2018年度 大学入試センター試験 本試験 化学 解答・解説

2018年度 大学入試センター試験 本試験「化学」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2018年度(平成30年度)大学入試センター試験 本試験「化学」の全問解説です。第1問〜第5問が必答、第6問と第7問はどちらか1問を選択して解答する形式で、100点満点。当サイトでは選択問題の第6問・第7問を両方とも解説しているため、このページに表示される配点の合計は105になります。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と計算過程が開きます。まちがえた設問だけを選んで確認してください。

第1問 物質の構造と状態(原子・周期表・結晶格子・蒸気圧・濃度)

理論化学の小問集合で、6問すべて4点ずつ。問3の六方最密構造は「単位格子はどこか」を図から正しく切り出せるかが勝負です。問4はグラフの縦軸と横軸を入れ替えるだけ、問6は過冷却を知っているかで決まります。

問1:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
表1に示された陽子数・中性子数・電子数をもつ原子または単原子イオン ア〜カ のうち、陰イオンで質量数が最も大きいものを選びます。

<考え方>
まず「陽子数と電子数を比べて陰イオンを絞る」、次に「質量数=陽子数+中性子数」で比べる、という二段階で処理します。

陰イオン = 電子数 > 陽子数

   陽子 中性子 電子  判定
ア  16  18  18  陰イオン(S²⁻)
イ  17  18  18  陰イオン(Cl⁻)
ウ  17  20  17  中性の原子
エ  19  20  18  陽イオン(K⁺)
オ  19  22  19  中性の原子
カ  20  20  18  陽イオン(Ca²⁺)

陰イオンは ア と イ

質量数 = 陽子数 + 中性子数
 ア 16 + 18 = 34
 イ 17 + 18 = 35

イ の方が大きい
問2:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
天然に存在する典型元素と遷移元素に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
典型元素と遷移元素の線引きは、周期表の1・2族と12〜18族が典型元素、3〜11族が遷移元素、という位置で覚えます。

① アルカリ土類金属はすべて遷移元素
 → 誤り
  アルカリ土類金属は2族で、典型元素

② 典型元素には両性元素が含まれる
 → 正しい(Al,Zn,Sn,Pb)

③ 遷移元素はすべて金属元素
 → 正しい

④ 典型元素では周期表の左下ほど陽性が強い
 → 正しい(左へ行くほど、下へ行くほど
  電子を放しやすい)

⑤ 遷移元素には複数の酸化数をとるものがある
 → 正しい(Fe は +2 と +3、Mn は多数)
問3:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
六方最密構造(六方最密充填)の結晶格子について、図1 の単位格子(灰色部分)に含まれる金属原子の数を求めます。

<考え方>
六角柱ぜんぶではなく、その1/3を切り出した「菱形柱」が単位格子です。角の内角が 60° と 120° なので、頂点の原子の分け前もそれに応じて変わります。

単位格子は底面が菱形(60°と120°)の柱

上面の4つの頂点
 60°の頂点 2 個 … 1個あたり 1/12
 120°の頂点 2 個 … 1個あたり 1/6
 → 2×(1/12) + 2×(1/6)
  = 1/6 + 1/3 = 1/2

下面も同じ → 1/2

上下の頂点の合計 … 1/2 + 1/2 = 1 個

層B の原子(柱の内部)… 1 個(まるごと)

合計 1 + 1 = 2 個

(確認)六方最密構造の充填率は面心立方格子と
 同じ 74 %。六角柱ぜんぶなら 6 個で、
 その 1/3 が 2 個というのとも一致する
問4:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
図2 は水の温度と蒸気圧の関係です。外圧が変化したときの水の沸点を表すグラフを選びます。

<考え方>
沸騰は「蒸気圧=外圧」になったときに起こります。つまり求めるグラフは、図2 の縦軸と横軸をそのまま入れ替えたものです。

沸点の定義
 蒸気圧 = 外圧 となる温度

図2 から読み取る(温度 → 蒸気圧)
 100℃ → 1.0×10⁵ Pa
 120℃ → 2.0×10⁵ Pa
 60℃ →約0.2×10⁵ Pa

軸を入れ替える(外圧 → 沸点)
 1.0×10⁵ Pa → 100℃
 2.0×10⁵ Pa → 120℃
 0.2×10⁵ Pa →約60℃

・外圧が上がるほど沸点も上がる(増加)
・低圧側で急に立ち上がり、高圧側で
 なだらかになる(上に凸)

外圧 1.0 で 100℃、2.0 で約120℃ を通る
上に凸の曲線 → ③

(④ は外圧によらず100℃で誤り。
 ⑤ は原点を通る直線で、外圧 1.0 のとき
 約 70℃ になってしまい合わない)
問5:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
モル濃度 C〔mol/L〕、密度 d〔g/cm³〕、溶質のモル質量 M〔g/mol〕の溶液について、質量モル濃度〔mol/kg〕を表す式を選びます。

<考え方>
「溶液 1 L 分」を基準にとって、溶液の質量・溶質の質量・溶媒の質量を順に書き出します。質量モル濃度の分母は溶媒の質量であって、溶液の質量ではないのがポイントです。

溶液 1 L(=1000 cm³)を考える

溶液の質量 = 1000 × d = 1000d〔g〕
溶質の物質量 = C〔mol〕
溶質の質量 = CM〔g〕

溶媒の質量
 = 1000d − CM〔g〕
 = (1000d − CM)/1000〔kg〕

質量モル濃度
 =(溶質の物質量)/(溶媒の kg 数)
 = C ÷ (1000d − CM)/1000
 = 1000C/(1000d − CM)
問6:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
物質の状態に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます(気体は実在気体として考えます)。

<考え方>
「凝固点より低い温度の液体はありえない」と言い切ってよいか、を問う問題です。過冷却という現象を思い出せば決まります。

① 気液平衡では蒸発する分子の数と
  凝縮する分子の数が等しい
 → 正しい(平衡の定義そのもの)

② 無極性分子の凝縮にはファンデルワールス力
 → 正しい

③ 純溶媒の沸点 < 不揮発性の溶質が溶けた
  溶液の沸点
 → 正しい(沸点上昇)

④ 純物質は三重点で気体・液体・固体が共存
 → 正しい

⑤ 純物質は液体の状態で凝固点より
  低い温度になることはない
 → 誤り
  ゆっくり冷やすと、凝固点より低い温度でも
  液体のままでいることがある(過冷却)。
  何かのきっかけで急に凝固が始まり、
  そのとき温度は凝固点まで戻る

第2問 物質の変化と平衡(熱化学・反応速度・中和滴定・電池・電離平衡)

理論化学の後半で、こちらも6問すべて4点。問1は三つの熱化学方程式を組み合わせる典型問題、問5は「K_a と K_b をかけると K_w になる」という関係を導けるかを問う良問です。

問1:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
C(黒鉛)= C(気)+ Q〔kJ〕の Q を、与えられた三つの熱化学方程式から求めます。

<考え方>
熱化学方程式は普通の方程式と同じように足し引きできます。目的の式の左辺に C(黒鉛)、右辺に C(気)が残るように組み立てます。

与えられた式
 (a) C(黒鉛) + O₂ = CO₂ + 394
 (b) O₂ = 2O − 498
 (c) CO₂ = C(気) + 2O − 1608

(a) + (c) を計算する
 C(黒鉛) + O₂ + CO₂
  = CO₂ + C(気) + 2O + 394 − 1608

両辺の CO₂ を消して
 C(黒鉛) + O₂ = C(気) + 2O − 1214

(b) を移項した形
 2O = O₂ + 498
を代入する
 C(黒鉛) + O₂ = C(気) + O₂ + 498 − 1214

両辺の O₂ を消して
 C(黒鉛) = C(気) − 716

よって Q = −716 kJ
(黒鉛から気体の炭素原子にするには
  716 kJ の吸熱が必要ということ)
問2:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
A + B → C の反応(v = k[A][B])で、0.040 mol/L の A と B を同体積ずつ混合すると C は最終的に 0.020 mol/L になりました。A の濃度だけを2倍にしたときの、反応開始直後の速度と最終的な C の濃度を答えます。

<考え方>
速度は「混合直後の濃度」を式に入れるだけ。最終濃度は「先になくなる方(限定反応物)」で決まります。同体積混合で濃度が半分になることを忘れないようにします。

もとの実験(同体積混合で濃度は半分に)
 [A] = [B] = 0.020 mol/L
 開始直後 v = k × 0.020 × 0.020
 A も B も同時になくなり C は 0.020 mol/L

A の濃度だけ 2 倍(0.080 mol/L)にすると
 混合後 [A] = 0.040,[B] = 0.020

反応開始直後の速度
 v′ = k × 0.040 × 0.020
  = 2 × v
 → 増加した

最終的な C の濃度
 A は 0.040、B は 0.020 しかない
 → B が先になくなる(限定反応物)
 → C は B と同じだけ生成する
 → 0.020 mol/L(変わらない)

(増加した,0.020)の組 → ③
問3 a:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
水酸化バリウム水溶液 50 mL に 0.10 mol/L の希硫酸を滴定し、電気伝導度を測りました。滴下量 0〜25 mL と 25 mL 以上での電気伝導度の変化の組合せを選びます。

<考え方>
電気伝導度は「溶液中のイオンの量」で決まります。この中和では BaSO₄ という沈殿ができるので、加えたイオンも元のイオンも溶液から消えていくのがポイントです。

反応 Ba(OH)₂ + H₂SO₄ → BaSO₄↓ + 2H₂O

0〜25 mL(中和点まで)
 加えた H⁺ は OH⁻ と結びついて水になる
 加えた SO₄²⁻ は Ba²⁺ と結びついて沈殿する
 → 溶液中のイオンがどんどん減る
 → 電気伝導度は減少する
 (中和点でほぼ 0 に近づく)

25 mL 以上(中和点を過ぎたあと)
 反応する相手がもういない
 → 加えた H⁺ と SO₄²⁻ がそのまま増える
 → 電気伝導度は増加する

(減少した,増加した)の組 → ④
問3 b:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
中和に要した希硫酸が 25 mL だったことから、水酸化バリウム水溶液のモル濃度を求めます。

<考え方>
Ba(OH)₂ も H₂SO₄ もどちらも2価なので、係数は 1:1。価数を掛けて考えても同じ答えになります。

H₂SO₄ の物質量
 0.10 mol/L × 0.025 L = 2.5×10⁻³ mol

反応式は 1:1
 Ba(OH)₂ + H₂SO₄ → BaSO₄ + 2H₂O
 → Ba(OH)₂ も 2.5×10⁻³ mol

モル濃度
 2.5×10⁻³ / 0.050 L = 0.050 mol/L

(価数で確かめる)
 OH⁻ の物質量 = H⁺ の物質量
 c × 0.050 × 2 = 0.10 × 0.025 × 2
 c = 0.050 mol/L 一致する
問4:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
メタノールを用いた燃料電池を 0.30 A で 19300 秒間作動させたとき、消費されたメタノールの物質量を求めます(ファラデー定数 9.65×10⁴ C/mol)。

<考え方>
「電気量 → 電子の物質量 → 目的の物質の物質量」の順に換算します。負極の反応式から、メタノール1分子あたり電子6個が出ることを読み取ります。

電気量
 Q = 0.30 A × 19300 s = 5790 C

電子の物質量
 5790 / (9.65×10⁴) = 0.060 mol

負極の反応式
 CH₃OH + H₂O → CO₂ + 6H⁺ + 6e⁻
 → CH₃OH 1 mol あたり電子 6 mol

メタノールの物質量
 0.060 / 6 = 0.010 mol
問5:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
NH₄⁺ の酸としての電離定数 K_a と、水のイオン積 K_w を用いて、NH₃ の電離定数 K_b を表す式を選びます。

<考え方>
K_a と K_b を実際に書き並べて掛け算してみると、[NH₃] と [NH₄⁺] が約分で消えて [H⁺][OH⁻] だけが残ります。

それぞれの定義

 K_a = [H⁺][NH₃]/[NH₄⁺] … 式(2)より
 K_b = [NH₄⁺][OH⁻]/[NH₃] … 式(1)より

掛け合わせる
 K_a × K_b
 = ([H⁺][NH₃]/[NH₄⁺]) × ([NH₄⁺][OH⁻]/[NH₃])
 = [H⁺][OH⁻]
 = K_w

したがって
 K_b = K_w/K_a

第3問 無機物質(身近な無機物質・ハロゲン・気体・元素の推定・水和物)

問1〜問4は知識で決まりますが、問5は5点の計算問題。質量の差から水和水の物質量を出し、そこから金属の原子量まで逆算して元素を特定するという、この年で最も手応えのある設問です。

問1:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
身近な無機物質に関する記述のうち、下線部に誤りを含むものを選びます。

<考え方>
宝石の主成分は頻出です。ルビーとサファイアはどちらも同じ物質で、含まれる微量の金属イオンの違いで色が変わります。

① ルビーやサファイアは酸化マグネシウムの結晶
 → 誤り
  どちらも酸化アルミニウム Al₂O₃ の結晶。
  微量の Cr で赤(ルビー)、
  Fe や Ti で青(サファイア)になる

② 塩化カルシウムは凝固点降下により
  道路の凍結防止に用いられる
 → 正しい

③ 酸化チタン(IV)は光触媒として
  有機物の汚れを分解する
 → 正しい(セルフクリーニング効果)

④ 高純度の二酸化ケイ素のガラスは
  光ファイバーに利用される
 → 正しい

⑤ 酸化亜鉛の粉末は白色で絵の具や塗料に用いる
 → 正しい(亜鉛華)
問2:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
ハロゲンの単体および化合物に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
塩素のオキソ酸は HClO(+1)、HClO₂(+3)、HClO₃(+5)、HClO₄(+7)の4種類。名前と酸化数を結びつけておきます。

① フッ素は水素との反応性が最も高い
 → 正しい(暗所・低温でも爆発的に反応)

② フッ化水素酸はガラスを腐食する
 → 正しい(SiO₂ を溶かす)

③ 塩化銀はアンモニア水に溶ける
 → 正しい([Ag(NH₃)₂]⁺ をつくる)

④ 次亜塩素酸は塩素がとりうる最大の酸化数を
  もつオキソ酸
 → 誤り
  次亜塩素酸 HClO の Cl は +1 で最小。
  最大は過塩素酸 HClO₄ の +7

⑤ ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素を溶かすと褐色
 → 正しい(I₂ + I⁻ → I₃⁻)
問3:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
塩化ナトリウムと濃硫酸から発生する気体 A、硫化鉄と希硫酸から発生する気体 B について、A と B に共通する性質を選びます。

<考え方>
まず A と B が何かを決めます。どちらも実験室での気体の発生法として定番の組合せです。

気体の特定
 A:NaCl + H₂SO₄ → NaHSO₄ + HCl
  → 塩化水素 HCl(揮発性の酸の遊離)
 B:FeS + H₂SO₄ → FeSO₄ + H₂S
  → 硫化水素 H₂S(弱酸の遊離)

① 無色・無臭
 → HCl は刺激臭、H₂S は腐卵臭 ×

② Pb²⁺ を含む水溶液に通じると沈殿する
 → HCl では PbCl₂(白色沈殿)
  H₂S では PbS(黒色沈殿)
  どちらも沈殿する ○

③ 水に溶けると濃度によらずほぼ完全に電離
 → HCl は強酸で完全電離するが、
  H₂S は弱酸で一部しか電離しない ×

④ 水溶液は鉄を不動態にする
 → 不動態にするのは濃硝酸や濃硫酸 ×
問4:正解 ④,③(配点3,3)

<問題要旨>
Ca,Cl,Mg,N,Na,O のうち、記述 a に当てはまる元素 ア と、記述 b に当てはまる元素 イ をそれぞれ選びます。

<考え方>
どちらも「一つ下の同族元素」がヒントです。a は同素体と自然発火からリンを、b は硫酸塩と水酸化物の溶解性の逆転からアルカリ土類金属を思い浮かべます。

〔ア〕記述 a
 「一つ下の同族元素の単体は同素体をもつ固体で、
  空気中で自然発火するものがある」
 → 黄リン(自然発火する。同素体に赤リン)
 → 一つ下がリン P なので、ア は 15族の窒素 N
 → N の単体は標準状態で気体 ○

〔イ〕記述 b
 「イの硫酸塩は水によく溶けるが
  イの水酸化物は溶けにくい」
 「一つ下の同族元素の硫酸塩は水に溶けにくいが、
  水酸化物はイのものより溶けやすい」

 Mg と Ca で確かめる
  MgSO₄ … よく溶ける ○
  Mg(OH)₂ … 溶けにくい ○
  CaSO₄ … 溶けにくい ○
  Ca(OH)₂ … Mg(OH)₂ より溶けやすい ○

 → イ は Mg

(2族では、下へ行くほど硫酸塩は溶けにくく、
  水酸化物は溶けやすくなる)
問5:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
金属 M の硫酸塩 MSO₄·nH₂O を 4.82 g とり、20℃から400℃まで加熱したときの質量変化が図1 です。加熱前の化学式を選びます(n,m は7以下の整数、300℃以上で無水塩 MSO₄)。

<考え方>
質量の差はすべて失われた水の質量です。水の物質量を出せば、それと MSO₄ の物質量の比が n になります。M の原子量まで求めれば元素も決まります。

図1 から読み取る質量
 はじめ MSO₄·nH₂O … 4.82 g
 途中  MSO₄·mH₂O … 3.38 g
 最後  MSO₄     … 3.02 g

失われた水の総量
 4.82 − 3.02 = 1.80 g
 → 1.80/18 = 0.100 mol

MSO₄ の物質量を a〔mol〕とすると
 水は an = 0.100 mol

MSO₄ の式量
 3.02/a = 3.02n/0.100 = 30.2n

m を求める
 MSO₄·mH₂O に残っている水
 3.38 − 3.02 = 0.36 g → 0.020 mol
 am = 0.020
 m/n = 0.020/0.100 = 0.2
 m = 0.2n

n,m は7以下の整数なので
 n = 5,m = 1

M の原子量
 MSO₄ の式量 = 30.2 × 5 = 151
 SO₄ = 32 + 16×4 = 96
 M = 151 − 96 = 55 → マンガン Mn

よって MnSO₄·5H₂O

第4問 有機化合物(異性体・幾何異性体・アセトン・不飽和アルコール・アセチルサリチル酸)

前半は異性体の数え上げ、後半はアセチルサリチル酸の合成実験。問4は「Na との反応で −OH の数」「水素付加で C=C の数」を別々に求め、最後に不飽和度で n を決めるという三段構えです。

問1:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
化合物 A と B を構成する原子について、指定された原子の数が同じである組合せを選びます。

<考え方>
ひとつずつ構造式を書いて数えます。④ は「分子式が同じ(異性体)」というところに気づけば、水素の数が同じなのは当たり前です。

① 炭素原子
 1−プロパノール C₃H₈O … 3 個
 2−メチル−2−プロパノール C₄H₁₀O … 4 個
 → 違う

② 不斉炭素原子
 1−ブタノール CH₃CH₂CH₂CH₂OH … 0 個
 2−ブタノール CH₃CH₂CH(OH)CH₃ … 1 個
 → 違う

③ 不飽和結合を形成する炭素原子
 1,3−ブタジエン CH₂=CH−CH=CH₂ … 4 個
 シクロヘキセン … 2 個
 → 違う

④ 水素原子
 1−ペンテン C₅H₁₀ … 10 個
 シクロペンタン C₅H₁₀ … 10 個
 → 同じ(分子式が同じ構造異性体)
問2:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
幾何異性体(シス−トランス異性体)が存在する化合物を、分子式の中から選びます。

<考え方>
幾何異性体の条件は二つ。①C=C 二重結合があること、②二重結合の両端の炭素が、それぞれ異なる2つの原子(団)と結合していること。まず不飽和度で二重結合の有無を確かめます。

不飽和度で二重結合の有無を調べる
(Cl は H と同じ扱いで数える)

① C₂HCl₃ … H+Cl = 4 → C₂H₄ 相当 → 二重結合あり
  CHCl=CCl₂
  右の炭素に Cl が2つ → 幾何異性体なし ×

② C₂H₂Cl₂ … H+Cl = 4 → 二重結合あり
  1,2−ジクロロエチレン CHCl=CHCl
  両端とも H と Cl で異なる
  → シス形とトランス形が存在する ○

③ C₂H₂Cl₄ … H+Cl = 6 → C₂H₆ 相当
  → 飽和で二重結合なし ×

④ C₂H₃Cl … H+Cl = 4 → 二重結合あり
  CH₂=CHCl
  左の炭素に H が2つ → 幾何異性体なし ×

⑤ C₂H₃Cl₃ … H+Cl = 6 → 飽和 ×
問3:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
アセトンに関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
アセトンはケトンで、還元性を示しません。フェーリング液の還元やアンモニア性硝酸銀の反応はアルデヒドの性質です。

アセトン CH₃COCH₃(ケトン)

① 常温・常圧で液体である
 → 正しい(沸点 56℃)

② 水と任意の割合で混じりあう
 → 正しい

③ 2−プロパノールの酸化により得られる
 → 正しい(第二級アルコール → ケトン)

④ フェーリング液を加えて加熱すると赤色沈殿
 → 誤り
  ケトンには還元性がないので反応しない。
  赤色沈殿 Cu₂O を生じるのはアルデヒド

⑤ ヨウ素と NaOH 水溶液を加えて加熱すると
  黄色沈殿を生じる
 → 正しい(ヨードホルム反応。
  CH₃CO− の構造をもつため)
問4:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
分子式 C₁₀HₙO の不飽和結合をもつ直鎖状アルコール A を一定質量とり、十分な量の Na と反応させると水素 0.125 mol が発生し、同じ質量の A に水素を完全に付加させると 0.500 mol が消費されました。n の値を求めます。

<考え方>
二つの実験がそれぞれ別の情報をくれます。Na との反応は −OH の数、水素付加は C=C の数。両方そろったら不飽和度の式に入れます。

Na との反応(−OH の数を知る)
 2R−OH + 2Na → 2R−ONa + H₂
 → −OH 2 mol につき H₂ 1 mol

 H₂ 0.125 mol → −OH は 0.250 mol

直鎖状の 1 価アルコールとすると
 A の物質量 = 0.250 mol

水素付加(C=C の数を知る)
 H₂ 0.500 mol を消費
 → A 1 mol あたり 0.500/0.250 = 2 mol
 → C=C は 1 分子に 2 個

不飽和度で n を決める
 直鎖状(環なし)なので
 不飽和度 = C=C の数 = 2

 不飽和度 = (2×10 + 2 − n)/2 = 2
 22 − n = 4
 n = 18
問5 a:正解 ⑤(配点2)

<問題要旨>
サリチル酸からアセチルサリチル酸を合成する実験で、加えた化合物 A として最も適当なものを選びます。

<考え方>
反応式を見ると、サリチル酸の −OH が −OCOCH₃ に変わっています。アセチル基 CH₃CO− を与える試薬を選びます。

サリチル酸 −OH → アセチルサリチル酸 −OCOCH₃
 → アセチル化(酢酸エステルをつくる)

アセチル基を与えるのは無水酢酸
 (CH₃CO)₂O

 反応式
 C₆H₄(OH)COOH + (CH₃CO)₂O
  → C₆H₄(OCOCH₃)COOH + CH₃COOH

(メタノール・エタノールではカルボキシ基の
  方がエステル化されてしまい、目的物にならない。
  無水フタル酸ではフタル酸のエステルになる)
問5 b:正解 ①(配点2)

<問題要旨>
得られたアセチルサリチル酸に未反応のサリチル酸が混ざっていないことを確認したいとき、サリチル酸の検出に用いる溶液を選びます。

<考え方>
サリチル酸にはフェノール性ヒドロキシ基があり、アセチルサリチル酸にはありません。この違いを見分ける試薬を選びます。

サリチル酸   … −OH(フェノール性)あり
アセチルサリチル酸 … −OCOCH₃ に変わっていて
           フェノール性 −OH なし

フェノール類の検出
 → 塩化鉄(III) 水溶液で
  赤紫〜青紫色に呈色する

② フェノールフタレイン、③ 炭酸水素ナトリウム、
④ 水酸化ナトリウムはどれもカルボキシ基
(両方の化合物がもつ)に反応してしまうので、
2つを区別できない

第5問 高分子化合物(必答)

合成高分子と天然高分子の基本事項です。どちらも「誤りを含むもの」を選ぶ形式で、知識が正確なら短時間で片づきます。

問1:正解 ②(配点2)

<問題要旨>
合成高分子化合物の構造と合成法に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
ポリ酢酸ビニルは酢酸ビニル CH₂=CH−OCOCH₃ の付加重合。もっている官能基はエステル結合です。

① ビニロンはポリビニルアルコールの
  アセタール化によって合成される
 → 正しい
  (−OH の一部をホルムアルデヒドで処理し、
   水に溶けないようにする)

② ポリ酢酸ビニルはカルボキシ基をもつ
 → 誤り
  もっているのはエステル結合 −COO−。
  カルボキシ基 −COOH ではない

③ ポリ塩化ビニルは付加重合によって合成される
 → 正しい

④ ポリエチレンテレフタラートはエステル結合をもつ
 → 正しい(縮合重合でできるポリエステル)
問2:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
高分子化合物の性質に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
アミロースはデンプンの主成分の一つです。らせん構造の中にヨウ素が入り込むことで呈色します。

① 結晶性が低いポリエチレンは、高いものより
  透明で軟らかい
 → 正しい(低密度ポリエチレン)

② タンパク質には水に溶けやすいものと
  溶けにくいものがある
 → 正しい

③ アミロース水溶液はヨウ素デンプン反応を
  示さない
 → 誤り
  アミロースはらせん構造をもち、
  その中にヨウ素が取り込まれて濃青色を示す

④ ヨウ素などのハロゲンを添加することで
  金属に近い電気伝導性を示す高分子がある
 → 正しい(導電性高分子。ポリアセチレンなど)

第6問 高分子化合物〔選択問題〕(合成樹脂とナイロン)

第6問と第7問はどちらか1問を選んで解答します(各5点)。当サイトでは両方を解説しているため、このページの配点の合計は105になりますが、実際の満点は100点です。

問1:正解 ①(配点2)

<問題要旨>
熱硬化性樹脂であるものを選びます。

<考え方>
網目状の立体構造をもつものが熱硬化性、鎖状のものが熱可塑性です。付加重合でできるものは基本的に鎖状=熱可塑性になります。

① 尿素樹脂
 → 熱硬化性(尿素とホルムアルデヒドの
  付加縮合で網目状になる)○

② ポリ塩化ビニル … 付加重合 → 熱可塑性
③ ポリエチレン  … 付加重合 → 熱可塑性
④ ポリスチレン  … 付加重合 → 熱可塑性
⑤ メタクリル樹脂 … 付加重合 → 熱可塑性

(熱硬化性樹脂の代表:フェノール樹脂、
  尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂)
問2:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
飽和脂肪族ジカルボン酸 HOOC−(CH₂)ₓ−COOH とヘキサメチレンジアミン H₂N−(CH₂)₆−NH₂ を縮合重合して得た高分子の、平均重合度が100、平均分子量が 2.82×10⁴ でした。x を求めます。

<考え方>
図1 の繰り返し単位(角かっこの中)の式量を x を使って表し、「式量 × 重合度 = 平均分子量」の式を立てるだけです。

繰り返し単位
 −CO−(CH₂)ₓ−CO−NH−(CH₂)₆−NH−

式量を数える
 CO が 2 個   … 28 × 2 = 56
 (CH₂)ₓ     … 14x
 NH が 2 個   … 15 × 2 = 30
 (CH₂)₆     … 14 × 6 = 84

 合計 = 170 + 14x

平均分子量の式
 (170 + 14x) × 100 = 2.82×10⁴
 170 + 14x = 282
 14x = 112
 x = 8

(x = 8 のジカルボン酸はセバシン酸。
  x = 4 ならアジピン酸で、この場合が
  ナイロン66 になる)

第7問 天然高分子化合物〔選択問題〕(タンパク質と糖類)

第6問との選択問題です。問2は「還元性を示す糖類」と「示さない糖類」がそれぞれ何を指すのかを見抜けば、あとは足し算だけで答えが出ます。

問1:正解 ⑤(配点2)

<問題要旨>
タンパク質に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
タンパク質の変性は、立体構造が壊れて元に戻らなくなる現象です。ゆで卵が生卵に戻らないことを思い浮かべます。

① α−ヘリックス構造では C=O … H−N の
  水素結合が形成されている
 → 正しい(二次構造)

② 二つのシステインはジスルフィド結合
  (S−S 結合)をつくることができる
 → 正しい(三次構造を保つ)

③ 加水分解でアミノ酸のほかに糖類やリン酸なども
  得られるタンパク質を複合タンパク質という
 → 正しい

④ 繊維状タンパク質では複数のポリペプチドの鎖が
  束になっている
 → 正しい(コラーゲン、ケラチンなど)

⑤ 加熱によって変性したタンパク質は、
  冷却すると元の構造に戻る
 → 誤り
  変性は不可逆で、冷やしても元には戻らない
問2:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
スクロース水溶液にインベルターゼを加えたところ、一部のスクロースが単糖に加水分解されました。この水溶液に還元性を示す糖類が 3.6 mol、示さない糖類が 4.0 mol 含まれていたとき、もとのスクロースの物質量を求めます。

<考え方>
まず「還元性を示す/示さない」がそれぞれ何を指すかを決めます。スクロースは還元性を示さない数少ない二糖で、加水分解で生じるグルコースとフルクトースはどちらも還元性を示します。

還元性を示す糖類
 → グルコース + フルクトース= 3.6 mol

 スクロース 1 mol が加水分解すると
  グルコース 1 mol + フルクトース 1 mol
  = 単糖 2 mol

 → 加水分解されたスクロース
  = 3.6 ÷ 2 = 1.8 mol

還元性を示さない糖類
 → 加水分解されずに残ったスクロース
  = 4.0 mol

もとのスクロース
 = 1.8 + 4.0 = 5.8 mol

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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