2020年度 大学入試センター試験 本試験「地学」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2020年度(令和2年度)大学入試センター試験 本試験「地学」の全問解説です。第1問〜第4問が必答(27+17+27+17=88点)、第5問・第6問はどちらか1問を選択(各12点)で、あわせて100点満点。当サイトでは受験生がどちらを選んでも確認できるよう、第5問・第6問の両方を解説しています。そのため記事に並ぶ配点の合計は112になります。また、この年度は解答番号が大問ごとに1から振り直される形式なので、各設問の見出しの「解答番号」は大問内での番号です。大問の中がA〜Cの文章に分かれているものは、この記事も分野ごとに見出しを分けています。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と手順が開きます。
第1問 A 地磁気と重力(磁気圏・永年変化・火山の重力変化)
小問3題。地磁気の基本知識、鉛直分力の永年変化から全磁力の変化率を出す計算、そしてマグマの上昇に伴う重力の変化と続きます。問2は伏角を使って鉛直分力を全磁力に直すところが山です。
問1:正解 ③(解答番号1/配点4)
<問題要旨>
地磁気について述べた文として最も適当なものを、①〜④のうちから選びます。
<考え方>
磁気圏の形、地磁気の日変化と永年変化の原因、オーロラのしくみ、海洋底の縞状磁気異常の成因を、それぞれ思い出して判定します。
【① 磁気圏の形】 太陽風が昼側から吹きつけるので 昼側は押しつぶされ 夜側は長く吹き流される 前後で大きく非対称 → 誤り 【② 地磁気の規則的な日変化】 日変化の原因は 太陽放射で電離層にできる電流 外核の対流(ダイナモ作用)は 永年変化や地磁気逆転の原因で 1日周期の変化はつくらない → 誤り 【③ オーロラ】 太陽風の荷電粒子が磁気圏に入り 磁力線に沿って両極付近の上空へ流入 大気の分子と衝突して発光する → 正しい 【④ 海洋底の縞状磁気異常】 中央海嶺で噴出した玄武岩が 冷えるときに当時の地磁気の向きに 磁化される(熱残留磁気) 「磁化した鉱物粒子が堆積した」のは 堆積残留磁気で、海洋底の縞模様の 成因ではない → 誤り よって ③
問2:正解 ①(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
図1は、ある地点での地磁気の鉛直分力の永年変化(1900年〜2010年ごろ、31500 nT から 29500 nT へ減少)を示しています。この地点での伏角は 30° です。全磁力の変化率は1年あたり何 nT かを選びます。全磁力と鉛直分力の変化率は 100 年程度の時間スケールでは一定とし、伏角は変化しないものとします。
<考え方>
まず図から鉛直分力の変化率(1年あたり何 nT 減るか)を読みます。次に、伏角の定義から鉛直分力と全磁力の関係をつくり、その比を変化率にもかけます。
【図1 から鉛直分力の変化率を読む】
1900年 … 約 31400 nT
2010年 … 約 29400 nT
変化量 29400 − 31400 = −2000 nT
経過年数 110 年
鉛直分力の変化率
−2000 ÷ 110 = −18.2 nT/年
【伏角から全磁力に直す】
伏角 I は全磁力 F が水平面となす角
鉛直分力 Z = F sin I
I = 30° なので sin30° = 0.5
Z = 0.5 F
F = 2 Z
【全磁力の変化率】
伏角が変わらないので
比例関係もそのまま変化率に使える
F の変化率 = 2 ×(Z の変化率)
= 2 × (−18.2)
= −36.4 nT/年
≒ −37 nT/年
【選択肢との照合】
−37 / −29 / −22 / −19
−19 は「2倍する」のを忘れた値
よって ①
問3:正解 ③(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
図2のように、地下に密度が一様な大きなマグマだまりがある火山で、鉛直な火道内をマグマが高さ a から b へ一定の速度で上昇しました。このとき、火道の脇にある点X(高さ a と b の間)での重力加速度の大きさの変化について述べた文として最も適当なものを選びます。マグマだまりの体積変化・マグマの密度変化・山体の変形はないものとします。
<考え方>
重力は質量の引力です。点Xから見て、増えた質量(火道を満たしたマグマ)が下にあるのか上にあるのかで、重力加速度が増えるか減るかが決まります。
【何が変化するか】 マグマだまりの体積は変わらないので 変化するのは 「火道の a〜b の区間がマグマで 満たされていくこと」だけ → その区間に質量が加わっていく 【マグマが点Xより下にある間】 加わった質量は点Xの下 → 下向きの引力が増える → 重力加速度は 増加 【マグマが点Xを超えた後】 加わった質量は点Xの上 → 上向きの引力がはたらく → 重力加速度は 減少 【まとめ】 最初は増加し マグマが点Xを超えると減少する (実際の火山観測でも 重力の連続測定でマグマの上昇を とらえる方法が使われている) よって ③
第1問 B プレート運動と火山(マントル対流・海洋底の年代・火山フロント)
小問5題。地震波トモグラフィー、プレートの移動速度の計算、沈み込み帯の初動と波線、火山フロントの位置、マグマの形成過程と、沈み込み帯を一通り回ります。問6は震源球(押し引き)と屈折の2つを同時に見る設問です。
問4:正解 ②(解答番号4/配点4)
<問題要旨>
文章中の空欄ア・イに入る語の組合せを選びます。「日本列島の下に沈み込んだ太平洋プレートは周囲に比べて ア であり、周囲に比べて地震波速度の速い領域として観測されている」「南太平洋と イ 大陸の下のマントルで観測される地震波速度の遅い領域は、水平方向に数千 km におよぶ大規模な上昇流と考えられている」。
<考え方>
地震波速度と温度の関係を押さえます。速度の遅い領域が大規模上昇流(スーパープルーム)で、その場所は2か所とも決まっています。
【ア 沈み込んだプレートの温度】 地震波速度は 低温で硬い岩石ほど 速い 高温でやわらかい岩石ほど 遅い 沈み込んだ太平洋プレートは 冷たい表層が沈んだものなので 周囲のマントルより 低温 → 地震波速度が速い領域として写る (文章の内容と一致する) ア = 低温 【イ 大規模な上昇流の場所】 地震波速度の遅い(高温の)領域が マントル深部から立ち上がっている場所 ・南太平洋 ・アフリカ大陸の下 この2か所がスーパープルーム イ = アフリカ (ユーラシア大陸の下は 沈み込んだプレートがたまる 下降流の領域) よって ②
問5:正解 ②(解答番号5/配点3)
<問題要旨>
図3は赤道付近の大西洋中央海嶺と大陸を示しています。南アメリカ大陸東岸では海洋プレートは沈み込んでおらず、地点Aの海洋底の形成年代は1億2千万年前です。赤道付近における南アメリカ大陸の中央海嶺に対する移動速度を選びます。地点Aの海洋底は海嶺の地点Bで形成され、過去1億2千万年間、西向きに一定速度で移動したとします。
<考え方>
地点Aが地点Bから離れた距離を経度差から求め、年代で割ります。赤道上では経度 1° が約 111 km です。cm/年 に直す単位変換に注意します。
【地点A・B の経度を読む】 図3 の目盛りから 地点A … 約 45°W 地点B … 約 24°W 経度差 約 21° 【距離に直す】 赤道上で 1° = 約 111 km 21° × 111 km = 約 2330 km 【速度】 2330 km = 2.33×10⁸ cm 1億2千万年 = 1.2×10⁸ 年 2.33×10⁸ ÷ 1.2×10⁸ = 1.9 cm/年 【なぜ大陸の移動速度と言えるか】 南アメリカ大陸東岸では 海洋プレートが沈み込んでいない = 海洋底と大陸が同じプレート → 海洋底の移動=大陸の移動 【選択肢との照合】 0.6 / 1.9 / 3.7 / 5.6 3.7 は片側でなく両側の 拡大速度に相当する値 よって ②
問6:正解 ①(解答番号6/配点3)
<問題要旨>
図4は、ある沈み込み帯の鉛直断面を単純化したものです。沈み込む海洋プレート内の点Zを震源とする逆断層型地震が起こったとき、P波の伝わる様子と地点Xで観測される初動を表した模式図として最も適当なものを選びます。P波の速さは、海洋プレート内の方が大陸プレート内より速いものとします。
<考え方>
見るところは2つです。ひとつは逆断層型地震の真上での初動(押しか引きか)、もうひとつは速い層から遅い層へ入るときに波線がどちら向きに曲がるかです。
【① 真上の初動:押しか引きか】 逆断層型地震では 押し(圧力軸)… 水平方向 引き(張力軸)… 鉛直方向 P波の初動が「押し」になるのは 張力軸を含む側の象限 → 震源の真上は「押し」になる 地点Xは震源のほぼ上なので 押し → ② と ④ は消える 【② 波線の曲がり方】 速さは 海洋プレート内 > 大陸プレート内 プレート境界を越えるとき 速い媒質から遅い媒質へ入るので 波線は 境界面の法線に近づく向き に屈折する = 境界を通ったあと 波線はより立った向きになる 【① と ③ の見分け】 ① 境界を越えたあと 波線が立つ(法線に近づく)… 正しい ③ 境界を越えたあと 波線が寝る(法線から離れる) … 遅い媒質から速い媒質へ入る場合 の曲がり方なので誤り 【まとめ】 押し + 境界で立つ向きに屈折 よって ①
問7:正解 ①(解答番号7/配点3)
<問題要旨>
東北日本の下には、太平洋プレートが西向きに海溝から沈み込んでいます。東北日本の火山フロント(火山前線)の位置と、その直下の沈み込むプレートの深さとの関係を表した模式図として最も適当なものを選びます。
<考え方>
見るところは2つです。火山フロントが火山の分布のどちら側の縁を指すのか、そしてその真下でプレート上面が何 km の深さにあるかです。
【① 火山フロントの定義】 火山フロントは 火山の分布のうち 海溝側の限界線 これより海溝側には火山がない → 図の中で火山列の 海溝寄りの端を指しているものを選ぶ → ③・④ のように 火山列の内陸側の端を指すものは誤り 【② 真下のプレートの深さ】 火山フロントの直下では 沈み込むプレートの上面が およそ 100〜150 km の深さにある この深さで含水鉱物が分解して 水がマントルに供給され マグマが生じるため ① … 火山フロント直下で約 120 km ✓ ② … 約 40 km で浅すぎる 【スケールの確認】 図の 50 km スケールで測ると 海溝から火山フロントまでは およそ 250 km これも東北日本の実際とよく合う よって ①
問8:正解 ①(解答番号8/配点4)
<問題要旨>
沈み込み帯の火山の地下で生じるマグマの形成過程について述べた文a・bの正誤の組合せを選びます。aは「プレートの沈み込みとともに含水鉱物が分解され、マントルに水が加わりマントルが部分溶融することで、玄武岩質マグマが形成される」、bは「水を含む玄武岩質の下部地殻が、マントル内を上昇してきた玄武岩質マグマの熱で部分溶融することで、ケイ長質のマグマが形成される」。
<考え方>
沈み込み帯のマグマは2段階でできます。まずマントルで玄武岩質マグマができ、次にそれが地殻を溶かしてよりケイ長質のマグマができます。
【a 玄武岩質マグマのでき方】 海洋プレートは 蛇紋石などの含水鉱物として水を運ぶ 深さ 100 km 前後で 圧力と温度が上がって含水鉱物が分解 → 水がマントルへ供給される 水が加わるとかんらん岩の 融解温度が下がり部分溶融する → 玄武岩質マグマ → a は正 【b ケイ長質マグマのでき方】 玄武岩質マグマは周囲より軽いので 上昇して下部地殻に達する その熱で下部地殻が部分溶融する 水を含むので溶けやすい → SiO₂ に富むケイ長質のマグマ (安山岩質・流紋岩質マグマの供給源) → b は正 よって ①
第2問 A 変成作用と変成岩(Al₂SiO₅ の多形と接触変成帯)
小問2題。花こう岩の貫入でできた変成帯を、珪線石を含むX帯と紅柱石を含むY帯に分けた平面図を読みます。問2は「両地点とも珪線石と紅柱石の境目にいる」と気づけるかどうかがすべてです。
問1:正解 ④(解答番号1/配点4)
<問題要旨>
文章中の下線部(a)の鉱物(珪線石・紅柱石・らん晶石)に関連して述べた文として最も適当なものを選びます。
<考え方>
この3つは Al₂SiO₅ という同じ化学組成をもつ多形(同質異像)です。多形とは何かを押さえたうえで、選択肢を判定します。
【① 放射性炭素(¹⁴C)年代測定】 ¹⁴C 年代測定は 生物起源の炭素を含む試料に使う (木片・貝殻など、数万年前まで) ケイ酸塩鉱物には使えない → 誤り 【② 高圧下で分解してひすい輝石になる】 ひすい輝石は NaAlSi₂O₆ で ナトリウムを含む別の鉱物 Al₂SiO₅ が分解してできるものではない → 誤り 【③ 結晶質石灰岩(大理石)】 大理石は石灰岩が再結晶したもので 主成分は方解石 CaCO₃ Al₂SiO₅ の多形を特徴的に含むのは 泥質岩を原岩とする変成岩 → 誤り 【④ ダイヤモンドと石墨】 どちらも炭素 C だけからなり 結晶構造だけが違う = 多形(同質異像)の関係 珪線石・紅柱石・らん晶石と同じ関係 → 正しい よって ④
問2:正解 ④(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
図1の地点Aと地点Bにおける変成作用の温度・圧力条件を、図2(珪線石と紅柱石が安定となる領域を示した図)に基づいて説明した文として最も適当なものを選びます。花こう岩から地点Aならびに地点Bまでの距離は変成作用後に変化しておらず、花こう岩は均一な温度で貫入し、熱はどの方向にも同じように伝わったものとします。
<考え方>
まず図1で、地点Aと地点BがどちらもX帯とY帯の境界に乗っていることを確認します。境界=珪線石と紅柱石の境目なので、図2の境界線の上に両地点が乗ることになり、線の傾きから温度と圧力の関係が決まります。
【図1 から位置関係を読む】 X帯(珪線石)… 花こう岩に接する帯 Y帯(紅柱石)… その外側 地点A も 地点B も X帯とY帯の境界の上にある = どちらも 「珪線石と紅柱石の境目」の条件 【花こう岩からの距離を比べる】 熱はどの方向にも同じように伝わる → 花こう岩に近いほど高温 図1 で花こう岩の縁から測ると 地点Aまで … 約 0.6 km(X帯が狭い) 地点Bまで … 約 1.3 km(X帯が広い) → 温度は 地点A > 地点B 【図2 の境界線を使う】 図2 の境界線は右下がり 圧力 3×10⁸ Pa のとき 約 570 ℃ 圧力 0 のとき 約 790 ℃ = 境界線上では 温度が高いほど圧力は低い 地点Aの方が高温なので 地点Aの方が低圧 【まとめ】 地点A は 地点B より 温度が高く、圧力が低い よって ④
第2問 B 地質調査(走向・傾斜と地層の重なり)
小問3題。走向は東西、傾斜は北に45°という条件で、地形図に描かれた露頭から地層の重なりを組み立てます。第1問Bと同じく「標高 + 北への距離」というひとつの量で機械的に処理できます。
問3:正解 ②(解答番号3/配点4)
<問題要旨>
この地域の地層の重なり方として最も適当なものを、①〜⑤の柱状図から選びます。図3は地形(等高線 90〜140 m)と地層の分布を示し、地点Aではチャート層と泥岩層の境界、地点Bでは凝灰岩層と砂岩層の境界が観察されました。走向は東西、傾斜は北に45°で、断層・褶曲・地層の逆転はなく、地層はすべて整合に重なります。
<考え方>
走向が東西なので、地層面は東西にまっすぐ伸び、北へ45°で下がります。傾斜45°は「北へ 1 m 進むと 1 m 下がる」ということなので、(標高)+(北への距離)が等しい場所が同じ地層面です。この値が大きいほど上位(新しい)になります。
【判定に使う量】 傾斜 45° 北 なので 北へ x(m)進むと地層面は x(m)下がる 同じ地層面 ⇔ 標高 + 北への距離 が等しい 逆転がないので この値が大きいほど上位(新しい) 【各露頭の値(概算)】 チャート層(地点Aの南側)… 約 140 泥岩層(地点Aの北側) … 約 143 凝灰岩層(地点Bの南東側)… 約 155 砂岩層(地点B) … 約 160 石灰岩層(西側) … 約 180 礫岩層(西側の最も高い所)… 約 190 【地点A・地点Bの境界で確かめる】 地点A … チャート層と泥岩層の境界 → チャート層のすぐ上が泥岩層 地点B … 凝灰岩層と砂岩層の境界 → 凝灰岩層のすぐ上が砂岩層 【下位から上位へ】 チャート → 泥岩 → 凝灰岩 → 砂岩 → 石灰岩 → 礫岩 【選択肢との照合】 この並びをもつ柱状図は ② だけ よって ②
問4:正解 ②(解答番号4/配点3)
<問題要旨>
図3の地点Cに露出する地層について述べた文として最も適当なものを選びます。選択肢は、①石灰質の殻や骨格をもつ生物遺骸からなる生物岩、②直径 2 mm 以上の砕屑粒子からなる砕屑岩、③直径 1/16〜2 mm の砕屑粒子からなる砕屑岩、④直径 1/16 mm より小さい砕屑粒子からなる砕屑岩、です。
<考え方>
問3と同じ「標高 + 北への距離」で地点Cがどの層にあたるかを決め、そのうえで岩石名を粒径の定義に翻訳します。
【地点C の値】 地点C は地図の東寄り・北寄りにあり 標高 約 130 m 北への距離 約 56 m 標高 + 北への距離 = 約 186 【どの層にあたるか】 問3 で求めた値と比べると 石灰岩層 … 約 177〜182 礫岩層 … 約 185〜197 186 は礫岩層の範囲に入る → 地点C に露出するのは 礫岩層 (最も上位の層) 【礫岩を粒径の定義に直す】 砕屑物の粒径による分類 礫 … 直径 2 mm 以上 砂 … 直径 1/16 mm 〜 2 mm 泥 … 直径 1/16 mm 未満 礫岩=直径 2 mm 以上の砕屑粒子 【他の選択肢】 ① 生物岩は石灰岩やチャート ③ は砂岩、④ は泥岩の定義 よって ②
問5:正解 ③(解答番号5/配点3)
<問題要旨>
文章中の下線部(b)に関連して、凝灰岩について述べた文a〜cの正誤の組合せを選びます。aは「鍵層として、地層の対比に用いられる」、bは「火山灰が固結してできた岩石で、火成岩に分類される」、cは「噴火した火山のマグマの性質や噴火様式を知る手がかりとなる」。
<考え方>
凝灰岩がどの分類に入るかがこの設問の中心です。「火山」がつくった岩石でも、堆積してできたものは堆積岩に入ります。
【a 鍵層として使えるか】 火山灰は一度の噴火で 短時間に広い範囲へ降り積もる → 同じ時代の目印になり 離れた地層どうしの対比に使える → a は正 【b 火成岩に分類されるか】 凝灰岩は 降り積もった火山灰が固結したもの 岩石の分類では 火山砕屑岩(火砕岩) = 堆積岩 の一種 マグマが固まってできた火成岩ではない → b は誤 【c マグマの性質がわかるか】 火山灰に含まれる鉱物や ガラスの化学組成を調べれば もとのマグマの SiO₂ 量がわかる 粒度や堆積の仕方からは 噴火様式(爆発的かどうか)も読める → c は正 よって a正・b誤・c正 の ③
第3問 A 大気(断熱変化・傾度風・台風)
小問3題。空気塊を持ち上げたときの温度変化、南半球の低気圧にはたらく力、日本に接近する台風と続きます。問1は「凝結高度で折れ曲がる」というグラフの形を読む設問です。
問1:正解 ①(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
地表面付近に、空気塊Aと、それよりも低温で相対湿度の低い空気塊Bがあります。この二つの空気塊をそれぞれ断熱的に持ち上げたときの温度変化を表すグラフとして最も適当なものを選びます。実線が空気塊A、破線が空気塊Bの温度変化を表します。
<考え方>
空気塊は凝結が始まるまで乾燥断熱減率(約 1 ℃/100 m)で、凝結が始まってからは湿潤断熱減率(約 0.5 ℃/100 m)で下がります。折れ曲がる高度(凝結高度)がどちらのほうが低いかで決まります。
【グラフの形】 持ち上げた空気塊の温度は 凝結前 … 1 ℃/100 m で下がる(急) 凝結後 … 0.5 ℃/100 m で下がる(緩) → 凝結高度で「折れ曲がる」 折れ曲がりより上は傾きが緩くなる 【地表での温度】 A の方が高温なので グラフの下端では A(実線)が右側 【凝結高度はどちらが低いか】 凝結高度は 相対湿度が高いほど低い (少し持ち上げるだけで飽和する) A … 相対湿度が高い → 凝結高度は低い B … 相対湿度が低い → 凝結高度は高い → 実線A の折れ曲がりが 破線B の折れ曲がりより 下 【選択肢の判定】 ① 実線が約 500 m、破線が約 600 m で 折れ曲がる → Aが下 ✓ ③ 実線が約 1000 m、破線が約 500 m → Aが上になっており誤り ② ④ は折れ曲がりの向きや 上下関係が合わない 【① の数値で確かめる】 実線A 0 m 22.5 ℃ → 500 m 17.5 ℃ 5 ℃ ÷ 500 m = 1 ℃/100 m ✓ 実線A 500 m 17.5 ℃ → 2000 m 10 ℃ 7.5 ℃ ÷ 1500 m = 0.5 ℃/100 m ✓ よって ①
問2:正解 ③(解答番号2/配点4)
<問題要旨>
図1は南半球の中緯度の低気圧を模式的に示したものです。この低気圧のまわりに吹く風を傾度風と仮定したとき、低気圧のまわりの風の向きと、低気圧の中心から外向きにはたらく力の組合せとして最も適当なものを選びます。
<考え方>
まず南半球での転向力の向きから風の回転向きを決めます。次に、傾度風のつり合いで内向き・外向きにはたらく力を仕分けます。
【風の向き】 転向力(コリオリの力)は 北半球 … 進行方向の 右向き 南半球 … 進行方向の 左向き 低気圧では気圧傾度力が中心向き これと転向力がつり合うには 転向力が外向きになる必要がある 南半球で「進行方向の左が外向き」に なるのは 時計回り → 風の向きは 時計回り 【3つの力の向き】 気圧傾度力 高圧側から低圧側へ = 中心向き(内向き) 転向力 時計回り+南半球なので 外向き 遠心力 円運動では常に 外向き 【傾度風のつり合い】 内向き:気圧傾度力 外向き:転向力 + 遠心力 → 外向きにはたらく力は 転向力(コリオリの力)と遠心力 【北半球との違い】 北半球の低気圧は反時計回りだが 力のつり合いの形は同じ (内向きが気圧傾度力、 外向きが転向力と遠心力) よって ③
問3:正解 ②(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
日本列島に接近する台風に関して述べた文として最も適当なものを選びます。
<考え方>
台風の進路を決めるのは、低緯度では貿易風と太平洋高気圧の縁の流れ、中緯度では偏西風です。上陸後に何が起こるかもあわせて確認します。
【① 中緯度に達したあとの進路】 低緯度では貿易風に流されて西進するが 中緯度に達すると 偏西風 に乗って 北東へ進路を変える 「貿易風に乗って北東」は誤り 【② 太平洋高気圧との関係】 台風は太平洋高気圧の縁に沿って進む 高気圧が強く日本列島を覆っていると 台風は高気圧の外側を回らされ 日本列島には上陸しにくい → 正しい 【③ 上陸後の台風】 台風のエネルギー源は 暖かい海からの水蒸気 上陸すると水蒸気の供給が絶たれ さらに地表の摩擦も加わって衰弱する → 目はむしろ不明瞭になる 「目が発生する」は誤り 【④ 冷害】 冷害を起こすのは オホーツク海高気圧からのやませ 台風がオホーツク海の冷気を 運んでくるわけではない → 誤り よって ②
第3問 B 天気予報(気象衛星画像と高層天気図の時間変化)
小問2題。可視画像と赤外画像の違いを問う知識問題と、高層天気図を時間順に並べる設問です。問5は「気圧の谷は西から東へ動く」というひとつの原則だけで解けます。
問4:正解 ③(解答番号4/配点4)
<問題要旨>
文章中の下線部(a)に関連して、気象衛星の可視画像と赤外画像の特徴について述べた文a・bの正誤の組合せを選びます。aは「赤外画像では、昼間は太陽光が強いため雲分布を判別できないが、夜間は雲分布を判別できる」、bは「可視画像よりも赤外画像の方が雲頂の高さを判別しやすい」。
<考え方>
それぞれの画像が何を測っているのかを確認します。可視画像は反射光、赤外画像は自ら出す赤外線の強さ(=温度)です。
【可視画像】 雲が反射した太陽光の強さを見る → 夜間は使えない → 雲の厚さ(反射の強さ)がわかる 【赤外画像】 物体が出す赤外線の強さを見る = 物体の温度を測っている → 昼夜を問わず観測できる 【a の判定】 赤外画像は太陽光に依存しないので 昼間でも雲分布を判別できる 「昼間は判別できない」は 可視画像と赤外画像を取り違えている → a は誤 【b の判定】 対流圏では高いところほど低温 赤外画像で「冷たく写る雲」= 雲頂が高い雲 → 雲頂高度を判別しやすいのは赤外画像 → b は正 よって a誤・b正 の ③
問5:正解 ④(解答番号5/配点3)
<問題要旨>
文章中の下線部(b)に関連して、図2は、ある年の10月2日9時の高層天気図(左上)と、その時刻から4.5日後まで1.5日間隔で予報された高層天気図(a〜c)です。日本付近の天気は、気圧の谷の移動とともに5日程度の周期で変化すると予報されました。a〜cを1.5日ごとに並べた順序として最も適当なものを選びます。
<考え方>
中緯度の気圧の谷(低)は偏西風に流されて西から東へ動きます。基準の10月2日9時の低の位置を出発点に、東へ動いていく順に並べます。あわせて、西から新しい谷が入ってくることも手がかりになります。
【基準(10月2日9時)】 低 は日本の北東 (オホーツク海の南西あたり) 図の横幅で見ると 左から約 6 割の位置 【a〜c の低の位置】 a … 低が2つ ひとつは図の上部(約 6 割) もうひとつは日本海北部(約 4 割) b … 低が2つ 北海道の東(約 7 割) 右上のすみ(約 9 割) c … 低が2つ 右上のすみ(約 9 割) 沿海州の北(約 3 割) 【東へ動く順に並べる】 基準の低(6 割) → b の低(7 割) → c の右上のすみ(9 割)で図外へ 一方、西から新しい低が入ってくる c の 3 割 → a の 4 割 → b → c → a 【5日周期との確認】 基準(10月2日9時)の低が 6 割 4.5日後の a にも 6 割の位置に低がある = ほぼ1周期ぶん進んでいる 「5日程度の周期」と整合する ✓ 【選択肢との照合】 10月3日21時=b 10月5日9時 =c 10月6日21時=a よって ④
第3問 C 海洋(津波・海流・深層循環)
小問3題。津波の速さの計算、海流の速さの比較、そして太平洋の深層循環を反映した水温・塩分の断面図と続きます。問8は「太平洋の深層水は南から入る」という一点で決まります。
問6:正解 ③(解答番号6/配点3)
<問題要旨>
水深 250 m の海を津波が進む速さに最も近いものを、①海面付近での黒潮の速さ、②地殻を伝わるP波の速さ、③ジェット気流の速さ、④空気中を進む音波の速さ、のうちから選びます。重力加速度の大きさは 10 m/s² とします。
<考え方>
津波は水深に比べて波長が非常に長い波(長波)なので、速さは √(gh) で決まります。まず数値を出し、選択肢の身近な速さと比べます。
【津波の速さ】 v = √(g h) g = 10 m/s² h = 250 m v = √(10 × 250) = √2500 = 50 m/s (時速に直すと 180 km/h) 【選択肢の速さ】 ① 黒潮 … 約 2 m/s ② 地殻のP波 … 約 6000 m/s ③ ジェット気流 … 約 50〜100 m/s ④ 空気中の音波 … 約 340 m/s 50 m/s に最も近いのは ③ 【ついでの目安】 水深 4000 m の外洋なら v = √(10×4000) = 200 m/s = 時速 720 km でジェット機並み よって ③
問7:正解 ①(解答番号7/配点4)
<問題要旨>
図3は北太平洋の亜寒帯環流と亜熱帯環流の模式図です。これらの環流を構成する三つの海流(黒潮・親潮・カリフォルニア海流)の海面付近での速さを比較した大小関係として最も適当なものを選びます。
<考え方>
海流の速さを決めるのは「西岸強化」です。海洋の西側を流れる海流は幅が狭く速く、東側を流れる海流は幅が広く遅くなります。
【西岸強化】
転向力の大きさが緯度で変わるため
環流は西側で狭く速い流れになる
西岸境界流 … 速い(幅が狭い)
東岸の流れ … 遅い(幅が広い)
【海洋西岸付近の海流を比べる】
黒潮 … 亜熱帯環流の西岸境界流
最大 2 m/s を超える
親潮 … 亜寒帯環流の西側の流れ
亜寒帯環流そのものが弱く
黒潮ほど速くない
→ 黒潮 > 親潮
【亜熱帯環流を構成する海流を比べる】
黒潮 … 西岸境界流(速い)
カリフォルニア海流 … 東岸の流れ(遅い)
→ 黒潮 > カリフォルニア海流
【まとめ】
黒潮 > 親潮
黒潮 > カリフォルニア海流
よって ①
問8:正解 ②(解答番号8/配点3)
<問題要旨>
冬季の海面冷却によってグリーンランド付近と南極周辺で高密度の海水が沈み込み、深層循環ができます。太平洋の南北断面における水温の分布の模式図a・b・cと、塩分の分布の模式図x・y・zの組合せとして最も適当なものを選びます。図では深さ 0〜1000 m の範囲を省略しています。
<考え方>
沈み込みが起きているのはグリーンランド付近(北大西洋)と南極周辺です。太平洋には北からの沈み込みがないので、深層水はすべて南から入ってきます。等値線が南北どちら側で深く落ち込んでいるかを見ます。
【太平洋の深層循環】 北太平洋には 高密度の海水の沈み込みが無い → 太平洋の深層水は すべて南極周辺から流れ込む → 冷たく塩分の高い水は 南側で深くまで満ち そこから底に沿って北へ広がる 【水温の図の判定】 a … 等温線が南(左)側で 深くまで落ち込み 1 ℃ の線が底に沿って北へ伸びる = 南から冷たい水が入る ✓ b … 南北対称に落ち込む = 南北両方に沈み込みがある形 (大西洋型)→ 誤り c … 北(右)側で落ち込む = 北太平洋に沈み込みがある形 → 誤り 【塩分の図の判定】 同じ理由で、塩分の高い(34.7 ‰)水も 南側から入って底を北へ広がる z … 等塩分線が南(左)側で落ち込み 34.7 ‰ が底に沿って北へ伸びる ✓ x … 北側で落ち込む → 誤り y … 南北対称 → 誤り 【組合せ】 水温 a / 塩分 z よって ②
第4問 恒星と星団(HR図・年周視差・太陽の進化・黒点)
小問5題。ムサシとサクラの会話文をもとに、2枚のHR図(明るい恒星と太陽付近の恒星)を読みます。同じ天体でも「見かけの明るさで選んだ集団」と「距離で選んだ集団」ではHR図の見え方が変わる、というのが全体を貫く主題です。
問1:正解 ⑤(解答番号1/配点4)
<問題要旨>
会話文中の空欄ア〜ウに入る語の組合せを選びます。アは「恒星の色は ア と関係していて、それがスペクトル型の違いになる」、イは「恒星の進化は質量によって違い、質量が イ 恒星は進化が速い」、ウは「プレアデスが青っぽく見えるのは、明るい恒星が青く、ウ 星団だからかな」。
<考え方>
アは恒星の色を決めるもの、イは寿命と質量の関係、ウは星団の年齢の判定です。3つとも恒星進化の基本事項です。
【ア 恒星の色を決めるもの】 恒星の色は 表面温度で決まる 青白い … 約 10000 K 以上(O・B型) 白 … 約 8000 K(A型) 黄 … 約 6000 K(G型・太陽) 赤 … 約 3000 K(M型) これがスペクトル型の違いになる ア = 表面温度 【イ 進化の速さ】 質量が大きい恒星ほど 中心部が高温高圧になり 核融合が激しく進む → 燃料を早く使い切る → 明るいが寿命は短く進化が速い イ = 大きい 【ウ プレアデスの年齢】 明るい恒星が青い = 高温の主系列星(大質量星)が まだ主系列に残っている 大質量星の寿命は短いので 残っているということは 生まれてから間もない ウ = 若い (プレアデス星団は年齢 約 1 億年の 散開星団) よって ⑤
問2:正解 ④(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
会話文中の下線部(a)に関連して、太陽からの距離が5パーセク以内にある恒星の距離の推定に使われる観測・方法として最も適当なものを選びます。
<考え方>
距離の測り方には適用できる距離の範囲があります。近距離用・中距離用・遠距離用に整理して選びます。
【距離の測り方と適用範囲】 年周視差 地球の公転による見かけの位置のずれ 近距離の恒星に使える (数百パーセク程度まで) 変光周期と光度の関係 セファイド型変光星を使う 数百万パーセク(近傍の銀河)まで 超新星の光度 Ⅰa 型超新星を使う 遠方の銀河まで 赤方偏移 ハッブルの法則を使う 最も遠方の銀河に使う ケプラーの第二法則 面積速度一定の法則で 距離の測定には使えない 【本問の条件】 太陽からの距離が5パーセク以内 = ごく近い恒星 → 年周視差 【念のため計算】 距離 5 パーセク の年周視差は 1 ÷ 5 = 0.2 秒角 十分に測定できる大きさ よって ④
問3:正解 ④(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
会話文中の下線部(b)に関連して、太陽は現在から約 60 億年後まで、HR図上でどのように進化するかを選びます。図1(明るい恒星のHR図)と図2(太陽付近の恒星のHR図)に示したW〜Zを進化の順序で並べます。
<考え方>
まず太陽の一生を言葉で並べ、それをHR図上の位置(W〜Z)に対応づけます。図1・図2 でW〜Zがどの領域にあるかを読むのが要点です。
【W〜Z の位置を読む】 W … 図1、B型付近で絶対等級 0 前後 = 主系列の高温側(大質量星) X … 図1、F〜G型で絶対等級 +5 前後 = 主系列の太陽の位置 Y … 図1、K〜M型で絶対等級 −7 前後 = 右上の 赤色巨星 Z … 図2、A型付近で絶対等級 +12 前後 = 左下の 白色矮星 【太陽の一生】 主系列星(現在、あと約 50 億年) → 中心の水素を使い果たす → 膨張して 赤色巨星(約 10 億年) → 外層を放出して 中心部が残り 白色矮星 【60 億年後まで】 50 億年(主系列) + 約 10 億年(赤色巨星) → 60 億年後には白色矮星になっている 【順序】 X(主系列) → Y(赤色巨星) → Z(白色矮星) W は太陽よりずっと大質量の星なので 太陽が通る道ではない よって ④
問4:正解 ①(解答番号4/配点4)
<問題要旨>
ムサシは図1と図2をもとに考察を行い、二つの図から読み取れることがらを文a・bにまとめました。aは「明るい恒星のなかには、太陽の 0.01 倍以下の半径をもつ恒星は存在しない」、bは「太陽付近には、太陽より質量の小さい恒星が、質量の大きい恒星より数多く存在する」。この正誤の組合せを選びます。
<考え方>
aは図1(見かけの等級が小さい=明るい恒星)に白色矮星が現れているかどうか、bは図2(太陽から5パーセク以内)の点が主系列のどのあたりに集まっているかを見ます。
【a 半径 0.01 倍以下の恒星】 半径が太陽の 0.01 倍程度の恒星 = 白色矮星 白色矮星は 高温なのに非常に暗い → HR図の 左下 に位置する (絶対等級 +10 〜 +15) 図1 は見かけの明るい恒星を集めた図で 絶対等級 −10 〜 +7 の範囲にしか 点が無く、左下は空白 → 図1 から 「白色矮星は含まれない」と読める → a は正 【b 太陽付近の恒星の質量】 図2(太陽から 5 パーセク以内)は 暗い恒星が主系列に沿って 右下に多数並んでいる 主系列上では 暗い恒星ほど質量が小さい → 太陽より質量の小さい恒星が 圧倒的に多い → b は正 【2つの図の違いが主題】 図1 は「明るいものを選んだ」ので 大質量星や巨星に偏る 図2 は「近いものを全部集めた」ので 実際の存在比を反映する よって ①
問5:正解 ②(解答番号5/配点3)
<問題要旨>
太陽の黒点は、明るさ(単位表面積から毎秒放射されるエネルギー量)が周囲の光球より暗いことから、温度は周囲に比べて約 2000 K 低いと考えられています。シュテファン・ボルツマンの法則を用いて、黒点の明るさは周囲の光球の約何倍かを選びます。周囲の光球の温度は 6000 K とします。
<考え方>
シュテファン・ボルツマンの法則は「単位面積から出るエネルギーは絶対温度の4乗に比例する」です。温度の比を4乗するだけです。
【シュテファン・ボルツマンの法則】 単位面積・単位時間あたりの放射量 E ∝ T⁴ T は絶対温度(K) 【温度】 光球 … 6000 K 黒点 … 6000 − 2000 = 4000 K 【明るさの比】 E黒点 ÷ E光球 = (4000 ÷ 6000)⁴ = (2 ÷ 3)⁴ = 16 ÷ 81 = 0.198 ≒ 0.2 倍 【選択肢との照合】 0.01 / 0.2 / 0.4 / 0.7 0.7 は温度比 2/3 をそのまま 答えにしてしまった値 (4乗を忘れると 0.67 になる) よって ②
第5問〔選択問題〕A テチス海と地球の歴史
小問2題。かつて存在したテチス海(新テチス海)を題材に、その堆積物が現在どこにあるか、その時代に何が起きたかを問います。第5問と第6問はどちらか1問を選ぶ選択問題ですが、この記事では両方を解説しています。
問1:正解 ④(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
おもにプレート運動によって大陸分布が変化し、テチス海は徐々に消失していきました。テチス海で堆積した地層が現在の地図上でみられる場所は、図1に示された地点ア〜エのうちどれかを選びます。ア は北アメリカ大陸西部、イ は南アメリカ大陸南部、ウ は北ヨーロッパ、エ はインド北部です。
<考え方>
テチス海は、パンゲアが分裂したあとユーラシア大陸とゴンドワナ大陸(アフリカ・インドなど)の間に広がっていた海です。その海がどこで閉じたかを考えます。
【テチス海の位置と消失】 中生代 ユーラシア大陸とゴンドワナ大陸の間に 東西に長いテチス海が広がっていた 新生代 インド大陸が北上して ユーラシア大陸に衝突(約 5000 万年前) → 間にあったテチス海の海底が 押し上げられた → ヒマラヤ山脈になった 【地点の判定】 ア 北アメリカ大陸西部 … 太平洋側の造山帯(誤り) イ 南アメリカ大陸南部 … アンデス(誤り) ウ 北ヨーロッパ … 古い安定陸塊(誤り) エ インド北部 … ヒマラヤ山脈 ✓ 【裏づけ】 ヒマラヤ山脈の高所からは アンモナイトなど海生生物の化石が 産出することが知られている よって ④
問2:正解 ④(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
テチス海が広く存在していた時代に起こった地史学的できごととして最も適当なものを選びます。
<考え方>
テチス海が広がっていたのは中生代です。選択肢のできごとがそれぞれいつのことかを年表に並べます。
【テチス海が広がっていた時代】 パンゲア分裂後〜インド大陸衝突前 = おもに 中生代 【選択肢の年代】 ① チェンジャン(澄江)動物群 古生代カンブリア紀(約 5 億年前) → 誤り ② 日本海の拡大と島弧の形成 新生代 新第三紀 中新世 (約 1500 万年前) → 誤り ③ 縞状鉄鉱層の形成 先カンブリア時代(約 25〜20 億年前) シアノバクテリアが出した酸素で 海水中の鉄が酸化して沈殿した → 誤り ④ 原始的な哺乳類の出現 中生代 三畳紀後期(約 2 億年前) → 正しい 【中生代のできごとの整理】 三畳紀 … 恐竜と哺乳類の出現 ジュラ紀 … 始祖鳥、アンモナイト繁栄 白亜紀 … 被子植物の繁栄、末に大量絶滅 よって ④
第5問〔選択問題〕B 火成岩の化学組成
小問2題。深成岩の SiO₂ 含有量と主要酸化物の関係を表したグラフを読みます。ボーエンの反応系列と結晶分化作用を思い出せば、グラフを見る前に答えの見当がつきます。
問3:正解 ③(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
図2は、ある地質体に含まれる複数の深成岩の SiO₂ 含有量(質量%)と、いくつかのおもな酸化物の含有量との関係を表したものです。文章中の空欄ア(SiO₂ が多くなると MgO・FeO+Fe₂O₃ とともに少なくなる酸化物)とイ(SiO₂ が多くなると K₂O とともに多くなる酸化物)に入る酸化物と、中間質の深成岩の岩石名の組合せを選びます。
<考え方>
グラフで右下がりの線と右上がりの線を仕分けます。選択肢は CaO と Na₂O の2つだけなので、どちらが苦鉄質側に多いかで決まります。
【図2 の読み取り】 右下がり(SiO₂ が増えると減る) FeO+Fe₂O₃、MgO、そして ア 右上がり(SiO₂ が増えると増える) K₂O、そして イ 【CaO と Na₂O の振り分け】 苦鉄質岩(玄武岩・斑れい岩) Ca に富む斜長石(灰長石)や 輝石を多く含む → CaO が多い ケイ長質岩(流紋岩・花こう岩) Na に富む斜長石(曹長石)や カリ長石を多く含む → Na₂O・K₂O が多い ア = CaO イ = Na₂O 【中間質の深成岩】 深成岩の分類 苦鉄質 … 斑れい岩 中間質 … 閃緑岩 ケイ長質 … 花こう岩 (火山岩なら玄武岩・安山岩・流紋岩) → 閃緑岩 よって ③
問4:正解 ①(解答番号4/配点3)
<問題要旨>
図2に関連して、火成岩に含まれるおもな酸化物の含有量の変化について述べた文として最も適当なものを選びます。
<考え方>
結晶分化作用が進むとマグマの SiO₂ が増える、という向きをまず固定します。そのうえで、鉱物の割合と酸化物の量の対応を確かめます。
【結晶分化作用の向き】 マグマが冷えると 高温で晶出する鉱物(かんらん石・輝石、 Ca に富む斜長石)が先に取り除かれる → 残ったマグマは SiO₂・Na₂O・K₂O に富み MgO・FeO・CaO に乏しくなる 【① K₂O の変化】 結晶分化が進む = SiO₂ が多くなる 図2 で K₂O は右上がり → K₂O は多くなる → 正しい 【② 石英と SiO₂】 石英は SiO₂ そのもの 石英の多い深成岩(花こう岩)ほど SiO₂ 含有量は 多い → 誤り 【③ かんらん石・輝石と MgO】 かんらん石 (Mg, Fe)₂SiO₄ 輝石 (Mg, Fe)SiO₃ どちらも Mg を含む これらの多い深成岩(斑れい岩)ほど MgO は 多い → 誤り 【④ 色指数と FeO+Fe₂O₃】 色指数は有色鉱物の体積% 色指数が小さい = 有色鉱物が少ない = 鉄を含む鉱物が少ない → FeO+Fe₂O₃ は 少ない → 誤り よって ①
第6問〔選択問題〕A 地球の運動と太陽系
小問2題。地軸の傾きが 0 になったらどうなるかという思考実験と、太陽系の惑星の特徴を表したグラフの軸を当てる設問です。問2は地球型・木星型の分かれ方から軸を逆算します。
問1:正解 ④(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
地球の自転軸に垂直な面(赤道面)は、地球の公転面に対して約 23.4° 傾いています。仮にこの傾きがなくなり、赤道面が公転面に一致した状況で起こると考えられる現象として最も適当なものを選びます。赤道面と公転面がなす角度以外は変わらないものとします。
<考え方>
地軸の傾きが原因になっている現象と、そうでない現象を仕分けます。均時差や1太陽日の長さには、傾き以外の原因も効いていることに注意します。
【① 均時差】
均時差(視太陽時と平均太陽時の差)の
原因は2つ
・地軸の傾き
・地球の公転軌道が楕円(離心率)
傾きが 0 になっても
楕円軌道による差は残る
→ 均時差はなくならない
→ 誤り
【② 1太陽日と1恒星日】
その差の原因は 地球の公転
1日に約 1° 公転で進むため
太陽が同じ位置に戻るには
約 4 分よけいにかかる
傾きとは無関係なので一致しない
→ 誤り
【③ 東京の1月1日の南中高度】
傾きが 0 なら
太陽は一年中天の赤道上にあり
南中高度は季節によらず
90° − 緯度 = 90° − 35.7°
= 約 54°
70° を超えない
→ 誤り
【④ 黄道と天の赤道】
黄道は天球上の太陽の通り道
= 公転面を天球に投影したもの
天の赤道は
地球の赤道面を天球に投影したもの
赤道面と公転面が一致すれば
黄道と天の赤道も一致する
→ 正しい
よって ④
問2:正解 ①(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
図1は太陽系の惑星の特徴を、地球の値を1としたときの相対値で表したグラフです。地球型惑星は横軸 0.4〜1.1・縦軸 0.7〜1.0 の狭い範囲に、木星型惑星は横軸 4〜11・縦軸 0.1〜0.3 の範囲に分かれています。横軸と縦軸が何を表しているかの組合せを選びます。白抜きの丸が地球です。
<考え方>
地球型惑星と木星型惑星の違いを、大きさ・密度・自転周期・公転周期の順に並べ、グラフの数値の広がりと突き合わせます。
【横軸の判定】 木星型が 4〜11、地球型が 0.4〜1.1 半径(地球=1) 水星 0.38 / 金星 0.95 / 火星 0.53 天王星 4.0 / 海王星 3.9 土星 9.4 / 木星 11.2 → ぴったり合う ✓ 公転周期(地球=1) 木星 12 / 土星 29 / 天王星 84 / 海王星 165 → 165 は図に収まらない → 公転周期ではない 横軸 = 半径 【縦軸の判定】 木星型が 0.1〜0.3、地球型が 0.7〜1.0 平均密度(地球=1) 水星 0.98 / 金星 0.95 / 火星 0.71 木星 0.24 / 土星 0.13 天王星 0.23 / 海王星 0.30 → ぴったり合う ✓ 自転周期(地球=1) 木星型は 0.4 前後だが 金星は 243 日で 240 以上になる → 図に収まらない 縦軸 = 平均密度 【組合せ】 木星型惑星は 「大きいのに密度が小さい」 という特徴がそのまま図に出ている よって ①
第6問〔選択問題〕B 銀河系と宇宙
小問2題。シャプレーとハッブルという二つの発見を、どんなグラフで確かめられるかという形で問います。問4はビッグバン宇宙論の基本事項です。
問3:正解 ②(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
文章中の下線部(a)(銀河系における球状星団の分布)と(b)(ハッブルが発見した宇宙膨張の法則)のそれぞれについて述べた文a・bの正誤の組合せを選びます。aは「シャプレーの発見を確かめるグラフでは、太陽系から銀河系中心に向かう方向の座標と、銀河面に対して垂直な方向の座標をとり、銀河系の断面図で球状星団の分布と太陽の位置を比較する」、bは「ハッブルの発見を確かめるグラフでは、さまざまな銀河までの距離とその見かけの明るさを図に記入し、各データ点の分布を最もよく表すような直線をひいてハッブル定数を読みとる」。
<考え方>
それぞれの発見が「何と何の関係」だったのかを思い出します。ハッブルの法則の縦軸が何かを取り違えていないかが要点です。
【a シャプレーの発見】 球状星団は銀河系のハローに 中心のまわりに球状に分布している その見かけの分布の中心を求めると 太陽系から遠く離れた位置にあった → 太陽系は銀河系の中心ではない これを確かめるには 銀河面に垂直な断面図に 球状星団と太陽をプロットして 分布の中心と太陽の位置を比べればよい → a は正 【b ハッブルの法則】 ハッブルの法則は 後退速度 v = H₀ × 距離 d グラフの縦軸は 後退速度 (銀河のスペクトルの赤方偏移から求める) 直線の傾きがハッブル定数 H₀ 「見かけの明るさ」ではない → b は誤 (見かけの明るさは距離を求めるために 使う量であって、縦軸にとる量ではない) よって a正・b誤 の ②
問4:正解 ①(解答番号4/配点3)
<問題要旨>
膨張する宇宙に関連して述べた文として最も適当なものを選びます。
<考え方>
宇宙の晴れ上がり、宇宙背景放射の正体、宇宙膨張の加速、元素の起源という4つの基本事項を順に確認します。
【① 宇宙の晴れ上がり】 ビッグバン直後の宇宙は高温で 電子が原子核に束縛されず飛び回り 光は電子に散乱されて直進できなかった 膨張とともに温度が下がり 約 38 万年後に約 3000 K になると 電子が原子核に取り込まれて 中性の原子ができた → 光がまっすぐ進めるようになった (宇宙の晴れ上がり) → 正しい 【② 宇宙背景放射】 宇宙背景放射は 晴れ上がりのときの光が 膨張で引き伸ばされ 約 3 K の電波として届いているもの 電波銀河に由来するものではない → 誤り 【③ 宇宙膨張とダークエネルギー】 遠方の Ⅰa 型超新星の観測から 宇宙の膨張は 加速している ダークエネルギーはその原因と 考えられている 「減速されている」は誤り 【④ 酸素の起源】 ビッグバンでつくられたのは おもに水素とヘリウム 酸素などの重い元素は 恒星内部の核融合や超新星爆発で つくられた → 誤り よって ①
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

