2022年度 大学入学共通テスト 本試験 物理 解答・解説

2022年度 大学入学共通テスト 本試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2022年度 大学入学共通テスト 本試験「物理」の解答・解説です。第1問が小問集合(25点)、第2問が探究型の力学(30点)、第3問がコイルを使ったスピードメーター(25点)、第4問がボーアの水素原子模型(20点)、合計100点。すべて必答です。
設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。間違えた設問だけを開いて確認してください。

第1問 小問集合(水面波の干渉・凸レンズ・重心・熱力学・平行電流)

波動・光・力学・熱・電磁気から1問ずつ。問1は「逆位相」の2文字を見落とすと条件式が逆になります。問5は平行電流の向きと力の向きを、右ねじの法則で2段階たどる必要があります。

問1:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
水面上の2点 S₁, S₂ に置いた小球を、同一周期・同一振幅で逆位相に単振動させます。点P で水面波が強めあう条件を、距離の差 |l₁ − l₂| と波長 λ、整数 m で表します。

<考え方>
2つの波源が同位相なら「経路差=波長の整数倍」で強めあいますが、逆位相のときは条件が半波長ぶんずれます。設問文の「逆位相」に線を引いておくこと。

同位相の2波源の場合
 強めあう:|l₁ − l₂| = mλ
 弱めあう:|l₁ − l₂| = (m + 1/2)λ

逆位相の2波源の場合
 出発点ですでに半波長ぶんずれている
 → 条件が入れかわる

 強めあう:|l₁ − l₂| = (m + 1/2)λ
 弱めあう:|l₁ − l₂| = mλ

(図1 でも、実線=山 と 破線=谷 の交点が
  強めあう点として並んでいる)
問2:正解 ③,③(配点3,2)

<問題要旨>
(解答番号2)凸レンズでスクリーンにできた実像を、観測者がレンズ側から見たときの見え方を選びます。(解答番号3)レンズの中心より上半分を通る光を板で完全に遮ったときの、スクリーン上の像の変化を答えます。

<考え方>
凸レンズによる実像は、物体を光軸のまわりに 180° 回転させた向きになります(上下も左右も逆)。後半は「像の各点には、レンズ全体を通ったたくさんの光が集まっている」という基本を思い出します。

[解答番号2]実像は 180° 回転した向き
 光源:太い矢印が +y(上向き)
    細い矢印が +x(右向き)

 像 :太い矢印は −y(下向き)
    細い矢印は −x(左向き)

 観測者はレンズ側から見ており、
 x 軸の正の向きも「レンズ側から見て右向き」
 と定義されている
 → そのまま「太い矢印が下、細い矢印が左」

 → ③

[解答番号3]
 像の1点には、レンズの全面を通った光が集まる
 → 上半分を遮っても、下半分を通った光だけで
  像はすべての点で作られる
 → 形は変わらず、集まる光の量が半分になる

 → 像の全体が暗くなった
問3:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
質量 M の一様な薄い円板を外周の点P でつるし、中心O から OP と垂直な方向に距離 d 離れた点Q に質量 m の物体をつるすと、図3 のように静止しました。直線OQ 上で点P の鉛直下方にある点C について、OC の長さ x を求めます。

<考え方>
つり下げて静止しているとき、全体の重心は必ず支点P の鉛直下方にあります。円板の重心は O、物体は Q の真下にあるので、この2つで重心の式を立てるだけです。

つり下げて静止 → 全体の重心は P の鉛直下方

 円板(質量 M)の重心:点O
 物体(質量 m)   :点Q の真下
  (糸は鉛直なので、水平位置は Q と同じ)

直線OQ にそって O から測った位置で
 円板:0
 物体:d

全体の重心の位置
 (M×0 + m×d)/(M + m) = md/(M + m)

これが P の鉛直下方の点C の位置と一致

 x = m d/(M + m)

(m が M に比べて小さいほど、C は O に近づく)
問4:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
理想気体を、状態A から定積変化で状態B へ、次に断熱変化で状態C へ、さらに定圧変化で状態A へ戻しました。内部エネルギー U_A, U_B, U_C の大小関係を答えます。

<考え方>
内部エネルギーは絶対温度に比例し、絶対温度は pV に比例します。図4 から各点の p と V を読み取って pV を比べるのが基本。B と C の比較は「断熱膨張では内部エネルギーが減る」で決まります。

内部エネルギー U ∝ 温度 T ∝ pV

図4 から
 A:低い圧力、小さい体積
 B:高い圧力、A と同じ体積
 C:A と同じ圧力、大きい体積

 A と B(体積が同じ)
 → 圧力が高い B のほうが pV が大きい
 → U_A < U_B

 A と C(圧力が同じ)
 → 体積が大きい C のほうが pV が大きい
 → U_A < U_C

 B と C:B → C は断熱膨張
 熱の出入りがないのに外部へ仕事をする
 → 内部エネルギーは減る
 → U_C < U_B

 U_A < U_C < U_B
問5:正解 ⑦(配点5)

<問題要旨>
xy 平面に垂直な2本の平行導線に同じ向き(上向き)の電流 I₁, I₂ を流します。導線1 の電流が導線2 の位置につくる磁場の向き(ア)、その磁場から導線2 の電流が受ける力の向き(イ)、導線2 の長さ l の部分が受ける力の大きさ(ウ)を答えます。

<考え方>
磁場の向きは電流に対する右ねじの法則、力の向きは「電流から磁場へ回した右ねじ」で決めます。同じ向きの平行電流は引き合う、と覚えておけば向きの検算にもなります。公式の分母が r か r² かも要注意。

ア:直線電流のまわりの磁場は同心円
 電流は上向き(+z)、導線1 から導線2 へ向かう向きを考えると
 磁場は「電流の向きに右ねじを回した向き」
 → 導線2 の位置では −x の向き = (c)

イ:力 F = I l × B
 電流は +z、磁場は −x
 → 力は −y の向き = (d)
 → これは導線1 に向かう向き

 (同じ向きの平行電流は引き合う、と一致)

ウ:導線1 が導線2 の位置につくる磁場
 B = μ₀I₁/(2πr)

 導線2 の長さ l の部分が受ける力
 F = I₂ B l = μ₀ I₁I₂ l /(2πr)

(分母は 2πr。r² ではない)

第2問 力学(仮説を実験で検証する ─ 力・質量と速さ)

「速さは力に比例し質量に反比例する」という誤った仮説を、実験で検証していく探究型の大問(30点)。物理の内容だけでなく「実験計画の作り方」も問われます。問4の「運動量なら力積で議論できる」がこの大問の到達点です。

問1:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
A さんの仮説「ある時刻の物体の速さ v は、その時刻に物体が受けている力の大きさ F に比例し、物体の質量 m に反比例する」を、グラフで表したものを選びます。

<考え方>
比例なら原点を通る直線、反比例なら双曲線。さらに「もう一方の量を変えたときにグラフがどちらへ動くか」まで確かめると、まぎらわしい選択肢を切れます。

仮説:v ∝ F かつ v ∝ 1/m

① v-F グラフで直線(比例)は正しいが
  「m 大」のほうが傾きが大きい
  → v ∝ 1/m と矛盾。誤り

② v-F グラフが双曲線
  → v ∝ F と矛盾。誤り

③ v-m グラフが直線
  → v ∝ 1/m と矛盾。誤り

④ v-m グラフが双曲線(反比例)で、
  「F 大」のほうが上にある
  → v ∝ 1/m と v ∝ F の両方に合う ○
問2:正解 ①,②(配点5)

<問題要旨>
【実験1】(いろいろな大きさの力で台車を引き、力の大きさと速さの関係を調べる)を行うときに必要な条件について、空欄(解答番号8・9)を埋めます。

<考え方>
「一定の力で引く」を実現するには、ばねばかりの目盛りが一定であればよい。また、力の効果だけを取り出すには、それ以外の条件(ここでは質量)をそろえる必要があります。これが対照実験の考え方です。

[解答番号8]「一定の大きさの力で引く」ためには
 ばねばかりの目盛りが常に一定になるようにする

 (③「速さが一定」にしてしまうと
  力を変えても速さが変わらず、実験にならない)

[解答番号9]力の効果だけを調べたいので
 力以外の条件をそろえる必要がある
 → 台車とおもりの質量の和を同じ値にする

 (「引く時間」や「引く距離」をそろえても、
  質量が変わってしまえば比較できない)

※ この設問は両方正解の場合のみ得点になる
問3:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
図2 の実験結果(質量の異なる3通りについて、一定の力で引いたときの速さと時刻の関係)から、A さんの仮説が誤りであると判断する根拠を選びます。

<考え方>
仮説は「ある時刻の速さは、その時刻の力と質量だけで決まる」というもの。力も質量も一定なら速さも一定のはずですが、図2 ではどのグラフも時間とともに速さが増えています。ここが決定的です。

A さんの仮説によれば
 力が一定・質量が一定なら
 → その間ずっと速さも一定のはず

 しかし図2 では、3通りのどれも
 時刻とともに速さが直線的に増えている

 → 「一定の力を加えても速さは一定にならない」
  これが仮説を否定する根拠

(① 図2 では質量が小さいほど速い。逆
 ② 質量約2倍(1.54→3.18)で傾きは約1/2。
  「速さが1/4」ではない
 ③ 質量による違いははっきり見えている)
問4:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
図2 を「運動量と時刻」のグラフに描き直したときの概形を、「運動量の変化=その間に受けた力積」という関係を使って予想します。

<考え方>
力積 = 力 × 時間。3通りとも同じ大きさの一定の力で引いているので、同じ時間だけ引けば運動量の増加分も同じ。つまり運動量のグラフの傾きは3本とも等しくなります。

運動量の変化 = 力積 = F × t

 3通りとも同じ大きさの一定の力 F
 → 同じ時間 t での運動量の増加は同じ
 → 運動量-時刻グラフの傾きはすべて F で等しい

 一方、初期の運動量 mv₀ は質量が大きいほど大きい
 → 切片は 質量が大きい ア が上、ウ が下

 → 傾きが同じ平行な3直線 ④

(速さで考えると質量ごとにばらばらだったものが、
  運動量で考えると「傾きが同じ」という
  きれいな形にまとまる。これがこの大問の山場)
問5:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
質量 M₁ の台車が速度 V で等速直線運動をしているとき、台車上の装置から質量 m₁ の小球を、台車の上面に対して垂直上向きに速さ v₁ で打ち上げました。打ち上げ直前の V と打ち上げ直後の台車の速度 V₁ の関係式を選びます。

<考え方>
小球は「台車の上面に対して垂直上向き」に打ち出されます。つまり水平方向には力を受けていないので、小球の水平方向の速度は V のまま。ここに気づけば運動量保存の式がすぐ片づきます。

水平方向の運動量保存

 打ち上げ前:(M₁ + m₁)V

 打ち上げ後
  小球は鉛直に打ち出された
  → 水平方向には力積を受けていない
  → 小球の水平方向の速度は V のまま

  台車:M₁V₁ 小球:m₁V

 (M₁ + m₁)V = M₁V₁ + m₁V
 M₁V = M₁V₁

 V = V₁

(台車の速度は変わらない)
問6:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
速度 V で等速直線運動する質量 M₂ の台車に、質量 m₂ のおもりを鉛直下向きに速さ v₂ で落としたところ、台車とおもりが一体となって速度 V₂ で運動しました。V と V₂ が満たす関係式を説明する文を選びます。

<考え方>
おもりは鉛直に落ちてくるので水平方向の運動量をもっていません。また、床(水平面)から鉛直方向の力を受けるので、鉛直方向の運動量は保存しません。したがって使えるのは水平方向の運動量保存だけです。

水平方向
 おもりは鉛直に落ちてきた
 → 水平方向の運動量は 0
 水平方向には外力がはたらかない
 → 水平方向の運動量は保存する

 M₂V + 0 = (M₂ + m₂)V₂

 → M₂V = (M₂ + m₂)V₂

(鉛直方向は床からの垂直抗力という外力を受けるので
  保存しない。だから ② は誤り。
  一体となる衝突なので運動エネルギーも保存せず
  ④ ⑤ も誤り。V ≠ V₂ なので ① も誤り)

第3問 電磁気(コイルと磁石で作るスピードメーター)

磁石をつけた台車がコイルの中を通ると、電磁誘導でパルス状の電圧が出ます。「パルスの間隔から速さが分かる」「パルスの高さは速さと磁石の強さで決まる」の2点で、問1から問5まで一貫して解けます。

問1:正解 5.0×10⁻¹ m/s(配点5)

<問題要旨>
コイルとオシロスコープの組合せをスピードメーターとして使います。台車の運動を等速直線運動と仮定したとき、図2 から読み取れる台車の速さを有効数字1桁で求めます。コイルの中心間距離は 0.20 m です。

<考え方>
2つのパルスは、磁石がそれぞれのコイルを通過した瞬間に対応します。パルスとパルスの時間差が、0.20 m を進むのにかかった時間です。

図2 から、2つのパルスの時刻を読む
 1つ目:t ≒ 0.3 s
 2つ目:t ≒ 0.7 s

 時間差 Δt = 0.7 − 0.3 = 0.4 s

 この間に台車はコイル間の距離 0.20 m を進んだ

 v = 0.20/0.40 = 0.50 m/s

 有効数字1桁の指定の形に直すと
 v = 5 × 10⁻¹ m/s
問2:正解 ②,③,①(配点2,3)

<問題要旨>
(解答番号16)コイルに流れる誘導電流による磁場が台車に及ぼす力の向き。(解答番号17)実際にはその力が小さい理由。(解答番号18)空気抵抗の影響が小さい理由を答えます。

<考え方>
誘導電流の効果はレンツの法則で「変化を妨げる向き」。つまり台車の運動を妨げます。力が小さい理由は「オシロスコープの内部抵抗が大きい→電流が小さい」。最後は空気抵抗の効果が加速度に効きにくい条件を考えます。

[解答番号16]レンツの法則
 誘導電流は、磁束の変化を妨げる向きに流れる
 → その磁場は台車の運動を妨げる
 → 台車の速さを小さくする力

[解答番号17]オシロスコープは電圧計として使うので
 内部抵抗が非常に大きい
 → コイルを流れる電流は小さい
 → 磁場も、台車が受ける力も小さい

[解答番号18]空気抵抗による加速度は
 a =(空気抵抗)/(質量)

 台車が遅いので空気抵抗そのものが小さく、
 さらに質量が大きいので加速度への影響は小さい

 → 台車の質量が大きい

※ 解答番号17・18 は両方正解の場合のみ得点
問3:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
条件を少し変えたところ、結果が図3 のように変わりました(電圧の振幅が2倍になり、パルスの間隔は変わらない)。加えた変更として最も適当なものを選びます。

<考え方>
グラフから読み取るのは「振幅が2倍」と「パルス間隔は変わらない」の2点。間隔が変わらない=速さは変わっていない。したがって速さを変える選択肢は消え、磁石を強くする変更が残ります。

図3 の読み取り
 変更前:振幅 ±100 mV、パルス間隔 ≒ 0.4 s
 変更後:振幅 ±200 mV、パルス間隔 ≒ 0.4 s

 → 間隔が変わらない=速さは変わっていない
 → ① ②(速さを変える)は不適

 → 振幅だけが2倍=磁石の磁束が2倍になった

 ⑤ 同じ向きに2個たばねる
  → 磁束が2倍。振幅も2倍 ○

 ④ 逆向きに2個たばねる
  → 磁場が打ち消し合って弱くなる ×
 ③ 縦に2個つなげる(S-N-S-N)
  → 磁石が長くなり、パルスの形も本数も変わる ×
問4:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
B さんが三つのコイルを用いて同じ実験をしたところ、図6 のように A さんの図5 と違う結果になりました。B さんの装置は A さんの装置とどのように違っていたかを答えます。

<考え方>
図5 と図6 を「パルスの向き」で見比べます。図5 はどのパルスも「+が先、−が後」。図6 は1つ目だけが「−が先、+が後」で反転しています。反転しているのはコイル1 だけです。

図5(A さん)
 3つのパルスとも「+が先、−が後」

図6(B さん)
 1つ目のパルスだけ「−が先、+が後」で反転
 2つ目・3つ目は図5 と同じ

 → コイル1 だけ、生じる電圧の符号が逆
 → コイル1 の巻き方が逆だった

(① ② のように巻数が違うなら、
  向きではなく振幅が変わる。
  ⑤ のようにオシロスコープの極性が逆なら
  3つとも反転するはず)
問5:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
実験装置を傾けて板の上に台車を静かに置くと、台車はすべり降りました。このときオシロスコープで測定される電圧の時間変化を表すグラフの概形を選びます。

<考え方>
台車は等加速度で加速していきます。したがって、後のコイルほど通過が速くなり、(1)パルスの高さは大きくなり、(2)パルスの間隔は短くなります。両方が同時に成り立つグラフを選びます。

台車は静かに置かれ、斜面上で加速していく

(1)コイルを通過する速さが順に大きくなる
  → 誘導起電力(パルスの高さ)は
   1つ目 < 2つ目 < 3つ目

(2)コイルは等間隔なのに速さが増す
  → 通過にかかる時間は順に短くなる
  → パルスの間隔も 1-2 間 > 2-3 間

(3)パルスの面積(=磁束の変化)はどれも同じ
  → 高くなるぶん幅は狭くなる

 この3つをすべて満たすのは ④

(③ は高さは増えるが間隔がほぼ等しい、
  ⑤ は間隔がむしろ広がっており、
  どちらも加速している台車の運動と合わない)

第4問 原子(ボーアの水素原子模型)

等速円運動の加速度をベクトルの差から導くところから始まり、万有引力と静電気力の比較、ボーアの量子条件、エネルギー準位、光子の振動数まで一気に進みます。誘導が丁寧なので、式を追えば完答できる大問です。

問1:正解 ⑥(配点5)

<問題要旨>
半径 r の円軌道上を一定の速さ v で運動する電子の角速度 ω(ア)と、時刻 t の速度と時刻 t+Δt の速度の差の大きさ(イ)を求めます。

<考え方>
角速度は「1秒あたりに回る角度」で ω = v/r。速度の差は、図2(b) の二等辺三角形で「弧の長さ = 半径 × 中心角」を使うと出ます。ここでの「半径」は速度ベクトルの大きさ v です。

ア:1周(2πr)にかかる時間が周期 T
 T = 2πr/v
 ω = 2π/T = v/r

イ:図2(b) の三角形
 2辺の長さはどちらも v(速さは一定)
 はさむ角は ωΔt

 微小角なので、弧の長さ ≒ 弦の長さ
 |Δv| = v × ωΔt
   = v × (v/r) × Δt
   = (v²/r)Δt

(ちなみに加速度の大きさは
  |Δv|/Δt = v²/r。向心加速度の式が導かれる)
問2:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
水素原子中の電子と陽子の間にはたらく万有引力と静電気力の大きさを比較すると、万有引力は静電気力のおよそ 10 の何乗分の1 倍かを求めます。

<考え方>
距離 r は両方の式で r² として出てくるので、比をとると消えます。あとは定数の掛け算・割り算だけ。10 のべきを先にまとめると計算が速くなります。

万有引力:F_G = G Mm/r²
静電気力:F_C = k₀ e²/r²

 比 = F_G/F_C = GMm/(k₀e²) (r² は消える)

分子
 G M m = 6.7×10⁻¹¹ × 1.7×10⁻²⁷ × 9.1×10⁻³¹
    = (6.7 × 1.7 × 9.1) × 10⁻⁶⁹
    ≒ 104 × 10⁻⁶⁹ = 1.0×10⁻⁶⁷

分母
 k₀ e² = 9.0×10⁹ × (1.6×10⁻¹⁹)²
    = 9.0×10⁹ × 2.56×10⁻³⁸
    ≒ 2.3×10⁻²⁸

 比 = 1.0×10⁻⁶⁷ / 2.3×10⁻²⁸
  ≒ 4.5×10⁻⁴⁰
  ≒ 10⁻⁴⁰

 → 10⁻⁴⁰ 倍、つまり 40
問3:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
量子条件を満たす電子のエネルギー(運動エネルギーと、無限遠を基準とした静電気力による位置エネルギーの和)E_n を、E_n = −2π²k₀² ×( )の形で表します。

<考え方>
まず円運動の運動方程式から運動エネルギーを r で表し、位置エネルギーと足します。すると E_n = −k₀e²/(2r) という簡潔な形になります。あとは与えられた r の式を代入するだけです。

円運動の運動方程式(向心力は静電気力)
 m v²/r = k₀e²/r²
 m v² = k₀e²/r

 運動エネルギー
 K = (1/2)mv² = k₀e²/(2r)

 位置エネルギー(無限遠が基準)
 U = −k₀e²/r

 E_n = K + U
   = k₀e²/(2r) − k₀e²/r
   = −k₀e²/(2r)

 ここに r = h²n²/(4π²k₀me²) を代入

 E_n = −k₀e² × 4π²k₀me² / (2h²n²)
   = −2π²k₀² × me⁴/(n²h²)

 → me⁴/(n²h²)
問4:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
水素原子中の電子が、量子数 n のエネルギー準位 E から量子数 n′ のより低いエネルギー準位 E′ へ移るとき、放出される光子の振動数 ν を求めます。

<考え方>
放出される光子1個のエネルギーが hν で、それがエネルギー準位の差に等しくなります。「高い方 − 低い方」で必ず正になるように引き算の順序を確かめること。

エネルギー準位の差が光子のエネルギーになる

 hν = E − E'

 E は移る前(高い準位)、E' は移った後(低い準位)
 → E > E' なので E − E' > 0

 ν = (E − E')/h

(① は引き算の順序が逆で負になってしまう。
  ③ ④ は次元が合わない)

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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