2025年度 大学入学共通テスト 追試験 化学基礎 解答・解説

2025年度 大学入学共通テスト 追試験「化学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2025年度 大学入学共通テスト(追試験)化学基礎は、全17項目・50点満点です。理科基礎は物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目が1冊にまとめられており、そのうち2科目を選んで合わせて60分で解答します。化学基礎1科目にかけられる時間の目安は30分です。構成は第1問(必答・30点)と第2問(必答・20点)の2題で、選択問題はありません。

化学基礎の解答番号が101から始まるのは、理科基礎の4科目が1冊(4科目合計100点満点)の問題冊子にまとめられているためで、化学基礎には101〜119が割り当てられています。マークする箇所は19ありますが、第2問 問4aは3つの解答番号で1つの数値を表すため、採点項目としては17になります。

第1問は小問集合です。純物質と混合物の区別、イオンの電子配置、水分子とメタンの性質、状態変化、気体の物質量の比較、二酸化炭素の発生と捕集装置、中和後の液性、金属のイオン化傾向、亜鉛と酸の反応量のグラフと、化学基礎のほぼ全分野から1問ずつ出ています。1問3点なので、知識だけで片づく問題を素早く処理して、問6と問10の量的計算に時間を残す配分が有利です。

第2問は、ホウレンソウのえぐみの成分であるシュウ酸を題材にした実験考察です。ゆでる操作を分離操作として言い換えるところから始まり、シュウ酸カルシウム一水和物の熱分解にともなう質量変化、シュウ酸標準溶液の調製とそこで使う器具、水酸化ナトリウムや塩酸が標準溶液に向かない理由、過マンガン酸カリウム滴定による濃度決定と器具操作の誤りと、滴定実験の流れがそのまま設問の並びになっています。計算そのものは重くありません。質量変化のグラフのどの段差がどの反応に対応するのかと、共洗いが必要な器具はどれかを正確に押さえることが得点を分けます。

第1問(必答) 小問集合(物質の分類・電子配置・分子の性質・状態変化・気体の物質量・気体の捕集・中和・イオン化傾向・反応量のグラフ)

化学基礎の全分野から10問、1問3点で合計30点です。知識で即答できる問題と、計算やグラフの読み取りを要する問題が混在しています。

問1:正解 ④(解答番号101/配点3)

<問題要旨>
純物質と混合物の組合せとして正しいものを、5つの組から1つ選ぶ設問です。左の欄の物質が純物質であり、かつ右の欄の物質が混合物であるときだけ、その組が正解になります。

<考え方>
純物質か混合物かは「1種類の物質だけでできているか」で決まります。単体も化合物も純物質であり、同じ物質の状態が変わっただけのもの(固体・気体)や同素体も、やはり純物質です。一方で「〜水」と呼ばれるものは水に何かを溶かした溶液、つまり混合物であることが多い点に注意します。両方の欄をそれぞれ判定し、片方でも外れた組を落としていきます。

① 誤 オゾン O₃ は酸素の同素体で、1種類の物質だけからなる純物質。混合物ではない
② 誤 ドライアイスは二酸化炭素 CO₂ の固体そのもので純物質。混合物ではない
③ 誤 炭酸水は二酸化炭素を水に溶かした溶液で混合物。純物質の欄には置けない(右の過酸化水素水が混合物である点は正しい)
④ 正 水 H₂O は化合物なので純物質。食塩水は塩化ナトリウムを水に溶かした溶液なので混合物
⑤ 誤 炭酸水素ナトリウム NaHCO₃ は化合物で純物質。混合物ではない
よって ④

「〜水」という名前でも、過酸化水素水・アンモニア水・炭酸水はすべて水溶液=混合物、純水や重水は純物質です。名前の形だけで決めず、何かが溶けているかどうかで判断してください。

問2:正解 ②(解答番号102/配点3)

<問題要旨>
5つの単原子イオンの中から、ネオン Ne とは異なる電子配置をもつものを1つ選ぶ設問です。

<考え方>
単原子イオンの電子の数は、もとの原子の原子番号から価数を差し引いて決まります。陽イオンは価数の分だけ電子が減り、陰イオンは価数の分だけ増えます。Ne の電子数は10なので、電子数が10になるものは Ne と同じ配置、そうならないものが求める答えです。

Ne:原子番号10、電子10個(K殻2、L殻8)
① Na⁺ 11 − 1 = 10 Ne と同じ配置
② Ca²⁺ 20 − 2 = 18 K殻2、L殻8、M殻8 で Ar と同じ配置。Ne とは異なる
③ Al³⁺ 13 − 3 = 10 Ne と同じ配置
④ O²⁻ 8 + 2 = 10 Ne と同じ配置
⑤ F⁻ 9 + 1 = 10 Ne と同じ配置
よって ②

Ca²⁺・K⁺・Cl⁻・S²⁻ はいずれも電子18個でアルゴン型です。「貴ガスと同じ電子配置」といってもネオン型とアルゴン型の2グループがあることを意識しておくと、この種の設問は一瞬で片づきます。

問3:正解 ②(解答番号103/配点3)

<問題要旨>
水分子に関する4つの記述から、誤りを含むものを1つ選ぶ設問です。非共有電子対の数、分子の形、オキソニウムイオンの生成、電荷の偏りが問われています。

<考え方>
水分子については電子式に戻れば全部決まります。酸素原子は最外殻に電子を6個もち、そのうち2個を2個の水素との共有結合に使うので、残りの4個が非共有電子対2組になります。共有電子対2組と非共有電子対2組が互いに反発するため、分子の形は直線ではなく折れ線形(屈曲形)です。

① 正 O の最外殻電子6個のうち2個が H との共有結合に使われ、残り4個が非共有電子対2組をつくる
② 誤 共有電子対2組と非共有電子対2組の反発により、結合角は約104.5° の折れ線形。直線形ではない
③ 正 H⁺ が水分子の酸素の非共有電子対を受け取って配位結合し、オキソニウムイオン H₃O⁺ が生じる
④ 正 O は H より電気陰性度が大きく共有電子対を引きつけるので、酸素側がわずかに負、水素側がわずかに正に帯電する
よって ②

同じ3原子分子でも二酸化炭素 CO₂ は直線形です。中心原子に非共有電子対があるかどうかが形を分ける、という見方で整理しておくとよいでしょう。

問4:正解 ①(解答番号104/配点3)

<問題要旨>
メタン CH₄ に関する4つの記述から、誤りを含むものを1つ選ぶ設問です。空気と比べた密度、用途、におい、完全燃焼で生じる気体が問われています。

<考え方>
気体の密度の大小は、同温・同圧であれば分子量(式量)の大小とそのまま一致します。空気の平均分子量は約29なので、これより分子量が小さい気体は空気より軽く、大きい気体は空気より重い、と機械的に判定できます。

CH₄ の分子量 = 12 + 1.0 × 4 = 16
空気の平均分子量 ≒ 29
① 誤 16 < 29 なので、同温・同圧ではメタンの密度は空気より小さい
② 正 メタンは天然ガス(都市ガス)の主成分
③ 正 メタン自体は無色・無臭。都市ガスのにおいは、漏れに気づけるように加えてある付臭剤によるもの
④ 正 CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O。生じた CO₂ が石灰水を白く濁らせる
よって ①

分子量が29より小さい H₂・He・CH₄・NH₃ などは空気より軽く上方置換、29より大きい CO₂・Cl₂・SO₂ などは空気より重く下方置換で捕集します。この比較は問7の判断にも直結します。

問5:正解 ④(解答番号105/配点3)

<問題要旨>
1.013×10⁵ Pa のもとで温度によって固体・液体・気体の3状態をとる分子からなる純物質 X について、4つの記述から誤りを含むものを1つ選ぶ設問です。熱運動、融解中の温度、状態を決める要因、蒸発が問われています。

<考え方>
状態変化は「分子をばらばらに散らばらせようとする熱運動」と「分子どうしをまとめようとする分子間力」のせめぎ合いで決まります。とくに蒸発は、液面にある分子のうち分子間力を振り切れるだけのエネルギーをもったものが飛び出す現象なので、沸点よりずっと低い温度でも起こっている、という点が判断の軸になります。

① 正 温度は熱運動の激しさの尺度であり、高温になるほど分子の熱運動は激しくなる
② 正 融解中は加えた熱が融解熱として使われるため、固体がすべて液体になるまで温度は融点のまま一定
③ 正 液体か気体かは、熱運動による散らばろうとする傾向と分子間力による集まろうとする傾向のどちらが勝るかで決まる
④ 誤 蒸発は液面から常に起こっており、沸点未満でも進む。沸点は液体の内部からも気化(沸騰)が始まる温度にすぎない
よって ④

「水たまりは100℃にならなくても乾く」「洗濯物は常温で乾く」という身のまわりの事実が、④が誤りであることの反例そのものです。

問6:正解 ⑤(解答番号106/配点3)

<問題要旨>
0℃・1.013×10⁵ Pa のもとで、ア 一酸化炭素 CO 8.4 g、イ アンモニア NH₃ 5.6 L、ウ ヘリウム He とネオン Ne を体積比 1:1 で混ぜた混合気体 4.8 g の3つについて、含まれる分子の数が多い順に並べる設問です。

<考え方>
分子の数の大小は物質量(mol)の大小と同じです。質量で与えられたものは分子量(式量)で割り、体積で与えられたものは 0℃・1.013×10⁵ Pa での 22.4 L/mol で割って、すべて mol にそろえてから比べます。混合気体については、体積比がそのまま物質量比になる(アボガドロの法則)ことを使います。

【ア】CO の分子量 = 12 + 16 = 28
  n = 8.4 ÷ 28 = 0.30 mol
【イ】0℃・1.013×10⁵ Pa では気体1 mol の体積が 22.4 L
  n = 5.6 ÷ 22.4 = 0.25 mol
【ウ】He と Ne の体積比 1:1 = 物質量比 1:1
  それぞれ x mol とすると 4.0x + 20x = 4.8
  24x = 4.8  x = 0.20
  n = 0.20 + 0.20 = 0.40 mol
【比較】0.40 > 0.30 > 0.25 すなわち ウ > ア > イ
【検算】ウの平均分子量 = (4.0 + 20) ÷ 2 = 12  4.8 ÷ 12 = 0.40 mol で一致
よって ⑤

ヘリウムとネオンは単原子分子なので、原子1個がそのまま分子1個として数えられます。また、混合気体で与えられた「体積比」は物質量比と同じで、質量比ではありません。ここを取り違えると平均分子量が出せなくなります。

問7:正解 ①(解答番号107/配点3)

<問題要旨>
大理石に希塩酸を滴下して発生させた気体を捕集する装置として、最も適当なものを4つの図から選ぶ設問です。どの図も、滴下ろうとを付けた三角フラスコの中に大理石が入っている点は共通で、①②は口を上に向けた集気びん、③④は口を下に向けた丸底フラスコに導管をつないでいます。

<考え方>
判断は2段階に分けると確実です。まず発生する気体が何かを決め、その密度(空気との比較)と水への溶けやすさから捕集法を選びます。次に発生装置そのものが成立しているか、すなわち滴下ろうとから伸びる管と気体を導く管がそれぞれ正しい長さになっているかを確かめます。

【発生する気体】CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂
  CO₂ の分子量 44 > 空気の平均分子量 約29 かつ 水に溶ける
  → 口を上に向けた容器の底まで導管を差し込む下方置換が適切
【捕集容器で2つに絞る】
 ③④ 口を下に向けた丸底フラスコの上部にためる上方置換。空気より重い CO₂ には不適
 ①② 口を上に向けた集気びんに導管を底まで差し込む下方置換。CO₂ に適する
【発生装置で決める】
 ① 滴下ろうとから伸びる管がフラスコの底の大理石まで届き、気体を導く管は栓のすぐ下で短く止まっている → 正しい
 ② 滴下ろうとから伸びる管が栓のすぐ下で止まり、気体を導く管が底まで伸びている → 導管の先が液に浸かってしまい気体を導けない
よって ①

気体を導く管は液面より上で短く、液を送り込む管は長く底まで、が発生装置の原則です。③と④も、この管の長さの違いは①と②の違いとまったく同じ形になっています。まず捕集法で2つに絞ってから管の長さを見る、という順序で見ると速く決まります。

問8:正解 ②(解答番号108/配点3)

<問題要旨>
濃度 0.1 mol/L、体積 10 mL の水溶液 A と B を混合して反応させたとき、反応後の水素イオン濃度 [H⁺] が最も高くなる組合せを選ぶ設問です。A は塩酸または酢酸水溶液、B は水酸化ナトリウム水溶液またはアンモニア水で、濃度と体積はいずれも正確であるとされています。

<考え方>
濃度も体積も等しく、いずれも1価の酸と1価の塩基なので、どの組合せでも酸と塩基は過不足なく中和し、残るのは塩の水溶液です。したがって [H⁺] の大小は、生じた塩が加水分解するかどうか、つまり液性で決まります。強酸と弱塩基からできた塩は酸性、弱酸と強塩基からできた塩は塩基性、強酸と強塩基からできた塩は中性です。

酸も塩基も 0.1 mol/L × 10/1000 L = 1.0×10⁻³ mol ずつで、いずれも過不足なく中和する
① HCl(強酸)+ NaOH(強塩基)→ NaCl 加水分解せず中性 [H⁺] は 1.0×10⁻⁷ mol/L 程度
② HCl(強酸)+ NH₃(弱塩基)→ NH₄Cl NH₄⁺ が加水分解して酸性 [H⁺] > 1.0×10⁻⁷ mol/L
③ CH₃COOH(弱酸)+ NaOH(強塩基)→ CH₃COONa CH₃COO⁻ が加水分解して塩基性 [H⁺] < 1.0×10⁻⁷ mol/L
④ CH₃COOH(弱酸)+ NH₃(弱塩基)→ CH₃COONH₄ 酸と塩基の強さがほぼつり合い、ほぼ中性
酸性になるのは ② だけ
よって ②

「弱酸は電離しきらないから酸性が残るはず」と考えて③や④を選ばないこと。過不足なく中和したあとに残っているのは塩であって、もとの酸ではありません。〈中和の量的関係 → 生じた塩 → 加水分解〉の順で考えます。

問9:正解 ③(解答番号109/配点3)

<問題要旨>
常温で水と反応しない3種類の金属ア・イ・ウについて、アとイを導線でつないで食塩水に浸した実験Ⅰと、ウの硫酸塩の水溶液にアの板を浸した実験Ⅱの結果から、イオン化傾向の大きい順を決める設問です。

<考え方>
使う原理は2つです。1つは電池で、イオン化傾向の大きい金属が溶けて負極になり、電子は導線を負極から正極へ流れます。電流の向きはその逆で、正極から負極へ流れます。もう1つは金属のイオンを含む水溶液に、よりイオン化傾向の大きい金属を入れると、入れた金属が溶けてもとの金属が単体として析出することです。

【実験Ⅰ】導線を流れる電流はアからイの向き
  電流は正極から負極へ流れるので、ア が正極、イ が負極
  負極になるのはイオン化傾向の大きい方 → イ > ア
【実験Ⅱ】ウの硫酸塩の水溶液にアを浸すとウが析出
  アが溶けてイオンになり、ウのイオンが還元されて析出した → ア > ウ
【統合】イ > ア かつ ア > ウ より イ > ア > ウ
【検算】仮に電流の向きを逆に読んでア > イとすると、実験Ⅱのア > ウと合わせてもイとウの上下が決まらず、選択肢が1つに定まらない。イ > ア と読んだときだけ3つの順序が一意に決まる
よって ③

電流の向きと電子の向きは逆です。「電子は負極から出る」「電流は正極から出る」を必ず対にして覚えておくと、この形の設問で符号を取り違えません。

問10:正解 ⑤(解答番号110/配点3)

<問題要旨>
あるモル濃度の希硫酸を亜鉛に加えたときの、加えた希硫酸の体積と発生した水素の体積の関係が図1で与えられています。次に、同じ質量の亜鉛に希硫酸と同じモル濃度の塩酸を加えたときの同様の関係を表すグラフを、6つから選ぶ設問です。実験は同じ温度・同じ圧力で行われています。

<考え方>
着目点は、グラフの傾き(酸 1 mL あたりに発生する水素の体積)と、頭打ちになる高さ(亜鉛を使い切ったときに発生する水素の体積)の2つです。傾きは反応式の係数比で決まり、頭打ちの高さは亜鉛の物質量だけで決まります。この2つを別々に押さえてから、両方を同時に満たす図を選びます。

【図1の読み取り】原点から 2 mL で 40 mL、4 mL で 80 mL と上がり、6 mL 以降は 100 mL で一定
  傾き = 20 mL(水素)/1 mL(希硫酸)
  頭打ちの高さ = 100 mL
  亜鉛を使い切るのに必要な希硫酸は 100 ÷ 20 = 5 mL
【反応式で傾きを比べる】
  Zn + H₂SO₄ → ZnSO₄ + H₂  酸 1 mol から H₂ 1 mol
  Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂   酸 2 mol から H₂ 1 mol
  モル濃度が同じなら、同じ体積に含まれる酸の物質量は同じ
  → 塩酸の傾きは希硫酸の半分 20 × 1/2 = 10 mL(水素)/1 mL(塩酸)
【頭打ちの高さ】亜鉛の質量が同じなので、発生する水素の最大量は変わらず 100 mL
【頭打ちに達する体積】100 ÷ 10 = 10 mL
  よって (0, 0) (2, 20) (4, 40) (6, 60) (8, 80) を通り、10 mL 以降が 100 mL で一定のグラフ
よって ⑤

頭打ちの高さを 50 mL に下げている②④⑥は、亜鉛の量が変わっていないのに生じる水素が半分になることになり、成り立ちません。逆に①③は頭打ちの高さは 100 mL で正しいものの、傾きが希硫酸の2倍または同じで、酸の価数の違いが反映されていません。傾きと高さの両方を確かめるのが安全です。

第2問(必答) シュウ酸を題材にした実験考察(分離操作・熱分解の質量変化・標準溶液の調製・酸化還元滴定)

ホウレンソウのえぐみの成分であるシュウ酸を入り口に、分離操作の名称、シュウ酸カルシウム一水和物の熱分解、標準溶液の調製、そして過マンガン酸カリウム滴定までをひと続きの流れで扱う大問です。配点は20点。

問1a:正解 ③(解答番号111/配点2)

<問題要旨>
ホウレンソウをゆでて、含まれるシュウ酸を湯の中に取り出す操作を、分離操作の名称で言い換える設問です。

<考え方>
分離操作は「何の違いを利用しているか」で区別します。目的の成分だけをよく溶かす溶媒に溶かし出して取り出す操作が抽出です。蒸留は沸点の違い、昇華法は昇華しやすさ、再結晶は溶解度の温度変化を利用するもので、いずれもここで行っている操作とは違います。

① 蒸留   液体を沸騰させ、生じた蒸気を冷やして液体に戻し、沸点の違いで分ける操作。ここでは行っていない
② 昇華法  ヨウ素やナフタレンのように固体から直接気体になる性質を利用する操作。シュウ酸を湯に溶かす操作とは別
③ 抽出   固体(ホウレンソウ)から、目的の成分(シュウ酸)だけを溶媒(湯)に溶かし出して取り出す操作にあたる
④ 再結晶  溶解度の温度差を利用して、いったん溶かした固体を純度の高い結晶として取り出す操作。ここでは結晶を得ていない
よって ③

コーヒーや紅茶を湯で入れるのも、豆や茶葉から成分を溶かし出す抽出です。「固体から目的の成分だけを溶かし出す」形を見たら抽出、と結びつけておくと迷いません。

問1b:正解 ④(解答番号112/配点3)

<問題要旨>
シュウ酸カルシウム一水和物 CaC₂O₄·H₂O(式量146)を窒素中で加熱すると、200℃付近で水 H₂O を失って CaC₂O₄(式量128)になり、さらに 500℃付近で一酸化炭素 CO(分子量28)を放出して CaCO₃(式量100)に変わります。5.84 g を600℃まで加熱して 4.00 g の CaCO₃ が得られたときに発生した CO の物質量を求める設問で、質量が 5.84 g → 5.12 g → 4.00 g と2段階で下がる図が与えられています。

<考え方>
反応式の係数を細かく追わなくても、質量の減少分がそのまま放出された気体の質量になる、という関係だけで決まります。求めたいのは2段目の変化(CaC₂O₄ → CaCO₃ + CO)なので、図のうち2つ目の段差、すなわち 5.12 g から 4.00 g への減少分だけを取り出し、CO の分子量で割ります。物質量で追いかけても同じ値になるので、検算に使えます。

【図の段差を読む】5.84 g(CaC₂O₄·H₂O)→ 5.12 g(CaC₂O₄)→ 4.00 g(CaCO₃)
【2段目の反応】CaC₂O₄ → CaCO₃ + CO
  減少した質量 = 5.12 − 4.00 = 1.12 g これが放出された CO の質量
  n(CO) = 1.12 ÷ 28 = 0.0400 = 4.00×10⁻² mol
【検算1】物質量で追う
  n(CaC₂O₄·H₂O) = 5.84 ÷ 146 = 0.0400 mol
  カルシウムは失われないので n(CaCO₃) = 0.0400 mol、その質量は 0.0400 × 100 = 4.00 g で図と一致
  CaC₂O₄ 1 mol から CO 1 mol が出るので n(CO) = 0.0400 mol
【検算2】1段目の減少 5.84 − 5.12 = 0.72 g は H₂O 0.0400 mol 分(0.0400 × 18 = 0.72 g)で一致
よって ④

1段目まで含めた全体の減少 5.84 − 4.00 = 1.84 g を28で割ると 6.57×10⁻² mol となり、選択肢⑥になります。問われているのは CO の物質量であって全体の減少量ではないので、図のどの段差を見るのかを必ず確かめてください。

問2a:正解 ①(解答番号113/配点3)

<問題要旨>
シュウ酸二水和物をはかり取ってビーカーで溶かし、その液とビーカー・ガラス棒のすすぎ液を移したうえで「正確に 100 mL になるまで水を加えてよく混ぜた」という手順で使った実験器具 A を、4つの図から選ぶ設問です。図には、共栓と首の標線をもつ洋なし形の容器、目盛りの付いた背の高い円筒、活栓の付いた細長い管、円錐形のフラスコが並んでいます。

<考え方>
手順の「正確に 100 mL になるまで水を加える」という一文が決め手です。一定体積の溶液を正確に調製するための器具はメスフラスコで、首に刻まれた1本の標線まで液を満たすことで体積が決まります。ほかの3つは体積を正確に決める用途には使えません。

① メスフラスコ   首に標線が1本あり、共栓をして振り混ぜられる。一定体積の溶液を正確に調製する器具 → 実験器具 A はこれ
② メスシリンダー  目盛りは付いているが精度が低く、標準溶液の調製には用いない
③ ビュレット    活栓を開いて滴下した体積を読み取る器具。滴定で使うが調製には使わない
④ コニカルビーカー 滴定で溶液を受ける器具。体積を正確に決める目盛りをもたない
よって ①

メスフラスコは内部が水でぬれていても、最後に標線まで水を加えるので溶質の物質量も全体積も変わらず、共洗いは不要です。共洗いが必要なのはホールピペットとビュレットだけ、というこの区別が問4bにそのままつながります。

問2b:正解 ③(解答番号114/配点3)

<問題要旨>
シュウ酸二水和物 (COOH)₂·2H₂O(式量126)を正確に 0.630 g はかり取り、水に溶かして正確に 100 mL にしたときの、シュウ酸 (COOH)₂(分子量90)としてのモル濃度を求める設問です。

<考え方>
水和物を水に溶かすと水和水は溶媒の水と一体になるので、溶質として数えるのは無水物 (COOH)₂ の分だけです。ただし水和物 1 mol から無水物 1 mol ができるので、物質量そのものは変わりません。したがって、はかり取った質量を水和物の式量126で割って物質量を出し、それを溶液の体積 0.100 L で割ります。

【物質量】はかり取ったのは (COOH)₂·2H₂O(式量126)
  n = 0.630 ÷ 126 = 5.00×10⁻³ mol
  (COOH)₂·2H₂O 1 mol から (COOH)₂ 1 mol が生じるので n((COOH)₂) = 5.00×10⁻³ mol
【モル濃度】溶液の体積 = 100 mL = 0.100 L
  c = 5.00×10⁻³ ÷ 0.100 = 5.00×10⁻² mol/L
【検算】無水物の分子量90で割ってしまうと 0.630 ÷ 90 = 7.00×10⁻³ mol、濃度は 7.00×10⁻² mol/L となり選択肢④になる。はかり取ったのは水和物なので、割るのは式量126の方
よって ③

水和物を扱うときは「はかり取った物質そのものの式量で割る」が原則です。この設問で分子量90があえて書かれているのは、水和物と無水物を取り違えさせるための材料でもあります。

問3:正解 ①(解答番号115/配点3)

<問題要旨>
水酸化ナトリウム水溶液や塩酸を標準溶液として調製することが難しい理由を述べた文章の、空欄ア〜ウに入る語の組合せを8つから選ぶ設問です。アとイは固体の水酸化ナトリウムが空気中で受ける2種類の変化、ウは塩化水素の性質にあたります。

<考え方>
標準溶液に使える物質の条件は、純度が高く安定で、正確に質量をはかれることです。この条件を崩す具体的な性質を3つ思い出します。水酸化ナトリウムの潮解性、水酸化ナトリウムと二酸化炭素の反応、そして塩化水素の揮発性です。

【ア】固体の NaOH は空気中の水(水蒸気)を吸収して溶ける(潮解)
   → 置いておくだけで質量が増えてしまい、正確にはかれない  ア = 水(水蒸気)
【イ】2NaOH + CO₂ → Na₂CO₃ + H₂O
   空気中の二酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムに変わってしまう  イ = 二酸化炭素
【ウ】塩化水素 HCl は揮発性の気体で、その水溶液である塩酸から蒸発して逃げていく
   → 放置すると濃度が下がる  ウ = 蒸発(揮発)
   電離は水溶液中で常に起きている現象で、溶質が失われるわけではないので濃度が変わる理由にはならない
ア = 水(水蒸気)、イ = 二酸化炭素、ウ = 蒸発(揮発)
よって ①

だからこそ、水酸化ナトリウム水溶液や塩酸は濃度を「調製する」のではなく、シュウ酸などの標準溶液で滴定して「測って決める」手順を踏みます。問4で過マンガン酸カリウム水溶液の濃度をわざわざ求めているのも、同じ事情によるものです。

問4a:正解 ②・⓪・③(解答番号116・117・118/配点3)

<問題要旨>
5.0×10⁻³ mol/L のシュウ酸水溶液 10 mL をホールピペットでコニカルビーカーにはかり取り、純水 40 mL を加えて5倍に希釈し、硫酸酸性にして 60〜80℃ に温めたうえで、濃度不明の過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、終点までの滴下量が 10.00 mL でした。この過マンガン酸カリウム水溶液のモル濃度を求める設問です。解答は □.□×10⁻□ mol/L の形式で、解答番号116・117・118の3つを合わせて有効数字2桁の1つの数値を表します。

<考え方>
酸化還元滴定の量的関係は、与えられた反応式 2MnO₄⁻ + 5(COOH)₂ + 6H⁺ → 2Mn²⁺ + 10CO₂ + 8H₂O の係数比で決まります。まずシュウ酸の物質量を求め、係数比 MnO₄⁻ : (COOH)₂ = 2 : 5 で過マンガン酸イオンの物質量に換算し、滴下した体積で割ります。操作Ⅱの5倍希釈は水を加えただけなので、シュウ酸の物質量は変わらない点に注意します。

【シュウ酸の物質量】5.0×10⁻³ mol/L × 10/1000 L = 5.0×10⁻⁵ mol
  (純水 40 mL を加える5倍希釈は体積を変えるだけで、物質量は 5.0×10⁻⁵ mol のまま)
【係数比で換算】MnO₄⁻ : (COOH)₂ = 2 : 5
  n(MnO₄⁻) = 5.0×10⁻⁵ × 2/5 = 2.0×10⁻⁵ mol
【モル濃度】滴下量 10.00 mL = 0.01000 L
  c = 2.0×10⁻⁵ ÷ 0.01000 = 2.0×10⁻³ mol/L
【形式にあてはめる】2.0×10⁻³ なので 116 = 2、117 = 0、118 = 3
【検算】やりとりされる電子の数で確かめる
  MnO₄⁻ は Mn の酸化数が +7 → +2 なので、1個あたり電子5個を受け取る
  (COOH)₂ は C の酸化数が +3 → +4 の変化が2個分なので、1個あたり電子2個を放出する
  5 × n(MnO₄⁻) = 2 × n((COOH)₂) より n(MnO₄⁻) = 2/5 × 5.0×10⁻⁵ = 2.0×10⁻⁵ mol で一致
よって 116 = ②、117 = ⓪、118 = ③

5倍に希釈しても答えが変わらないのは、滴定の量的関係が濃度そのものではなく物質量で決まるからです。希釈と加温は、終点の赤紫色の変化を見やすくし反応を速く進めるための操作で、計算には影響しません。

問4b:正解 ⑥(解答番号119/配点3)

<問題要旨>
aと同じ過マンガン酸カリウム水溶液を使って同様の操作を行ったところ、終点までの滴下量が 10.00 mL より少なくなりました。その原因となった器具の扱いの誤りを、共洗いと水ぬれに関する6つの記述から1つ選ぶ設問です。

<考え方>
滴定液は同じものなので、その濃度は変わっていません。したがって滴下量が少なくなるのは、コニカルビーカーの中にあるシュウ酸の物質量が本来より少なかったときだけです。この観点で、各操作がシュウ酸の物質量を増やすのか減らすのか、あるいは滴定液を薄めるのかを1つずつ確かめます。共洗いが必要なのは、内部に残った水で液が薄まると困る器具、すなわちホールピペットとビュレットです。

① 影響なし ビュレットを KMnO₄ 水溶液で共洗いするのは正しい操作。滴下量は変わらない
② 増える  ビュレットの内部が水でぬれたままだと KMnO₄ 水溶液が薄まり、終点までにより多くの体積が必要になる
③ 増える  コニカルビーカーを (COOH)₂ 水溶液で共洗いすると、はかり取った分より多くのシュウ酸が入り、滴下量は増える
④ 影響なし コニカルビーカーの内部が水でぬれていても、中のシュウ酸の物質量は変わらない(操作Ⅱでどのみち純水を加える)
⑤ 影響なし ホールピペットを (COOH)₂ 水溶液で共洗いするのは正しい操作。滴下量は変わらない
⑥ 減る   ホールピペットの内部が水でぬれたままだと、吸い上げた (COOH)₂ 水溶液が薄まり、コニカルビーカーに入るシュウ酸の物質量が減る。必要な KMnO₄ 水溶液も減る
滴下量が少なくなるのは ⑥ だけ
よって ⑥

共洗いするのは「体積をはかり取る器具」=ホールピペットとビュレット、水でぬれたままでよいのは「液を受ける器具」=コニカルビーカーと、最後に標線まで水を加えるメスフラスコです。この対応を覚えておけば、滴定の器具に関する設問はほぼ一本化して処理できます。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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