2024年度 大学入学共通テスト 追試験 化学基礎 解答・解説

2024年度 大学入学共通テスト 追試験「化学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト 追試験「化学基礎」の全問解説です。第1問が物質の構成と変化で30点、第2問が雨水の pH をめぐる探究活動で20点、あわせて50点満点。すべて必答です。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と計算過程が開きます。まちがえた設問だけを選んで確認してください。

第1問 物質の構成と変化(電子式・同位体・結合・分離・中和滴定・酸化還元)

化学基礎の基本事項を10問で幅広く確認する大問です。問9の分離操作と問10の量的関係のグラフは、表や式から自分で数値を出して判断する探究型。ここを落ち着いて処理できるかで差がつきます。

問1:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
図1の電子式で表される原子 X に当てはまる元素を選びます。

<考え方>
電子式に描かれた点の数がそのまま価電子の数です。数えて族を特定し、選択肢の元素と照合します。

図1 の点を数える
 左に1個、右に1個
 上に2個、下に2個
 → 合計 6 個

価電子6個 → 16族の元素

① アルミニウム … 13族(価電子3)×
② リン     … 15族(価電子5)×
③ 硫黄     … 16族(価電子6)○
④ 塩素     … 17族(価電子7)×

よって 硫黄
問2:正解 ⑤(配点3)

<問題要旨>
¹H、²H、³H に関する記述ア〜ウのうち、正しいものをすべて選びます。

<考え方>
左上の数字は質量数(陽子+中性子)です。同位体はどれも同じ元素なので陽子の数は共通、違うのは中性子の数、という基本を当てはめます。

水素の同位体の内訳

     陽子 中性子 電子
 ¹H   1   0   1
 ²H   1   1   1
 ³H   1   2   1

ア 陽子の数はすべて1
 → 正しい(同じ元素なので陽子数は共通)

イ 中性子の数はすべて1
 → 誤り(0,1,2 とそれぞれ違う。
  この違いが同位体を生む)

ウ 電子の数はすべて1
 → 正しい(中性の原子では
  陽子の数=電子の数)

ア と ウ
問3:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
NH₃ と H⁺ が NH₄⁺ をつくるとき、結合に使われるものを選びます。

<考え方>
H⁺ は電子をもっていません。したがって電子対は片方(NH₃)だけが出すことになります。これが配位結合です。

NH₃ の窒素原子には
 共有電子対が3組(N−H が3本)
 非共有電子対が1組 残っている

H⁺ は電子を1個も持たない
(水素原子から電子が取れたもの)

そこで NH₃ の「非共有電子対」を
H⁺ に提供して結合ができる
 → 配位結合

 NH₃ + H⁺ → NH₄⁺

(できあがった NH₄⁺ の4本の N−H 結合は
  互いに区別できず、すべて同等になる)
問4:正解 ②(配点3)

<問題要旨>
同素体に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
同素体は「同じ元素でできた性質の違う単体」。代表例は S・C・O・P の4つで、「スコップ」と覚えられます。それぞれの状態や性質を確かめます。

① 炭素の同素体である黒鉛は電気を通す
 → 正しい(層状構造で電子が動ける)

② 酸素の同素体であるオゾンは
  常温・常圧で液体である
 → 誤り
  オゾン O₃ は常温・常圧では「気体」。
  淡青色で特異臭をもつ

③ リンの同素体には空気中で自然発火する
  ものがある
 → 正しい(黄リン。水中に保存する)

④ 硫黄の同素体にはゴムのような弾性を
  示すものがある
 → 正しい(ゴム状硫黄)
問5:正解 ④,②(配点3)

<問題要旨>
化合物 A(水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素を通じて生じる沈殿)と化合物 B(水酸化ナトリウム水溶液と塩酸を中性にして水分を蒸発させたもの)の用途をそれぞれ選びます。

<考え方>
まず反応式を書いて A と B が何かを決めます。物質が決まれば用途は知識で選べます。

〔化合物A〕
 Ca(OH)₂ + CO₂ → CaCO₃↓ + H₂O
 → 炭酸カルシウム CaCO₃
 (石灰水に CO₂ を通すと白濁する反応)

 用途:セメントの主原料
 → ④

〔化合物B〕
 NaOH + HCl → NaCl + H₂O
 中性にしてから水を蒸発させる
 → 塩化ナトリウム NaCl

 用途:調味料や化学工業の原料
 → ②

(① ベーキングパウダーは炭酸水素ナトリウム、
  ③ 乾燥剤・発熱剤は酸化カルシウム)
問6:正解 5.1×10²² 個(配点3)

<問題要旨>
元素 M(原子量70)の単体の密度が 5.95 g/cm³ のとき、1.0 cm³ に含まれる M 原子の個数を有効数字2桁で求めます。

<考え方>
「体積 → 質量 → 物質量 → 個数」と順にたどるだけです。密度は「1 cm³ あたりの質量」なので、体積 1.0 cm³ ならそのまま質量になります。

〔質量〕
 5.95 g/cm³ × 1.0 cm³ = 5.95 g

〔物質量〕
 5.95 / 70 = 0.085 mol

〔原子の個数〕
 0.085 × 6.0×10²³
 = 5.1×10²² 個

解答番号7 は ⑤(5)、
解答番号8 は ①(1)
問7:正解 ①(配点3)

<問題要旨>
およそ 0.1 mol/L の酢酸水溶液と塩酸の濃度を 0.100 mol/L の NaOH 水溶液で正確に求めるとき、指示薬 X(変色域 pH 3.1〜4.4)と Y(同 8.0〜9.8)との組合せで、濃度を正確に求められないものを選びます。

<考え方>
中和点の pH がどこにくるかで、使える指示薬が決まります。弱酸を強塩基で滴定すると中和点は塩基性側になります。

〔酢酸(弱酸)+ NaOH(強塩基)〕
 中和点にできるのは酢酸ナトリウム。
 CH₃COO⁻ が加水分解して塩基性を示す
 → 中和点は pH 8〜9 の塩基性側
 → 変色域が塩基性側の Y が適する
 → X(pH 3.1〜4.4)では、中和点より
  ずっと手前で変色してしまい
  正確に求められない ×

〔塩酸(強酸)+ NaOH(強塩基)〕
 中和点は中性(pH 7)だが、
 中和点付近の pH ジャンプが
 約 pH 3〜11 と非常に広い
 → X も Y もジャンプの中に入るので
  どちらでも正確に求められる ○

正確に求められないのは
(酢酸水溶液,指示薬X)の組
問8:正解 ①(配点3)

<問題要旨>
酸化還元反応である化学反応式を選びます。

<考え方>
酸化数が変化している元素があるかどうかだけを見ます。単体(酸化数0)が現れたり消えたりしていれば、ほぼ確実に酸化還元反応です。

① 2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
  H₂O₂ の O は −1
  → H₂O では −2(還元された)
  → O₂ では 0(酸化された)
  同じ物質が酸化も還元もされる
  自己酸化還元反応 ○

② AgNO₃ + NaCl → NaNO₃ + AgCl
  イオンの組み替え(沈殿生成)だけ。
  酸化数の変化なし ×

③ HCl + NH₃ → NH₄Cl
  中和反応。酸化数の変化なし ×

④ Ca(OH)₂ → CaO + H₂O
  熱分解。Ca は +2、O は −2、H は +1 のまま ×
問9:正解 ⑥(配点3)

<問題要旨>
KNO₃ 50 g、Fe₂O₃ 10 g、ナフタレン 10 g の混合物 X を 60℃ の水 100 g に加えてかき混ぜ、図2 の手順で分離します。操作Ⅱと操作Ⅲの分離方法の組合せを選びます。

<考え方>
表1 の溶解度から「60℃ の水100 g に何が溶けるか」を判断すると、操作Ⅰで何と何に分かれるかが決まります。あとは固体側と液体側で、それぞれ性質の違いを利用する方法を選びます。

〔操作Ⅰ〕60℃ の水100 g に加える
 KNO₃ 溶解度109 → 50 g は全部溶ける
 Fe₂O₃ 不溶 → 溶けない
 ナフタレン 1.3×10⁻² → ほぼ溶けない

 → 固体(Fe₂O₃ とナフタレン)と
  液体(KNO₃ 水溶液)に分かれる
 → 操作Ⅰ は ろ過

〔操作Ⅱ〕固体から Fe₂O₃ とナフタレンを分ける
 ナフタレンは昇華性がある
(固体から直接気体になる)
 → 加熱してナフタレンだけ昇華させ、
  冷やして回収する
 → 昇華法(昇華)

〔操作Ⅲ〕KNO₃ 水溶液から KNO₃ を取り出す
 KNO₃ の溶解度は
  60℃で109、20℃で31.6
 → 冷やすと 50 − 31.6 = 18.4 g が結晶になる
 → 再結晶
(そのあと操作Ⅰ=ろ過で結晶と水溶液を分ける。
  図2 で操作Ⅲの下に操作Ⅰがあることと一致)

(昇華法,再結晶)の組
問10:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
H₂S 全体 3.0 mol のうち x mol を式(1)で SO₂ に変え、その SO₂ と残りの (3.0 − x) mol の H₂S を式(2)で反応させます。x を 0 から 3.0 mol まで変えたときに生成する S の物質量を表すグラフを選びます。

<考え方>
「どちらが先になくなるか」が途中で入れかわるので、山型のグラフになります。入れかわる点を求めてから、両側の式を別々に立てるのが確実です。

式(2) 2H₂S + SO₂ → 3S + 2H₂O
 → 必要な比は H₂S : SO₂ = 2 : 1

手元にあるのは
 SO₂ … x mol(式(1)で H₂S x mol から生成)
 H₂S … (3.0 − x) mol

〔入れかわる点〕
 (3.0 − x) : x = 2 : 1
 3.0 − x = 2x
 x = 1.0

〔x ≦ 1.0:SO₂ が足りない〕
 S = 3x
  x=0.5 → 1.5 x=1.0 → 3.0

〔x ≧ 1.0:H₂S が足りない〕
 S = (3.0 − x)/2 × 3 = 1.5(3.0 − x)
  x=1.5 → 2.25
  x=2.0 → 1.5
  x=2.5 → 0.75
  x=3.0 → 0

x = 1.0 で最大値 3.0 mol をとり、
そこから直線的に減って x = 3.0 で 0 になる

 → ③

第2問 雨水の pH(探究活動と大気汚染物質の除去)

雨水の pH を測る探究活動が題材です。問2は生徒の報告書を読んで「記録の仕方」と「操作の不備」を指摘する設問で、実験の作法そのものが問われます。問3は係数合わせと量的計算という基本の2問です。

問1 a:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
身のまわりにある牛乳、食酢、セッケン水を pH の値が小さい順に並べたものを選びます。

<考え方>
酸性か塩基性かで大きく3つに分けてから並べます。食酢は酢酸を含む酸性、セッケンは弱酸と強塩基の塩なので塩基性、牛乳はほぼ中性です。

食酢
 酢酸を含む → 酸性
 pH ≒ 3

牛乳
 ほぼ中性(わずかに酸性)
 pH ≒ 6.5

セッケン水
 高級脂肪酸(弱酸)と NaOH(強塩基)の塩
 → 加水分解して塩基性
 pH ≒ 10

pH が小さい順に並べると
 食酢 < 牛乳 < セッケン水
問1 b:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
CO₂ が溶けた水に HCl や NaOH を加えて pH を調整した水溶液 A について、CO₂ と HCO₃⁻ の存在割合と pH の関係(図1)に関する記述のうち、誤りを含むものを選びます。

<考え方>
図1 の破線が CO₂、実線が HCO₃⁻ です。指定された pH での縦軸の値を読んで、選択肢の記述と突き合わせます。交点の位置を先に確認しておくと判断が速くなります。

図1 の読み取り
 交点(両者50 %)は pH 約6.3

① pH 4.0 で HCO₃⁻ の存在割合は5 %未満
 → 図では pH 4 の実線はほぼ 0〜1 %
 → 正しい

② pH 6.3 で CO₂ と HCO₃⁻ の物質量が
  ほぼ等しくなる
 → 交点がちょうど pH 6.3 付近
 → 正しい

③ pH 6.8 で HCO₃⁻ の物質量は CO₂ より少ない
 → 誤り
  pH 6.8 では実線(HCO₃⁻)が約70 %、
  破線(CO₂)が約30 %。
  HCO₃⁻ の方が「多い」
  (交点 pH 6.3 を超えたら逆転する)

④ pH 8.0 で HCO₃⁻ の存在割合は95 %を超える
 → 図では約97 %
 → 正しい
問2 a:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
雨水の pH 測定の報告書に記載された内容で、適切ではないものを選びます。

<考え方>
測定値の書き方に注目します。有効数字は「どこまで正確に測れたか」を示す情報なので、末尾の 0 を省いてはいけません。

① 天気と気温を記載した
 → 適切(条件の記録として必要)

② 各班の結果を比較するために採取場所を記載
 → 適切(比較の前提になる情報)

③ 第8班から報告された pH の値は 5.00 だった
  ので「5」と記載した
 → 適切でない
  「5.00」は有効数字3桁で、
  小数第2位まで測定できたことを意味する。
  「5」と書くと有効数字1桁になり、
  測定の精度という情報が失われてしまう。
  他の班が 4.83、4.91 のように小数第2位まで
  記載していることとも揃わない

④ 結果に対する考察を記載した
 → 適切
問2 b:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
K さんの班の pH の値が他の班より大きかった原因と考えられるのは、報告書の【操作】の下線部(A)〜(D)のどれかを選びます。

<考え方>
pH が大きい=酸性が弱い、ということです。「試料が薄まる操作がどこかにないか」を探します。器具を共洗いしているかどうかがポイントになります。

第3班の pH は 5.25、他の班は 4.81〜5.00
 → 第3班だけ酸性が弱い
 → 雨水が薄められた可能性が高い

(A) ビーカーを純水で洗浄して「乾かして」おいた
 → 乾いているので薄まらない ○

(B) 温度計を雨水で洗浄し雨水でぬれたまま使った
 → 雨水で共洗いしている ○

(C) スポイトの内部を雨水で洗浄した
 → これも雨水での共洗い ○

(D) pH メーターの電極に「純水が残ったまま」
  雨水をたらして測定した
 → 電極に残った純水で雨水が薄まる
 → 水素イオン濃度が下がり pH が大きくなる
 → これが原因 ×

(純水で洗ったら、測定する液で共洗いするか
  水気をふき取ってから使う)
問3 a:正解 ②,②,②(配点3)

<問題要旨>
SO₂ を Mg(OH)₂ および O₂ と反応させて MgSO₄ と H₂O にする式(2) の係数ア〜ウを求めます。

<考え方>
係数が決まっている H₂O の 2 から出発します。H の数を合わせれば Mg(OH)₂ の係数が決まり、Mg と S を順に追えば残りも決まります。

ア SO₂ + イ Mg(OH)₂ + O₂
  → ウ MgSO₄ + 2H₂O

〔H で イ を決める〕
 右辺 2H₂O の H は 4 個
 左辺の H は Mg(OH)₂ だけにある
 イ × 2 = 4
 → イ = 2

〔Mg で ウ を決める〕
 左辺 Mg は 2 個
 → ウ = 2

〔S で ア を決める〕
 右辺 MgSO₄ の S は 2 個
 → ア = 2

〔O で検算〕
 左辺 2SO₂(4) + 2Mg(OH)₂(4) + O₂(2) = 10
 右辺 2MgSO₄(8) + 2H₂O(2) = 10 ○

 2SO₂ + 2Mg(OH)₂ + O₂
  → 2MgSO₄ + 2H₂O
問3 b:正解 ①(配点3)

<問題要旨>
式(3) 4NO + 4NH₃ + O₂ → 4N₂ + 6H₂O の反応で H₂O が 270 kg 生成したとき、除くことができた NO の質量を求めます。

<考え方>
kg と kmol で計算しても、g と mol で計算しても比は同じです。H₂O の物質量を出し、係数の比 4:6 で NO に換算します。

〔H₂O の物質量〕
 270 kg / 18 = 15 kmol

〔NO の物質量〕
 式(3) より NO : H₂O = 4 : 6

 NO = 15 × 4/6 = 10 kmol

〔NO の質量〕
 NO の分子量 = 14 + 16 = 30
 10 × 30 = 300 kg

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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