2018年度 大学入試センター試験 本試験 化学基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解3

<解説>
前半の「1価の陽イオンになりやすい原子」は,最外殻電子が1個のアルカリ金属原子が該当しやすいと考えられます。リチウムはアルカリ金属の中でも最外殻電子数が1個であり,一価の陽イオンになりやすい性質があります。
後半の「共有結合の結晶であるものの組合せ」については,ダイヤモンド(炭素の同素体)や単体のケイ素のように,原子同士が三次元に共有結合でつながった“巨大分子”の構造をもつものを指します。したがって,リチウムとダイヤモンド・ケイ素の組合せがそろう選択肢が適切と判断できます。

問2:正解1

<解説>
ホウ素原子は原子番号5の元素で,陽子が5個・電子も5個です。電子配置としては,内側の殻に2個,外側の殻に3個の電子が入るイメージになります。選択肢の中では,中心(陽子数を示す値)が5で,そこに2個と3個の電子が順に配置されている図がホウ素の模式図として妥当です。

問3:正解3

<解説>
二原子分子のN₂は,窒素1原子あたり7個の電子をもつため,合わせて14個の電子をもっています。選択肢の中で同じ総電子数(14個)になる粒子や分子を探すと,炭素(6個)と酸素(8個)を合わせた場合などがちょうど14個に当たります。よって,二酸化炭素や一酸化炭素など,“合計14個”になるものが該当しやすいと考えられます。提示された選択肢の順序に応じて,同じ電子数になるものを選びます。

問4:正解2

<解説>
問題文では「XとZからなる物質X₂Z₃が5グラムあるとき,その中に含まれるXの質量」を求めています。1式量あたり「Xが2個分,Zが3個分」存在するため,Xのモル質量を2倍した値が“全体のうちXが占める部分”に相当します。その“X部分の質量割合”に全体量5グラムをかけると,Xの質量を求めることができます。選択肢の中で,この考え方に合致するものを選びます。

問5:正解3

<解説>
実験Ⅰでは,固体アを水に加えるとすべて溶け,炎色反応で特有の色が観察されたうえ,別の試薬を加えると沈殿(白色沈殿など)が生じたことから,金属イオンを含む水溶性の塩であることが推測できます。ナトリウム塩やカリウム塩などは水に溶けやすく,炎色を示すことが多いです。
一方,実験Ⅲでは固体イが水にはほとんど溶けず,酸を加えると気体が発生して溶解したことから,炭酸塩のように酸と反応して二酸化炭素を出す性質が考えられます。炭酸カルシウムなどは水に不溶でありながら,酸と反応すると二酸化炭素を発生しながら溶解します。これらの性質を総合して,それぞれ該当する物質の組合せが判断できます。

問6:正解6

<解説>
常圧(約1気圧)における水の状態変化についての記述をチェックすると,「氷が融解し始める温度」「水が沸騰して水蒸気になる温度」などの変化点はほぼ一定です。一方で,文章中で「全ての氷が融解した段階の体積や温度の扱い」などが現実とずれていたり,不正確な説明が含まれているものは誤りと考えられます。選択肢の中で,水の融解や沸点に関する定番の知識に反する表現を見つけると,そこが誤りを含む記述になります。

問7:正解3

<解説>
ここでは,各物質が一般にどのように利用されているかを確かめます。塩化ナトリウムは食塩の主成分,アルミニウムは缶などの材料,ポリエチレンテレフタラート(PET)は飲料ボトル,メタンは都市ガス…などはよく知られた用途です。銅に関しては電線や合金材料として使われるなどが通説ですが,もし選択肢の中で事実と異なる用途が書かれている場合は,そこが誤りにあたります。

問8:正解5

<解説>
大気圧下で氷を加熱すると融解点付近で氷が溶けはじめ,さらに加熱を続けるとやがて沸騰し始めます。あるいは水蒸気が冷えて水滴になる場合など,温度や状態変化に関する過程には定番の段階があります。選択肢のうち,水や氷の体積変化のしかた,または融解や沸騰の順序について,実際とは異なる説明が紛れ込んでいれば,それが誤りを含む選択肢と判断できます。

問9:正解1

<解説>
物質の利用法に関する記述の正否を見極める問題です。塩化ナトリウムは塩素系漂白剤の主成分というよりは,食塩として食品に用いたり,工業的には塩素や水酸化ナトリウムを生成するための原料となることで知られています。各選択肢の内容が実際の用途と合っているかどうかを確認し,明らかに誤ったり混同したりしている記述を選ぶとよいでしょう。

第2問

問10:正解1

<解説>
水1分子には水素原子が2個含まれます。180グラムの水は約10モル(1モルあたり水18グラム)に相当し,この場合,水素原子総数はアボガドロ数の20倍ほどになります。したがって,水素原子数を「10倍のアボガドロ数」とするような記述はずれていると分かります。

問11:正解2

<解説>
0℃・1気圧において1リットルの気体は,種類によって質量が異なります。例えば同条件下でのメタンは空気より軽く,二酸化炭素は空気より重い気体です。メタン2に対し二酸化炭素1の体積比で混合すると,全体の平均質量はおよそ1.0リットルあたり1グラム前後になります。選択肢を比べると,最も妥当な数値が1.1グラム付近となります。

問12:正解3

<解説>
提示された塩酸や水酸化ナトリウム・水酸化カリウム・硝酸などの水溶液について,それぞれの「質量パーセント濃度」や「密度」から実際のモル濃度を比較すると,水酸化カリウム水溶液のほうがより濃いモル濃度になっていることがうかがえます。特に分子量がナトリウム化合物より大きいカリウム化合物であっても,質量パーセントが高く密度も十分に大きい場合,結果としてモル濃度が上がることがあります。

問13:正解4

<解説>
pHの値は水溶液の酸性・中性・アルカリ性を示す代表的な指標です。炭酸水や食酢,レモン果汁などは酸性寄りで,牛乳も微酸性になります。一方,石けん水や塩水は弱アルカリ・ほぼ中性など性質に違いがあります。石けん水は通常,塩水よりもアルカリ性に傾いていることが多く,pHがより高くなることが一般的です。したがって「石けん水のpHが食塩水より小さい」とする記述は誤りと判断できます。

問14:正解5

<解説>
炭酸水素ナトリウム水溶液に塩酸を滴定する場合,最初は弱い塩基性~ほぼ中性の領域から始まり,途中で炭酸塩を経て二酸化炭素を放出しながら酸性側に移行します。このとき,滴定曲線には途中で緩衝作用が働く区間が現れ,最終的には強酸性に傾く特有の変化が見られます。選択肢のグラフの中で,始点がほぼ弱アルカリ付近で,段階的にpHが低下し,最終的に酸性へ大きく変化していく形状が最も適切です。

問15:正解2

<解説>
酸化還元反応かどうかは,反応前後で各元素の酸化数(正電荷・負電荷の度合い)が変化するかを調べることで判断できます。たとえば一酸化炭素が二酸化炭素に変わる場合(酸素と結びついて炭素の酸化数が変化)や,金属が水と反応して水素を放出する場合(反応物のうち金属の酸化数や水素の酸化数が変化)などは酸化還元反応に該当します。一方,ただ塩が生成したり,水が生成したりするだけで酸化数が変わらないものは酸塩基反応などに分類されます。

問16:正解4

<解説>
アルカリマンガン乾電池は正極に酸化マンガン,負極に亜鉛を用いることが知られています。また,自動車用の鉛蓄電池は電解液に希硫酸を用いるなど,代表的な電池の構造や材料は比較的よく定義されています。リチウムイオン電池は充電可能な二次電池であり,小型・軽量でハンドヘルド機器やノートPCなどに広く利用されます。これらの特徴や構造と明らかに違う説明がある場合は誤りと判断できます。

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