2017年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2017年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答・解説です。第1問〜第4問が必答(25+20+20+20=85点)、第5問と第6問はどちらか1問を選択(15点)で、合計100点。解答番号は大問ごとに1に戻ります。
本記事では第5問・第6問の両方を解説していますので、選ばなかったほうの復習にも使ってください。設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。
第1問 小問集合(運動量保存・剛体のつり合い・電気力線・凸レンズ・音の屈折)
力学・電磁気・波動から1問ずつ。問2の剛体のつり合いと、問5の「音が遠くまで届く理由」が差のつきどころです。
問1:正解 ③(配点5)
<問題要旨>
x軸上を正の向きに速さ3.0 m/s で進む質量4.0 kg の小球Aと、負の向きに速さ1.0 m/s で進む質量2.0 kg の小球Bが衝突した。衝突後、小球Aは速さ1.0 m/s で正の向きに進んだ。小球Bの衝突後の速さは。
<考え方>
一直線上の衝突は、運動量保存だけで決まります。正の向きを正とします。
衝突前の運動量の和 4.0×3.0 + 2.0×(−1.0) = 12 − 2.0 = 10 kg・m/s 衝突後(小球Bの速度を v_B とする) 4.0×1.0 + 2.0×v_B = 10 2.0 v_B = 6.0 → v_B = 3.0 m/s(正の向き) 速さは 3.0 m/s
問2:正解 ②(配点5)
<問題要旨>
床と壁の隅の点Aを一端とする細くて軽い棒ABが、他端Bで壁からのびる長さℓの水平なひも(床からの高さ h)で引かれて静止している。棒上の点P(AP = 2BP)に質量Mのおもりが軽い糸でつり下げられている。ひもの張力Tは。
<考え方>
棒が静止しているので、点Aのまわりの力のモーメントがつり合います。
点Aを原点にとると B(ℓ, h)。AP:PB = 2:1 だから P( 2ℓ/3 , 2h/3 ) ・ひもの張力T:水平(壁向き)、Aからの腕の長さは h モーメント = hT ・おもりの重力Mg:鉛直下向き、Aからの腕の長さは 2ℓ/3 モーメント = (2ℓ/3)Mg つり合い:hT = (2ℓ/3)Mg → T = 2ℓMg / (3h)
問3:正解 ⑥(配点5)
<問題要旨>
絶対値が等しく符号が逆の二つの点電荷のまわりの電気力線の様子を表す図を選ぶ(向きの矢印は省略)。
<考え方>
電気力線は正電荷から出て負電荷に入る、という原則だけで決まります。
・正負が対になっているので、一方から出た力線はすべて他方に入る。二つの電荷を結ぶように曲がった曲線群になる。 ・二電荷を結ぶ線分上にも力線が通る(同符号なら中点で電場が0になり、力線は途切れる)。 ・閉じた輪や、電荷を取り巻く同心円は等電位線であって電気力線ではない。 以上を満たすのは⑥。
問4:正解 ⑤(配点5)
<問題要旨>
凸レンズの焦点の外側に物体を置くと、レンズの後方に[ア]した実像ができた。物体を光軸上でレンズから遠ざけると、実像ができる位置は[イ]。
<考え方>
写像公式 1/a + 1/b = 1/f で考えます(a:物体距離、b:像距離)。
[ア]焦点の外側に置いた物体の実像は、必ず倒立。 [イ]1/b = 1/f − 1/a なので、a を大きくすると 1/b は大きくなり、b は小さくなる。 つまり像はレンズに近づく(a→∞ で b→f)。 よって「倒立」「レンズに近づいた」の組合せ。
問5:正解 ⑤(配点5)
<問題要旨>
風の吹いていない冬の夜間に、上空に比べて地表付近の気温が低くなるときがある。このとき上空と地表付近での音速は[ウ]。このような状況では、気温差がない場合に比べて、地表で発せられた音が遠くの地表面上に[エ]。
<考え方>
音速が気温で変わること、速さの違う場所では波が屈折することの二段構えです。
[ウ]空気中の音速はおよそ V = 331.5 + 0.6t (t は気温)で、気温が高いほど速い。地表付近の方が低温なので、音速は地表付近の方が遅い。 [エ]斜め上向きに進む音の波面は、速い上空側が先に進むため、進行方向が下向きに曲げられる(屈折)。音は地表付近へ戻されるので、遠くまで届きやすくなる。 (冬の夜に遠くの音がよく聞こえるのはこのため。)
第2問 A 電磁気(金属板を挿入した平行板コンデンサー)
極板間隔 3d のコンデンサーの中央に、厚さ d の帯電していない金属板を入れます。「金属の内部に電場はなく、金属全体が等電位」という一点で2問とも決まります。
問1:正解 ①,③(配点4,4)
<問題要旨>
図1(a)は極板間の距離が 3d の平行板コンデンサーに電圧V₀を加えたもの、図1(b)はその中央(x = d 〜 2d)に厚さ d の金属板を挿入したもの。十分長い時間が経過した後の、両極板の中心を結ぶ線分上の電位Vとxの関係のグラフを、それぞれ選ぶ。
<考え方>
電場が一様なところでは電位は直線、電場が0のところでは電位は水平になります。
(a) 極板間は一様な電場なので、電位はxの一次関数。グラフは傾き一定の直線 → ① (b) 金属板の内部は電場が0で等電位(グラフは水平)。電場が残るのは x = 0〜d と x = 2d〜3d の二つのすきまで、幅が等しいので、電圧V₀は半分ずつ分かれる。 グラフは「直線 → 水平 → 直線」の階段状 → ③
問2:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
図1(a)のコンデンサーに蓄えられたエネルギーをU_a、図1(b)の金属板が挿入されたコンデンサーに蓄えられたエネルギーをU_b とする。比 U_b/U_a は。
<考え方>
金属板は「その厚さの分だけ極板間隔を縮めたのと同じ」はたらきをします。
電圧はどちらもV₀のまま。 実効的な極板間隔は (a) 3d (b) 3d − d = 2d C = εS/d より C_b / C_a = 3d / 2d = 3/2 U = (1/2)CV₀² だから U_b / U_a = C_b / C_a = 3/2
第2問 B 電磁気(コイル・ダイオード・電磁誘導)
断面積S・N回巻きのコイルを、ダイオード・抵抗器・スイッチの回路につなぎ、磁束密度Bを時間変化させます。誘導起電力は「B‑tグラフの傾き」で決まる、が全体を貫く原則です。
問3:正解 ③(配点4)
<問題要旨>
スイッチをP側(ダイオードを通らない側)に入れて、磁束密度Bを図3のように変化させた。三つの時間範囲(0 < t < T、T < t < 2T、2T < t < 3T)で抵抗器に電流が流れるかどうかの組合せは。
<考え方>
誘導起電力 V = N・S・|ΔB/Δt|。B‑tグラフの傾きが0でない区間だけ電流が流れます。
0 < t < T:−B₀ から B₀ へ増加(傾き 2B₀/T ≠ 0) → 流れる T < t < 2T:B₀ のまま一定(傾き 0) → 流れない 2T < t < 3T:B₀ から 0 へ減少(傾き −B₀/T ≠ 0) → 流れる よって「流れる・流れない・流れる」
問4:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
次に、スイッチをQ側(ダイオードを通る側)に入れて、磁束密度Bを図3のように同じく変化させた。抵抗器に電流が流れるとき、コイル両端の電圧の大きさを表す式は。
<考え方>
ダイオードは一方向にしか電流を通さないので、二つの区間のうち一方だけが導通します。
0 < t < T と 2T < t < 3T では、Bの増減が逆なので誘導起電力の向きも逆。ダイオードはそのうち順方向(図の左から右)にあたる 0 < t < T の側だけを通す。 この区間の傾きは |ΔB/Δt| = (B₀ −(−B₀)) / T = 2B₀/T コイルの巻数N、断面積Sだから V = N・S・(2B₀/T) = 2B₀SN / T (コイルの抵抗は無視できるので、この起電力がそのままコイル両端の電圧。)
第3問 A 波動(くさび形空気層による光の干渉)
2枚の平面ガラス板がつくるくさび形のすきまによる干渉。「反射光と透過光では明暗が入れかわる」「屈折率 n の液体を入れると光路長が n 倍」の二点が主題です。
問1:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
空気中で平面ガラス板Aの一端を平面ガラス板Bの上に置いてOで接触させ、Oから距離Lの位置に厚さ a の薄いフィルムをはさんでくさび形のすきまを作り、真上から波長λの単色光を入射させた。ガラス板Aの下面での反射光とガラス板Bの上面での反射光が干渉してできる、隣り合う明線の間隔 d は。
<考え方>
くさび形の厚さは位置に比例します。まず「明線どうしで厚さがどれだけ変わるか」を出します。
Oから距離 x でのすきまの厚さは t = (a/L) x 真上から見る反射光では、Bの上面での反射(空気→ガラス、屈折率小→大)で位相がπ反転し、Aの下面での反射(ガラス→空気)では反転しない。反転が1回なので、明線の条件は 2t = (m + 1/2)λ 隣り合う明線どうしでは 2Δt = λ、すなわち Δt = λ/2。 Δt = (a/L)d だから (a/L)d = λ/2 → d = Lλ / (2a)
問2:正解 ⑥(配点4)
<問題要旨>
ガラス板の真下から透過光を観測した。反射せずに透過する光と、2回反射したのち透過する光とが干渉し、真上から見たとき明線のあった位置には[ア]が見えた。次に、空気に対する屈折率 n(1 < n < 1.5)の液体ですきまを満たしたところ、真下から見た隣り合う明線の間隔は[イ]であった。
<考え方>
[ア]は位相の反転が何回起こるか、[イ]は光学距離が何倍になるかを数えます。
[ア]2回反射する光は、下のガラス板Bの上面(空気→ガラス、π反転)と、上のガラス板Aの下面(空気→ガラス、π反転)で計2回反転する。合計 2π なので実質的な反転はなく、明線の条件は 2t = mλ これは反射光の暗線の条件と同じ。つまり反射光と透過光では明暗が入れかわり、真上から見て明線だった位置には暗線が見える。 [イ]屈折率 n の液体で満たすと光学距離が n 倍になり、条件は 2nt = mλ。 Δt = λ/(2n) となって、厚さの変化幅が 1/n 倍。 すきまの傾きは変わらないので、縞の間隔も 1/n 倍で d/n。
第3問 B 熱力学(単原子分子理想気体のサイクル)
物質量 n の単原子分子理想気体を、A→B(定積)→C(等温)→A(定圧)と変化させます。U = (3/2)nRT と定圧モル比熱 (5/2)R を押さえていれば、3問とも一本道です。
問3:正解 ③(配点4)
<問題要旨>
状態Aにおける気体の内部エネルギーは nRT₀ の何倍か。
<考え方>
単原子分子理想気体の内部エネルギーの公式そのものです。
単原子分子理想気体では U = (3/2) nRT 状態Aの温度は T₀ なので U_A = (3/2) nRT₀ よって 3/2 倍。
問4:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
状態Bの温度は T₀ の何倍か。
<考え方>
A→Bは定積変化。体積が一定なので p/T が一定です。
図3より A(p₀, V₀)、B(2p₀, V₀)。 定積変化では p/T = 一定 だから p₀ / T₀ = 2p₀ / T_B → T_B = 2T₀ よって 2 倍。
問5:正解 ⑥(配点4)
<問題要旨>
過程C→Aにおいて気体が放出する熱量は nRT₀ の何倍か。
<考え方>
C→Aは定圧変化。定圧モル比熱 C_p = (5/2)R を使います。
まず状態Cの温度。C(p₀, 2V₀) だから p₀・2V₀ = nRT_C → T_C = 2T₀ (B→Cが等温なので T_B = T_C = 2T₀ とも整合する。) C→Aは定圧変化なので Q = n C_p ΔT = n・(5/2)R・(T₀ − 2T₀) = −(5/2) nRT₀ 負なので放出。放出する熱量は (5/2) nRT₀ で、5/2 倍。
第4問 A 力学(なめらかな円錐面上の運動)
頂点を下にした、なめらかな円錐の内面上の運動。角θが「中心軸から測った半頂角」であることに注意すると、母線方向の斜面と考えたときの重力成分が g cosθ になります。
問1:正解 ⑦(配点4)
<問題要旨>
図2のように、頂点Oから距離ℓの位置に小物体を置き、静かに放した。小物体が頂点Oに到達するまでの時間は。
<考え方>
母線に沿った等加速度直線運動として扱います。
母線は中心軸(鉛直)と角θをなすので、母線方向の重力成分は mg cosθ → 加速度 a = g cosθ 静かに放したので初速0の等加速度直線運動: ℓ = (1/2)(g cosθ) t² → t = √( 2ℓ / (g cosθ) )
問2:正解 ⑦(配点4)
<問題要旨>
次に、大きさ v₀ の初速度を水平方向に与えると、小物体は等速円運動をした。その半径 a は。
<考え方>
円錐面から受ける垂直抗力は母線に垂直。鉛直方向のつり合いと、水平方向の運動方程式を立てます。
垂直抗力Nは母線に垂直なので、鉛直と角θ、水平と角(90°−θ)をなす。 鉛直方向(つり合い):N sinθ = mg 水平方向(中心向き):N cosθ = m v₀² / a 辺々割って tanθ = mg ÷ (m v₀²/a) = g a / v₀² → a = v₀² tanθ / g
問3:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
頂点Oから距離ℓ₁の点Aで、大きさ v₁ の初速度を与えたところ、小物体は円錐面に沿って運動し、頂点Oから距離ℓ₂の点Bを通過した。点Bにおける小物体の速さは。
<考え方>
面はなめらかで垂直抗力は仕事をしないので、力学的エネルギーが保存します。
頂点Oから母線に沿って距離ℓの点の、Oからの高さは ℓ cosθ 力学的エネルギー保存(点A → 点B): (1/2) m v₁² + m g ℓ₁ cosθ = (1/2) m v_B² + m g ℓ₂ cosθ v_B² = v₁² + 2g(ℓ₁ − ℓ₂) cosθ → v_B = √( v₁² + 2g(ℓ₁ − ℓ₂) cosθ )
第4問 B 力学(エレベーター内の滑車とばね)
エレベーターの天井の滑車にかけた糸。エレベーターとともに動く立場に立ち、重力加速度を g から g ± a に置きかえるのが速い解き方です。
問4:正解 ⑥(配点4)
<問題要旨>
エレベーターの天井に固定された、なめらかに回る軽い滑車に軽い糸をかけ、糸の両端に質量M と質量m(M > m)の物体を取り付けた。エレベーターが静止しているとき、糸がたるまないように二つの物体を支えた状態から静かに放すと、物体は鉛直方向に動き始めた。このときの糸の張力Tは。
<考え方>
いわゆるアトウッドの装置。二つの運動方程式を足して加速度を消します。
加速度の大きさをαとすると(Mが下がり、mが上がる) Mg − T = Mα ……① T − mg = mα ……② ①+②:(M − m)g = (M + m)α → α = (M − m)g / (M + m) ②に戻して T = m(g + α) = m g ・ 2M/(M + m) = 2Mmg / (M + m) (検算:M = m なら T = Mg で静止、m → 0 なら T → 0。妥当。)
問5:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
図6のように、質量m の物体の代わりに、床に固定したばね定数 k の軽いばねを取り付けた。鉛直上向きに大きさ a の加速度で等加速度運動しているエレベーターの中で、質量M の物体がエレベーターに対して静止していた。このとき、ばねの自然の長さからの伸び x は。
<考え方>
エレベーターとともに動く立場では、下向きに大きさ M(g + a) の見かけの重力がはたらきます。
物体Mはエレベーターに対して静止しているので、この立場では力がつり合う。 T = M(g + a) 糸は滑車を介してばねを上向きに引くので、ばねにはたらく力の大きさも T。 k x = M(g + a) → x = M(g + a) / k
第5問〔選択問題〕 波動(音のドップラー効果)
第5問と第6問はどちらか1問を選択します(配点15点)。こちらはドップラー効果。「波長は音源が決め、振動数は観測者が決める」と整理しておくと迷いません。
問1:正解 ⑧(配点5)
<問題要旨>
静止している振動数 f₁ の音源へ向かって、観測者が速さ v で移動している。このとき、観測者に聞こえる音の振動数は[ア]、音源から観測者へ向かう音波の波長は[イ]である。
<考え方>
音源が静止しているので、空気中の波長は変わりません。変わるのは観測者が受け取る波の数です。
[イ]音源が静止しているので、空気中に並ぶ波の間隔=波長は λ = V / f₁ 観測者が動いても、空気中の波長そのものは変わらない。 [ア]観測者から見た音の相対速度は V + v なので f = (V + v) / λ = (V + v) f₁ / V > f₁ よって f₁ よりも大きい。
問2:正解 ②(配点5)
<問題要旨>
静止している観測者へ向かって、振動数 f₂ の音源が速さ v で移動している。音源から観測者へ向かう音波の波長λは。
<考え方>
音源が動くと、前方では波が押し縮められます。
音源は1周期(1/f₂)の間に v/f₂ だけ前進する。その分だけ、前方に出る波の間隔は縮む。 λ = V/f₂ − v/f₂ = (V − v) / f₂
問3:正解 ①(配点5)
<問題要旨>
静止している振動数 f₁ の音源へ向かって、反射板を速さ v で動かした。音源の背後で静止している観測者は、反射板で反射した音を聞いた。その音の振動数は f₃ であった。反射板の速さ v を表す式は。
<考え方>
反射板を「近づく観測者」→「近づく音源」と二段階で扱うのが定石です。
(1) 反射板は近づく観測者:反射板が受け取る振動数は f′ = f₁ (V + v) / V (2) 反射板はその振動数 f′ の音を出し直す、近づく音源:観測者が聞くのは f₃ = f′ ・ V / (V − v) = f₁ (V + v) / (V − v) これを v について解く。 f₃(V − v) = f₁(V + v) V(f₃ − f₁) = v(f₃ + f₁) → v = (f₃ − f₁) V / (f₃ + f₁)
第6問〔選択問題〕 原子(放射線と原子核反応)
第5問との選択問題(配点15点)。放射線の基礎知識、結合エネルギーの定義、核融合の反応式という三本立て。教科書の記述をそのまま問う設問が中心です。
問1:正解 ⑤(配点5)
<問題要旨>
放射線に関する記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
選択肢を一つずつつぶしていきます。
① α線・β線・γ線はいずれも電離作用をもつ(強さは α > β > γ)。α線だけ、は誤り。 ② 一様な磁場に垂直に入射したとき直進するのは、電荷をもたないγ線。β線は電荷をもつので曲がる。誤り。 ③ β⁻崩壊では中性子が陽子に変わるので、原子番号は1増える。誤り。 ④ ウラン、トリウム、カリウム40 など、自然界にも放射線を出す不安定な原子核が存在する。誤り。 ⑤ シーベルト(Sv)は、人体への放射線の影響を評価する等価線量・実効線量の単位。正しい。 (放射能の強さはベクレル(Bq)、吸収線量はグレイ(Gy)。)
問2:正解 ④(配点5)
<問題要旨>
原子番号Z、質量数Aの原子核の場合、原子核の質量をM、陽子と中性子の質量をそれぞれ m_p、m_n とするとき、結合エネルギーΔEを表す式は。
<考え方>
ばらばらの核子の質量の和と、原子核の質量との差(質量欠損)を求めます。
原子核に含まれるのは
陽子 Z 個、中性子 A − Z 個
ばらばらの状態での質量の和は
Z m_p + (A − Z) m_n
質量欠損は
Δm = Z m_p + (A − Z) m_n − M
したがって
ΔE = { Z m_p + (A − Z) m_n − M } c²
問3:正解 ③(配点5)
<問題要旨>
太陽の中心部では ¹₁H が次々に核融合して、最終的に ⁴₂He が生成されている。その最終段階の反応の一つは ³₂He + ³₂He → ⁴₂He +[ア]。この反応ではエネルギーが[イ]される。ただし ²₁H、³₂He、⁴₂He の結合エネルギーは、それぞれ 2.2 MeV、7.7 MeV、28.3 MeV とする。
<考え方>
[ア]は質量数と原子番号のつり合い、[イ]は結合エネルギーの合計の増減で決まります。
[ア] 質量数:3 + 3 = 6、右辺の ⁴₂He が 4 なので残りは 2 原子番号:2 + 2 = 4、右辺の ⁴₂He が 2 なので残りは 2 質量数2・原子番号2 を、質量数1・原子番号1 の粒子で分けると ¹₁H が2個。 → 2 ¹₁H [イ]結合エネルギーの合計を比べる。 反応前:7.7 × 2 = 15.4 MeV 反応後:28.3 + 0 = 28.3 MeV(¹₁H は核子1個なので結合エネルギー0) 28.3 − 15.4 = 12.9 MeV だけ結合が強くなった分、エネルギーが放出される。 → 放出
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

