2019年度 大学入試センター試験 本試験 化学基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解3

<解説>
質量数が19、原子番号が9の原子では、原子核に含まれる陽子の数が9であるため、中性子の数は10になる。よって「原子核には9個の中性子が含まれる」という記述は誤りである。また価電子(最外殻電子)は9個の電子のうち2個が最内殻、残り7個が最外殻にあるので「最外殻には7個の電子が存在する」ことなどは正しい。

問2:正解4

<解説>
「ア」は固体が直接気体になる変化を利用して目的物質を分離する操作で、これは一般に昇華による分離にあたる。一方「イ」は溶媒に対する溶けやすさの違いを利用して、混合物中から目的物質を溶かし出して分離する方法(抽出など)が該当する。これらの組み合わせを正しく捉えると、昇華と抽出の手順がそれぞれあてはまる。

問3:正解2

<解説>
ニッケルを含む合金を酸化してニッケル(II)酸化物(NiO)とし、その質量関係からもとの合金中に占めるニッケルの質量パーセントを求める問題。NiO ではニッケルと酸素の質量比が一定なので、得られた NiO の質量からニッケル部分の質量を推定し、それをもとに全体質量6.0gに対するニッケルの割合を考えると、最も近い値が該当する。

問4:正解5

<解説>
塩素 Cl₂ を発生させる際、できあがった気体には塩化水素(HCl)や水蒸気などの不純物が含まれることがある。これらを除去するために濃硫酸などを用いて水分やHClを吸収し、最終的に純粋な Cl₂ を得る。その後、この Cl₂ が水に溶けると溶液の pH が変化するが、気体の通し方や吸収する液体の組み合わせによって水の酸性度が変わるため、その組み合わせを正しく判断すると当該選択肢に至る。

問5:正解4

<解説>
元素やイオンの性質についての記述の中で、周期表の同じ周期や隣接する元素間の性質がどう変化するかを扱う問題。ハロゲン元素が陰イオンになりやすいことや、第2周期の元素の電気陰性度が大きいことなどは一般的に正しい。ただし遷移元素周辺では、左右に隣合う元素が常に類似の性質を示すわけではなく、そこに含まれる誤りを見抜く必要がある。

問6:正解1

<解説>
分子やイオンに含まれる共有電子対と非共有電子対についての記述を比べる問題。アンモニア分子は窒素原子が3つの共有電子対で水素原子と結合し、さらに1組の非共有電子対を持つ構造になる。この点を正しく捉えているかどうかが判断の手がかりとなる。

問7:正解3

<解説>
イオンからなる物質の性質として、水溶性や溶けたときの溶液の性質(塩基性・酸性・中性など)、あるいは工業的利用が挙げられる。炭酸水素ナトリウム(重曹)は水に溶かすと弱い塩基性を示してベーキングパウダーに利用され、硫酸バリウムは胃のX線造影などに使われるように、水や酸にも溶けにくい性質を持つ。そうした用途や溶解性を照らし合わせることで正しい組み合わせを選べる。

問8:正解2

<解説>
水に溶かすと塩基性を示す物質や、強酸・弱酸との反応性などから、その物質がどのように扱われるかがわかる。問題文で示されている物質の溶けやすさや性質(酸とも反応して溶けにくいかどうか)を比較し、用途なども踏まえて整理すると、与えられた選択肢の中から該当する性質が判断できる。

問9:正解5

<解説>
X線検査で用いられる造影剤などは、水や酸に対して溶解度が非常に低く、体内に入れても吸収されにくい性質のものが用いられる。硫酸バリウムなどがその典型例で、胃のX線撮影に使われる。問題文にあるように「水や塩酸にもほとんど溶けにくい」点が特徴となり、それを選ぶと当該選択肢に至る。

問10:正解1

<解説>
水に溶かすと中性を示し、乾燥剤として用いられる性質がある物質がどれかを見分ける問題。塩化カルシウムは乾燥剤としても有名だが、水溶液は酸性または塩基性を示すものもあるため、純粋に中性を保つかどうかが分岐点となる。提示された選択肢の中で、水に溶かしてほぼ中性を示し、乾燥剤に利用される例を照合することで答えを導き出すことができる。

第2問

問11:正解3

<解説>
水素原子の数を比べる記述が含まれる選択肢に注目すると、H₂O 18g はちょうど1mol であり、水素原子は2個ずつ含まれている。一方、CH₃OH 32g も1mol であるが、分子内には4個の水素原子が存在する。よって同じ質量単位当たりで見ても水素原子数は同じにはならないことがわかる。

問12:正解2

<解説>
亜鉛(Zn)と塩酸(HCl)の反応では、亜鉛1mol当たり水素1molが発生するという対応関係がある。問題で与えられた亜鉛の物質量と塩酸の濃度、および標準状態近くでの水素の体積を踏まえて、塩酸の必要量(体積)と発生した水素の体積を突き合わせると、選択肢のなかで一貫する組合せが該当する。

問13:正解5

<解説>
酸と塩基を中和させて生じる塩が水溶液中で塩基性を示すかどうかは、生成する陰イオンに由来する。一般に、弱酸由来の陰イオンを含む正塩は加水分解により水溶液を塩基性にする傾向がある。リン酸(H₃PO₄)は弱酸であり、これと強塩基(NaOH)が過不足なく反応して正塩を生じたとき、リン酸由来の陰イオンは加水分解を受けやすいため、水溶液が塩基性を示しやすい。

問14:正解4

<解説>
濃度不明の酢酸溶液に対して0.10 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定を行うとき、何mLの水酸化ナトリウム溶液を要したかから酢酸の物質量や濃度を求めることができる。酢酸と水酸化ナトリウムの反応は1:1で進むので、もし提示された条件から計算した結果が不整合となる記述があれば、それが誤りとわかる。

問15:正解4

<解説>
実験室での安全管理として、濃硫酸を希釈する場合は必ず「水に少しずつ濃硫酸を加える」必要がある。逆に「濃硫酸に水を注ぐ」手順では、発熱によって危険な飛散を引き起こしやすいため、適切とはいえない。

問16:正解1

<解説>
臭素(Br₂)と水素(H₂)との反応で HBr が生成する場合、臭素原子の酸化数は0から-1へ低下する。これは還元にあたるため、「臭素原子の酸化数が増加する」とする記述には誤りがある。一般に、ハロゲン分子と水素が反応するとハロゲン原子が還元される点を押さえておくと誤りを見抜ける。

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