解答
解説
第1問
問1:正解2
<解説>
ナトリウム原子には陽子数と中性子数があり、陽子数は周期表上の原子番号と一致する。一方、質量数は陽子数と中性子数の合計で表される。問題文に示されているナトリウムは質量数が 23 の同位体なので、陽子の数(11)を差し引くと、中性子の数は 12 と考えられる。
問2:正解3
<解説>
無極性分子かどうかは、分子全体で電荷の偏りが打ち消されるかがポイントとなる。提示されている選択肢のうち、酸素分子 (O₂) は同じ原子どうしが結合しており、左右対称の構造となるため、分子全体として電荷の偏りが生じにくい。よって無極性分子として最も適当といえる。
問3:正解4
<解説>
ハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)は、他の物質を酸化する性質をもつものが多い。ここではヨウ素 (I₂) が硫化水素 (H₂S) と反応するとき、ヨウ素が相手から電子を受け取る形となり、結果としてヨウ素が相手を酸化し、自身は還元される。すなわちヨウ素が酸化剤としてはたらくことを示す記述が正しい。
問4:正解6
<解説>
純物質 X を加熱して固体から液体、液体から気体へ変化するときの状態図に関する問題。
- 固体の段階でも分子は完全に静止しているわけではなく、格子内で熱運動をしている。
- 固体と液体の共存時期には、物質が融解しているので、固体と液体が同時に存在する。
- 完全に液体になった状態では、分子が規則正しい配列を保つことはない(固体でのみ格子状配列がはっきりと見られる)。
- 沸騰すると液体内部から気体が発生し、表面だけではなく内部でも気泡が形成される。
- 気体になると液体のときより分子間距離がはるかに大きくなるので、液体状態との距離は変わらないわけではない。
これらの観点から、各段階の様子を正しく対応づけると、該当する選択肢が導かれる。
問5:正解4
<解説>
二酸化炭素分子 (CO₂) は中心の炭素原子と両端の酸素原子が直線状に並んだ構造をもち、メタン分子 (CH₄) は炭素原子のまわりに水素が正四面体形に配置された構造をもつ。いずれも共有結合性の分子である。一方、常温・常圧での密度を比べると、二酸化炭素の方がメタンよりも重いため、二酸化炭素の方が密度が大きい。よって「二酸化炭素の方がメタンより小さい」とする記述は誤りを含んでいる。
問6:正解4
<解説>
ヘリウム (He) と窒素 (N₂) からなる混合気体 1.00 mol の質量が 10.0 g であった場合、平均的に見れば、ヘリウムは非常に軽い気体であるため、質量が一定の範囲に収まるように混ざっている量を考えると、ヘリウムが占める物質量の割合(mol%)はかなり高めになる。実際に具体的な値を見積もると、およそ 75% 程度が最も近い数値となる。
問7:正解3
<解説>
アルミニウムは酸素と結合して酸化アルミニウム (Al₂O₃) をつくるとき、アルミニウム原子は +3 の酸化数をとる。したがって、Al₂O₃ でアルミニウムの酸化数が +2 と書かれている説明は誤りである。また、アルミニウムは表面が酸化物の膜で覆われやすい性質をもち、これが腐食しにくさやリサイクル時のエネルギー評価などにも関係している。
問8:正解3
<解説>
金属片を金属イオンを含む塩の水溶液に浸して、金属の析出や表面の変化を調べる問題。金属の種類と溶液中の金属イオンの組み合わせによっては、イオン化傾向の違いから金属が析出しなかったり、別の金属へ置き換わる反応が見られたりする。提示された組み合わせの中で、実際のイオン化傾向に照らすと矛盾が生じる(実際には析出しないか、または生じ方が異なる)記述が一つだけ含まれており、それが該当の選択肢となる。
問9:正解2
<解説>
強酸の水溶液 A があるうち一部を正確にとり、必要量の指示薬や別の溶液を加えて中和滴定を行う問題。ここでは、取り出した体積や中和に要した溶液の体積、もとの強酸水溶液の全体積などから、最終的に求められる濃度を計算する手順が問われている。実際には「取り出した体積がもとの何倍か」「中和のために必要だった溶液の量との比」などを整理して考えることで、該当の式が成り立つ。問題文の条件を言い換えると、答えとなる選択肢にある形で濃度を表すのが妥当となる。
第2問
問10:正解2
<解説>
クロム酸イオンが強い酸性条件下で二クロム酸イオンに変化する反応をバランスよく表すには、反応前後でクロム原子・酸素原子・水素原子・電荷のつじつまが合うよう係数を設定する必要がある。さらに、ヨウ化物イオンなどが反応に関与するため、全体で酸化還元のつり合いも考慮することになる。これらを総合的に調整すると、提示された選択肢の中で該当の係数の組合せが導かれる。
問11:正解2
<解説>
(a)で示されたクロム酸イオンから二クロム酸イオンへの変化とあわせて、ヨウ化物イオンなどの酸化還元の流れを追うと、クロムの酸化数やヨウ素の挙動がどう変化するかを把握できる。問題文にある空欄 E では、酸化数が大きく減少するのか、増加するのか、それとも変化しないのかが問われている。ヨウ化物が参加することで生じる酸化還元の過程を整理すると、クロムやヨウ素の間で生じる電子の授受に関する正しい記述が一つに定まる。
問12:正解1
<解説>
酸化還元反応だけでなく、実験操作においても溶液の性質や濃度変化に応じて適切な手順を踏む必要がある。ここでは、操作手順や観察される現象を整理し、どの段階でどのような状態変化が起きるかを確認すると、該当の選択肢の説明が実験結果と矛盾しないことが分かる。他の選択肢は、操作内容や変化の順序に食い違いが生じる。
問13:正解4
<解説>
クロム酸イオン(黄色)と二クロム酸イオン(橙赤色)は、クロム原子の酸化数はいずれも +6 である。ただし、強い酸性条件下で平衡が二クロム酸イオン側に偏るため、見かけ上は色調が変わり「別の化合物」に見えるが、クロム原子自体の酸化数は変化しない。よって「酸化数が変わらない」という趣旨の記述が正当となる。
問14:正解2
<解説>
操作IVで硝酸銀水溶液を滴下するとき、滴下量を正確に測るための実験器具としてはビュレットが一般的に用いられる。ビュレットは目盛がついており、下部のコックで滴下量をコントロールできるため、滴定のような正確な容量操作に適している。他の器具では、微妙な調節が難しかったり、正確な目盛を読み取りにくかったりする。
問15および問16:正解2および5
<解説>
操作I~Vで得られた実験結果や表1に示されたデータについて、それぞれの選択肢が正しいか誤りを含むかを検討する問題である。たとえば、「実際には含まれていないはずの塩化カリウム(KCl)を想定している」などの記述は事実とは異なる可能性がある。また、得られた希釈後の溶液に対して硝酸銀溶液を滴定した結果から導かれる塩化物イオンの濃度を比較すると、一部の選択肢は誤った推定を含む。一方で、実験の手順・観察結果と合致する選択肢もあり、その組合せが問題文から妥当だと判断できる。
問17:正解1
<解説>
硝酸銀溶液を少しずつ加えていったとき、試料溶液中の塩化物イオンと反応して塩化銀(AgCl)の沈殿が生成する。その量と、溶液中に溶けている銀イオン(Ag⁺)の量との関係を考えると、ある量までは加えた硝酸銀がほぼすべて塩化銀になるため、溶液中の銀イオンはごく少量にとどまる。しかし、塩化物イオンを使い切る点を超えると、溶液中の銀イオン量が急激に増加していく。これをもとに縦軸・横軸に何をとるかで、沈殿量や銀イオン量のグラフの形状が定まる。
問18:正解5
<解説>
しょうゆ中の塩化物イオン濃度を求める問題で、実験手順は希釈・滴定などを経て最終的に何モル毎リットル程度の濃度になるかを推定する流れになる。希釈の度合いや消費された硝酸銀溶液の量から、塩化物イオンの量を考察すると、提示されている選択肢の中で実験結果に最も近い値が定まる。他の選択肢では、計算上の根拠や希釈比と矛盾が生じる。
問19:正解2
<解説>
しょうゆ A の中に含まれる食塩(NaCl)の質量を求める際、実験によって推定された塩化物イオンの総量を根拠に「NaClの式量」へ換算する流れとなる。まず、塩化物イオンの量(モル数)を把握し、それをもとに NaCl の質量を推定する。このとき小数点以下までの処理を踏まえたうえで、整数部がいくつになるかを比較すると、該当する数字が浮かび上がる。
問20:正解5
<解説>
問19での整数部に続き、小数第一位までの値を求めるとき、塩化物イオンの量を NaCl の質量に変換した結果、さらに繰り上げや四捨五入を含む処理を行う必要がある。そこから導かれる値がどのくらいかを他の選択肢と比較すると、最も整合性が高いものが決定される。実測や試薬の純度などの誤差要因も考慮すると、問題文で示された範囲内でこの値が妥当だと判断できる。