2024年度 大学入学共通テスト 追試験「生物」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2024年度 追試験 生物は、第1問から第6問まですべて必答です。解答番号は1〜25、採点項目は21、満点100点、試験時間60分。配点は第1問15点・第2問15点・第3問18点・第4問19点・第5問14点・第6問19点で、大問がA・Bに分かれる箇所はありません。
扱う題材は、第1問が細胞小器官とミトコンドリア、第2問が昆虫の眼の色素合成経路、第3問がイネのジベレリン応答、第4問がミツバチの行動、第5問が海域の物質生産、第6問が地球大気の変化と光合成生物の進化です。用語の知識だけで決まる設問は多くなく、表・グラフ・模式図から条件を読み取って推論させる設問が全体の半分以上を占めます。
つまずきやすいのは次の4つです。第2問問1の移植実験(表1の16通りを、移植片の行ごとに「何が足りないのか」から逆算する)、第4問問3の縞模様トンネル(ダンスの型を「どれだけ遠いと感じたか」の指標として読む)、第5問問3の培養実験(図3の棒や曲線の見た目ではなく、図4のN量の最終値で切る)、第6問問4のルビスコ(図2の横軸のごく左端に現在のCO₂濃度があることを先に押さえる)。いずれも、図のどの目盛りとどの曲線を見るかを決めてから選択肢に当たると迷いません。
なお第6問問1は、空欄ア・イと空欄ウ・エで選択肢群が別に用意されています。ウ・エの記号は⑦⑧⑨⓪ⓐⓑで、①〜⑥ではありません。マークの記号を思い込みで選ばないよう注意してください。
第1問(必答) 細胞小器官とミトコンドリア(分泌タンパク質の輸送経路・卵形成期のミトコンドリア数の減少)
真核細胞の細胞小器官の働きを扱う大問で、配点は15点。前半は翻訳に必要なものと分泌タンパク質の輸送経路、後半は哺乳類の卵形成過程でミトコンドリアの数が一時的に減る現象を、集団遺伝の考え方に置き換えて考えさせます。
問1(1):正解 ⑤(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
リボソームで翻訳が起こる際に必要なものを、DNAポリメラーゼ・RNAポリメラーゼ・RNAのプライマー・二本鎖DNA・tRNAの5つから1つ選ぶ設問です。
<考え方>
複製・転写・翻訳のどの段階で働く分子かで切ります。リボソームで起こるのは翻訳、すなわちmRNAの塩基配列をアミノ酸の配列に読み替える反応です。そこで必要になるのは、コドンに対応するアンチコドンをもち、対応するアミノ酸をリボソームまで運ぶtRNAです。
① 誤 DNAポリメラーゼ … DNAの複製でヌクレオチド鎖を伸ばす酵素。翻訳には関与しない。 ② 誤 RNAポリメラーゼ … DNAを鋳型にRNAを合成する転写の酵素。核内で働く。 ③ 誤 RNAのプライマー … DNA複製の開始点に必要な短いRNA。翻訳とは無関係。 ④ 誤 二本鎖DNA … 翻訳の鋳型はmRNAであって、二本鎖DNAではない。 ⑤ 正 tRNA … アンチコドンでmRNAのコドンを読み、対応するアミノ酸をリボソームへ運ぶ。 よって ⑤
リボソームそのものはrRNAとタンパク質からできています。「翻訳の場」と「翻訳に持ち込まれるもの」を分けて整理しておくと、rRNA・mRNA・tRNAの役割が混ざりません。
問1(2):正解 ③(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
動物細胞の模式図(図1)に6本の矢印が描かれており、分泌タンパク質が合成されてから細胞の外へ輸送されるまでの主要な経路を1つ選びます。図には核・粗面小胞体・ゴルジ体・リソソーム・ミトコンドリア・細胞膜が示されています。
<考え方>
分泌タンパク質は「粗面小胞体で合成される → 小胞でゴルジ体へ運ばれる → ゴルジ体で修飾・選別される → 分泌小胞で細胞膜へ運ばれ、開口分泌で外へ出る」という一本道をたどります。図の矢印は、始点がどの構造から出ているかと、終点がどこに達しているかの両方で見分けます。
① 誤 粗面小胞体から出て左方向へ向かい、細胞の外へ出る経路になっていない。 ② 誤 粗面小胞体から出てリソソームを経て左方向へ向かう。ゴルジ体から細胞膜への流れではない。 ③ 正 粗面小胞体から下へ向かい、ゴルジ体を通って細胞膜に達する。分泌の主要経路と一致する。 ④ 誤 ミトコンドリアから出てゴルジ体を通り細胞膜へ向かう。合成の場が粗面小胞体でない。 ⑤ 誤 ミトコンドリアから細胞膜へ直接向かう。 ⑥ 誤 ミトコンドリアからリソソームを経て細胞膜へ向かう。 よって ③
分泌タンパク質のmRNAを翻訳しているのは、粗面小胞体の表面に付着したリボソームです。「粗面小胞体から始まり、ゴルジ体を通って細胞膜に達する」矢印を探せば一本に絞れます。
問2:正解 ②(解答番号3/配点4)
<問題要旨>
下線部は「ミトコンドリアの数が一時的に減少し、残った少数のものが増殖することで、一つの卵の中のミトコンドリアDNAの塩基配列の多様性が偶然の作用により失われやすくなる」という現象です。卵の中の個々のミトコンドリアを集団中の個体に置き換えたとき、これに相当する進化の仕組みを4つから選びます。
<考え方>
進化の要因は、自然選択・遺伝的浮動・突然変異・遺伝子の流入の4つに整理できます。下線部の鍵は「少数になる」と「偶然の作用により多様性が失われる」で、有利・不利と無関係に頻度が偶然変動して固定へ向かう遺伝的浮動、とくに個体数が激減したときのびん首効果に当たります。
① 誤 自然選択 … 生存や繁殖に有利・不利という差があって初めて働く。下線部は「偶然の作用」と明示している。 ② 正 遺伝的浮動 … 集団が小さいほど頻度の偶然変動が大きくなり、多様性が失われやすい。びん首効果に対応する。 ③ 誤 突然変異 … 新しい変異を生み出す要因で、多様性を失わせる向きではない。 ④ 誤 他の集団からの対立遺伝子の流入 … 多様性を増やす向きに働く。卵の中に外部から入ってくる想定もない。 よって ②
「多様性が失われる」向きに働く要因は自然選択と遺伝的浮動の2つです。そのうち偶然によるものが遺伝的浮動だ、という切り分けで決まります。
問3:正解 ①(解答番号4/配点5)
<問題要旨>
ミトコンドリアDNAの突然変異でATP合成機能の低下したミトコンドリアが生じうることを前提に、卵形成過程でミトコンドリア数の一時的減少がある場合の推論として、記述ⓐ〜ⓓのどれが適当かを選び、その組合せを答えます。
<考え方>
「少数を取り出して増やす」という標本抽出の話に戻します。取り出す個数が少ないほど、たまたま一方の型だけが選ばれる確率が上がります。つまり減少によって変わるのは卵ごとのばらつき(どちらか一方に偏る確率)であって、突然変異の起こりやすさではありません。
ⓐ 適当 数が減るほど偶然の偏りが大きくなるので、一つの卵の中が全て正常なミトコンドリアになる確率は高くなる。 ⓑ 適当 同じ理由で、全てATP合成機能の低下したミトコンドリアになる確率も高くなる。偏りは両方向に働く。 ⓒ 不適 ミトコンドリアの数の増減は、ミトコンドリアDNAの突然変異の起こりやすさを変えない。 ⓓ 不適 同様に、機能低下を正常に戻す突然変異が起こりやすくなる理由もない。 よって ⓐ・ⓑ の組合せで ①
ⓐとⓑは反対のことを言っているように見えますが、どちらも「一つの卵の中がどちらか一方だけになりやすくなる」という同じ現象の裏表です。本文の「不利なミトコンドリアが子孫に残りにくくなる」は、ⓑのような卵ができたときにそれが淘汰されることで成り立ちます。
第2問(必答) 昆虫の色素合成にかかわる遺伝子(眼の原基の移植実験から反応段階を特定する)
色素Pの合成経路(物質1→物質2→物質3→物質4→色素P)のア・イ・ウの3段階に、タンパク質A〜Cのどれが関わるかを、3種類の変異体の眼の原基を互いに移植した実験1の結果(表1)から決める大問です。配点は15点。
問1:正解 ④(解答番号5/配点5)
<問題要旨>
物質2と物質3は宿主から移植片へ移動できるが物質4は移動できない、という条件のもとで、表1の16通りの結果を説明できるように、タンパク質A〜Cを図1のア・イ・ウに割り当てます。移植片から宿主への移動は無視します。
<考え方>
移植片が色素Pを作れるのは、「自分では作れない物質を、宿主が作っていて、しかもそれが移動できる」ときだけです。表1を移植片の行ごとに見て、その移植片が何を必要としているのかを逆算します。
【移植片Aの行:どの宿主でも×】 どの宿主からも救済されない=必要なのは移動できない物質4。 → タンパク質Aは 物質3→物質4 の反応、すなわち ウ。 【移植片Bの行:宿主Bのときだけ×】 必要なのは移動できる物質2か物質3。それを用意できない宿主は変異体Bだけ。 宿主Bが物質2すら作れないのは、タンパク質Bが ア(物質1→物質2)を担うとき。 → タンパク質Bは ア。 【移植片Cの行:宿主B・Cのときに×】 残る タンパク質C は イ(物質2→物質3)。 このとき物質3を持たない宿主は、変異体B(物質2も作れない)と変異体C(イができない)の2つ。表と一致する。 【検算:ア=B、イ=C、ウ=A として16通りを確かめる】 宿主が移植片へ渡せるもの 野生型…物質2・物質3 変異体A…物質2・物質3 変異体B…なし 変異体C…物質2 移植片 野生型 自力で色素Pまで合成できる 〇〇〇〇 移植片 変異体A 必要なのは移動できない物質4 ×××× 移植片 変異体B 物質2があればよい 〇〇×〇 移植片 変異体C 物質3が必要 〇〇×× 表1の16通りと完全に一致する。 よって ④
公式解答では、⑥を解答した場合に2点が与えられる。
問2:正解 ③(解答番号6/配点5)
<問題要旨>
物質1が宿主から移植片へ移動できるかどうかについて、実験1の結果を踏まえた考察として最も適当なものを4つから選びます。
<考え方>
ある物質が宿主から移植片へ移動するかを判定できるのは、その物質を自分では用意できない移植片が、その物質を持つ宿主の中で救済されるかどうかを見たときだけです。物質1は経路の出発物質で、変異体A〜Cはいずれもア・イ・ウのどこかが止まっているだけですから、どの変異体も物質1は持っています。つまり「物質1を欠く移植片」が実験1に存在しません。
① 誤 野生型の移植片は自分で物質1を持ち、自力で色素Pまで合成できる。宿主から何かをもらった証拠にならない。 ② 誤 どの宿主でも合成できたのも、移植片が自力で作れるからである。やはり移動の証拠にならない。 ③ 正 物質1を欠く移植片が実験1に含まれていない。したがって物質1が宿主から移植片へ移動できるかは、実験1の結果からは判断できない。 ④ 誤 判定に必要なのは「物質1を欠く移植片」であって「物質1を欠く宿主」ではない。宿主側を欠乏させても、野生型の移植片は自力で合成してしまう。 よって ③
移動の向きを確かめる実験では、「受け取る側が自分では作れない」ことが出発点になります。③と④は文がよく似ていますが、欠けているのが移植片か宿主かで意味が正反対になるので、主語を押さえて読み分けてください。
問3:正解 ⑤(解答番号7/配点5)
<問題要旨>
この昆虫はX染色体を2本持つと雌、X染色体とY染色体を1本ずつ持つと雄になり、遺伝子CはX染色体上にあります。眼で色素Pが合成されない変異体Cの雄と、正常な遺伝子Cが存在するX染色体を2本持つ野生型の雌とを交配したとき、子の雄のうち何%で色素Pが合成されるかを答えます。
<考え方>
伴性遺伝は「雄はX染色体を母からしか受け取らない」で決まります。父のX染色体は娘にしか渡らないので、息子の遺伝子Cはすべて母由来になります。
【親の染色体】 父(変異体Cの雄) [変異型の遺伝子Cをもつ X染色体] + [Y染色体] 母(野生型の雌) [正常な遺伝子Cをもつ X染色体] + [正常な遺伝子Cをもつ X染色体] 【子の雄】 雄になるのは、母からX染色体を、父からY染色体を受け取った子。 母のX染色体はどちらも正常型 → 子の雄は必ず [正常型のX染色体]+[Y染色体] → 正常なタンパク質Cがつくられ、眼で色素Pが合成される。 エ = 100 【検算:子の雌】 子の雌は母から正常型のX染色体、父から変異型のX染色体を受け取る。 正常型を1本持つので雌も色素Pを合成する。父の変異は息子には伝わらないという伴性遺伝の性質と矛盾しない。 よって ⑤
「変異体Cの雄」と聞くと子にも変異が伝わりそうに見えますが、雄が息子に渡すのはY染色体だけです。X染色体上の遺伝子は父から息子へは伝わりません。
第3問(必答) 植物の成長と植物ホルモン(イネの矮性変異体とジベレリン受容体変異体)
ジベレリンによる茎の伸長成長を題材に、植物ホルモン全般の知識(問1)と、変異体の表現型からタンパク質の役割を切り分ける考察(問2〜問4)を組み合わせた大問です。配点は18点。
問1:正解 ⑤・⑥(解答番号8・9/配点6)
<問題要旨>
植物ホルモンに関する6つの記述から、適当なものを2つ選びます(順序不問)。オーキシン・ジャスモン酸・ジベレリン・アブシシン酸・サイトカイニン・エチレンが1つずつ取り上げられています。
<考え方>
各ホルモンについて「どの現象を」「促進するのか抑制するのか」という向きだけを確かめれば決まります。向きが逆になっている記述を順に落としていきます。
① 誤 オーキシンは細胞壁の構造を緩めて幼葉鞘の成長を促進する。「抑制する」が逆。 ② 誤 ジャスモン酸は食害を受けた葉で防御にかかわる物質の合成を誘導する。食害は拡大しにくくなる。 ③ 誤 暗所で育てた芽生えを明所に移すと茎の伸長は抑えられ、茎のジベレリン量は減少する。「増加する」が逆。 ④ 誤 遠赤色光はフィトクロムをPr型に戻して発芽を抑え、アブシシン酸も発芽を抑える。「促進される」が逆。 ⑤ 正 頂芽優勢によって成長が抑えられている側芽にサイトカイニンを与えると、抑制が解除されて成長が始まる。 ⑥ 正 エチレンは果実の成熟を促進する。密閉容器にエチレンを注入すれば未成熟なトマトの成熟が進む。 よって ⑤・⑥
④は「アブシシン酸」と「遠赤色光」という発芽を抑える条件が2つ重なっています。片方だけでも発芽は抑えられるので、促進になることはありません。
問2:正解 ①(解答番号10/配点4)
<問題要旨>
タンパク質Aが機能を失った変異体Aは、通常条件では矮性ですが、ジベレリンを与えると野生型と同様に大きく伸長します(図1)。また通常条件で栽培した地上部のジベレリン量は、野生型を1としたとき変異体Aのほうが明らかに少なくなっています(図2)。ここからタンパク質Aの働きを推定します。
<考え方>
ホルモンの変異体は「ホルモンそのものを作れない型」と「ホルモンを受け取れない型」に大別できます。外からホルモンを与えて表現型が回復するなら、受容と情報伝達の仕組みは無事で、足りないのはホルモンそのものです。図2でジベレリン量が少ないことがそれを裏づけます。
【図1から】 変異体Aは通常条件で矮性 → ジベレリンの働きが足りていない。 ジベレリン条件では野生型と同様に大きく伸長 → 受容・情報伝達の仕組みは正常。 → 足りないのはジベレリンそのもの。 【図2から】 通常条件の地上部のジベレリン量は、野生型を1としたとき変異体Aは1より明らかに小さい。 → 変異体Aでは体内のジベレリンが少ない。 【選択肢の当否】 ① 正 合成できないと考えれば、量が少ないことも、外から与えれば伸びることも両方説明できる。 ② 誤 分解する働きなら、それを失ったとき量は増え、通常条件でも伸長するはず。 ③ 誤 不活性化する働きでも同様で、失ったときは伸びる側に振れる。 ④ 誤 茎から根へ輸送する働きなら、それを失っても茎のジベレリンは減らない。 ⑤ 誤 ジベレリンと無関係な働きでは、図2で量に差が出ることを説明できない。 よって ①
図1だけでは「合成できない」と「感度が低い」を分けきれません。図2でジベレリンの量そのものが少ないことを確かめて、初めて合成の欠損だと言えます。
問3:正解 ①(解答番号11/配点4)
<問題要旨>
タンパク質Rはイネにおける唯一のジベレリンの受容体で、ジベレリンが結合すると活性化します。このタンパク質Rの機能が失われた変異体Rを、通常条件とジベレリン条件で栽培したときの成長の組合せを、9通りから選びます。
<考え方>
受容体は情報の入り口です。唯一の受容体が働かなければ、体内にジベレリンがあってもなくても、また外から与えても、ジベレリンの情報は細胞に伝わりません。したがってどちらの条件でも「ジベレリンが効いていない状態」、すなわち矮性になります。
【通常条件】 ジベレリンを受容できない → ジベレリンの働きが現れない → 矮性 【ジベレリン条件】 外から与えても結合する受容体がない → やはり働きが現れない → 矮性 【対比】 問2の変異体Aがジベレリン条件で伸長したのは、受容体が正常だったから。 変異体Rはその受容体自体を失っているので、与えても回復しない。 よって ①
問2の変異体A(作れない)と問3の変異体R(受け取れない)の違いは、外からジベレリンを与えたときに回復するかどうかに現れます。この対比が第3問全体の骨格です。
問4:正解 ②(解答番号12/配点4)
<問題要旨>
「タンパク質Sは、タンパク質Rとの相互作用を通して情報を受け取り、ジベレリンに応答する遺伝子の発現を調節する」という仮説について、これを検証する実験として適当でないものを4つから選びます。
<考え方>
仮説を「タンパク質Rと相互作用する」「ジベレリンに応答する遺伝子の発現を調節する」の2つの主張に分解し、それぞれの実験がどちらかを直接確かめられるかを見ます。どちらにも届かない実験が答えです。
① 適当 ジベレリンの有無で、応答遺伝子の転写調節領域に結合しているタンパク質Sの量が変わるかを調べる。「発現を調節する」を直接検証している。 ② 不適 野生型のタンパク質Sの量と、変異体Sの変異型タンパク質Sの量を比べるだけ。タンパク質がどれだけ存在するかの確認にとどまり、Rとの相互作用にも遺伝子発現の調節にも触れていない。 ③ 適当 タンパク質Sを過剰に生産させ、応答遺伝子の発現量が野生型と変わるかを調べる。「Sが発現を調節する」を検証できる。 ④ 適当 ジベレリンの存在下と非存在下でタンパク質SとRが結合するかを調べる。「Rとの相互作用を通して情報を受け取る」を検証できる。 よって ②
「適当でないものを選べ」では、残り3つが仮説のどの部分を検証しているかを言えるかどうかで確信が決まります。①と③は発現調節、④は相互作用に対応し、②だけが対応する主張を持ちません。
第4問(必答) 動物の行動(ミツバチの利他行動・生得的行動・飛行距離の知覚・ダンスの方向情報)
ミツバチのダンスを軸に、社会性昆虫の利他行動(問1)、生得的行動と学習の区別(問2)、飛行距離を何で測っているかを調べる実験(問3)、ダンスが伝える情報の中身を問う思考実験(問4)を並べた大問です。配点は19点。
問1:正解 ⑤(解答番号13/配点5)
<問題要旨>
ミツバチのコロニーは、女王・生殖個体・生殖を行わないワーカーからなります。ワーカーは自らの子を残しませんが、その利他行動には自己と共通する遺伝子を広める効果があるとされます。この効果が成立するために必要な条件として、記述ⓐ〜ⓓのどれが必要かを選び、組合せを答えます。
<考え方>
「遺伝子が広まる」とは次世代に伝わるということです。子を残さないワーカーをいくら助けても遺伝子は次世代に渡らないので、助ける相手は子を残す生殖個体でなければなりません。さらに、その生殖個体が自分と共通の遺伝子を持っていること、つまり血縁関係にあることが必要です。
ⓐ 不要 他のワーカーを助けても、そのワーカーは子を残さない。次世代に遺伝子は伝わらない。 ⓑ 必要 生殖個体の生存を助ければ、その個体を通じて次世代へ遺伝子が伝わる。 ⓒ 不要 ワーカーどうしが血縁関係にあっても、子を残さない以上、次世代への受け渡しにはつながらない。 ⓓ 必要 ワーカーと生殖個体が血縁関係になければ、助けても広まるのは自己と共通しない遺伝子になる。 よって ⓑ・ⓓ の組合せで ⑤
「自己と共通する遺伝子を広める」には、(1)次世代に子を残す相手であること、(2)その相手と血縁関係にあること、の2つがそろう必要があります。ⓐとⓒはどちらも(1)を満たしません。
問2:正解 ①(解答番号14/配点4)
<問題要旨>
生得的行動の例として最も適当なものを、カイコガの性フェロモンへの反応、イヌの唾液分泌、アメフラシの2つの実験の4つから選びます。
<考え方>
生得的行動は経験によらず生まれつき備わっている行動、習得的行動(学習)は経験によって変化した行動です。「繰り返した結果」「以前は起きなかったことが起きるようになった」という書き方があれば学習だと判断できます。
① 正 雄のカイコガが性フェロモンに向かって羽ばたくのは、経験なしに起こる生得的行動(定位行動)。 ② 誤 ベルの音と餌を繰り返し結びつけた結果なので、古典的条件づけ。学習である。 ③ 誤 弱い刺激の繰り返しで反応が起こりにくくなるので「慣れ」。学習である。 ④ 誤 強い刺激の後に、弱い刺激に対しても反応するようになるので「鋭敏化」。学習である。 よって ①
③と④はどちらもアメフラシの同じ系での実験ですが、反応が弱まるのが慣れ、強まるのが鋭敏化です。対にして押さえておくと取り違えません。
問3:正解 ③(解答番号15/配点5)
<問題要旨>
側面と底面に白黒の縞模様(垂直縞または水平縞)を端から端まで描いた長さ8mのトンネルを、巣の出入り口から2m離して置き、トンネルの奥または入り口付近の餌場に通ったワーカーのダンスを調べた実験です。図3は、縞の向きと餌場の位置の4通りについて、8の字ダンスと円形ダンスの割合を示しています。空欄ア〜ウに入る語句の組合せを選びます。
<考え方>
ミツバチは巣から餌場までがおよそ100m以内なら円形ダンス、それより遠ければ8の字ダンスを行います。つまりダンスの型が「ワーカーがどれだけ遠いと感じたか」の指標になります。実際の距離は変えずに縞の向きだけを変えているので、結果が変わった原因は縞の見え方、すなわち視覚情報に求められます。
【実際の距離を押さえる】 奥の餌場 巣の出入り口からトンネル入り口まで2m + トンネル8m = 10m 本来、10mの餌場に通ったワーカーは円形ダンスを行う(問題文に明記されている)。 【ア:垂直縞のトンネル】 図3の「垂直縞・奥」の棒を見ると、9割を超える部分が8の字ダンス。 8の字ダンス=およそ100mより遠いと知覚したということ。実際は10m。 → ア = 実際に飛行する距離より長い 【イ:水平縞のトンネル】 図3の「水平縞・奥」は100%が円形ダンス。垂直縞のときのような遠距離の知覚は起きていない。 → イ = 垂直縞のときより短い 【ウ:手掛かり】 トンネルの長さも飛ぶ労力も変えず、側面・底面の縞の向きだけを変えて結果が変わった。 エネルギー消費が同じでも結果が違うのだから、手掛かりはエネルギー消費ではない。 → ウ = 視覚情報 【検算:入り口付近の餌場】 垂直縞・入り口も水平縞・入り口も100%が円形ダンス。トンネル内をほとんど飛んでいないので、縞の違いが出ないのは筋が通る。 よって ③
垂直縞の中を飛ぶと、縞が次々に横切って視野の像が速く流れます。水平縞では進んでも像の流れが乏しくなります。この像の流れの量を積み上げて距離としているため、垂直縞のトンネルでは実際よりずっと遠くまで飛んだと感じることになります。
問4:正解 ③(解答番号16/配点5)
<問題要旨>
場所Hにある巣の中で、場所Fにある餌場を示す8の字ダンスが行われていました。この情報を受け取って巣から出てきたワーカーを捕まえ、少し離れた場所Rに移してから放します。ダンスの情報が正確に伝わっている場合に予想される飛行の軌跡を、図4の矢印①〜⑤から選びます。
<考え方>
8の字ダンスが伝えるのは「巣から餌場への方向」と「巣から餌場までの距離」だけで、餌場の絶対的な位置ではありません。放されたワーカーは自分が巣以外の場所にいることを知らないので、現在地から同じ向きへ同じ距離だけ飛びます。つまり図4で、HからFへの矢印をRまで平行移動したものが答えになります。
【ダンスが伝える情報】 方向:巣から餌場へ向かう向き(図4ではHからFへ向かう向き) 距離:巣から餌場までの距離(図4の50mの目盛りと見比べると、およそ200m) 【矢印を1本ずつ当てる】 ① 誤 RからHへ向かう。巣へ戻る軌跡で、餌場の情報をまったく使っていない。 ② 誤 RからFへ直行する。自分が巣ではない場所にいると知っていなければ引けない軌跡。 ③ 正 RからH→Fと同じ向きへ、H→Fとほぼ同じ長さだけ進む。方向と距離をそのまま使った軌跡。 ④ 誤 Hの上側を回り込んでFに至る。やはり餌場Fに到達してしまう。 ⑤ 誤 右側を回り込んでFに至る。これも餌場Fに到達してしまう。 よって ③
②④⑤はどれも餌場Fに着いてしまう軌跡で、「ダンスの情報だけを頼りに飛ぶ」という前提と合いません。方向と距離しか伝わらない以上、出発点がずれれば到達点も同じだけずれる、と考えるのが筋です。
第5問(必答) 生態系と物質生産(海域ごとの純生産量と鉄を加えた海水の培養実験)
生態系の物質生産を、用語と関係式の確認(問1)、太平洋の3海域の純生産量の比較(問2)、鉄(Fe)を加えた海水の培養実験(問3)の順に問う大問です。配点は14点。
問1:正解 ①(解答番号17/配点4)
<問題要旨>
物質生産の担い手が生態系によって異なることに関連して、純生産量・生産者のエネルギー効率・現存量・成長量についての4つの記述から、最も適当なものを選びます。
<考え方>
物質生産の量的な関係は、総生産量 = 純生産量 + 呼吸量、純生産量 = 成長量 + 被食量 + 枯死量、生産者のエネルギー効率 = 総生産量 ÷ 入射する光エネルギー量、という3本の式に戻せば決まります。
① 正 地球全体で見ると、陸地全体の純生産量は海洋全体より大きい。海は面積こそ広いが、単位面積当たりの生産量が小さい外洋が大半を占める。 ② 誤 生産者のエネルギー効率は(総生産量)÷(入射する光エネルギー量)で定義され、呼吸量は式に入らない。呼吸量の大小では決まらない。 ③ 誤 森林の現存量は、蓄えられた幹や枝の分だけ他の生態系より大きい。 ④ 誤 成長量 = 純生産量 − 被食量 − 枯死量。枯死量を引き忘れている。 よって ①
②は「呼吸量が大きいほど純生産量は小さくなる」であれば正しい記述です。どの量を分子に置く定義なのかを確かめて読み分けてください。
問2:正解 ②・⑤(解答番号18・19/配点6)
<問題要旨>
太平洋の3地点(日本沿岸・太平洋北部・太平洋赤道付近、図1)で海面付近の純生産量を測った結果が図2に示されています(日本沿岸を100とした相対値)。海域における生物の物質生産に関する6つの記述から、適当なものを2つ選びます(順序不問)。
<考え方>
まず図2で3地点の大小関係を読み、次に各記述が「その大小と、挙げている理由の向きが合っているか」を見ます。海洋の植物プランクトンの生産を制限するのは主にリン酸塩や硝酸塩などの栄養塩類で、供給の多い沿岸で大きく、供給の乏しい外洋で小さくなります。
【図2の読み取り(日本沿岸を100とする相対値)】 日本沿岸 100 > 太平洋北部 およそ30 > 太平洋赤道付近 およそ5 【選択肢の当否】 ① 誤 栄養塩類が「少ない」ことを純生産量が大きい理由にしており、因果の向きが逆。 ② 正 日本沿岸には河川からの栄養塩類の流入と、海底から湧き上がる海水の流れがある。供給が多く、純生産量が3地点で最大であることと合う。 ③ 誤 光が届かない深さでは光合成ができない。深い水深での生産を理由にはできない。 ④ 誤 消費者が多いことは、生産者側の量である純生産量が小さい理由にならない。図1・図2からも読み取れない。 ⑤ 正 太平洋赤道付近は大陸から離れていて栄養塩類の供給が乏しい。純生産量が3地点で最小であることと合う。 ⑥ 誤 生育が「促進される」ことを純生産量が小さい理由にしており、文の中で矛盾している。 よって ②・⑤
①と⑥は、理由と結論の向きが文の中で食い違っているので、海洋の知識がなくても落とせます。残りを「栄養塩類の供給が多いか少ないか」という一本の軸で判断すれば決まります。
問3:正解 ③(解答番号20/配点4)
<問題要旨>
太平洋北西部の外洋域で採った海水を光照射下に置き、5℃・8℃・18℃の3つの水温で、それぞれFeを添加する条件としない条件を設けて約10日間培養した実験です。図3はクロロフィル量(植物プランクトン量を反映する)、図4は海水中のN量(0日の測定値を1とする相対値)の時間変化を示します。考察として最も適当なものを5つから選びます。
<考え方>
6つの条件(3つの水温×Feの有無)を1本ずつ、図3で「増えたかどうか」、図4で「Nをどれだけ使ったか」の2点で読みます。「いずれの水温区でも」という言い切りは、反例を1つ見つければ落とせます。
【図4で、最終日(およそ10日)のN量(相対値)を読む】 5℃区 Fe添加なし およそ0.9 / Fe添加あり およそ0.7 8℃区 Fe添加なし およそ0.3 / Fe添加あり 0 18℃区 Fe添加なし およそ0.2 / Fe添加あり 0 消費量は 1 からこの値を引いた分。最小は 5℃区・Fe添加なし の およそ0.1。 【選択肢の当否】 ① 誤 5℃区でも、Fe添加ありのクロロフィル量は最終日に1をこえる値まで増えており、ほぼ横ばいのFe添加なしとは明らかに差がある。図4のN消費量(およそ0.1とおよそ0.3)にも差が出ている。影響しないとは言えない。 ② 誤 5℃区ではNがまだ0.7ほど残っているのに、図3のクロロフィル量は増え続けている。「いずれの水温区でも」が成り立たない。 ③ 正 上の読み取りのとおり、N量が最も多く残っている=Nの消費量が最も小さいのは、5℃区でFeを添加しないときである。 ④ 誤 8℃区のFe添加なしは、最終日にクロロフィル量が3近くまで増えている。増殖しないとは言えない。 ⑤ 誤 最もよく増えたのは8℃区で、18℃区はそれより少ない。水温が高いほど増殖が速いとは言えない。 よって ③
①は、5℃区の伸びが図3の縦軸(0〜10)の中では小さく見えるため引っかかりやすい選択肢です。Fe添加なしのほぼ横ばいと比べれば差は明らかで、図4のN消費量まで合わせて確かめると迷いません。
第6問(必答) 地球大気の変化と光合成を行う生物の進化(酸素発生型光合成・細胞内共生・ルビスコのCO₂応答)
大気中のCO₂濃度とO₂濃度の変化(図1)を背景に、酸素発生型光合成の成立(問1)、葉緑体の起源(問2)、陸上進出と乾燥への適応(問3)、ルビスコのCO₂濃度に対する応答(問4)を順に追う大問です。配点は19点。
問1ア・イ:正解 ②(解答番号21/配点3)
<問題要旨>
「最初に出現した光合成細菌は硫化水素からH⁺と ア を得て光合成を行ったが、シアノバクテリアは イ を使って、地球上の多量の水からH⁺と ア を得て、O₂を発生する光合成を行った」という文章の、空欄ア・イに入る語句の組合せを①〜⑥から選びます。
<考え方>
光合成の電子供与体が何かという話に戻します。光合成細菌はH₂S、シアノバクテリアはH₂Oを分解して電子を取り出します。水を分解できるのは光化学系Ⅱで、そのとき副産物としてO₂が発生します。
【ア】 硫化水素H₂Sからも水H₂Oからも取り出しているのは H⁺ と電子。 ATPは取り出すものではなく、光エネルギーをもとに合成される産物である。 → ア = 電子 【イ】 水を分解してO₂を発生させるのは 光化学系Ⅱ。 光化学系ⅠはNADP⁺の還元に、カルビン・ベンソン回路はCO₂の固定に働き、どちらも水は分解しない。 → イ = 光化学系Ⅱ よって ②
光合成細菌の反応では水の代わりにH₂Sが使われるため、O₂ではなく硫黄Sが生じます。「O₂が出るかどうか」は電子供与体が水かどうかで決まります。
問1ウ・エ:正解 ⑨(解答番号22/配点3)
<問題要旨>
「海洋中のO₂濃度の上昇は ウ を行う真核生物の繁栄につながり、大気に拡散したO₂は成層圏にオゾン層を形成した。オゾン層は太陽光の エ を遮断する効果があった」という文章の、空欄ウ・エに入る語句の組合せを選びます。この設問の選択肢群はア・イとは別建てで、⑦⑧⑨⓪ⓐⓑの6つが用意されています。
<考え方>
O₂が増えて有利になるのは、O₂を使う生物です。O₂を消費して有機物から多量のATPを取り出すのが呼吸(酸素呼吸)です。またオゾン層が遮るのは、DNAを損傷させる短波長の光、すなわち紫外線です。
【ウ】 O₂濃度の上昇によって繁栄するのは、O₂を使う 呼吸 を行う生物。 光合成はO₂を出す側、窒素固定はN₂をアンモニウムイオンに変える反応で、いずれもO₂の増加が直接の追い風になるわけではない。 → ウ = 呼吸 【エ】 オゾン層が吸収して地表に届きにくくしているのは 紫外線。赤外線は遮られない。 → エ = 紫外線 【ウ・エの選択肢群(⑦⑧⑨⓪ⓐⓑ)との対応】 ⑦ 光合成・紫外線 ⑧ 光合成・赤外線 ⑨ 呼吸・紫外線 ⓪ 呼吸・赤外線 ⓐ 窒素固定・紫外線 ⓑ 窒素固定・赤外線 よって ⑨
この設問はア・イとウ・エで選択肢群が分かれており、ウ・エの記号は⑦⑧⑨⓪ⓐⓑです。①〜⑥のつもりで塗ると解答番号22がずれるので、記号を確かめてからマークしてください。
問2:正解 ③(解答番号23/配点4)
<問題要旨>
光合成を行う原核生物の細胞内共生が起こって藻類に進化したという記述に関連して、藻類についての5つの記述から最も適当なものを選びます。
<考え方>
細胞内共生説では、ミトコンドリアは好気性細菌、葉緑体はシアノバクテリアに由来するとされます。どちらも独自のDNAをもち続けています。藻類の出現時期は、本文と図1から約15億年前です。
① 誤 葉緑体の起源はシアノバクテリアであって緑色硫黄細菌ではない。藻類の光合成は硫黄を生じない。 ② 誤 好気性細菌の細胞内共生で生じたと考えられているのはミトコンドリアである。 ③ 正 葉緑体はシアノバクテリアの細胞内共生に由来すると推定され、O₂を発生する光合成を行う。 ④ 誤 葉緑体は現在も独自のDNAをもつ。O₂濃度の上昇でDNAを失ったわけではない。 ⑤ 誤 本文および図1では、藻類の出現は約15億年前とされている。 よって ③
ミトコンドリアと葉緑体で共生した相手を取り違えないことが要です。好気性細菌はO₂を使う側、シアノバクテリアはO₂を出す側、と働きで結びつけておくと混ざりません。
問3:正解 ③(解答番号24/配点4)
<問題要旨>
陸上に進出した植物の乾燥への適応に関する4つの記述から、適当でないものを選びます。
<考え方>
植物の陸上進出の順序に戻ります。最初に陸上に進出したのはコケ植物のなかまで維管束をもたず、維管束はシダ植物以降で発達しました。気孔・クチクラ層・種子は、いずれも乾燥した陸上で水を保ち分布を広げるための仕組みです。
① 適当 乾燥した環境では気孔を閉じて蒸散を抑え、体内の水分を保つ。 ② 適当 表皮細胞の外側に形成されるクチクラ層が水分の蒸発を防ぐ。 ③ 不適 陸上に進出した最初の植物は維管束をもたない。維管束は後のシダ植物以降で発達した。 ④ 適当 種子植物は維管束と気孔の発達に加え、乾燥に耐える種子で繁殖することで様々な陸上環境に分布を広げた。 よって ③
「最初の植物」という限定語に注意してください。維管束が陸上適応として重要であることは正しくても、それを最初の陸上植物が備えていたとは言えません。
問4:正解 ①(解答番号25/配点5)
<問題要旨>
図2は、CO₂濃度と、各光合成生物(被子植物・シダ植物・藻類・シアノバクテリア)のルビスコによるCO₂固定の反応速度との関係を、それぞれの最大値を1とした相対値で示したものです。この応答が各生物の出現時のルビスコの性質を反映すると仮定して、図1の大気中CO₂濃度の変化と合わせて推定される記述ⓐ〜ⓓの組合せを選びます。
<考え方>
図2の4本の曲線を「どのCO₂濃度で頭打ちになるか」で並べ、図1の「時代とともに大気のCO₂濃度が下がる」という流れと重ねます。低いCO₂濃度で最大に近づく曲線をもつ生物ほど、CO₂の薄い時代に出現したことになります。
【図2の曲線を、立ち上がりの速い順に並べる】 被子植物 > シダ植物 > 藻類 > シアノバクテリア 被子植物はCO₂濃度0.2%より手前でほぼ頭打ちになるのに対し、シアノバクテリアは1.0%でもまだ上がり続けている。 【図1で出現時期とそのときのCO₂濃度を読む】 シアノバクテリアの出現 約27億年前 藻類の出現 約15億年前(右側の目盛りでおよそ3%) 植物の出現 約5億年前(0.3%以下) 被子植物はさらに後、現在は0.04% → 出現が新しい生物ほど、低いCO₂濃度で最大に近い速度を出せるルビスコをもつ。 【ⓐ〜ⓓの当否】 ⓐ 推定できる 上の並びは、大気のCO₂濃度の低下と、低い濃度でも効率よくCO₂固定ができるルビスコをもつ生物の出現とが対応していることを示している。 ⓑ 推定できる 藻類の出現時のCO₂濃度は図1でおよそ3%。図2の藻類の曲線は1.0%ですでに0.9をこえており、3%ではさらに最大値に近い。 ⓒ 推定できない 現在のCO₂濃度0.04%は、図2の横軸ではごく左端にあたる。被子植物の曲線はそこではまだ立ち上がりの途中で、最大値には達していない。 ⓓ 推定できない 0.04%から0.08%へ上がる区間でも被子植物の曲線はなお右上がりで、固定速度は増える。「影響を与えない」とは言えない。 よって ⓐ・ⓑ の組合せで ①
ⓒとⓓは「現在のCO₂濃度で被子植物のルビスコが飽和しているか」という同じ論点の言い換えなので、図2の左端を読めば同時に落とせます。横軸で0.04%と0.08%がどのあたりかを先に目で押さえてから曲線を見るのが確実です。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

