2018年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2018年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答・解説です。第1問〜第4問が必答(25+20+20+20=85点)、第5問と第6問はどちらか1問を選択(15点)で、合計100点。
本記事では第5問・第6問の両方を解説していますので、選ばなかったほうの復習にも使ってください。設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。
第1問 小問集合(衝突・音波・電場・気体分子運動論・重心)
力学・波動・電磁気・熱から1問ずつの小問集合。問3の電場の向きは「近い2つ」と「遠い2つ」に分けて合成すると一気に見通せます。問5は「切り取った円板ともとの円板」で重心の式を立てるのが定石です。
問1:正解 ⑤(配点5)
<問題要旨>
速さ v で進む質量 m の小物体が、静止していた質量 M の物体に衝突して一体となりました。一体となった物体の運動エネルギーを求めます。
<考え方>
合体する衝突では運動量保存だけが使えます(力学的エネルギーは保存しません)。まず合体後の速さを出してから、運動エネルギーを計算します。
運動量保存
mv = (M + m)V
V = mv/(M + m)
運動エネルギー
K = (1/2)(M + m)V²
= (1/2)(M + m) × m²v²/(M + m)²
= m²v² / {2(M + m)}
衝突前の (1/2)mv² より小さい。
差は熱や変形のエネルギーになる
問2:正解 ③(配点5)
<問題要旨>
空気中を伝わる音についての5つの記述から、最も適当なものを選びます。
<考え方>
音速は媒質(空気の温度)で決まり、振動数にはよりません。1オクターブ高い音は振動数が2倍なので波長は半分。うなりは「振動数がわずかに違う」ときに生じます。
① 音の速さは空気の温度で決まり、振動数によらない → 誤り ② 1オクターブ高い = 振動数が2倍 v = fλ で v は一定だから λ は 1/2 になる → 誤り ③ 音が障害物の背後にまわりこむ現象 = 回折 → 正しい ← ④ うなりは「振動数がわずかに異なる」二つの波で生じる。 振幅が違うだけでは生じない → 誤り ⑤ ドップラー効果では、音源が近づくほど 観測者が聞く振動数は大きく(高く)なる → 誤り
問3:正解 ⑦(配点5)
<問題要旨>
正方形 ABCD の頂点に ±Q の点電荷を固定したとき、辺BC の垂直二等分線上で辺BC より右側にある点 P での電場の向きを選びます。
<考え方>
4つの電荷を「P に近い2つ(B, C)」と「遠い2つ(A, D)」に分けて、それぞれの合成を先に作ります。どちらのペアも対称性から水平成分が打ち消し合い、鉛直成分だけが残ります。あとは距離の近いペアが勝ちます。
O を正方形の中心、1辺を 2a として A(−a, −a) +Q, B(a, −a) −Q C(a, a) +Q, D(−a, a) −Q P(p, 0)(p > a) [近いペア B, C]P からの距離は等しく r C(+Q) から遠ざかる向き:(p−a, −a)/r B(−Q) へ向かう向き :(−(p−a), −a)/r 和 ∝ (0, −2a) … 真下向き [遠いペア A, D]P からの距離は等しく r' (> r) A(+Q) から遠ざかる向き:(p+a, a)/r' D(−Q) へ向かう向き :(−(p+a), a)/r' 和 ∝ (0, +2a) … 真上向き 大きさは 1/(距離)³ に比例し r < r' だから 下向きのほうが大きい → 点P での電場は真下を向く ⑦
問4:正解 ①(配点5)
<問題要旨>
単原子分子理想気体について、分子の平均運動エネルギーと絶対温度の関係(ア)、分子量との関係(イ)、および同じ温度でのヘリウムとネオンの2乗平均速度の比較(ウ)を答えます。
<考え方>
平均運動エネルギーは (3/2)kT で、温度だけで決まります。一方、2乗平均速度は √(3kT/m) なので、同じ温度なら軽い分子ほど速く動きます。
平均運動エネルギー (1/2)m × (2乗平均速度)² = (3/2)kT → 絶対温度に比例(ア = 比例) → 右辺に質量が入らない = 分子量によらない(イ) 2乗平均速度 √( 3kT/m ) 同じ温度なら m が小さいほど大きい He の分子量 4、Ne の分子量 20 → ヘリウムの方が大きい(ウ)
問5:正解 ②(配点5)
<問題要旨>
点O を中心とする半径 3.0 cm の一様な円板から、内接する半径 2.0 cm の円板A を切り取りました。残った部分B の重心G の位置と、OG 間の距離を求めます。
<考え方>
「もとの円板 = 切り取った円板A + 残りB」とみて重心の式を立てます。一様な厚さなので、質量は面積、つまり半径の2乗に比例します。
O を原点、O から O' の向きを負にとる 内接するので OO' = 3.0 − 2.0 = 1.0 cm → O' の位置は x = −1.0 質量は面積 ∝ (半径)² に比例 もとの円板:3.0² = 9 切り取った A:2.0² = 4 残った B :9 − 4 = 5 重心の式(もとの円板の重心は O、x = 0) 9 × 0 = 4 × (−1.0) + 5 × x_G 0 = −4.0 + 5x_G x_G = 0.8 → G は点O の右側、OG = 0.8 cm
第2問 A 電磁気(コンデンサーの充電と放電)
直流電源・抵抗・コンデンサーの直列回路です。「はじめは電荷0だから全電圧が抵抗にかかる」「十分後は電流0」の2点を押さえれば、グラフはすぐ決まります。
問1:正解 ①(配点5)
<問題要旨>
時刻 t = 0 にスイッチを a 側(電源側)に入れたときの、電流 I と時刻 t の関係を表すグラフを選びます。
<考え方>
コンデンサーの充電です。最初は電荷が 0 なのでコンデンサーの電圧も 0、電源の電圧がすべて抵抗にかかって電流は最大。充電が進むとコンデンサーの電圧が上がり、電流は 0 に近づきます。
t = 0:コンデンサーの電荷は 0 → コンデンサーの電圧は 0 → 電源の電圧がすべて抵抗にかかる → 電流は最大 I = V/R 時間が経つ:コンデンサーが充電される → コンデンサーの電圧が上がる → 抵抗にかかる電圧が減る → 電流は減る 十分に時間が経つ:コンデンサーの電圧が V → 電流は 0 正の最大値から 0 へ向かって減る曲線 → ①
問2:正解 ⑧(配点5)
<問題要旨>
十分に長い時間が経った後にスイッチを b 側に入れ、電流が流れなくなるまでの間に抵抗で発生するジュール熱を求めます。
<考え方>
b 側にすると電源が回路から切り離され、コンデンサーと抵抗だけの回路になります。コンデンサーに蓄えられていたエネルギーが、そっくり抵抗で熱に変わります。積分は不要です。
a 側で十分に時間が経った状態
コンデンサーの電圧 = V
蓄えられたエネルギー U = (1/2)CV²
b 側に入れると電源が切り離される
→ コンデンサーが抵抗を通して放電する
→ 電流が 0 になったとき、コンデンサーの電荷も 0
エネルギー保存
ジュール熱 = 最初に蓄えられていたエネルギー
= (1/2)CV² = CV²/2
(電流の時間変化を積分する必要はない)
第2問 B 電磁気(磁場中を落下する長方形コイル)
電磁誘導の定番。「辺ab だけが磁場の中にある間だけ磁束が変化する」という時間の切り分けと、レンツの法則による向きの決定がポイントです。
問3:正解 ④(配点5)
<問題要旨>
磁場のある領域(y ≦ 0)へ長方形コイル abcd が一定の速さで落下していく間の、コイルに流れる電流 I と時刻 t の関係を選びます。abcda の向きを正とします。
<考え方>
辺 ab が磁場に入ってから辺 cd が入るまでの間だけ、コイルを貫く磁束が増え続けます。レンツの法則からそれを妨げる向きの誘導電流が流れます。図で abcda がどちら回りかを確認するのを忘れないこと。
図2 で a は左下、b は右下、c は右上、d は左上 → abcda は反時計回り(これが正の向き) 0 < t < T:辺ab は磁場の中、辺cd はまだ外 コイルを貫く磁束(紙面の裏から表向き)が増える → レンツの法則より、それを打ち消す向き = 紙面の表から裏向きの磁束をつくる向き = 時計回り(=負の向き) 速さ v が一定なので 誘導起電力 V = Bwv は一定 電流 I = Bwv/R も一定 t < 0:磁束は変化しない → I = 0 t > T:コイル全体が磁場の中で磁束一定 → I = 0 0 < t < T だけ一定の負の値をとる形 → ④
問4:正解 ④(配点5)
<問題要旨>
0 < t < T の間、コイルが一定の速さで落下しました。その速さ v を表す式を求めます。
<考え方>
一定の速さ=加速度 0=力がつり合っています。重力と、誘導電流が磁場から受ける力(運動を妨げる向き=上向き)のつり合いを立てるだけです。
誘導起電力 V = Bwv 電流 I = V/R = Bwv/R 辺ab(長さ w)が磁場から受ける力 F = BIw = B × (Bwv/R) × w = B²w²v/R 向きは運動を妨げる向き(上向き) 一定の速さ = 力のつり合い mg = B²w²v/R v = mgR/(B²w²) (辺の長さは w と ℓ の2つあるが、 磁場を横切って起電力を生むのは水平な辺ab の長さ w)
第3問 A 波動(正弦波・定常波・弦の振動)
波形のグラフを読む力を試す3問。問2は「図2 で実線と破線が交わっている点は節ではない」に気づけば、選択肢が一気に半分になります。
問1:正解 ⑥(配点4)
<問題要旨>
x 軸の正の向きに進む正弦波について、t = 0 と t = 0.1 s の波形(図1)から、周期 T と、x = 0 での変位を表す式 y = 0.1 sin(2πt/T + α) の α を求めます。
<考え方>
まず波形から波長を読み、0.1 秒の間に波形がどれだけ右へずれたかを見れば周期が出ます。α のほうは t = 0, x = 0 での変位の値から決まります。
[波長]図1(t = 0) x = 0 に山、x = −0.2 に谷、x = −0.4 に山 → 波長 λ = 0.4 m [周期]図1(t = 0.1 s) 山が x = 0 から x = 0.1 へ移った → 0.1 s で 0.1 m 進んだ(= λ/4) λ/4 進むのにかかる時間は T/4 なので T/4 = 0.1 T = 0.4 s [α]t = 0, x = 0 での変位は y = 0.1(山) 0.1 = 0.1 sin(2π×0/T + α) = 0.1 sin α sin α = 1 α = π/2
問2:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
x 軸の正の向きに進んできた波が x = 1.0 m で反射して定常波ができています。−0.2 m ≦ x ≦ 0.2 m における節の位置と、反射が固定端か自由端かを答えます。
<考え方>
節とは、入射波と反射波の変位がいつでも打ち消し合う点。図2 のその瞬間でも和が 0 でなければ節ではありません。x = 0 で実線と破線が交わっている(=同じ値)ことに気づけば、固定端の候補が消えます。
図2 で x = 0 を見ると 実線(入射波)と破線(反射波)が交わっている → 二つの変位が同符号で等しい → 和は 0 でない → x = 0 は節ではない したがって節を 0, ±0.2 とする ③ ④ は不適 また節が5か所ある ⑤ ⑥ は、 節の間隔が λ/2 = 0.2 m である事実に反する 節が ±0.1 のとき、節は x = 0.1 + 0.2n の位置 x = …, −0.1, 0.1, 0.3, 0.5, 0.7, 0.9, 1.1, … 腹は x = 0.2n の位置 反射点 x = 1.0 = 0.2 × 5 は腹 反射点が腹になるのは自由端反射 → ア = −0.1, 0.1,イ = 自由端 (自由端では波は位相を変えずに反射する)
問3:正解 ①(配点4)
<問題要旨>
両端を固定した弦の基本振動・2倍振動・それらの合成波について、図3 に t = 0 から 4T/8 までの様子が示されています。t = 5T/8 での波形を図4 の (a)〜(f) から選びます。
<考え方>
基本振動は周期 T、2倍振動は周期 T/2 で振動しています。5T/8 が図3 のどの時刻と同じ状態になるかを、それぞれの周期で考えます。合成波は最後に足すだけです。
[基本振動]周期 T、変位 ∝ cos(2πt/T) t = 3T/8:cos(3π/4) = −0.71 t = 5T/8:cos(5π/4) = −0.71 → 図3 の 3T/8 と同じ「浅い下向き」 → (a)(深い下向きの (b) は 4T/8 のときの形) [2倍振動]周期 T/2 5T/8 − T/2 = T/8 → 図3 の t = T/8 と同じ波形 図3 の T/8 は「左が山・右が谷」 → (c) [合成波](a) + (c) 左半分:浅い下向き + 山 → 小さな山 右半分:浅い下向き + 谷 → 深い谷 → (e) → (a), (c), (e) の組 ①
第3問 B 波動(2枚のガラス板による光の干渉)
2枚のガラス板の向かい合う面での反射による干渉です。反射が両方とも「真空 → ガラス」なので位相の反転が2回起こり、結局は打ち消しあって経路差 2d だけで条件が決まります。
問4:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
真空中を進んできた光がガラス面で1回反射するときの位相の変化(ウ)と、面A₁ と面B₁ の間隔を d から d + λ/2 まで徐々に変化させたときの二つの透過光の干渉のようす(エ)を答えます。
<考え方>
屈折率の小さい媒質から大きい媒質へ向かって反射するとき、位相は π だけ反転します。今回はこの反転が2回起こるので相殺し、条件は経路差 2d だけで決まります。「徐々に」変化させる点にも注意します。
ウ:真空(屈折率1)→ ガラス(屈折率1より大) 屈折率の大きい媒質での反射なので 位相は π だけ変化(反転)する エ:反射は面B₁ と面A₁ で計2回 どちらも真空 → ガラス なので 位相の反転が2回 = 2π = 相殺 → 条件は経路差 2d だけで決まる 強めあう条件:2d = mλ(m は整数) 間隔を d から d + λ/2 に変えると 経路差は 2d → 2d + λ → (m+1)λ でふたたび強めあう 途中の d + λ/4 では 経路差 = 2d + λ/2 → 弱めあう → 一度弱めあった後、強めあう
問5:正解 ③,⑥(配点2,2)
<問題要旨>
(解答番号5)間隔を d = 0.10 m に固定して振動数 f のレーザー光を入射したところ強めあいました。このときの f を c と正の整数 m で表します。(解答番号6)振動数を f から f + Δf まで大きくすると一度弱めあった後ふたたび強めあいました。Δf を求めます。
<考え方>
問4 の結論「強めあう条件は 2d = mλ」に λ = c/f を入れるだけです。Δf は m が 1 増えるぶんに対応します。
[解答番号5]強めあう条件 2d = mλ = m × c/f f = mc/(2d) [解答番号6]次に強めあうのは m が 1 増えたとき f + Δf = (m+1)c/(2d) Δf = (m+1)c/(2d) − mc/(2d) = c/(2d) c = 3.0×10⁸ m/s, d = 0.10 m を代入 Δf = 3.0×10⁸ / (2 × 0.10) = 3.0×10⁸ / 0.20 = 1.5×10⁹ Hz
第4問 A 力学(摩擦のある水平面上のばね振り子)
摩擦があるばね振り子。動摩擦力は向きが変わらない一定の力なので、力の式を F = −k(x − 中心) の形に整理すれば「中心のずれた単振動」として扱えます。
問1:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
小物体を位置 x で静かに放したとき、そのまま静止し続けるような x の最大値 x_M を求めます。
<考え方>
静止し続ける条件は「ばねの弾性力 ≦ 最大静止摩擦力」。ぎりぎり動かないところが x_M です。
位置 x(x > 0、ばねは伸びている) ばねの弾性力の大きさ = kx(原点向き) 最大静止摩擦力の大きさ = μmg 静止し続ける条件 kx ≦ μmg x ≦ μmg/k x_M = μmg/k
問2:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
x_M より右側で静かに放すと小物体は動き始め、次に速度が 0 になったのは時間 t₁ が経過したときでした。この間の力の水平成分を F = −k(x − ア) の形に表し、t₁(イ)を求めます。
<考え方>
小物体は原点に向かって(左向きに)動くので、動摩擦力は右向きに一定の大きさ μ′mg ではたらきます。これを弾性力と合わせて整理すると、中心がずれた単振動の式になります。速度 0 から次の速度 0 までは半周期です。
放した後、小物体は左向きに動く → 動摩擦力は右向き(正の向き)に μ'mg 力の水平成分 F = −kx + μ'mg = −k( x − μ'mg/k ) → ア = μ'mg/k これは x = μ'mg/k を中心とする単振動の力 単振動の周期 T = 2π√(m/k) 速度 0(振動の端)から次の速度 0(反対の端)まで は半周期 t₁ = T/2 = π√(m/k) (動摩擦力の大きさは一定なので、 周期は摩擦がない場合と変わらない)
第4問 B 熱力学(ばね付きピストンと単原子分子理想気体)
ピストンにばねがつながっているので、圧力が体積に比例して増えます。p-V グラフが原点を通る直線になるのが最大の特徴で、問5 の面積の読み取りに直結します。
問3:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
図2(b) の状態で、ばね定数 k と、ばねに蓄えられたエネルギーを求めます。
<考え方>
気体が入る前はばねが自然の長さだったので、ピストンの移動距離=ばねの縮み=V₀/S です。ピストンにはたらく力のつり合いから k が出て、そのまま弾性エネルギーが計算できます。最後は状態方程式で nRT₀ に直します。
ピストンの移動距離 = ばねの縮み d = V₀/S ピストンの力のつり合い (右側は真空なので、気体の圧力とばねの力だけ) p₀S = kd = k × V₀/S k = p₀S²/V₀ ばねのエネルギー E = (1/2)kd² = (1/2) × (p₀S²/V₀) × (V₀/S)² = (1/2)p₀V₀ 状態方程式 p₀V₀ = nRT₀ より E = (1/2)nRT₀
問4:正解 ⑨(配点4)
<問題要旨>
外の温度を T まで上昇させ、気体の圧力が p、体積が V、温度が T になったときの、気体の内部エネルギーの増加分 ΔU を求めます。
<考え方>
単原子分子理想気体の内部エネルギーは U = (3/2)nRT。温度だけで決まるので、差をとるだけです。
単原子分子理想気体の内部エネルギー U = (3/2)nRT はじめ:U₀ = (3/2)nRT₀ あと :U = (3/2)nRT ΔU = U − U₀ = (3/2)nR(T − T₀) (体積や圧力の値は不要。温度だけで決まる)
問5:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
気体の圧力と体積が p₀, V₀ から p, V に変化したときに気体がした仕事を、p-V グラフ上の面積として示した図を選びます。
<考え方>
気体がした仕事は「p-V グラフで曲線の下、体積軸までの面積」です。この装置では圧力が体積に比例する(原点を通る直線)ので、V₀ から V までの台形部分になります。
ピストンの力のつり合い pS = k × (ピストンの移動距離) = k × V/S p = (k/S²)V → 圧力は体積に比例(原点を通る直線) 気体がした仕事 W = ∫p dV(V₀ から V まで) = グラフの直線の下、体積軸までの面積 = V₀ と V にはさまれた台形の面積 → V₀ から V までの区間で、 直線の下から体積軸まで塗った図 ⑤ (0 から V まで塗った ② は塗りすぎ、 p₀ と p の間だけ塗った ⑥ は塗り足りない)
第5問〔選択問題〕 万有引力(太陽を周回する惑星の運動)
第5問と第6問はどちらか1問を選択します(配点15点)。こちらは万有引力。ケプラーの第二法則と、力学的エネルギー E = −GMm/(2a) の関係を押さえていれば手早く解けます。
問1:正解 ⑥(配点5)
<問題要旨>
ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則)から得られる、近日点と遠日点での距離と速さの関係式を選びます。
<考え方>
面積速度は「(1/2)×(距離)×(その点での速さ)」。近日点でも遠日点でも速度が距離と垂直なので、そのまま等しいと置けます。惑星の質量 m や太陽の質量 M は式に入りません。
近日点・遠日点では、 惑星の速度は太陽との線分に垂直 面積速度 近日点:(1/2)r₁v₁ 遠日点:(1/2)r₂v₂ ケプラーの第二法則より等しい (1/2)r₁v₁ = (1/2)r₂v₂ r₁v₁ = r₂v₂ (質量 M, m は関係しない。 m を掛けると角運動量保存の式になる)
問2:正解 ③(配点5)
<問題要旨>
図2 の (a)〜(d) の曲線のうち、太陽からの距離 r と運動エネルギーの関係を表すもの、および r と万有引力による位置エネルギーの関係を表すものを選びます。位置エネルギーは無限遠で 0 とします。
<考え方>
運動エネルギーは必ず正で、遠日点に近づくほど遅くなるので減少します。位置エネルギーは U = −GMm/r なので必ず負で、r が大きくなるほど 0 に近づく(増加する)はずです。
運動エネルギー K = (1/2)mv² 必ず正 r が大きいほど速さが小さい(問1) → r とともに減少する → 正の値から減少していく (a) 位置エネルギー U = −GMm/r 無限遠で 0 とすると必ず負 r が大きくなると 0 に近づく → 負の値から増加していく (d) ((b) は正でほぼ一定、 (c) は負だが単調でないので、いずれも不適) → 運動エネルギー (a)、位置エネルギー (d) ③
問3:正解 ⑦(配点5)
<問題要旨>
半径 r の等速円運動をする場合の速さ(ア)と、近日点での距離が r となる楕円軌道B の力学的エネルギーが、円軌道A の場合と比べてどうなるか(イ)を答えます。
<考え方>
ア は「万有引力=向心力」を立てるだけ。イ は、力学的エネルギーが軌道の半長軸 a だけで決まり E = −GMm/(2a) と書けることを使います。楕円B は円A より大きいので、半長軸も大きくなります。
ア:等速円運動(半径 r) 万有引力 = 向心力 GMm/r² = mv²/r v² = GM/r v = √(GM/r) イ:力学的エネルギーは半長軸 a で決まる E = −GMm/(2a) 円軌道A:a = r E_A = −GMm/(2r) 楕円軌道B:近日点距離が r で、 遠日点側に大きく広がっている → 半長軸 a_B > r E_B = −GMm/(2a_B) a_B > r より |E_B| < |E_A| どちらも負なので E_B > E_A → 軌道B のほうが大きい
第6問〔選択問題〕 原子(原子核と素粒子)
第5問との選択問題(配点15点)。知識問題が中心で、問2の崩壊の回数、問3の半減期は落とせません。
問1:正解 ②(配点5)
<問題要旨>
宇宙を構成している原子核と素粒子に関する5つの記述から、最も適当なものを選びます。
<考え方>
核子を結びつけているのは核力(強い力)であってクーロン力ではありません。「ばらばらの核子の質量の和 > 原子核の質量」という質量欠損は、原子核が安定に存在するための条件そのものです。
① 中性子は電荷をもたない。 また核子を結びつけているのは核力(強い力) → 誤り ② ばらばらの陽子6個+中性子6個の質量の和は ¹²C の原子核の質量より大きい → 正しい ← (この差が質量欠損) ③ 陽子はクォーク3個からできている。 クォークはそれ以上分割できない素粒子 → 誤り ④ クォークは +2e/3 や −e/3 の電荷をもつ → 誤り ⑤ 基本的な力は 重力・電磁気力・弱い力・強い力 の4種類 → 誤り
問2:正解 ⑨(配点5)
<問題要旨>
²³⁸₉₂U が何回の α 崩壊と何回の β 崩壊(β⁻ 崩壊)によって、安定な ²⁰⁶₈₂Pb に変化するかを求めます。
<考え方>
質量数は α 崩壊でだけ 4 減ります(β 崩壊では変わりません)。だから先に α の回数を決め、そのあと原子番号のつじつまを β の回数で合わせます。
α 崩壊:質量数 −4、原子番号 −2 β⁻崩壊:質量数 ±0、原子番号 +1 [α の回数]質量数で決める 238 − 206 = 32 32 ÷ 4 = 8 回 [β の回数]原子番号で決める α 崩壊だけなら 92 − 2 × 8 = 76 実際は 82 なので 82 − 76 = 6 回 → α 崩壊 8 回、β 崩壊 6 回
問3:正解 ⑦(配点5)
<問題要旨>
さいころ1000個を「1の目が出たら取り除く」操作を1分ごとに繰り返す模擬実験の結果として正しいグラフ(ウ)と、半減期を T とするとき 2T 後に残る原子核の数(エ)を答えます。
<考え方>
毎回「残っている個数の 5/6 が残る」ので、個数は等比数列=指数関数的に減ります。直線でも S 字でもありません。半減期は「半分になるまでの時間」なので、2T 後は半分の半分です。
ウ:1分ごとに 5/6 倍になる N = 1000 × (5/6)^t t = 1:833 t = 2:694 t = 4:482 t = 8:233 はじめの減り方が最も急で、 だんだんゆるやかになる曲線 → (c) ((a) は最初がゆるやかな S 字、 (b) は一定の割合で減る直線。どちらも不適) エ:半減期 T = 半分になるまでの時間 T 後 :1000 × 1/2 = 500 2T 後:500 × 1/2 = 250 → 約 250 個
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

