2024年度 大学入学共通テスト 本試験「地理B」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト本試験の地理Bは、第1問から第5問までの5題、設問数30問、解答番号1〜30、満点100点、試験時間60分です。配点は第1問から第5問までいずれも20点で、大問ごとの重みに差はありません。1問あたりは3点または4点で、各大問に4点の設問が2問前後含まれます。
第1問は世界の自然環境と自然災害で、国土の標高別面積割合、永久凍土と氷河・氷床、ヨーロッパの海岸地形、都市の日照時間、南北アメリカの洪水の発生時期、日本国内の気象観測記録が扱われます。第2問は鉄鋼業を手がかりにした世界と日本の資源・産業の変化、第3問は都市と生活文化で、都市内部の景観変化、通勤・通学の交通手段、世界の都市圏人口、都市規模の順位分布、貧困地区の分布、アメリカ合衆国の都市で使われる言語が取り上げられます。第4問は環太平洋地域を題材に、海底地形の断面、民族衣装と気候、たんぱく質供給量、観光客の出発地域、4か国間の輸出額、日本企業の現地法人数を問います。第5問は島根県石見地方の浜田市を対象とした地域調査で、冬の気候、買い物と余暇の行き先、施設の立地、地形図と景観写真、江戸時代の商品流通、過疎対策の取組みが並びます。
この回は、選択肢そのものの知識よりも図表の数値のどこに差が出ているかを1つ決めてから当てはめる力が試されます。3〜4か国や3〜4都市を見分ける設問が多く、すべての数値をまんべんなく眺めると迷いますが、「7月の日照時間」「牛乳の供給量」「3km以上の割合」のように差が極端に出る指標を先に1つ選べば、残りは連鎖的に決まります。また、会話文の下線部から誤りを含むものを選ぶ設問では、事実の誤りだけでなく因果関係のすり替えが仕掛けられている点に注意が必要です。なお、この試験では問題冊子とともに問題訂正が示されており、第5問 問2の図2の右下の図に2016年の市町村境界を追加する内容です。
第1問 世界の自然環境と自然災害(配点20)
国土の標高別面積割合と土地利用、緯度別の永久凍土と氷河・氷床、ヨーロッパの海岸地形、世界の都市の日照時間、南北アメリカ4か国の洪水発生時期、日本の気象観測記録という6種類の図から、自然環境の地域差と災害の起こり方を読み取る大問です。
問1:正解 ③(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
図1のアとイは、イギリスとニュージーランドのいずれかにおける国土の標高別面積割合を示したものです。図2は両国の土地利用割合で、凡例AとBは森林と牧草地のいずれかです。ニュージーランドに該当する図と、牧草地に該当する凡例との組合せを選びます。
<考え方>
決め手は「2000m以上の高所があるかどうか」です。ニュージーランドは南島にサザンアルプス山脈が連なる新期造山帯の国で高い山地をもつのに対し、イギリスは古期造山帯と低地からなり高い山地に乏しく、国土の大半が標高200m未満です。凡例の割り当ては、イギリスの数値で決めます。イギリスは森林率が1割台と低く、牧草地が国土のおよそ半分を占める国なので、イギリスで4割以上を占める区分が牧草地です。
<選択肢>
ニュージーランド=イ【正】
イは0〜200mが3割弱にとどまり、800m以上や2000m以上にも面積が配分されている。山脈が国土を縦断するニュージーランドの姿にあたる。一方アは0〜200mだけで約70%を占め、800m以上がほとんどない低平な国土で、こちらがイギリスである。
牧草地=A【正】
図2でイギリスのAは4割台後半を占める。イギリスの森林率は1割台にすぎず、この大きさを森林とは説明できない。牧草地は国土の半分近くを占めるので、A=牧草地、B=森林と決まる。ニュージーランドも牧草地が広く、耕作地(斜線)がごくわずかである点とも矛盾しない。
正解【③】
高い山地をもつニュージーランドがイ、イギリスで4割以上を占める区分が牧草地Aなので、組合せは③になります。
問2:正解 ③(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
図3は、北緯30度から80度までの緯度ごとに、陸地に占める永久凍土と氷河・氷床の割合を示したものです。この図に関する4つの文から、適当でないものを1つ選びます。
<考え方>
積雪・氷河の分布を考えるときは、降る量(供給)と融ける量(消耗)のどちらが効いているかを分けて考えます。高緯度ほど気温が低く水蒸気量も少ないため、降雪量はむしろ減ります。高緯度で氷河・氷床が広がるのは、夏でも融けずに雪が残る、つまり消耗が小さいからです。因果関係を入れ替えた文を探します。
<選択肢>
①【正】
北緯30〜45度は温帯・亜熱帯の緯度帯で、低地には永久凍土は分布しない。この緯度帯で永久凍土が現れるのはチベット高原やヒマラヤ山脈のような標高の高い地域に限られる。図で30〜45度の値が小さいながら0でないことと整合する。
②【正】
北緯45度から70度にかけて永久凍土の割合が80%以上まで高まるのは、高緯度ほど受け取る日射量が少なく年平均気温が下がるためである。年平均気温が0℃を下回る地域が広がることが永久凍土の条件にあたる。
③【誤】
高緯度ほど気温が低く大気中の水蒸気量が少ないため、降雪量は多くならない。北緯60〜80度で氷河・氷床が増えるのは、気温が低く夏も雪氷が融けずに残るからであり、降雪量の増加を主因とするのは因果の取り違えである。
④【正】
北緯70〜80度では永久凍土と氷河・氷床の値がともに高く、両者を合わせるとほぼ陸地全体に達する。氷河・氷床に覆われていない陸地の大部分は永久凍土であるという読み取りは図と一致する。
正解【③】
高緯度ほど降雪量が増えるという説明は成り立たず、氷河・氷床の拡大は低温による融解の少なさで説明されるので、適当でないものは③です。
問3:正解 ④(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
図4のD〜Gは、ヨーロッパのいくつかの地域でみられる海岸付近の地形を、同じ縮尺(20kmの縮尺記号つき)で示したものです。4つの文はいずれかの海岸の特徴を述べており、Eに該当するものを選びます。
<考え方>
海岸地形は「入り江の形」で分類します。氷食谷が沈水したフィヨルドは、幅が狭く両岸がほぼ平行な入り江が陸地の奥深くまでまっすぐ入り込み、沖合に小さな島が多数散らばります。河川が刻んだ谷が沈水したリアス海岸は、入り江が奥に向かって細くなる樹枝状になります。大河川の河口が沈水したエスチュアリは、ラッパ状に開いた1本の大きな湾になります。砂の堆積が進む海岸は、湾口をふさぐように細長い砂州が伸びます。
<選択肢>
①【誤】
沿岸流が運んだ土砂で入り江がふさがれつつある海岸はGにあたる。Gでは陸から細長く突き出した砂の高まりが湾口を閉じかけており、沈水による深い入り江が連なるEとは形がまったく異なる。
②【誤】
河川の侵食谷が沈水したリアス海岸はDにあたる。Dの入り江は奥へ向かって細くなる樹枝状で、Eのように幅の狭い長い入り江が平行に並ぶ形ではない。
③【誤】
大河川の河口部が沈水してできた深い入り江、すなわちエスチュアリはFにあたる。Fは湾が1つだけ大きくラッパ状に開いており、入り江が多数連なるEとは対応しない。
④【正】
Eは幅の狭い入り江が陸地の奥深くまでほぼまっすぐ入り込み、沖合には細長い島が多数分布する。氷河が削ったU字谷が沈水したフィヨルドの特徴で、ノルウェーの海岸にみられる形である。
正解【④】
細長い入り江が奥深くまで入り込み沖合に島が散在するEはフィヨルドなので、正解は④です。
問4:正解 ④(解答番号4/配点4)
<問題要旨>
図5は、いくつかの都市における1月と7月の1日当たりの日照時間を、横軸に1月、縦軸に7月をとって示した散布図で、東京が基準として書き込まれています。①〜④はオスロ、シドニー、ムンバイ(ボンベイ)、ローマのいずれかで、ムンバイに該当するものを選びます。
<考え方>
決め手は「7月の日照時間の短さ」です。ムンバイは熱帯の南西モンスーンの影響を強く受け、6〜9月が雨季で厚い雲に覆われるため、7月の日照時間が極端に短くなります。逆に1月は乾季で晴天が続き日照時間が長くなります。つまり1月が長く7月が短いという、図の中で最も右下に位置する点を探せば決まります。残りは、高緯度で冬の昼が短いオスロ、夏の乾燥が強いローマ、南半球で季節が逆になるシドニーの順に落とせます。
<選択肢>
①=オスロ【誤】
1月が約1.3時間と極端に短く、7月が約8時間と長い。高緯度のため冬は昼の長さそのものが短く、夏は白夜に近い長い昼になる北ヨーロッパの都市の型である。
②=ローマ【誤】
1月約3.9時間に対し7月が約10.8時間と4都市で最長。夏に亜熱帯高圧帯に覆われて乾燥するという地中海性気候の特徴を示しており、ムンバイの雨季とは逆である。
③=シドニー【誤】
1月約7.5時間、7月約6.8時間と、1月と7月の差が小さく1月がやや長い。南半球にあって1月が夏、7月が冬にあたるため、差が小さくなる。
④=ムンバイ【正】
1月約8.6時間に対し7月は約2.5時間と、4都市で7月が最も短い。雨季の7月に日照が失われ、乾季の1月に晴天が続くという熱帯モンスーン地域の都市の型にあたる。
正解【④】
7月の日照時間が最も短く1月が長い点がムンバイなので、正解は④です。
問5:正解 ④(解答番号5/配点4)
<問題要旨>
図6は、カナダ、コロンビア、ボリビア、メキシコにおける洪水災害の時期別発生割合を円グラフで示したものです。凡例サ〜スは3〜5月、9〜11月、12〜2月のいずれかで(6〜8月は斜線で別に示されています)、発生時期と凡例との組合せを選びます。
<考え方>
決め手はボリビアの円です。ボリビアは南半球にあり、雨季は南半球の夏にあたる12〜2月に集中します。ボリビアの円でおよそ8割を占める凡例が12〜2月です。次にカナダを見ると、円は6〜8月の斜線と1つの凡例だけでほぼ構成されています。カナダの洪水は春の融雪出水が中心なので、この凡例が3〜5月です。残る1つが9〜11月となり、ハリケーンの襲来期にあたるメキシコで最大になることと合致します。
<選択肢>
サ=12〜2月【正】
ボリビアの円のおよそ8割をサが占める。南半球の夏である12〜2月がアンデス東斜面の雨季にあたり、この時期に洪水が集中する。北半球の国で12〜2月の洪水が少ないこととも矛盾しない。
シ=3〜5月【正】
カナダの円は6〜8月の斜線とシだけでほぼ構成される。高緯度のカナダでは春の融雪と河川の氷の融解で春季に出水が起こりやすく、夏の降雨期と合わせて2つの時期に集中する。
ス=9〜11月【正】
メキシコの円でスが最大となる。メキシコは6〜10月が雨季で、とくに9月前後はハリケーンの襲来が多い時期にあたる。コロンビアでもスが大きく、赤道付近で雨季が年2回みられることと整合する。
正解【④】
ボリビアで卓越するサが12〜2月、カナダで大きいシが3〜5月、残るスが9〜11月となるので、組合せは④です。
問6:正解 ⑤(解答番号6/配点3)
<問題要旨>
図7は、1976年から2021年までの日本国内で、いくつかの気象観測項目の最大記録が上位20位までに入る地点を示したものです。凡例タ〜ツは最高気温、最大風速、日降水量のいずれかで、項目名と凡例との組合せを選びます。
<考え方>
決め手は南西諸島に集まる記号です。台風が発達したまま通過する沖縄や先島諸島、および岬や離島に集中するのは最大風速です。次に、内陸に集まる記号を探します。最高気温の記録地点は、群馬・埼玉の内陸、岐阜、山形など、フェーン現象やヒートアイランドの影響を受ける内陸の盆地や平野に偏ります。残る1つは、四国山地、紀伊半島、九州南部の山地斜面という多雨地域に並ぶので日降水量です。
<選択肢>
タ=最大風速【正】
タの○印は沖縄島や宮古・八重山の島々、九州南部の島、岬など、台風の進路にあたり風を遮る地形のない場所に集中している。強風の記録が海上や島嶼部に偏るという性質に合う。
チ=日降水量【正】
チの△印は四国山地、紀伊半島、九州南部、中部山岳など、湿った気流が山地にぶつかって大量の雨をもたらす地域に並ぶ。日本の多雨地点の分布と一致する。
ツ=最高気温【正】
ツの■印は群馬県・埼玉県の内陸、岐阜県、山形県、新潟県など内陸の盆地や平野に集中している。海から離れて日中の気温が上がりやすく、山越えの風による昇温も起こる場所である。
正解【⑤】
最高気温が内陸のツ、最大風速が南西諸島のタ、日降水量が山地斜面のチとなるので、組合せは⑤です。
第2問 鉄鋼業からたどる資源と産業の変化(配点20)
ヨシエさんたちが授業で鉄鋼業を手がかりに、世界と日本の資源・産業の変化を探究するという設定の大問です。鉄鉱石の産出・輸出入、日本の製鉄所の立地の変遷、石炭の輸入相手国、製造業の付加価値額、工場跡地の空中写真、地域の新しい取組みが順に問われます。
問1:正解 ⑤(解答番号7/配点3)
<問題要旨>
図1のA〜Cは、鉄鋼の原料となる鉄鉱石の産出量、輸出量、輸入量のいずれかについて、世界全体に占める割合が1%以上の国・地域とその割合を円の大きさで示した世界地図です。項目名とA〜Cとの組合せを選びます。
<考え方>
決め手は中国の円です。中国は鉄鉱石の世界最大の輸入国で、世界の輸入量の7割前後を1国で占めます。Bは中国の円だけが突出して大きく、ほかに日本・韓国の小さな円があるだけなので輸入量です。次に、産出量と輸出量を分けます。産出量は中国・インド・ロシア・ウクライナ・南アフリカなど産地国が広く分布するのに対し、輸出量はオーストラリアとブラジルの2国に極端に偏り、自国で消費する中国の円は現れません。
<選択肢>
産出量=C【正】
Cはオーストラリアとブラジルが大きい一方で、中国・インド・ロシア・南アフリカ・アメリカ合衆国など多くの国に円が分布する。中国は世界有数の産出国だが産出した鉄鉱石を国内で消費するため、産出量の図にだけ円が現れる。
輸出量=A【正】
Aはオーストラリアが5割を超え、ブラジルが2割前後を占め、ほかはカナダや南アフリカなどの小さな円にとどまる。中国の円がないことが、これが輸出量であることの決め手になる。
輸入量=B【正】
Bは中国が世界全体の7割近くを占め、ほかに日本や韓国の小さな円がみられるだけである。鉄鋼生産が世界の半分を超える中国が原料を大量に買い集めている姿を示す。
正解【⑤】
中国だけが突出するBが輸入量、中国の円がないAが輸出量、産地国が広く分布するCが産出量なので、組合せは⑤です。
問2:正解 ②(解答番号8/配点3)
<問題要旨>
図2は1910年、1940年、1974年、2022年における日本国内の製鉄所(銑鋼一貫工場)の立地を示した4枚の地図です。この図を見て話し合った先生とヨシエさんたちの会話文の下線部①〜④から、誤りを含むものを選びます。
<考え方>
工業立地は「原料指向か市場指向か」で整理します。鉄鋼業は原料と燃料の重量が製品より大きい重量減損型で、当初は石炭産地の近くに立地しました。その後臨海部に移ったのは、国内資源が尽きたからではなく、もともと日本は鉄鉱石をほとんど産出せず、安価な原料・燃料を海外から大量に輸入するようになり、同時に大市場に近い港湾が有利になったためです。「枯渇したから輸入するようになった」という因果のすり替えを見抜きます。
<選択肢>
①【正】
鉄1トンをつくるのに必要な鉄鉱石と石炭の重量は製品を上回る。重量減損の大きい原料を使う工業は原料・燃料の産地に近いほど輸送費が小さくなるため、1910年の製鉄所が筑豊炭田など石炭産地の近くに立地したことの説明として正しい。
②【誤】
日本はもともと鉄鉱石の埋蔵に乏しく、国内資源が枯渇したために輸入に転じたわけではない。臨海部の大市場に近い港湾に立地するようになったのは、海外から安価な原料・燃料を大量に輸入するようになり、製品の市場にも近い場所が有利になったためで、因果の説明が誤っている。
③【正】
1974年の図で三大都市圏や瀬戸内の臨海部に製鉄所が増えているのは、高度経済成長期に遠浅の海岸を埋め立てて造成した広大な工業用地に、大型船が接岸できる岸壁とともに建設されたためである。
④【正】
2022年に製鉄所が減っているのは、安価な輸入鋼材との競争が激しくなるなかで、企業合併や設備の統廃合など経営の合理化・再編が進んだためである。
正解【②】
日本の鉄鉱石はもともと乏しく「枯渇して輸入が増えた」とはいえないため、誤りを含むのは②です。
問3:正解 ③(解答番号9/配点4)
<問題要旨>
図3は日本におけるいくつかの国からの石炭輸入量の推移を示したもので、E〜Gはアメリカ合衆国、インドネシア、オーストラリアのいずれかです。文ア〜ウはE〜Gのいずれかの国の石炭の生産や消費の特徴を述べており、E〜Gとア〜ウの組合せを選びます。
<考え方>
決め手はグラフの立ち上がり方です。Eは1970年から一貫して増加し、2010年代には1億2000万トン台に達して他を大きく引き離します。日本の石炭輸入先で圧倒的な第1位を占めるのはオーストラリアです。Fは1990年ごろまでほぼ0で、1990年代後半から急増して2010年代前半に頂点をもちます。この時期に石炭生産を急拡大した国はインドネシアです。残るGは1970〜80年代に山があり近年は小さく、これがアメリカ合衆国です。あとは、輸出志向のオーストラリア、生産急増と国内消費増が同時に進むインドネシア、埋蔵量世界一で国内市場が大きいアメリカ合衆国という国の性格に文を当てはめます。
<選択肢>
E=イ【正】
Eは日本の輸入量が最大で増加も続くオーストラリア。人口が少なく国内市場が小さい一方、内陸や沿岸部で大規模な露天掘りが行われ、採掘された石炭の多くが輸出に回されるという記述と合う。
F=ア【正】
Fは1990年代後半から急増したインドネシア。採掘技術の進歩などで産出量が急増して輸出が伸び、同時に国内でも石炭火力発電を中心に消費が増えているという記述にあたる。
G=ウ【正】
Gは1970〜80年代に山をもち近年は小さいアメリカ合衆国。石炭の確認埋蔵量が世界最大で、大きな国内市場を背景に国内消費量も世界有数であるという記述にあたる。
正解【③】
最大で増え続けるEがオーストラリア(イ)、1990年代後半に急増したFがインドネシア(ア)、残るGがアメリカ合衆国(ウ)なので、組合せは③です。
問4:正解 ③(解答番号10/配点4)
<問題要旨>
図4は、いくつかの国における1990年と2018年の人口1人当たりの製造業付加価値額(横軸)と、GDPに占める製造業の割合(縦軸)を矢印で結んで示したものです。①〜④はイギリス、中国、ドイツ、ベトナムのいずれかで、ドイツに該当するものを選びます。
<考え方>
決め手は横軸の絶対値です。人口1人当たりの製造業付加価値額は、その国の製造業がどれだけ高付加価値かを表し、先進国で大きく発展途上国で小さくなります。ドイツは自動車や機械など高付加価値の製造業を維持している先進国なので、横軸が4者中で最大になり、しかもGDPに占める割合が2割前後と高いまま保たれているはずです。脱工業化が進んだイギリスは割合が下がり、工業化の途上にある中国とベトナムは横軸が小さいところから右上へ伸びます。
<選択肢>
①=ベトナム【誤】
1990年は横軸が0に近く割合も8%程度で、2018年に0.4千ドル・16%へ動く。工業化が始まったばかりの国の型で、絶対水準が低すぎてドイツではない。
②=中国【誤】
1990年の0.2千ドル・21%から2018年には2.8千ドル・29%へ大きく右上に移動する。「世界の工場」として製造業を急拡大させた国の型だが、1人当たりの額はドイツの3分の1以下である。
③=ドイツ【正】
1990年の約6.6千ドルから2018年の約9.2千ドルへと、4者で最も高い水準をさらに高めており、GDPに占める割合も21%前後を保っている。高付加価値製品の開発によって製造業の地位を維持している先進国の型である。
④=イギリス【誤】
1990年の4.4千ドル・15%から2018年には4.0千ドル・9%へと、付加価値額も割合も低下している。金融など第3次産業に比重を移し、脱工業化が進んだ国の型である。
正解【③】
1人当たりの製造業付加価値額が最も大きく、GDPに占める割合も高く保たれている③がドイツです。
問5:正解 ①(解答番号11/配点3)
<問題要旨>
図5は、日本の大都市圏のある地域における1988年と2008年の同範囲の空中写真です。1988年に操業していた繊維工場のその後の変化を述べた文章の下線部①〜④から、適当でないものを選びます。
<考え方>
時期を取り違えていないかを確かめます。繊維工業が安価な労働力を求めて国内の農村部へ移った動きは高度経済成長期までの話で、1980年代後半以降は円高を背景に中国や東南アジアへ生産拠点を移す動きが中心でした。空中写真では、1988年の工場の大きな建物が2008年には一部消えて大型の建物と区画の細かい住宅地に変わっており、工場跡地の利用のされ方に関する記述はこれと照らし合わせます。
<選択肢>
①【誤】
1988年以降の日本の繊維工業は、円高と人件費の上昇を背景に中国や東南アジアなど国外へ生産を移す傾向が強まった時期にあたる。国内の農村部への移転が主流だったのはそれ以前の時期で、時期の取り違えである。
②【正】
大型複合商業施設は、多くの専門店や娯楽施設を併せもち駐車場も広いため、日用品中心で近隣から客が来る単独立地のスーパーマーケットより広い範囲から買い物客を集める。中心地機能の階層の考え方と合う。
③【正】
2008年の写真では、残った工場の西側に小さな建物が規則的に並ぶ区画がみられる。工場敷地の一部が戸建ての住宅地に変わったという記述と一致する。
④【正】
大都市圏に残る工場には、多品種少量で付加価値の高い製品を扱うものや、生産機能を移したあと製品・技術の研究開発の拠点へ転換したものがみられる。大都市圏が人材や情報に恵まれることを背景とする動きである。
正解【①】
1980年代後半以降の繊維工業の移転先は国内の農村部ではなく国外なので、適当でないものは①です。
問6:正解 ④(解答番号12/配点3)
<問題要旨>
資料1は、製造業が盛んな日本のいくつかの地域における資源や産業をめぐる新しい取組みを、目的と具体的な取組みの対応としてまとめたものです。空欄P〜Rに入る具体的な取組みをサ〜スから選び、組合せを答えます。
<考え方>
目的の文に含まれる語を、取組みの文の語と1対1で結び付けます。Pの「関連する施設に新たな価値を見出す」は、既にある施設を壊さずに別の価値で使う発想なので、工場そのものを観光資源にする取組みです。Qの「持続可能なエネルギー利用」は再生可能エネルギーの発電、Rの「特定の大企業に依存する企業城下町から脱却する」は、地元の中小企業が自ら新分野を開く取組みに対応します。
<選択肢>
P=シ【正】
稼働中の工場群を夜景として観賞する機会を提供する取組みは、生産のための施設に観光資源としての新しい価値を与えるもので、地域の魅力を高める目的にあたる。
Q=ス【正】
生ごみや間伐材を利用した発電はバイオマス発電で、地域の未利用資源を繰り返し使いながら電力自給率を高める。持続可能なエネルギー利用による環境に配慮した社会づくりにあたる。
R=サ【正】
地元の中小企業が地域の大学や他企業と連携して製造業の新たな分野に進出することは、特定の大企業の受注に頼る企業城下町の構造から抜け出す取組みにあたる。
正解【④】
P=シ、Q=ス、R=サと対応するので、組合せは④です。
第3問 都市の変化と生活文化(配点20)
日本の大都市圏の景観変化と通勤・通学の手段から、世界の都市圏の人口増加、都市規模の順位分布、貧困地区の分布、アメリカ合衆国の都市で家庭内に使われる言語まで、都市の構造と都市に住む人々の生活文化を幅広く扱う大問です。
問1:正解 ⑤(解答番号13/配点4)
<問題要旨>
写真1のA〜Cは、日本のある大都市圏における都心、郊外、臨海地域のいずれかを1960年代に撮影した景観写真です。文ア〜ウはA〜Cのいずれかの地域の1960年代以降の様子を述べており、A〜Cとア〜ウの組合せを選びます。
<考え方>
まず写真に写っている建物の種類で地域を決めます。大きな屋根の工場が並び引込線が走るのが臨海地域、高層のビルと高架道路が写るのが都心、丘陵を切り開いて集合住宅と戸建てが広がるのが郊外です。次に文を、その地域で起きた人口と土地利用の変化に当てはめます。都心は地価高騰による人口減少とその後の都心回帰、郊外は核家族の流入とのちの高齢化、臨海地域は工場の撤退と跡地利用が典型です。
<選択肢>
A=ウ【正】
Aは大きな工場群が写る臨海地域。1960年代当時は多数の人々が働いていたが、工場の閉鎖・移転で生じた広大な空き地が、のちにテーマパークや大型商業施設などの大規模なレジャー施設に転用された。
B=ア【正】
Bは高層ビルと高架道路が写る都心。地価の上昇で住宅が事務所に置き換わり1960年代から1980年代にかけて人口が減少したが、バブル崩壊後の地価下落とマンション供給、通勤の利便性から1990年代後半以降は人口が増加に転じた。
C=イ【正】
Cは丘陵地に住宅が広がる郊外。1960年代に核家族世帯の転入が急増した住宅地で、現在は当時の入居者がそろって高齢化した場所がある一方、建て替えによって新たな転入者が増えている場所もある。
正解【⑤】
臨海地域Aがウ、都心Bがア、郊外Cがイに対応するので、組合せは⑤です。
問2:正解 ②(解答番号14/配点3)
<問題要旨>
表1は、日本のいくつかの市区における昼夜間人口比率と、その市区への通勤・通学者が利用する主要な交通手段の割合を示したものです。①〜④は秋田市、東京都心の中央区、東京郊外の調布市、福岡市のいずれかで、福岡市に該当するものを選びます。
<考え方>
決め手は乗合バスの割合です。福岡市は路線バスの分担率が政令指定都市のなかでとくに高い都市で、鉄道・バス・自家用車のいずれもが一定の割合を占めます。まず昼夜間人口比率で両端を切り、456.1の極端な値は都心の中央区、100を下回る83.9は通勤者を送り出す郊外の調布市と決まります。残る2つのうち、自家用車が7割を超えるのは公共交通の乏しい地方都市の秋田市で、乗合バスが17.3%と高く鉄道も3割を占めるほうが福岡市です。
<選択肢>
①=東京都心の中央区【誤】
昼夜間人口比率456.1は、夜間人口の4.5倍以上が昼間に集まることを示す。鉄道の割合も91.6%と極端に高く、通勤者が鉄道で集中する都心の区である。
②=福岡市【正】
昼夜間人口比率109.8は周辺市町村から通勤者を集める地方中枢都市の値。鉄道33.2%、乗合バス17.3%、自家用車30.0%と3つの手段がいずれも一定の割合を占め、とくに乗合バスの高さが福岡市の特徴である。
③=秋田市【誤】
自家用車が70.8%を占め、鉄道は5.2%にすぎない。鉄道網が疎で自動車に依存する地方都市の型で、昼夜間人口比率103.7も周辺からの通勤の集中が小さいことを示す。
④=東京郊外の調布市【誤】
昼夜間人口比率83.9は、昼間に市外へ通勤・通学する人が多いことを示す。鉄道49.7%と高いのは都心へ向かう通勤者のためで、住宅都市の性格が読み取れる。
正解【②】
昼夜間人口比率が100をやや上回り、乗合バスの割合が高い②が福岡市です。
問3:正解 ④(解答番号15/配点4)
<問題要旨>
図1は、2015年に人口500万人以上であった世界の都市圏について、1990年と2015年の人口を先進国(OECD加盟国)、BRICS、発展途上国に分けて示した散布図です。凡例カとキは先進国とBRICSのいずれかで、文章の空欄xには金融業と小売業・サービス業のいずれかが入ります。凡例キに該当する語句と空欄xの語句の組合せを選びます。
<考え方>
決め手は右上の最大の点です。1990年に約3250万人、2015年に約3800万人という世界最大の都市圏は東京で、これは先進国に属します。この点がカに含まれるのでカが先進国、キがBRICSです。キの点群が45度の線から大きく上へ離れて、1990年から人口を数倍に増やしていることも、中国やインドの都市圏の急成長と合います。空欄xは、農村から都市へ流入した人々の就業先を問うもので、資本や資格を必要とせずに始められる露天商や日雇いなどの小売業・サービス業が中心になります。
<選択肢>
キ=BRICS【正】
最大の都市圏(東京)を含むカが先進国であり、残るキがBRICS。キの点は1990年の値が小さく2015年に大きく伸びたものが多く、経済成長にともなって都市人口が急増した国々の姿を示す。
x=小売業・サービス業【正】
農村部から都市圏に流入した人々は、まとまった資本や専門的な技能を必要としない露天商・行商・清掃・運搬などの仕事に就くことが多い。金融業は高度な専門知識を要し、流入したばかりの人々の主な就業先とはならない。
正解【④】
東京を含むカが先進国でキがBRICS、流入した人々の就業先は小売業・サービス業なので、組合せは④です。
問4:正解 ③(解答番号16/配点3)
<問題要旨>
図2は、いくつかの国における都市圏の人口規模を、各国1位の都市圏人口を100とした指数で1位から10位まで示した棒グラフです。サ〜スはイタリア、オーストラリア、バングラデシュのいずれかで、国名と凡例の組合せを選びます。
<考え方>
決め手は1位と2位の差です。首位に極端に人口が集中するプライメートシティ型か、上位が拮抗する型かで分かれます。バングラデシュはダッカが突出する典型的なプライメートシティの国なので、2位が1位の3割にも満たない図が該当します。オーストラリアはシドニーとメルボルンがほぼ同規模で並ぶため、1位と2位がほとんど差のない図になります。残るイタリアは、ローマ・ミラノ・ナポリ・トリノと順位に応じてなだらかに小さくなる図です。
<選択肢>
イタリア=シ【正】
1位100に対し2位75、3位54、4位44と段階的に小さくなり、5位以下も20前後で並ぶ。歴史的に多くの都市が分立して発展し、各地に中規模の都市が分布する国の型である。
オーストラリア=サ【正】
1位100に対し2位が97とほぼ並び、3位以下が48、41と落ちる。シドニーとメルボルンという2つの大都市が拮抗して存在する国の型である。
バングラデシュ=ス【正】
1位100に対し2位が26、3位以下は10未満にとどまる。首位の都市に人口・機能が極端に集中するプライメートシティの型で、ダッカへの一極集中を示す。
正解【③】
上位2位が拮抗するサがオーストラリア、首位集中のスがバングラデシュ、なだらかなシがイタリアなので、組合せは③です。
問5:正解 ④(解答番号17/配点3)
<問題要旨>
図3は、アメリカ合衆国のフィラデルフィア都市圏とメキシコのメキシコシティ都市圏について、貧困が問題となっている地区の分布を示したものです(フィラデルフィアは1世帯当たり所得中央値が下位10分の1の地区、メキシコシティは低級住宅地区)。この図に関する4つの文から、適当でないものを選びます。
<考え方>
先進国の都市と発展途上国の都市では、貧困層が集まる位置が逆になります。先進国では都心周辺のインナーシティに老朽化した住宅が残り貧困が集中し、発展途上国では都市の外縁部に流入者が住みつき、上下水道などの社会基盤が整わないまま居住地が広がります。図でそれぞれの地区がどこにあるかを見比べ、「両都市圏ともに」のような言い切りには反例を探します。
<選択肢>
①【正】
フィラデルフィアで貧困が問題となっている地区は、都心地区を取り巻くように分布する。早くから市街地化し、住宅の老朽化と製造業の衰退による雇用の喪失が重なった地域で、インナーシティ問題の典型である。
②【正】
メキシコシティで貧困が問題となっている地区は、市街地の外縁部に広く分布する。農村などからの流入者が自力で住宅を建てた地区が多く、上下水道などの社会基盤が十分に整備されていない。
③【正】
2つの図を比べると、フィラデルフィアでは貧困が問題となっている地区が都市圏の中心部にまとまり、メキシコシティでは外縁部に広がっている。中心部への集中はフィラデルフィアのほうが明確である。
④【誤】
フィラデルフィアの貧困地区は都心の周囲にまとまっており、主要な高速道路に沿って放射状に外へ伸びてはいない。放射状の広がりが読み取れるのはメキシコシティ側であり、「両都市圏ともに」という言い切りが成り立たない。
正解【④】
フィラデルフィアの貧困地区は高速道路沿いに放射状には広がっていないため、適当でないものは④です。
問6:正解 ②(解答番号18/配点3)
<問題要旨>
図4は、アメリカ合衆国のいくつかの都市において家庭で使用されている主要な言語の割合を示した帯グラフで、①〜④は図5に示されたシアトル、ミネアポリス、ロサンゼルス、マイアミのいずれかです。シアトルに該当するものを選びます。
<考え方>
決め手はアジア・太平洋系言語の割合です。まずスペイン語で両端を切ります。キューバなどからの移民が多いマイアミはスペイン語が7割を超え、メキシコに近いロサンゼルスもスペイン語が4割を超えます。残る2つは英語が約8割で似ていますが、太平洋に面し中国・ベトナム・フィリピンなどからの移民が多いシアトルはアジア・太平洋系言語の割合が高く、内陸のミネアポリスはソマリアなどアフリカからの移民が多いため「その他」が大きくなります。
<選択肢>
①=ミネアポリス【誤】
英語が約8割を占める点はシアトルと似るが、アジア・太平洋系言語は3%程度にとどまり、その他が約10%と4都市で最も大きい。アフリカからの難民・移民が多い内陸都市の特徴である。
②=シアトル【正】
英語が約8割を占めるなかで、アジア・太平洋系言語が約10%と4都市で最も高く、スペイン語は約4%と低い。太平洋に面し、アジア太平洋地域からの移民が多い都市の構成である。
③=ロサンゼルス【誤】
英語が約4割、スペイン語が約4割と拮抗する。メキシコをはじめとするラテンアメリカ系住民が多く、アジア・太平洋系言語も1割近くを占める。
④=マイアミ【誤】
スペイン語が約7割を占め、英語は約2割にとどまる。キューバなどカリブ海地域からの移民が集中する都市の構成で、4都市で最もスペイン語の割合が高い。
正解【②】
英語が優勢な都市のうちアジア・太平洋系言語の割合が最も高い②がシアトルです。
第4問 環太平洋地域の自然・文化・結び付き(配点20)
太平洋の海底地形と沿岸の気候・民族衣装から、食文化を映すたんぱく質供給量、島嶼国・地域を訪れる観光客、4か国間の貿易、日本企業の海外進出まで、太平洋を取り巻く地域の自然と人々の結び付きを扱う大問です。
問1:正解 ④(解答番号19/配点4)
<問題要旨>
図1の①〜④は、図2に示された太平洋上の4本の線A〜Dのいずれかに沿った地形断面です(4本の実距離は等しく、断面は高さを強調して描かれています)。線Bに該当するものを選びます。
<考え方>
縦軸の水深の目盛りと、線の両端が海と陸のどちらにあるかで機械的に切っていきます。①は水深約7800mの細く深い谷をもち、その西側に海面に達する高まりが並びます。海溝とそれに沿う島弧の組合せで、フィリピン海から海溝へ抜ける線Aです。②は左端が水深0mから始まってゆるやかに深まり、最も深いところでも3000m台にとどまります。大陸棚から続く浅い海で、オーストラリア東岸を起点とする線Dです。③は全体が水深3000〜4000m台でほぼ平坦、中央部だけがゆるやかに盛り上がります。海洋底に緩やかな高まりをつくる海嶺の断面で、東太平洋海嶺を横切る線Cです。残る④が線Bであり、水深5000m前後の海底から海面近くまで届く峰がいくつも連なる断面は、太平洋の中央部に海山と島が列をなして続く地形と一致します。
<選択肢>
①=線A【誤】
水深約7800mに達する細く深い谷(海溝)と、その西側で海面まで届く高まり(島弧)をもつ。プレートが沈み込む場所の断面で、フィリピン海から海溝へ向かう線Aにあたる。
②=線D【誤】
左端が水深0mから始まり、ゆるやかに深まって3000m台で終わる。陸から続く大陸棚と浅い海を横切る断面で、大陸の海岸を起点とする線Dにあたる。
③=線C【誤】
全体が水深3000〜4000m台でほぼ平坦で、中央部だけが数百m緩やかに高まる。広い裾野をもつ海嶺を横切ったときの断面で、線Cにあたる。
④=線B【正】
水深5000m前後の海底から海面近くまで届く急峻な峰がいくつも連続し、その先は平坦な深海平原になる。海山や島が列をなして並ぶ場所を通る断面で、太平洋中央部を東西に走る線Bにあたる。
正解【④】
海溝をもつ①がA、大陸棚から始まる②がD、海嶺を横切る③がCと決まり、残る④が線Bです。
問2:正解 ③(解答番号20/配点3)
<問題要旨>
図3のF〜Hは、環太平洋のいくつかの地点における月平均気温と月降水量をハイサーグラフで示したものです。文ア〜ウはF〜Hのいずれかの地点とその周辺でみられる民族衣装を説明しており、F〜Hとア〜ウの組合せを選びます。
<考え方>
気温の年較差と最寒月の値で気候帯を決め、そこから衣装の素材と形を結び付けます。1月が氷点下15℃前後まで下がり7月が15℃ほどになるのは高緯度の亜寒帯で、防寒のために全身を覆う毛皮が使われます。年間を通じて10〜15℃で少雨、しかも7月が最も涼しい地点は南半球の高地で、アルパカの毛を用いた衣装が使われます。年間27〜29℃で降水量が多い地点は熱帯で、通気性と吸湿性のある木綿を腰に巻く衣装になります。
<選択肢>
F=イ【正】
1月が氷点下15℃前後、7月でも15℃程度で降水量が少ない亜寒帯の地点。冬の寒さが厳しいため、トナカイの毛皮や皮を用いた保温性・断熱性に優れる全身を覆う衣服が使われる。
G=ア【正】
年間を通して10〜15℃、降水量も少なく、7月が最も低く1月が高い。南半球の高地を示し、アンデス地方でアルパカの毛を用いた、頭からかぶる着脱が容易な防寒着が使われる。
H=ウ【正】
年間27〜29℃と高温で、降水量が50〜350mmと多い熱帯の地点。高温多湿のため、木綿を用いた通気性と吸湿性に優れた、腰に巻く形の衣服が使われる。
正解【③】
亜寒帯のFがイ、南半球の高地Gがア、熱帯のHがウなので、組合せは③です。
問3:正解 ③(解答番号21/配点4)
<問題要旨>
表1は、いくつかの国における1人1日当たりのたんぱく質供給量を、肉・魚・大豆・牛乳別に示したものです(チリは例として示されています)。カ〜クは日本、カナダ、ベトナムのいずれかで、国名とカ〜クの組合せを選びます。
<考え方>
決め手は牛乳の値です。牛乳・乳製品の消費は、酪農が盛んで食生活に乳製品が定着している欧米で多く、東アジア・東南アジアでは少なくなります。牛乳が2.0gしかないクは3か国で最も乳製品の摂取が少ない国、すなわちベトナムです。次に大豆と魚を見ると、大豆8.2g・魚16.7gといずれも最大のキが、大豆製品と魚を多くとる日本です。残るカは総量107.1g、肉31.6g、牛乳17.2gと最も多く、肉と乳製品が中心のチリと似た構成をとるカナダです。
<選択肢>
日本=キ【正】
魚16.7gと大豆8.2gがいずれも3か国で最大。豆腐・納豆・みそなどの大豆製品と魚介類を日常的にとる食生活を反映しており、肉17.6gは欧米ほど多くない。
カナダ=カ【正】
総量107.1gが最も多く、肉31.6g・牛乳17.2gが中心を占める一方、魚は5.4g、大豆は0.8gと少ない。肉と乳製品に依存する欧米型の食生活で、表中のチリの構成とも似る。
ベトナム=ク【正】
牛乳が2.0gと極端に少なく、魚11.2gが肉17.3gに次ぐ。乳製品の消費が少なく、魚醤など魚を多用する東南アジアの食生活を示す。
正解【③】
牛乳が極端に少ないクがベトナム、大豆と魚が最大のキが日本、肉と牛乳が多いカがカナダなので、組合せは③です。
問4:正解 ②(解答番号22/配点3)
<問題要旨>
図4は、いくつかの国・地域における2019年の観光客数を出発地域別の割合で示した帯グラフで、サ〜スは図5中のグアム、ハワイ、フィジーのいずれか、凡例JとKはアジアとヨーロッパ(ロシアを含む)のいずれかです(タヒチは例として示されています)。グアムとヨーロッパの組合せを選びます。
<考え方>
決め手はタヒチです。タヒチはフランス領ポリネシアで、ヨーロッパからの観光客が多く見込まれます。タヒチの帯でKが約3割と大きいことから、K=ヨーロッパ、残るJ=アジアと決まります。あとは距離と航空路線で割り当てます。グアムは日本・韓国から近く日本人・韓国人観光客が大半を占め、ハワイはアメリカ本土からの旅行者が中心、フィジーはオーストラリア・ニュージーランドからの旅行者が中心です。
<選択肢>
グアム=サ【正】
サはJ(アジア)が9割を超える。日本や韓国から航空機で数時間という近さにあり、アジアからの観光客に大きく依存するグアムの構成である。シは北アメリカが約7割でハワイ、スはオセアニアが約6割でフィジーにあたる。
ヨーロッパ=K【正】
フランス領であるタヒチでKが約3割を占めることが手がかりになる。距離の遠いヨーロッパからの観光客がこれだけの割合を占めるのは、本国との結び付きが強い地域だからである。したがって残るJがアジアとなる。
正解【②】
アジアからの観光客が9割を超えるサがグアム、タヒチで大きいKがヨーロッパなので、組合せは②です。
問5:正解 ②(解答番号23/配点3)
<問題要旨>
図6は、環太平洋のいくつかの国における相手国への輸出額を、1999年と2019年について線の太さで示したものです。左側が輸出元、右側が輸出先で、P〜Sはアメリカ合衆国、オーストラリア、中国、ペルーのいずれかです。中国に該当するものを選びます。
<考え方>
決め手は2019年に600億ドル以上の最も太い線がどこに集まるかです。2019年に4か国間で600億ドルを超える輸出は、中国からアメリカ合衆国、アメリカ合衆国から中国、オーストラリアから中国の3つで、中国は最も太い線を2本受け取り1本送り出す唯一の国になります。1999年の図も手がかりになります。1999年に100億ドル以上の太い線は3本しかなく、うち2本が同じ国から出ています。2本の太い線を出しているのがアメリカ合衆国(中国向けとオーストラリア向け)で、その国へ太い線を送り返している国が中国です。
<選択肢>
①=P【誤】
Pは1999年の時点で2本の太い線を出しており、当時から工業製品を中国とオーストラリアの双方へ大量に輸出していたアメリカ合衆国にあたる。2019年にはQへ600億ドル以上を輸出している。
②=Q【正】
Qは2019年に最も太い線を2本受け取り、同時にPへ最も太い線を1本送り出している。アメリカ合衆国から工業製品や農産物を輸入し、オーストラリアから鉄鉱石・石炭などの資源を大量に輸入しつつ、アメリカ合衆国へ大量の工業製品を輸出する中国の位置である。1999年にPへ太い線を1本送っていたことも、当時から対米輸出が突出していた中国の姿と合う。
③=R【誤】
Rは2019年にQへ600億ドル以上を輸出する一方、Pへの輸出は100〜600億ドルにとどまる。鉄鉱石・石炭を中国へ大量に輸出する資源国オーストラリアにあたる。
④=S【誤】
Sはどの年も細い線が中心で、最も太い線をもたない。4か国のなかで経済規模が小さく、Rとの間の輸出が10億ドル未満にとどまるペルーにあたる。
正解【②】
2019年に最も太い線を2本受け取り1本送り出しているQが中国なので、正解は②です。
問6:正解 ④(解答番号24/配点3)
<問題要旨>
図7は、1999年と2019年における日本企業の現地法人数を国・地域別に円の大きさで示し、製造業と非製造業の内訳を円グラフで表したものです。この図に関する文章の下線部①〜④から、適当でないものを選びます。
<考え方>
図から読み取れる事実(円の大きさの変化と内訳の変化)と、海外生産の実際の分業のしかたを分けて確認します。日本の自動車企業の海外工場は、系列の部品メーカーの進出や現地調達、日本からの部品供給に支えられており、1つの工場で部品生産から完成車組立てまでを行うわけではありません。「一貫して」「すべて」といった言い切りには反例を探します。
<選択肢>
①【正】
1999年と2019年を比べると、中国をはじめアジアの円が大きく拡大しているのに対し、北アメリカの円の拡大は小さい。新たな進出先としてアジアが選ばれたという読み取りと一致する。
②【正】
中国の円グラフでは、製造業が4分の3ほどを占めていた1999年に対し、2019年には非製造業がほぼ半分を占めるまでに高まっている。所得の上昇で現地市場が拡大し、販売やサービスの拠点が増えたことを反映する。
③【正】
北アメリカにはソフトウェアや人工知能の開発が集積する地域があり、日本企業も研究開発の拠点を置いている。高度な技術者や大学・研究機関が集まる地域に進出する動きである。
④【誤】
日本の自動車企業の海外工場は、系列の部品メーカーの現地進出や現地調達、日本からの部品輸入に支えられて組立てを行うのが一般的である。1つの進出先の工場で部品の生産から完成車の組立てまでを一貫して行っているという言い切りは成り立たない。
正解【④】
海外の自動車工場は部品生産まで一貫して行うわけではないため、適当でないものは④です。
第5問 島根県石見地方・浜田市の地域調査(配点20)
広島市に住むサチさんとトモさんが、島根県石見地方の浜田市に住むマサさんを訪ねて地域調査を行うという設定の大問です。冬の気候の違い、買い物や余暇の行き先、施設の立地、地形図と景観写真、江戸時代の商品流通、過疎対策の取組みという順で、地域の自然・生活・歴史・課題をたどります。
問1:正解 ⑤(解答番号25/配点3)
<問題要旨>
表1は、図1に示されたいくつかの都市における1月の日照時間と平均気温を示したものです。ア〜ウは浜田市、広島市、三次市のいずれかで、都市名とア〜ウの組合せを選びます。
<考え方>
決め手は1月の日照時間です。冬の中国地方では、北西季節風が日本海で水蒸気を得て日本海側に雲と雪をもたらし、中国山地を越えた瀬戸内側では乾いた晴天が続きます。したがって日照時間が最も短いのが日本海側の浜田市、最も長いのが瀬戸内側の広島市です。残る三次市は中国山地に囲まれた内陸の盆地で、放射冷却が効いて平均気温が最も低くなります。海に面する浜田市が内陸の三次市より気温が高い点も、海洋の影響で説明できます。
<選択肢>
浜田市=ウ【正】
日照時間64.2時間と3都市で最短。北西季節風の影響で冬に曇天や降雪が多い日本海側の気候を示す。一方で平均気温は6.2℃と最も高く、暖かい海に面して冷え込みが緩む点と合う。
広島市=ア【正】
日照時間138.6時間と突出して長い。中国山地を越えて乾いた風が吹き下りる瀬戸内側では冬に晴天が続く。平均気温5.4℃は浜田市よりやや低い。
三次市=イ【正】
平均気温1.9℃と3都市で最も低く、日照時間は85.7時間と中間。中国山地に囲まれた内陸の盆地で、冬の冷え込みが厳しく霧も発生しやすい。
正解【⑤】
日照が最短で気温が高いウが浜田市、日照が最長のアが広島市、気温が最低のイが三次市なので、組合せは⑤です。
問2:正解 ⑥(解答番号26/配点4)
<問題要旨>
図2は、石見地方の各地区(1969年時点での市町村)におけるいくつかの商品やサービスの主な購買・利用先を、自地区の割合の大小(網かけ)と他地区への移動(矢印)で示した3枚の地図です。カ〜クは衣料品・身回品、娯楽・レジャー(旅行など)、食料品のいずれかで、項目名とカ〜クの組合せを選びます。
<考え方>
決め手は「自地区で済ませる地区がどれだけあるか」です。買い物の行き先は、購入頻度が高く単価の安い最寄り品ほど近くで済み、頻度が低く選択の幅が求められるものほど遠くの大きな都市へ向かいます。自地区の割合が25%以上の網かけ地区が広く、矢印も短いカが最寄り品の食料品です。反対に網かけ地区が1つもなく、矢印がすべて広島市・出雲市・三次市・山口市など域外の大都市へ向かうキが、最も高次の娯楽・レジャーです。残るクはその中間で、石見地方内の中心都市へ矢印が集まる買回り品にあたります。
<選択肢>
衣料品・身回品=ク【正】
クでは、益田・浜田・大田といった石見地方内の中心都市が網かけとなり、周囲の地区から矢印が集まる。一部は出雲市・三次市・広島市へも向かう。品質やデザインを見比べて買う買回り品が、地域の中心都市に集まる姿である。
娯楽・レジャー=キ【正】
キには自地区25%以上の網かけ地区が1つもなく、矢印はすべて広島市・出雲市・三次市・山口市など域外へ向かう。旅行のように頻度が低く高次の機能を求めるサービスほど、遠方の大都市に依存することを示す。
食料品=カ【正】
カでは自地区25%以上の網かけ地区が広く分布し、矢印も隣接する地区への短いものが中心である。購入頻度が高く単価の安い最寄り品は、居住地の近くで購入されることを示す。
正解【⑥】
自地区で済む食料品がカ、域外の大都市へ向かう娯楽・レジャーがキ、地域の中心都市へ集まる衣料品・身回品がクなので、組合せは⑥です。
問3:正解 ④(解答番号27/配点4)
<問題要旨>
図3は、浜田市における人口分布と、コンビニエンスストアおよびまちづくりセンターの立地を示したものです。図4は、小学校区a〜cにおける最寄りの施設への距離別人口割合を示し、XとYはコンビニエンスストアとまちづくりセンターのいずれか、サとシは小学校区bとcのいずれかです。まちづくりセンターと小学校区bの組合せを選びます。
<考え方>
決め手は「3km以上」の割合です。まちづくりセンターは地域活動の拠点として市域全体にほぼ均等に配置されるので、どの校区でも3km以上離れた人はほとんど生じません。一方コンビニエンスストアは採算が成り立つ人口の多い場所に集まるため、農村部では3km以上離れる人が多く出ます。3km以上がほぼ0%のYがまちづくりセンター、3km以上が出るXがコンビニエンスストアです。次に校区を分けます。cは北部の谷沿いに人口がまとまり、その近くにコンビニエンスストアが2店ありますが、bは南西部の広い範囲に人口が散らばり、店舗は1つしかありません。したがってXで3km以上が28%と大きいほうがbです。
<選択肢>
まちづくりセンター=Y【正】
Yはサ・シ・小学校区aのいずれでも3km以上が0〜1%にとどまる。図3の下の地図で四角の記号が市域全体に散らばって配置されていることと一致し、身近な地域活動の拠点として均等に置かれていることを示す。Xは3km以上が7.5%と28%に達し、店舗が市街地に偏るコンビニエンスストアにあたる。
小学校区b=シ【正】
bは南西部の広い校区で、人口が広い範囲に分散しているのに店舗は1つしかない。Xでシは3km以上が28%と大きく、この条件に合う。サは3km以上が7.5%と小さく、北部の集落に人口と2つの店舗がまとまるcにあたる。
正解【④】
3km以上がほとんど生じないYがまちづくりセンター、店舗から遠い人口が多いシが小学校区bなので、組合せは④です。
問4:正解 ②(解答番号28/配点3)
<問題要旨>
図5は浜田市の市街地とその周辺の地形図に撮影地点E〜Hと撮影方向を示したもので、写真1のE〜Hはそれぞれの地点で撮影したものです。図5と写真1について話し合った会話文の下線部①〜④から、誤りを含むものを選びます。
<考え方>
会話文の1つ1つを、地形図の等高線・海岸線・建物の並びと、写真に実際に写っているものに突き合わせます。とくに土地の改変については、地形図の等高線が消えて平坦になっている場所は造成地、海岸線が直線的で区画が方形の場所は埋立地、等高線が残る高台で斜面に擁壁がある場所は切土・盛土による宅地造成と判断できます。写真に写っていないものを述べている記述がないかを確かめます。
<選択肢>
①【正】
Eは陸地に囲まれた入り江で、写真でも波がほとんどない水面に小舟が浮かぶ。外洋の波を防ぐ内湾は船を安全に停泊させられるため、古くから港の中心となった。
②【誤】
写真Fに写っているのは、幅の狭い道路に沿って古い木造の家屋が連なる旧街道沿いの町並みである。道路の拡幅や大型建築物への建て替えといった、自動車交通に対応した大規模な再開発の様子は読み取れない。
③【正】
Gの付近は、地形図では海岸線が直線的で区画が方形に整えられ、漁業関連の施設が集まっている。山が海岸に迫って平地が乏しいこの地域で広い用地を得る方法として、海を埋め立てて造成したと考えられる。
④【正】
Hは地形図で等高線に囲まれた高台にあり、写真では斜面に沿って擁壁と階段状の宅地が続く。斜面を削る切土と谷を埋める盛土によって宅地が造成されたことが読み取れる。
正解【②】
写真Fは旧街道沿いの古い町並みで大規模な再開発は読み取れないため、誤りを含むものは②です。
問5:正解 ③(解答番号29/配点3)
<問題要旨>
資料1は、浜田を中心とした江戸時代の商品流通の経路(瀬戸内海・大阪と浜田と北海道・東北・北陸を結ぶ往路Jと復路K)と、江戸時代末から明治時代にかけてつくられたとみられる石見焼が確認された地点の分布を示したものです。会話文の空欄タとチに入る語句の組合せを選びます。
<考え方>
経路の向きと、運ばれる品物の産地を対応させます。Jは瀬戸内海・大阪から浜田を経て北海道・東北・北陸へ向かう北上の経路なので、瀬戸内や畿内で生産された品物が積まれます。瀬戸内は塩田による製塩が盛んで、讃岐などでは砂糖も生産されました。米や昆布は東北・北陸や北海道の産物で、南下する経路Kで運ばれる品です。チは、重くて割れやすく容積の大きい陶器を大量に運ぶ手段を問うもので、当時の陸上輸送では不可能な量を運べるのは北前船による海路です。石見焼が日本海沿岸の各地で点々と確認されることもこれを裏づけます。
<選択肢>
タ=砂糖・塩【正】
Jは瀬戸内海・大阪から北へ向かう経路なので、積まれるのは瀬戸内や畿内の産物である。瀬戸内は塩田による製塩が盛んで、砂糖も讃岐などで生産された。米・昆布は東北・北陸や北海道の産物であり、南下する経路Kで大阪方面へ運ばれた品なので、方向が逆になる。
チ=海路【正】
甕などの陶器は重く容積が大きいため、当時の馬や人力による陸上輸送では大量に運べない。日本海沿岸を往来した北前船による海路であれば大量輸送が可能で、石見焼が北陸・東北から北海道まで日本海沿岸に点々と分布することとも合う。
正解【③】
北上する経路Jで浜田へ運ばれたのは瀬戸内の砂糖・塩、重い陶器を東北・北陸へ運んだのは北前船による海路なので、組合せは③です。
問6:正解 ③(解答番号30/配点3)
<問題要旨>
資料2は、石見地方が直面する過疎問題の発生要因と、解決に向けて必要なことをP〜Sに整理したものです。①〜④はP〜Sのいずれかを目的とする石見地方での取組みの具体例で、Pの「地域文化に対する愛着の醸成」を主な目的とするものを選びます。
<考え方>
P〜Sは「地域内の人々に向けて」(PとQ)と「地域外の人々に向けて」(RとS)に分けられています。まずその区別で候補を絞り、次に目的の文の言葉と取組みの言葉を結び付けます。Pは地域の文化そのものへの愛着を育てることなので、地域で受け継がれてきた文化を守り、次の世代へ引き継ぐ取組みが対応します。
<選択肢>
①【誤】
交通空白地域での乗合タクシーの運行は、買い物や通院といった日常の移動を支える取組みである。地域内の人々に向けたものだが、目的はQの「日常生活における利便性の向上」にあたる。
②【誤】
地元で水揚げされる水産物のブランド化は、地域の産品の価値を高めて外部に知ってもらう取組みで、目的はSの「魅力ある地域産品の宣伝」にあたる。向けられている相手が地域外の人々である点でPと異なる。
③【正】
伝統行事の保存・継承に対する支援は、地域で受け継がれてきた文化を住民自身が守り次の世代へ引き継ぐことを助ける取組みである。地域内の人々が自分たちの文化に誇りと愛着をもつことにつながり、Pの目的にあたる。
④【誤】
廃校を利用したサテライトオフィスの整備は、移住してきた人や企業が働く場所を確保する取組みで、目的はRの「移住者の働く場所の確保」にあたる。地域外の人々に向けた取組みである。
正解【③】
地域内の人々が自分たちの文化への愛着を育てる取組みは伝統行事の保存・継承への支援なので、正解は③です。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

