2023年度 大学入学共通テスト 本試験 地学 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解③

<問題要旨>

東北地方周辺の震源分布の平面図(図1)から、特定の断面(線分AB)における地下の太平洋プレート上面の形状を推定する問題です。

<選択肢>

①【誤】

A側(西)で浅く、B側(東)で深くなる形状を示しています。これは、図1の震源分布(西側ほど深い)と逆です。

②【誤】

A側(西)で深く、B側(東)で浅くなっていますが、B側(東側)の浅い部分でプレートが水平になっています。図1では、Bの直下まで×印(深さ0-50km)や△印(50-100km)の震源が見られ、プレートは地表(海溝)に向かって傾斜し続けていると考えられるため、この形状は適当ではありません。

③【正】

A側(西)で深く、B側(東、地表)に向かって一様に浅くなる(右上がりの)形状を示しています。 3図1の震源分布を見ると、線分ABに沿って、A側(経度140°付近)では●(150-200km)や■(200-250km)の深い地震が、B側(経度144°付近)に近づくにつれて○(100-150km)、△(50-100km)、×(0-50km)と浅い地震が分布しています。 これは、太平洋プレートが東(B側)から西(A側)に向かって沈み込んでいることを示しており、その上面の形状は③の模式図とよく一致します。

④【誤】

A側(西)で深く、B側(東)で浅くなっていますが、A側(西側)の深い部分でプレートが水平になっています。図1のA付近では深い震源が観測されており、プレートがさらに深く沈み込んでいる様子を示しているため、この形状は適当ではありません。

問2:正解④

<問題要旨>

偏光顕微鏡で観察したある鉱物Mの2種類の断面スケッチ(図2)から、その鉱物の一般的な外形と鉱物名を特定する問題です。

<選択肢>

図2のスケッチを見ると、Aでは2方向のへき開が格子状に、Bでは1方向のへき開が平行に多数観察されます。また、Bは細長い形状をしています。

選択肢にある鉱物の特徴は以下の通りです。

・かんらん石:へき開は不明瞭。一般的な外形は短柱状や粒状。

・角閃石:へき開は2方向(約120°と約60°)に明瞭。一般的な外形は柱状(イの形)。

スケッチA・Bともに明瞭なへき開が描かれているため、かんらん石の可能性は低いです。

角閃石は、イ(角柱状)の外形をとり、2方向のへき開を持ちます。切断する方向によって、スケッチBのように柱に平行な断面(1方向のへき開が平行に見える)や、スケッチAのように柱と斜めに交わる断面(2方向のへき開が交わって見える)が観察されます。

したがって、鉱物Mは角閃石、一般的な外形はイと判断するのが最も適当です。

①【誤】かんらん石はへき開が不明瞭であり、外形もア(正八面体)ではありません。

②【誤】角閃石の外形は通常イ(角柱状)であり、ア(正八面体)ではありません。

③【誤】かんらん石はへき開が不明瞭です。

④【正】鉱物名は角閃石、外形はイ(角柱状)であり、スケッチの特徴とも矛盾しません。

⑤【誤】かんらん石はへき開が不明瞭であり、外形もウ(六角板状)ではありません。

⑥【誤】角閃石の外形は通常イ(角柱状)であり、ウ(六角板状)ではありません。

問3:正解③

<問題要旨>

谷地形の模式図(A)と地質図(B)から、地層Xの傾斜の向きと、地層Xの傾斜と河川の勾配の大きさを比較する問題です。

<選択肢>

地質図の読図(V字谷の法則)を用います。

  1. 傾斜の向き:図Bの地形図では、等高線が北(図の上側)に凸のV字を描いているため、谷は北側が上流、南側が下流です。図Aでも河川は北から南へ流れています。地層X(点描部)の境界線も、谷の部分で北側(上流側)に凸のV字を描いています。地層境界線のV字が谷の上流側に凸の場合、地層は谷の流れと同じ向き(南向き)に傾斜しています。
  2. 傾斜と勾配の大きさ:地層が谷と同じ向き(南向き)に傾斜している場合、地層境界線のV字の開き具合と等高線のV字の開き具合を比較します。図Bでは、地層Xの境界線のV字が、等高線のV字よりも狭く(尖って)います。これは、地層Xの傾斜の方が、谷底(河川)の勾配よりも急であることを示しています。

したがって、「地層Xの傾斜の向きは南」、「地層Xの傾斜の方が大きい」となります。

①【誤】傾斜の向きが「北」となっています。

②【誤】傾斜の向きが「北」、大きさ比較が「河川の勾配の方が大きい」となっています。

③【正】傾斜の向きは「南」、大きさ比較は「地層Xの傾斜の方が大きい」です。

④【誤】大きさ比較が「河川の勾配の方が大きい」となっています。

問4:正解②

<問題要旨>

北半球の温帯低気圧の地上天気図(図4)における線分AB(寒気→暖気→寒気)の鉛直断面での気温分布を模式図から選ぶ問題です。

<選択肢>

図4の線分ABは、西側のA点(寒冷前線の西側、寒気内)から、低気圧中心の南側(暖気内)を通り、東側のB点(温暖前線の東側、寒気内)に至る断面です。

・ 前線面の傾き:寒冷前線は寒気が暖気の下に急角度で潜り込むため、前線面は西側(A側)上空に急に傾斜します。温暖前線は暖気が寒気の上に緩やかに乗り上げるため、前線面は東側(B側)上空に緩やかに傾斜します。

・ 気温分布:前線面を境に、下側(寒気)は気温が低く、上側(暖気)は気温が高くなります。地上付近では、A側とB側(寒気)が低温、中央部(暖気)が高温となります。

①【誤】前線面の傾きが両方とも東(B側)になっています。また、暖気と寒気の気温が逆転しています。

②【正】寒冷前線面は西(A側)に急傾斜、温暖前線面は東(B側)に緩傾斜しています。気温も、前線面の下(寒気)が低く、上(暖気)が高くなっており、地上付近は A(低) – 中央(高) – B(低) の分布と一致しています。

③【誤】前線面の傾きが両方とも西(A側)になっています。

④【誤】前線面の傾きが両方とも西(A側)になっており、気温分布も逆転しています。

問5:正解②

<問題要旨>

オリオン座の3つの星(アルニタク、ベテルギウス、リゲル)について、見かけの等級と絶対等級のグラフ(図6)を用いて、地球からの距離が近い順に並べる問題です。

<選択肢>

恒星の見かけの等級を m、絶対等級を M とすると、地球からの距離 r(パーセク)との間には m−M=5log10​r−5 の関係があります。

この m−M の値(距離指数)が大きいほど、距離 r は大きい(遠い)ことを意味します。

図6のグラフから、各星の m(横軸)と M(縦軸)を読み取り、 m−M を計算します。

・ ベテルギウス: m≈0.5, M≈−5.5 →m−M≈0.5−(−5.5)=6.0

・ アルニタク: m≈2.0, M≈−4.9 →m−M≈2.0−(−4.9)=6.9

・ リゲル: m≈0.1, M≈−7.0 →m−M≈0.1−(−7.0)=7.1

m−M の値を比較すると、ベテルギウス (6.0) < アルニタク (6.9) < リゲル (7.1) となります。

したがって、地球からの距離は、近い順に「ベテルギウス → アルニタク → リゲル」です。

①【誤】アルニタクが最も近くなっています。

②【正】近い方からベテルギウス、アルニタク、リゲルの順です。

③【誤】リゲルが最も近くなっています。

④【誤】リゲルが最も近くなっています。

第2問

問1:正解②

<問題要旨>

地球表面の高度分布(図1)に関する2つの文a, bの正誤を判定する問題です。

<選択肢>

・ 文a:図1の高度分布は、陸地の平均高度(0~1000m付近)と海底の平均深度(4000~5000m付近)に2つのピーク(最頻値)があることを示しています。これは、地球の地殻が、密度が小さく厚い「大陸地殻」(主に陸地を形成)と、密度が大きく薄い「海洋地殻」(主に海底を形成)の2種類に大別されるためです。アイソスタシー(地殻均衡)により、軽い大陸地殻は浮き上がり、重い海洋地殻は沈むため、高度分布に2つのピークが生じます。したがって、文aは正しいです。

・ 文b:地球の表面の約30%が陸地、約70%が海洋です。図1で、大陸棚を含む1000m以浅の海洋(0~-1000m)の割合は、約8%です。これを陸地(約30%)に含めても、合計は約38%にしかなりません。残りの海洋(1000m以深)は、約70% – 8% = 約62% です。したがって、「陸地の割合の方が海洋より大きくなる」ことはありません。文bは誤りです。

以上より、a:正、b:誤 の組合せを選びます。

①【誤】bが正になっています。

②【正】a:正、b:誤 の組合せです。

③【誤】aが誤になっています。

④【誤】aが誤、bが正になっています。

問2:正解④

<問題要旨>

3地点A, B, Cで観測された地震波形(図2)から、S-P時間(P波到達からS波到達までの時間)を読み取り、震源に近い順に並べる問題です。

<選択肢>

S-P時間は震源からの距離に比例するため、S-P時間が短いほど震源に近くなります。図2の横軸はP波到達時刻からの経過時間(秒)なので、振幅が急に大きくなるS波の到達時刻を読み取れば、それがS-P時間となります。

・ 地点A:S波はP波到達(0秒)から約12.5秒後に到達しています(S-P時間 ≈ 12.5秒)。

・ 地点B:S波はP波到達(0秒)から約7秒後に到達しています(S-P時間 ≈ 7秒)。

・ 地点C:S波はP波到達(0秒)から約10秒後に到達しています(S-P時間 ≈ 10秒)。

S-P時間を比較すると、B (7秒) < C (10秒) < A (12.5秒) となります。

したがって、震源に近い順は B → C → A です。

①【誤】A → B → C

②【誤】A → C → B

③【誤】B → A → C

④【正】B → C → A

⑤【誤】C → A → B

⑥【誤】C → B → A

問3:正解②

<問題要旨>

プレートテクトニクスの模式図(図3)について、空欄ア(中央海嶺で起こる地震)とイ(トランスフォーム断層Bのずれの向き)を特定する問題です。

<選択肢>

・ ア(中央海嶺):中央海嶺Aは、プレートが両側に拡大していく「拡大する境界」です。ここでは地殻が左右に引っ張られる張力(ちょうりょく)が働くため、断層は「正断層型」が卓越します。

・ イ(トランスフォーム断層B):Bは2つの中央海嶺の軸をつなぐトランスフォーム断層です。

・ Bの北側にあるプレート(南側の海嶺から生まれた)は、西向き(←)に移動します。

・ Bの南側にあるプレート(北側の海嶺から生まれた)は、東向き(→)に移動します。

断層Bを挟んで、北側から南側を見ると、相手(南側)は東(右)に動いています。一方、南側から北側を見ると、相手(北側)は西(左)に動いています。このようなずれ方を「左横ずれ」断層といいます。

したがって、ア:正断層型、イ:左横ずれ となります。

①【誤】イが右横ずれになっています。

②【正】ア:正断層型、イ:左横ずれ の組合せです。

③【誤】アが逆断層型、イが右横ずれになっています。

④【誤】アが逆断層型になっています。

問4:正解①

<問題要旨>

東北地方などにおける、海溝側(太平洋側)から背弧側(日本海側)にかけての火山噴出物の体積分布と、火山前線(火山フロント)の位置関係を示す模式図を選ぶ問題です。

<選択肢>

火山前線(火山フロント)は、沈み込み帯において、海溝軸にほぼ平行に並ぶ火山の分布のうち、最も海溝側(この場合は太平洋側)のラインを指します。

実際の火山活動は、火山前線上で最も活発であり、噴出物の体積も最大になる傾向があります。また、火山前線よりも背弧側(日本海側)にも火山は分布しますが、海溝側(太平洋側)にはほとんど分布しません。

各図は右側が海溝(太平洋側)、左側が日本海側です。

①【正】火山前線が分布域の太平洋側(右側)の縁に位置し、その付近で噴出物の体積が最大になっています。また、火山は火山前線より日本海側(左側)にも分布し、太平洋側(右側)には分布していません。これは実際の分布とよく一致します。

②【誤】噴出物が火山前線より太平洋側(右側)に偏って分布しており、実際の分布と逆です。

③【誤】火山前線が噴出物分布域のほぼ中央に位置しています。火山前線は分布域の海溝側(太平洋側)の縁になるはずです。

④【誤】噴出物が日本海側(左側)に偏りすぎ、火山前線が分布域から大きく離れています。

問5:正解③

<問題要旨>

中央海嶺と海溝付近における、玄武岩質マグマの発生(マントル物質の部分溶融)メカニズムについて、正しい説明の組合せを選ぶ問題です。

<選択肢>

・ <中央海嶺>

s:マントル物質が上昇すると、断熱膨張により温度はわずかに下がります。温度が上がって溶融するわけではありません。

t:中央海嶺の下ではマントル物質が上昇しています。上昇すると圧力が低下します。マントル物質(かんらん岩)の融点は圧力が低いほど低下するため、圧力が下がることで融点に達し、部分溶融が起こります(減圧溶融)。 tは正しいです。

・ <海溝付近>

x:海溝から沈み込む海洋プレートに含まれる水(含水鉱物など)が、上部のマントル物質(ウェッジマントル)に供給されます。水はマントル物質の融点を下げる効果があるため、これにより部分溶融が起こります(加水溶融)。 xは正しいです。

y:プレートが沈み込むと圧力は上がりますが、圧力が上がると(水がない場合)マントル物質の融点は上昇するため、溶融は起こりにくくなります。

したがって、正しい組合せは t と x です。

①【誤】中央海嶺の説明がsになっています。

②【誤】中央海嶺の説明がs、海溝付近の説明がyになっています。

③【正】中央海嶺がt、海溝付近がxです。

④【誤】海溝付近の説明がyになっています。

第3問

問1:正解①

<問題要旨>

苦鉄質のマグマA(SiO2​ 50%)と珪長質のマグマB(SiO2​ 70%)が混合してできた安山岩質マグマC(SiO2​ 60%)について、 普通は安山岩に含まれないが、この混合によって含まれうる鉱物を選ぶ問題です。

<選択肢>

・ マグマA(苦鉄質)に含まれる鉱物:輝石、かんらん石

・ マグマB(珪長質)に含まれる鉱物:角閃石、石英、斜長石

・ 一般的な安山岩に含まれる鉱物:輝石、角閃石、斜長石など。

レポートの考察(a)によれば、マグマCにはAとBの両方の鉱物が含まれるとあります。

このうち、「かんらん石」は、主に玄武岩などのより苦鉄質な火山岩に含まれる鉱物であり、安山岩に含まれることは一般的ではありません(例外的には存在します)。

したがって、マグマAに由来する「かんらん石」が、この混合マグマC(安山岩)に含まれる「普通は安山岩に含まれない鉱物」に該当します。

①【正】かんらん石。

②【誤】輝石は安山岩に一般的に含まれます。

③【誤】角閃石は安山岩に一般的に含まれます。

④【誤】斜長石は安山岩に一般的に含まれます。

問2:正解②

<問題要旨>

マグマの化学組成が変化する「結晶分化作用」について説明した文章の空欄ア(斜長石の成分)とイ(作用の名称)を埋める問題です。

<選択肢>

・ ア:玄武岩質マグマのような高温のマグマから最初に晶出する斜長石は、カルシウム(Ca)に富む灰長石(かいちょうせき)です。マグマの温度が下がるにつれて、ナトリウム(Na)に富む曹長石(そうちょうせき)の成分が増えていきます。文章は「玄武岩質マグマから…取り去られる」とあるため、高温で晶出する「Ca」に富む斜長石が該当します。

・ イ:マグマが冷える過程で、特定の鉱物が結晶化(晶出)し、それらがマグマから分離(沈降など)することで、残ったマグマ(残液)の化学組成が変化していく現象を「結晶分化作用」といいます。文章の説明はこの作用を指しています。(同化作用は、マグマが周囲の岩石を取り込んで溶かすことです。)

したがって、ア:Ca、イ:結晶分化作用 となります。

①【誤】イが同化作用になっています。

②【正】ア:Ca、イ:結晶分化作用 の組合せです。

③【誤】アがNa、イが同化作用になっています。

④【誤】アがNaになっています。

問3:正解①

<問題要旨>

露頭のスケッチ(図2)と文章情報から、示準化石の年代を手がかりに、デスモスチルスの化石が産出した地層を推定する問題です。

<選択肢>

各地層の年代を、含まれる示準化石から判断します。

・ 砂岩層A:ビカリアの化石を産出。ビカリアは新生代新第三紀中新世の示準化石です。

・ 礫岩層B:Aの下位にあり、Aと整合関係。したがって、BもAとほぼ同時期(新生代新第三紀中新世)と考えられます。

・ 泥岩層C:イノセラムスの化石を産出。イノセラムスは中生代白亜紀の示準化石です。

・ 凝灰岩層D, 石灰岩層E:Cと整合関係。したがって、D, Eも中生代白亜紀と考えられます。

(※礫岩層Bと泥岩層Cの間には、中生代白亜紀と新生代新第三紀という大きな時間的隔たりがあり、不整合関係にあることがわかります。)

問題の「デスモスチルス」も、新生代新第三紀中新世の示準化石です。

したがって、デスモスチルスの化石が産出した可能性があるのは、同じ新生代新第三紀中新世の地層、すなわち砂岩層Aと礫岩層Bです。

①【正】砂岩層Aと礫岩層B。

②【誤】泥岩層Cは中生代白亜紀です。

③【誤】泥岩層C、凝灰岩層Dは中生代白亜紀です。

④【誤】凝灰岩層D、石灰岩層Eは中生代白亜紀です。

問4:正解④

<問題要旨>

露頭のスケッチ(図2)から、地層C, D, Eに見られる褶曲構造と、断層Fの種類を特定する問題です。

<選択肢>

・ 褶曲:地層C, D, Eは、下からE→D→Cの順に重なっています(逆転なし)。スケッチの中央部では、地層が上に凸の形に曲がっています。このように、地層が上に凸に曲がり、中心部(核部)に古い地層(この場合はE)が位置する構造を「背斜(はいしゃ)」といいます。

・ 断層F:断層Fは右下がりの傾斜を持つ断層面です。この断層面を境に、左側(上盤)の地層が、右側(下盤)の地層よりも相対的に上方にずれています(例:地層DやEの位置を比較)。上盤が下盤に対してせり上がっているこのような断層を「逆断層」といいます。これは圧縮の力によって形成されます。

したがって、褶曲:背斜、断層F:逆断層 となります。

①【誤】向斜、正断層になっています。

②【誤】向斜になっています。

③【誤】正断層になっています。

④【正】背斜、逆断層 の組合せです。

問5:正解④

<問題要旨>

人類の出現(700万年前)から現在までを1年(365日)のカレンダーとした場合、ホモ・サピエンス(現生人類)の出現がいつ頃になるかを計算する問題です。

<選択肢>

ホモ・サピエンスの出現は、一般的に約20万年~30万年前とされています。

このカレンダーは、700万年を365日(1年)に換算しています。

・ カレンダーの1日あたりに相当する年数: 700万年 / 365日 ≈ 1.92万年/日

ホモ・サピエンスが仮に20万年前に出現したとすると、

・ 現在(12月31日の終わり)からの日数: 20万年 / (1.92万年/日) ≈ 10.4日前

ホモ・サピエンスが仮に30万年前に出現したとすると、

・ 現在(12月31日の終わり)からの日数: 30万年 / (1.92万年/日) ≈ 15.6日前

いずれにせよ、12月31日から10~16日ほど遡った時期、すなわち「12月下旬」にあたります。

図3の目盛りからも、100万年前が11月下旬あたりであり、20~30万年前は12月下旬になることが推定できます。

①【誤】9月下旬(カレンダーの約3/4経過、約175万年前頃)

②【誤】10月下旬(約117万年前頃)

③【誤】11月下旬(約58万年前頃、図3の100万年前の目盛りより後)

④【正】12月下旬。

問6:正解①

<問題要旨>

人類進化カレンダーの期間(過去700万年間)に起こった地球史上のできごとを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【正】

氷期と間氷期のくり返し(氷河時代)は、新生代第四紀(約260万年前~現在)の顕著な特徴です。これはカレンダーの期間(700万年前~現在)の後半と重なります。

②【誤】

全球凍結(スノーボール・アース)は、原生代(約7億年前など)、はるか昔のできごとです。

③【誤】

ゴンドワナ大陸は、古生代~中生代に存在した超大陸の一部で、数億年前のできごとです。

④【誤】

隕石衝突による生物の大量絶滅として有名なのは、中生代白亜紀末(約6600万年前)の恐竜絶滅です。

したがって、このカレンダーの期間内に入るできごとは①です。

第4問

問1:正解②

<問題要旨>

地球大気の層構造のうち、高度約10~50kmの範囲(ア)を答える問題です。

<選択肢>

地球の大気は、下から順に

① 対流圏(高度0 ~ 約11km):気象現象が起こる。高度とともに気温低下。

② 成層圏(高度約11 ~ 約50km):オゾン層が存在。高度とともに気温上昇。

③ 中間圏(高度約50 ~ 約80km):高度とともに気温低下。

④ 熱圏(高度約80km ~):高度とともに気温上昇。

問題文の「高度約10~50km」、「オゾン分子の分解」という記述から、アは「成層圏」であることがわかります。

問2:正解③

<問題要旨>

北極域の成層圏下部の気温変化(図1)から、2つの期間(期間1: 2018-19冬, 期間2: 2019-20冬)のオゾン層破壊の程度を考察する問題です。

<選択肢>

問題文より、オゾン層の破壊は「-78℃より低温になると発生する雲(極成層圏雲)」の表面で促進されます。したがって、気温が-78℃を下回る期間が長いほど、オゾン層の破壊が促進されると考えられます。

図1のグラフで-78℃のライン(-70℃と-80℃の間のやや上)に着目します。

・ 期間1(実線):気温が-78℃を下回った期間はほとんどないか、あっても非常に短いです。むしろ1月頃に気温が急上昇(成層圏突然昇温)しています。

・ 期間2(破線):12月上旬から3月上旬頃まで、気温は長期間にわたって-78℃を下回っており、-80℃を下回る時期も続いています。

この比較から、オゾン層破壊を促進する低温条件は、期間2の方が期間1よりも圧倒的に長く続いたことがわかります。

よって、期間2では、期間1よりもオゾン層の破壊が促進されたと考えられます。

①【誤】程度は同じではありません。

②【誤】期間1の方が破壊が促進されたのではなく、期間2の方が促進されました。

③【正】期間2(-78℃以下の期間が長い)では、期間1よりもオゾン層の破壊が促進されました。

④【誤】期間2では-78℃を下回っており、オゾン層は破壊(促進)されたと考えられます。

問3:正解④

<問題要旨>

海洋の地衡流において、コリオリの力(転向力)とつり合っている力(イ)を答える問題です。

<選択肢>

地衡流は、大規模な流れにおいて、コリオリの力と、水圧(気圧)の差によって生じる「圧力傾度力」とがつり合った状態での流れを指します。

図2の状況では、風によるエクマン輸送で海洋中央部の海水面が高くなり、中央(高圧)から周辺(低圧)に向かう「圧力傾度力」が生じます。北半球では、この圧力傾度力とコリオリの力(流れの右向きに働く)がつり合うことで、時計回りの地衡流が維持されます。

したがって、イは「圧力傾度力」です。

①【誤】遠心力は、このつり合いでは考えません。

②【誤】起潮力は月や太陽の引力による力です。

③【誤】重力は鉛直方向の力であり、水平方向のつり合いには直接関与しません。

④【正】圧力傾度力。

問4:正解②

<問題要旨>

図2の南北断面(白い破線)において、アイソスタシー(圧力均衡)が成立している場合の海水の密度構造を推定する問題です。

<選択肢>

アイソスタシーが成立しているとは、ある基準となる深さ(最下層)での圧力が、どこでも等しい状態を指します。圧力は(平均密度 × 重力加速度 × 高さ)で決まります。

図2および各選択肢の海水面を見ると、中央部で海水面が高く(=水の柱が長く)、南北両端部で低い(=水の柱が短い)ことがわかります。

水の柱が長い中央部と、短い南北両端部で、最下層での圧力が等しくなるためには、

・ 中央部:水の柱が長い分、平均密度が小さく(軽く)なければならない。

・ 南北両端部:水の柱が短い分、平均密度が大きく(重く)なければならない。

密度分布の模式図(色が薄いほど密度が小さい)を見ると、

①【誤】中央部で密度の大きい(濃い)海水が盛り上がっており、これでは中央部の圧力が最も高くなってしまいます。

②【正】中央部で密度の小さい(薄い)海水が厚く分布し、密度の大きい(濃い)海水が深く沈んでいます。これにより、海水の柱全体の平均密度が小さくなり、アイソスタシーが成立し得ます。

③【誤】密度の境界が水平だと、海水面が高い中央部の圧力が最も高くなってしまいます。

④【誤】密度分布が波打っており、図2の状況と合いません。

問5:正解③

<問題要旨>

実際の北太平洋では、コリオリの力が緯度に依存する(高緯度ほど強い)ため、海水面の高まりの中心(ウ)と、表層循環の流速(エ)がどうなるかを問う問題です。

<選択肢>

コリオリの力の緯度変化(β効果)により、風によって中央部に集められる海水(海水面の高まり)の中心は、海洋の中央ではなく「西」側に偏ります。

・ ウ:海水面は海洋の中央部の「西」側で最も高くなります。

この西側に偏った急な海水面の高まり(=急な圧力傾度)を維持するため、地衡流の流速は西側で速く、東側で緩やかになります。

・ エ:流速は海洋の「西」側(黒潮など)の方が東側(カリフォルニア海流など)よりも「速い」です。

この現象を「西岸強化」と呼びます。

①【誤】ウが東になっています。

②【誤】ウが東、エが遅いになっています。

③【正】ウ:西、エ:速い の組合せです。

④【誤】エが遅いになっています。

第5問

問1:正解③

<問題要旨>

火星(公転周期 M)から木星(公転周期 J)を見たときの会合周期 S を求める関係式と、図1 を用いた S の値を求める問題です。

<選択肢>

・ 関係式:火星は木星より内側を公転しており、公転角速度(=1/周期)は火星の方が木星より速いです。会合周期 S は、速い火星が遅い木星に「追いつく」までの時間であり、その角速度(1/S)は、2惑星の角速度の差(1/M−1/J)に等しくなります。したがって、関係式は S1​=M1​−J1​ です。

・ Sの値:図1から公転周期を読み取ります。

・ 火星 M≈1.9 年

・ 木星 J≈11.9 年

関係式に代入すると、 S1​=1.91​−11.91​≈0.526−0.084=0.442

S=0.4421​≈2.26 年

よって、会合周期 S は約2.2年です。

①【誤】関係式が和になっています。

②【誤】関係式が和になっています。

③【正】関係式: S1​=M1​−J1​ 、会合周期:約2.2年。

④【誤】会合周期の値が異なります。

問2:正解②

<問題要旨>

火星から地球を見たときの最大離角(太陽から最も離れて見える角度)を、図1、図2、表1 を用いて求める問題です。

<選択肢>

火星から見ると、地球は内惑星になります。内惑星が最大離角にあるとき、太陽・地球・火星は、地球の位置が直角となる直角三角形を形成します(図2参照)。

求める最大離角を θ(∠SME)とすると、sinθ=太陽から火星までの距離 (SM)太陽から地球までの距離 (SE)​ となります。

図1から、各軌道半径を読み取ります。

・ 地球の軌道半径 (SE) = 1 天文単位 (AU)

・ 火星の軌道半径 (SM) ≈ 1.5 天文単位 (AU)

sinθ=1.5 AU1 AU​=32​≈0.667

表1で sinθ≈0.667 となる角度を探します。

・ sin40∘=0.643

・ sin50∘=0.766

0.667 は 0.643 (sin 40°) に近いです。したがって、最大離角 θ は約 40∘ です。

①【誤】約 30∘ (sin30∘=0.500)

②【正】約 40∘ (sin40∘=0.643)

③【誤】約 50∘ (sin50∘=0.766)

④【誤】約 60∘ (sin60∘=0.866)

問3:正解①

<問題要旨>

火星から観測した場合の「年周視差(ア)」「公転速度(イ)」「年周光行差(ウ)」が、地球から観測した場合と比べてどうなるかを答える問題です。

<選択肢>

・ ア(年周視差):年周視差は、観測する惑星の公転軌道半径に比例します。火星の軌道半径(約1.5 AU)は地球(1 AU)より「大きい」ため、年周視差は「大きい」なります。

・ イ(公転速度):公転速度 V=2πa / T​(a:軌道半径, T:公転周期)。図1から、地球は a=1,T=1、火星は a≈1.5,T≈1.9 です。

・ 地球の速度 VE​=2π×1 / 1​ = 2π

・ 火星の速度 VM​=2π×1.5 / 1.9 ​≈ 2π×0.79

火星の公転速度は地球より「遅い」です。

・ ウ(年周光行差):年周光行差の大きさは、観測する惑星の公転速度 V に比例します。火星の公転速度は地球より「遅い」(イの結果)ため、年周光行差は「小さい」なります。

したがって、ア:大きい、イ:遅い、ウ:小さい となります。

①【正】大きい、遅い、小さい。

②【誤】イが速い、ウが大きいに(逆)。

③【誤】アが小さいに(逆)。

④【誤】ア、イ、ウすべて逆。

問4:正解①

<問題要旨>

太陽で発生し、地球でデリンジャー現象や磁気嵐を引き起こす現象(エ)を答える問題です。

<選択肢>

①【正】

フレアは、太陽で起こる大規模な爆発現象です。このとき放出される強力なX線や高エネルギー粒子、プラズマ塊(CME)が地球に到達すると、X線が電離層を擾乱してデリンジャー現象(短波通信障害)を、高エネルギー粒子やプラズマ塊が地磁気を擾乱して磁気嵐を引き起こします。

②【誤】

オーロラは、太陽風やフレアの粒子が地球の極域大気に入射して発光する現象であり、原因そのものではありません。

③【誤】

粒状斑は、太陽光球表面の対流模様です。

④【誤】

プロミネンス(紅炎)は、コロナ中に浮かぶ低温・高密度のガスです。

問5:正解③

<問題要旨>

地球や天体の運動に関する記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【正】

地球が太陽の周りを公転しているため、恒星は1日(太陽の南中周期)に比べて約4分早く南中します(恒星時日 ≈ 23時間56分)。

②【正】

地球の自転軸は、月や太陽の引力の影響で、約2万6000年周期の歳差運動(首振り運動)をしています。これにより、天の北極(自転軸の延長)の位置は天球上を移動します。

③【誤】

赤道面(地球の赤道)と黄道面(地球の公転軌道)の傾き角(約23.4°)は、地球全体で共通の値です。観測地点の緯度には依存しません。

④【正】

地球の自転により、天球上の恒星は、北半球では天の北極のまわり、南半球では天の南極のまわりを日周運動しているように見えます。

問6:正解④

<問題要旨>

作成されたHR図(図3)が、どの星団(散開星団プレアデス or 球状星団M3)の、どの種類の恒星(主系列星 or 巨星)を示しているかを特定する問題です。

<選択肢>

・ 図3の分析:プロットされている星は、スペクトル型がK0~M0(低温)、絶対等級が-0.5~-2.5(比較的明るい)の範囲に集中しています。これはHR図の右上に位置し、「巨星」(特に赤色巨星)の領域に該当します。

・ 星団の特定:Sさんは「最も明るいものから順に10個」を測定しました。

・ 散開星団プレアデスは若いため、最も明るい星は高温(B型やA型)の「主系列星」です。図3とは一致しません。

・ 球状星団M3は年老いているため、高温の主系列星は既に寿命を終えています。星団の中で最も明るい星は、主系列から進化してHR図の右上に移動した「巨星」(赤色巨星)です。

図3のプロット(K~M型の明るい星々)は、球状星団M3の最も明るい「巨星」を測定した結果とよく一致します。

①【誤】散開星団プレアデス(最も明るいのは主系列星)ではありません。

②【誤】散開星団プレアデスではありません。

③【誤】恒星の種類が主系列星(図3は巨星)ではありません。

④【正】星団名は球状星団M3、恒星の種類は巨星です。

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