2017年度 大学入試センター試験 本試験 国語 解答・解説

2017年度 大学入試センター試験 本試験「国語」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2017年度(平成29年度)センター試験本試験「国語」の全問題について、当サイトが独自に作成した解答・解説です。第1問から第4問まで、大問ごとに設問を折りたたんで掲載しています。知りたい設問をクリックしてご覧ください。

国語は全4問・200点満点(各大問50点)で、第1問が評論、第2問が小説、第3問が古文、第4問が漢文です。試験時間は80分なので、単純に割れば1問あたり20分。設問数は24、解答番号は36あります。

※ 著作権に配慮し、本文そのものは掲載していません。問題文は上の「過去問題はこちら」から大学入試センター公開の冊子でご確認ください。

第1問 評論 小林傳司『科学コミュニケーション』(配点50)

科学技術と社会の関係を論じた評論です。十六世紀からの科学の変質、コリンズとピンチの共著『ゴレム』が唱えた科学観、そしてその議論の限界という三段構成で、段落番号が振られているため構成把握問題にも対応しやすくなっています。

問1:正解 ⑤・⑤・③・①・④(配点各2)

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(オ)と同じ漢字を含むものを選ぶ、漢字の書き取りの問題。

<考え方>
(ア)バイゾウは「倍増」なので、「旧に倍したご愛顧」の⑤。培養・媒体・陪審・賠償と紛らわしい同音字が並びます。(イ)ヨウインは「要因」で、同じ「因」を含むのは「起因した事故」の⑤。(ウ)ヤッカイは「厄介」で、「厄年」の③。(エ)センコクは「宣告」、同じ「告」は「上告」の①。(オ)イやされるは「癒やされる」で、「癒着」の④。いずれも音が同じ字を先に消していくと絞れます。

問2:正解 ⑤(配点8)

<問題要旨>
傍線部A「先進国の社会体制を維持する重要な装置となってきている」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
傍線部の直前までで筆者は、現代の科学―技術が実験室の中に天然では生じない条件を作り出して人工物を生み、自然に介入し操作する能力を身につけ、その産物が商品や製品として日々の生活に放出されると述べています。つまり科学はもはや知的活動という側面より、先進国の仕組みを支える実利的な要素になっているということです。この二点をそろえた⑤が正解。①は「知的な楽しみ」からの変化に触れますが「国力を顕示する手段」に力点があり、④は「世界大戦の勝敗を決する戦力」に限定していて、いずれも傍線部の「社会体制を維持する」に届きません。

問3:正解 ④(配点8)

<問題要旨>
傍線部B「『もっと科学を』というスローガンの説得力は低下し始め」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
直前の段落で、科学―技術は自然の脅威を制御できるようにした一方で、その作り出した人工物が人類にさまざまな災いをもたらし始めたと述べられています。環境ホルモンや地球環境問題がその例です。「役立つものを作り出したが、予想外の災いももたらし、成果への全的な信頼感が揺らぎつつある」とまとめた④が正解。⑤は「新知識が市民の生活感覚から乖離する」ことを理由にしており、本文が挙げる「災い」という具体的な理由とずれます。

問4:正解 ③(配点8)

<問題要旨>
傍線部C「ゴレムのイメージに取りかえることを主張した」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
本文のゴレムは、人間が創り出し、魔術的力を備えて日々成長し、人間の代わりに働いて外敵から守る一方、不器用で危険であり、適切に制御しなければ主人を破壊する怪物です。つまり「善か悪か」ではなく「役に立つが欠陥もあり制御を要する」存在。この両義性を押さえ、現実の科学を「人類に寄与する一方で制御困難な問題も引き起こす存在」とした③が正解です。②は「人間に従属させる」、④は「万能」と、いずれもゴレムの説明としてずれています。

問5:正解 ④(配点8)

<問題要旨>
傍線部D「この議論の仕方には問題がある」の理由を選ぶ問題。

<考え方>
最終段落で筆者は、コリンズとピンチは科学者の一枚岩という神話を掘り崩すことには成功したが、その作業のために「一枚岩の一般市民」という描像を前提にしてしまっている、と指摘します。つまり二人は、一般市民を科学の「ほんとうの」姿を知らない存在と決めつけており、その点では批判した科学者と同じ構えだということです。これをそのまま述べた④が正解。

問6(ⅰ):正解 ③(配点4)

<問題要旨>
第1〜8段落の表現に関する説明として、適当でないものを選ぶ問題。

<考え方>
第6段落の「コリンズとピンチの処方箋」は、二人の提案を医療の比喩で表した表現ですが、本文はそれを「極端な対症療法であると見なされていた」とは述べていません。よって③が不適当です。①のかぎ括弧と「という」、②の「一石を投じた」、④の「しかし〜わからない……」の繰り返しは、いずれも本文の表現と説明が対応しています。

問6(ⅱ):正解 ①(配点4)

<問題要旨>
文章全体の構成・展開に関する説明として、適当でないものを選ぶ問題。

<考え方>
第4段落は、科学者が依然として「もっと科学を」という発想になじんでいる一方で「科学が問題ではないか」という意識が社会に生まれていると述べる段落であり、それまでの諸状況が「科学者の高慢な認識を招いた」と結論づけてはいません。よって①が不適当。②〜④の、ケーススタディーの紹介、第10〜11段落での主張の確認、第12〜13段落での筆者の見解という流れは本文どおりです。

第2問 小説 野上弥生子『秋の一日』(配点50)

長い病から回復した主人公・直子が、子供と女中を連れて秋の一日を上野で過ごす物語です。展覧会で亡き学友の絵に出会い、追憶に沈む場面が山になります。登場人物の心情を、風景描写や語り手の言い回しから丁寧に読み取る力が問われます。

問1:正解 ①・②・①(配点各3)

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の本文中における意味を選ぶ、語句の問題。

<考え方>
(ア)「呆っけに取られた」は、思いがけないものに驚いてぼんやり見入るさま。初めて見る踊りの群れに見入る子供の様子なので「驚いて目を奪われたような」の①。(イ)「生一本」は混じり気のないこと、ひたむきなことで「純粋」の②。(ウ)「あてつけがましい」は、遠回しに相手を非難する当てこすりのような調子で「いかにも皮肉を感じさせるような」の①。語義を辞書的に押さえたうえで、場面に合うかを確かめましょう。

問2:正解 ④(配点7)

<問題要旨>
傍線部A「誠に物珍らしい楽しい事が急に湧いたような気がして」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
直子は病床で、回復したら籠に好きな物を入れてピクニックに行くのを楽しみにしていましたが、その秋も籠は一度も使われず、特別に行きたい場所も思いつきませんでした。そこへ、翌日が秋日和になりそうだと思い、展覧会を朝早くに見て、そのあと上野から静かな田舎へ回ろうと思いついたのです。「適当な行き先が思い当たらずにいたところ」「絵を見た後に郊外へ出掛ければいいとふいに気がついて」とまとめた④が正解。

問3:正解 ⑤(配点8)

<問題要旨>
傍線部B「この微笑の底にはいつでも涙に変る或物が沢山隠れているような気がした」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
直子は、秋晴れの光の中で小鳥や魚のように動く子供たちの「ただその有様」が胸に沁みて、思わず微笑みます。そしてその微笑には、理由もなく流れ出る涙と同じものが潜んでいると感じるのです。直後に「この涙の後に浮ぶ、いつもの甘い悲しみを引いた安らかな心」とある点も手がかりになります。「純粋なものに心を動かされてひとりでにあふれ出す涙に通じるものがある」とした⑤が正解。

問4:正解 ②(配点8)

<問題要旨>
傍線部C「こうした雲のような追懐に封じられてる」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
亡くなった学友・淑子さんの絵を見たことから、女学校時代の記憶が次々によみがえります。しかし淑子さんはすでにこの世になく、思い出の中の自分も「全く違った別の人」のように感じられる——だから直子はその追憶から抜け出せずにいるのです。「当時のことは鮮やかに思い出されるのに淑子さんはすでに亡く、自分自身も変化していることに気づかされて、もの思いから抜け出すことができずにいる」とした②が正解。

問5:正解 ④(配点8)

<問題要旨>
自分の子供を見守る直子の心情の説明として、最も適当なものを選ぶ問題。

<考え方>
直子は、色鮮やかな大きな絵を子供がどんな顔で眺めるかに注目しています。そして子供が裸体像を指して「おっぱい、おっぱい」と言うと、直子も女中も声を上げて笑い、まだ朝で入場者が少なかったため、その戯れは誰の邪魔にもなりませんでした。「その反応を見守ろうとする直子の心情」「周囲への気兼ねなく楽しむ直子ののびやかな気分」とした④が正解です。

問6:正解 ④・⑤(配点各5・順序は問わない)

<問題要旨>
本文の表現に関する説明として、適当でないものを二つ選ぶ問題。

<考え方>
④は、直子が絵の知識をもたない素人だと述べる箇所を「直子の無知を指摘し、突き放そうとする表現」としていますが、語り手はむしろ直子に寄り添って、だからこそ自分の好きなものを素直に見るのだと説明しており、突き放してはいません。⑤は、絵画も彫刻も品定めから免れて休息しているように見えた、という擬人的な表現を、「かたどられた人たちの生き生きとした姿」の描写と取り違えています。よって④・⑤の二つが不適当。①〜③・⑥は、傍点・色彩語・擬音語・回想の描写について正しく説明しています。

第3問 古文 『木草物語』(配点50)

主人公の菊君が側近の蔵人の屋敷を訪ね、隣家に住む若い尼を垣間見て心引かれる場面です。『源氏物語』若紫巻や夕顔巻を思わせる設定で、和歌の贈答も含まれます。敬語から主語を判断する力と、助動詞の識別が問われます。

問1:正解 ③・③・④(配点各5)

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の解釈として最も適当なものを選ぶ問題。

<考え方>
(ア)「にげなきまで」の「にげなし」は「似げ無し」で、似つかわしくない・不釣り合いだの意。荒れた葎の宿に不似合いなほど上品で可憐だ、という文脈なので「不釣り合いなほど」の③。(イ)「聞こえまほしき」は謙譲語「聞こゆ(申し上げる)」+願望の「まほし」で「申し上げたい」の③。(ウ)「あやしう」は、夢でもないのに面影が枕元に添っている気がする、という文脈なので「不思議なことに」の④。

問2:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
波線部a〜eの助動詞を意味によって三つに分ける組合せを選ぶ問題。

<考え方>
aの「目馴れ給はぬ」とeの「夢ならぬ」は、どちらも打消の助動詞「ず」の連体形。bの「尼にやあらむ」は推量の「む」。cの「そむきぬらむ」とdの「臥し給ひね」は完了の「ぬ」で、cは終止形、dは命令形です。したがって(a・e)(b)(c・d)と分かれ、⑤が正解。完了の「ぬ」と打消の「ぬ」は、直前が連用形か未然形かで見分けます。

問3:正解 ②(配点7)

<問題要旨>
傍線部A「御心地」の説明として最も適当なものを選ぶ問題。

<考え方>
菊君は、隣家の透垣越しに二十歳ほどの若い女性を垣間見て、「いとあはれなる人を見つるかな、尼ならずは、見ではえやむまじき」という気持ちになります。尼らしいとわかっていながら、それでも逢わずにはいられないという恋情です。「尼であるらしいとは思いながらも湧き上がってくる菊君の恋心」とした②が正解。①の「好奇心」、⑤の老尼の親心は、主語も内容も外れています。

問4:正解 ②(配点8)

<問題要旨>
傍線部B「眠たげにもてない給うて」の説明として最も適当なものを選ぶ問題。

<考え方>
菊君は歌を書いた畳紙を童に託して隣家へ遣わし、その返事を待ちわびています。ところが主(蔵人)たちが次々に話しかけてきて離れないので、「あやにくなる人しげさをわびしう思せば」眠そうなふうを装い、「さあ、早くお休みなさい」と言って人々を下がらせたのです。「人々を遠ざけるために眠そうなそぶりを見せた」とした②が正解。

問5:正解 ④(配点8)

<問題要旨>
X・Yの和歌に関する説明として最も適当なものを選ぶ問題。

<考え方>
Xは菊君の歌で、たそがれ時にほのかに見た「宿の花の夕顔」、すなわち垣間見た女性のいる家とその人を詠んでいます。Yはその返歌で、ここは世を背いた者の住む荒れた粗末な家であり、あなたがご覧になったという「花の夕顔」などいるはずがない、と切り返しています。この対応を正しくとらえた④が正解。『源氏物語』夕顔巻の贈答を踏まえた構図だと気づくと読みやすくなります。

問6:正解 ①(配点8)

<問題要旨>
登場人物に関する説明として最も適当なものを選ぶ問題。

<考え方>
童は菊君に問われて、隣家の二人が主(蔵人)の姉妹にあたる尼とその娘であること、娘も同じように出家していること、そして「身のほどよりはいやしげなくて、こよなう思ひ上がりたる人ゆゑ」出家したのだろうという見立てまで答えています。さらに歌を託されたときも、事情はのみこめないながら「あるやうあらむ」と察して懐に入れて出かけました。これらをまとめた①が正解です。

第4問 漢文 新井白石『白石先生遺文』(配点50)

新井白石が自著『江関遺聞』を著した理由を説く文章です。遠く隔たれば大きなものも小さく見えるという比喩から始まり、「刻舟求剣」の故事を挟んで、時代の隔たりと事物の変化という主題に至ります。

問1:正解 ⑤・②(配点各4)

<問題要旨>
波線部(ア)「蓋」、(イ)「愈」のここでの読み方を選ぶ問題。

<考え方>
(ア)の「蓋」は、文頭で推量を導く副詞として用いられており「けだし」と読みます。よって⑤。「なんぞ」と読むのは「蓋(なんぞ)=盍」の用法で、ここは反語ではありません。(イ)の「愈」は程度が進むことを表す副詞で「いよいよ」と読み、②。「愈遠く」「愈多く」と対句で並んでいる点も手がかりです。

問2:正解 ②・③(配点各5)

<問題要旨>
傍線部(1)「千載之上」、(2)「舟車之所湊」のここでの意味を選ぶ問題。

<考え方>
(1)は直前の「千載之下に居りて」と対をなしており、千年後の今から千年前を求める、という文脈です。したがって「遠い過去」の②。「載」は「年」の意味で、「上」は時間的にさかのぼる方向を指します。(2)の「湊」は水が集まる、寄り集まるの意。船と車が集まる場所ですから「水陸の交通の要衝」の③です。

問3:正解 ②(配点8)

<問題要旨>
傍線部A「聴雷霆於百里之外者、如鼓盆、望江河於千里之間者、如縈帯、以其相去之遠也」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
百里も離れた所で雷鳴を聞けば盆を叩く音のようにしか聞こえず、千里の彼方から大河を望めば帯を巻いたように細く見える——それは距離が遠く隔たっているからだ、という内容です。「本来は大きなものも、小さく感じられる」とまとめた②が正解。①は聴覚と視覚の違いに帰しており、④は「危険なものも怖くなくなる」と、本文にない要素を加えています。

問4:正解 ④(配点8)

<問題要旨>
傍線部B「豈不惑乎」と述べる理由を、「刻舟求剣」の故事に即して選ぶ問題。

<考え方>
故事では、船が進んで場所が変わっているのに、剣を落とした時に船べりにつけた傷を頼りに、停泊してから水中を探します。筆者はこれを、古を今の尺度で求める態度になぞらえ、「その刻此に在り、是れ従りて墜つる所なり」と言うのは惑いではないかと述べます。「船が今停泊している場所と、剣を落とした場所との違いに気づいていないから」とした④が正解。

問5:正解 ②(配点8)

<問題要旨>
傍線部C「其地之為名、訪之於古、未之聞」の返り点の付け方と書き下し文の組合せを選ぶ問題。

<考え方>
意味は「その土地の名について、それを古い記録に尋ねてみても、まだ聞いたことがない」。「訪之於古」は「之を古に訪ぬるも」と読むので、「訪」に二点、「古」に一点を付けて「之於古」を返読します。「未之聞」は再読文字「未」を用い、「未だ之を聞かず」と読むので「未」に三点、「聞」に一点。この組合せは②です。①は「未だ之くを聞かず」と「之」を動詞に取っており、意味が通りません。

問6:正解 ①(配点8)

<問題要旨>
傍線部D「『遺聞』之書、所由作也」——『江関遺聞』が書かれた理由を選ぶ問題。

<考え方>
江戸は今でこそ天下の大都会だが、その地名を古い記録に探しても見当たらない。とすれば、後の世から今の江戸を見るときも、隔たりが遠くなるほど事物は変わり、知りたいことを求めても得られないだろう——筆者はそこに感じるところがあって『遺聞』を著したのです。「未来の江戸も今とは全く違った姿になっているはずなので、後世の人がそうした違いを越えて、事実を理解するための手助けをしたい」とした①が正解です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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