2026年度 大学入学共通テスト 追試験 生物 解答・解説

2026年度 大学入学共通テスト 追試験「生物」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次

解答

解説

2026年度 大学入学共通テスト 追試験「生物」は、試験時間60分・満点100点、第1問から第5問までがすべて必答で各20点の均等配点です。解答番号は1から25まで、第3問問1だけが二つ選ぶ形式(各3点)になっています。

知識問題は各大問の前半にまとまっており、後半は「どの実験区とどの実験区を比べると何が言えるか」を考えさせる設問が中心です。以下の解説では、比べるべき条件の組合せと、そこから何が決まるのかを順に示しています。

第1問 生物の分類と進化(学名・分子時計・地理的隔離・送粉昆虫)

学名と分類階級の知識から入り、塩基配列の違いを表にまとめたデータで系統樹を判定して分岐年代を計算し、さらに高山植物の地理的隔離の順序、雪解け日と送粉昆虫の出現日と結実率の関係までを扱います。配点20点、問1〜問5の5問です。

問1:正解 ④(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
生物の分類階級(階層)と、二名法による学名についての記述を判定する設問です。

<選択肢>

①【誤】

分類階級は 種<属<科<目<綱<門<界 の順に大きくなります。近縁な目をまとめたものが綱であって、記述は上下が逆です。

②【誤】

ドメインは界よりさらに上位に置かれる最上位の階級で、細菌・アーキア(古細菌)・真核生物の三つに分けます。

③【誤】

学名は「属名+種小名」の二名法です。Cardamine と Phyllodoce は属名が異なるので、同じ属ではありません。種小名 nipponica が共通でも同じ属とは限りません。

④【正】

どちらも属名が Cardamine なので同じ属に属します。同じ属であれば、その上位階級である科も当然共通です。

正解【④】

学名の前半が属名だと押さえておけば、属名が一致するかどうかだけで判定できます。

問2:正解 ⑦(解答番号2/配点4)

<問題要旨>
分子進化の速度、系統関係と塩基配列の違いの大きさ、ハーディ・ワインベルグの法則の三つを、ア〜ウの空欄に当てはめる組合せ問題です。

<考え方>
アは「変化が起こると生存に不利かどうか」、イは「分岐してからの時間が長いほど違いが積み重なる」、ウは「進化が起こらない=遺伝子頻度が変わらない」で決まります。

【ア】生存に必要な DNA 領域
 変化が起こると生存に不利になる
 → その変異を持つ個体は自然選択で除かれる
 → 集団に残りにくい
 → 塩基配列が変化する速度は「遅い」

【イ】系統関係が遠い生物種間
 共通祖先から分かれてからの時間が長い
 突然変異は一定の速度で蓄積する
 → 塩基配列の違いは「大きい」

【ウ】ハーディ・ワインベルグの法則
 成立する集団では、世代を経ても遺伝子頻度が変わらない
 進化=集団の遺伝的構成が変化すること
 → 法則が「成立する」集団では進化が起こらない

 ア 遅い / イ 大きい / ウ 成立する

よって ⑦
問3:正解 ⑤(解答番号3/配点4)

<問題要旨>
表1は植物A〜Eの遺伝子Gについて、異なる塩基の数を総当たりで示したものです。この表から系統樹ⅠとⅡのどちらが導かれるかを決め、さらに分子時計の考え方で植物Cが分岐した年代を求めます。

<考え方>
異なる塩基の数が小さい組合せほど分岐が新しいので、最小の値を持つ組合せから順に束ねていきます。年代は「塩基の違いの数は経過時間に比例する」として比例計算します。

【1】最も近縁な組合せを探す
  A-B 107   A-C 131   A-D 127   A-E 139
            B-C 126   B-D 135   B-E 161
                      C-D  76   C-E 139
                                D-E 159

 最小は C-D = 76 → 植物C と 植物D が最も近縁
 次に小さいのは A-B = 107 → 植物A と 植物B が最も近縁
 植物E は他のどれとも 139〜161 と大きい → 最も外側で分岐

【2】系統樹の判定
 Ⅰ は (((A,B),C),D),E の形で、C と D が姉妹群になっていない
 Ⅱ は ((A,B),(C,D)),E の形で、C と D が姉妹群になっている
 → 表1に合うのは Ⅱ

【3】植物C が分岐した年代
 植物A の最も近縁な植物は B、そのときの違いは 107 = 0.80億年前
 植物C の最も近縁な植物は D、そのときの違いは 76

 求める年代 = 0.80 × 76 ÷ 107
        = 0.80 × 0.7102…
        = 0.5682… ≒ 0.57億年前

【検算】
 0.57 ÷ 0.80 = 0.7125 → 107 × 0.7125 = 76.2 ≒ 76 で合う

 Ⅱ、0.57億年前

よって ⑤
問4:正解 ③(解答番号4/配点5)

<問題要旨>
図2は北から地点J・境界R・地点K・境界S・地点L・境界T・地点M の順に並ぶことを示し、図3の系統樹は高山植物Xの祖先がまず(J・K)と(L・M)に分かれ、その後それぞれが二つに分かれたことを示しています。地理的隔離が成立した順序と、遺伝子プールの共有関係を判定します。

<考え方>
系統樹の分岐の順序が、そのまま境界が成立した順序に対応します。どの境界がどの分岐に対応するかを図2と図3で突き合わせます。

【図3の分岐の順序】
 1回目 高山植物X の祖先 → (J,K) と (L,M) に分かれる
 2回目 (J,K) → J と K に分かれる/(L,M) → L と M に分かれる

【図2との対応】
 (J,K) と (L,M) を分ける境界 …… 境界S(K と L の間)
 J と K を分ける境界 …………… 境界R
 L と M を分ける境界 …………… 境界T

 → 最初に成立したのは 境界S
 → その後に 境界R と 境界T(この二つの前後関係は決められない)

【選択肢の照合】
 ① R → S → T の順   最初が S でないので誤り
 ② T → S → R の順   最初が S でないので誤り
 ④ J と K は、境界R が成立するまで一つの遺伝子プールを
   構成していた(図3で J と K は姉妹群)ので誤り
 ③ K と L は最初の分岐(境界S)で分かれ、以降は境界を
   またいだ種子や花粉の往来がない
   → 一つの遺伝子プールを構成したことはない

よって ③
問5:正解 ⑤(解答番号5/配点4)

<問題要旨>
図4は横軸に雪解け日、縦軸に高山植物Yの開花日(○)と昆虫Zが初めて出現した日(▲)をとった散布図で、どちらも雪解けが遅い年ほど遅くなり、両者の間隔は雪解けが早い年ほど大きくなっています(左端で約6日、右端で約1日)。図5は開花日から昆虫Zの出現までの日数(1日・2日・4日・7日)と結実率(約0.57・0.53・0.49・0.25)の棒グラフです。適当でないものを選びます。

<選択肢>

①【適当】

図5で、日数1日のとき結実率約0.57、7日のとき約0.25と、日数が短いほど結実率が高くなっています。

②【適当】

図4の▲(昆虫Zの出現日)は雪解け日が早いほど左下に位置し、出現日も早くなっています。

③【適当】

図4で○と▲の縦方向の間隔を見ると、雪解け日が3月末〜4月上旬の年では約6日あるのに対し、4月下旬の年では約1日しかありません。雪解けが早い年ほど、開花から昆虫Zの出現までの日数は長くなります。

④【適当】

図4の○(開花日)も雪解け日が早いほど早く、雪解け日とほぼ平行に動いています。

⑤【適当でない】

③のとおり雪解け日が早い年ほど開花から昆虫Zの出現までの日数は長く、①のとおり日数が長いほど結実率は低くなります。したがって雪解け日が早い年ほど結実率は低くなるはずで、記述は逆です。

正解【⑤】

図4と図5を「日数」でつなぐと、雪解けの早まりが結実率の低下を招くという流れが見えます。

第2問 植物による窒素の利用と窒素循環(硝化・無機窒素の吸収・同化の場所)

窒素を含む化合物と硝化菌の知識を確かめたうえで、キャベツとイネの無機窒素吸収曲線の比較、仮説を検証する実験の設計、¹⁵N で追ったアミノ酸への同化の場所を考えます。配点20点、問1〜問4(小問は5つ)です。

問1:正解 ④(解答番号6/配点4)

<問題要旨>
チミン(a)・アルギニン(b)・セルロース(c)のうち、窒素を含む化合物を過不足なく選ぶ設問です。

<考え方>
それぞれが何の仲間の物質かを決めれば、構成元素が決まります。核酸塩基とアミノ酸は窒素を含み、糖は炭素・水素・酸素だけからなります。

【a】チミン
 DNA を構成するピリミジン塩基
 塩基はいずれも環の中に窒素原子を含む
 → 窒素を含む

【b】アルギニン
 タンパク質を構成するアミノ酸の一つ
 アミノ酸はすべてアミノ基(-NH2)を持つ
 (アルギニンは側鎖にもさらに窒素を含む)
 → 窒素を含む

【c】セルロース
 グルコースが直鎖状に多数つながった多糖
 構成元素は C・H・O のみ
 → 窒素を含まない

 a と b

よって ④
問2:正解 ②(解答番号7/配点3)

<問題要旨>
土壌中の NH₄⁺ が NO₃⁻ に変えられる硝化の二段階を担う細菌と、その過程に必要な物質を答える組合せ問題です。

<考え方>
硝化は二段階の酸化反応です。どちらも「酸化」である点から、必要な物質が決まります。

【ア】第一段階
 NH₄⁺ → NO₂⁻(亜硝酸イオン)
 これを行うのは 亜硝酸菌

【イ】第二段階
 NO₂⁻ → NO₃⁻(硝酸イオン)
 これを行うのは 硝酸菌

【ウ】必要な物質
 どちらの段階も酸化反応なので O₂ が必要
 N₂ は窒素固定に使われる物質で、硝化には使われない
 水に覆われて O₂ 濃度が低い土壌では硝化が進みにくい
 (問3の水田の話につながる)

 ア 亜硝酸菌 / イ 硝酸菌 / ウ O₂

よって ②
問3:(1)正解 ①(解答番号8/配点4)

<問題要旨>
図1は、NH₄⁺ と NO₃⁻ を同濃度で含む培地にキャベツまたはイネを移植した後、培地に残されている無機窒素の濃度(移植直前を100 % とした相対値)の変化です。キャベツは NO₃⁻ が大きく減り(96時間で約27 %)、NH₄⁺ はゆるやかに減ります(約58 %)。イネは逆に NH₄⁺ が大きく減り(約47 %)、NO₃⁻ はほとんど減りません(約84 %)。

<考え方>
縦軸は残っている量なので、「100 % からどれだけ下がったか」が吸収量です。キャベツとイネは1ポット当たり2個体ずつで条件が同じなので、グラフの減少幅をそのまま比べられます。

<選択肢>

①【正】

移植後40時間の時点で、イネの NO₃⁻ はほぼ100 % のまま(ほとんど吸収していない)なのに対し、キャベツの NO₃⁻ は60 % 台まで下がっています。キャベツとは異なりイネが NO₃⁻ をほとんど吸収しない、という記述に合います。

②【誤】

移植後40時間の NH₄⁺ は、キャベツが約85 %、イネが約82 % で、どちらも同じくらい吸収しています。キャベツだけが「ほとんど吸収しない」わけではありません。

③【誤】

移植後80時間の NO₃⁻ の残量は、キャベツが約30 % に対しイネは約85 % です。吸収量はキャベツのほうが圧倒的に多く、ほぼ同量ではありません。

④【誤】

移植後100時間までの減少分を足すと、キャベツは (100−58)+(100−27)=115、イネは (100−47)+(100−84)=69 となり、無機窒素の総吸収量はキャベツのほうが多くなります。

正解【①】

「残っている濃度」のグラフを「吸収した量」に置き換えてから選択肢を読むのが確実です。

問3:(2)正解 ④(解答番号9/配点5)

<問題要旨>
仮説(ⅰ)「水田のような水に覆われた土壌中では硝化が抑えられる」と、仮説(ⅱ)「このような土壌環境に適応したイネは NO₃⁻ より NH₄⁺ を効率的に吸収して利用する」を検証する実験として、適当でないものを選びます。

<考え方>
それぞれの実験が仮説のどこ(硝化なのか、吸収なのか、利用なのか)を測っているか、そして得られた結果が仮説を支持するか否定するかを一つに決められるかを確かめます。

<選択肢>

①【適当】

水を張るか張らないかだけを変え、植物を栽培せずに土壌の NH₄⁺ と NO₃⁻ の変動を追う実験です。NH₄⁺ が減って NO₃⁻ が増えれば硝化が進んだことになり、水を張ったほうでその変化が小さければ仮説(ⅰ)が支持されます。植物を入れないのは、植物の吸収による減少と区別するためで、設計としても適切です。

②【適当】

NH₄⁺ のみの培地と NO₃⁻ のみの培地で、それぞれ根からの吸収速度を測って比べれば、イネがどちらをより速く吸収するかがわかります。仮説(ⅱ)の「効率的に吸収」を直接検証できます。

③【適当】

同じ濃度の窒素源で育てて成長量を比べる実験です。NH₄⁺ の培地でよく育てば、イネが NH₄⁺ をよりよく「利用」していることになり、仮説(ⅱ)の後半を検証できます。

④【適当でない】

アミノ酸は、吸収した窒素が同化された後、さらにタンパク質などに使われていく途中段階の物質です。個体に含まれるアミノ酸の量が多いことは、同化が盛んなためとも、使われずにたまっているためとも読めてしまい、結果がどちらを意味するのかを一つに決められません。③の成長量のように利用の結果そのものを測る指標と違い、仮説(ⅱ)の検証には使えません。

正解【④】

問4:正解 ④(解答番号10/配点4)

<問題要旨>
図2は、¹⁵NH₄⁺ または ¹⁵NO₃⁻ のみを含む培地に移して8時間後、地上部の基部から採取した道管液中の ¹⁵N の量です。NH₄⁺ を与えた区では NH₄⁺ として約5 µg/mL、アミノ酸として約205 µg/mL。NO₃⁻ を与えた区では NO₃⁻ として約100 µg/mL、アミノ酸として約60 µg/mL でした。

<考え方>
道管液は根から地上部へ向かう液なので、そこに無機窒素のまま入っていれば「まだ同化されていない」、アミノ酸として入っていれば「根ですでに同化された」と読めます。

<選択肢>

①【誤】

NO₃⁻ 区では、道管液中の ¹⁵N のうち NO₃⁻ のままが約100、アミノ酸が約60 で、すでに4割近くが根で同化されています。「ほぼ全て地上部に送られ、地上部で同化される」とは言えません。

②【誤】

NH₄⁺ 区で NH₄⁺ のまま道管液に含まれる ¹⁵N は約5 µg/mL しかなく、NH₄⁺ のまま地上部へ送られる量はごくわずかです。

③【誤】

NO₃⁻ 区では NO₃⁻ のままの ¹⁵N が最も多く、根でほぼ全てが同化されているわけではありません。

④【正】

NH₄⁺ 区では、道管液中の ¹⁵N の約97 %(205÷(205+5))がアミノ酸の形です。吸収された NH₄⁺ はほぼ全てが根でアミノ酸に同化されてから地上部へ送られている、と読み取れます。

正解【④】

NH₄⁺ は根で、NO₃⁻ は根と地上部の両方で同化される、という対比が実験2の要点です。

第3問 神経の発生(脊髄の構造・誘導物質・濃度勾配によるニューロンの分化・静止電位)

脊髄の白質と灰白質、背根と腹根の知識に加え、脊索と底板が分泌する物質を示す培養実験、タンパク質Xの濃度勾配とニューロンB・Cの分化、静止電位における K⁺ の移動を扱います。配点20点、問1〜問4です。

問1:正解 ①・④(解答番号11・12/配点3,3)(順序は問わない)

<問題要旨>
成体の脊髄の構造と、そこを通る神経についての記述から、適当なものを二つ選ぶ設問です。

<選択肢>

①【正】

脊髄は外側が白質、内側が灰白質です。大脳は外側の皮質が灰白質、内側の髄質が白質なので、内外の位置関係が逆になっています。

②【誤】

ニューロンの細胞体が集まるのが灰白質、神経繊維(軸索)が集まるのが白質です。記述は逆になっています。

③【誤】

膝蓋腱反射や屈筋反射のように、脊髄が中枢となって大脳を経ずに効果器へ伝わる経路(脊髄反射)があります。「常に」とは言えません。

④【正】

感覚神経は背根を通って脊髄に入り、運動神経は腹根から出ます(ベル・マジャンディの法則)。

⑤【誤】

灰白質でシナプスをつくるのは、感覚ニューロンと介在ニューロン、あるいは感覚ニューロンと運動ニューロンです。感覚ニューロンどうしではありません。

⑥【誤】

腹根を通るのは運動神経の神経繊維で、これは末梢神経系に属します。中枢神経系の神経繊維ではありません。

正解【①・④】

二つとも正解して各3点、計6点です。

問2:正解 ④(解答番号13/配点5)

<問題要旨>
実験1は、単離した神経板の断片を(あ)培養液のみ、(い)脊索を培養した後に脊索を取り除いた培養液、(う)底板を培養した後に底板を取り除いた培養液、の三条件で培養したものです。(あ)ではニューロンAに分化せず、(い)(う)ではどちらも分化しました。ここから脊索と底板の働きを判定します。

<考え方>
三条件のうち、どの二つを比べると何が言えるかを分けて考えます。とくに「培養後に脊索・底板を取り除いている」という操作が何を示すかが決め手です。

【(あ)と(い)の比較】
 違うのは「脊索が一度浸かっていた培養液かどうか」だけ
 培養の時点で脊索そのものは取り除かれている
 → 細胞がいなくても分化が起こる
 → 脊索が培養液中に分泌した物質が分化を起こす

【(あ)と(う)の比較】
 同じ論法で、底板が分泌した物質でも分化が起こる

【ここから言えること】
 ・脊索や底板の細胞が神経板と共存する必要はない
   → ①(底板細胞との共存が必要)・②(脊索との共存が必要)は不適
 ・脊索だけの液でも、底板だけの液でも分化した
   → 底板の物質が脊索を介して働く必要はない
   → ③(底板から分泌される物質の脊索を介した作用)は不適
 ・残るのは「脊索または底板から分泌される物質の作用が必要」

よって ④
問3:正解 ⑤(解答番号14/配点5)

<問題要旨>
図3は、底板で合成されたタンパク質Xが神経管内を背側に向かって拡散し、底板の周辺で240 ng/mL、最も背側で0 ng/mL の濃度勾配をつくることを示します。図4は、いろいろな濃度のタンパク質X存在下で神経板の断片を培養したときの、ニューロンBとニューロンCの細胞数です。Cは20 ng/mL で最大(約190個)、Bは80 ng/mL で最大(約365個)になります。

<考え方>
培養実験の横軸である「タンパク質Xの濃度」を、図3の神経管の中の「腹側から背側までの位置」に置き換えて読むのがこの設問の要点です。高濃度=底板に近い腹側、低濃度=背側です。

<選択肢>

①【誤】

2.5〜20 ng/mL ではニューロンCが、40 ng/mL 以上ではニューロンBが分化しています。2.5 ng/mL 以上で、BとCのどちらも含まれない濃度はありません。

②【誤】

それぞれの最適濃度で比べると、ニューロンBは80 ng/mL で約365個、ニューロンCは20 ng/mL で約190個です。Bのほうが多く分化します。

③【誤】

40 ng/mL ではニューロンBが約55個、ニューロンCが約30個で、両方が同時に分化しています。

④【誤】

神経管内では場所によってタンパク質Xの濃度が連続的に変わるので、それぞれの総細胞数が等しくなる根拠は図4から得られません。

⑤【正】

ニューロンBは40〜240 ng/mL の高濃度で多く分化し、ニューロンCは2.5〜20 ng/mL の低濃度で多く分化します。図3で高濃度なのは底板に近い腹側なので、Bの細胞集団はCの細胞集団より腹側に位置することになります。

正解【⑤】

問4:正解 ③(解答番号15/配点4)

<問題要旨>
静止電位の状態のニューロンで、カリウムチャネルとナトリウムポンプによる K⁺ の流れの向きを答える組合せ問題です。

<考え方>
チャネルは濃度勾配に従う受動輸送、ポンプは ATP を使って濃度勾配に逆らう能動輸送、という区別で決まります。

【K⁺ の分布】
 細胞内の K⁺ 濃度 > 細胞外の K⁺ 濃度

【カリウムチャネル】
 受動輸送(濃度勾配に従う)
 K⁺ は多いほうから少ないほうへ
 → 細胞の内側から外側へ

【ナトリウムポンプ】
 ATP を使う能動輸送
 Na⁺ を細胞外へ3個、K⁺ を細胞内へ2個 運ぶ
 → K⁺ は細胞の外側から内側へ(濃度勾配に逆らう)
 → 「ナトリウムポンプに K⁺ は流れない」は誤り

 カリウムチャネル:内側 → 外側
 ナトリウムポンプ:外側 → 内側

よって ③

第4問 植物の光環境への応答(光受容体・遺伝子発現の調節・青色光受容体の解析)

光受容体と光応答、真核生物の転写とスプライシングの知識を確かめた後、実験1〜3から青色光受容体タンパク質Aの DNA 結合領域と働きを特定し、可逆的な構造変化を検証する実験結果を予測します。配点20点、問1〜問3(小問は5つ)です。

問1:正解 ④(解答番号16/配点4)

<問題要旨>
光受容体と、光に対する生物の応答・反応についての知識を問う設問です。

<選択肢>

①【誤】

桿体細胞は視物質としてロドプシンを含み、弱い光の受容に働きます。光の波長(色)の区別に関わるのは錐体細胞です。

②【誤】

光エネルギーを用いて ATP を合成するのは、葉緑体のチラコイドで起こる光リン酸化です。酸化的リン酸化はミトコンドリアで、電子伝達系によって ATP を合成します。

③【誤】

チラコイドでの電子伝達には光が必要ですが、ストロマで起こる炭酸同化(カルビン回路)は光を直接必要としません。「その両方の過程に光が必要」は誤りです。

④【正】

花芽形成を決めているのは連続した暗期(限界暗期)の長さで、それが一定時間より長くなると花芽を形成する植物を短日植物といいます。

⑤【誤】

フィトクロムは赤色光を吸収すると Pr 型から Pfr 型に変化し、発芽を促進するのは Pfr 型です。Pr 型になるのは遠赤色光を吸収したときです。

正解【④】

問2:正解 ②(解答番号17/配点4)

<問題要旨>
真核生物における遺伝子発現とその調節についての記述から、誤っているものを選ぶ設問です。

<選択肢>

①【正しい記述】

クロマチンが密に折りたたまれた状態では、基本転写因子や RNA ポリメラーゼがプロモーターに結合できず、転写を開始できません。

②【誤っている記述】

RNA ポリメラーゼが鋳型にするのは、生成される mRNA と相補的な塩基配列を持つ鎖(アンチセンス鎖)です。mRNA と同じ塩基配列を持つ鎖は鋳型になりません。これが正解です。

③【正しい記述】

転写でできた RNA からイントロン領域が取り除かれるスプライシングは、核内で起こります。

④【正しい記述】

リボソームは rRNA とタンパク質からなる複合体です。

⑤【正しい記述】

選択的スプライシングによって、一つの遺伝子から複数種類のタンパク質がつくられることがあります。

正解【②】

問3:(1)ア 正解 ②(解答番号18/配点3)

<問題要旨>
図1のとおり、タンパク質Aは領域1・領域2・領域3からなり、ポリペプチドA1は領域2と領域3を、ポリペプチドA2は領域3だけを持ちます。実験2では、暗所でタンパク質AとポリペプチドA1は DNA に結合し、ポリペプチドA2は結合しませんでした。DNA への結合を担う領域を決めます。

<考え方>
持っている領域が一つだけ違う二つを比べ、結果が変われば、その領域が結合に必要だと決まります。

【実験2の整理】
 タンパク質A    領域1+領域2+領域3 → 結合する
 ポリペプチドA1      領域2+領域3 → 結合する
 ポリペプチドA2           領域3 → 結合しない

【タンパク質A と ポリペプチドA1 の比較】
 違いは領域1の有無だけ、結果はどちらも「結合する」
 → 領域1は DNA への結合に必要ではない

【ポリペプチドA1 と ポリペプチドA2 の比較】
 違いは領域2の有無だけ、結果は「結合する」と「結合しない」
 → 領域2が DNA への結合に必要

 ア = 領域2

よって ②
問3:(1)イ 正解 ⑤(解答番号19/配点4)

<問題要旨>
実験1〜3をつないで、タンパク質Aが青色光に依存して何をする因子かを決めます。文の後半「分枝を促進する遺伝子の発現過程において、青色光に依存して[イ]する因子」に入る語句を選びます。

<考え方>
実験1で「何色の光が」「どの働きに」必要かが決まり、実験3で「青色光で何が変わるか」が決まります。DNA に結合して働く段階は転写なので、翻訳の選択肢は外れます。

【実験1からわかること】
 野生型 … 白色光・青色光で分枝が誘導される
      赤色光・緑色光では誘導されない
 変異体 … タンパク質Aの働きを失うと、どの光でも分枝しない
 → 青色光による分枝の誘導にタンパク質Aが必要

【実験3からわかること】
 同じ量のポリペプチドA1で比べると
 結合した DNA の量は 青色光下 > 暗所
 → 青色光下のほうが DNA に強く結合する

【つなぐ】
 青色光 → タンパク質Aが DNA に結合しやすくなる
     → 分枝を促進する遺伝子が働く → 分枝が起こる
 DNA に結合して直接関わるのは転写の段階(翻訳ではない)
 結果として分枝は起こる側なので「抑制」ではなく「促進」

 イ = 転写を促進

よって ⑤
問3:(2)正解 ⑤(解答番号20/配点5)

<問題要旨>
図3には三つの曲線があります。曲線Xは図2の青色光の曲線と同じ形で、少ないポリペプチド量でよく結合します。曲線Yは図2の暗所の曲線と同じ形で、同じ結合量を得るのにより多くのポリペプチドが必要です。曲線Zはほとんど結合しません。「タンパク質Aは5分以内の青色光下または暗所での処理により可逆的に構造が変化し、DNA への結合の強さが変わる」という仮説が正しいとき、曲線Yになる光条件をⓐ〜ⓒから過不足なく選びます。

<考え方>
仮説の「5分以内に可逆的に変化する」が鍵です。5分あれば状態が切り替わり、しかも元に戻れるので、結合の強さを決めるのは最後の5分間の光条件だけになります。

【曲線の対応づけ】
 X … 図2の青色光の曲線と同じ → 青色光下の構造
 Y … 図2の暗所の曲線と同じ  → 暗所の構造
 Z … ほとんど結合しない    → どちらの構造でもない

【仮説が意味すること】
 5分以内に構造が変わり、しかも可逆的
 → 前半の処理の影響は後半で打ち消される
 → 最後の5分間がどちらだったかで構造が決まる

【条件の判定】
 ⓐ 暗所10分間
   最後の5分は暗所 → 暗所の構造 → 曲線Y ○
 ⓑ 暗所5分間の後、青色光5分間
   最後の5分は青色光 → 青色光の構造 → 曲線X ×
 ⓒ 青色光5分間の後、暗所5分間
   可逆的なので暗所の構造に戻る → 曲線Y ○

 ⓐ と ⓒ

よって ⑤

第5問 生物どうしの相互作用(種間競争・生活空間の選択・間接効果・菌根菌との相利共生)

種間競争と種内競争の知識から、瀬と淵でのイワナの生活空間の選択、外来魚の移入が食物網にもたらす間接効果、菌根菌と植物の栄養のやり取りまでを扱います。配点20点、問1〜問3(小問は5つ)です。

問1:正解 ①(解答番号21/配点4)

<問題要旨>
自然界でみられる生物間の関係(種間競争・種内競争・捕食と被食・食物網)についての記述を判定します。

<選択肢>

①【正】

種間競争は動物どうしに限りません。植物どうしでも、光・水・土壌中の栄養塩類などをめぐって種間競争が起こります。

②【誤】

一方の個体群が排除される競争的排除は、資源を奪い合う異なる種の間、すなわち種間競争で起こる現象です。同種内で起こる種内競争によるものではありません。

③【誤】

肉食動物が草食動物を食べる、動物が菌類を食べるなど、捕食者と被食者の関係は動物と植物の間に限られません。

④【誤】

食物網は生産者を出発点として、被食者と捕食者の関係が網目状につながったものです。生産者は食物網に含まれます。

正解【①】

問2:(1)正解 ④(解答番号22/配点4)

<問題要旨>
図1の破線は通常の年の、近接する瀬と淵におけるイワナの個体群密度の関係で、淵の密度が約0.3を超えてから瀬に個体が現れ、そこから直線的に増えて淵が1.0のとき瀬は約0.62 になります。熱波で瀬の水量が減って環境収容力が低下し、さらに水質悪化で密度上昇に伴う不利益が増したとき、この関係がどう変わるかを実線で示したグラフを選びます。

<考え方>
変化は二つあります。「瀬に移り始める淵の密度(折れ曲がり点)が右にずれるか」と「立ち上がった後の傾きが小さくなるか」を分けて考え、両方を満たすグラフを探します。

【変化1:瀬の環境収容力の低下】
 瀬の生活空間が縮小し、瀬は以前より住みにくくなる
 → 淵がもっと混み合わないと、瀬へ移る利益が出ない
 → 瀬に個体が現れ始める淵の密度が大きくなる
 → 折れ曲がり点が破線より右へずれる

【変化2:密度上昇に伴う不利益の増加】
 水質が悪化し、瀬の密度が少し上がるだけで不利益が大きい
 → 淵の密度が上がっても、瀬に入る個体は増えにくい
 → 立ち上がった後の傾きが破線より小さくなる

【選択肢の照合】
 ① 折れ曲がり点が破線より左(約0.2)   → 変化1に合わない
 ② 折れ曲がり点が左、傾きも大きい     → どちらにも合わない
 ③ 折れ曲がり点が左、傾きはさらに大きい  → どちらにも合わない
 ⑤ 折れ曲がり点は右(約0.4)だが
   傾きは破線とほぼ同じ          → 変化2に合わない
 ⑥ 折れ曲がり点は右だが傾きが破線より大きい → 変化2と逆
 ④ 折れ曲がり点が右(約0.3 → 約0.4)へずれ、
   かつ傾きも小さい(淵1.0 のとき瀬は約0.3)→ 両方に合う

よって ④
問2:(2)正解 ④(解答番号23/配点4)

<問題要旨>
表1によると、ニジマスの移入後、ニジマスが「水面に落下した陸生昆虫」を食べるようになり、それを食べていたオショロコマは「水生昆虫の幼虫」へ食物を変えました。水生昆虫の幼虫(食物は藻類)とアシナガグモ(食物は水生昆虫の成虫)の食物は変わっていません。ここから藻類・水生昆虫の成虫・アシナガグモの現存量の増減を予測します。

<考え方>
変わったのはオショロコマの食物だけです。その1か所の変化が食物連鎖を通じてどこまで波及するかを順にたどります(間接効果)。

【出発点】
 オショロコマが水生昆虫の幼虫を食べ始めた
 → 水生昆虫の幼虫が 減少

【藻類】
 藻類を食べるのは水生昆虫の幼虫
 食べる側が減った → 藻類は 増加(+)

【水生昆虫の成虫】
 成虫は幼虫が羽化したもの
 もとになる幼虫が減った → 成虫は 減少(−)

【アシナガグモ】
 食物は水生昆虫の成虫
 その成虫が減った → アシナガグモは 減少(−)

 藻類 + / 水生昆虫の成虫 − / アシナガグモ −

よって ④
問3:(1)正解 ①(解答番号24/配点4)

<問題要旨>
図2は菌根菌Aへのリンの供給の有無と、菌根菌Aが得た炭素の量(リンを供給した場合を1とした相対値)で、なしが約0.57、ありが1.0です。図3は植物の根への糖の供給の有無と、植物が得たリンの量(糖を供給した場合を1とした相対値)で、なしが約0.07、ありが1.0です。ア・イに入る語句を選びます。

<考え方>
「リンを供給された菌根菌=植物に多くのリンを渡せる菌根菌」「糖を供給された根=菌根菌に多くの炭素を渡せる根」と読み替えると、二つのグラフが同じ形の主張になります。

【図2の読み】
 リンの供給なし → 菌根菌Aが得た炭素 約0.57
 リンの供給あり → 菌根菌Aが得た炭素 1.0

 リンを供給された菌根菌は、植物に多くのリンを渡せる
 その菌根菌のほうが、植物から多くの炭素を受け取っている
 → ア:より「多くの」リンを与える菌根菌に、
    植物の根は多くの炭素を与える

【図3の読み】
 糖の供給なし → 植物が得たリン 約0.07
 糖の供給あり → 植物が得たリン 1.0

 糖を供給された根は、菌根菌に多くの炭素を渡せる
 その根のほうが、菌根菌から多くのリンを受け取っている
 → イ:より「多くの」糖を与える植物の根に、
    菌根菌Aは多くのリンを与える

 ア 多くの / イ 多くの

よって ①
問3:(2)正解 ⑤(解答番号25/配点4)

<問題要旨>
図4は植物に菌根菌が与えたリンの量(菌根菌Aを1とした相対値)で、菌根菌Aが1.0、菌根菌Bが約0.55 です。図5は植物に与えたリンの量当たりに菌根菌が得た炭素の量(菌根菌Bを1とした相対値)で、菌根菌Aが約0.41、菌根菌Bが1.0 です。二つの図で1としている菌根菌が入れ替わっている点に注意して読みます。

<考え方>
図4は「植物がもらえるリンの量」、図5は「そのリン1単位につき植物が払う炭素の量」です。植物にとっては、もらえるリンが多く、払う炭素が少ないほど得になります。

<選択肢>

①【誤】

この実験は植物の根を菌根菌Aまたは菌根菌Bのどちらか一方と共生させたもので、AとBを同時に共生させて競争させてはいません。競争的排除については何も判断できません。

②【誤】

菌根菌Bも植物にリンを与え(図4で約0.55)、植物から炭素を得ています。量が少ないだけで、互いに利益を得る相利共生の関係にあります。

③【誤】

図4より、植物に与えたリンの量は菌根菌A(1.0)のほうが菌根菌B(約0.55)より多く、記述は逆です。

④【誤】

図5より、同じリンの量当たりに菌根菌が得る炭素は菌根菌B(1.0)のほうが菌根菌A(約0.41)より多く、記述は逆です。

⑤【正】

菌根菌Aは植物により多くのリンを与え(図4)、しかも与えたリン当たりに受け取る炭素は少なくてすみます(図5)。植物の根から見れば、菌根菌Bより菌根菌Aと共生したほうが、少ない炭素でより多くのリンを得られることになります。

正解【⑤】

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
目次