2025年度 大学入学共通テスト 本試験 化学基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問101:正解3

<解説>
酸素の質量数が18の同位体(酸素原子番号8)には、陽子が8個、中性子が10個含まれている。選択肢の原子についてもそれぞれ、質量数(陽子と中性子の合計)と原子番号(陽子の数)から中性子の数を推定すると、質量数が19で原子番号が9の原子(フッ素)の場合に中性子数が10となり、一致する。

問102:正解4

<解説>
炭酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムの粉末を区別するには、加熱して質量変化をみる、酸を加えて気体の発生を調べる、水に溶かして水溶液のpHを比べるなどの方法が有効である。一方、炎色反応では両方ともナトリウムの黄色を示すため、区別がつかない。

問103:正解2

<解説>
第2周期(リチウムからネオン)の中で第1イオン化エネルギーが最大になるのは、周期表の右端に近い原子(例えばネオン)であることが知られている。原子番号が大きいほど必ずしもイオン化エネルギーが最大になるわけではなく、周期表内での位置(電子配置)が大きく影響する。そのため、第2周期で特定の元素(例えばホウ素)が最大になる、という趣旨の記述は誤りとなる。

問104:正解1

<解説>
常温・常圧で存在する塩素は二つの塩素原子が共有結合でつながった分子(気体)として存在し、イオン結合の結晶としては存在しない。したがって、「塩素がイオン結合で成り立つ」とする組み合わせは誤りである。

問105:正解2

<解説>
ドライアイス(固体の二酸化炭素)は、水素や酸素などに比べて分子量が大きいため、1立方センチメートルあたりの質量が比較的大きい。ドライアイスの体積と密度から質量を求め、そこから標準状態付近での二酸化炭素の体積を見積もると、およそ1リットルに満たない値となる。選択肢を比べると1リットル未満程度の値が導かれ、これが該当する。

問106:正解4

<解説>
酢酸は弱酸なので、強塩基(水酸化ナトリウム)で滴定すると、当初のpHは強酸ほど低くはならない。また、当量点付近で急激にpHが上昇し、最終的には塩基性側に達する。さらに問題文では酢酸水溶液を倍量に薄めているため、当量点に達するまでの滴下量が増える。これらを総合して最も適切なpH変化の曲線は、弱酸らしく最初がやや酸性、当量点がpH7より大きめ、かつ滴下量がある程度多いグラフになる。

問107:正解1

<解説>
水が酸としてはたらくとは、水が相手に水素イオン(陽子)を与えていることを意味する。アンモニアと水の場合、アンモニアが水素イオンを受け取りアンモニウムイオンになり、水は水酸化物イオンを残す。このように水がプロトン供与体となっている反応が該当する。

問108:正解1

<解説>
酸化還元反応では、ある物質が電子を失い(酸化され)別の物質が電子を受け取る(還元され)過程が同時に起こる。塩化ナトリウム水溶液の電気分解では、電極での電子の授受により酸化還元が明確に生じる。また、亜鉛に酸を加えると亜鉛原子が電子を失い水素イオンが還元されるため、酸化還元反応となる。一方、炭酸カルシウムや硫化鉄(II)への酸の作用は、気体の発生はあっても電子の受け渡しを伴う反応ではない。

問109:正解2

<解説>
炭水化物が完全に燃焼すると、炭素は二酸化炭素、水素は水として生じる。そのときの二酸化炭素と水の質量比は、炭水化物の組成比によって一定になる。問題文に示された炭水化物の場合、できあがる二酸化炭素と水の質量はほぼ「二酸化炭素が44、 水が15」の比率に対応する(いずれも相対的な数値としてみなせる)。

問110:正解3

<解説>
燃焼によって得られる水には、もともと試料(ジャガイモ)に含まれていた水分と、炭水化物が燃焼して生じた水分が含まれている。燃焼前後での合計の水の質量を比べ、そのうち炭水化物の燃焼から生じた分を差し引くと、最終的にジャガイモにもともと含まれていた水の質量が推定できる。与えられたデータの範囲で計算すると、残りが選択肢の中の適切な値となる。

第2問

問111:正解4

<解説>
濃硝酸を熱分解すると、窒素を含む酸化物と酸素、それに水が生じることが知られている。ここで、はじめの物質と生成物のそれぞれについて、窒素・水素・酸素の原子の個数が一致するように係数を決定すると、もとの酸の係数はある整数となる。実際に原子数を対応づけると、4という比率でそろえるのが妥当である。

問112:正解4

<解説>
同じ熱分解反応で生じる窒素を含む酸化物の係数も、はじめの酸の係数との対応関係から決まる。それぞれの窒素や酸素の原子数が釣り合うように調整すると、結果としてこの生成物の係数も4が導かれる。

問113:正解2

<解説>
熱分解においては水も生じるが、こちらの係数も他の生成物や出発物質の原子数とのつり合いから決まる。窒素と酸素の比率に合わせて水素原子の総数をそろえた結果、水の係数は2が妥当となる。

問114:正解3

<解説>
空気中で2番目に多い気体として知られる酸素は、実験室では酸化マンガン(IV)に過酸化水素を加えて発生させるなどの方法が広く行われてきた。これらの製法や性質に関する記述からみても、酸素が比較的簡単に発生させられ、助燃性が高い気体である点がよく知られている。

問115:正解1

<解説>
水銀を加熱すると一部が赤色の酸化物となり、空気中の酸素を消費することで容器内の気体の体積が変化するという実験が歴史的に行われてきた。その減少分から酸素の量を見積もり、常温・常圧付近での体積を計算すると、およそ0.1L程度の値が得られる。提示された選択肢を比べると、約0.1Lあたりの値が最も適切であると判断できる。

問116:正解3

<解説>
金属のなかには空気中に放置すると表面が膜をつくり、それ以上の酸化が進みにくくなるものがあるが、まったく酸化されないわけではない。鉛は酸化の程度は小さいものの、空気中で酸化が全く起こらないというのは誤りである。したがって、「鉛を湿った空気中に放置しても酸化されない」という記述は不適切といえる。

問117:正解3

<解説>
亜硝酸ナトリウムと塩化アンモニウムを混合・加熱すると窒素が発生する反応が知られている。問題文の表を参考に、亜硝酸ナトリウムの量と発生する窒素の体積の対応関係を読み取り、濃度不明の塩化アンモニウム水溶液を一定量ずつ加えて得られた窒素の全体積を合算すると、提示された数値のうちで中間的な値が最も適切である。

問118:正解1

<解説>
空気よりもわずかに密度が大きい気体を詳しく調べた結果、その中には窒素以外の成分がわずかに含まれていることが判明した。ここではアルゴンの体積分率を、窒素との相対的な密度の違いなどから見積もると、1%台の値が導かれる。

問119:正解2

<解説>
アルゴンの体積分率についてさらに詳しく数値化すると、1を少し超えるパーセントになることがわかっている。問題文で示された情報から小数第1位まで表すと、2の位置にあたる数字が最も適当である。こうして、わずか数%にも満たない微量成分が空気中に含まれている事実が確かめられた。

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