2025年度 大学入学共通テスト 本試験 化学基礎 解答・解説

2025年度 大学入学共通テスト 本試験「化学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

化学基礎は全16項目、満点50点です。理科①(物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎)は4科目が1冊の問題冊子にまとまっており、その中から2科目を選んで合わせて60分で解答します。したがって化学基礎1科目にかけられる時間の目安は30分です。構成は第1問が30点、第2問が20点で、どちらも必答です。

解答番号が 1 ではなく 101 から始まるのは、理科①が4科目で1冊100点満点という冊子の作りになっているためです。化学基礎のマーク箇所は 101〜119 の19か所ですが、化学反応式の係数を3つまとめて答える設問と、数値を整数部分・小数第1位の2桁に分けて答える設問は、それぞれひとまとまりで採点されます。そのため採点項目は16になります。

第1問は小問集合です。同位体の中性子の数、二つの粉末の区別、イオン化エネルギーと電子親和力、化学結合の種類、ドライアイスが気体になったときの体積、酢酸の中和滴定曲線、水が酸としてはたらく反応、酸化還元反応の判別、そしてジャガイモの燃焼をもとにした量的関係まで、化学基礎のほぼ全分野から1問ずつ出題されています。問6の滴定曲線は「水で薄めても酸の物質量は変わらない」という一点で中和点の位置が決まり、ここを外すとグラフの候補が絞れません。

第2問は、空気に含まれる気体成分が見つかっていく過程をたどる問題です。シェーレとプリーストリーによる酸素の発見、ラボアジエが水銀を加熱して質量保存の法則を確かめた実験、そしてレイリーが見つけた窒素の密度のわずかなずれからアルゴンにたどり着くまでが一続きになっています。問3aは、表の数値が途中から頭打ちになることに気づけるかどうかが分かれ目です。なお、この年度は問題冊子とともに問題訂正が示されており、第2問 問3b(冊子28ページ)の上から3行目が「…その数値を小数第1位まで次の…」から「…その数値の小数第2位を四捨五入して次の…」に改められています。求めた数値の丸め方を明確にしたもので、答えそのものは変わりません。

第1問(必答) 小問集合(同位体と中性子の数・物質の区別・イオン化エネルギーと電子親和力・化学結合・気体の体積・中和滴定曲線・酸と塩基・酸化還元・燃焼の量的関係)

化学基礎のほぼ全分野から1問ずつ出題された小問集合です。配点は30点で、問1〜問8が各3点、問9はa・bに枝分かれして各3点の計10項目からなります。知識で即答できる問題と、計算や図の読み取りを要する問題(問5・問6・問9)が交互に並んでいるので、手が止まる設問は後回しにして全体を一巡するのが得策です。

問1:正解 ③(解答番号101/配点3)

<問題要旨>
¹⁸O と同じ数の中性子をもつ原子を、¹⁵N・¹⁶O・¹⁹F・²²Ne の4つから選ぶ設問です。元素記号の左下の数が原子番号、左上の数が質量数であることを使います。

<考え方>
中性子の数は「質量数 − 原子番号」で決まります。あとは4つの原子それぞれについてこの引き算をするだけで、暗記も近似も要りません。原子番号は N が7、O が8、F が9、Ne が10 です。

¹⁸O の中性子の数 = 質量数 − 原子番号 = 18 − 8 = 10

① ¹⁵N 15 − 7 = 8
② ¹⁶O 16 − 8 = 8
③ ¹⁹F 19 − 9 = 10 …一致する
④ ²²Ne 22 − 10 = 12

よって ③

②の ¹⁶O は ¹⁸O と同じ元素(同位体)ですが、中性子の数は 8 で異なります。「同じ元素=同じ中性子数」ではない点に注意してください。

問2:正解 ④(解答番号102/配点3)

<問題要旨>
炭酸水素ナトリウム NaHCO₃ の粉末と塩化ナトリウム NaCl の粉末を用意し、この二つを区別できない操作を選ぶ設問です。「できるもの」ではなく「できないもの」を選ぶ点に注意します。

<考え方>
二つの物質の違いは、NaHCO₃ が弱酸(炭酸)と強塩基からできた塩で、加熱で分解し、酸と反応して CO₂ を出し、水溶液が弱塩基性を示すという点にあります。逆に、どちらもナトリウムの化合物であるという共通点に頼る操作は区別に使えません。この観点で4つを見比べます。

① 区別できる NaHCO₃ だけが加熱で分解する。
  2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂
  H₂O と CO₂ が抜けるので質量が減る。NaCl は加熱しても質量が変わらない。
② 区別できる NaHCO₃ に希硫酸を加えると CO₂ が発生して泡が出る。
  2NaHCO₃ + H₂SO₄ → Na₂SO₄ + 2H₂O + 2CO₂
  NaCl では目に見える変化が起こらない。
③ 区別できる NaHCO₃ 水溶液は弱塩基性(pH は 8〜9 程度)、NaCl 水溶液は中性(pH ≒ 7)。
④ 区別できない どちらもナトリウムを含むので、炎色反応はともに黄色になる。

よって ④

炎色反応が見ているのは「どの金属元素が含まれるか」だけで、陰イオンの違いは色に表れません。同じ理由で、塩化ナトリウムと硝酸ナトリウムも炎色反応では区別できません。

問3:正解 ②(解答番号103/配点3)

<問題要旨>
第3周期までの元素について、イオン化エネルギー(第1イオン化エネルギー)と電子親和力に関する4つの記述のうち、誤りを含むものを選ぶ設問です。

<考え方>
イオン化エネルギーは「周期表の右上ほど大きく、左下ほど小さい」、その最大は各周期の希ガスというのが基本です。電子親和力は「原子が電子を1個受け取って1価の陰イオンになるときに放出するエネルギー」で、17族(ハロゲン)で特に大きくなります。この2本の軸で4つを判定します。

① 正 同族では原子番号が大きいほど最外殻電子が原子核から遠くなり、取り去りやすくなる。
  したがってイオン化エネルギーは小さくなる。
② 誤 第2周期(Li〜Ne)でイオン化エネルギーが最大なのは、安定な電子配置をもつ希ガスの Ne。
  フッ素 F は Ne に次いで大きいが、最大ではない。
③ 正 電子親和力の定義そのもの。
④ 正 Cl は電子を1個受け取ると Ar と同じ電子配置になるので、電子親和力が大きい。
  一方 Na は電子を失って Ne 型になりたい元素で、電子親和力は小さい。

よって ②

イオン化エネルギーのグラフは各周期の希ガスで山の頂点になり、次の周期のアルカリ金属で谷底になります。この「山と谷」の形を覚えておくと、②のような選択肢はその場で落とせます。

問4:正解 ①(解答番号104/配点3)

<問題要旨>
常温・常圧における物質と、それを構成する化学結合の組合せを示した表が与えられ、誤っているものを選ぶ設問です。表には塩素・ヨウ化カリウム・アンモニア・ポリエチレンの4つが並んでいます。

<考え方>
結合の種類は、結びついている原子が金属か非金属かで機械的に決まります。金属元素と非金属元素ならイオン結合、非金属元素どうしなら共有結合、金属元素どうしなら金属結合です。この一本の基準で4つを見ます。

① 誤 塩素 Cl₂ は非金属である塩素原子どうしが結びついた分子で、共有結合。
  イオン結合ではない。
② 正 ヨウ化カリウム KI は金属元素 K と非金属元素 I の化合物でイオン結合。
③ 正 アンモニア NH₃ は非金属元素 N と H からなる分子で共有結合。
④ 正 ポリエチレンは炭素と水素だけからなる高分子で、原子どうしは共有結合。

よって ①

「塩素」と「塩化ナトリウム」を取り違えないことが要点です。塩化ナトリウム NaCl ならイオン結合ですが、単体の塩素 Cl₂ は分子であって共有結合です。

問5:正解 ②(解答番号105/配点3)

<問題要旨>
1.10 cm³ のドライアイス(密度 1.60 g/cm³)がすべて気体になったとき、0 ℃、1.013×10⁵ Pa で何 L になるかを求める設問です。

<考え方>
「体積 → 質量 → 物質量 → 気体の体積」と順に変換します。密度で質量に直し、モル質量 44 g/mol で物質量に直し、0 ℃・1.013×10⁵ Pa(標準状態)の気体 1 mol は 22.4 L という値を掛けます。ドライアイスは二酸化炭素 CO₂ の固体です。

CO₂ のモル質量 12 + 16×2 = 44 g/mol

ドライアイスの質量
 m = 1.10 cm³ × 1.60 g/cm³ = 1.76 g

CO₂ の物質量
 n = 1.76 g ÷ 44 g/mol = 0.0400 mol

0 ℃、1.013×10⁵ Pa での体積
 V = 0.0400 mol × 22.4 L/mol = 0.896 L

【検算】0.0400 mol は 1 mol の 1/25。22.4 ÷ 25 = 0.896 となり一致する。

よって ②

④の 24.6 や⑤の 39.4 は、物質量を求めずに体積や質量をそのまま 22.4 倍してしまったときに出てくる値です。単位(cm³・g・mol・L)を書きながら進めると、この種の取り違えを防げます。

問6:正解 ④(解答番号106/配点3)

<問題要旨>
0.10 mol/L の酢酸 CH₃COOH 水溶液 10 mL に水 10 mL を加えて2倍に希釈し、これに 0.10 mol/L の水酸化ナトリウム NaOH 水溶液を滴下したときの、滴下量に対する pH の変化を表す曲線を選ぶ設問です。選択肢の4つのグラフは、①③が滴下量 20 mL で、②④が 10 mL で pH が垂直に立ち上がっており、さらに右端(滴下量 35 mL)での pH の高さが異なります。

<考え方>
中和点の位置は中和に必要な NaOH の物質量だけで決まり、水で薄めても酢酸の物質量は変わりません。まずこれで①③と②④に分け、次に中和点より後(強塩基が過剰になる領域)の pH を計算して、右端の高さでもう一段絞ります。

【中和点の位置 ― ①③ を落とす】
はかり取った酢酸の物質量
 0.10 mol/L × 10/1000 L = 1.0×10⁻³ mol
水を 10 mL 加えても、濃度は半分になるが物質量は 1.0×10⁻³ mol のまま変わらない。
CH₃COOH + NaOH → CH₃COONa + H₂O は 1 : 1 なので、必要な NaOH は
 1.0×10⁻³ mol ÷ 0.10 mol/L = 1.0×10⁻² L = 10 mL
→ 垂直に立ち上がるのは滴下量 10 mL。20 mL で立ち上がる①③は不適。

【中和点より後の pH ― ② と ④ を分ける】
滴下量 35 mL のとき、過剰の NaOH は
 0.10 mol/L × (35 − 10)/1000 L = 2.5×10⁻³ mol
混合液の全体積 20 mL + 35 mL = 55 mL = 0.055 L
 [OH⁻] = 2.5×10⁻³ mol ÷ 0.055 L ≒ 4.5×10⁻² mol/L
4.5×10⁻² は 10⁻² と 10⁻¹ の間なので、pOH は 1 と 2 の間、pH は 12 と 13 の間。
→ 右端が 13 に届こうとする④が合う。右端が 11 あたりで止まる②では低すぎる。

【中和点より前の形】
滴下量 5 mL(中和に必要な量のちょうど半分)では、CH₃COOH と CH₃COONa が等量の
緩衝作用をもつ混合液になり、pH は 5 弱で緩やかに変化する。④の曲線はこの高さを通る。

よって ④

「2倍に希釈した」という条件は、中和点をずらすためではなく、滴下前の pH をやや高くし、曲線全体を少し寝かせるためのものです。希釈で中和点が動くと勘違いすると①③を選んでしまいます。

問7:正解 ①(解答番号107/配点3)

<問題要旨>
4つの反応式が示され、その中で水 H₂O が酸としてはたらいている反応を選ぶ設問です。

<考え方>
ブレンステッド・ローリーの定義で、酸は H⁺ を与えるもの、塩基は H⁺ を受け取るものです。各式で H₂O が何に変わったかを見て、H⁺ を1個失って OH⁻ になっていれば酸、H⁺ を1個受け取って H₃O⁺ になっていれば塩基と判定します。

① H₂O → OH⁻  H⁺ を1個<strong>与えて</strong>いる → H₂O は酸
② H₂O → H₃O⁺  H⁺ を1個受け取っている → H₂O は塩基
③ H₂O → H₃O⁺  H⁺ を1個受け取っている → H₂O は塩基
④ 2H₂O → 2H₂ + O₂  H⁺ のやりとりがなく、酸化数が変化する分解反応
            → 酸塩基反応ではない

よって ①

水は相手によって酸にも塩基にもなります(両性)。①では相手が塩基の NH₃ なので水が酸として振る舞い、③では相手が酸の HF なので水が塩基として振る舞う、という対比で覚えると整理できます。

問8:正解 ①(解答番号108/配点3)

<問題要旨>
気体が発生する4つの実験ア〜エが並び、そのうち酸化還元反応が起こるものを正しく選んでいる組合せを、6つの選択肢から選ぶ設問です。

<考え方>
酸化還元反応かどうかは、反応の前後で酸化数が変化する元素があるかだけで判定できます。気体が出るかどうかは判断材料になりません。とくに、弱酸の塩に強酸を加えて弱酸を追い出す反応(弱酸の遊離)は、気体が出ても酸化数が変わらないので酸化還元ではありません。

ア 塩酸の電気分解
  陰極 2H⁺ + 2e⁻ → H₂ (H:+1 → 0)
  陽極 2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ (Cl:−1 → 0)
  酸化数が変化する → 酸化還元反応である

イ 亜鉛に塩酸を加える
  Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
  Zn:0 → +2、H:+1 → 0
  酸化数が変化する → 酸化還元反応である

ウ 石灰石に塩酸を加える
  CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂
  Ca は+2、C は+4、O は−2、H は+1、Cl は−1 のまま
  → 酸化数は変化しない(弱酸の遊離)

エ 硫化鉄(Ⅱ)に塩酸を加える
  FeS + 2HCl → FeCl₂ + H₂S
  Fe は+2、S は−2 のまま
  → 酸化数は変化しない(弱酸の遊離)

酸化還元反応が起こるのは ア と イ

よって ①

ウとエはどちらも「強い酸が弱い酸を追い出す」型で、発生する気体は CO₂ と H₂S です。単体(H₂、Cl₂、Zn など)が反応に現れるかどうかは、酸化還元を見分けるうえで有力な手がかりになります。

問9a:正解 ②(解答番号109/配点3)

<問題要旨>
ジャガイモに多く含まれる炭水化物を組成式 C₆H₁₀O₅(式量 162)で表すものとし、式(1) C₆H₁₀O₅ + 6O₂ → 6CO₂ + 5H₂O に従って完全燃焼したときに生じる CO₂ と H₂O の質量の比を求める設問です。

<考え方>
係数の比はそのまま物質量の比です。それぞれにモル質量(CO₂ は 44、H₂O は 18)を掛けて質量に直し、最後に比を簡単にします。実際の量を決める必要はなく、係数だけで答えが出ます。

式(1) C₆H₁₀O₅ + 6O₂ → 6CO₂ + 5H₂O
炭水化物 1 mol から CO₂ 6 mol、H₂O 5 mol

CO₂ の質量 6 × 44 = 264
H₂O の質量 5 × 18 = 90

264 : 90 = 44 : 15 (ともに 6 で割った)

【検算】44 : 15 を 6 倍すると 264 : 90 に戻る。
 また 264 ÷ 90 = 2.93…、44 ÷ 15 = 2.93… で一致する。

よって ②

③の 22 : 9 は、係数を掛けずにモル質量だけで 44 : 18 としてから約分した値です。係数 6 と 5 を落とさないことが要点です。

問9b:正解 ③(解答番号110/配点3)

<問題要旨>
ジャガイモ 1.00 g を完全に燃焼させたところ H₂O が 0.89 g 発生し、これは燃焼前から含まれていた H₂O と、炭水化物の燃焼で生じた H₂O の合計であるとされています。ジャガイモには炭水化物と水以外の成分は含まれないものとして、燃焼前に含まれていた H₂O の質量を求める設問です。

<考え方>
炭水化物の質量を x g と置くと、水は (1.00 − x) g です。発生した H₂O は「もともとあった水」+「燃焼で生じた水」の和なので、これを x の1次方程式にして解きます。燃焼で生じる水は、式(1)から炭水化物 162 g あたり 90 g の割合です。

炭水化物を x g とすると、燃焼前の水は (1.00 − x) g

炭水化物 162 g から生じる H₂O は 5 × 18 = 90 g なので
 燃焼で生じた H₂O = x × 90/162 = (5/9)x g

発生した H₂O の合計について
 (1.00 − x) + (5/9)x = 0.89
 1.00 − (4/9)x = 0.89
 (4/9)x = 0.11
 x = 0.11 × 9/4 = 0.2475 g (炭水化物)

もとから含まれていた水
 1.00 − 0.2475 = 0.7525 ≒ 0.75 g

【検算】水 0.75 g、炭水化物 0.25 g とすると
 0.75 + 0.25 × 90/162 = 0.75 + 0.1389 = 0.889 ≒ 0.89
 与えられた 0.89 g と合う。

よって ③

⑤の 0.89 は、発生した水をそのまま「もとから入っていた水」としてしまった値です。炭水化物が燃えても水ができる、という一段を必ず引いてください。

第2問(必答) 空気の成分(酸素とアルゴン)の発見と質量保存の法則

18世紀から19世紀末にかけて、空気に含まれる気体成分がどのように見つかっていったかをたどる大問です。配点は20点で、問1が濃硝酸の熱分解と酸素の性質、問2がラボアジエの水銀加熱実験と金属の酸化、問3がレイリーの測定からアルゴンの割合を求める計算になっています。読み物の部分は長いものの、問われているのは係数合わせ・物質量計算・密度とモル質量の関係という基本事項です。

問1a:正解 ④・④・②(解答番号111・112・113/配点4)

<問題要旨>
濃硝酸を加熱すると、硝酸 HNO₃ が熱分解して二酸化窒素 NO₂、酸素 O₂、水 H₂O が生じます。この反応式[111]HNO₃ → [112]NO₂ + O₂ + [113]H₂O の3つの係数を、数字 1〜9 の選択肢から選ぶ設問です。O₂ の係数はすでに 1 と決められています。なお、この3つの解答番号はひとまとまりで採点され、すべて正しく答えたときにだけ得点になります。

<考え方>
化学反応式の係数は、両辺で各元素の原子の数が等しくなるように決めます。O₂ の係数が 1 に固定されているので、残り3つを未知数として N・H・O について式を立て、順に解きます。

求める式を a HNO₃ → b NO₂ + O₂ + c H₂O とおく。

N の数  a = b  …(ア)
H の数  a = 2c  …(イ)
O の数  3a = 2b + 2 + c  …(ウ)

(ア)(イ) を (ウ) に代入して
 3a = 2a + 2 + a/2
 3a − 2a − a/2 = 2
 a/2 = 2
 a = 4

したがって b = 4、c = 2
 4HNO₃ → 4NO₂ + O₂ + 2H₂O

【検算】左辺の O 4 × 3 = 12
    右辺の O 4 × 2 + 2 + 2 = 12 …一致
    左辺の H 4  右辺の H 2 × 2 = 4 …一致

111 = 4 → ④  112 = 4 → ④  113 = 2 → ②

よって ④・④・②

係数を当てはめて試す場合も、最後に必ず両辺の酸素の数を数え直してください。この式は酸素の項が3か所(NO₂・O₂・H₂O)に散らばっているため、そこだけ合わせ損ねる誤りが起こりやすいところです。

問1b:正解 ③(解答番号114/配点3)

<問題要旨>
酸素 O₂ に関する5つの記述から、最も適当なものを選ぶ設問です。身のまわりで見かける気体の正体を、O₂・Cl₂・CO₂・N₂ などと正しく結びつけられるかが問われています。

<考え方>
それぞれの記述が指している気体の正体を一つずつ確かめ、O₂ になるものを残します。空気の組成(窒素 約78 %、酸素 約21 %、アルゴン 約0.93 %)は体積比の順番まで覚えておく必要があります。

① 誤 浄水場で殺菌・消毒に使われるのは塩素 Cl₂(または次亜塩素酸)。
② 誤 空気の体積比は N₂ 約78 %、O₂ 約21 %、Ar 約0.93 % の順。
   O₂ は2番目で、3番目はアルゴン Ar。
③ 正 酸化マンガン(Ⅳ) MnO₂ を触媒として過酸化水素水が分解し、O₂ が発生する。
   2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
④ 誤 発泡入浴剤から出る気体は二酸化炭素 CO₂。
   炭酸水素ナトリウムと有機酸が湯の中で反応して生じる。
⑤ 誤 スナック菓子の袋に充填されているのは窒素 N₂。
   酸素だと中身の油が酸化してしまうため使えない。

よって ③

②は第2問のテーマそのものに関わります。アルゴンが「3番目に多い成分」でありながら長く見つからなかったこと自体が、問3でレイリーの実験につながっていきます。

問2a:正解 ①(解答番号115/配点3)

<問題要旨>
ラボアジエの実験の模式図(図1)が示され、ガラス容器Aの水銀 Hg を加熱したところ表面に酸化水銀 HgO(式量 217)が 2.17 g 生じ、つながったガラス容器B内の気体の体積が減ったとされています。この反応で消費された O₂ の体積を、0 ℃、1.013×10⁵ Pa のもとで求める設問です。

<考え方>
生成した HgO の質量から物質量を出し、反応式 2Hg + O₂ → 2HgO の係数比で O₂ の物質量に直して、22.4 L/mol を掛けます。図1は、A と B の空間がつながった密閉系であること(外から空気が入らないこと)を示しており、計算そのものは HgO の質量だけで進みます。

HgO の物質量
 n(HgO) = 2.17 g ÷ 217 = 1.00×10⁻² mol

反応式 2Hg + O₂ → 2HgO より HgO : O₂ = 2 : 1
 n(O₂) = (1/2) × 1.00×10⁻² = 5.00×10⁻³ mol

0 ℃、1.013×10⁵ Pa での体積
 V = 5.00×10⁻³ mol × 22.4 L/mol = 0.112 L

【検算】質量保存の法則で確かめる。
 Hg 1.00×10⁻² mol の質量 = 201 × 1.00×10⁻² = 2.01 g
 増えた質量 = 2.17 − 2.01 = 0.16 g …これが結合した酸素の質量
 O₂ に直すと 0.16 ÷ 32 = 5.0×10⁻³ mol …上の値と一致する。

よって ①

③の 1.12 や④の 2.24 は、HgO の物質量をそのまま O₂ の物質量として計算したり、桁を1つ取り違えたときに出てきます。係数比 2 : 1 で半分にする一手を忘れないでください。

問2b:正解 ③(解答番号116/配点3)

<問題要旨>
金属元素の単体および酸化物の反応性について述べた5つの記述から、誤りを含むものを選ぶ設問です。カルシウム・アルミニウム・鉄の空気中での変化と、酸化銀(Ⅰ)・酸化銀以外の酸化物の分解や還元が並んでいます。

<考え方>
金属のイオン化傾向の大小と、酸化物がどれくらい安定かを手がかりにします。イオン化傾向が大きい金属ほど酸化されやすく、逆にイオン化傾向が小さい銀の酸化物は加熱だけで分解します。鉄がさびることは日常の経験からも判断できます。

① 正 カルシウムはイオン化傾向が大きく、乾燥した空気中でも表面が酸化される。
② 正 アルミニウムの表面には緻密な酸化被膜ができ、内部が守られる(この性質を利用したものがアルマイト)。
③ 誤 鉄は湿った空気中では水と酸素のはたらきで酸化され、赤さびを生じる。
   「酸化されない」は事実に反する。
④ 正 酸化銀(Ⅰ)は加熱だけで分解する。 2Ag₂O → 4Ag + O₂
⑤ 正 CuO + H₂ → Cu + H₂O
   CuO は酸素を奪われて還元され、H₂ は酸化される。

よって ③

③は、鉄が乾いた空気中ではさびにくく、水分があるとさびるという点が要点です。逆に①・②は「空気中に置くだけで酸化される」金属の例で、③との対比で押さえておくと迷いません。

問3a:正解 ③(解答番号117/配点4)

<問題要旨>
濃度が不明の塩化アンモニウム NH₄Cl 水溶液 100 mL に、量を変えて亜硝酸ナトリウム NaNO₂ を溶かし、加熱して生じた N₂ の体積を測った結果が表1に与えられています(NaNO₂ が 4.00×10⁻³、8.00×10⁻³、12.0×10⁻³、16.0×10⁻³、20.0×10⁻³ mol のとき、N₂ は順に 89.6、179、224、224、224 mL)。もとの水溶液 100 mL に溶けていた NH₄Cl の質量を求める設問です。

<考え方>
表1の数値がどこから一定になるかを見ます。NaNO₂ が少ないうちは NaNO₂ が足りず、加えた分だけ N₂ が増えますが、途中からは NH₄Cl のほうが足りなくなり、いくら NaNO₂ を増やしても N₂ は増えません。頭打ちになった 224 mL が、NH₄Cl をすべて使い切ったときの N₂ の体積です。ここから NH₄Cl の物質量を逆算します。

【表1をどう読むか】
NaNO₂ 4.00×10⁻³ mol → N₂ 89.6 mL
NaNO₂ 8.00×10⁻³ mol → N₂ 179 mL  (およそ2倍になっている)
NaNO₂ 12.0×10⁻³ mol → N₂ 224 mL
NaNO₂ 16.0×10⁻³ mol → N₂ 224 mL
NaNO₂ 20.0×10⁻³ mol → N₂ 224 mL  (ここから一定)

前半は NaNO₂ が不足し、加えた分だけ N₂ が増える。
後半は NH₄Cl を使い切っているので、NaNO₂ を増やしても N₂ は増えない。
→ 一定になった 224 mL が、NH₄Cl がすべて反応したときの N₂ の体積。

【NH₄Cl の量】
n(N₂) = (224/1000) L ÷ 22.4 L/mol = 1.00×10⁻² mol

式(2) NaNO₂ + NH₄Cl → N₂ + 2H₂O + NaCl より NH₄Cl : N₂ = 1 : 1
 n(NH₄Cl) = 1.00×10⁻² mol

質量 1.00×10⁻² mol × 53.5 = 0.535 g

【検算1】前半が 1 : 1 で進むことを確かめる。
 NaNO₂ 4.00×10⁻³ mol なら N₂ は 4.00×10⁻³ × 22400 = 89.6 mL。表1と一致する。
【検算2】折れ曲がりの位置を確かめる。
 NH₄Cl が 1.00×10⁻² mol なら、N₂ が頭打ちになるのは NaNO₂ = 1.00×10⁻² mol の点。
 これは 8.00×10⁻³ と 12.0×10⁻³ の間にあり、表1の増え方と矛盾しない。

よって ③

②の 0.428 は 8.00×10⁻³ mol、④の 0.642 は 12.0×10⁻³ mol に対応する値で、頭打ちの位置を取り違えると選んでしまいます。表の値が一定になった行そのものではなく、一定になった体積が判断材料である点に注意してください。

問3b:正解 ①・②(解答番号118・119/配点3)

<問題要旨>
レイリーの実験では、空気から水蒸気・二酸化炭素・酸素を取り除いた気体 X の密度が、純粋な N₂ の密度より 0.50 % 大きくなりました。気体 X には Ar と N₂ 以外は含まれないものとして、X に含まれるアルゴン Ar の体積百分率を小数第1位まで求め、整数部分を[118]、小数第1位を[119]として数字を選ぶ設問です。この2つの解答番号はひとまとまりで採点され、両方そろって正しいときに得点になります。

<考え方>
同温・同圧では、気体の密度はモル質量に比例します(同じ体積に同じ数の分子が入るため)。そこで、Ar の体積百分率を文字で置いて気体 X の平均モル質量を表し、それが N₂ のモル質量の 1.0050 倍になるという式を立てます。体積百分率は、気体では分子の数の割合=物質量の割合と同じです。

N₂ のモル質量 14 × 2 = 28
Ar のモル質量 40

気体 X に含まれる Ar の割合を x(小数)とすると、N₂ の割合は (1 − x)。
同温・同圧の気体では体積比=物質量比なので、X の平均モル質量は
 M = 40x + 28(1 − x) = 28 + 12x

密度が N₂ より 0.50 % 大きい → M = 28 × 1.0050
 28 + 12x = 28 + 28 × 0.0050
 12x = 0.14
 x = 0.011666… = 1.1666… %

小数第2位を四捨五入して 1.2 %

【検算】x = 0.0117 として M = 28 + 12 × 0.0117 = 28.14
    28.14 ÷ 28 = 1.0050 …条件に合う。

118 = 1 → ①  119 = 2 → ②

よって ①・②

Ar と N₂ のモル質量の差 12 が、密度のずれ 28 × 0.0050 = 0.14 を生んでいます。差がわずか 12 しかないため、1 % 強という少量の混入でも密度の差は 0.5 % にとどまり、当時これを検出したレイリーの測定がいかに精密だったかが分かります。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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