2019年度 大学入試センター試験 本試験 国語 解答・解説

2019年度 大学入試センター試験 本試験「国語」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2019年度(平成31年度)大学入試センター試験本試験「国語」の全4大問・26設問について、解答と考え方をまとめました。試験時間80分・200点満点、各大問50点の配点です。

第1問は沼野充義の翻訳論、第2問は上林暁「花の精」、第3問は『玉水物語』、第4問は杜甫が叔母を悼んだ墓碑銘。第3問・第4問はいずれも「身内でない相手に尽くす」という主題が響き合っており、通して読むと印象に残る構成になっています。

※ 著作権に配慮し、本文(問題文)の引用は行っていません。問題冊子をお手元にご用意のうえお読みください。

第1問 評論(沼野充義「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」)

翻訳という営みを「不可能でありながら試みずにはいられないもの」として捉え直す評論。設問は漢字・傍線部説明・生徒の対話・表現と構成の四タイプで、標準的なセンター評論の構成です。配点50点。

問1 漢字(解答番号1〜5・各2点) 正解 ③②④③②

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(オ)のカタカナと同じ漢字を含むものを、各群の①〜⑤から一つずつ選ぶ。

<考え方>
(ア)タンネン=丹念 → ③ 丹精
(イ)バクゼン=漠然 → ② 砂漠
(ウ)ヒビく=響く → ④ 影響
(エ)ヒンシュツ=頻出 → ③ 頻繁
(オ)アットウ=圧倒 → ② 傾倒

いずれも高校必修レベルの熟語。まず傍線部を漢字に直し、それから選択肢を一つずつ当てはめるのが確実です。「ヒビく」のように訓読みの語は、音読みの熟語(影響)に直してから考えると迷いません。

問2 傍線部A(解答番号6・8点) 正解 ④

<問題要旨>
「翻訳家とはみなその意味では楽天家なのだ」とはどういうことかを説明する問題。

<考え方>
直前の「その意味では」が指す内容を押さえるのが第一歩です。筆者は、原文と訳文のあいだには本質的な隔たりがあり、完全な移し替えは原理的に不可能だと述べたうえで、それでも翻訳家は訳し続けると言っています。つまり「楽天家」とは、言語や文化的背景がどれほど異なる作品であっても、読者に何とか理解される翻訳は可能だと信じているということ。

「楽天家」という語のマイナスの語感に引かれて、②や⑤のような「安易さ・無自覚さ」を責める方向の選択肢を選ばないこと。ここでの「楽天家」は、不可能を承知でなお信じるという肯定的な評価です。正解は④。

問3 傍線部B(解答番号7・8点) 正解 ②

<問題要旨>
「これはむしろ翻訳を回避する技術なのかも知れない」の理由を説明する問題。

<考え方>
「これ」は、原語の意味を日本語として自然な近似的表現に置き換えるやり方を指します。筆者はそれを便利な技術と認めつつ、「翻訳を回避する」と言う。

つまり、近似的な言い換えによってこなれた訳文は得られるが、日本語としての自然さを優先するあまり、よりふさわしい訳語を探すという困難な作業に向き合わずに済ませてしまうということ。②が正解。

「回避」という語が何を回避しているのかを本文から特定できれば一本道です。①③④⑤はいずれも「困難に向き合わない」という核心を外しています。

問4 傍線部C(解答番号8・8点) 正解 ②

<問題要旨>
「正しいか、正しくないか……という言語哲学の問題に行き着く」の説明。

<考え方>
筆者が挙げているのは、原文を日本語として自然に読めるように訳すべきか、それとも原文の意味や構造に忠実であるべきか、という二つの立場の対立です。これは個々の訳語選択の巧拙ではなく、そもそも翻訳の「正しさ」とは何かという原理的な問いであり、だから「言語哲学の問題」なのです。正解は②。

選択肢を見比べるときは、「原文への忠実さ」と「日本語としての自然さ」という二項対立が明示されているかどうかを基準にすると絞り込めます。

問5 生徒の対話(解答番号9・8点) 正解 ②

<問題要旨>
本文を読んだ六人の生徒の発言のうち、本文の趣旨と異なるものを一つ選ぶ。

<考え方>
生徒Bの「時代や文化の違いをなるべく意識させずに読者に理解させることが翻訳の仕事の基本だ」という発言が、筆者の趣旨と食い違います。筆者はむしろ、異質さを消して読みやすくすることの危うさ(問3の「翻訳を回避する技術」)を指摘していました。正解は②。

「趣旨と異なるもの」を選ぶ設問では、本文に書かれていないことではなく本文と逆向きのことを探すのが鉄則。残りの発言はすべて本文のどこかに根拠が置けます。

問6(ⅰ) 表現(解答番号10・4点) 正解 ④

<問題要旨>
本文の表現に関する説明として適当でないものを選ぶ。

<考え方>
第12段落の「あの時の少年は一体どんなことを考えただろうか」について、④は「過去の自分が考えたことを回想し、当時を懐かしむ感情を表している」とします。しかしこの一文は、当時の自分の内面がもはや分からないという距離を示すもので、「懐かしむ」という情緒とは異なります。正解は④。

①(「こう」の先行提示による注意喚起)②(「する」を打ち消して「試みる」に言い換える強調)③(「ガイジン」のカタカナ表記による子供時代の感覚の再現)はいずれも妥当です。

問6(ⅱ) 構成(解答番号11・4点) 正解 ②

<問題要旨>
空白行で四つに分けられた本文の構成について、最も適当な説明を選ぶ。

<考え方>
②は、2番目の部分(第5〜9段落)を「「翻訳不可能」な具体例を示して問題点を明確にし、「言い換え」という別の手法を示して論を広げている」と説明しており、本文の流れと一致します。正解は②。

①は「支持する立場を一方に確定させている」が誤り。筆者は最後まで一方に確定させません。③の「現在の職業に就くことになったきっかけの紹介」、④の「結論を読者の判断に委ねている」もいずれも本文とずれます。構成問題では各部分の役割を一語で言えるかを確認してから選択肢に当たりましょう。

第2問 小説(上林暁「花の精」)

妻が入院中の「私」の家に、夫を亡くした妹が身を寄せている。庭の月見草を庭師に抜かれた喪失から、多摩川べりで見た一面の月見草へ——という、静かな心の回復を描いた小説。配点50点。

問1 語句の意味(解答番号12〜14・各3点) 正解 ③①②

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の本文中における意味として最も適当なものを選ぶ。

<考え方>
(ア)「お手のもので」=③ 得意としていて
郷里で農作業をしていた妹にとって畝を切る作業は手慣れたもの、という文脈。「腕がよくて」(②)は技量の高さに寄りすぎで、「慣れていて得意だ」という語義を外します。

(イ)「肚を決めた」=① 気持ちを固めた
「肚を決める」は決心する意。④「覚悟を示した」は他者に示す動作になってしまい不適。

(ウ)「目を見張っていた」=② 感動して目を見開いていた
一面の月見草に心を打たれる場面。「目を見張る」は驚きや感動で目を大きく開くこと。④「集中して目を凝らしていた」は注視の意で別語です。

問2 傍線部A(解答番号15・7点) 正解 ③

<問題要旨>
「自分だけ好いところを占領するのは気がひけたので、そこの一部を割いて、トマトを植えさせた」から読み取れる、妹に対する「私」の気持ちや向き合い方を説明する。

<考え方>
直前で妹は次々と苗を買ってきて畑を作り、手際よく畝を切っています。「私」はそこに妹が生気を取り戻す兆しを見て取る。一方で「私」自身も月見草を失った慰めを草花に求めている——つまり慰めを必要としているのは自分だけではない。だから陽あたりのよい場所を独占するのは悪いと考え、その一部を妹に譲るのです。正解は③。

「気がひけた」の理由を、①のような「後ろめたさ」一般ではなく、妹も自分と同じく慰めを求めているという認識にまで具体化できるかがポイントです。

問3 傍線部B(解答番号16・8点) 正解 ⑤

<問題要旨>
「それは、なんだかよろこばしい図であった。」と感じた理由を説明する。

<考え方>
O君は釣りに来た友人で、月見草には関心がないように見えていました。その人物が、大きな月見草の株を手いっぱいに抱えて川原から上がってくる。「私」はそこに、月見草への自分の思いをO君が汲み取ってくれていたのだという意外さとうれしさを感じます。正解は⑤。

③④はO君の行動の「手際よさ」「大胆さ」に焦点をずらしており、傍線部の「よろこばしい」という感情の中身を説明できていません。

問4 傍線部C(解答番号17・8点) 正解 ②

<問題要旨>
「突然私は病院にいる妻のことを思い出した」前後の「私」の心情を説明する。

<考え方>
暗く沈んでいたサナトリウムの建物に、ぽつりぽつりと灯がともりはじめる。その光景をきっかけに、離れた地で入院している妻のことが急に胸に浮かび、「私」はその不在を意識する。そして胸の中で「妻よ、安らかなれ」とつぶやく——その平穏を願う気持ちで胸がいっぱいになっているのです。正解は②。

①の「絶望的な思い」、⑤の「不安がふくらみ」は、この場面の静かな祈りの調子と合いません。「今日家を出てから、妻のことを思い出すのは初めてである」という一文は、罪悪感(④)ではなく不意に訪れた想起を示すものと読むのが自然です。

問5 傍線部D(解答番号18・8点) 正解 ①

<問題要旨>
「それはまるで花の天国のようであった」に至るまでの、月見草に関わる「私」の心の動きを説明する。

<考え方>
二段構えで整理します。
①是政の駅に戻る途中で見た、今咲いたばかりの月見草の群れ——どこまでも果てしなく広がるようで、自分の感傷を吹き飛ばすほどのものだった。
②武蔵境へ向かう車中、ヘッドライトに照らされて三方から現れては闇に消えていく一面の月見草——ここで「私」は、憂いや心労に満ちた日常から解放されるように感じます。
この二段階を過不足なく説明しているのが①。正解は①。

③の「月見草が復活するという確信」、④の「死後の世界のイメージ」はいずれも本文にない飛躍です。

問6 表現(解答番号19・20・各5点) 正解 ④・⑥

<問題要旨>
本文の表現に関する説明として適当なものを二つ選ぶ(順序は問わない)。

<考え方>
④ 44・45行目と60行目で月見草の匂いの有無が繰り返し話題になっており、それが終盤110行目「ぷんとかぐわしい香りがした」という嗅覚体験を際立たせる伏線として働いています。
⑥ 「窩をもった骸骨のように見え」「私を迎えるように頭を並べて咲き揃っている」という比喩が、「私」の心理(不安と、それが慰められること)を間接的に表しています。

誤りの理由も確認しておきましょう。①は妹を「快活な性格」とするのが本文と正反対。③は擬音語・擬態語の効果を「緊迫感」とするのが不適。⑤は短文の畳みかけを「次第に悪化していく過程」とするのが不適で、ここは疲労・寒さ・空腹を並列的に示しているだけです。②の体言止めも「印象深い記憶であったことを強調」とまでは言えません。

第3問 古文(『玉水物語』)

高柳の宰相家の姫君に恋をした狐が、十四、五歳の娘「玉水」に化けて姫君のそばに仕える——という異類恋愛譚。会話の主体と敬語の方向を追えるかどうかが得点を分けます。配点50点。

問1 語句の解釈(解答番号21〜23・各5点) 正解 ②④⑤

<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の解釈として最も適当なものを選ぶ。

<考え方>
(ア)「しづ心なく思ひ奉りけるこそあさましけれ」=②
「しづ心なし」は心が落ち着かないこと、「あさまし」は驚きあきれるさま。「気持ちが静まらずお慕いしたのは驚きあきれたことだ」。①「身のほどを知らず」④「判断なさった」など、語義にない要素が入る選択肢を切ります。

(イ)「いかにして」=④ なんとかして
下に願望の「〜ばや」が続く形。「なんとかして御そば近くに参って」という文脈で、疑問(②③)ではなく意志・願望を示します。

(ウ)「この人の御おぼえのほど」=⑤ この人の受けるご寵愛の深さ
「おぼえ」は主君からの寵愛・評判。姫君に寵愛される玉水を周囲がねたむ場面なので、⑤。④「ご記憶の確かさ」は現代語に引かれた誤り。

問2 敬語の方向(解答番号24・5点) 正解 ④

<問題要旨>
波線部a〜dの敬語が、それぞれ誰に対する敬意を示しているかの組合せを選ぶ。

<考え方>
a「見奉る」=姫君 謙譲語。見る対象=姫君への敬意。
b「候はば」=娘 丁寧語。養母が娘(玉水)に語りかけている場面なので、聞き手である娘への敬意。
c「侍るなり」=主の女房 丁寧語。今度は娘が養母(主の女房)に語る場面なので、聞き手である主の女房への敬意。
d「参らせ」=姫君 謙譲語。供御を差し上げる相手=姫君への敬意。

謙譲語は動作の受け手、丁寧語は聞き手——この二本の軸を立てたうえで、各波線部がどちらの会話の中にあるかを先に確定させるのが手順です。正解は④。

問3 傍線部A(解答番号25・7点) 正解 ⑤

<問題要旨>
「いたづらに消え失せなむこそうらめしけれ」における狐の心情を説明する。

<考え方>
「いたづらなり」は無駄だ・むなしい、「うらめし」は残念だの意。姫君を見初めた狐が、自分の身の有様を思い、獣の身のままむなしく死んでしまうのは残念だ、と嘆く場面です。正解は⑤。

①は「罪の報いを受けて死ぬ」と因果を作ってしまっている点が不適(罪の報いは「かかるけだものと生まれけむ」の理由として述べられているもの)。②「はやく消えてしまいたい」は逆向き。④「人間に化けるという悪行」はこの時点でまだ化けていないので不可。

問4 傍線部B(解答番号26・7点) 正解 ③

<問題要旨>
「この娘、つやつやうちとくる気色もなく、折々はうち泣きなどし給ふ」——娘がこのような態度を示した理由を説明する。

<考え方>
養母は娘を大切に思い、「もし思う相手がいるなら隠さず話しなさい」と慰めます。娘(狐)はそれに対し、人に見(まみ)えることなど思いもよらない、ただ美しい姫君のおそばで宮仕えがしたいのだ、と本題を切り出す。つまり打ち解けず泣いてみせるのは、自分の願いを養母に伝えるきっかけを作るためです。正解は③。

①「縁談を提案してくれるように誘導」は方向が逆。⑤「罪悪感」は後の展開を先取りしすぎです。

問5 狐が娘に化けた理由(解答番号27・8点) 正解 ①

<問題要旨>
狐が男ではなく娘の姿に化けた理由として最も適当なものを選ぶ。

<考え方>
本文で狐はこう考えます——「我、姫君に逢ひ奉らば、必ず御身いたづらになり給ひぬべし。父母の御嘆きといひ……」。つまり男として姫君と結ばれれば、姫君の身を損ない、その両親を嘆かせることになる。そこで、せめてそばに仕えられる美しい女の姿を選ぶのです。正解は①。

②の「養い親から大事に育てられる」、⑤の「噂を聞きつけて」はいずれも本文にない動機。傍線部の直前にある狐の内心の独白を根拠にできれば、迷わず①に決まります。

問6 玉水の姿(解答番号28・8点) 正解 ②

<問題要旨>
姫君との関係において、玉水のどのような姿が描かれているかを説明する。

<考え方>
五月雨の夜、ほととぎすの声に姫君が歌を詠みかけると、玉水は思わず「わが心の内」と口ごもってしまう。姫君はそれを聞きとがめ、「何事にかあらむ、心の中こそゆかしけれ。恋とやらむか」と、玉水の胸中を知りたがって戯れます。

姫君は、それが自分への恋心だとは思いもよらない。玉水は打ち明けられない思いを、当の相手本人から問われてしまうという切ない位置に置かれます。正解は②。

③「姫君の恋を応援しようとする」、④「殿上人の存在を感じ取ってしまう」はいずれも本文にない設定です。

第4問 漢文(杜甫「唐故万年県君京兆杜氏墓碑」)

詩人杜甫が、幼少期に自分を育ててくれた叔母の死を悼んで書いた墓碑銘。叔母は病の床で、自分の子と甥の杜甫の寝場所を入れ替え、結果として我が子を失った——その「義」を称える文章です。配点50点。

問1 語の意味(解答番号29・30・各4点) 正解 ③④

<問題要旨>
二重傍線部(ア)「対」・(イ)「乃」のここでの意味を選ぶ。

<考え方>
(ア)「対」=③ こたえて
「甫泣而対曰」=甫泣きて対へて曰はく。「対曰」は漢文の定型で「お答えして申し上げるには」。問いを受けての返答なので「こたえて」。

(イ)「乃」=④ やっと
「後乃知之於走使」=後に乃ち之を走使に知る。叔母が寝場所を取り替えていたという事実を、杜甫は後になってようやく使用人から知った、という文脈。「乃」は「そこで・やっと・なんと」など幅のある字ですが、直前の「後」と呼応させて時間的な遅れを読むのがここでの決め手です。

問2 傍線部A(解答番号31・7点) 正解 ②

<問題要旨>
「奚孝義之勤若此」から読み取れる杜甫の状況を説明する。

<考え方>
或る人が「あの孝童(杜甫の叔父・杜并)の甥御さんですね。どうしてこれほどまでに孝義に努めるのか」と問いかける場面。喪に服し、徳を記し、石に刻む——そこまでするのはなぜか、という驚きです。

この問いが成り立つ前提は、杜甫にとって亡くなったのは実の母ではなく叔母であるという点。それでも孝行を尽くしている、というのが読み取れる状況です。正解は②。

①の「若いにもかかわらず」、⑤の「困窮した叔母」は本文にない情報。傍線部の「孝義之勤」が誰に向けられたものかを確定させれば選べます。

問3 傍線部B(解答番号32・7点) 正解 ⑤

<問題要旨>
「非敢当是也」——「とんでもないことです」と杜甫が語る理由を説明する。

<考え方>
傍線部の直後に「亦為報也」(また報ゆるが為なり)と続きます。つまり杜甫は、これは孝行と呼ばれるようなものではなく、受けた恩に報いているだけだと言っているのです。正解は⑤。

この直後に語られるのが、叔母が我が子と杜甫の寝場所を取り替えた一件。「報」の中身がその恩であることまで見通せると確信をもって選べます。①「謙虚でありたい」は理由を一般化しすぎ、④「孝行する機会を永遠に失った」は「報」の語を説明できていません。

問4 傍線部C(解答番号33・6点) 正解 ③

<問題要旨>
「処楹之東南隅者吉」の書き下し文とその解釈の組合せを選ぶ。

<考え方>
書き下し文 楹(はしら)の東南隅に処(を)る者は吉なり
解釈 柱の東南側にいると、運気が良くなります

「処」は「をる(居る)」と読む自動詞で、「処分する」「立てる」ではありません。「者」は「〜する者は」と主語を受ける形。この二点を押さえれば③に決まります。

この託宣を受けて叔母は「子の地を易へて以て我を安んず」——我が子と杜甫の寝場所を入れ替えるわけで、続く展開とも矛盾なくつながります。正解は③。

問5 傍線部D(解答番号34・7点) 正解 ⑤

<問題要旨>
「我用是存、而姑之子卒」の説明として最も適当なものを選ぶ。

<考え方>
「我は是を用て存し、而して姑の子は卒す」——私はそのおかげで生き延び、叔母の子は亡くなった。「是」は直前の、叔母が寝場所を取り替えたことを指します。正解は⑤。

「卒」は死去する意。①は主語を取り違えて「叔母の子は命を落とした」原因を女巫の祓いに帰しており、②③④はいずれも「子が亡くなった」という事実を弱めています。「存」と「卒」の対比が傍線部の骨格です。

問6 傍線部E(解答番号35・7点) 正解 ②

<問題要旨>
「県君有焉」(県君=叔母にもそれがある)の説明を選ぶ。

<考え方>
直前で引かれるのが魯の義姑の故事。郊外で暴徒に遭遇した際、抱いていた我が子を棄て、手を引いていた兄の子を抱いて逃げた——「以て私愛を割く」(私情を断ち切った)という行いです。

叔母もまた、我が子を危うい場所に移してまで甥の杜甫を救った。だから「義」と呼べる。正解は②。

①「一族の跡継ぎを重んじる考え方に反発」④「愛する実子を失ったことを黙っていた」は、いずれも「私愛を割く」という故事との対応を外しています。引用された故事のどこが叔母と重なるのかを一点に絞れるかが勝負です。

問7 傍線部F(解答番号36・8点) 正解 ③

<問題要旨>
「銘而不韻、蓋情至無文」についての説明として最も適当なものを選ぶ。

<考え方>
「銘にして韻せず、蓋し情至れば文(かざり)無し」——銘でありながら韻を踏んでいない。思いが極まったときには飾りなど無いからだ、というのです。(注13にある通り、銘は通常は修辞として韻を踏みます。)

つまり杜甫は、うわべを飾るのではなく真心のこもったことばを捧げようとして、あえて韻を踏まなかった。正解は③。

④「巧みな韻文に整えられなかった」、⑤「短くしたため」は、いずれも「情至無文」を技術上の都合や分量の問題にすり替えています。「文」を「文章」ではなく「飾り」と読めるかが分かれ目です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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