2026年度 大学入学共通テスト 本試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2026年度 大学入学共通テスト本試験の「物理」は、試験時間60分・100点満点・全22項目(解答番号1〜22)です。第1問から第4問までの4大問がすべて必答で、配点は各25点。第3問だけがA(問1〜問3)とB(問4〜問6)に分かれ、Aが13点、Bが12点という内訳になっています。
第1問は波・電磁気・力学・原子・熱の5分野から1題ずつ集めた小問集合、第2問はなめらかな水平面上での一直線の衝突、第3問はAが単原子分子理想気体のサイクルと熱効率、Bが円形波と平面波の干渉、第4問が一様電場中の放物運動と一様磁場中の等速円運動です。
この回の特徴は、公式に代入して終わる設問が少なく、図に手を入れて数える作業が求められることです。第3問問2はp-V図の階段の角を格子で読み取り、長方形の面積を足し引きして仕事を内側と外側から挟み込みます。第3問問6は波面を1本ずつ動かして交点の移動を追います。第1問問3は5つの選択肢がどれも似た図なので、「2本の糸は一直線に並ぶ」という性質でまず絞り、そのあとカメラの向きから画面の左右を決める、という二段構えが必要です。
もう1つの軸は、第4問を通して効く「電気量が負である」という条件です。電場の向きと静電気力の向き、電流の向きと速度の向きがそれぞれ逆になるので、符号の反転を1つずつ図の上で確かめないと、正しい式を立てても向きを取り違えます。
第1問(必答) 小問集合(ドップラー効果・交流回路の共振・見かけの重力・コンプトン散乱・気体分子運動論)
波・電磁気・力学・原子・熱の5分野から1題ずつ、計5題の小問集合です。配点は25点で、問2だけが解答番号2つ(2点と3点)に分かれます。
問1:正解 ⑤(解答番号1/配点5)
<問題要旨>
点Oにいる観測者に向かって、720 m離れた点Aから速さ20 m/sで近づく救急車が、振動数960 Hzと770 Hzの音が交互に入れ替わるサイレンを鳴らし始めます。音速は340 m/s、無風。サイレンを鳴らし始めてから観測者に音が届くまでの時間(ア)と、観測者が聞く高い方の振動数(イ)の組合せを選ぶ設問です。図1は点Oと点Aの位置関係(720 m)と救急車の進む向きを示しています。
<考え方>
アは「最初の音が出た場所から観測者までを音が走る時間」、イは音源が近づく場合のドップラー効果の式で決まります。鳴らし始めの音が出た位置は点Aなので、救急車が動いていても距離は720 mをそのまま使います。イは、もう一方の770 Hzが問題文の「約820 Hz」になることを確かめれば検算になります。
【ア】最初の音は点Aから出る t = 720 m ÷ 340 m/s = 2.11… ≒ 2.1 s 【イ】音源が観測者に近づく場合の観測される振動数 f′ = f × 340/(340 − 20) = f × 340/320 960 Hz → 960 × 340/320 = 1020 Hz 【検算】770 Hz → 770 × 340/320 = 818… ≒ 820 Hz 問題文の「約820 Hz」と一致する ア = 2.1、 イ = 1020 よって ⑤
アを 2.0 s としてしまうと①〜③に入ります。救急車が20 m/sで近づくことによって縮むのは「音が伝わる距離」ではなく「次の音が出る位置の間隔」であり、それが振動数の変化として現れます。最初の1つの音については、点Aから点Oまでの720 mを音速で割るだけです。
問2:正解 ①(解答番号2/配点2)
<問題要旨>
ランプ・電源・ホルダー1・ホルダー2が1つの輪につながれた配線ボードがあり、2つのホルダーには導線・コイル・コンデンサー・抵抗器のうち2つをはめられます(それぞれ1つずつ)。導線とコイルの抵抗値は無視できます。直流電源をつないでしばらくたったとき、ランプが最も明るくつく素子の組合せを選ぶ設問です。
<考え方>
直列回路なので、流れる電流が大きいほどランプは明るくなります。したがって「はめた2つの素子による電流の妨げが最も小さい組合せ」を探せばよいことになります。直流の定常状態では、コンデンサーは電流を通さず、コイルは抵抗が無視できるのでただの導線と同じはたらきになります。
直流・定常状態での各素子のふるまい 導線 … 抵抗0 コイル … 抵抗0(電流が一定なので誘導起電力は生じない) 抵抗器 … 抵抗あり コンデンサー … 電流を通さない(ランプは消える) ① 導線とコイル → 加わる抵抗0 → 電流最大 ② 導線とコンデンサー → 電流0 ③ 導線と抵抗器 → 加わる抵抗あり ④ コイルとコンデンサー → 電流0 ⑤ コイルと抵抗器 → 加わる抵抗あり ⑥ コンデンサーと抵抗器 → 電流0 よって ①
「しばらくたったとき」は、コンデンサーの充電が終わって電流が流れなくなった状態を指す言い方です。この一言が、コンデンサーを含む組合せをすべて落とす根拠になります。
問2:正解 ④(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
同じ配線ボードで直流電源を交流電源に取り替えます。この交流電源の角周波数に対するコイルの誘導リアクタンスとコンデンサーの容量リアクタンスは、どちらも抵抗器の抵抗値と同じ値になっています。このときランプが最も明るくつく素子の組合せを選ぶ設問です。
<考え方>
交流では、直列インピーダンスの大きさが小さいほど電流が大きく、ランプは明るくなります。コイルとコンデンサーは電圧の位相のずれ方が逆向きなので、リアクタンスの大きさが等しいものを直列にすると打ち消し合ってゼロになります。これが直列共振の状態です。
ランプの抵抗を r、抵抗器の抵抗を R とすると、 コイルとコンデンサーのリアクタンスはどちらも R。 直列インピーダンスの大きさ |Z| ① 導線とコイル √(r² + R²) ② 導線とコンデンサー √(r² + R²) ③ 導線と抵抗器 r + R ④ コイルとコンデンサー √(r² + (R − R)²) = r ← 最小 ⑤ コイルと抵抗器 √((r + R)² + R²) ⑥ コンデンサーと抵抗器 √((r + R)² + R²) ④ ではコイルとコンデンサーのリアクタンスが打ち消し合い、 残るのはランプの抵抗 r だけ(直列共振)。電流が最大になる。 【検算】r < √(r² + R²) < r + R < √((r + R)² + R²) → 明るい順に ④ > ①=② > ③ > ⑤=⑥ よって ④
直流のときと違い、交流ではコイルもコンデンサーも電流を通します。「コンデンサーが入っていればランプは消える」と決めつけると④を外します。逆に、直流の設問(解答番号2)で④を選ばないようにも気をつけてください。
問3:正解 ②(解答番号4/配点5)
<問題要旨>
二酸化炭素入りの風船(空気より重い)とヘリウム入りの風船(空気より軽い)の糸を結び、その結び目をバス内の人が握っています。バスが静止しているときは図3のようにヘリウム側が鉛直上、二酸化炭素側が鉛直下に伸びます。バスが一定の半径の左カーブを一定の速さで進んでいるとき、風船の後ろ側から前向きに取りつけたカメラBで撮影される風船の様子(①〜⑤の図)を選ぶ設問です。窓は閉じられ、外からの空気の流れはありません。
<考え方>
バスとともに回る立場で見ると、重力に加えて円の外向き(左カーブなのでバスの右向き)の慣性力がはたらき、「見かけの重力」は鉛直下向きと右向きを合成した向きを向きます。空気より重い二酸化炭素入りの風船はこの見かけの重力の向きへ、空気より軽いヘリウム入りの風船はその逆向きへ引かれます。2本の糸はどちらも同じ直線(見かけの重力の方向)にそろうので全体は一直線になり、あとはカメラの向きから画面の左右を決めます。
【1段目:糸の形で落とす】 二酸化炭素入りの風船(空気より重い)… 見かけの重力の向き(下+右)へ ヘリウム入りの風船(空気より軽い) … その逆向き(上+右の逆=上+左)へ 2本の糸は同じ直線上に並ぶ → 風船・結び目・風船は一直線になる ③ 折れ曲がっている → 不可 ④ 折れ曲がっている → 不可 ① 一直線だが傾いていない → 慣性力がはたらいているので不可 【2段目:カメラの向きで左右を決める】 カメラBは風船の後ろ側から前(バスの進行方向)を向いている → 画面の右 = バスの右 ヘリウム入りの風船(上側)は画面の左 二酸化炭素入りの風船(下側)は画面の右 ⑤ 上側の風船が画面の右 → 不可 ② 上側の風船が画面の左、下側が画面の右、一直線 → 適合 よって ②
図4・図5の「一定の加速度で速さを増しているとき」の場合で、この左右の決め方を練習できます。カメラAはバスの右側から左を向いているので画面の右が進行方向にあたり、図5でヘリウム入りの風船が画面の右(=前)に傾いているのは、慣性力が後ろ向きにはたらくことと合っています。
問4:正解 ②(解答番号5/配点5)
<問題要旨>
波長λの光子(エネルギー hc/λ、運動量 h/λ)が、静止した質量mの電子に弾性衝突します。X線はx軸と角θをなす向きに散乱されて波長がλからλ′に変わり、電子は角φの向きに速さvではね飛ばされます。散乱X線の波長λ′が入射波長λより大きいか小さいか(ウ)と、θ = 90°のときの電子の向きφ(エ)の組合せを選ぶ設問です。運動量保存の式(x方向・y方向)は問題文に与えられています。
<考え方>
ウはエネルギー保存だけで決まります。電子が運動エネルギーを持ち去るぶん光子のエネルギーは減るので、波長は長くなります。エは与えられた運動量保存の2式にθ = 90°を代入し、tanφ をつくれば求められます。
【ウ】エネルギー保存 hc/λ = hc/λ′ + (1/2)mv² (1/2)mv² > 0 より hc/λ′ < hc/λ → λ′ > λ(入射X線の波長より大きい) 【エ】θ = 90° を運動量保存の式に代入 x方向:h/λ = (h/λ′)·cos90° + mv·cosφ = mv·cosφ y方向:0 = (h/λ′)·sin90° − mv·sinφ → mv·sinφ = h/λ′ tanφ = (mv·sinφ)/(mv·cosφ) = (h/λ′)/(h/λ) = λ/λ′ λ とλ′ はほぼ等しいので tanφ ≒ 1 → φ ≒ 45° ウ = 大きい、 エ = 45° よって ②
「λとλ′はほぼ等しいとした」という断りは、tanφ = λ/λ′ を1とみなしてよいという指示です。ウで「波長は変わらない」と答えてしまうとエの値自体は同じになりますが、コンプトン効果の本質である「光子がエネルギーを失って波長が伸びる」を取り違えることになります。
問5:正解 ①(解答番号6/配点5)
<問題要旨>
同じ種類の単原子分子からなる理想気体が、同じ体積の2つの容器に入っています。2つの容器内の気体の圧力は等しく、絶対温度は異なります。(a)内部エネルギー、(b)分子1個あたりの平均運動エネルギー、(c)分子の二乗平均速度(根平均二乗速度)と物質量の積のうち、2つの容器で等しいものをすべて選んだ組合せを答える設問です。
<考え方>
状態方程式 pV = nRT に戻ります。p と V が等しいのだから nT が共通で、n と T は別々には決まりません。そこで (a)(b)(c) をそれぞれ「p・V だけで書けるか」「T が残るか」で見分けます。
pV = nRT で p、V が共通 → nT = pV/R が共通 (絶対温度 T が異なるので、物質量 n も異なる) (a) 単原子分子理想気体の内部エネルギー U = (3/2)nRT = (3/2)pV → p と V だけで決まる → 等しい (b) 分子1個あたりの平均運動エネルギー (3/2)kT(k はボルツマン定数) → T だけで決まり、T が異なる → 等しくない (c) 二乗平均速度と物質量の積 √(3RT/M) × n (M はモル質量で共通) n = pV/(RT) を入れると √(3RT/M) × pV/(RT) = (pV/√(RM)) × √(3/T) → T が残る → 等しくない 【検算】T を2倍にすると n は 1/2 倍、二乗平均速度は √2 倍なので、 (c) の積は 1/√2 倍に変わってしまう。 等しいのは (a) だけ よって ①
(c) は「速さ×物質量」なので運動量の総和のように見えますが、分子の速度は向きがばらばらなので運動量の和は0であり、意味のある量ではありません。こういう量は、T の指数を数えて「T が残るかどうか」だけを見ればすぐ片づきます。
第2問(必答) 一直線上の衝突(反発係数・弾性衝突・ばねでつないだ2物体)
なめらかな水平面上の一直線上の衝突を、壁との衝突、2物体の弾性衝突、ばねでつないだ2物体との衝突、と段階的に扱う大問です。配点は25点。前の設問の結果を次でそのまま使う誘導型なので、最初でつまずかないことが大切です。
問1:正解 ④(解答番号7/配点5)
<問題要旨>
質量mの小物体Aが、速度v₀(v₀ > 0)で固定された鉛直な壁に衝突します。Aと壁の間の反発係数をeとして、Aが衝突で失った力学的エネルギーを表す式を選ぶ設問です。図1は衝突前(右向きにv₀)と衝突後(左向き)の様子を示しています。
<考え方>
反発係数の定義から衝突後の速さを出し、運動エネルギーの差をとるだけです。水平面上なので重力による位置エネルギーは変わらず、力学的エネルギーの変化は運動エネルギーの変化に一致します。
壁は固定されているので、反発係数の定義より 衝突後の速さ = e·v₀ 失った力学的エネルギー ΔE = (1/2)mv₀² − (1/2)m(e·v₀)² = (1/2)mv₀²(1 − e²) 【検算】e = 1(弾性衝突)なら ΔE = 0 e = 0(跳ね返らない)なら ΔE = (1/2)mv₀²(全部失う) どちらも正しい極限になっている。 よって ④
選択肢①②は m·v₀ の形で運動量の次元になっており、エネルギーの次元ではありません。式を選ぶ前に次元を見るだけで2つ落とせます。
問2:正解 ③(解答番号8/配点5)
<問題要旨>
質量mの小物体Aが、静止していた質量Mの小物体B₁に速度v₀で弾性衝突します。衝突後のAの速度vを表す式を選ぶ設問です。
<考え方>
弾性衝突は「運動量保存」と「反発係数が1」の連立で決まります。反発係数の式を V₁ − v = v₀ の形にしてから運動量保存に代入するのが最短です。
運動量保存 m·v₀ = m·v + M·V₁ 反発係数が1 1 = −(v − V₁)/(v₀ − 0) → V₁ − v = v₀ → V₁ = v + v₀ 代入して m·v₀ = m·v + M(v + v₀) (m − M)v₀ = (m + M)v v = (m − M)v₀/(m + M) 【検算】m = M なら v = 0(速度がそのまま移る) M がきわめて大きいと v → −v₀(壁との弾性衝突と同じ) よって ③
m < M のとき v は負、つまりAは跳ね返されます。分母が (m + M) になることを覚えておけば、④⑧のような分母がmやMだけの式はすぐ外せます。
問2:正解 ②(解答番号9/配点5)
<問題要旨>
同じ弾性衝突で、衝突後のB₁の速度V₁を表す式を選ぶ設問です。
<考え方>
解答番号8で使った連立式がそのまま使えます。V₁ = v + v₀ に、求めたvを入れるだけです。
V₁ = v + v₀
= (m − M)v₀/(m + M) + v₀
= {(m − M) + (m + M)}v₀/(m + M)
= 2m·v₀/(m + M)
【検算1】m = M なら V₁ = v₀(速度がそのまま移る)
【検算2】運動量の和
m·v + M·V₁ = {m(m − M) + 2mM}v₀/(m + M)
= m(m + M)v₀/(m + M) = m·v₀
衝突前の運動量と一致している。
よって ②
V₁ は必ず正(Aと同じ向き)で、しかも 2m/(m + M) < 2 なので v₀ の2倍を超えません。この上限を知っていれば⑥(2M/(m+M))との混同も防げます。
問3:正解 ⑥(解答番号10/配点5)
<問題要旨>
質量Mの小物体B₁に、ばね定数kの軽いばねで質量Mの小物体B₂をつなぎ、「B₁・ばね・B₂」をまとめて質量2Mの物体Bと呼びます。AがB₁に速度v₀で弾性衝突した直後、ばねとB₂は静止したままです。Bの運動量をBの質量2Mで割った量をBの速度Vとして、AとBの間の反発係数を表す式(ア)と、その値が1か1より小さいか(イ)の組合せを選ぶ設問です。
<考え方>
反発係数は「衝突後に離れていく速さ ÷ 衝突前に近づく速さ」です。Bの速度は問題文の定義どおり運動量を2Mで割ったものなので、衝突直後はB₂が静止しているぶん、V₁の半分になります。あとは問2の結果を入れて値を出します。
【ア】反発係数の定義
衝突前 A:v₀、 B:0 → 近づく速さ v₀
衝突後 A:v、 B:V → 離れる速さ V − v
反発係数 = (V − v)/v₀ → (c)
【イ】値を求める
衝突直後のBの運動量 = M·V₁ + M·0 = M·V₁
V = M·V₁/(2M) = V₁/2 = m·v₀/(m + M)
V − v = m·v₀/(m + M) − (m − M)v₀/(m + M)
= {m − (m − M)}v₀/(m + M)
= M·v₀/(m + M)
反発係数 = M/(m + M) < 1 → (f)
よって ⑥
AとB₁の衝突そのものは弾性衝突(反発係数1)なのに、「AとB」で見ると反発係数は1より小さくなります。これは、B₁が受け取った運動エネルギーの一部が、この後ばねの弾性エネルギーとB₂の運動エネルギーに回るぶんが、Bを1つの物体と見たときの「失われたエネルギー」として現れるためです。
問4:正解 ⑥(解答番号11/配点5)
<問題要旨>
衝突直後の物体Bの力学的エネルギーを問3のVで表す式(ウ)と、衝突後にばねの自然長からの変形が最大になるときの、その最大値を表す式(エ)の組合せを選ぶ設問です。問題文に「変形が最大になるときにはB₁とB₂の速度は等しい」ことが示されています。
<考え方>
衝突直後の状態を書き出すのが出発点です。B₁だけがV₁ = 2Vで動き、B₂は静止、ばねは自然長なので弾性エネルギーは0です。変形が最大のときは2物体の速度が等しく、運動量保存からその共通の速度はVになります。あとは力学的エネルギー保存です。
【ウ】衝突直後 B₁:V₁ = 2V、 B₂:0、 ばねは自然長 力学的エネルギー = (1/2)M(2V)² + 0 + 0 = 2MV² → (c) 【エ】変形が最大のとき B₁ と B₂ の速度は等しい 運動量保存より、その共通の速度は 2MV/(2M) = V 力学的エネルギー保存(変形の大きさを x とする) 2MV² = (1/2)(2M)V² + (1/2)k·x² 2MV² − MV² = (1/2)k·x² MV² = (1/2)k·x² x² = 2MV²/k x = √(2M/k)·V → (e) 【検算】ばねが硬い(k が大きい)ほど x は小さくなる。 次元は √(質量 ÷ (力/長さ)) × 速度 = 時間 × 速度 = 長さ。 よって ⑥
B₁はB₂の側へ押し出されるので、ばねはまず縮みます。ただし2物体とばねの相対運動は単振動なので、最大の縮みと最大の伸びは同じ大きさになり、どちらで考えても √(2M/k)·V が得られます。
第3問(必答) A 単原子分子理想気体のサイクルと熱効率(p-V図の階段近似)
なめらかに動くピストンのついたシリンダー内の単原子分子理想気体について、定圧変化A→B、定積変化B→C、等温変化C→Aからなるサイクルを扱います。Aの配点は13点(問1が5点、問2・問3が各4点)で、等温変化の仕事を階段状のサイクルで内側と外側から挟んで近似するのが山場です。
問1:正解 ⑤(解答番号12/配点5)
<問題要旨>
状態A(圧力10p₀、体積V₀)から圧力を一定に保って体積を10V₀にする過程A→Bについて、外部から気体に加えた熱量Qを Q = □ × p₀V₀ の形で求める設問です。図1は縦軸p・横軸VでサイクルA→B→C→Aを描いたもので、A→Bが水平(定圧)、B→Cが垂直(定積)、C→Aが双曲線(等温)になっています。
<考え方>
熱力学第1法則 Q = ΔU + W で決まります。単原子分子理想気体の内部エネルギーは U = (3/2)nRT = (3/2)pV と書けるので、状態方程式を持ち出さなくても pV の値だけで差が出せます。定圧変化で気体が外部にする仕事は W = p·ΔV です。
A:p = 10p₀、V = V₀ → pV = 10p₀V₀ B:p = 10p₀、V = 10V₀ → pV = 100p₀V₀ 内部エネルギーの変化 ΔU = (3/2)Δ(pV) = (3/2)(100 − 10)p₀V₀ = 135p₀V₀ 気体が外部にする仕事(定圧変化) W = 10p₀ × (10V₀ − V₀) = 90p₀V₀ 熱力学第1法則 Q = ΔU + W = 135p₀V₀ + 90p₀V₀ = 225p₀V₀ 【検算】定圧変化では Q = (5/2)Δ(pV) = (5/2) × 90p₀V₀ = 225p₀V₀ で一致。 よって ⑤
図1のC→Aが等温変化であることは、C(p₀、10V₀)とA(10p₀、V₀)でともに pV = 10p₀V₀ となることから確かめられます。この確認は問2で仕事の真の値を見積もるときにも使います。
問2:正解 ④(解答番号13/配点4)
<問題要旨>
図2(a)(b)は矢印つきの実線で表された2つの階段状のサイクルです。灰色の領域の境界が図1のサイクルA→B→C→Aで、この領域は(a)の実線で囲まれた領域を覆っており、また(b)の実線で囲まれた領域に覆われています。(a)(b)それぞれのサイクルで気体が外部にする仕事の総和を求め、その平均値をサイクルA→B→C→Aの仕事Wの近似値として W = □ × p₀V₀ の形で選ぶ設問です。
<考え方>
p-V図では、気体が外部にする仕事の総和はサイクルが囲む面積に等しく、時計回りなら正になります。階段の角はすべて格子線の交点にあるので、格子を数えて長方形の面積を足していけば値が出ます。上辺 p = 10p₀ と階段の間の縦幅を、体積の区間ごとに拾うのがいちばん速いです。
図2の格子は 横1目 = V₀、縦1目 = p₀。 階段の角を格子で読むと次のようになる。 【(a) 内側の階段】 (2V₀, 10p₀) → (10V₀, 10p₀) → (10V₀, 2p₀) → (5V₀, 2p₀) → (5V₀, 3p₀) → (4V₀, 3p₀) → (4V₀, 4p₀) → (3V₀, 4p₀) → (3V₀, 5p₀) → (2V₀, 5p₀) → (2V₀, 10p₀) 上辺 p = 10p₀ と階段の間の面積を区間ごとに足す V = 2V₀〜3V₀ :(10 − 5) × 1 = 5 V = 3V₀〜4V₀ :(10 − 4) × 1 = 6 V = 4V₀〜5V₀ :(10 − 3) × 1 = 7 V = 5V₀〜10V₀:(10 − 2) × 5 = 40 合計 5 + 6 + 7 + 40 = 58 → 58p₀V₀ 【(b) 外側の階段】 (V₀, 10p₀) → (10V₀, 10p₀) → (10V₀, p₀) → (5V₀, p₀) → (5V₀, 2p₀) → (3V₀, 2p₀) → (3V₀, 3p₀) → (2V₀, 3p₀) → (2V₀, 5p₀) → (V₀, 5p₀) → (V₀, 10p₀) V = V₀〜2V₀ :(10 − 5) × 1 = 5 V = 2V₀〜3V₀ :(10 − 3) × 1 = 7 V = 3V₀〜5V₀ :(10 − 2) × 2 = 16 V = 5V₀〜10V₀:(10 − 1) × 5 = 45 合計 5 + 7 + 16 + 45 = 73 → 73p₀V₀ 【平均】 W ≒ (58 + 73)/2 × p₀V₀ = (131/2)p₀V₀ 【検算】等温変化C→Aの仕事まで含めた真の値は A→B:+90p₀V₀ B→C:0(定積) C→A:−10p₀V₀ × ln10 = −23.0p₀V₀ 合計 90 − 23.0 = 66.9…(単位は p₀V₀) 58 < 66.9 < 73 となり、内側・外側の階段の値が真の値を挟んでいる。 よって ④
(a)は灰色の領域に含まれるので仕事は真の値より小さく、(b)は灰色の領域を覆うので真の値より大きい、という関係を先に決めておくと見通しがよくなります。図1の面積はおよそ 90 − 23 = 67 なので、①(17)や②(49/2)のような小さすぎる値はその場で外せます。
問3:正解 ③(解答番号14/配点4)
<問題要旨>
問2で求めた仕事Wと問1で求めた熱量Qを用いて、B→C→Aの状態変化で気体が外部に放出する熱量(ア)と、A→B→C→Aを1サイクルとする熱機関の熱効率(イ)の組合せを選ぶ設問です。
<考え方>
1サイクルまわると気体は元の状態に戻るので、内部エネルギーの変化は0です。したがって「1サイクルで正味に吸収した熱 = 1サイクルで外部にする仕事」。熱効率は(1サイクルの仕事)÷(吸収した熱)で、分母には放出した熱を入れません。
【ア】1サイクルで ΔU = 0 なので (1サイクルで正味に吸収した熱)= W A→B で吸収した熱 = Q B→C→A で吸収した熱 = W − Q Q > W なのでこれは負、つまり放出している 放出する熱量 = Q − W 【イ】熱効率の定義 η = (1サイクルで外部にする仕事)/(吸収した熱) 熱を吸収するのはA→Bだけなので 吸収した熱 = Q η = W/Q 【検算】Q = 225p₀V₀、W = (131/2)p₀V₀ = 65.5p₀V₀ を入れると 放出する熱 = 159.5p₀V₀(正の値になっている) η = 65.5/225 = 0.29 → 0 < η < 1 に収まる ア = Q − W、 イ = W/Q よって ③
B→Cは定積変化なので仕事は0で放熱だけ、C→Aは等温圧縮なので外からされた仕事がそのまま放熱になります。この2つを合わせたものが Q − W です。イで Q/W や Q/(Q − W) を選ばないよう、熱効率は必ず「仕事 ÷ 吸収した熱」で1より小さくなる形だと確認してください。
第3問(必答) B 円形波と平面波の干渉(干渉条件・干渉点の数・干渉の山の動き)
xy平面上の一様な媒質に、原点Oの波源から出る円形波と、直線x = Lの波源から出る平面波を同時に送り込み、その干渉を扱います。Bの配点は12点(各4点)。平面波の経路長の取り方と、山の頂点の動き方が問われます。
問4:正解 ③(解答番号15/配点4)
<問題要旨>
xy平面に一様な媒質があり、原点Oと直線x = L(L > 0)に波源があります。円形波と平面波の波長はともにλで、2つの波源は同じ位相で振動しています。0 < X < L、0 < Y の点P(X, Y)で2つの波が強めあう条件を表す式を選ぶ設問です(m = 0, 1, 2, …)。図3は、まだ重なっていないときの円形波の同心円状の波面と、平面波の縦線状の波面(−x方向へ進む)を示しています。
<考え方>
同位相の2つの波源から出た波が強めあう条件は「経路差 = mλ」です。あとは2つの経路長を正しく書くだけで、円形波は原点からの距離、平面波は波源の直線x = Lから点Pまでのx方向の隔たりが経路長になります。
点P(X, Y) までの経路長 円形波(原点Oから広がる) √(X² + Y²) 平面波(直線 x = L から −x 方向へ進む) L − X 平面波の波面は x 軸に垂直な直線なので、 点Pのy座標は経路長にいっさい影響しない。 同位相の波源からの波が強めあう条件は 経路差 = mλ |(L − X) − √(X² + Y²)| = mλ よって ③
平面波の経路長を √((L − X)² + Y²) と書くと①②のように「点波源が2つある」場合の式になってしまいます。⑦⑧の 2Y も波面の向きを取り違えた形です。「平面波は波面が直線なので、波面に垂直な距離だけが効く」と押さえておきましょう。
問5:正解 ④(解答番号16/配点4)
<問題要旨>
L = 11λ の場合について、x軸上の 0.2λ < x < 10.8λ の区間で、円形波と平面波が強めあう条件を満たす点の個数を選ぶ設問です。
<考え方>
問4で立てた条件式で Y = 0 とおくだけです。x軸上(x > 0)では円形波の経路長が x そのものになるので、条件は x についての1次式になり、解が等間隔に並びます。その間隔がλではなくλ/2になることが要点です。
x軸上(Y = 0、x > 0)では √(x² + 0) = x なので、条件は |11λ − 2x| = mλ (m = 0, 1, 2, …) 11λ − 2x = ±mλ 2x = 11λ ∓ mλ x = (11 ∓ m)λ/2 m = 0, 1, 2, … と動かすと、x は λ/2 刻みに並ぶ x = kλ/2 (k は 0 以上の整数、このとき m = |11 − k|) 区間 0.2λ < x < 10.8λ に入るものを数える 0.2 < k/2 < 10.8 0.4 < k < 21.6 k = 1, 2, …, 21 すなわち x = 0.5λ、1.0λ、1.5λ、…、10.5λ 【検算】0.5λ から 10.5λ まで 0.5λ 刻みなので (10.5 − 0.5)/0.5 + 1 = 21 個。 x = 0(k = 0、m = 11)と x = 11λ(k = 22)は区間の外で数えない。 よって ④
「強めあう点はλ刻みに並ぶ」と思い込むと①〜③の10前後の値を選んでしまいます。x軸上では円形波が+x方向、平面波が−x方向へ進むので、x がλ/2だけ変わると経路差 (11λ − 2x) はλ変わります。向かい合う2つの波源の間では間隔がλ/2になる、というのは定常波の腹の間隔と同じ理屈です。
問6:正解 ②(解答番号17/配点4)
<問題要旨>
図4は円形波と平面波が広い範囲で重なったときの、ある瞬間のそれぞれの波の山の波面を示しています。点Qでは円形波と平面波が強めあって山の頂点ができています。この頂点は時間とともに移動しますが、点Qの後に通過する点をア〜オの5点から選ぶ設問です。ア〜エはQのある縦線の1本左どなりの縦線上に並び、オはQと同じ縦線上でQの1つ外側の円との交点です。
<考え方>
山の頂点は「円形波の山と平面波の山が交わる点」です。円形波の山は時間とともに半径がvtだけ大きくなり、平面波の山は−x方向へvtだけ進みます。だから、Qをつくっている2つの波面を同じ時間だけ動かし、その新しい交点を図の上で探せばよいことになります。
Qを通る平面波の山を x = x₀、Qを通る円形波の山の半径を r₀ とする。 図4では、円形波の山は r₀ − λ、r₀、r₀ + λ、r₀ + 2λ、… と λ 刻み、 平面波の山も x₀ − λ、x₀、x₀ + λ、… と λ 刻みに並んでいる。 時間 t(波が進む距離 s = vt)だけたつと 円形波の山の半径 r₀ + s 平面波の山の位置 x = x₀ − s 交点の座標は x = x₀ − s y² = (r₀ + s)² − (x₀ − s)² = (r₀² − x₀²) + 2(r₀ + x₀)s s が増えると x は減り、y² は増える → 頂点は左上へ動く(右や下へは動かない) s = λ のとき x = x₀ − λ … Qの縦線の1本左どなりの縦線 半径 = r₀ + λ … Qの円の1つ外側の円 図4の5点を、この2つの条件で照合する ア(x₀ − λ、r₀ + 2λ)… 円が2つ外側。縦線が1本ぶんしか動いていないので不可 イ(x₀ − λ、r₀ + λ) … 両方1つぶん動いている → 適合 ウ(x₀ − λ、r₀) … 円が広がっていない(平面波だけ動かした位置)ので不可 エ(x₀ − λ、r₀ − λ) … 円が内側に縮むことはないので不可 オ(x₀、r₀ + λ) … 平面波の山が動いていないので不可 よって ②
交点の軌跡は y² = (r₀ + x₀)(r₀ + x₀ − 2x)、すなわち原点Oを焦点とし直線 x = r₀ + x₀ を準線とする放物線になります。「円形波の波源を焦点とする放物線にそって山の頂点が動く」と覚えておくと、図の上でも進む先の見当がつきます。
第4問(必答) 荷電粒子の運動(平行板内の放物運動と一様磁場中の等速円運動)
装置1(平行な極板がつくる一様電場)と装置2(紙面に垂直な一様磁場)を組み合わせ、電気量が負の荷電粒子の放物運動と等速円運動を追う大問です。配点は25点。電気量が負であることが、電位の高低とローレンツ力の向きの両方で効いてきます。
問1:正解 ③(解答番号18/配点5)
<問題要旨>
装置1は、抵抗器と直流電源が接続された平行な極板A・Bからなり、極板の間隔はd、極板間には強さEの一様な電場が生じています。極板Bには距離Lだけ離れて2つの小さな穴があいています。質量m、電気量−e(e > 0)、速さv₀の荷電粒子を極板Bの一方の穴から極板Bと45°の角をなす向きに入射させると、放物線を描いてもう一方の穴から飛び出しました。直流電源の電圧の大きさ(ア)と、極板Aに比べた極板Bの電位の高低(イ)の組合せを選ぶ設問です。
<考え方>
平行な極板はコンデンサーで、直流では充電が終われば電流が流れません。電流が0なら抵抗器の両端の電圧降下も0なので、電源の電圧はそのまま極板間の電圧になります。電位の高低は「粒子にはたらく力の向き → 電場の向き → 電位が下がる向き」の順にたどるのが確実です。
【ア】定常状態では極板(コンデンサー)に電流が流れない 抵抗器の電圧降下 = 抵抗値 × 0 = 0 → 電源の電圧 = 極板間の電圧 = E × d = Ed 【イ】粒子は極板Bから出て放物線を描き、また極板Bに戻る → 静電気力は極板Aから極板Bへ向かう向き 電気量は −e(負)なので、力と電場の向きは逆 → 電場は極板Bから極板Aへ向かう向き 電場は電位の高い側から低い側を向く → 極板Bの方が電位が高い ア = Ed である、 イ = 高い よって ③
「抵抗器があるのだから電圧降下があり、電源の電圧はEdより大きい(または小さい)」と考えたくなりますが、コンデンサーに定常電流は流れないので降下は0です。また、電気量が負の粒子では電場の向きと力の向きが逆になるので、イで「低い」を選ばないように図に矢印を書き込んで確かめてください。
問2:正解 ⑦(解答番号19/配点5)
<問題要旨>
荷電粒子が極板間に入射してから飛び出すまでに、静電気力が荷電粒子にした仕事を表す式または数値を選ぶ設問です。飛び出した直後の速度は、大きさv₀で極板Bと45°の角をなす向きであることが問題文に示されています。
<考え方>
仕事は「力 × 力の向きの変位」です。静電気力は極板に垂直な向きで一定なので、入射点と飛び出し点の高さの差だけを見れば決まります。仕事とエネルギーの関係から運動エネルギーの変化を見ても同じ結論になります。
入射点も飛び出し点も、どちらも極板B上にある → 静電気力(極板に垂直な向き)の向きの変位 = 0 → 仕事 = 力 × 0 = 0 【別解】仕事とエネルギーの関係 入射時の速さ v₀ 飛び出し直後の速さ v₀(問題文に明記) 仕事 = 運動エネルギーの変化 = (1/2)mv₀² − (1/2)mv₀² = 0 よって ⑦
途中では粒子は減速して最高点に達し、そこから加速して戻ってきます。行きで負の仕事、帰りで正の仕事をして合計が0になる、という打ち消しが起きています。「放物線を描いた=仕事をした」と早合点せず、始点と終点の位置を見比べる習慣をつけましょう。
問3:正解 ③(解答番号20/配点5)
<問題要旨>
極板間の電場の強さEを、入射の速さv₀(と質量m、電気量の大きさe、2つの穴の距離L)で表す式を選ぶ設問です。
<考え方>
極板に平行な向きには等速、垂直な向きには等加速度の運動なので、斜方投射とまったく同じです。45°で打ち出して同じ高さに戻るまでの「水平到達距離」がLに等しい、という式を立てます。
極板に垂直な向きの加速度の大きさ a = (静電気力)/(質量)= eE/m 45°で打ち出した斜方投射の水平到達距離 L = v₀²·sin(2 × 45°)/a = v₀²/a 【導出】速度成分は 平行 v₀cos45° = v₀/√2、垂直 v₀sin45° = v₀/√2 飛行時間 t = 2 × (v₀/√2)/a = √2·v₀/a L = (v₀/√2) × t = (v₀/√2) × √2·v₀/a = v₀²/a したがって L = v₀²/(eE/m) = m·v₀²/(eE) E = m·v₀²/(eL) 【検算】次元は(質量 × 速さ²)/(電気量 × 長さ)= 力/電気量 電場の単位 N/C と合っている。 よって ③
45°という角のおかげで sin(2 × 45°) = 1 となり、最後に√2が残りません。選択肢に√2つきの式が並ぶのは、速度成分や飛行時間の√2を消しきれなかったときの答えです。
問4:正解 ⑧(解答番号21/配点5)
<問題要旨>
装置2は紙面に垂直な一様磁場が存在する領域(図3の灰色部分)です。装置1から飛び出した質量m、電気量−eの荷電粒子が、境界面に対して垂直な向きに点Pから入射し、紙面内を等速円運動して点Rから飛び出します。PからRの軌跡上の中間地点をQとして、Qで荷電粒子が受ける力の向き(ウ、図3のa〜dの矢印)と、磁場の向き(エ、表から裏/裏から表)の組合せを選ぶ設問です。図3でa・cは水平(左・右)、b・dは鉛直(下・上)の矢印です。
<考え方>
等速円運動では、力はつねに円の中心を向きます。Pで境界に垂直に入り、Rから垂直に出るので軌跡は半円で、円の中心はPRの中点(境界上)にあります。Qは半円の最下点なので、Qから中心を見る向きが力の向きです。磁場の向きは、その力の向きとQでの速度の向き、そして電気量が負であることから決まります。
【ウ】PとRはどちらも境界(領域の上側の直線)上にあり、軌跡は半円 → 円の中心はPRの中点で、Qの真上にある Qでの力は円の中心を向く(向心力)→ 上向き = d 【エ】Qでの速度は境界に平行、P(左)→ Q → R(右)と進むので右向き 磁場が「裏から表」(紙面から手前へ出る向き)だと仮定すると 正の電荷が右向きに動く場合の力は 下向き この粒子の電気量は −e(負)なので、力は逆向きの 上向き これはウで求めた上向きと一致する → 磁場は 裏から表 【確認】磁場が「表から裏」なら、同じ手順で力は下向きになり、 半円が境界より上側にふくらむことになって図3と合わない。 ウ = d、 エ = 裏から表 よって ⑧
負電荷では電流の向きが速度の向きと逆になります。フレミングの左手の法則を使うなら、速度と逆向きを電流の向きとして当てはめてください。この反転を忘れると⑦(dと表から裏)を選んでしまいます。Qが半円の最下点であること(力は上向き)はほぼ図から読めるので、実質は磁場の向きの2択です。
問5:正解 ①(解答番号22/配点5)
<問題要旨>
電場と磁場を同じ強さと向きに保ったまま、質量m′で同じ電気量−eの荷電粒子を入射させます。装置1に入射した荷電粒子が装置2に入射するまで、質量mの荷電粒子と同じ軌道を描くように、装置1への入射速度の大きさだけを調整します。この粒子が磁場から飛び出す位置を点R′とするとき、PR′の長さはPRの長さの何倍かを選ぶ設問です。
<考え方>
二段構えです。まず「装置1で同じ軌道を描く」条件から新しい入射の速さを求めます。入射角が45°で共通なので、放物線の形は(加速度)/(速さの2乗)だけで決まり、水平到達距離がLに一致する条件がそのまま軌道一致の条件になります。次に磁場中の円運動の半径の式を使い、PR = 2r(半円の直径)の比をとります。
【装置1で同じ軌道になる条件】 新しい入射の速さを u、加速度を a′ = eE/m′ とすると、 問3と同じ計算で 水平到達距離 = u²/a′ = m′·u²/(eE) これが L = m·v₀²/(eE) と等しい m′·u² = m·v₀² u = v₀·√(m/m′) 【磁場中の半円の直径】 半径 r = (質量)×(速さ)/(e × 磁束密度の大きさ B) 質量 m の粒子 PR = 2 × m·v₀/(eB) 質量 m′ の粒子 PR′ = 2 × m′·u/(eB) 比をとると(B も e も共通なので消える) PR′/PR = m′·u/(m·v₀) = m′ × √(m/m′)/m = √(m·m′)/m = √(m′/m) 【検算】m′ = m なら 1 倍。 m′ を4倍にすると u は 1/2 倍、(質量 × 速さ)は 2 倍で、√4 = 2 倍と合う。 よって ①
「速さを調整して同じ軌道にする」のですから、装置2へ入る速さはv₀ではなく u = v₀√(m/m′) になります。速さをv₀のままにして半径の比を質量の比だと考えると③(m′/m)を選んでしまいます。装置1内で静電気力がした仕事は0(問2)なので、飛び出す速さは入射の速さuに等しいことも押さえておきましょう。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

