2023年度 大学入学共通テスト 追試験 国語 解答・解説

2023年度 大学入学共通テスト 追試験「国語」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2023年度(令和5年度)大学入学共通テスト追試験「国語」の全問題について、当サイトが独自に作成した解答・解説です。第1問から第4問まで、大問ごとに設問を折りたたんで掲載しています。知りたい設問をクリックしてご覧ください。

国語は全4問・24設問・200点満点(各大問50点)、試験時間80分です。解答番号は39あります。共通テストらしく、第1問は生徒が書いた【文章】の推敲、第2問は評論と後日譚の【資料】、第3問は『伊勢物語』を用いた【学習プリント】と【ノート】、第4問は教師と生徒の会話と、すべての大問に「複数の資料を関連づけて考える」設問が組み込まれています。

※ 著作権に配慮し、本文そのものは掲載していません。問題文は上の「過去問題はこちら」から大学入試センター公開の冊子でご確認ください。

第1問 評論 北川東子「歴史の必然性について——私たちは歴史の一部である」(配点50)

歴史学の言説がなぜ「自分の不在」を前提としているのかを問う評論です。「自分の不在」「ゆるい関心」というキーワードを軸に議論が進み、最後の問6では、生徒が本文の書き方を分析した【文章】を題材に、表現の修正とまとめの方針が問われます。

問1(ⅰ):正解 ③・②(配点各2)

<問題要旨>
傍線部(ア)「挙げて」・(オ)「関わる」と同じ意味を持つ熟語を選ぶ問題。

<考え方>
(ア)は「理由として〜を挙げている」で、例として並べ示す意味なので「列挙」の③。挙式・快挙・挙動はいずれも別の意味です。(オ)は「歴史にたいして関わる」で、関係をもつ・あずかる意味なので「関知」の②。難関・関門・税関はいずれも「せき(門)」の意味です。

問1(ⅱ):正解 ③・②・①(配点各2)

<問題要旨>
傍線部(イ)〜(エ)に相当する漢字を含むものを選ぶ問題。

<考え方>
(イ)ホンロウは「翻弄」なので、同じ「翻」を含む「翻意」の③。本懐・謀反・奔走と紛らわしい同音字が並びます。(ウ)タイダは「怠惰」なので、同じ「惰」を含む「惰性」の②。駄作・妥協・長蛇はいずれも別の字です。(エ)テッテイは「徹底」で、傍線部は下の「テイ」にかかるので「根底」の①。探偵・体裁・策定は別の字です。

問2:正解 ⑤(配点7)

<問題要旨>
傍線部A「『自分の不在』を前提とするような歴史理解」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
本文では、ホブズボームの言葉を引きながら、自分より年上の人々と共に生きることで「個人の記憶に直接残されている出来事より前の時期」としての歴史を意識するようになる、と述べられています。つまり自分が当事者でないことを前提に、記憶を超えた過去を歴史として捉える態度です。⑤がこれを正確にまとめています。①は「当事者の立場で体験した出来事だけ」と限定しており、前提が逆になっています。

問3:正解 ④(配点7)

<問題要旨>
傍線部B「しかし同時に、私たちの願望の現れでもある」と述べる理由を選ぶ問題。

<考え方>
直後に「一人のささやかな市民として、私は自分が歴史に登場しないことを願っている」「歴史的出来事に翻弄されないこと」とあります。歴史が一部の人だけを記述するという性質は、大多数の人が歴史に巻き込まれず平穏に暮らしたいという願いの裏返しだ、というのが筆者の主張です。④が正解。

問4:正解 ①(配点7)

<問題要旨>
傍線部C「『健全な歴史家意識』ともいうべき姿勢」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
ドロイゼンらの近代史学は史料研究を重視する「歴史の解釈学」であり、「記述をする者は、シーザーやフリードリヒ大王のように、特に高いところにおいて出来事の中心から見たり聞いたりしたわけではない」と述べられます。歴史家は当事者ではなく、対象と距離を置いて史料から解釈する——これをまとめた①が正解です。

問5:正解 ②(配点7)

<問題要旨>
傍線部D「私たちは歴史に内在しようとするのだ」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
本文は、「歴史の捏造」が感じられるとき激しい怒りが襲い、そのとき「ゆるい関心」が「歴史との正しい関わり方」でないと感じる、と述べます。そして「自分の体験」が歴史を正しく理解するための基礎であってほしいと切望する——つまり距離を取っていた者が、憤りを機に自分の体験を歴史の土台に据えようとするのです。②が正解。

問6(ⅰ):正解 ②・②(配点各3)

<問題要旨>
生徒Kの【文章】の傍線部a・bを、より適切な表現に修正する問題。

<考え方>
aは、カギ括弧付きのキーワードを使う効果を述べた箇所です。直前に「論点を印象づける工夫」とあるので、「複雑な議論の核心を端的に表現することが可能になる」の②が適切。bは、グラックの発言やドロイゼンの定義を引用する効果を述べた箇所です。歴史学の専門家の言葉を借りることで、その背後にある研究の蓄積を示すことになるので②が適切です。

問6(ⅱ):正解 ①(配点6)

<問題要旨>
【文章】の末尾に書き加えるまとめの方針を選ぶ問題。

<考え方>
Kさんは、筆者がキーワードを強調する工夫と、歴史家の言葉を引用する工夫を指摘したうえで、「歴史家の言葉と筆者の主張は必ずしも一致しているわけではない」と留保しています。つまり本文は、従来の学説を正確に示したうえでその問題点を述べる構成になっているということ。この気づきをまとめる①が正解です。

第2問 小説 太宰治『パンドラの匣』(配点50)

結核療養所で暮らす「僕」が、同室の「かっぽれ」の俳句をめぐるやりとりを友人「君」に報告する、手紙形式の一節です。問7では外山滋比古『「読み」の整理学』と、本文より後の場面が【資料】として与えられ、文学作品と読者の関係を考える構成になっています。

問1:正解 ④・③・⑤(配点各3)

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の本文中における意味を選ぶ問題。

<考え方>
(ア)「てんでわからない」の「てんで」は下に打消を伴って「まったく」の意なので「全然」の④。(イ)「あからさまに言って」の「あからさま」は隠さずむき出しにするさまなので「露骨に」の③。(ウ)「いたずらに悲観する勿れ」の「いたずらに」は、むだに・かいもなくの意なので「無益に」の⑤。文脈に当てはめて確かめるのが確実です。

問2:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
傍線部A「どうも、かっぽれが気の毒で、何とかなぐさめてやりたく」のときの「僕」の心情を選ぶ問題。

<考え方>
かっぽれは十句ほどを便箋に書きつらねて披露しましたが、固パンは苦笑してすぐ返し、越後獅子は「けしからぬ」「わかりません」と言って返しただけでした。時間をかけた作品を内容に触れられないまま切り捨てられた相手に同情し、自分なりの見識を示して相談に乗ってやりたい——という④が正解です。

問3:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
傍線部B「そりゃ、いい筈だ。俳句の門外漢の僕でさえ知っているほど有名な句なんだもの。」の表現上の特徴を選ぶ問題。

<考え方>
その前後では「僕には、わかりません」「素人考えですけど」のように断定を避けた気づかいの表現が重ねられています。ところがここでは「そりゃ」「なんだもの」という砕けた言い回しになり、盗作に気づいていないかっぽれへのあきれや困惑という本音が顔を出します。この落差を説明した①が正解。

問4:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
傍線部C「もはや笑わずに反問した」理由を選ぶ問題。

<考え方>
「僕」は名句の盗用に気づきながら直接には指摘せず、かっぽれの顔を立てて話を合わせてきました。しかしかっぽれは図に乗り、「わかりますかね」と少し僕を軽蔑するような口調で言います。そこで調子を合わせるのをやめ、改まって「どんな、まごころなんです?」と趣旨を問いただしたのです。⑤が正解。

問5:正解 ①(配点6)

<問題要旨>
傍線部D「内心の声は叫んでもいた」に見られる「僕」の心理を選ぶ問題。

<考え方>
「コスモスの、と直したらどうでしょう」という思いつきの修正案を、かっぽれに「偉いねえ」「隅に置けねえや」と激賞されて「僕」は赤面し、あわてて「僕には俳句の事は、全くわからないんです」と言い足します。褒められて浮かれた自分と、こんなやりとりに関わっていること自体を恥じる自分——その二つを「君」にわかってほしいという心理です。①が正解。

問6:正解 ④(配点6)

<問題要旨>
傍線部E「どうにも、かなわない気持であった」と「僕」が感じた理由を選ぶ問題。

<考え方>
かっぽれは「僕」を軽蔑するような口調を見せたかと思えば、盗作の指摘をあっさり受け入れ、最後には「僕」を尊敬したように相談役を頼み、意気揚々と自分のベッドへ引き上げていきました。その捉えどころのない態度に振り回されてばかりだと気づいたのです。④が正解。

問7(ⅰ):正解 ②(配点7)

<問題要旨>
二重傍線部「古人の句を盗んで勝手な意味をつけて、もてあそぶ」という「かっぽれ」の行為を、【資料】Ⅰをふまえて捉え直す問題。

<考え方>
外山滋比古は、読者は自分のコンテクストに合わせて無意識に「添削」しながら読むのであり、古典化とは作者の意図した意味からの逸脱だと述べます。この立場からすれば、かっぽれの行為は、江戸時代の句を本来の意味から離れて戦後という時代に即したものへ読み替えたことになります。②が正解。

問7(ⅱ):正解 ①(配点7)

<問題要旨>
【資料】Ⅱを読んで、「僕」の考えが本文の時点からどう変化したかを選ぶ問題。

<考え方>
本文の時点で「僕」は、古人の句を勝手な意味で用いるかっぽれを内心で咎めていました。ところが【資料】Ⅱでは「作者の名なんて、どうでもいいんだ。みんなで力を合せて作ったもののような気がしている」と述べ、それを「こんにちの新しい発明」と肯定します。作者の意図に基づく読みから、読者に共有されて新しい意味を帯びるという考えへの変化です。①が正解。

第3問 古文 『石清水物語』(配点50)

男君(中納言)は木幡の姫君に恋心を抱きながら、院の意向を受けて異母妹にあたる女二の宮と結婚することになります。本文には段落番号が付され、問5では『伊勢物語』の和歌を用いた【学習プリント】と【ノート】をもとに、男君の心情を読み解きます。

問1:正解 ①・③・①(配点各5)

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の解釈として最も適当なものを選ぶ問題。

<考え方>
(ア)「さらぬほどの所」の「さらぬ」は「さあらぬ」で、そうでない・たいしたことのないの意。「たいして重要でない場所」の①。(イ)「いつしかゆかしう」は、「いつしか」=早く、「ゆかし」=見たい・知りたい、で「早く目にしたいと」の③。(ウ)「おくれたるところなく」の「おくる」は劣る・見劣りするの意なので「未熟なところがなく」の①です。

問2:正解 ②(配点7)

<問題要旨>
傍線部A「ものの嘆かしさの紛るばかりに見なし聞こえばやとぞ思しける」の文法と内容に関する説明を選ぶ問題。

<考え方>
「紛るばかりに」は動詞「紛る」に程度を表す副助詞「ばかり」が付いた形で、「木幡の姫君への思いが紛れるくらいに」という意味になります。②が正解。①は「もの」を接頭語、「の」を格助詞とする点が誤り。③は「ばや」を終助詞とする文法説明は正しいものの、「女二の宮に会ってみたい」という内容が本文とずれます。④も「思す」の文法説明は正しいが、「恋をしていたことへの気づき」という内容が合いません。

問3:正解 ③(配点7)

<問題要旨>
1〜3段落の登場人物に関する説明を選ぶ問題。

<考え方>
三条院へ参上する男君の晴れやかな姿を見て、「いかに面立たしく思し喜ばむ」と亡き大宮(男君の母宮)を思い出すのは関白(殿)です。③が正解。①は春の中納言が男君と同時期に昇進したという本文の記述と食い違い、②の「女二の宮を奪い取ろうという気持ち」は本文にありません。

問4:正解 ②(配点7)

<問題要旨>
4・5段落の内容に関する説明を選ぶ問題。

<考え方>
男君は翌朝すぐに退出して後朝の文を贈り、女二の宮は院に促されて、男君の歌の語(女郎花・時雨)を受けた返歌を、慎ましく控えめな筆跡でしたためます。その後の三日夜の儀式も盛大で、男君は女二の宮の容姿や髪の美しさ、「おくれたるところなくうつくしき人のさま」に満足し「御心落ちゐて」います。②が正解。

問5(ⅰ):正解 ①(配点7)

<問題要旨>
【ノート】の空欄X・Yに入る内容の組合せを選ぶ問題。

<考え方>
【学習プリント】の和歌Ⅰは、兄が妹を「若草」にたとえ、「人の結ばむことをしぞ思ふ」と詠んだ歌です。「結ぶ」は草を引き結ぶことと人が縁を結ぶことを掛けており、Xには「自分ではなく他人が妹と結婚すること」が入ります。妹の返歌Ⅱが「などめづらしき言の葉ぞ」と驚いていることから、兄が伝えたかったのは妹への恋心であり、Yには「妹への恋心」が入ります。よって①。

問5(ⅱ):正解 ③(配点7)

<問題要旨>
傍線部B「いかなる方にかと、人の結ばむことさへ思ひつづけらるるぞ、我ながらうたてと思ひ知らるる」に表された男君の心情を選ぶ問題。

<考え方>
女二の宮と結婚した後もなお、男君は妹である木幡の姫君への思いを断ち切れず、その相手がどのような人になるのかまで想像してしまいます。そして「我ながらうたて(いやなことだ)」と自分自身に嫌気がさしているのです。③が正解。①の「思いを諦めようとしている」、②の「釣り合う相手はいない」は、いずれも傍線部の内容と合いません。

第4問 漢文 安積艮斎『洋外紀略』/『性理大全』(配点50)

【文章Ⅰ】は江戸末期の儒学者・安積艮斎が書いたワシントンの伝記「話聖東伝」、【文章Ⅱ】は宋代の范祖禹が君主の道を述べた文章です。二つを読み比べ、問6では教師と生徒の会話を通して、漢文の教養が西洋文化の受容の土台になったことを考えます。

問1:正解 ①・⑤(配点各4)

<問題要旨>
空欄X・Yに入る語を選ぶ問題。

<考え方>
Xは「話聖東為政( )而公、推誠待物」で、あとに「公(公正)」が続き、誠意をもって人に接したという文脈なので「廉(清廉)」の①。Yは「御四海之広、応万務之( )」で、「四海之広」と対になる語ですから、事務の多さを表す「衆」の⑤です。対句の構造に注目すると決めやすくなります。

問2:正解 ②・④(配点各5)

<問題要旨>
波線部(ア)「以寿終于家」・(イ)「役其独智」の解釈を選ぶ問題。

<考え方>
(ア)は「寿を以て家に終はる」で、天寿を全うして自分の家で亡くなったという意味。②が正解です。ワシントンが任期を終えて故郷に戻り、そこで生涯を閉じたという文脈と合います。(イ)は「其の独智を役して」で、自分ひとりの知恵だけを使うこと。④が正解。直後に「先天下(天下に先んじる)」と続き、賢者と協力しない場合を述べています。

問3:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
傍線部A「然人或有議其所為者」の返り点の付け方と書き下し文の組合せを選ぶ問題。

<考え方>
「然れども人或いは其の為す所を議する者有れば」と読みます。「其所為」は「其の為す所」で、「所」が「為」を受けるので「所」に返って読み、さらに「議」がそれを受け、最後に「有」が「〜する者」を受けます。この重層的な返読を正しく示しているのは⑤です。「所」と「者」の位置関係を取り違えないことが要点。

問4:正解 ①(配点6)

<問題要旨>
傍線部B「耳目心志之所及者、其能幾何」の解釈を選ぶ問題。

<考え方>
「耳目心志の及ぶ所の者、其れ能く幾何ぞ」——君主一人の見聞や思慮が届く範囲など、どれほどのものだろうか(いや、たかが知れている)という反語です。だからこそ賢者の力を借りるべきだ、という論の前提になります。①が正解。

問5:正解 ③(配点7)

<問題要旨>
傍線部C「如水之止」の説明を選ぶ問題。

<考え方>
「人君必ず心を清くして之に涖み、己を虚しくして以て之を待つこと、鑑の明らかなるが如く、水の止まるが如くなれば、則ち物至るも罔ふること能はず」という一節の一部です。心を澄ませ、私心を空しくした君主のあり方を、曇りのない鏡と、波立たず静止した水にたとえています。③が正解。

問6(ⅰ):正解 ①(配点7)

<問題要旨>
【資料】をふまえ、空欄aに入る生徒Aの発言を選ぶ問題。

<考え方>
【資料】は「嗚呼、話聖東、戎羯に生まると雖も、其の人と為り多とするに足る者有り」=ああ、ワシントンは異民族の出身ではあるけれども、その人柄には称賛すべき点がある、という一節です。「〜ではあるけれども」という譲歩の言い方に、西洋への偏見が残りながらも人物を高く評価する艮斎の姿勢が表れています。①が正解。

問6(ⅱ):正解 ⑤(配点7)

<問題要旨>
空欄b・cに入る発言の組合せを選ぶ問題。

<考え方>
b=【文章Ⅰ】は、才能と見識にすぐれ文章にも通じたハミルトンを、ワシントンが登用して政務の決裁に参与させたことを述べています。c=【文章Ⅱ】は、君主が至誠をもって賢者とともにすべきで、独りの知恵に頼ってはならないと説きます。つまり優れた人材を登用したワシントンの姿は、公正な心で賢人と協力する儒学の君主像に重なる——この対応を示す⑤が正解です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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