解答
解説
第1問
問1:正解4
炭素原子は最内側の電子殻(K殻)に2個の電子が入っており、硫黄原子には価電子が6個存在する。ナトリウムイオンはフッ化物イオンと同様に原子番号10のネオンと同じ電子配置をとる。一方で、窒素原子とリン原子はいずれも最外殻電子が5個であり、両者の最外殻電子数は同じである。この点について「窒素原子とリン原子の最外殻電子数が異なる」という記述は実際の電子配置と合わないため誤りと判断できる。
問2:正解3
<解説>
問題文では、周期表の1~18族・第1~5周期の一部を区切った領域について「典型元素か遷移元素か」を問う記述が並んでいる。典型元素は主にsブロック(1・2族)とpブロック(13~18族)に属し、遷移元素はdブロック(3~12族)に属する。選択肢のなかで「特定のブロックがすべて遷移元素である」と書かれていても、該当部分の一部にpブロックが含まれる場合などは誤りになる。したがって、区切られた領域の実際の族や周期を確認すると、「ここは遷移元素だけの領域ではない」などの矛盾が見つかる記述が誤りとなる。
問3:正解2
<解説>
「分子全体として極性がないかどうか」は、分子の形(対称性)と、各結合の極性の向きが打ち消し合うかどうかで決まる。二酸化炭素は直線形で、酸素原子へ向かう部分電荷が左右対称に配置されるため全体として打ち消し合い、極性がほとんど現れない。一方、水のように折れ線形の分子は結合の向きが対称にならず、極性をもつ。
問4:正解5
<解説>
問題文では「純物質がとる状態(固体・液体・気体)」について、蒸発や昇華などの性質が述べられている。気体から液体を経ずに直接固体になる現象は、実際には物質によっては起こりうる(例として水蒸気が冷えて霜となる、ヨウ素の昇華など)。よって「そうした変化は存在しない」という趣旨の記述があれば、それは誤りといえる。なお、液体でも沸点以下で蒸発することや、固体の分子が熱運動をすることなどは正しい内容として知られている。
問5:正解2
<解説>
水道水を蒸留して純粋な留出液を得る際、温度計の球部はフラスコの枝の付け根付近に位置させ、蒸気が通る管の付近の温度を測定するのが基本である。また、アダプターと受器(フラスコなど)の間を密閉しすぎると圧力が上がって危険な場合があるため、ゴム栓やアルミニウム箔などで完全には密閉しない注意が必要となる。こうした手順を守ってこそ、正確な沸点の測定と安全な蒸留が行える。
問6:正解5
<解説>
ある量の塩化カルシウムと臭化カルシウムを含む溶液に、十分量の硫酸ナトリウム水溶液を加えると硫酸カルシウムの沈殿が生じる。ここで沈殿の質量や水和数、さらに溶液中のカルシウムイオンがどの化合物由来かを考慮すると、実際に塩化カルシウムから供給されたカルシウムイオン量を見積もることができる。その際、沈殿として得られる物質が全て塩化カルシウム由来のカルシウムイオンによるものと仮定し、沈殿の質量や化学式からイオン数を推定すると、最適な値が求まる。答えとなる値は、沈殿が示すモル数や水和状態との対応関係から導かれる。
問7:正解4
<解説>
二酸化ケイ素はガラスやシリカゲルなどの主成分として利用され、塩素は殺菌力を利用して水道水の消毒に用いられている。ポリエチレンは炭素と水素のみからなる高分子化合物であり、日用品や包装材などに活用される。一方、白金は空気中でもなかなか酸化されず、化学的に非常に安定していることで知られる。そのため「白金が空気中で変化しやすい」といった趣旨の記述があれば、それは誤りとなる。
問8:正解1
<解説>
身近な無機物や有機物について、原料や主成分の由来などを問う問題では、たとえば「二酸化ケイ素は天然の鉱物(石英など)やガラスの主要成分である」などが正しい情報として知られている。一方、ボーキサイトの主成分は酸化アルミニウムであって、二酸化ケイ素は主成分ではない。選択肢をよく見比べて、実際の原料や用途と食い違う記述があれば、それが誤りとなる。
第2問
問9:正解5
<解説>
塩素原子には質量数35と37が一定の割合(約76%と24%)で存在しており、これら2つの原子が対になって生じる分子(Cl₂)の組合せを考えると、「どちらも質量数35の原子どうし」の組合せが全体の中で最も多くなる。この組合せの割合を見積もると、約58%ほどに相当するため、その数値が最も適切な答えとなる。
問10:正解1
<解説>
はじめに、もともと用意されている硝酸ナトリウム水溶液の量と濃度から、そこに含まれる溶質(硝酸ナトリウム)の量を把握し、さらに目標とする濃度・体積の溶液に必要な溶質量を考える。最終的に「もともと含まれていた量」と「目標に必要な量」との差分を確認し、その差分を質量に換算すると、ごく少量の硝酸ナトリウムを追加するだけで目標の希釈液が得られる計算結果となる。その量がおよそ0.85グラムに相当する。
問11:正解8
<解説>
提示された滴定曲線では、初期のpHは弱酸らしい値で始まり、塩基を加えていくとpHがゆるやかに上昇し、ある点で急激に上がって最終的に12程度へ落ち着いている。これは弱酸を比較的薄い強塩基で滴定したときの典型的なグラフに近い。弱酸がある程度の濃度で、加える塩基が低濃度(しかも強いアルカリ性)であると考えると、0.10 mol/L程度の酢酸水溶液を0.010 mol/L程度の水酸化ナトリウム水溶液で滴定した場合と矛盾がない。
問12:正解4
<解説>
問題文のグラフや選択肢から、水溶液Aの性質(弱酸かどうか、濃度はどのくらいか)と、水溶液Bが強塩基であることが示唆されている。さらに滴定の際の当量点付近のpHや、最終的に滴定が進んだあとのpHが明確にアルカリ性を示すことを踏まえると、B側は低濃度の強塩基、A側はある程度の濃度をもつ弱酸と考えられる。これらの条件を総合すると、選択肢の中で「弱酸(酢酸)と低濃度の水酸化ナトリウム」の組合せが最も筋が通る。
問13:正解3
<解説>
ここでは、同じ濃度(0.1 mol/L)で調製した水溶液を比べ、pHの大小関係を考えている。一般に、食塩水のように強酸・強塩基由来の塩はほぼ中性付近となり、重炭酸ナトリウム水溶液(NaHCO₃)は弱酸性にも弱塩基性にもなりうるが、ふつうは弱塩基性寄りのpHとなる。一方、硫酸水素ナトリウム(NaHSO₄)は強酸由来の一部を含むためやや酸性を示す。そのため「重炭酸ナトリウム水溶液が最もpHが高く、次いで食塩水、最後に硫酸水素ナトリウム水溶液」という順序となる。
問14:正解2
<解説>
電池の放電では、負極側では酸化が、正極側では還元が進むことで化学エネルギーが電気エネルギーへと変換される。電池内部の電位差を利用して外部回路に電流を流すため、負極の電子供与(酸化反応)と正極の電子受容(還元反応)が同時に起こる点が特徴である。したがって「放電時には負極で還元反応が起こる」といった説明があれば、それは実際のしくりと逆になり誤りとなる。
問15:正解1
<解説>
金属が溶液中で溶解する際、金属よりもイオン化傾向が小さい金属イオンが還元されて単体として析出し、もとの金属が酸化されて溶け出すことがある。たとえば、鉄を硝酸銀水溶液に入れると、鉄が溶け出して銀が析出する。これは「鉄が銀よりも陽イオンになりやすい性質をもつ」ことに起因する典型例であり、その記述が正しいものとして挙げられる。