2018年度 大学入試センター試験 本試験 物理 解答・解説

2018年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2018年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答・解説です。第1問〜第4問が必答(25+20+20+20=85点)、第5問と第6問はどちらか1問を選択(15点)で、合計100点。
本記事では第5問・第6問の両方を解説していますので、選ばなかったほうの復習にも使ってください。設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。

第1問 小問集合(衝突・音波・電場・気体分子運動論・重心)

力学・波動・電磁気・熱から1問ずつの小問集合。問3の電場の向きは「近い2つ」と「遠い2つ」に分けて合成すると一気に見通せます。問5は「切り取った円板ともとの円板」で重心の式を立てるのが定石です。

問1:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
速さ v で進む質量 m の小物体が、静止していた質量 M の物体に衝突して一体となりました。一体となった物体の運動エネルギーを求めます。

<考え方>
合体する衝突では運動量保存だけが使えます(力学的エネルギーは保存しません)。まず合体後の速さを出してから、運動エネルギーを計算します。

運動量保存
 mv = (M + m)V
 V = mv/(M + m)

運動エネルギー
 K = (1/2)(M + m)V²
  = (1/2)(M + m) × m²v²/(M + m)²
  = m²v² / {2(M + m)}

衝突前の (1/2)mv² より小さい。
差は熱や変形のエネルギーになる
問2:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
空気中を伝わる音についての5つの記述から、最も適当なものを選びます。

<考え方>
音速は媒質(空気の温度)で決まり、振動数にはよりません。1オクターブ高い音は振動数が2倍なので波長は半分。うなりは「振動数がわずかに違う」ときに生じます。

① 音の速さは空気の温度で決まり、振動数によらない
  → 誤り

② 1オクターブ高い = 振動数が2倍
  v = fλ で v は一定だから λ は 1/2 になる
  → 誤り

③ 音が障害物の背後にまわりこむ現象 = 回折
  → 正しい ←

④ うなりは「振動数がわずかに異なる」二つの波で生じる。
  振幅が違うだけでは生じない
  → 誤り

⑤ ドップラー効果では、音源が近づくほど
  観測者が聞く振動数は大きく(高く)なる
  → 誤り
問3:正解 ⑦(配点5)

<問題要旨>
正方形 ABCD の頂点に ±Q の点電荷を固定したとき、辺BC の垂直二等分線上で辺BC より右側にある点 P での電場の向きを選びます。

<考え方>
4つの電荷を「P に近い2つ(B, C)」と「遠い2つ(A, D)」に分けて、それぞれの合成を先に作ります。どちらのペアも対称性から水平成分が打ち消し合い、鉛直成分だけが残ります。あとは距離の近いペアが勝ちます。

O を正方形の中心、1辺を 2a として
 A(−a, −a) +Q, B(a, −a) −Q
 C(a, a) +Q,  D(−a, a) −Q
P(p, 0)(p > a)

[近いペア B, C]P からの距離は等しく r
 C(+Q) から遠ざかる向き:(p−a, −a)/r
 B(−Q) へ向かう向き  :(−(p−a), −a)/r
 和 ∝ (0, −2a) … 真下向き

[遠いペア A, D]P からの距離は等しく r' (> r)
 A(+Q) から遠ざかる向き:(p+a, a)/r'
 D(−Q) へ向かう向き  :(−(p+a), a)/r'
 和 ∝ (0, +2a) … 真上向き

大きさは 1/(距離)³ に比例し r < r' だから
 下向きのほうが大きい

→ 点P での電場は真下を向く ⑦
問4:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
単原子分子理想気体について、分子の平均運動エネルギーと絶対温度の関係(ア)、分子量との関係(イ)、および同じ温度でのヘリウムとネオンの2乗平均速度の比較(ウ)を答えます。

<考え方>
平均運動エネルギーは (3/2)kT で、温度だけで決まります。一方、2乗平均速度は √(3kT/m) なので、同じ温度なら軽い分子ほど速く動きます。

平均運動エネルギー
 (1/2)m × (2乗平均速度)² = (3/2)kT

 → 絶対温度に比例(ア = 比例)
 → 右辺に質量が入らない
  = 分子量によらない(イ)

2乗平均速度
 √( 3kT/m )
 同じ温度なら m が小さいほど大きい

 He の分子量 4、Ne の分子量 20
 → ヘリウムの方が大きい(ウ)
問5:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
点O を中心とする半径 3.0 cm の一様な円板から、内接する半径 2.0 cm の円板A を切り取りました。残った部分B の重心G の位置と、OG 間の距離を求めます。

<考え方>
「もとの円板 = 切り取った円板A + 残りB」とみて重心の式を立てます。一様な厚さなので、質量は面積、つまり半径の2乗に比例します。

O を原点、O から O' の向きを負にとる
 内接するので OO' = 3.0 − 2.0 = 1.0 cm
 → O' の位置は x = −1.0

質量は面積 ∝ (半径)² に比例
 もとの円板:3.0² = 9
 切り取った A:2.0² = 4
 残った B  :9 − 4 = 5

重心の式(もとの円板の重心は O、x = 0)
 9 × 0 = 4 × (−1.0) + 5 × x_G
 0 = −4.0 + 5x_G
 x_G = 0.8

→ G は点O の右側、OG = 0.8 cm

第2問 A 電磁気(コンデンサーの充電と放電)

直流電源・抵抗・コンデンサーの直列回路です。「はじめは電荷0だから全電圧が抵抗にかかる」「十分後は電流0」の2点を押さえれば、グラフはすぐ決まります。

問1:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
時刻 t = 0 にスイッチを a 側(電源側)に入れたときの、電流 I と時刻 t の関係を表すグラフを選びます。

<考え方>
コンデンサーの充電です。最初は電荷が 0 なのでコンデンサーの電圧も 0、電源の電圧がすべて抵抗にかかって電流は最大。充電が進むとコンデンサーの電圧が上がり、電流は 0 に近づきます。

t = 0:コンデンサーの電荷は 0
 → コンデンサーの電圧は 0
 → 電源の電圧がすべて抵抗にかかる
 → 電流は最大 I = V/R

時間が経つ:コンデンサーが充電される
 → コンデンサーの電圧が上がる
 → 抵抗にかかる電圧が減る
 → 電流は減る

十分に時間が経つ:コンデンサーの電圧が V
 → 電流は 0

正の最大値から 0 へ向かって減る曲線 → ①
問2:正解 ⑧(配点5)

<問題要旨>
十分に長い時間が経った後にスイッチを b 側に入れ、電流が流れなくなるまでの間に抵抗で発生するジュール熱を求めます。

<考え方>
b 側にすると電源が回路から切り離され、コンデンサーと抵抗だけの回路になります。コンデンサーに蓄えられていたエネルギーが、そっくり抵抗で熱に変わります。積分は不要です。

a 側で十分に時間が経った状態
 コンデンサーの電圧 = V
 蓄えられたエネルギー U = (1/2)CV²

b 側に入れると電源が切り離される
 → コンデンサーが抵抗を通して放電する
 → 電流が 0 になったとき、コンデンサーの電荷も 0

エネルギー保存
 ジュール熱 = 最初に蓄えられていたエネルギー
     = (1/2)CV² = CV²/2

(電流の時間変化を積分する必要はない)

第2問 B 電磁気(磁場中を落下する長方形コイル)

電磁誘導の定番。「辺ab だけが磁場の中にある間だけ磁束が変化する」という時間の切り分けと、レンツの法則による向きの決定がポイントです。

問3:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
磁場のある領域(y ≦ 0)へ長方形コイル abcd が一定の速さで落下していく間の、コイルに流れる電流 I と時刻 t の関係を選びます。abcda の向きを正とします。

<考え方>
辺 ab が磁場に入ってから辺 cd が入るまでの間だけ、コイルを貫く磁束が増え続けます。レンツの法則からそれを妨げる向きの誘導電流が流れます。図で abcda がどちら回りかを確認するのを忘れないこと。

図2 で a は左下、b は右下、c は右上、d は左上
 → abcda は反時計回り(これが正の向き)

0 < t < T:辺ab は磁場の中、辺cd はまだ外
 コイルを貫く磁束(紙面の裏から表向き)が増える
 → レンツの法則より、それを打ち消す向き
  = 紙面の表から裏向きの磁束をつくる向き
  = 時計回り(=負の向き)

速さ v が一定なので
 誘導起電力 V = Bwv は一定
 電流 I = Bwv/R も一定

t < 0:磁束は変化しない → I = 0
t > T:コイル全体が磁場の中で磁束一定 → I = 0

0 < t < T だけ一定の負の値をとる形 → ④
問4:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
0 < t < T の間、コイルが一定の速さで落下しました。その速さ v を表す式を求めます。

<考え方>
一定の速さ=加速度 0=力がつり合っています。重力と、誘導電流が磁場から受ける力(運動を妨げる向き=上向き)のつり合いを立てるだけです。

誘導起電力 V = Bwv
電流    I = V/R = Bwv/R

辺ab(長さ w)が磁場から受ける力
 F = BIw = B × (Bwv/R) × w = B²w²v/R
 向きは運動を妨げる向き(上向き)

一定の速さ = 力のつり合い
 mg = B²w²v/R

 v = mgR/(B²w²)

(辺の長さは w と ℓ の2つあるが、
  磁場を横切って起電力を生むのは水平な辺ab の長さ w)

第3問 A 波動(正弦波・定常波・弦の振動)

波形のグラフを読む力を試す3問。問2は「図2 で実線と破線が交わっている点は節ではない」に気づけば、選択肢が一気に半分になります。

問1:正解 ⑥(配点4)

<問題要旨>
x 軸の正の向きに進む正弦波について、t = 0 と t = 0.1 s の波形(図1)から、周期 T と、x = 0 での変位を表す式 y = 0.1 sin(2πt/T + α) の α を求めます。

<考え方>
まず波形から波長を読み、0.1 秒の間に波形がどれだけ右へずれたかを見れば周期が出ます。α のほうは t = 0, x = 0 での変位の値から決まります。

[波長]図1(t = 0)
 x = 0 に山、x = −0.2 に谷、x = −0.4 に山
 → 波長 λ = 0.4 m

[周期]図1(t = 0.1 s)
 山が x = 0 から x = 0.1 へ移った
 → 0.1 s で 0.1 m 進んだ(= λ/4)

 λ/4 進むのにかかる時間は T/4 なので
 T/4 = 0.1
 T = 0.4 s

[α]t = 0, x = 0 での変位は y = 0.1(山)
 0.1 = 0.1 sin(2π×0/T + α) = 0.1 sin α
 sin α = 1
 α = π/2
問2:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
x 軸の正の向きに進んできた波が x = 1.0 m で反射して定常波ができています。−0.2 m ≦ x ≦ 0.2 m における節の位置と、反射が固定端か自由端かを答えます。

<考え方>
節とは、入射波と反射波の変位がいつでも打ち消し合う点。図2 のその瞬間でも和が 0 でなければ節ではありません。x = 0 で実線と破線が交わっている(=同じ値)ことに気づけば、固定端の候補が消えます。

図2 で x = 0 を見ると
 実線(入射波)と破線(反射波)が交わっている
 → 二つの変位が同符号で等しい → 和は 0 でない
 → x = 0 は節ではない

したがって節を 0, ±0.2 とする ③ ④ は不適
また節が5か所ある ⑤ ⑥ は、
節の間隔が λ/2 = 0.2 m である事実に反する

節が ±0.1 のとき、節は x = 0.1 + 0.2n の位置
 x = …, −0.1, 0.1, 0.3, 0.5, 0.7, 0.9, 1.1, …
 腹は x = 0.2n の位置
 反射点 x = 1.0 = 0.2 × 5 は腹

反射点が腹になるのは自由端反射
 → ア = −0.1, 0.1,イ = 自由端

(自由端では波は位相を変えずに反射する)
問3:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
両端を固定した弦の基本振動・2倍振動・それらの合成波について、図3 に t = 0 から 4T/8 までの様子が示されています。t = 5T/8 での波形を図4 の (a)〜(f) から選びます。

<考え方>
基本振動は周期 T、2倍振動は周期 T/2 で振動しています。5T/8 が図3 のどの時刻と同じ状態になるかを、それぞれの周期で考えます。合成波は最後に足すだけです。

[基本振動]周期 T、変位 ∝ cos(2πt/T)
 t = 3T/8:cos(3π/4) = −0.71
 t = 5T/8:cos(5π/4) = −0.71
 → 図3 の 3T/8 と同じ「浅い下向き」
 → (a)(深い下向きの (b) は 4T/8 のときの形)

[2倍振動]周期 T/2
 5T/8 − T/2 = T/8
 → 図3 の t = T/8 と同じ波形
 図3 の T/8 は「左が山・右が谷」
 → (c)

[合成波](a) + (c)
 左半分:浅い下向き + 山 → 小さな山
 右半分:浅い下向き + 谷 → 深い谷
 → (e)

→ (a), (c), (e) の組 ①

第3問 B 波動(2枚のガラス板による光の干渉)

2枚のガラス板の向かい合う面での反射による干渉です。反射が両方とも「真空 → ガラス」なので位相の反転が2回起こり、結局は打ち消しあって経路差 2d だけで条件が決まります。

問4:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
真空中を進んできた光がガラス面で1回反射するときの位相の変化(ウ)と、面A₁ と面B₁ の間隔を d から d + λ/2 まで徐々に変化させたときの二つの透過光の干渉のようす(エ)を答えます。

<考え方>
屈折率の小さい媒質から大きい媒質へ向かって反射するとき、位相は π だけ反転します。今回はこの反転が2回起こるので相殺し、条件は経路差 2d だけで決まります。「徐々に」変化させる点にも注意します。

ウ:真空(屈折率1)→ ガラス(屈折率1より大)
 屈折率の大きい媒質での反射なので
 位相は π だけ変化(反転)する

エ:反射は面B₁ と面A₁ で計2回
 どちらも真空 → ガラス なので
 位相の反転が2回 = 2π = 相殺
 → 条件は経路差 2d だけで決まる

強めあう条件:2d = mλ(m は整数)

 間隔を d から d + λ/2 に変えると
 経路差は 2d → 2d + λ
 → (m+1)λ でふたたび強めあう

 途中の d + λ/4 では
 経路差 = 2d + λ/2 → 弱めあう

 → 一度弱めあった後、強めあう
問5:正解 ③,⑥(配点2,2)

<問題要旨>
(解答番号5)間隔を d = 0.10 m に固定して振動数 f のレーザー光を入射したところ強めあいました。このときの f を c と正の整数 m で表します。(解答番号6)振動数を f から f + Δf まで大きくすると一度弱めあった後ふたたび強めあいました。Δf を求めます。

<考え方>
問4 の結論「強めあう条件は 2d = mλ」に λ = c/f を入れるだけです。Δf は m が 1 増えるぶんに対応します。

[解答番号5]強めあう条件
 2d = mλ = m × c/f

 f = mc/(2d)

[解答番号6]次に強めあうのは m が 1 増えたとき
 f + Δf = (m+1)c/(2d)

 Δf = (m+1)c/(2d) − mc/(2d)
   = c/(2d)

 c = 3.0×10⁸ m/s, d = 0.10 m を代入
 Δf = 3.0×10⁸ / (2 × 0.10)
   = 3.0×10⁸ / 0.20
   = 1.5×10⁹ Hz

第4問 A 力学(摩擦のある水平面上のばね振り子)

摩擦があるばね振り子。動摩擦力は向きが変わらない一定の力なので、力の式を F = −k(x − 中心) の形に整理すれば「中心のずれた単振動」として扱えます。

問1:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
小物体を位置 x で静かに放したとき、そのまま静止し続けるような x の最大値 x_M を求めます。

<考え方>
静止し続ける条件は「ばねの弾性力 ≦ 最大静止摩擦力」。ぎりぎり動かないところが x_M です。

位置 x(x > 0、ばねは伸びている)

 ばねの弾性力の大きさ = kx(原点向き)
 最大静止摩擦力の大きさ = μmg

静止し続ける条件
 kx ≦ μmg
 x ≦ μmg/k

 x_M = μmg/k
問2:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
x_M より右側で静かに放すと小物体は動き始め、次に速度が 0 になったのは時間 t₁ が経過したときでした。この間の力の水平成分を F = −k(x − ア) の形に表し、t₁(イ)を求めます。

<考え方>
小物体は原点に向かって(左向きに)動くので、動摩擦力は右向きに一定の大きさ μ′mg ではたらきます。これを弾性力と合わせて整理すると、中心がずれた単振動の式になります。速度 0 から次の速度 0 までは半周期です。

放した後、小物体は左向きに動く
 → 動摩擦力は右向き(正の向き)に μ'mg

力の水平成分
 F = −kx + μ'mg
  = −k( x − μ'mg/k )

 → ア = μ'mg/k
 これは x = μ'mg/k を中心とする単振動の力

単振動の周期
 T = 2π√(m/k)

速度 0(振動の端)から次の速度 0(反対の端)まで
 は半周期

 t₁ = T/2 = π√(m/k)

(動摩擦力の大きさは一定なので、
  周期は摩擦がない場合と変わらない)

第4問 B 熱力学(ばね付きピストンと単原子分子理想気体)

ピストンにばねがつながっているので、圧力が体積に比例して増えます。p-V グラフが原点を通る直線になるのが最大の特徴で、問5 の面積の読み取りに直結します。

問3:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
図2(b) の状態で、ばね定数 k と、ばねに蓄えられたエネルギーを求めます。

<考え方>
気体が入る前はばねが自然の長さだったので、ピストンの移動距離=ばねの縮み=V₀/S です。ピストンにはたらく力のつり合いから k が出て、そのまま弾性エネルギーが計算できます。最後は状態方程式で nRT₀ に直します。

ピストンの移動距離 = ばねの縮み
 d = V₀/S

ピストンの力のつり合い
(右側は真空なので、気体の圧力とばねの力だけ)
 p₀S = kd = k × V₀/S

 k = p₀S²/V₀

ばねのエネルギー
 E = (1/2)kd²
  = (1/2) × (p₀S²/V₀) × (V₀/S)²
  = (1/2)p₀V₀

状態方程式 p₀V₀ = nRT₀ より
 E = (1/2)nRT₀
問4:正解 ⑨(配点4)

<問題要旨>
外の温度を T まで上昇させ、気体の圧力が p、体積が V、温度が T になったときの、気体の内部エネルギーの増加分 ΔU を求めます。

<考え方>
単原子分子理想気体の内部エネルギーは U = (3/2)nRT。温度だけで決まるので、差をとるだけです。

単原子分子理想気体の内部エネルギー
 U = (3/2)nRT

 はじめ:U₀ = (3/2)nRT₀
 あと :U = (3/2)nRT

 ΔU = U − U₀
   = (3/2)nR(T − T₀)

(体積や圧力の値は不要。温度だけで決まる)
問5:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
気体の圧力と体積が p₀, V₀ から p, V に変化したときに気体がした仕事を、p-V グラフ上の面積として示した図を選びます。

<考え方>
気体がした仕事は「p-V グラフで曲線の下、体積軸までの面積」です。この装置では圧力が体積に比例する(原点を通る直線)ので、V₀ から V までの台形部分になります。

ピストンの力のつり合い
 pS = k × (ピストンの移動距離) = k × V/S
 p = (k/S²)V

 → 圧力は体積に比例(原点を通る直線)

気体がした仕事
 W = ∫p dV(V₀ から V まで)
  = グラフの直線の下、体積軸までの面積
  = V₀ と V にはさまれた台形の面積

 → V₀ から V までの区間で、
  直線の下から体積軸まで塗った図 ⑤

(0 から V まで塗った ② は塗りすぎ、
  p₀ と p の間だけ塗った ⑥ は塗り足りない)

第5問〔選択問題〕 万有引力(太陽を周回する惑星の運動)

第5問と第6問はどちらか1問を選択します(配点15点)。こちらは万有引力。ケプラーの第二法則と、力学的エネルギー E = −GMm/(2a) の関係を押さえていれば手早く解けます。

問1:正解 ⑥(配点5)

<問題要旨>
ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則)から得られる、近日点と遠日点での距離と速さの関係式を選びます。

<考え方>
面積速度は「(1/2)×(距離)×(その点での速さ)」。近日点でも遠日点でも速度が距離と垂直なので、そのまま等しいと置けます。惑星の質量 m や太陽の質量 M は式に入りません。

近日点・遠日点では、
惑星の速度は太陽との線分に垂直

面積速度
 近日点:(1/2)r₁v₁
 遠日点:(1/2)r₂v₂

ケプラーの第二法則より等しい
 (1/2)r₁v₁ = (1/2)r₂v₂

 r₁v₁ = r₂v₂

(質量 M, m は関係しない。
  m を掛けると角運動量保存の式になる)
問2:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
図2 の (a)〜(d) の曲線のうち、太陽からの距離 r と運動エネルギーの関係を表すもの、および r と万有引力による位置エネルギーの関係を表すものを選びます。位置エネルギーは無限遠で 0 とします。

<考え方>
運動エネルギーは必ず正で、遠日点に近づくほど遅くなるので減少します。位置エネルギーは U = −GMm/r なので必ず負で、r が大きくなるほど 0 に近づく(増加する)はずです。

運動エネルギー K = (1/2)mv²
 必ず正
 r が大きいほど速さが小さい(問1)
 → r とともに減少する
 → 正の値から減少していく (a)

位置エネルギー U = −GMm/r
 無限遠で 0 とすると必ず負
 r が大きくなると 0 に近づく
 → 負の値から増加していく (d)

((b) は正でほぼ一定、
  (c) は負だが単調でないので、いずれも不適)

→ 運動エネルギー (a)、位置エネルギー (d) ③
問3:正解 ⑦(配点5)

<問題要旨>
半径 r の等速円運動をする場合の速さ(ア)と、近日点での距離が r となる楕円軌道B の力学的エネルギーが、円軌道A の場合と比べてどうなるか(イ)を答えます。

<考え方>
ア は「万有引力=向心力」を立てるだけ。イ は、力学的エネルギーが軌道の半長軸 a だけで決まり E = −GMm/(2a) と書けることを使います。楕円B は円A より大きいので、半長軸も大きくなります。

ア:等速円運動(半径 r)
 万有引力 = 向心力
 GMm/r² = mv²/r
 v² = GM/r
 v = √(GM/r)

イ:力学的エネルギーは半長軸 a で決まる
 E = −GMm/(2a)

 円軌道A:a = r
  E_A = −GMm/(2r)

 楕円軌道B:近日点距離が r で、
  遠日点側に大きく広がっている
  → 半長軸 a_B > r
  E_B = −GMm/(2a_B)

 a_B > r より |E_B| < |E_A|
 どちらも負なので E_B > E_A

 → 軌道B のほうが大きい

第6問〔選択問題〕 原子(原子核と素粒子)

第5問との選択問題(配点15点)。知識問題が中心で、問2の崩壊の回数、問3の半減期は落とせません。

問1:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
宇宙を構成している原子核と素粒子に関する5つの記述から、最も適当なものを選びます。

<考え方>
核子を結びつけているのは核力(強い力)であってクーロン力ではありません。「ばらばらの核子の質量の和 > 原子核の質量」という質量欠損は、原子核が安定に存在するための条件そのものです。

① 中性子は電荷をもたない。
  また核子を結びつけているのは核力(強い力)
  → 誤り

② ばらばらの陽子6個+中性子6個の質量の和は
  ¹²C の原子核の質量より大きい
  → 正しい ← (この差が質量欠損)

③ 陽子はクォーク3個からできている。
  クォークはそれ以上分割できない素粒子
  → 誤り

④ クォークは +2e/3 や −e/3 の電荷をもつ
  → 誤り

⑤ 基本的な力は 重力・電磁気力・弱い力・強い力 の4種類
  → 誤り
問2:正解 ⑨(配点5)

<問題要旨>
²³⁸₉₂U が何回の α 崩壊と何回の β 崩壊(β⁻ 崩壊)によって、安定な ²⁰⁶₈₂Pb に変化するかを求めます。

<考え方>
質量数は α 崩壊でだけ 4 減ります(β 崩壊では変わりません)。だから先に α の回数を決め、そのあと原子番号のつじつまを β の回数で合わせます。

α 崩壊:質量数 −4、原子番号 −2
β⁻崩壊:質量数 ±0、原子番号 +1

[α の回数]質量数で決める
 238 − 206 = 32
 32 ÷ 4 = 8 回

[β の回数]原子番号で決める
 α 崩壊だけなら
  92 − 2 × 8 = 76
 実際は 82 なので
  82 − 76 = 6 回

 → α 崩壊 8 回、β 崩壊 6 回
問3:正解 ⑦(配点5)

<問題要旨>
さいころ1000個を「1の目が出たら取り除く」操作を1分ごとに繰り返す模擬実験の結果として正しいグラフ(ウ)と、半減期を T とするとき 2T 後に残る原子核の数(エ)を答えます。

<考え方>
毎回「残っている個数の 5/6 が残る」ので、個数は等比数列=指数関数的に減ります。直線でも S 字でもありません。半減期は「半分になるまでの時間」なので、2T 後は半分の半分です。

ウ:1分ごとに 5/6 倍になる
 N = 1000 × (5/6)^t

 t = 1:833
 t = 2:694
 t = 4:482
 t = 8:233

 はじめの減り方が最も急で、
 だんだんゆるやかになる曲線 → (c)

 ((a) は最初がゆるやかな S 字、
  (b) は一定の割合で減る直線。どちらも不適)

エ:半減期 T = 半分になるまでの時間
  T 後 :1000 × 1/2 = 500
  2T 後:500 × 1/2 = 250

 → 約 250 個

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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