2018年度 大学入試センター試験 本試験 生物 解答・解説

2018年度 大学入試センター試験 本試験「生物」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2018年度(平成30年度)大学入試センター試験 本試験「生物」の全問解説です。第1問〜第5問が必答で各18点(計90点)、第6問と第7問はどちらか1問を選択して解答します(各10点)。このページでは第6問・第7問の両方を解説しているため、表示している配点の合計は110点になります(満点は100点)。解答番号は大問ごとに1から振り直される形式なので、各設問の解答番号はその大問の中での番号です。第1問〜第5問はA・Bの2つの文章に分かれているため、この記事もA・Bごとに見出しを分けています。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と手順が開きます。まちがえた設問だけを選んで確認してください。

第1問 A タンパク質のはたらき(ホルモン・抗体・酵素)

インスリン、抗体、酵素という3種類のタンパク質を順に確認します。問2は抗体の2本の鎖の名前を、DNA 複製の用語と取り違えていないかを試す設問です。

問1:正解 ③(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
ペプチドホルモンであるインスリンに関する記述として最も適当なものを選びます。

<考え方>
ホルモンが細胞のどこに結合するか、そしてインスリン分子がどんな構造をしているかを確認します。A鎖とB鎖がジスルフィド結合でつながっている点が③と④の判定に効きます。

① インスリンは細胞表面から分泌され
  別の細胞のミトコンドリアに結合する

  ホルモンが結合するのは
  標的細胞の受容体
  ミトコンドリアではない    ×

② インスリンはイオンチャネルに結合し
  細胞外の陽イオンを流入させる

  インスリン受容体は
  酵素と共役した受容体で
  イオンチャネルではない    ×

③ インスリンは2本のポリペプチド鎖が
  結合したものである

  A鎖(21アミノ酸)とB鎖(30アミノ酸)が
  ジスルフィド結合でつながっている ○

④ インスリンは硫黄原子を含むアミノ酸を
  もたない

  ジスルフィド結合をつくるのは
  システインの側鎖の硫黄
  硫黄を含むアミノ酸をもつ   ×

よって ③
問2:正解 ②(解答番号2/配点3)

<問題要旨>
免疫に関与するタンパク質(抗体)に関する記述として最も適当なものを選びます。

<考え方>
抗体の構造(H鎖・L鎖、可変部・定常部)と、抗体の多様性がどうやって生まれるかを確認します。1個の B 細胞がつくる抗体は何種類かもポイントです。

① 抗体はラギング鎖およびリーディング鎖と
  よばれる2種類のポリペプチド鎖が
  結合したもの

  抗体は H鎖(重鎖)2本と
  L鎖(軽鎖)2本からなる
  ラギング鎖・リーディング鎖は
  DNA 複製の用語        ×

② 抗体の可変部は、対応する抗原ごとに
  立体構造が異なる

  可変部のアミノ酸配列が違うので
  立体構造も違い、特定の抗原と結合する ○

③ 抗体の多様なアミノ酸配列は
  ペプチド結合の切断と再結合によってつくられる

  多様性の源は
  B 細胞が分化するときの
  「遺伝子の再構成」      ×

④ 1個の B 細胞が多種類の抗体を産生する

  1個の B 細胞がつくる抗体は1種類 ×

よって ②
問3:正解 ⑤(解答番号3/配点3)

<問題要旨>
酵素についての文章中の ア(酵素が活性化エネルギーをどうするか)、イ(ペプシンの最適 pH)、ウ(基質が結合する部位)、エ(基質以外の物質が結合して活性を変化させる部位)に入る語と数値の組合せを選びます。

<考え方>
触媒のはたらきの定義から ア が決まります。イは胃液が強い酸性であることから。ウとエは名前を取り違えないよう、意味とセットで覚えます。

【ア 触媒のはたらき】
 触媒は反応の活性化エネルギーを
 低下させることで反応を速める

 ア = 低下

【イ ペプシンの最適 pH】
 ペプシンは胃液中ではたらく
 胃液は強い酸性(pH 2 前後)

 ア = 2
(トリプシンは約8、だ液アミラーゼは約7)

【ウ・エ 2つの部位】
 活性部位
  基質が結合して反応が起こる部位

 アロステリック部位
  基質以外の特定の物質が結合して
  酵素の立体構造を変え
  活性を変化させる部位
  (アロステリック酵素)

 ウ = 活性部位
 エ = アロステリック部位

よって ⑤

第1問 B 核酸と選択的スプライシング

DNA と RNA の基本構造から、塩基組成の計算、そして選択的スプライシングの場合の数までを扱います。問5は「2本鎖では C=G」という規則を、片方の鎖と RNA に読み替える練習になります。

問4:正解 ①(解答番号4/配点3)

<問題要旨>
DNA と RNA に関連する記述として最も適当なものを選びます。

<考え方>
複製と転写で「両方の鎖を使うか、片方だけか」が違うことを押さえます。ヌクレオチドどうしの結合部位と、染色体を形づくるタンパク質も確認します。

① DNA の複製は2本鎖の両鎖で行われるが
  転写は遺伝子ごとにどちらか片方の鎖を
  鋳型として行われる

  複製は両方の鎖が鋳型になる
  転写は必要な側の鎖だけを使う  ○

② 真核生物で複製は核内、転写は細胞質基質

  転写も核内で起こる       ×

③ 隣り合ったヌクレオチドどうしの結合は
  リン酸どうしの間で形成される

  結合するのは
  一方の糖と他方のリン酸の間
  (ホスホジエステル結合)    ×

④ DNA は細胞分裂の際に rRNA と結合して
  凝縮し染色体となる

  結合するのはヒストン(タンパク質)
  rRNA ではない          ×

よって ①
問5:正解 ⑤(解答番号5/配点3)

<問題要旨>
ある mRNA 前駆体の全塩基に占めるシトシンの比率は 15 %、そのもととなった転写領域の2本鎖 DNA の全塩基に占めるシトシンの比率は 24 % でした。この RNA を構成するグアニンの比率(オ)を求めます。

<考え方>
2本鎖 DNA では C=G なので、C+G の合計がわかります。RNA は鋳型鎖に相補的なので「RNA の G = 鋳型鎖の C」「RNA の C = 鋳型鎖の G」と置きかえて計算します。

【2本鎖 DNA の塩基組成】
 C が 24 %
 シャルガフの規則より G も 24 %

 C + G = 48 %

【鋳型鎖だけを見ると】
 鋳型鎖の C を c、G を g とすると
 相手の鎖の G は c、C は g

 全体の C = (c + g)/2 = 24 %
 → c + g = 48 %

 つまり鋳型鎖でも C + G = 48 %

【RNA に置きかえる】
 RNA は鋳型鎖に相補的なので
  RNA の C = 鋳型鎖の G = g
  RNA の G = 鋳型鎖の C = c

 RNA の C = 15 % → g = 15 %

 c + g = 48 %
 c = 48 − 15 = 33 %

 RNA の G = c = 33 %

よって ⑤
問6:正解 ④(解答番号6/配点3)

<問題要旨>
図1の4つのエキソン(1〜4)とその間のイントロン(a〜c)を含む mRNA 前駆体から、選択的スプライシングによってエキソンの組合せが異なる mRNA が生成されます。エキソン1とエキソン4は常に含まれ、イントロンは全て除去されるとき、最大で何種類の mRNA が生成されるかを求めます。

<考え方>
「常に含まれるもの」と「含まれても含まれなくてもよいもの」に分けます。自由に選べるものが n 個あれば 2ⁿ 通りです。

【エキソンの扱い】
 エキソン1 … 常に含まれる(固定)
 エキソン2 … 含む/含まない(2通り)
 エキソン3 … 含む/含まない(2通り)
 エキソン4 … 常に含まれる(固定)

【場合の数】
 2 × 2 = 4 通り

【具体的に書き出すと】
 1 − 2 − 3 − 4
 1 − 2 − 4
 1 − 3 − 4
 1 − 4

 4 種類

よって ④

第2問 A 両生類の原基分布図と外胚葉領域の変化

原基分布図の読み取りと、原腸胚期に外胚葉が広がるしくみを扱います。問2は3つの実験を「何を切ったときに何が起きたか」で整理すれば、S 層と遺伝子 A の役割が分かれて見えてきます。

問1:正解 ④(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
図1(両生類の胞胚の原基分布図)中の ア〜エ の領域から将来できる組織または器官の組合せを選びます。

<考え方>
動物極側から植物極側へ、外胚葉・中胚葉・内胚葉の順に並びます。中胚葉はさらに、脊索・体節・側板に分かれることを思い出します。

【原基分布図の並び】
 動物極側 … 外胚葉(表皮・神経)
 赤道付近 … 中胚葉
 植物極側 … 内胚葉

【中胚葉の内訳】
 原口の上(背側)… 脊索
 その両隣    … 体節
 さらに外側   … 側板

【ア〜エ の対応】
 ア 表皮の下、側方 … 側板
  → 心臓・血管・腎臓など

 イ 神経の下     … 体節
  → 真皮・骨格筋・脊椎骨

 ウ 原口のできる位置の上 … 脊索

 エ 植物極側     … 内胚葉
  → 消化管・肺・肝臓など

 ア = 心臓
 イ = 真皮
 ウ = 脊索
 エ = 肺

よって ④
問2:正解 ①・⑦(解答番号2・3/配点6)

<問題要旨>
実験1(S 層で発現する遺伝子 A の機能を失わせると外胚葉領域が広がらず、D 層が単層化しなかった)、実験2(野生型の S 層と D 層を離して培養すると D 層の細胞が S 層の方へ移動した)、実験3(遺伝子 A の機能を失った胚の S 層と野生型の D 層では移動しなかった)から導かれる考察を二つ選びます。

<考え方>
実験1と実験2で「S 層が何に関わるか」を、実験3で「遺伝子 A が何に関わるか」を切り分けます。実験3は S 層だけを変異体にしているのが手がかりです。

【実験1 が示すこと】
 S 層の遺伝子A を失うと
  外胚葉領域が広がらない
  D 層が単層化しない
 → S 層は D 層の単層化に関わる

【実験2 が示すこと】
 野生型の S 層と D 層を離して置くと
  D 層の細胞が S 層の方へ移動
 → S 層は D 層の細胞移動に関わる

【①の判定】
 S 層は、D 層の単層化と
 D 層の細胞移動の両方に関わる
 実験1と実験2から言える  ○ 適当

【実験3 が示すこと】
 遺伝子A を失った S 層では
  野生型の D 層でも移動しない
 → 遺伝子A が細胞移動を引き起こしている
 → S 層側から D 層を引き寄せている

【⑦の判定】
 遺伝子A は、D 層の細胞を
 S 層の方へと引き寄せることに関わる
              ○ 適当

(⑧の「遠ざける」は逆
  ⑤⑥の「関わらない」は実験と矛盾)

よって ① と ⑦

第2問 B 花粉管の誘引と被子植物の生殖

花粉管が胚のうへ向かう能力を、どこでどうやって獲得するのかを調べる実験です。問3は6つの条件を「花柱の長さ」「放置時間」「花柱の有無」の3軸で読み分けます。

問3:正解 ②・⑤(解答番号4・5/配点6)

<問題要旨>
実験4(トレニアの柱頭に花粉をつけた後、柱頭から 5 mm または 15 mm で花柱を切断し、6時間または12時間放置。あるいは受粉させずに寒天培地上で発芽させ、花粉管誘引物質に向かった花粉管の割合を調べた図5)の結果から導かれる考察として適当なものを二つ選びます。

<考え方>
図5で数値が出ているのは条件 d だけです。d と他の条件との違いを1つずつ探すと、必要な条件が浮かび上がります。花粉管の長さは条件群でそろえてあるので、長さでは説明できません。

【図5 の読み取り】
 条件a(受粉あり・5mm・6時間)  ほぼ0 %
 条件b(受粉あり・5mm・12時間) ほぼ0 %
 条件c(受粉あり・15mm・6時間) ほぼ0 %
 条件d(受粉あり・15mm・12時間) 約61 %
 条件e(花柱なし・6時間)    ほぼ0 %
 条件f(花柱なし・12時間)    ほぼ0 %

【条件を1つずつ比べる】

 e・f がほぼ0 %
 → めしべ(花柱)が必要
 → ① 「めしべは関わらない」は誤り

 b(5mm・12時間)は0 %、d(15mm・12時間)は61 %
 → 花柱の長さが関わる
 → ② 適当

 c(15mm・6時間)は0 %、d は61 %
 → 放置時間も関わる
 → ③ 「関わらない」は誤り

 花柱を通過してはじめて能力を得る
 → ⑤ 適当

【④・⑥ の判定】
 ④ 能力が常に一定なら
  条件による差が出ないはず   ×
 ⑥ 条件群 b・d・f は花粉管の長さが同程度
  なのに d だけ61 %
  長さだけでは決まらない    ×

よって ② と ⑤
問4:正解 ①(解答番号6/配点3)

<問題要旨>
被子植物の生殖に関する記述として最も適当なものを選びます。

<考え方>
重複受精のしくみと、花粉と胚のうができる過程での「いくつ残るか」を確認します。花粉四分子は4個とも花粉になるのに対し、胚のう側は3個が退化します。

① 1個の精細胞は中央細胞と融合し
  将来、胚乳をつくる

  重複受精
   精細胞 + 卵細胞 → 受精卵(2n)
   精細胞 + 中央細胞(極核2個)→ 胚乳(3n)
                ○

② 花粉管の中で花粉管細胞が精細胞になる

  精細胞になるのは雄原細胞
  花粉管細胞は花粉管を伸ばす側 ×

③ 精細胞と卵細胞の受精で 3n の受精卵

  受精卵は 2n
  3n になるのは胚乳       ×

④ 花粉四分子のうち3個は退化し
  1個が成熟した花粉になる

  花粉四分子は4個とも花粉になる ×

⑤ 1個の胚のう母細胞は減数分裂を経て
  3個の胚のう細胞になる

  4個できるうち3個が退化し
  胚のう細胞になるのは1個    ×

よって ①

第3問 A 神経筋接合部と筋収縮

刺激の伝達から筋収縮までを順に追い、単収縮と強縮の違いを図から読み取ります。問2は「2回目の刺激が1回目の収縮が終わる前か後か」を図1のグラフで確かめるのがすべてです。

問1:正解 ⑤(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
骨格筋の収縮のしくみについての文章中の ア(運動神経の末端から分泌される神経伝達物質)、イ(受容体に結合したときに流入する陽イオン)、ウ(筋小胞体から放出されるもの)に入る語の組合せを選びます。

<考え方>
神経筋接合部で使われる伝達物質、興奮を起こすイオン、そして筋収縮の引き金になるイオンの3つを順に確認します。グルカゴンはホルモンなのでここでは使いません。

【ア 神経伝達物質】
 運動神経と筋細胞のシナプス
 (神経筋接合部)で放出されるのは
 アセチルコリン

 グルカゴンはすい臓から分泌されるホルモンで
 神経伝達物質ではない

 ア = アセチルコリン

【イ 流入する陽イオン】
 アセチルコリン受容体は
 イオンチャネル型

 開くと Na⁺ が細胞内へ流入し
 膜電位が上昇(脱分極)する

 K⁺ は流出して膜電位を下げる側

 イ = Na⁺

【ウ 筋小胞体から放出されるもの】
 活動電位が筋細胞に伝わると
 筋小胞体から Ca²⁺ が放出される

 Ca²⁺ がトロポニンに結合して
 トロポミオシンの位置が変わり
 アクチンの結合部位が現れる

 (トロポニンは放出されるものではなく
  Ca²⁺ を受け取るタンパク質)

 ウ = Ca²⁺

よって ⑤
問2:正解 ④(解答番号2/配点3)

<問題要旨>
実験1(1回の刺激で単収縮、最小値 L₁)、実験2(80ミリ秒後に再度刺激、最小値 L₂)、実験3(160ミリ秒後に再度刺激、最小値 L₃)について、L₁・L₂・L₃ の大きさに関する正しい式の組合せを選びます。

<考え方>
図1で単収縮が何ミリ秒で終わるかを読みます。2回目の刺激がその前なら収縮が重なり(加重)、後なら独立した単収縮になります。「筋肉の長さ」なので、強く縮むほど値は小さくなる点に注意します。

【図1 の読み取り】
 刺激から約20ミリ秒で収縮が始まり
 約55ミリ秒で最も短くなり(L₁)
 約120ミリ秒でもとの長さに戻る

【実験2(80ミリ秒後)】
 80ミリ秒の時点では
 まだもとの長さに戻っていない
 → そこへ2回目の刺激が加わる
 → 収縮が重なる(加重が起こる)
 → さらに短くなる

 L₂ < L₁ … ⓑ

【実験3(160ミリ秒後)】
 160ミリ秒の時点では
 1回目の収縮は完全に終わっている
 → 2回目は独立した単収縮
 → 最小値は L₁ と同じ

 L₃ = L₁

【L₃ と L₂ の関係】
 L₂ < L₁ = L₃
 → L₃ > L₂ … ⓓ

正しいのは ⓑ と ⓓ

よって ④
問3:正解 ③(解答番号3/配点3)

<問題要旨>
骨格筋の収縮のしくみについての文章中の エ(ATP をどうするか)、オ(形状が変化するタンパク質)、カ(たぐり寄せられるフィラメント)、キ(短くなる帯)に入る語の組合せを選びます。

<考え方>
滑り説を図で思い出します。頭部をもち ATP を分解するのがどちらのタンパク質か、そして明帯と暗帯のどちらが短くなるかがポイントです。

【エ ATP の扱い】
 ミオシン頭部が ATP を分解し
 そのエネルギーで形状が変化する

 エ = 分解

【オ 形状が変化するタンパク質】
 頭部をもち、動くのはミオシン

 オ = ミオシン

【カ たぐり寄せられるフィラメント】
 ミオシン頭部がアクチンフィラメントを
 たぐり寄せ、ミオシンフィラメントの間へ
 滑り込ませる

 カ = アクチン

【キ 短くなる帯】
 暗帯 … ミオシンフィラメントのある範囲
     長さは変わらない
 明帯 … アクチンだけの範囲
     滑り込むぶん短くなる

 キ = 明帯

(サルコメア全体も短くなる)

よって ③

第3問 B 病害抵抗性反応と植物ホルモン

遺伝子 X が病害抵抗性反応を抑え、遺伝子 Y がその X を抑える、という二重の抑制関係を読み解きます。問5は「X がなければ Y の有無は関係ない」ことに気づけば一瞬で決まります。

問4:正解 ク ①・ケ ⑥・コ ⑦(解答番号4〜6/配点6)

<問題要旨>
病原体についての文章中の ク(乾燥時に葉で濃度が上昇し気孔を閉じさせる物質)、ケ(イネばか苗病菌が分泌し種子の発芽や茎の伸長を促進する植物ホルモン)、コ(アグロバクテリウムの T-DNA 上にあり、オーキシンとともにカルス形成に関わるホルモン)に入る語を選びます。

<考え方>
植物ホルモンの代表的なはたらきを1つずつ思い出します。とくにジベレリンは「イネばか苗病菌から発見された」という発見の経緯がそのまま手がかりになります。

【ク 気孔を閉じさせる物質】
 アブシシン酸
  乾燥ストレスで葉に蓄積し
  孔辺細胞にはたらいて気孔を閉じる

 ク = ① アブシシン酸

【ケ 発芽や茎の伸長を促進】
 ジベレリン
  イネばか苗病菌がつくる物質として
  発見された植物ホルモン
  種子の発芽促進、茎の伸長促進

 ケ = ⑥ ジベレリン

【コ カルス形成に関わるホルモン】
 オーキシンとサイトカイニンを
 適切な比率で与えると
 カルス(未分化な細胞塊)ができる

 アグロバクテリウムの T-DNA には
 この2つの合成遺伝子があり
 感染部位にこぶ(カルス状の細胞塊)ができる

 コ = ⑦ サイトカイニン

ク = ①, ケ = ⑥, コ = ⑦
問5:正解 ②(解答番号7/配点3)

<問題要旨>
遺伝子 X と Y の両方を欠く突然変異体 xy に、実験4と同じ条件で病原細菌 A を感染させたとき、実験4(図2)の結果から予想される感染葉の単位面積あたりの細菌数として最も適当なものを選びます。

<考え方>
まず X と Y の関係を式のように書き出します。Y は X を抑えるだけなので、X がもともとない状態では Y があってもなくても結果は変わりません。

【関係の整理】
 遺伝子X … 病害抵抗性反応を 抑制 する
 遺伝子Y … 遺伝子X を 抑制 する

【図2 の読み取り】
 野生型   約10⁶ 個/cm²
 変異体x  約10⁴(細菌が少ない)
 変異体y  約10⁸(細菌が多い)

 変異体x(X なし)
  → 抑制が外れ、病害抵抗性反応が強く働く
  → 細菌が増えにくい

 変異体y(Y なし)
  → X が抑えられず、抵抗性反応が起こらない
  → 細菌が増えやすい

【変異体xy(X も Y もなし)】
 Y のはたらきは「X を抑えること」だけ
 そもそも X がないので
 Y の有無は結果に影響しない

 → 変異体x と同じ状態
 → 細菌数は変異体x と同程度(約10⁴)

よって ②

第4問 A 窒素の循環と森林の物質収支

窒素固定と、森林の純生産量の計算を扱います。問2は「1年間の現存量の差が成長量」という但し書きがそのまま計算の出発点になります。

問1:正解 ⑥(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
窒素についての文章中の ア(タンパク質とともに窒素を含む物質)、イ(窒素固定細菌と共生する植物の科)、ウ(その窒素固定細菌)に入る語の組合せを選びます。

<考え方>
窒素を含む生体物質は何かをまず考えます。次に、根に共生する窒素固定細菌の名前と、共生する代表的な植物のグループを思い出します。

【ア 窒素を含む物質】
 タンパク質のほかに窒素を含むのは
 核酸(DNA・RNA)
  塩基に窒素が含まれる

 ピルビン酸は C₃H₄O₃ で窒素を含まない

 ア = 核酸

【イ・ウ 窒素固定細菌との共生】
 根粒菌は
  マメ科植物の根に根粒をつくって共生し
  大気中の N₂ をアンモニウムイオンに変える

 植物は窒素化合物を受け取り
 細菌は光合成産物を受け取る(相利共生)

 担子菌はキノコのなかまで
 窒素固定は行わない

 イ = マメ科
 ウ = 根粒菌

よって ⑥
問2:正解 ⑥(解答番号2/配点3)

<問題要旨>
表1(Y 年の現存量 23.01 kg/m²、Y+1 年の現存量 23.71 kg/m²、1年間の枯死量 0.40 kg/(m²·年)、1年間の被食量 0.08 kg/(m²·年))から、この落葉広葉樹林における生産者の純生産量を求めます。なお、1年間の現存量の差が森林の年間の成長量です。

<考え方>
純生産量が何に分かれるかを式で書き出します。成長量は現存量の差から出せるので、あとは足すだけです。呼吸量はすでに引かれているので入れません。

【純生産量の式】
 純生産量 = 成長量 + 枯死量 + 被食量

【成長量】
 現存量の差なので
 23.71 − 23.01 = 0.70 kg/(m²·年)

【代入する】
 純生産量
  = 0.70 + 0.40 + 0.08
  = 1.18 kg/(m²·年)

(総生産量 = 純生産量 + 呼吸量
  なので、ここに呼吸量は入らない)

よって ⑥
問3:正解 ④(解答番号3/配点3)

<問題要旨>
この落葉広葉樹林における生産者の総生産量を推定するためには、表1の4つの調査項目だけでは不十分です。その理由として最も適当なものを選びます。

<考え方>
総生産量と純生産量の関係式を書けば、あと1つ何が必要かがすぐ分かります。問われているのは生産者の値であって、消費者ではありません。

【関係式】
 総生産量 = 純生産量 + 呼吸量

 表1 からは
  成長量・枯死量・被食量
  → 純生産量までは求まる

 総生産量にするには
  生産者の呼吸量が必要

【選択肢の判定】
①②③ 消費者の死亡量・成長量・現存量
  問われているのは生産者の総生産量
  消費者の値は不要      ×

④ 生産者の呼吸量が分からないから ○

⑤ 光合成に伴う蒸散量
  蒸散は水の話で、有機物の収支とは別 ×

⑥ 森林の受ける光の総量
  光の量から総生産量は直接求まらない ×

よって ④

第4問 B 托卵と生物多様性

カッコウの托卵が、カラスにとって不利にも有利にもなるという設定です。問4は捕食者の多い年と少ない年で棒グラフの向きが逆転することに気づけば、種間関係の名前まで一本道で決まります。

問4:正解 ④(解答番号4/配点3)

<問題要旨>
図1(捕食者の少ない年と多い年に、托卵されなかったカラスの巣と托卵された巣で、巣立ちに成功したカラスのひなの平均数)の結果を説明した文章中の エ〜キ に入る語句の組合せを選びます。

<考え方>
同じ年の中で「托卵されなかった巣」と「托卵された巣」を比べます。その差が年によって逆向きになることが、種間関係の呼び名の違いにつながります。

【図1 の読み取り】
 捕食者の少ない年
  托卵されなかった巣 1.0
  托卵された巣    0.67
  → 托卵されると 減少

 捕食者の多い年
  托卵されなかった巣 0.30
  托卵された巣    0.60
  → 托卵されると 増加

【エ・オ 捕食者の少ない年】
 托卵されると巣立ち数が減る
 → カラスは不利益を受けている
 → カッコウが一方的に利益を得る関係

 エ = 減少
 オ = カッコウによって寄生されている状態

【カ・キ 捕食者の多い年】
 托卵されると巣立ち数が増える
 (カッコウのひなが出す臭いで
  カラスのひなも捕食を逃れやすい)
 → カッコウもカラスも利益を得る

 カ = 増加
 キ = カッコウと相利共生の状態

よって ④
問5:正解 ③・⑥(解答番号5・6/配点6)

<問題要旨>
生物多様性(遺伝的多様性・種多様性・生態系多様性)に関する記述として適当なものを二つ選びます。

<考え方>
3つの多様性の定義を区別しておきます。とくに中規模撹乱説の向きと、個体数が減ったときに遺伝的にどうなるかは、逆に書かれやすいところです。

① ある個体の遺伝的多様性は、その個体が
  環境変動を乗り越えて生存することで高くなる

  遺伝的多様性は集団(個体群)の性質
  1個体が生き残っても高くならない ×

② 生態系多様性は、その生態系に含まれる
  生物の種数と割合で決まる

  それは「種多様性」の説明
  生態系多様性は生態系の種類の豊かさ ×

③ 遺伝的多様性が高いと、環境の変化に
  対応できる個体が存在する可能性が高いため
  その個体群は絶滅しにくい     ○ 適当

④ 撹乱が中規模で適度にはたらく場合には
  種多様性は低くなる

  中規模撹乱説では逆に
  種多様性が最も高くなる      ×

⑤ 個体数が少なくなると、有害な遺伝子の
  蓄積が抑えられる

  実際は近親交配が増え
  有害な遺伝子がホモになりやすい  ×

⑥ 生態系によって生息する生物は異なるため
  ある地域の生態系多様性が高いと
  その地域の種多様性も高い     ○ 適当

よって ③ と ⑥

第5問 A 鎌状赤血球と分子時計

ヘモグロビンβ鎖の対立遺伝子を題材に、ヘテロが有利になる「平衡多型」と、塩基配列の違いから分岐年代を推定する分子時計を扱います。問2は違いの数を数えて比を取るだけの計算です。

問1:正解 ⑤(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
マラリアが流行している地域 X と流行していない地域 Y における対立遺伝子 H₂ の頻度をそれぞれ x、y とするとき、x と y の値に関する式として最も適当なものを選びます(突然変異・遺伝的浮動・移入と移出の影響は無視)。

<考え方>
各遺伝子型が有利か不利かを地域ごとに整理します。H₁H₂ がマラリア流行地でだけ有利になること、そして H₂H₂ はどこでも不利であることの2点が決め手です。

【遺伝子型ごとの有利・不利】
 H₁H₁ … 貧血なし、マラリア抵抗性なし
 H₁H₂ … 軽度の貧血、マラリア抵抗性あり
 H₂H₂ … 重度の貧血、生存率が著しく低い

【地域X(マラリア流行)】
 H₁H₂ が最も有利
 → H₂ は集団中に一定の割合で維持される

 ただし H₂H₂ はどこでも不利なので
 H₂ が 100 % になることはない
 → x < 1

【地域Y(マラリア非流行)】
 H₁H₂ は軽度の貧血のぶん不利
 H₂H₂ はさらに不利
 → H₂ は自然選択で取り除かれていく
 → y は x より小さい

【まとめ】
 y < x < 1

よって ⑤
問2:正解 ②(解答番号2/配点3)

<問題要旨>
図1(3種の哺乳類 A〜C のゲノム中のある領域の塩基配列。3種間で一つでも違いのある塩基は黒背景の白文字)について、分子時計が成り立ち、種 A と種 B がおよそ 9000 万年前に分岐したことが分かっているとき、種 A と種 C が分岐した年代の推定値を求めます。

<考え方>
黒背景の位置を1つずつ見て、「A と B が違う数」「A と C が違う数」を数えます。分子時計では違いの数が分岐後の時間に比例するので、比をとるだけで年代が出ます。

【黒背景の位置を比べる】
(左から7塩基は3種とも同じ)

 位置1 A:A B:G C:A → AとBが違う
 位置2 A:A B:T C:A → AとBが違う
 位置3 A:A B:G C:A → AとBが違う
 位置4 A:C B:T C:C → AとBが違う
 位置5 A:C B:C C:T → AとCが違う
 位置6 A:A B:C C:A → AとBが違う
 位置7 A:C B:A C:A → AとBもAとCも違う

【違いの数】
 A と B … 6 か所
 A と C … 2 か所

【分子時計で換算】
 違いの数は分岐後の時間に比例する

 6 か所 ⟶ 9000 万年
 2 か所 ⟶ 9000 × (2/6)
     = 3000 万年

よって ②
問3:正解 ③(解答番号3/配点3)

<問題要旨>
突然変異に関する記述として誤っているものを選びます。

<考え方>
「突然変異が起こる」ことと「起こった変異が広まる」ことを区別します。自然選択はどちらの段階のしくみかを考えると、誤りの選択肢が浮かびます。

① DNA の複製の際に、ある確率で突然変異が起こる
  複製ミスは一定の確率で生じる  正しい

② 突然変異が起こらないことは
  ハーディ・ワインベルグの法則が成立する
  条件の一つである
  (ほかに自由な交配、自然選択が働かない、
   十分大きい集団、移入・移出がない)正しい

③ 生存に有利な突然変異が起こるしくみを
  自然選択とよぶ

  突然変異は偶然に起こるもので
  「有利な変異が起こる」しくみではない
  自然選択は、起こった変異のうち
  有利なものが集団に広まるしくみ
  → 誤り ←これ

④ 強い放射線は突然変異が起こる確率を高める
                正しい

⑤ DNA に突然変異が起こっても
  生物の形質は変化しない場合がある
  同義置換や非翻訳領域の変異など 正しい

よって ③

第5問 B 近縁2種の適応と植物の系統

渓流沿いに生える種と林床に生える種を比べ、それぞれの生息場所が適応で説明できるかを確かめます。問4は「実験で示せていないところまで踏み込んでいる選択肢」を探す設問です。

問4:正解 ④(解答番号4/配点3)

<問題要旨>
実験1(水流にさらしたときに失われた葉の数の割合、図2)と実験2(強い光・弱い光での 50 日後の生存率、図3)の結果から導かれる考察として誤っているものを選びます。

<考え方>
図2は流水への強さ、図3は光環境への強さを示します。それぞれの図が「どちらが強いか」しか示していない点に注意して、「暗い環境のほうが適応している」と言い切れるかを確かめます。

【図2 の読み取り(失われた葉の割合)】
 種D 約1 %
 種E 約66 %
 → 種D は流水に強い

【図3 の読み取り(生存率)】
 種D 強い光 100 % / 弱い光 50 %
 種E 強い光 100 % / 弱い光 100 %

【選択肢の判定】
① 種D が渓流沿いに生息するのは
  流水の環境に適応しているから
  図2 で葉をほとんど失わない  正しい

② 種E が渓流沿いに生息しないのは
  流水の環境に適応していないから
  図2 で 66 % の葉を失う    正しい

③ 種D が照葉樹林の林床に生息しないのは
  暗い環境に適応していないから
  図3 で弱い光では生存率50 %  正しい

④ 種E が林床に生息するのは
  明るい環境よりも暗い環境に
  適応しているから

  図3 で種E は強い光でも弱い光でも
  生存率100 %
  → 暗いほうが適している、とは言えない
  → 誤り ←これ

よって ④
問5:正解 ③(解答番号5/配点3)

<問題要旨>
図4(コケ植物・シダ植物・裸子植物・被子植物の系統樹)上の ア〜ウ に入る、進化の過程で獲得された形質の組合せを選びます。

<考え方>
系統樹の分岐点は「その先の全部に共通する形質を獲得した場所」です。根元に近い順に、どのグループから何をもつようになるかを当てはめます。

【系統樹の分岐の順序】
 根元から
  コケ植物 が最初に分かれる
  次に シダ植物
  次に 裸子植物
  最後に 被子植物

【ア シダ植物より先の共通形質】
 アの先には
  シダ植物・裸子植物・被子植物
 → これらに共通してコケにないもの
 → 維管束をもつ

 ア = 維管束をもつ

【イ 裸子植物と被子植物の共通形質】
 イの先には
  裸子植物・被子植物(種子植物)
 → 種子をつくる

 イ = 種子をつくる

【ウ 被子植物だけの形質】
 胚珠が子房に包まれている

 ウ = 子房をもつ

よって ③
問6:正解 ①(解答番号6/配点3)

<問題要旨>
適応放散の例として最も適当なものを選びます。

<考え方>
適応放散は「共通の祖先から、いろいろな環境に適応した多くの種が短期間に分かれること」です。擬態や工業暗化と混同しないようにします。

【適応放散とは】
 一つの祖先から
 さまざまな環境に適応した多くの種が
 分かれて広がること

 例:オーストラリアの有袋類
   ガラパゴスのフィンチ

【選択肢の判定】
① 哺乳類は恐竜類が絶滅した後
  様々な環境で多様化した

  空いた生態的地位に広がり
  多くの系統に分かれた    ○ 適応放散

② 毒をもたないハナアブが
  毒をもつハチに似た模様をもつ
  → 擬態(ベイツ型擬態)    ×

③ ヒトが直立二足歩行により
  両手を作業に使えるようになった
  → 一つの系統内での形質の変化 ×

④ ガの一種で工業化に伴い
  黒い個体の割合が増加
  → 工業暗化(自然選択の例)  ×

よって ①

第6問〔選択問題〕遺伝子組換えと形質転換

第6問と第7問はどちらか1問を選択します(このサイトでは両方を解説しています)。3種類のプラスミドと3種類の寒天培地を組み合わせ、抗生物質による選別と GFP の検出を読み解く10点の大問です。

問1:正解 ③(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
組換え DNA 実験に用いられる酵素に関する記述として最も適当なものを選びます。

<考え方>
制限酵素は「切る」、DNA リガーゼは「つなぐ」と覚えます。RNA を合成するのは RNA ポリメラーゼなので、その説明が混ぜてある選択肢は消せます。

【2つの酵素のはたらき】
 制限酵素
  DNA の特定の塩基配列(4〜8塩基)を
  認識してその部分を切断する

 DNA リガーゼ
  切断された DNA の末端どうしを
  つなぎ合わせる

【選択肢の判定】
① 制限酵素が DNA 鎖をほどく
  ほどくのは DNA ヘリカーゼ  ×

② 制限酵素が RNA を合成する
  合成するのは RNA ポリメラーゼ ×

③ 制限酵素は DNA の特定の塩基配列を
  識別して DNA 鎖を切断する   ○

④ DNA リガーゼが DNA 鎖をほどく ×

⑤ DNA リガーゼが RNA を合成する ×

⑥ DNA リガーゼが DNA 鎖を切断する
  つなぐのがリガーゼ      ×

よって ③
問2:正解 ②(解答番号2/配点3)

<問題要旨>
表1の ア〜ウ(プラスミド Z を用いた形質転換操作を行った大腸菌を、寒天培地 A〜C に塗布したときの結果)に入る組合せを選びます。

<考え方>
図1でプラスミド Z がどの耐性遺伝子をもっているかを確認します。培地に含まれる抗生物質に対応する耐性遺伝子があればコロニーができ、なければできません。

【プラスミドがもつ遺伝子(図1)】
 プラスミドX … アンピシリン耐性 + カナマイシン耐性
 プラスミドY … GFP + カナマイシン耐性
 プラスミドZ … GFP + アンピシリン耐性

【培地ごとの判定(プラスミドZ)】

 寒天培地A(抗生物質なし)
  抗生物質がないので
  プラスミドの有無に関係なく生育する
  → コロニーあり ア = +

 寒天培地B(アンピシリン含有)
  Z はアンピシリン耐性遺伝子をもつ
  → 導入された大腸菌が生育できる
  → コロニーあり イ = +

 寒天培地C(カナマイシン含有)
  Z にカナマイシン耐性遺伝子はない
  → どの大腸菌も生育できない
  → コロニーなし ウ = −

(表1で「プラスミドなし」の行が
  A だけ + になっているのと同じ理屈)

よって ②
問3:正解 ⑤(解答番号3/配点4)

<問題要旨>
実験1で生じた大腸菌のコロニーについて、GFP の検出に適した条件で観察したときの記述として最も適当なものを選びます(形質転換操作を行っていない大腸菌は緑色の蛍光を発しないものとします)。

<考え方>
緑色になるのは GFP 遺伝子をもつプラスミドが入った菌だけです。抗生物質を含む培地では「プラスミドが入った菌しか生えられない」ので、そこでは全部のコロニーが光ることになります。

【前提の整理】
 GFP をもつのは プラスミドY と Z
 プラスミドX には GFP がない

 抗生物質なしの培地A では
  プラスミドが入らなかった菌も生育する
 → 光らないコロニーが混ざる

 抗生物質ありの培地では
  対応する耐性遺伝子をもつ菌だけが生育
 → プラスミドが入った菌だけがコロニーになる

【選択肢の判定】
① X + 培地A で全コロニーが緑色
  X に GFP はない        ×

② X + 培地B で一部が緑色
  X に GFP はない        ×

③ Y + 培地A で全コロニーが緑色
  培地A は抗生物質なしなので
  プラスミドの入らない菌も生育する
  「全て」にはならない      ×

④ Y + 培地A で緑色のコロニーは存在しない
  Y が入った菌は光る       ×

⑤ Y + 培地C(カナマイシン)で
  全コロニーが緑色

  カナマイシン耐性は Y にしかない
  → 生育できるのは Y が入った菌だけ
  → その全てが GFP をもつ    ○

よって ⑤

第7問〔選択問題〕近縁2種の学名・縄張り・性選択

第6問との選択問題です。学名の読み方、縄張りの意味、そして同所的分布域で体色と好みがともに進化したという仮説を、実験の予想される結果から検証します。

問1:正解 ①(解答番号1/配点3)

<問題要旨>
マダラヒタキの学名は Ficedula hypoleuca、シロエリヒタキの学名は Ficedula albicollis です。これに関連する記述として最も適当なものを選びます。

<考え方>
二名法では「属名 + 種小名」の順に書きます。2つの学名の前半が同じか違うかを見れば、同じ属かどうかが決まります。

【二名法の読み方】
 学名 = 属名 + 種小名

 マダラ  Ficedula hypoleuca
  属名 Ficedula / 種小名 hypoleuca

 シロエリ Ficedula albicollis
  属名 Ficedula / 種小名 albicollis

【判定】
① 同じ科に属する
  属名が同じ=同じ属
  同じ属なら当然同じ科でもある  ○

② 異なる属に属する
  属名はどちらも Ficedula     ×

③ hypoleuca はマダラが属する目の名称
  hypoleuca は種小名        ×

④ シロエリの種小名は Ficedula
  Ficedula は属名
  種小名は albicollis        ×

よって ①
問2:正解 ⑤(解答番号2/配点3)

<問題要旨>
縄張りに関連する記述として最も適当なものを選びます。

<考え方>
縄張りは「得られる利益」と「守るためのコスト」のつり合いで大きさが決まります。この見方から①〜④はすべて外れることが分かります。

【縄張りの基本的な考え方】
 縄張りを広げると
  得られる利益は大きくなるが
  やがて頭打ちになる

 一方、守るために費やすコストは
  広さに応じて増え続ける

 → 利益とコストの差が最大になる広さで
  縄張りの大きさが決まる

【選択肢の判定】
① 個体群内の全ての個体が縄張りをもつ
  もてない個体(はぐれ個体)もいる ×

② 大きいほど守るエネルギーは小さくなる
  逆に大きくなる          ×

③ 大きいほど得る利益は小さくなる
  利益は増える(増え方が鈍るだけ)  ×

④ 縄張りの大きさは個体群密度に依存しない
  密度が高いと侵入者が増え
  縄張りは小さくなる        ×

⑤ 縄張りの機能は食物や繁殖場所、
  交配相手の確保である       ○

よって ⑤
問3:正解 ③(解答番号3/配点4)

<問題要旨>
「同所的分布域のマダラの雌はシロエリの雄とマダラの黒型雄との区別ができない。そのため同所的分布域のマダラの雄では茶色の体色が進化し、同所的分布域のマダラの雌では茶型雄を選ぶ好みが進化した」という仮説を検証する実験2・実験3の結果(ア〜エ)の組合せを選びます。実験1〜3の結果は仮説を支持するものでした。

<考え方>
仮説の2つの主張を、それぞれどの実験が確かめているかを対応づけます。実験2は「好みが進化したか」、実験3は「区別できないか」を見ています。実験1(異所的分布域では黒型を選ぶ)が比較の基準です。

【実験1(基準)】
 異所的分布域の雌9羽
  黒型雄を選んだ 8羽
  茶型雄を選んだ 1羽
 → もともと雌は黒型雄を好む

【実験2 が確かめること】
 仮説の後半
 「同所的分布域の雌では
  茶型雄を選ぶ好みが進化した」

 仮説どおりなら
 同所的分布域の雌12羽は
 茶型雄を多く選ぶはず

 ア(黒型)= 2
 イ(茶型)= 10

【実験3 が確かめること】
 仮説の前半
 「同所的分布域の雌は
  シロエリの雄とマダラの黒型雄を
  区別できない」

 区別できないなら
 どちらもほぼ同じ数だけ選ぶはず

 ウ(マダラの黒型雄)= 6
 エ(シロエリの雄) = 6

ア 2 / イ 10 / ウ 6 / エ 6

よって ③

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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