2024年度 大学入学共通テスト 本試験 化学基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解3

<解説>
常温・常圧で単体が気体として存在するかどうかを考えると、リチウムやベリリウムは金属元素で固体、ヨウ素は固体として存在する。一方、塩素は気体として存在するため、もっとも適切と判断できる。

問2:正解4

<解説>
第4周期までの典型元素について、「貴ガス(希ガス)元素の原子はいずれも最外殻電子が8個である」といった表現には注意が必要。ヘリウムは最外殻に2個しか電子をもたないため、このように“一律に8個”とはいえない。この点が誤りを含む記述だとわかる。

問3:正解7

<解説>
提示された事例のうち、「海水を蒸留して淡水を得る」「降ってきた雪が溶けて水になる」「ドライアイスが放置されて小さくなる」は、それぞれ蒸発や凝縮、融解、昇華といった状態変化を伴う。したがって、物質の三態変化を含む記述としては、これらすべてが当てはまると判断できる。

問4:正解1

<解説>
化学電池には充電の可否などで一次電池と二次電池がある。二次電池は使い終わったあとに充電することで、再び繰り返し利用できるのが特徴であり、それが正しい説明だとわかる。

問5:正解3

<解説>
ケイ素(Si)は半導体の性質を示すが、二酸化ケイ素(SiO₂)の結晶は、通常は電気を通しにくい物質として知られている。もし「二酸化ケイ素の結晶が半導体の性質を示す」とあるなら、それは誤った内容を含むといえる。

問6:正解4

<解説>
提示された気体の性質として「無色・無臭」「火を消してしまう」「空気よりも密度が大きい」などが挙げられている場合、アルゴンがもっとも当てはまる。アルゴンは不活性で支燃性がなく、空気よりもやや重いという特徴をもつ。

問7:正解2

<解説>
メタン(CH₄)を完全燃焼させて水が18グラムできたときの二酸化炭素の質量を考える。メタンの燃焼では、メタン中の水素原子から一定量の水が生じ、その分の炭素がすべて二酸化炭素になる。水の質量からメタンに含まれていた水素原子の数を推定すると、得られる炭素原子の量もわかるので、そこから生じる二酸化炭素の質量は22グラムとみなせる。

問8:正解2

<解説>
酸と塩基の中和では、酸の強弱によらず価数が同じであれば必要な物質量の比は変わらない。たとえば「強酸だから弱酸よりも多くの量が必要になる」というような記述は誤りを含んでいる。酸が強いか弱いかは解離度の問題であって、中和に必要な量が変わるわけではない。

問9:正解1

<解説>
下線が付された原子(中心原子)の酸化数を比較すると、硫酸イオン中の硫黄は非常に高い酸化数をとることで知られる。一方、硝酸中の窒素や二酸化マンガン中のマンガン、アンモニウムイオン中の窒素は硫酸イオンの硫黄ほど高くならないため、もっとも高い酸化数は硫酸イオンの硫黄である。

問10:正解2

<解説>
純物質アおよびイを同条件で容器に封入したときの質量や、混合比率に応じてモル質量が変化するグラフを読み取り、それらをもとに混合した状態での全体質量とアの割合から、「アの物質量の比」が割り出せる。与えられた条件下で算定すると、アの比率は25%ほどに該当すると判断できる。

第2問

問11:正解4

<解説>
宇宙ステーション内の空気制御システムでは、水を電気分解して酸素を補給し、そこで得られた水素を用いて二酸化炭素と反応させ、メタンや水を再生産する流れが考えられる。設問では、この循環過程においてどのような点に着目すれば効率的な管理ができるかを問う内容となっている。選択肢を比べると、水の分解とサバティエ反応(CO₂とH₂からCH₄とH₂Oをつくる工程)を組み合わせて空気成分を循環させる仕組みが的確に述べられているものが、もっとも適切だと判断できる。

問12:正解6

<解説>
宇宙空間では乗員が呼吸で消費する酸素量に対して、どの程度の水を分解すれば必要な酸素を確保できるかが重要になる。水分子の組成比や質量比を考えると、酸素を所定量得るために必要な水の質量は乗員の消費量よりも大きめになる。実際の計算を言葉で表すと、水の質量と酸素の質量は一定の比率で関係しており、その比率から求めると選択肢の中で最大の値(選択肢6)が必要量として最も適切だとわかる。

問13:正解2

<解説>
提示された化学反応式ア~エはいずれも「2種類の物質から二酸化炭素(CO₂)が生じる」ものを示している。ここでは、両方の反応物をそれぞれ1モルずつ用いた場合に生成するCO₂の質量が最も大きいケースを探している。反応物の組成や反応で生まれるCO₂のモル数を比べると、イ(シュウ酸と過酸化水素を反応させる式)がもっとも多くのCO₂を生成しうることに気づくため、この組み合わせが最適といえる。

問14および15:正解1および5

<解説>
メタン(CH₄)は炭素1つと水素4つが正四面体形に配置され、全体として無極性分子となる。一方、CH₄に段階的に塩素原子が置換されたCH₃Cl、CH₂Cl₂、CHCl₃、CCl₄などは、塩素の数や配置によって極性が変化する。分子構造を眺めると、CH₄とCCl₄は全体が対称的な配置のため無極性となる。一方で、水素と塩素が混在する中間の化合物は極性が残るので無極性とはいえない。したがって、無極性分子にあたるのはCH₄(選択肢1)とCCl₄(選択肢5)である。

問16:正解5

<解説>
宇宙ステーションで1日に乗員が消費する酸素量が約3.2kgという状況を考え、それを水の電気分解でまかなおうとすると、水分子を分解して取り出せる酸素の質量比から、必要な水の質量が割り出せる。この質量比は酸素の方が分子量的に大きいため、消費する酸素と比べてやや多めの水が必要だとわかる。最終的に、その値として最も適切なのが選択肢5で示される量である。

問17:正解3

<解説>
サバティエ反応(CO₂+4H₂→CH₄+2H₂O)では、ある一定量のCO₂があるとき、水素が不足すると生成できるH₂Oも減少し、多すぎても余分なH₂は反応に使われないため水の生成量は頭打ちになる。選択肢のグラフを比べると、使用した水素の量が少ない範囲では反応によって生成する水の量が比例して増え、反応に必要な分量を超えると増えなくなる、という形を示すものがもっとも適切だとわかる。

問18:正解3

<解説>
まず式(1)(水の電気分解)によって3.2kgの酸素が得られたとき、水素も同時に対応する量だけ生じる。次に、その水素を式(2)(サバティエ反応)で充分な二酸化炭素と反応させると、新たに水が生成する。両式を合わせてみると、得られた水素の質量から生成される水の質量は選択肢の中で3番目にあたる値が最も妥当だとわかる。これは電気分解で発生した水素がすべて有効にサバティエ反応に使われた結果である。

投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
目次