2021年度 大学入学共通テスト 本試験「生物」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2021年度(令和3年度)大学入学共通テスト 本試験「生物」の全問解説です。第1問14点・第2問15点・第3問12点・第4問13点・第5問27点・第6問19点で、あわせて100点満点。すべて必答で、解答番号は1〜27です。第5問と第6問はA・Bの2つの文章に分かれているため、この記事もA・Bごとに見出しを分けています。実験の対照区の置き方や、グラフから数値を読んで計算する設問が多いのが特徴です。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と手順が開きます。まちがえた設問だけを選んで確認してください。
第1問 ラクターゼ遺伝子と乳糖不耐(遺伝子頻度・遺伝子発現・自然選択)
小問4題で14点。問2はハーディ・ワインベルグの法則の基本計算、問4は表と2つの実験から「どちらが祖先型か」を突き止める設問です。実験3の「近縁種のゲノムを調べる」という手続きが、祖先型の決定に直結しています。
問1:正解 ①(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
下線部(a)「乳糖を消化しきれずに下痢をする」仕組みを説明した文章中の ア(グルコースをどう輸送するか)と イ(大腸内の細菌による発酵で生じるもの)に入る語句の組合せを選びます。
<考え方>
アは「濃度にかかわらず取り込む」という記述が決め手です。濃度勾配に逆らって運べるのはどちらの輸送かを考えます。イは発酵で出る気体を思い出します。
【ア 能動輸送か受動輸送か】 受動輸送 濃度の高いほうから低いほうへ 濃度勾配に従うので 低濃度側から取り込むことはできない 能動輸送 ATP のエネルギーを使い 濃度勾配に逆らって運べる 問題文「小腸管内の濃度にかかわらず 取り込む」 → 能動輸送 ア = 能動 【イ 発酵で生じる気体】 大腸の細菌が乳糖を発酵で代謝 → 二酸化炭素が発生 発酵は酸素を使わない反応なので 酸素が「生じる」ことはない イ = 二酸化炭素 よって ①
問2:正解 ③(解答番号2/配点4)
<問題要旨>
L無の成人の頻度が 0.16 の集団で、ヘテロ接合の頻度を求めます(対立遺伝子は二つだけ、ハーディ・ワインベルグの法則が成立)。
<考え方>
L無は劣性形質なので、その頻度がそのまま劣性ホモの頻度 q² です。q を出せば p も決まり、ヘテロは 2pq で求まります。
【劣性ホモの頻度から q】 L無は L有に対して劣性 → L無の個体は劣性ホモ q² = 0.16 q = 0.4 【p を求める】 p + q = 1 p = 1 − 0.4 = 0.6 【ヘテロ接合の頻度】 2pq = 2 × 0.6 × 0.4 = 0.48 (検算 p² = 0.36 L有ホモ 2pq = 0.48 ヘテロ q² = 0.16 L無 合計 1.00 ✓) よって ③
問3:正解 ⑤(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
下線部(c)に関連して、真核生物における遺伝子発現に関する記述として最も適当なものを選びます。
<考え方>
原核生物と真核生物の違い、そして転写と翻訳がどこで起こるかを確認します。オペロンは原核生物のしくみです。
① 乳糖の代謝に関係する遺伝子が オペロンを構成している オペロンは原核生物(大腸菌など)の しくみで、真核生物にはない × ② DNA ポリメラーゼがプロモーターに 結合して転写が開始される 転写を行うのは RNA ポリメラーゼ DNA ポリメラーゼは複製の酵素 × ③ 一つの遺伝子からは一種類の ポリペプチドのみが合成される 選択的スプライシングにより 複数種類がつくられることがある × ④ タンパク質合成は核内で起きる 翻訳は細胞質のリボソームで起こる × ⑤ 細胞の種類が違うと、発現する 調節遺伝子の種類も異なる 細胞ごとに違う遺伝子が働くのは 調節遺伝子の組合せが違うから ○ よって ⑤
問4:正解 ④(解答番号4/配点4)
<問題要旨>
実験1(6地域での SNP の対立遺伝子頻度、表1)、実験2(調節タンパク質 Y は T を含む配列と強く結合し、T をもつほうが転写活性が高い)、実験3(チンパンジー・ゴリラ・オランウータンは全て C のホモ接合で、ヒトの祖先型は C)から導かれる考察を選びます。
<考え方>
まず実験2で「T = L有」「C = L無」と対応づけます。次に実験3から祖先型が C(L無)だと分かるので、進化の向きが決まります。表1の数値も1つずつ照合します。
【実験2からの対応づけ】 T をもつ → 転写活性が高い → ラクターゼが働き続ける → T = L有 C をもつ → 転写活性が低い → C = L無 【実験3からの祖先型】 近縁の類人猿はすべて C のホモ → ヒトの祖先型は C(=L無) → L無から L有へ変化した 【表1の数値(Tの頻度=L有)】 アジア(中国) 0.00 アジア(日本) 0.00 ヨーロッパ(スウェーデン) 0.68 ヨーロッパ(イタリア) 0.05 アフリカ(コンゴ) 0.00 アフリカ(ナイジェリア) 0.00 【選択肢の判定】 ① L無はアジアで有利、アフリカで不利 アフリカも C が 1.00 で 不利という根拠がない × ② L無対立遺伝子はヨーロッパで最初に出現 L無が祖先型なので出現ではない × ③ ヨーロッパではほぼ全てのヒトが L有をもつ イタリアは T が 0.05 しかない × ④ ヒトでは L無対立遺伝子に突然変異が 起きて L有対立遺伝子が生じた 祖先型 C(L無)→ T(L有) ○ ⑤ どの地域でも L無のほうが頻度が高い スウェーデンは T が 0.68 で L有のほうが高い × よって ④
第2問 外来種アノールトカゲとの種間競争(すみわけと形質の進化)
小問4題で15点。導入区と非導入区という対照実験の組み立てが軸です。問4は「人工環境下で育てた子でも差がある」という一点から、変化が遺伝的なものだと結論づけます。
問1:正解 ③(解答番号5/配点3)
<問題要旨>
下線部(a)「外来生物」に関する記述として誤っているものを選びます。
<考え方>
外来生物の駆除がどれくらい難しいかを考えます。「ほぼ成功している」といった強い言い方は疑ってかかります。
① 在来種との交雑により 遺伝的な固有性を損なうことがある (遺伝子汚染) 正しい ② ヒトの健康を脅かすことがある セアカゴケグモやヒアリなど 正しい ③ 外来生物を駆除して生態系を復元する 試みは世界中でほぼ成功している いったん定着した外来生物の根絶は 非常に困難で、成功例は限られる → 誤り ←これ ④ 外来生物は移入されるまでは 在来種との間に共進化関係を 有していない もともと別々の地域にいたので 互いに影響し合ってきていない 正しい よって ③
問2:正解 ③(解答番号6/配点4)
<問題要旨>
1995年にブラウンを導入した人工島(導入区)と導入しなかった人工島(非導入区)で、グリーンとブラウンの個体群密度の変化を追跡した図1から導かれる考察として最も適当なものを選びます。
<考え方>
対照実験になっているので、導入区と非導入区の「グリーンどうし」を比べます。非導入区で変化がなければ、導入区の変化の原因はブラウンだと言えます。
【図1の読み取り】 導入区のブラウン 200 → 700 → 2000 → 3700 と増加中 導入区のグリーン 1400 → 1300 → 500 → 200 と減少 非導入区のグリーン 1000 → 1100 → 1050 → 900 とほぼ一定 【選択肢の判定】 ① ブラウンの急速な増加は 種内競争が促進されたことによる 種内競争は増加を抑える方向 × ② ブラウンは3年後に環境収容力に達した 1998年もまだ直線的に増加中で 頭打ちになっていない × ③ 導入区でのグリーンの減少は ブラウンの影響による 非導入区のグリーンは減っていない 違いはブラウンの有無だけ ○ ④ 導入区の合計個体数が導入前の グリーンの個体数と等しくなった 1998年 3700 + 200 = 3900 導入前は 1400 で全く違う × よって ③
問3:正解 ①(解答番号7/配点4)
<問題要旨>
実験2(グリーンとブラウンが留まっていた幹の高さ、図2)と実験3(導入から15年後のグリーンの指先裏パッドの表面積、図4)の結果から導かれる考察として最も適当なものを選びます。
<考え方>
図2でも図4でも、比べるのは「導入区のグリーン」と「非導入区のグリーン」です。非導入区が変わっていないことを確認しながら読みます。
【図2 幹の高さ】 導入区のグリーン 78 → 113 → 107 → 110 → 135 cm と高くなっていく 非導入区のグリーン 68 → 65 → 57 → 68 → 63 cm ほぼ変わらない 導入区のブラウン 88 → 76 → 70 → 70 cm 低い位置に留まる 【図4 指先裏パッドの表面積】 野外から採集した個体 導入区 約1.18 / 非導入区 1.00 人工環境下で育てた個体 導入区 約1.16 / 非導入区 1.00 【選択肢の判定】 ① 導入区のグリーンは幹のより高い位置を 利用するようになり、かつ 指先裏パッドの表面積が増加した ○ ② 導入区と非導入区のグリーンがともに 非導入区は変化していない × ③ 導入区のグリーンは絶滅した 図1で200個体ほど残っている × ④ ブラウンのほうがパッドが大きい 図4はグリーンどうしの比較で ブラウンのデータはない × よって ①
問4:正解 ④(解答番号8/配点4)
<問題要旨>
実験1〜3の結果から導かれる考察として最も適当なものを選びます。
<考え方>
図4の「人工環境下で育てた個体」が決定的な手がかりです。同じ環境で育てても差が残るなら、その差は環境が生んだものではなく遺伝的なものです。
【図4の意味】 野外の個体だけを比べると 「育った環境が違うから」 という説明が残ってしまう しかし卵から同じ人工環境下で育てた子でも 導入区由来のほうがパッドが大きい → 環境の影響ではなく遺伝的な違い → 世代を超えた変化=進化 【選択肢の判定】 ① ブラウンが導入されても グリーンの存続には影響がない 図1でグリーンは大きく減少 × ② パッドの違いは世代を超えた変化ではなく 個体の成長の過程で生じたもの 人工環境下で育てた子でも差がある × ③ 種間競争の有無にかかわらず グリーンは貼りつく力を高める方向に 進化すると予測される 非導入区では変化していない × ④ ブラウンの導入後15年間に 導入区のグリーンはブラウンと 生活空間を分割するようになり その表現型が進化した 高い位置へのすみわけ+遺伝的変化 ○ よって ④
第3問 草本群落の生産構造図(早春と初夏の比較)
小問3題で12点。落葉樹林の林床にできる草本群落を、生産構造図で早春と初夏で比べます。問3は「乾燥重量 → 面積 → CO₂ 吸収量」と単位を2回変換する計算で、暗くなったのに吸収量は増えるという結果が出ます。
問1:正解 ④(解答番号9/配点4)
<問題要旨>
図1の生産構造図から読み取ることができる、この草本群落内で生じた現象として最も適当なものを選びます。
<考え方>
塗り潰し部(優占種P)と網掛け部(他種)、左側(葉)と右側(葉以外)を混同しないように読みます。「20 cm 以上」「20 cm 以下」といった範囲の指定にも注意します。
【図1の読み取り(優占種P)】 早春(3層構造) 第3層(20-30cm) 葉 約2、葉以外 約2 第2層(10-20cm) 葉 約4、葉以外 約4 第1層(0-10cm) 葉 約4、葉以外 約4 初夏(5層構造・草丈が20cm伸びた) 第5層(40-50cm) 葉 約4.5 第4層(30-40cm) 葉 約6.4 第3層(20-30cm) 葉 約6 第2層(10-20cm) 葉 約2.7 第1層(0-10cm) 葉 なし 【選択肢の判定】 ① 早春の第1層の葉群が初夏には第3層に もち上がり、茎の下部に新たな葉がついた 初夏の第1層にPの葉はない × ② 優占種P以外の植物の個体数が減少した 生産構造図は重量を示すもので 個体数は読み取れない × ③ 高さ20cm以下で葉以外の器官の 乾燥重量が大きく減少した 茎が伸びているので大きくは減らない × ④ 高さ20cm以上の部位では 全体の乾燥重量に占める 葉の乾燥重量の割合が高まった 早春(第3層のみ) 葉2 ÷ (葉2+葉以外2) = 約50〜67% 初夏(第3〜5層) 葉が厚く積み上がり 葉以外は各層とも2程度 → 葉の割合が高い ○ ⑤ 初夏の第1層と第5層の光量の差は 高木の葉が光を遮ることによる 高木の影響は第5層より上(100%→20%) 第1層と第5層の差は草本自身の葉による × よって ④
問2:正解 ⑤(解答番号10/配点4)
<問題要旨>
会話文中の ア(優占種Pの第3層の葉群の重量が早春から初夏で何倍になったか)と イ(高さ30 cm の光量が早春と比べて初夏には約何分の1になったか)に入る数値の組合せを選びます。
<考え方>
アは図1の第3層(20〜30 cm)の塗り潰し部だけを、早春と初夏で読み比べます。イは折れ線グラフの高さ30 cm の点を、上の光量の目盛りで読みます。
【ア 第3層の葉群の重量】 早春の第3層(20-30cm) 優占種Pの葉 約 2 g/m² 初夏の第3層(20-30cm) 優占種Pの葉 約 6 g/m² 6 ÷ 2 = 3 倍 ア = 3 【イ 高さ30cm の光量】 早春の折れ線 高さ50cm 100 % 高さ30cm も 約100 % (樹木がまだ葉を広げていない) 初夏の折れ線 高さ50cm 約20 % 高さ30cm 約10 % 100 % → 約10 % = 10分の1 イ = 10分の1 よって ⑤
問3:正解 ⑥(解答番号11/配点4)
<問題要旨>
表1(区画内の葉の乾燥重量、葉1 g あたりの面積、最上層の平均的な光量下での1時間あたりの CO₂ 吸収量)をもとに、早春の第3層と初夏の第5層の葉が1時間に吸収する二酸化炭素量を計算し、ウ(早春の値)とエ(初夏は早春と比べて多いか少ないか)を答えます。
<考え方>
「乾燥重量(g) × 1 g あたりの面積(cm²/g) = 合計面積(cm²)」を出してから、「合計面積 × 1 cm² あたりの吸収量(mg/cm²)」を掛けます。単位が約分されることを確かめながら進めます。
【早春の第3層】 葉の合計面積 2.0 g × 250 cm²/g = 500 cm² CO₂ 吸収量 500 cm² × 0.175 mg/cm² = 87.5 mg ウ = 87.5 【初夏の第5層】 葉の合計面積 5.0 g × 360 cm²/g = 1800 cm² CO₂ 吸収量 1800 cm² × 0.070 mg/cm² = 126 mg 【比較】 早春 87.5 mg 初夏 126 mg 林床は暗くなったが 葉の量と面積が増えたため 群落全体の吸収量は多くなった エ = 多かった よって ⑥
第4問 鳥のさえずりの学習(生得的行動と学習の切り分け)
小問3題で13点。表1の4つの実験は「X期に歌を聴かせるか」「Y期に聴覚があるか」の2×2の組合せになっています。A種とB種で結果がまったく違うことが、学習の関与を判定する材料になります。
問1:正解 ⑤(解答番号12/配点3)
<問題要旨>
下線部(a)「学習」について、記述 ⓐ〜ⓒ のうち学習に関するものを過不足なく含むものを選びます。
<考え方>
生得的行動(かぎ刺激による定型的な行動)と学習を区別します。刷込みと慣れはどちらも学習に分類されます。
ⓐ アヒルのヒナが孵化直後に見た 動くものの後をついて歩く 刷込み(インプリンティング) 生後の経験によって成立する → 学習の一種 ○ ⓑ 繁殖期のイトヨの雄が婚姻色を呈した ほかの雄や、同様の色をつけた模型も 攻撃する 「赤い腹」というかぎ刺激に対する 生得的行動 経験によるものではない × ⓒ アメフラシが水管を刺激され続けると えらを引っ込めなくなる 慣れ(馴化) 経験によって反応が変化 → 学習の一種 ○ 学習に関するのは ⓐ と ⓒ よって ⑤
問2:正解 A種 ②・B種 ⑦(解答番号13・14/配点6)
<問題要旨>
A種とB種について、自種の歌をさえずることができるようになるための条件(ⓓ〜ⓖ)と、学習の関与の有無(Ⅰ・Ⅱ)との組合せをそれぞれ選びます。
<考え方>
表1を種ごとに縦に見ます。「どの条件でも自種の歌になる」なら経験は不要、「特定の条件のときだけ自種の歌になる」なら、その条件が必要だということです。
【A種(表1の左の列)】 実験1 歌なし・聴覚なし → 自種の歌 実験2 歌なし・聴覚あり → 自種の歌 実験3 歌あり・聴覚なし → 自種の歌 実験4 歌あり・聴覚あり → 自種の歌 → どの条件でも自種の歌 → 成長の過程で自種の歌を聴く必要はない → 生得的で、学習は関与していない ⓓ + Ⅱ → ② 【B種(表1の右の列)】 実験1 歌なし・聴覚なし → 不完全な歌 実験2 歌なし・聴覚あり → 不完全な歌 実験3 歌あり・聴覚なし → 不完全な歌 実験4 歌あり・聴覚あり → 自種の歌 → 実験4のときだけ自種の歌 → X期に自種の歌を聴く必要があり かつ Y期に聴覚も必要 → 学習が関与している ⓖ + Ⅰ → ⑦ A種 = ② B種 = ⑦
問3:正解 ⑧(解答番号15/配点4)
<問題要旨>
野外で「自種と近縁種の歌の特徴が混ざった歌」をさえずる雄がめったに見つからない理由についての考察文の ア〜ウ を埋めます。
<考え方>
種に固有の歌は「なわばり防衛のアピール」と「自種の雌への求愛」のためのものです。混ざった歌ではそれがうまく働かないとどうなるかを順に追います。
【ア 繁殖に成功か失敗か】 種に固有の歌は なわばり防衛のアピール 自種の雌に対する求愛 混ざった歌では 自種の雌に求愛が伝わりにくい → 繁殖に失敗しやすい ア = 失敗 【イ 個体群の成長】 繁殖に失敗する個体が増えると 次世代が減る → 両種の個体群の成長は妨げられる イ = 妨げられる 【ウ 共存しやすいか】 繁殖干渉は競争的排除をもたらす → 一方が排除されてしまう → 近縁種どうしは共存しにくい → そもそも近くに巣をつくる状況が 生じにくいので 近縁種の歌の学習もめったにない ウ = にくく よって ⑧
第5問 A 茎頂分裂組織と葉の形成
ジャガイモの芽を使って、葉がどこからどのようにつくられるかを調べます。問3は3つの切れ込み実験を並べて「扁平にする作用」と「向きを決める作用」がどこから来るのかを切り分ける、よくできた設問です。
問1:正解 ①(解答番号16/配点4)
<問題要旨>
下線部(a)に関連して、被子植物の発生と生殖に関する記述として誤っているものを選びます。
<考え方>
重複受精でできる受精卵と胚乳核の核相の違いを思い出します。2n と 3n では DNA 量が違います。
① 受精直後の胚乳核のゲノム DNA 量は
受精卵の核と同じ
受精卵 卵細胞(n)+精細胞(n) = 2n
胚乳核 極核2つ(n+n)+精細胞(n) = 3n
3n と 2n では DNA 量が違う
→ 誤り ←これ
② フロリゲンは花芽の分化に関係する
遺伝子の発現を誘導する 正しい
③ 花の4種類の構造の形成には
A・B・C の三つのクラスの遺伝子が必要
(ABCモデル) 正しい
④ 花粉母細胞は減数分裂により
4個の細胞からなる花粉四分子となる
正しい
よって ①
問2:正解 ⑥(解答番号17/配点3)
<問題要旨>
図1(芽の縦断面の模式図)において茎頂分裂組織の位置を示す記号と、図2(茎頂を真上から観察)において先に形成が始まった葉の位置を示す記号との組合せを選びます。
<考え方>
茎頂分裂組織は芽の先端中央にあるドーム状の部分です。図2では「P2 は P1 より扁平で大きかった」という記述が、どちらが先にできたかを教えてくれます。
【図1 茎頂分裂組織の位置】 茎頂分裂組織は 芽の最先端の中央にある ドーム状のふくらみ W … 外側の葉の先端 X … 葉の付け根あたり Y … 中央のドーム状の部分 ○ Z … 下方の葉 → Y 【図2 先に形成が始まった葉】 問題文より 「P2 は、P1 より扁平で大きかった」 葉は 最初は丸いこぶ状 → 成長が進むと扁平になる より扁平で大きい = より成長が進んでいる = 先に形成が始まった → P2 Y と P2 よって ⑥
問3:正解 ⑤(解答番号18/配点5)
<問題要旨>
実験3(図3:I と M の連絡を遮断/図4:P1・P2 と I の連絡を遮断/図5:M を M1 と M2 に分割)の結果から導かれる考察を、記述 ⓐ〜ⓒ から過不足なく選びます。
<考え方>
3つの図を「何を切ったときに何が起きたか」で整理します。切って異常になったものは、切った相手が担っていた作用です。
【図3 I と M の連絡を遮断】
→ 棒状で表裏がはっきりしない葉
M との連絡がないと
扁平にならない
表裏(向き)も決まらない
【図4 P1・P2 と I の連絡を遮断】
→ I から扁平な葉ができ
表側は M の方を向いた
既存の葉との連絡がなくても
正常な葉ができる
→ 既存の葉は関与していない
【図5 M を M1 と M2 に分割】
→ I からは表側が M2 の方を向いた
扁平な葉ができた
分割後、近い側の分裂組織が向きを決める
【判定】
ⓐ 茎頂分裂組織には葉を扁平にする作用がある
図3で M を切ると棒状になる ○ 適当
ⓑ 生じたばかりの葉には
次に生じる葉を扁平にする作用がある
図4で P1・P2 を切っても扁平になる
× 不適当
ⓒ 茎頂分裂組織には葉の向きを決める作用がある
図3で表裏が不明瞭、図5で M2 側が表
○ 適当
適当なのは ⓐ と ⓒ
よって ⑤
(ⓐだけ、ⓒだけを選んだ場合も部分点2点)
第5問 B 根の緑化と植物ホルモン
根が緑色になる条件を、オーキシンとサイトカイニン、そして切断という3つの処理で調べます。問6・問7は「その実験計画で何が確かめられるか」を問う、実験デザインの設問です。
問4:正解 ②(解答番号19/配点4)
<問題要旨>
図6(未処理、オーキシン添加、サイトカイニン添加、切断、切断・オーキシン添加のときの根のクロロフィル量)から導かれる、根が緑色になるかどうかを制御する仕組みに関する考察を選びます。
<考え方>
未処理を基準にして、1つずつ処理を加えたときにクロロフィル量が増えるか減るかを見ます。「切断」で大きく増えることの意味も考えます。
【図6 の読み取り(未処理を1とする)】 未処理 1.0 オーキシン添加 0.9(ほぼ変化なし) サイトカイニン添加 2.2(増加) 切断 6.0(大幅に増加) 切断・オーキシン添加 2.0(切断より減少) 【選択肢の判定】 ① オーキシンは緑化を促進する 未処理と変わらず、切断時はむしろ減らす × ② サイトカイニンは緑化を促進する 1.0 → 2.2 と増加している ○ ③ どちらも緑化を阻害する サイトカイニンは増やしている × ④ どちらも緑化に関係しない サイトカイニンは増やし オーキシンは切断時に減らす × ⑤ 茎や葉は緑化に関係しない 切断すると6倍になる = 茎や葉が抑えていた × よって ②
問5:正解 ④(解答番号20/配点3)
<問題要旨>
「植物の一部を切断してオーキシンを添加する実験」が、植物の別のオーキシン応答を明らかにした実験と類似していることに気づきました。その応答として最も適当なものを選びます。
<考え方>
「切り取ってから、切り口にオーキシンを与える」という手続きの古典的な実験を思い出します。オーキシンが関わる現象を1つずつ確かめます。
【古典的な実験の形】 頂芽を切除する → 側芽が伸び始める 切り口にオーキシンを与える → 側芽の成長がふたたび抑えられる これは頂芽優勢の仕組みを示した実験 【図6 との対応】 茎から切断する → 根のクロロフィル量が増える(6.0) オーキシンを添加する → ふたたび抑えられる(2.0) 手続きも結果の形も同じ 【選択肢の判定】 ① 気孔の開閉 … アブシシン酸 × ② 果実の成熟 … エチレン × ③ 春化 … 低温処理 × ④ 頂芽優勢 … オーキシン ○ ⑤ 花芽形成 … フロリゲン × よって ④
問6:正解 ③(解答番号21/配点4)
<問題要旨>
「息を吹き込んだ試験管に根を入れ、光をあて、石灰水を入れて振り、濁らなければ光合成をしている」という計画に対し、追加すべき実験として適当でないものを選びます。
<考え方>
「石灰水が濁らなかった」ことの別の説明を1つずつ潰すのが対照実験です。石灰水そのものが CO₂ を検出できることの確認も必要です。あてはまらないものを探します。
【濁らなかったときの別の説明】 ・そもそも試験管に CO₂ が入っていなかった ・石灰水が古くて反応しない ・根ではなく別の要因で CO₂ が減った 【各選択肢の役割】 ① 根を入れないで同じ実験をする 根がなければ濁るはず → 根の働きであることを確かめる 適当 ② 光をあてないで同じ実験をする 光がなければ濁るはず → 光合成であることを確かめる 適当 ③ 石灰水の代わりにオーキシン溶液を入れる オーキシンは CO₂ を検出しない 何も確かめられない → 適当でない ←これ ④ 石灰水に息を吹き入れて濁ることを確認 石灰水が正常に働くことの確認 適当 ⑤ 根の代わりに光合成をすることが確実な葉で 同じ実験をする 実験系が正しく働くことの確認 適当 よって ③
問7:正解 ②(解答番号22/配点4)
<問題要旨>
樹木に取りついたランの根がなぜ緑色なのかを調べるため、茎と葉を切除してその後の根の変化を経時的に測定する実験で、測定すべき項目として適当でないものを選びます。
<考え方>
調べたいのは「根が緑色になる仕組み」です。図6で緑化に関わることが分かった要素は何かを思い出し、それと無関係なものを外します。
【調べたいこと】 茎と葉を切除したあと 根がどう緑色に変わるか、その仕組み 【図6 から関係が分かっている要素】 ・クロロフィル量(緑化そのものの指標) ・オーキシン(切断後の緑化を抑える) ・サイトカイニン(緑化を促進する) 【各選択肢】 ① クロロフィル量 緑化の程度そのもの 必要 ② ひげ根の長さの総和 根が伸びたかどうかは 緑色になる仕組みとは関係がない → 適当でない ←これ ③ オーキシン濃度 切断で濃度が下がったか確かめる 必要 ④ サイトカイニン濃度 切断で濃度が上がったか確かめる 必要 よって ②
第6問 A 眼の形成と誘導
脊椎動物の眼がなぜ左右に二つできるのかを、タンパク質の分布から考えます。問2は「抑制する物質の分布が変わると結果がどう変わるか」を逆向きにも予想させる設問です。
問1:正解 ②(解答番号23/配点3)
<問題要旨>
下線部(a)「胚において、将来眼ができる頭部の領域を移植すると、本来は眼をつくらない場所に眼ができる」について、この現象の仕組みとして最も適当なものを選びます。
<考え方>
眼がつくられる過程を思い出します。眼胞ができ、それが表皮に働きかけて水晶体をつくらせ、水晶体がさらに角膜をつくらせる、という連続した誘導が起こります。
【眼の形成過程】 眼胞(脳の一部がふくらむ) ↓ 表皮に働きかける 水晶体(レンズ)ができる ↓ さらに表皮に働きかける 角膜ができる このように誘導が次々と続くことを 誘導の連鎖という 【選択肢の判定】 ① 母性因子の mRNA も移植された 母性因子は未受精卵に局在するもので 胚の頭部領域の話ではない × ② 移植した部位で誘導の連鎖が起こった 移植された領域が眼胞となり そこから水晶体・角膜へと誘導が続く ○ ③ ホメオティック遺伝子の発現に変化 ホメオティック遺伝子は 体の前後軸に沿った領域の決定に働く × ④ 移植した部分から眼が再生された 再生ではなく発生の過程 × ⑤ 形成体の移植によって二次胚が生じた 二次胚(もう一つの体)はできていない × よって ②
問2:正解 ①(解答番号24/配点4)
<問題要旨>
領域 M の細胞の分化能力を抑制するタンパク質 X が脊索から神経板の正中線付近に分泌されることで眼胞が左右の小領域に形成されます。眼を形成しなくなった種では X の空間的な分布が変化していました。ア〜ウ を埋めます。
<考え方>
X は「真ん中を抑える」働きをしています。抑える範囲が広がるとどうなるか、逆に抑える範囲がなくなるとどうなるかを、図1の領域 M の形を見ながら考えます。
【正常な場合】 領域M は横長のひとつづきの領域 タンパク質X が 正中線(真ん中)付近に分布して その部分の分化を抑える → 領域M が左右に分断される → 眼が左右に二つできる 【ア 眼を形成しなくなった種】 眼がまったくできない = 領域M 全体が抑えられている → X の分布範囲が広がった ア = 著しく拡大 【イ・ウ 逆の場合】 X の分布がほとんど消失すると 領域M はどこも抑えられない → 分断されない → 中央にひとつながりの眼ができる イ = ほとんど消失 ウ = 中央に一つ よって ①
第6問 B ノーアイとテイルアイ(眼と学習)
眼のないオタマジャクシ(ノーアイ)と、尾に眼をもつオタマジャクシ(テイルアイ)を使って、眼の役割を調べます。問5は図5の3本の棒だけで「情報がどこを通ったか」を決められる、鮮やかな設問です。
問3:正解 ④(解答番号25/配点4)
<問題要旨>
正常とノーアイのオタマジャクシに赤色光または青色光を照射して遊泳速度を計測した図2から導かれる考察として最も適当なものを選びます。
<考え方>
2つの比較軸があります。「正常とノーアイの違い」と「赤色光と青色光の違い」です。どちらに差があってどちらに差がないかを分けて読みます。
【図2 の読み取り】 赤色光の区間(0〜32分、63〜93分) 正常もノーアイも 10〜30 mm/秒 時間とともに遅くなる 青色光の区間(32〜60分、93〜120分) 正常もノーアイも 40〜80 mm/秒 速くなってから徐々に低下 正常(白丸)とノーアイ(黒丸)は ほぼ重なっており差がない 【選択肢の判定】 ① 正常のほうが遊泳速度が速い 両者に差はない × ② 青色光では赤色光より遅くなった 実際は青色光のほうが速い × ③ 赤色光が照射されている間 速くなり続けた 実際は遅くなっていく × ④ 赤色光と青色光の照射状態を識別するには 眼に光が入力することが必要ではない 眼のないノーアイでも 正常と同じように反応している ○ (皮膚などで光を受容していると考えられる) よって ④
問4:正解 ⑥(解答番号26/配点4)
<問題要旨>
実験2(底面の半分に赤色光、もう半分に青色光を照射し、赤色光の領域に入ったら電気ショックを与えるトレーニングとテストを6回繰り返す)の図4から、エ・オ を埋めます。
<考え方>
図4の3本の折れ線のうち、下がっていくのはどれかを見ます。下がった条件と下がらなかった条件の違いが、学習に必要な要素です。
【図4 の読み取り】 電気ショック有・正常(黒丸) 50 % → 20 % 前後まで低下 → 赤色光の領域を避けるようになった 電気ショック無・正常(白丸) 50 % 前後のまま → 電気ショックがないと学習しない 電気ショック有・ノーアイ(黒四角) 50 % 前後のまま → 眼がないと学習しない 【エ どちらの色を避けたか】 電気ショックを与えたのは 赤色光の領域に入ったとき 避けるようになったのも赤色光の領域 エ = 赤 【オ 学習に必要な条件】 電気ショックだけでは不十分(白丸) 眼だけでも不十分(黒四角) 両方そろって初めて学習が成立 オ = 眼に赤色光が入ったときに 電気ショックが与えられる必要がある よって ⑥
問5:正解 ③(解答番号27/配点4)
<問題要旨>
尾にできた眼について、実験2・実験3(テイルアイの眼からの軸索伸長が「なし」「胃方向」「脊髄方向」の3種類、図5の学習成功率)の結果から考えられる合理的な推論として最も適当なものを選びます。
<考え方>
図5で学習が成立したのはどの条件かを見ます。軸索がどこにつながったときだけ成功したのかが、情報の通り道を教えてくれます。
【図5 の読み取り(学習成功率)】 正常 40 % ノーアイ 0 % テイルアイ「なし」 0 % テイルアイ「胃方向」 0 % テイルアイ「脊髄方向」20 % 【読み取れること】 尾の眼でも、軸索が脊髄につながれば 学習が成立する 軸索が伸びていない、または 胃につながっただけでは成立しない → 光の色の情報は 眼 → 軸索 → 脊髄 → 脳 と伝わったと考えられる 【選択肢の判定】 ① 脊髄で反射を生じさせた 反射ではなく学習の成立を見ている × ② 消化管を経由して脳に伝わった 胃方向は 0 % で成立していない × ③ 脊髄を経由して脳に伝わった 脊髄方向のときだけ 20 % 成立 ○ ④ 正常と尾に眼ができたもので 学習成功率は同じだった 40 % と 20 % で違う × よって ③
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

