2020年度 大学入試センター試験 本試験 数学Ⅰ 解答・解説

2020年度 大学入試センター試験 本試験「数学Ⅰ」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2020年度 大学入試センター試験 本試験「数学Ⅰ」の全設問について、正解と考え方を解説します。第1問〜第4問はすべて必答です(計4問・100点)。各設問の見出しをタップすると解説が開きます。なお第1問・第2問〔2〕・第4問の一部は「数学Ⅰ・数学A」と共通の問題です。

第1問 〔1〕 1次関数(直線の傾きと x 切片、値域)

傾きが a の2次式で与えられた直線を扱う設問です。(2) は b = −a/(a²−2a−8) の符号を考えるだけですが、分子の符号が a の正負で変わるので場合分けの向きに注意します。(3) は f(1) + f(−1) を計算すると傾きの項がきれいに消えることが決め手になります。

アイ<a<ウ:正解 −2<a<4(配点3)

<問題要旨>
直線 ℓ:y = (a²−2a−8)x + a の傾きが負となる a の範囲を求めます。

<考え方>
傾きの式を因数分解して2次不等式を解くだけです。

a² − 2a − 8 = (a − 4)(a + 2) < 0

−2 < a < 4
エ<a<オ:正解 0<a<4(配点2)

<問題要旨>
a > 0 の場合に、ℓ と x 軸との交点の x 座標 b が正となる a の範囲を求めます。

<考え方>
b は分数式で表されます。a > 0 なので分子 −a は負。したがって分母も負でなければ b > 0 になりません。

(a² − 2a − 8)x + a = 0  →  b = −a / (a² − 2a − 8)

a > 0 のとき分子 −a < 0
b > 0 ⟺ 分母 (a−4)(a+2) < 0 ⟺ −2 < a < 4

a > 0 とあわせて 0 < a < 4
カキ:正解 −2(配点2)

<問題要旨>
a ≦ 0 の場合に、b > 0 となる a の範囲を求めます。

<考え方>
今度は分子 −a が 0 以上になります。a = 0 では b = 0 となり条件を満たさないので、a < 0 のもとで分母が正になる範囲を探します。

a < 0 のとき分子 −a > 0
b > 0 ⟺ 分母 (a−4)(a+2) > 0 ⟺ a < −2 または a > 4

a < 0 とあわせて a < −2
(ク√ケ−コ)/サシ:正解 (5√3−6)/13(配点3)

<問題要旨>
a = √3 のときの b を求めます。

<考え方>
代入して分母を有理化します。分母が −5 − 2√3 と符号が入り組むので、まず全体の符号をそろえてから有理化すると間違えにくくなります。

b = −√3 / ((√3)² − 2√3 − 8)
 = −√3 / (3 − 2√3 − 8)
 = −√3 / (−5 − 2√3)
 =  √3 / (5 + 2√3)

分母を有理化
 = √3(5 − 2√3) / ((5)² − (2√3)²)
 = (5√3 − 2·3) / (25 − 12)
 = (5√3 − 6) / 13
スセ/ソ:正解 −1/2(配点2)

<問題要旨>
f(x) = (a²−2a−8)x + a について、a < 0 かつ |f(1) + f(−1)| = 1 を満たす a を求めます。

<考え方>
f(1) と f(−1) を足すと、傾きの項が符号違いで打ち消し合って 2a だけが残ります。ここに気づけば一瞬です。

f(1)  = (a² − 2a − 8) + a
f(−1) = −(a² − 2a − 8) + a

f(1) + f(−1) = 2a

|2a| = 1  →  a = ±1/2
a < 0 より a = −1/2
タチツ≦f(x)≦テト:正解 −14≦f(x)≦13(配点3)

<問題要旨>
そのとき −2 ≦ x ≦ 2 における f(x) のとり得る値の範囲を求めます。

<考え方>
a = −1/2 を代入して傾きを出します。傾きが負なので、x が大きいほど f(x) は小さくなります。両端を計算すれば済みます。

傾き = a² − 2a − 8 = 1/4 + 1 − 8 = −27/4  (負)
f(x) = −(27/4)x − 1/2

x = 2  のとき f(2)  = −27/2 − 1/2 = −14  (最小)
x = −2 のとき f(−2) =  27/2 − 1/2 =  13  (最大)

−14 ≦ f(x) ≦ 13

第1問 〔2〕 集合と命題(4 の倍数・6 の倍数・24 の倍数)

p「4 の倍数」、q「6 の倍数」、r「24 の倍数」という三つの条件を、集合の言葉と命題の言葉の間で行き来する設問です。「p かつ q」は 12 の倍数であって 24 の倍数とは限らない——この一点がすべての設問の芯になっています。

ナ:正解 ②(配点2)

<問題要旨>
32 がどの集合に属するかを選びます。

<考え方>
32 が p, q, r それぞれを満たすかどうかを順に確かめます。

32 = 4 × 8   → 4 の倍数    → 32 ∈ P
32 ÷ 6 は割り切れない → 32 ∉ Q(Q の補集合に属する)
32 ÷ 24 は割り切れない → 32 ∉ R

よって 32 ∈ P ∩ (Q の補集合)
ニ:正解 ⑤(配点2)

<問題要旨>
50 がどの集合に属するかを選びます。

<考え方>
32 のときと同じく、p, q, r それぞれを満たすかどうかを確かめます。50 はどれも満たしません。

50 ÷ 4  = 12 あまり 2  → 4 の倍数でない  → 50 ∈ P の補集合
50 ÷ 6  =  8 あまり 2  → 6 の倍数でない  → 50 ∈ Q の補集合
50 ÷ 24 =  2 あまり 2  → 24 の倍数でない → 50 ∈ R の補集合

よって 50 ∈ (P の補集合) ∩ (Q の補集合) ∩ (R の補集合)
ヌネ:正解 12(配点2)

<問題要旨>
P ∩ Q に属する自然数のうち最小のものを求めます。

<考え方>
4 の倍数かつ 6 の倍数、すなわち 4 と 6 の公倍数です。最小公倍数を求めます。

4 = 2², 6 = 2×3
最小公倍数 = 2²×3 = 12
ノ:正解 ④(配点2)

<問題要旨>
12 と R の関係を表す記号を選びます。

<考え方>
12 は「数」であって集合ではないので、⊂ や ⊃ ではなく ∈ か ∉ です。12 は 24 の倍数ではないので属しません。

R = { 24 の倍数 } = {24, 48, 72, …}
12 ∉ R
ハ:正解 ③(配点2)

<問題要旨>
12 が反例となる命題を選びます。

<考え方>
反例とは「仮定は満たすが結論は満たさない例」です。12 について p, q, r の真偽をまず確かめ、それから各命題に当てはめます。

12 について p:真(4の倍数), q:真(6の倍数), r:偽(24の倍数でない)

⓪「(p かつ q) ⟹ r の否定」: 仮定 真, 結論 真 → 成立。反例でない
①「(p または q) ⟹ r の否定」: 仮定 真, 結論 真 → 成立。反例でない
②「r ⟹ (p かつ q)」  : 仮定が偽なので、そもそも反例になりえない
③「(p かつ q) ⟹ r」  : 仮定 真, 結論 偽 → 反例

第2問 〔1〕 2次関数(グラフの向きと判別式、区間での最大最小)

2次関数の基本を確認する小問です。(1) は「x² の係数の符号で凸の向きが決まる」「判別式の符号で x 軸との共有点の個数が決まる」「y 軸とは必ず交わる」の三つを区別できるかを問うています。

ア,イ:正解 ①,③(配点4・各2)

<問題要旨>
y = x² + ax + b のグラフ F について、正しい記述を二つ選びます。

<考え方>
x² の係数は 1 で正なので下に凸。x 軸との共有点は判別式 a² − 4b の符号で決まります。y 軸とは x = 0 で必ず交わるので、④ ⑤ は最初から誤りです。

⓪ 上に凸 … x² の係数が 1 > 0 なので下に凸。誤り
① 下に凸 … 正しい

判別式 D = a² − 4b
② a² > 4b(D > 0)のとき共有点をもたない … 実際は 2 個。誤り
③ a² < 4b(D < 0)のとき共有点をもたない … 正しい

④ ⑤ y 軸との共有点は必ず (0, b) の 1 個。どちらも誤り
ウ:正解 ⑥(配点4)

<問題要旨>
y = x² + 2x − 1 の、−3 ≦ x ≦ 2 における最小値と最大値の組合せを選びます。

<考え方>
平方完成して頂点を出し、頂点が区間に入っているかを確かめます。最大値は区間の端で取ります。

y = x² + 2x − 1 = (x + 1)² − 2
頂点 (−1, −2)  … −3 ≦ −1 ≦ 2 なので区間内

最小値 = −2(x = −1)

端点の値
 x = −3 : 9 − 6 − 1 = 2
 x =  2 : 4 + 4 − 1 = 7   ← 大きい

最大値 = 7

第2問 〔2〕 2次関数(2点を通るように平行移動した放物線)

y = x² を平行移動して 2 点 (c, 0), (c+4, 0) を通らせる設定です。x 軸との交点が分かっているので、因数分解された形から出発するのが最短。x = 3 での値 k を c で表すと (c−1)² − 4 という2次式になり、以降はこの式の値域を読むだけの問題になります。

x²−2(c+エ)x+c(c+オ):正解 x²−2(c+2)x+c(c+4)(配点2)

<問題要旨>
グラフ G をもつ2次関数を c で表します。

<考え方>
x 軸との交点が (c, 0), (c+4, 0) で、x² の係数は平行移動しても 1 のままなので、因数分解形から展開するだけです。

y = (x − c){x − (c + 4)}
 = x² − (2c + 4)x + c(c + 4)
 = x² − 2(c + 2)x + c(c + 4)
(c−カ)²−キ:正解 (c−1)²−4(配点3)

<問題要旨>
G が点 (3, k) を通るとき、k を c で表します。

<考え方>
G の式に x = 3 を代入して c について整理し、平方完成します。

k = 3² − 2(c + 2)·3 + c(c + 4)
 = 9 − 6c − 12 + c² + 4c
 = c² − 2c − 3
 = (c − 1)² − 4
クケ:正解 −4(配点2)

<問題要旨>
c が実数全体を動くときの k の最小値を求めます。

<考え方>
k = (c−1)² − 4 は c の2次関数で下に凸。頂点で最小になります。

c = 1 のとき k = −4(最小)
−コ≦c≦サ:正解 −1≦c≦0(配点2)

<問題要旨>
−3 ≦ k ≦ 0 となる c の範囲のうち、小さい方を求めます。

<考え方>
k = (c−1)² − 4 を二つの不等式に分けて解き、共通部分を取ります。

k ≦ 0 :  (c − 1)² ≦ 4  →  −1 ≦ c ≦ 3
k ≧ −3 : (c − 1)² ≧ 1  →  c ≦ 0 または c ≧ 2

共通部分は  −1 ≦ c ≦ 0  と  2 ≦ c ≦ 3
シ≦c≦ス:正解 2≦c≦3(配点2)

<問題要旨>
同じ条件を満たす c の範囲のうち、大きい方を求めます。

<考え方>
上の共通部分のもう一方の区間です。

セ+√ソ:正解 3+√3(配点2)

<問題要旨>
2 ≦ c ≦ 3 のとき、G が点 (3, −1) を通るとして、G が y = x² を x 軸方向にどれだけ平行移動したものかを求めます。

<考え方>
まず (3, −1) を通る条件から c を決め、次に G を平方完成して頂点を出します。x 軸方向の移動量は頂点の x 座標そのものです。

(c − 3)(c + 1) = −1
c² − 2c − 3 = −1  →  c² − 2c − 2 = 0
c = 1 ± √3、2 ≦ c ≦ 3 より c = 1 + √3

G を平方完成すると
y = x² − 2(c+2)x + c(c+4) = (x − (c+2))² − 4

x 軸方向の移動量 = c + 2 = 3 + √3
タチ:正解 −4(配点2)

<問題要旨>
同じく y 軸方向の移動量を求めます。

<考え方>
上の平方完成から、頂点の y 座標は c によらず −4 です。ここが c で表されないことに気づくと見通しがよくなります。

−(c+2)² + c(c+4) = −(c² + 4c + 4) + c² + 4c = −4
ツ+テ√ト:正解 8+6√3(配点2)

<問題要旨>
そのときの G と y 軸との交点の y 座標を求めます。

<考え方>
x = 0 を代入すれば定数項 c(c+4) がそのまま答えです。c = 1 + √3 を代入して展開します。

c(c + 4) = (1 + √3)(1 + √3 + 4)
       = (1 + √3)(5 + √3)
       = 5 + √3 + 5√3 + 3
       = 8 + 6√3

第3問 〔1〕 図形と計量(三辺から余弦定理で面積を出す)

三辺の長さだけが与えられた三角形の面積を求める、基本の流れです。ここで得られる 5√5 という値と、辺の比 5 : 6 : √21 が、後半の (3) でそのまま効いてきます。

ア/イ:正解 2/3(配点3)

<問題要旨>
AB = 5, BC = 6, CA = √21 のとき cos∠ABC を求めます。

<考え方>
三辺がわかっているので余弦定理をそのまま使います。

cos∠ABC = (AB² + BC² − CA²) / (2·AB·BC)
      = (25 + 36 − 21) / (2·5·6)
      = 40/60 = 2/3
√ウ/エ:正解 √5/3(配点3)

<問題要旨>
sin∠ABC を求めます。

<考え方>
三角形の内角なので sin > 0 です。

sin²∠ABC = 1 − (2/3)² = 5/9
sin∠ABC = √5/3
オ√カ:正解 5√5(配点3)

<問題要旨>
△ABC の面積を求めます。

<考え方>
2辺とそのはさむ角の sin がわかったので、S = (1/2)·AB·BC·sin∠ABC です。

S = (1/2) × 5 × 6 × (√5/3) = 5√5

第3問 〔2〕〔3〕 図形と計量(正方形の中の三角形と、四面体の垂線)

1 辺 8 の正方形の中に2点をとる設定です。座標を入れて I(6, 0), H(8, 4) と決めてしまえば、あとの相似も内接円も見通しよく片づきます。(3) は「体積を2通りに表す」という定番の手で垂線の長さを出します。

キ,ク:正解 ③,①(配点5)

<問題要旨>
DI と HI の長さを求めます。

<考え方>
正方形 DEFG を D(0, 8), E(8, 8), F(8, 0), G(0, 0) と座標に置きます。H は辺 EF 上なので H(8, h)、I は辺 FG 上なので I(i, 0) と書けます。

cos∠DIG について
 IG = (−i, 0),  ID = (−i, 8)
 cos∠DIG = i² / (i · √(i² + 64)) = i / √(i² + 64) = 3/5
 25i² = 9(i² + 64)  →  16i² = 576  →  i = 6

 I(6, 0)、DI = √(6² + 8²) = 10

tan∠FIH について
 IF = (2, 0),  IH = (2, h)
 tan∠FIH = h / 2 = 2  →  h = 4

 H(8, 4)、HI = √(2² + 4²) = √20 = 2√5
ケ:正解 ①(配点2)

<問題要旨>
△DEH, △DGI, △DHI のうち △HFI と相似なものを二つ選びます。

<考え方>
△HFI は直角をはさむ 2 辺が 2 と 4、斜辺 2√5 なので、辺の比は 1 : 2 : √5 です。この比になるものを探します。

△HFI : FI = 2, FH = 4, HI = 2√5  → 1 : 2 : √5

△DEH : EH = 4, DE = 8, DH = 4√5  → 1 : 2 : √5   ○
△DGI : GI = 6, DG = 8, DI = 10   → 3 : 4 : 5    ×
△DHI : HI = 2√5, DH = 4√5, DI = 10 → 1 : 2 : √5  ○
   ((2√5)² + (4√5)² = 100 = 10² なので ∠DHI = 90°)

よって △DEH と △DHI
コ:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
∠DIG と ∠DIH の大小を比べます。

<考え方>
∠DIG は cos が 3/5 と与えられています。∠DIH はベクトルの内積で cos を出して比べます。cos が大きいほど角は小さくなります。

cos∠DIG = 3/5 = 0.6

ID = (−6, 8), IH = (2, 4)
cos∠DIH = (−12 + 32) / (10 × 2√5) = 20 / (20√5) = 1/√5 ≒ 0.447

cos∠DIG > cos∠DIH なので ∠DIG < ∠DIH
サ:正解 5(配点3)

<問題要旨>
△DHI の外接円の半径を求めます。

<考え方>
∠DHI = 90° なので、斜辺 DI がそのまま外接円の直径になります。

DI = 10 が直径 → 半径 = 5
シ√ス−セ:正解 3√5−5(配点3)

<問題要旨>
△DHI の内接円の半径を求めます。

<考え方>
直角三角形なので、(直角をはさむ 2 辺の和 − 斜辺)÷ 2 で出ます。

r = (HI + DH − DI) / 2
 = (2√5 + 4√5 − 10) / 2
 = (6√5 − 10) / 2
 = 3√5 − 5
ソタ√チ:正解 20√5(配点2)

<問題要旨>
HJ ⊥ HD, HJ ⊥ HI, HJ = 8 を満たす点 J をとったときの △IDJ の面積を求めます。

<考え方>
HJ は HD と HI の両方に垂直なので、平面 DHI に垂直です。三平方の定理で JD と JI を出すと、(1) の三角形と辺の比が一致します。

JD = √(HJ² + HD²) = √(64 + 80) = 12
JI = √(HJ² + HI²) = √(64 + 20) = 2√21
DI = 10

JD : DI : JI = 12 : 10 : 2√21 = 2 × (6 : 5 : √21)

(1) の △ABC(AB=5, BC=6, CA=√21)と相似で相似比 2
面積は 2² 倍になるので
 S = 4 × 5√5 = 20√5
ツ√テ/ト:正解 8√5/5(配点3)

<問題要旨>
点 H から △IDJ に下ろした垂線 HK の長さを求めます。

<考え方>
四面体 JDHI の体積を、底面を △DHI とみる場合と △IDJ とみる場合の2通りで表して等号で結びます。

△DHI = (1/2) × HI × DH = (1/2) × 2√5 × 4√5 = 20

底面を △DHI、高さを HJ とみると
 V = (1/3) × 20 × 8 = 160/3

底面を △IDJ、高さを HK とみると
 V = (1/3) × 20√5 × HK

(1/3) × 20√5 × HK = 160/3
 HK = 160 / (20√5) = 8/√5 = 8√5/5

第4問 データの分析(市区町村別平均寿命と変動係数)

四分位数の性質を一般論として問う (1) と、箱ひげ図・ヒストグラム・散布図を突き合わせる (2)〜(4)、そして変動係数を扱う (5) からなります。(5) は「定数倍しても変わらないが、定数を足すと変わる」という変動係数の性質を、定義式に立ち返って確かめられるかどうかが問われています。

ア,イ:正解 ③,⑤(配点6・各3)

<問題要旨>
99 個の観測値からなるデータについて、四分位数に関する記述のうちどのようなデータでも成り立つものを二つ選びます。

<考え方>
99 個なので中央値は第 50 番目、第 1 四分位数は第 25 番目、第 3 四分位数は第 75 番目です。反例を作れるかどうかで判定します。

⓪ 平均値は Q1 と Q3 の間 … 極端な外れ値があれば外に出る。誤り
① 四分位範囲 > 標準偏差 … 一般には成り立たない。誤り
② 中央値より小さい観測値は 49 個 … 同じ値が重複すると成り立たない
              (全部同じ値なら 0 個)。誤り
④ Q1 未満と Q3 超を削除すると 51 個 … これも重複があると崩れる。誤り

③ 最大値を 1 個削除しても Q1 は変わらない
   99 個 → Q1 は第 25 番目
   98 個 → 下位 49 個の中央値 = 第 25 番目
   小さい方から数えた位置が変わらないので、値も変わらない。正しい

⑤ Q1 未満と Q3 超を削除すると、範囲 = もとの四分位範囲
   残るのは Q1 以上 Q3 以下の値で、Q1 も Q3 も実際の観測値だから残る
   よって 最大 − 最小 = Q3 − Q1 = 四分位範囲。正しい
ウ:正解 ⑥(配点3)

<問題要旨>
図1(47 都道府県の箱ひげ図)についての (I)(II)(III) の正誤の組合せを選びます。

<考え方>
「どの都道府県においても」「小さい順に並んでいる」という全称の主張なので、反例を一つ見つければ倒せます。

(I) 四分位範囲はどの都道府県でも 1 以下
  → P10 の箱の幅は 1.4 ほどあり、1 を超えている。誤り

(II) 中央値が小さい順に上から下へ並んでいる
  → P3 の中央値(約 79.7)より P4 の中央値(約 79.5)の方が小さく、
    順序が逆転している。誤り

(III) P1 のどの値と P47 のどの値と比べても 1.5 以上の差がある
  → いちばん近いのは P1 の最大値(約 79.4)と P47 の最小値(約 81.2)
    その差 約 1.8 ≧ 1.5。正しい

(誤, 誤, 正)
エ:正解 ④(配点3)

<問題要旨>
図2のヒストグラム(20 の市区町村)に対応する箱ひげ図を選びます。

<考え方>
20 個なので、中央値は第 10・11 番目の平均、Q1 は下位 10 個の中央値(第 5・6 番目の平均)、Q3 は上位 10 個の中央値(第 15・16 番目の平均)です。累積度数からそれぞれがどの階級に入るかを絞ります。

図2 の度数 : [79.5,80.0) 2, [80.0,80.5) 4, [80.5,81.0) 9,
        [81.0,81.5) 3, [81.5,82.0) 2   (合計 20)
累積      : 2, 6, 15, 18, 20

最小値 : [79.5, 80.0)
Q1(第5・6番目)  : どちらも [80.0, 80.5)
中央値(第10・11番目): どちらも [80.5, 81.0)
Q3(第15・16番目) : 第15番目は [80.5,81.0)、第16番目は [81.0,81.5)
            → Q3 は 80.75 以上 81.25 未満
最大値 : [81.5, 82.0)

④ は Q1 ≒ 80.4、中央値 ≒ 80.5、Q3 ≒ 81.0、最小 ≒ 79.7、最大 ≒ 81.6
ですべて条件を満たす(③ は最大値が 81.5 に届かないので不適)
オ:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
都道府県ごとに男女の平均寿命の差をとったデータのヒストグラムを選びます。

<考え方>
図3の補助線は「傾き 1、切片 5.5 から 7.5 まで 0.5 刻み」なので、直線 y = x + c 上の点は 差 が c ちょうどです。つまり補助線がそのまま差の目盛りになっており、点が線と線の間のどこにあるかを見れば分布が読めます。

図3 で点は左下の帯(差が小さい側)に多く集まり、
右上の帯(差が 7.0 を超える側)にはごくわずかしかない。

実際に点を数えると、差の分布はおよそ
 5.75〜6.00 : 9
 6.00〜6.25 : 10
 6.25〜6.50 : 12
 6.50〜6.75 : 7
 6.75〜7.00 : 6
 7.00〜7.25 : 2
 7.25〜7.50 : 1     (合計 47)

左に山があって右に長く裾を引く形。
⓪ ① は逆向き(右に山)、② は最初の階級が小さすぎるので、③
カ:正解 ②(配点1)

<問題要旨>
昭和 25 年の変動係数 V と、平成 27 年の変動係数 0.509 の大小を比べます。

<考え方>
定義どおり(標準偏差)÷(平均値)を計算するだけです。

V = 20.1 / 27.2 = 0.7389…

0.739 > 0.509 なので V > 0.509
キ:正解 ①(配点2)

<問題要旨>
平成 27 年の年齢データの値すべてを 100 倍したとき、変動係数がどうなるかを答えます。

<考え方>
すべての値を 100 倍すると、平均値も標準偏差も 100 倍になります。分子と分母で打ち消し合うので、変動係数は変わりません。

平均値  : 48.1 → 4810
標準偏差 : 24.5 → 2450

変動係数 = 2450 / 4810 = 24.5 / 48.1  (もとと同じ)
ク:正解 ⓪(配点2)

<問題要旨>
平成 27 年の年齢データの値すべてに 100 を加えたとき、変動係数がどうなるかを答えます。

<考え方>
すべての値に同じ数を足しても散らばりは変わらないので標準偏差はそのまま。一方、平均値だけが 100 増えます。分母が大きくなるので変動係数は小さくなります。

平均値  : 48.1 → 148.1
標準偏差 : 24.5 → 24.5(変わらない)

変動係数 = 24.5 / 148.1 = 0.165…
もとの 24.5 / 48.1 = 0.509 より小さい

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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