2023年度 大学入学共通テスト 追試験 化学基礎 解答・解説

2023年度 大学入学共通テスト 追試験「化学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
スポンサーリンク

解答

解説

2023年度(令和5年度)大学入学共通テスト 追試験「化学基礎」の全問解説です。第1問が物質の構成と変化で30点、第2問がプラスチックとその有効利用で20点、あわせて50点満点。すべて必答です。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と計算過程が開きます。まちがえた設問だけを選んで確認してください。

第1問 物質の構成と変化(電子配置・結合・中和・酸化還元)

化学基礎の基本事項をひととおり確認する大問です。問2の電子配置図と問6の中和のグラフは、図を「数える」「計算する」ことで確実に決まります。問8は実験データから濃度と含有率を読み取る、共通テストらしい出題です。

問1:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
窒素 N₂、二酸化炭素 CO₂、塩化水素 HCl、エタン C₂H₆ のうち、非共有電子対をもたない分子を選びます。

<考え方>
非共有電子対とは「結合に使われていない電子対」のこと。C と H は最外殻電子をすべて結合に使えますが、N・O・Cl は余りが出ます。

① N₂ : N≡N
  三重結合に6個使い、各 N に1組ずつ余る
  → 非共有電子対 2 組

② CO₂: O=C=O
  各 O に2組ずつ余る
  → 非共有電子対 4 組

③ HCl: H−Cl
  Cl に3組余る
  → 非共有電子対 3 組

④ C₂H₆:H₃C−CH₃
  C の最外殻 4 個、H の 1 個をすべて
  共有結合に使い切る
  → 非共有電子対 0 組

よって ④
問2:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
図1の電子配置の模式図(原子ア〜オ)について、誤りを含む記述を選びます。

<考え方>
まず各図の電子を内側の殻から順に数えて、元素を特定してしまうのが早道です。電子の総数がそのまま原子番号になります。

電子を数えて元素を決める

ア K殻2,L殻2 → 電子4個 → Be
イ K殻2,L殻6 → 電子8個 → O
ウ K殻2,L殻8,M殻1 → 11個 → Na
エ K殻2,L殻8,M殻6 → 16個 → S
オ K殻2,L殻8,M殻8 → 18個 → Ar

① アとイは第2周期 → Be と O、正しい

② ウは1価の陽イオンになりやすい
  → Na は Na⁺ になる、正しい

③ イとエは同族元素
  → O と S はどちらも16族、正しい

④ F⁻ の電子配置がオと同じ
  → F(9個)が電子1個を受け取って10個
   K殻2,L殻8(Ne 型)
   オは18個(Ar 型)で一致しない
  → 誤り
問3:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
金属元素の単体の反応性に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
イオン化傾向が水素より小さい金属(Cu,Hg,Ag,Pt,Au)は、塩酸や希硫酸には溶けません。溶かすには酸化力のある酸が必要です。

① ナトリウムは水と反応して溶ける
 → 正しい 2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂

② 金は王水と反応して溶ける
 → 正しい(濃塩酸と濃硝酸の混合物)

③ 銀は希硝酸と反応して溶ける
 → 正しい(硝酸は酸化力のある酸)

④ 銅は希硫酸と反応して溶ける
 → 誤り
  Cu はイオン化傾向が水素より小さいので
  希硫酸・塩酸には溶けない。
  溶かすには熱濃硫酸や硝酸のような
  酸化力のある酸が必要
問4:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
「ヨウ化カリウム水溶液からヘキサンでヨウ素を取り出す」「ティーバッグに湯を注いでお茶をいれる」の二つに共通する操作を選びます。

<考え方>
どちらも「溶けやすい溶媒に目的の物質を移して取り出す」操作です。加熱して気体にして分けているわけではないので、蒸留・分留ではありません。

ア ヨウ素は水よりヘキサン(無極性溶媒)に
  よく溶ける
  → ヘキサン層にヨウ素を移して取り出す

イ 茶葉の成分が湯に溶け出す
  → 湯に成分を移して取り出す

どちらも「溶媒に溶かして分離する」
 → 抽出

① 蒸留 … 沸点の差で液体を分ける
② 再結晶… 溶解度の差で固体を精製する
④ 分留 … 沸点の差で混合液を数種類に分ける
問5:正解 ①(配点3)

<問題要旨>
結晶の結合と特徴に関する記述のうち、下線部に誤りを含むものを選びます。

<考え方>
黒鉛とダイヤモンドの取り違えを狙った問題です。「やわらかく、はがれやすい」という性質が、どんな構造から出てくるのかを考えます。

① 黒鉛は各炭素原子が隣接する4個の炭素と
  共有結合して正四面体形
 → 誤り
  4個・正四面体形はダイヤモンドの構造。
  黒鉛は各炭素が3個の炭素と共有結合し、
  正六角形が並んだ平面の層が
  弱い力で重なった構造。
  だから層がずれて「はがれやすい」

② ヨウ素の結晶は分子間力で結びつく
 → 正しい(分子結晶、やわらかい)

③ 銅の結晶は金属結合、展性・延性に富む
 → 正しい(自由電子が移動できる)

④ 塩化ナトリウムはイオン結合、
  強い力が加わると割れやすい
 → 正しい(イオンの並びがずれて
  同符号どうしが接し反発する)
問6:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
0.010 mol/L の Ca(OH)₂ 水溶液 10 mL に 0.010 mol/L の塩酸を滴下したときの、OH⁻ のモル濃度の変化を表すグラフを選びます。

<考え方>
グラフを選ぶ前に「はじめの値」と「0 になる滴下量」を計算で出してしまえば、選択肢は一気に絞れます。Ca(OH)₂ は2価であることに注意します。

はじめの [OH⁻]
 Ca(OH)₂ は 1 mol から OH⁻ が 2 mol
 [OH⁻] = 2 × 0.010 = 0.020 mol/L
    = 2.0×10⁻² mol/L
 → 縦軸のスタートは 2.0(①③⑤ は除外)

中和が完了する滴下量
 OH⁻ の物質量 = 0.020 × 0.010 L
       = 2.0×10⁻⁴ mol
 HCl の物質量 = 0.010 × V〔L〕
 2.0×10⁻⁴ = 0.010 × V
 V = 0.020 L = 20 mL
 → 20 mL で 0 になる(②④⑥ が残る)

途中の形(滴下量 10 mL のとき)
 残る OH⁻ = 2.0×10⁻⁴ − 1.0×10⁻⁴
     = 1.0×10⁻⁴ mol
 全体の体積 = 10 + 10 = 20 mL = 0.020 L
 [OH⁻] = 1.0×10⁻⁴/0.020 = 0.0050 mol/L
    = 0.5×10⁻² mol/L

 → 10 mL のとき 0.5(直線なら 1.0)
 中和と同時に希釈も進むので
 下に凸の曲線になる → ②
問7:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
硫酸酸性のシュウ酸水溶液に過マンガン酸カリウム水溶液を加えたときの酸化還元反応について、式(1)(2) をもとに誤りを含む記述を選びます。

<考え方>
半反応式の e⁻ の係数がすべてです。MnO₄⁻ は 5 個受け取り、(COOH)₂ は 2 個出す。この 5 と 2 で物質量を換算します。

式(1) MnO₄⁻ は電子を 5 mol 受け取る
式(2) (COOH)₂ は電子を 2 mol 出す

① KMnO₄ は酸化剤としてはたらく
 → 正しい(電子を受け取る側)

② KMnO₄ を過剰に加えると色が消えない
 → 正しい
  MnO₄⁻ の赤紫色は Mn²⁺(ほぼ無色)に
  なると消えるが、還元されずに残れば
  色が残る

③ 同じ物質量の KMnO₄ と (COOH)₂ では
  KMnO₄ がすべて反応して (COOH)₂ が残る
 → 誤り
  n mol ずつのとき
  KMnO₄ が必要とする電子 … 5n mol
  (COOH)₂ が出せる電子  … 2n mol
  電子が足りないので (COOH)₂ が先に
  なくなり、KMnO₄ が残る(逆)

④ 十分な (COOH)₂ に KMnO₄ 0.001 mol
  電子 = 0.001 × 5 = 0.005 mol
  (COOH)₂ = 0.005 ÷ 2 = 0.0025 mol が反応
  CO₂ = 0.0025 × 2 = 0.005 mol
 → 正しい
問8 a:正解 ⑥(配点4)

<問題要旨>
濃度 c〔mol/L〕の塩酸 50 mL に貝殻の粉末を 2.0 g ずつ加えたときの、発生した CO₂ の全物質量が図2 です。この塩酸の濃度 c を求めます。

<考え方>
グラフが水平になったところが「塩酸を使い切った」状態です。そのときの CO₂ の量から、式(3)の係数をたどって HCl の物質量を求めます。

図2 より、貝殻が 8 g 以上では
CO₂ が 6.0×10⁻² mol で頭打ちになる
 → 塩酸がすべて反応し尽くした

式(3) CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂
 HCl 2 mol から CO₂ 1 mol

HCl の物質量
 = 2 × 6.0×10⁻² = 0.12 mol

塩酸は 50 mL = 0.050 L なので
 c = 0.12/0.050 = 2.4 mol/L
問8 b:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
この実験で用いた貝殻に含まれる CaCO₃ の含有率(質量パーセント)を求めます。

<考え方>
今度はグラフの「直線の部分」を使います。塩酸が十分あるので、加えた貝殻の CaCO₃ がすべて反応しているところです。

図2 の直線部分(貝殻 2.0 g のとき)
 CO₂ = 1.8×10⁻² mol

式(3) より CaCO₃ と CO₂ は 1:1
 CaCO₃ = 1.8×10⁻² mol

 CaCO₃ の質量
 = 1.8×10⁻² × 100 = 1.8 g

含有率
 = 1.8/2.0 × 100 = 90 %

(貝殻 4.0 g の点で確かめる)
 CO₂ 3.6×10⁻² mol → CaCO₃ 3.6 g
 3.6/4.0 × 100 = 90 % で一致する

第2問 プラスチックとその有効利用

プラスチックのリサイクルを題材にした読み取り型の大問です。問4 c は「同じ熱量あたりの CO₂ 排出量を比べる」という環境問題そのものの計算。n が約分で消えることに気づけば、暗算に近い形で答えが出ます。

問1:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
下線部(a)「石油を原料としてさまざまなプラスチックが合成されている」に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
プラスチックが容器や包装に使えるのは、水にも油にも溶けにくいからです。「水に溶けやすい高分子」という記述は、その用途と矛盾します。

① 石油は沸点の違いを利用して分離してから
  利用されている
 → 正しい(分留。ガソリン・灯油・軽油など)

② ポリ塩化ビニルは水に溶けやすい高分子
 → 誤り
  水に溶けない。水道管・ホース・
  レインコートなどに使われる

③ ポリスチレンは食品容器や緩衝材
 → 正しい(発泡ポリスチレン)

④ ナイロンは繊維などに利用されている
 → 正しい(合成繊維の代表)
問2:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
Fe、Cu、Au、Pb のうち、ア〜ウの記述のすべてに当てはまる金属を選びます。

<考え方>
三つの条件を順に当てはめて絞ります。とくにウの「電解精錬」は銅の製錬で必ず出てくるキーワードです。

ア 空気中で強く加熱すると酸化物が生成する
  Fe → Fe₃O₄,Cu → CuO,Pb → PbO ○
  Au は酸化されない ×
  → Au が消える

イ 電気伝導性が大きく、電気器具の導線に
  利用されている
  → Cu(銀に次いで電気を通す)
  Fe,Pb は導線には使われない ×

ウ 純度を高めるために電解精錬されている
  → Cu(粗銅を陽極、純銅を陰極にする
   銅の電解精錬)○

ア・イ・ウ すべてに当てはまるのは Cu
問3:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
下線部(c)の H₂ と CO に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
製鉄で CO が果たす役割を思い出します。鉄鉱石(酸化鉄)から酸素を奪うのですから、CO は還元剤です。

① H₂ は NaOH 水溶液の電気分解で得られる
 → 正しい(陰極で 2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻)

② H₂ は自動車やロケットの燃料
 → 正しい(燃料電池車、ロケットエンジン)

③ CO は有毒な気体である
 → 正しい(ヘモグロビンと強く結合する)

④ CO は製鉄で鉄鉱石を酸化するために
  利用されている
 → 誤り
  CO は鉄鉱石を「還元」する
  Fe₂O₃ + 3CO → 2Fe + 3CO₂
  CO 自身は CO₂ に酸化される
問4 a:正解 3,2(配点3)

<問題要旨>
エチレン CH₂=CH₂ の完全燃焼を表す式(1) の係数を求めます。

<考え方>
C と H の数を先に合わせてから、最後に O の数で O₂ の係数を決めるのが定石です。

CH₂=CH₂ + □O₂ → 2CO₂ + □H₂O

C の数
 左辺 2 個 → 右辺 CO₂ が 2 個 ○

H の数
 左辺 4 個 → 右辺 H₂O は 2 個
 → 解答番号14 は 2

O の数
 右辺 2CO₂ の 4 個 + 2H₂O の 2 個 = 6 個
 左辺 O₂ が x 個なら 2x = 6
 x = 3
 → 解答番号13 は 3

C₂H₄ + 3O₂ → 2CO₂ + 2H₂O
問4 b:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
ポリエチレン(PE)の分子量を 28n とみなすとき、n=10000 の PE 1.0 kg の物質量を求めます。

<考え方>
「分子量が 28n」と与えられているので、n を代入して分子量を出し、質量を割るだけです。単位を g にそろえるのを忘れないようにします。

PE の分子量
 28n = 28 × 10000
   = 280000 = 2.8×10⁵

質量 1.0 kg = 1000 g = 1.0×10³ g

物質量
 = 1.0×10³ / 2.8×10⁵
 = 3.57×10⁻³
 ≒ 0.0036 mol
問4 c:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
黒鉛 1.0 kg を完全燃焼させると CO₂ が 3.7 kg 生成し、そのとき発生する熱量と同じ熱量が PE 0.70 kg の完全燃焼で得られます。PE 0.70 kg から生成する CO₂ の質量を求めます。

<考え方>
PE 1 mol(分子量 28n)から CO₂ が 2n mol 生じる、と問題文が教えてくれています。質量の比をつくると n が約分で消えるので、n の値は不要です。

PE 1 mol あたり
 質量 28n〔g〕
 生成する CO₂ 2n〔mol〕→ 2n × 44 = 88n〔g〕

質量の比
 (CO₂ の質量)/(PE の質量)
 = 88n / 28n
 = 88/28 = 22/7
 (n が消えるので n の値は不要)

PE 0.70 kg のとき
 CO₂ = 0.70 × 22/7
   = 0.10 × 22
   = 2.2 kg

(参考)同じ熱量を得るのに
 黒鉛は CO₂ 3.7 kg、PE は 2.2 kg。
 PE の方が CO₂ の排出量が少ない

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

スポンサーリンク
投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
スポンサーリンク
目次