2025年度 大学入学共通テスト 追試験 物理 解答・解説

2025年度 大学入学共通テスト 追試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
スポンサーリンク

解答

解説

2025年度(令和7年度)大学入学共通テスト追試験「物理」の全4大問・23設問について、解答と考え方をまとめました。100点満点・全問必答、試験時間60分。

第1問は力学・波動・電磁気・原子を横断する小問集合、第2問は弾性衝突とスイングバイ、第3問はA球面鏡・B気体の状態変化、第4問は光電効果です。第2問が白眉で、「壁に弾んだボールが速くなる」という高校1年生でも理解できる話から出発して、探査機が燃料を使わずに √3 倍に加速される仕組みまで一本の筋で説明しきる構成になっています。

第3問Bの最後(問6)は、断熱圧縮と等温圧縮を「同じ力で押したときどちらが縮むか」で比べる問題。pV^γ 一定と pV 一定の違いが効いてくるところで、思考力が問われます。

第1問(必答) 小問集合

円すい面内の等速円運動、薄膜干渉、風のあるドップラー効果、コイルにはたらく力、水素原子のスペクトル。分野を横断する5問です。配点25点。

問1(解答番号 1・2) 円すい面内の等速円運動

<考え方>
小物体は円すいの内側にあるので、垂直抗力 N は面に垂直で「軸の向き+上向き」を向きます。鉛直方向のつりあいと水平方向の運動方程式を立てます。

鉛直:N cos θ = mg → N = mg/cos θ
水平(向心):N sin θ = m v²/r
→ m v²/r = mg tan θ

v = 2πr/T を代入すると
4π²r²/T² = g r tan θ
r = (g tan θ /4π²)·T²

1 = ③(mg tan θ)、2 = ④(2)

問2(解答番号 3) 薄膜干渉

<考え方>
1<n₁<n₂ なので、境界面Ⅰ(空気→薄膜)でも境界面Ⅱ(薄膜→ガラス)でも屈折率の小さい側から大きい側へ入射する反射。どちらも位相が π ずれます。

Ⅰ,Ⅱともに π ずれる → (c)
両方ずれるので位相差は実質0
光路差 2n₁d が半波長の奇数倍で打ち消し合う
2n₁d = λ/2 → 最小の d = λ/(4n₁) → (f)

3 = ⑥((c)と(f))

問3(解答番号 4) 風があるときのドップラー効果

<考え方>
風は媒質そのものの流れなので、変わるのは音の伝わる速さです。音源から観測者へ u_w の風が吹くとき、音の速さは V+u_w になります。

f' = (V + u_w − v_o)/(V + u_w − v_s) · f

4 = ①(音/(V+u_w−v_o)/(V+u_w−v_s)·f)

問4(解答番号 5) コイルが磁場から受ける力

<考え方>
領域1にある辺 RS(x=正の縦の辺)だけが x 方向の力を生みます(上下の辺の力は逆向きで打ち消し合う)。領域2を加えると、こんどは辺 QP が逆向きの電流なので力の向きが反転します。

領域1のみ:F = I L B(x軸正の向き)
領域2を追加:辺QPの電流は辺RSと逆向き
合力 = F − I L B₂ = −2F
→ I L B₂ = 3F → B₂ = 3B
向きは領域1と同じ z 軸の正の向き

5 = ③(z 軸の正の向き,3B)

問5(解答番号 6) 水素原子のバルマー系列

<考え方>
ch/λ_m = E_m − E₂ を立て、1/λ_m を m で表してから比をとります。λ は (1/4 − 1/m²) に反比例することに注意。

ch/λ_m = E_m − E₂ = Rch(1/2² − 1/m²)
1/λ_m = R(1/4 − 1/m²)

λ₃/λ₄ = (1/4 − 1/4²) / (1/4 − 1/3²)
    = (1/4 − 1/16) / (1/4 − 1/9)
    = (3/16) / (5/36)
    = (3/16) × (36/5) = 27/20

6 = ⑤(27/20)

第2問(必答) 弾性衝突とスイングバイ

二つのボールの弾性衝突から出発し、そのしくみが探査機のスイングバイ(惑星の重力を使った加速)と同じであることを確かめる、構成の美しい問題です。配点25点。

問1(解答番号 7) 弾性衝突の式

<考え方>
弾性衝突では相対速度が反転します(反発係数1)。運動量保存は「衝突前の和=衝突後の和」。

弾性衝突:v − V = −(v' − V')
運動量保存:mv + MV = mv' + MV'

7 = ⑥

問2(解答番号 8) 衝突後のBの速さ

<考え方>
v’ = −v + 2V に V>v>0 を当てはめます。

v' = 2V − v > 2v − v = v > 0
|v'| = 2V − v > v = |v|

8 = ①(大きくなる)

問3(解答番号 9) 衝突前のAが止まって見える系

<考え方>
速度 V で動く観測者から見ると、A は止まって見えます。これは「固定された壁に B が弾性衝突する」のと同じ状況です。

u_r' = v' − V = (−v + 2V) − V = V − v = −(v − V) = −u_r
u_r = v − V < 0(V > v より)
→ −u_r > 0 で x 軸の正の向き

9 = ①(−u_r/x 軸の正の向き)

問4(解答番号 10) 惑星から見た探査機の速さ

<考え方>
万有引力による位置エネルギーは U(r)=−GMm/r。U_Q=−GMm/r_Q から GMm を消去して、任意の r での U を U_Q で表します。

GMm = −U_Q r_Q
U(r) = −GMm/r = (r_Q/r)U_Q
E_Q = ½mu² + U(r)
u = √{ (2/m)( E_Q − (r_Q/r)U_Q ) }

10 = ③

問5(解答番号 11) スイングバイによる加速

<考え方>
v⃗=u⃗_r+V⃗、v⃗′=u⃗_r′+V⃗ をそれぞれ成分で書きます。|u⃗_r|=|u⃗_r′|=|V⃗|=u、θ=θ′=60°。P では u⃗_r が左上向き、R では u⃗_r′ が右上向きであることに注意します。

u⃗_r = u(−cos60°, sin60°) = u(−1/2, √3/2)
v⃗ = u⃗_r + V⃗ = u(1/2, √3/2) → |v⃗| = u

u⃗_r′ = u(cos60°, sin60°) = u(1/2, √3/2)
v⃗′ = u(3/2, √3/2) → |v⃗′| = u√(9/4+3/4) = √3 u

11 = ⑦(√3) 燃料を使わずに √3 倍に加速できる

第3問(必答) A 球面鏡/B 気体の状態変化

Aは凹面鏡の像(実像・虚像と倍率)、Bは定積変化・定圧変化・断熱変化と等温変化の比較。配点25点。

問1(解答番号 12) a>f のときの像

<考え方>
1/a+1/b=1/f で a>f のとき 1/b=1/f−1/a>0 なので b>0。b>0 は鏡の前(物体側)に像ができるということで、実像です。

1/b = 1/f − 1/a > 0 → b > 0(実像)
凹面鏡で a > f のときは倒立実像

12 = ⑤(倒立した実像,b > 0)

問2(解答番号 13) 0<a<f のときの像

<考え方>
今度は 1/f−1/a<0 になります。

1/b = 1/f − 1/a < 0 → b < 0(虚像)
凹面鏡で a < f のときは正立虚像(拡大鏡と同じ)

13 = ④(正立した虚像,b < 0)

問3(解答番号 14) 倍率 m と物体の位置 a の関係

<考え方>
b を a で表してから m=|b/a| を計算し、a→0、a→f、a→∞ の3つの極限で形を絞り込みます。

b = af/(a − f)
m = |b/a| = |f/(a − f)|

a → 0 :m → 1
a → f :m → ∞
a → ∞:m → 0

14 = ④(a=0 で m=1 から立ち上がり、a=f で発散、その後 0 に近づくもの)

問4(解答番号 15) ピストン固定(定積変化)

<考え方>
体積一定なので気体は仕事をしません。単原子分子理想気体の定積モル比熱は (3/2)R です。

Q = (3/2)nRΔT → ΔT = (2/3)·Q/(nR)

pV = nRT で V = Sx(一定)
Δp·Sx = nRΔT = (2/3)Q
Δp = (2/3)·Q/(Sx)

15 = ⑤

問5(解答番号 16) ピストンがなめらかに動く(定圧変化)

<考え方>
ピストンが軽くなめらかなので、気体の圧力は大気圧 p に保たれます。定圧モル比熱は (5/2)R。

状態方程式:pS(x + Δx) = nR(T + ΔT)

Q = (5/2)nRΔT → ΔT = (2/5)·Q/(nR)
pSΔx = nRΔT = (2/5)Q
Δx = (2/5)·Q/(Sp)

16 = ⑦

問6(解答番号 17) 断熱圧縮と等温圧縮の比較

<考え方>
(i)は断熱、(ii)は等温。等温では内部エネルギーは変わりません。同じ力=同じ最終圧力まで圧縮したときの体積変化を比べます。

(i) 断熱圧縮:温度上昇 → |ΔU| > 0
(ii) 等温:ΔU′ = 0
→ |ΔU| > |ΔU′|

最終圧力 p_f は共通(同じ力・同じ断面積)
(i)  pV^(5/3) 一定 → V_i = V₀(p₀/p_f)^(3/5)
(ii) pV 一定    → V_ii = V₀(p₀/p_f)
p₀/p_f < 1 なので (p₀/p_f)^(3/5) > p₀/p_f
→ V_i > V_ii((i)の方が縮みが小さい)

17 = ①(|ΔU|>|ΔU′|/(i)の方が小さい)

第4問(必答) 光電効果

平行平板に逆向きの電圧をかけ、光電流が流れなくなる限界電圧からプランク定数と仕事関数を読み取る、光電効果の王道問題。配点25点。

問1(解答番号 18) 極板間の電位のグラフ

<考え方>
極板 A は接地(電位0)。A から B へ向かう電子が減速するということは、電子(負電荷)にとって B 側の電位が低いということです。電場が一様なので電位は一次関数。

極板 A:電位 0
極板 B:電位 −V
一様な電場 → 電位は x の一次関数

18 = ④

問2(解答番号 19) 静電気力のする仕事

<考え方>
光電子は減速しているので、静電気力は運動を妨げる向きに働いています。仕事は負です。

W_e = (−e)·(V_B − V_A) = (−e)(−V − 0) … ではなく
電子は電位の高い側から低い側へ動くので
W_e = −eV < 0

19 = ⑤(W_e < 0)

問3(解答番号 20) 極板Bに到達する直前の速さ

<考え方>
エネルギー保存(仕事とエネルギーの関係)をそのまま書きます。

½mv² = ½mv₀² + W_e = ½mv₀² − eV
v² = v₀² − 2eV/m
v = √(v₀² − 2eV/m)

20 = ⑥

問4(解答番号 21) 運動エネルギーの最大値を決めるもの

<考え方>
光電効果の基本式 K_max = hν − W を見ます。ν は波長で決まり、W は金属の種類で決まります。光の強さは光子の「個数」を変えるだけで、1個あたりのエネルギーは変えません。

K_max = hν − W = hc/λ − W
(a) 金属の種類 → W に効く ○
(b) 光の強さ  → 光子の個数(光電流の大きさ)に効くだけ ×
(c) 波長     → ν に効く ○

21 = ⑤((a)と(c))

問5(解答番号 22・23) グラフの傾きと仕事関数

<考え方>
限界電圧(阻止電圧)V は eV=hν−W を満たします。V を ν の関数として書けば直線になります。

eV = hν − W
V = (h/e)ν − W/e
→ 傾き = h/e

h/e = 6.6×10⁻³⁴ / 1.6×10⁻¹⁹ = 4.1×10⁻¹⁵ V·s
グラフの点(例:ν = 1.5×10¹⁵ Hz,V ≒ 1.45 V)から
W/e = (h/e)ν − V ≒ 6.2 − 1.45 ≒ 4.7 V
W ≒ 4.7 × 1.6×10⁻¹⁹ ≒ 7×10⁻¹⁹ J

22 = ⑤(h/e)、23 = ④(7×10⁻¹⁹ J)

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

スポンサーリンク
投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
スポンサーリンク
目次