=御前崎,ウ=甲府 などの可能性を含むが,いずれのデータも実際の特徴と逆転してしまい不適切。

問30:正解2

<問題要旨>
図2は甲府盆地および周辺部の地形を200m間隔の等高線で表したもので,下の図3は図2中の四隅①~④から見下ろした「鳥瞰図」のいずれかに相当する。問われているのは,図2の「カ」の範囲について,図3のどの方角から見た場合の立体的地形図かを選ぶ問題。周囲の山地の高さや稜線の向き,低地の広がり方を読み取って判断することが求められる。

<選択肢>
①【誤】
図2の左上(北西側)付近から見下ろしたと推定すると,高地・低地の配置や稜線の向きが図3と一致しづらい。
②【正】
北東側から見下ろした場合(あるいはその逆など)に,甲府盆地中央部が手前側に大きく広がり,奥に高い山並みがそびえる様子が図3のイメージと合致する。
③【誤】
南東側付近からの鳥瞰図を想定すると,富士山方向や周囲の高地の並びが図3と食い違いやすい。
④【誤】
図2右下(南東)付近から俯瞰する形などが考えられるが,山々の稜線や低地の広がり方が図3と合わない。

問31:正解2

<問題要旨>
図4は,1916年と2008年の地形図(2万5千分の1)を重ね合わせ,扇状地形を形成する御勅使川(みだいがわ)の流路や石積み堤防の分布,またA~Dの地点における土地利用の変化を示している。①~④の文は,それぞれA~Dのいずれかの土地利用や立地特性について説明したメモであり,「Dの特徴」を正しく表すものを選ぶ問題。河川の位置や扇状地上の標高差,災害リスクなどを手掛かりにする。

<選択肢>
①【誤】
「1916年ごろには御勅使川の河道に位置していたが,整備により住宅や農地がみられるようになった」という文は,一見AかBなど低地寄りの変化を想起させるが,Dの場所とは合わない。
②【正】
「かつては水を得にくい土地だったが,用水路である徳島堰(とくしまぜき)の高低差を利用して水を引くことで果樹栽培が広がるようになった」という説明は,扇状地の中ほど・扇央付近でありながら灌漑整備で果樹園が増えたDの状況を示すと考えられる。
③【誤】
「扇状地上でも高い位置にあり,災害を免れやすかった」という記述はむしろ川に近い低地ではなく,一段高い位置に立地する場合を想起させるが,Dではない。
④【誤】
「古くからの集落であり等高線沿いに延びる主要道路に面して公共施設がみられる」という文言は,中心集落や役場周辺の状況を想定させるため,Dの地理的位置とは異なる。

問32:正解1

<問題要旨>
甲府盆地で養蚕業が盛んであった歴史に注目したスミミさんが,神金(かみかね)地域の住民に話を聞いた内容が図5(養蚕戸数の推移)や写真1(伝統的家屋)とあわせて示されている。そこには屋根の中央部を突き上げるように高くした家屋(養蚕農家)の特徴と,養蚕の推移に関する住民の発言が記されている。サとシに当てはまる語句を①~④の組合せで選ぶ問題である。

<選択肢>
①【正】
サ=「通気性」,シ=「遅くまで行われていた」 の組合せが妥当。養蚕では屋根裏の換気が重要で,屋根中央を高くするのは通気を促す工夫とも言われる。また,神金地域では比較的長期間にわたり養蚕が続いていたため,「遅くまで行われていた」と説明するのが自然である。
②【誤】
サ=「通気性」,シ=「早くに縮小した」 では,神金地域が塩山地域などより先に急激に養蚕戸数を減らしたとは言い難く,推移のグラフとも矛盾が生じる。
③【誤】
サ=「防音性」,シ=「遅くまで行われていた」 というのは,屋根の改修の主目的を防音とするのは不自然。
④【誤】
サ=「防音性」,シ=「早くに縮小した」 も同様に防音という説明が合わず,養蚕の衰退時期とも整合しない。

問33:正解3

<問題要旨>
図6には,甲府駅南側の市街地を中心とする1991年と2017年の大規模小売店(店舗面積1,000m²以上)の分布が示されている。①~④の文は,この分布の変遷状況を読み取り,甲府駅との距離や農地のあった場所への新規出店などについて説明したものである。「下線部として最も適当」なものを選ぶ問題となる。

<選択肢>
①【誤】
「1991年時点での店舗面積10,000m²以上の大型小売店は,甲府駅から半径1㎞範囲内よりも範囲外のほうが多い」は地図からは確認しにくい。むしろ中心部に近い可能性もある。
②【誤】
「1991年と2017年時点を比較すると,2017年のほうが半径1㎞の範囲内に店舗面積10,000m²未満の大型小売店数が多い」かどうかは,地図上から必ずしもそうとは限らず,適切な表現ではない。
③【正】
「2017年時点の甲府バイパスより南側にある店舗面積10,000m²以上の大型小売店は,1991年時点に農地であった場所に立地している」という説明が地図を読み取ると合致する。南方への郊外化・バイパス沿いへの大型店舗進出に伴い,もともと農地だった所に店舗が建設されている事例が読み取れる。
④【誤】
「2017年時点で甲府バイパスより南側にある店舗面積10,000m²以上の大型小売店は,それぞれの最寄りの駅から500m以内に立地している」は,実際の地図を見ると駅から500m以内というより,駅から離れたバイパス沿いであることが分かるので不適切。

問34:正解1

<問題要旨>
北杜市(図1の北西部)では近年,移住促進に力を入れており,図7に人口増減率(自然増加率・社会増加率)の推移,図8に「北杜市への転入者」の都道府県別年齢構成が示されている。①~④の文は,これらのグラフから読み取れる傾向についての記述であり,下線部が「適当でない」ものを選ぶ問題。すなわち,北杜市の総人口が増えているかどうか,どの年代がどの県から転入しているかなどを分析することがカギとなる。

<選択肢>
①【正】
「自然増加率と社会増加率の関係からみて,2010年から2017年にかけて北杜市の総人口は増加している」という下線部は,実際のグラフをみると社会増が自然減を上回り,人口はトータルでやや増加していると解釈できるため適切。
②【誤】
「北杜市では,2015年を除いて転入者の数が転出者の数を上回っている」などは他の選択肢になる可能性はあるが,問題の下線部として挙げられた選択肢との照合が必要。
③【誤】
「東京都と神奈川県からは,2015年時点における転入者に占める高齢者の割合が他の2県に比べて高い」などはあり得るが,下線部の正誤判定との兼ね合いがある。
④【誤】
「山梨県内からは,2015年時点における中学生以下の子どもも同居する世帯単位の転入の割合が他都県より高いと考えられる」も下線部として別に提示されたものの可能性があり,内容が適切な場合もある。

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