2021年度 大学入学共通テスト 本試験 物理 解答・解説

2021年度 大学入学共通テスト 本試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2021年度 大学入学共通テスト 本試験「物理」の解答・解説です。共通テストとしては最初の年度で、第1問が小問集合(25点)、第2問が電磁気(25点)、第3問がダイヤモンドの輝きと蛍光灯(30点)、第4問が力学(20点)、合計100点。すべて必答です。
設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。間違えた設問だけを開いて確認してください。

第1問 小問集合(慣性力・滑車・電場・うなり・気体の断熱変化)

共通テスト初年度の小問集合。問2の滑車は「人が引く力の反作用も人を持ち上げる」を見落とすと答えが 2/3 になってしまう頻出の罠。問5は等温変化と断熱変化の p-V グラフの傾きの違いが主役です。

問1:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
台車の上面に、水と少量の空気を入れて密閉した透明な水そうが固定され、その上におもりが糸でつり下げられています。台車を一定の力で右向きに押し続けたときの、おもりと水面の傾きを表す図を選びます。

<考え方>
台車といっしょに動く立場(台車から見た立場)で考えると、おもりにも水にも「加速度と逆向き=左向き」の慣性力がはたらきます。重力と慣性力を合成した「見かけの重力」の向きが、糸の向きであり、水面はそれに垂直になります。

台車は右向きに加速している
 → 台車から見ると、左向きの慣性力がはたらく

見かけの重力 = 重力(下向き)+ 慣性力(左向き)
 → 「左下向き」

おもり:糸は見かけの重力の向きに垂れる
 → おもりは真下より左(後ろ)に振れる

水面:見かけの重力に垂直になる
 → 左(後ろ)側が高く、右(前)側が低い

(自動車が発進すると、乗っている人は
  後ろへ押されるように感じ、
  コップの水も後ろ側が高くなる、のと同じ)

おもりが左、水面も左が高い図 → ④
問2:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
定滑車と動滑車を組み合わせた装置で、質量 50 kg の荷物を質量 10 kg の板にのせ、質量 60 kg の人が板に乗って鉛直下向きにロープを引きます。荷物・板・自分自身を持ち上げられるようになる引く力の下限を求めます。

<考え方>
「荷物+板+人」をひとまとまりと見て、上向きの力を数え上げます。動滑車を支えるロープが2本ぶんで 2T、さらに人がロープを引く反作用としてロープが人を上向きに引く T があり、合計 3T になるのがポイントです。

全体の質量
 M = 50 + 10 + 60 = 120 kg
 重力 Mg = 120 × 9.8 = 1176 N

「荷物+板+人」にはたらく上向きの力
 ・動滑車を支えるロープ2本ぶん … 2T
 ・人が引いているロープが人を引き上げる力 … T

 (人はロープを下向きに T で引く。
  その反作用でロープは人を上向きに T で引く)

 合計 3T

持ち上がる条件
 3T > Mg
 T > 1176/3 = 392 N

 T > 3.92×10² N ≒ 3.9×10² N

(人がロープを引く力を数え忘れると 2T = Mg から
  588 N ≒ 5.9×10² N となり ⑥ を選んでしまう)
問3:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
互いに平行な極板が L, 2L, 3L の3通りの間隔で並び、左端の極板の電位が 0 で、順に一定値 V ずつ高くなっています。隣り合う極板間の中央の点 A〜F のどこに点電荷を置くと静電気力が最も大きくなるかを答えます。

<考え方>
極板間の電場は E = V/d(電位差 ÷ 間隔)。電位差はどの隣り合う極板間も V で同じなので、間隔 d がいちばん狭いところが最も強い電場になります。

平行極板間は一様な電場
 E = (電位差)/(間隔) = V/d

電位差はどこも V で共通なので
 → 間隔が狭いほど電場が強い

各点の間隔
 A:3L → E = V/(3L)
 B: L → E = V/L  ← 最大
 C:2L → E = V/(2L)
 D:2L → E = V/(2L)
 E:3L → E = V/(3L)
 F:2L → E = V/(2L)

静電気力 F = qE は電場に比例
 → 最も大きいのは B
問4:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
A さんが壁を背にして、振動数 f のおんさを鳴らしながら静止している B さんに向かって一定の速さで歩きます。B さんが聞くうなりについて、直接届く音(ア)と壁で反射して届く音(イ)の振動数の f との大小、および A さんがさらに速く歩いたときのうなりの回数(ウ)を答えます。

<考え方>
音源が観測者に近づくと振動数は高くなり、遠ざかると低くなります。A さんは B さんに近づきつつ、壁からは遠ざかっているので、直接音は高く、反射音は低くなります。うなりの回数はその差なので、速く歩けば差が広がります。

ア:A さんは B さんに近づく
 → ドップラー効果で振動数は f より大きい

イ:A さんは壁から遠ざかる
 → 壁に届く音の振動数は f より小さい
  壁はその振動数のまま反射する
 → B さんが聞く反射音は f より小さい

ウ:うなりの回数 n = (高い方)−(低い方)

 音速を v、A さんの速さを u とすると
 直接音:f·v/(v − u)
 反射音:f·v/(v + u)

 n = fv{1/(v−u) − 1/(v+u)}
  = 2fvu/(v² − u²)

 u が大きくなると n も大きくなる
 → 多くなる
問5:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
なめらかに動くピストンのついた円筒容器を上下逆さにし、ピストンが静止するまで移動させます。等温変化の場合の距離 L等温 と断熱変化の場合の L断熱、および図6 の p-V グラフの実線・破線がどちらを表すかを答えます。

<考え方>
まず逆さにすると気体の圧力が下がる(=膨張する)ことを確認します。p-V グラフでは断熱曲線のほうが等温曲線より急なので、同じだけ圧力を下げたときの体積の増え方は等温変化のほうが大きくなります。

[圧力の変化]ピストンの力のつり合い

 逆さにする前(気体が下)
  p₁S = p₀S + mg → p₁ = p₀ + mg/S
 逆さにした後(気体が上)
  p₀S = p₂S + mg → p₂ = p₀ − mg/S

 p₂ < p₁ → 気体は膨張する

[グラフの読み]
 等温変化:pV = 一定
 断熱変化:pV^γ = 一定(γ > 1)
 → 断熱曲線のほうが急

 図6 で急なのは破線
 → 実線(エ)= 等温変化,破線(オ)= 断熱変化

[L の大小]同じ p₁ → p₂ の圧力低下に対して
 等温:V₂ = V₁ × (p₁/p₂)
 断熱:V₂ = V₁ × (p₁/p₂)^(1/γ) < V₁ × (p₁/p₂)

 → 等温変化のほうが大きく膨張する
 → L等温 > L断熱

第2問 A 電磁気(コンデンサーを含む回路とホイートストンブリッジ)

「スイッチを閉じた瞬間のコンデンサーは導線」「十分時間が経てばコンデンサーは断線」──この2つの読み替えができれば、あとは普通の直流回路です。問3はホイートストンブリッジの平衡条件そのもの。

問1:正解 ③,3.0×10⁻¹ A(配点2,2)

<問題要旨>
可変抵抗を R = 10 Ω にしてスイッチを閉じた瞬間の回路が、どの回路と同じとみなせるか(解答番号6)と、そのとき点Q を流れる電流の大きさ(解答番号7〜9)を求めます。

<考え方>
閉じた瞬間、コンデンサーには電荷がないので両端の電位差は 0。つまり「導線でつないだ状態」と同じです。すると Q と下側の中間点が同じ点になり、10 Ω と 20 Ω の並列、20 Ω と 10 Ω の並列の直列回路になります。

[解答番号6]コンデンサーの電位差が 0
 → 両端を導線でつないだのと同じ
 → Q と下側の中間点が同一の点になる

 左側:10 Ω と 20 Ω の並列
 右側:20 Ω と 10 Ω(= R)の並列
 → この形の回路 ③

[解答番号7〜9]
 左側の合成 = 10×20/(10+20) = 20/3 Ω
 右側の合成 = 20×10/(20+10) = 20/3 Ω
 全体 = 40/3 Ω

 電源から流れる電流
  I = 6.0 ÷ (40/3) = 0.45 A

 左側にかかる電圧
  V = 0.45 × 20/3 = 3.0 V

 点Q を流れる電流(10 Ω を流れる電流)
  = 3.0/10 = 0.30 A = 3.0×10⁻¹ A

(点Q でこの 0.30 A が、20 Ω へ 0.15 A、
  コンデンサーへ 0.15 A に分かれる)
問2:正解 ④,②(配点3,3)

<問題要旨>
R = 10 Ω のままスイッチを閉じて十分時間が経過し、コンデンサーに流れ込む電流が 0 になったときの、点P を流れる電流の大きさ(解答番号10)とコンデンサーに蓄えられた電気量(解答番号11)を求めます。

<考え方>
コンデンサーに電流が流れない=その枝は断線と同じ。上下の枝がそれぞれ直列になり、その2本が並列につながっただけの回路になります。電気量は Q = CV で、V は Q 点と中間点の電位差です。

[解答番号10]コンデンサーの枝は断線と同じ
 上の枝:10 + 20 = 30 Ω
 下の枝:20 + 10 = 30 Ω
 この2本が並列

 合成 = 30×30/(30+30) = 15 Ω
 点P(電源)を流れる電流
  I = 6.0/15 = 0.40 A

[解答番号11]右端を電位 0、左端を 6.0 V とする
 各枝の電流 = 6.0/30 = 0.20 A

 点Q の電位(右端から 20 Ω 手前)
  = 0.20 × 20 = 4.0 V
 中間点の電位(右端から 10 Ω 手前)
  = 0.20 × 10 = 2.0 V

 コンデンサーの電位差 = 4.0 − 2.0 = 2.0 V

 Q = CV = 0.10 × 2.0 = 0.20 C
問3:正解 4.0×10¹ Ω(配点3)

<問題要旨>
コンデンサーの電荷を完全に放電させてから可変抵抗を変え、再びスイッチを入れたところ、点P を流れる電流はスイッチを入れた直後の値を保ちました。このときの R を求めます。

<考え方>
「電流が時間とともに変わらない」=「コンデンサーが充電も放電もしない」=「コンデンサーの両端がいつも同じ電位」。これはホイートストンブリッジの平衡条件そのものです。

電流が変化しない
 → コンデンサーに電荷が出入りしない
 → コンデンサーの両端の電位が常に等しい
 → ホイートストンブリッジの平衡

平衡条件(上下の枝で分圧比が等しい)
 10 : 20 = 20 : R

 10R = 20 × 20 = 400
 R = 40 Ω

 R = 4.0×10¹ Ω

(確認)点Q の電位
  = 6.0 × 20/(10+20) = 4.0 V
 中間点の電位
  = 6.0 × 40/(20+40) = 4.0 V … 一致

第2問 B 電磁気(磁場中のレール上を動く2本の導体棒)

2本の導体棒が向かい合う設定。棒 a・b にはたらく力は「大きさが等しく向きが反対」なので、2本を合わせた運動量が保存されます。これに気づくと問6のグラフは計算なしで決まります。

問4:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
導体棒 a に右向きの初速度 v₀ を与えた直後に、a に流れる誘導電流の向き(ア)と大きさ(イ)を答えます。導体棒の単位長さあたりの抵抗値は r です。

<考え方>
向きは「棒の中の正電荷が受ける力の向き」で決めます。大きさは、起電力 Bdv₀ を回路全体の抵抗で割るだけ。ここで抵抗が「単位長さあたり r」と与えられているので、棒1本の抵抗は rd、2本で 2rd になり、長さ d が約分されます。

[向き]
 磁場 B は鉛直上向き、棒 a の速度は右向き
 正電荷が受ける力は「速度から磁場へ回した右ねじ」の向き
 → 図の P の向き

[大きさ]
 誘導起電力 V = Bdv₀

 棒1本の抵抗 = r × d = rd
 回路は棒 a と棒 b が2本で1つの輪
 (レールの抵抗は無視)
 全抵抗 = rd + rd = 2rd

 I = Bdv₀/(2rd) = Bv₀/(2r)

(d が約分されて消える。
  「単位長さあたりの抵抗」という条件がその仕掛け)
問5:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
導体棒 a が動き始めると b も動き始めました。このとき a と b が磁場から受ける力について述べた文を選びます。

<考え方>
a と b は1つの輪でつながっているので、流れる電流の大きさは同じ。長さも磁場も同じなので力の大きさ F = IBd も同じです。向きは、輪をたどると a と b で電流の向きが逆になるので、力も逆向きになります。

a と b は直列につながった1つの回路
 → 流れる電流の大きさは同じ I

 力の大きさ F = IBd
 長さ d も磁束密度 B も共通
 → 力の大きさは等しい

 輪を一周してたどると、
 a と b では電流の向きが逆
 → 磁場から受ける力の向きも逆

(作用・反作用ではないが、結果として
  「大きさが等しく向きが反対」になる)

 → 力の大きさは等しく、向きは反対
問6:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
導体棒 a が動き始めたのちの、a と b の速度と時間の関係を表すグラフを選びます。

<考え方>
問5より a と b が受ける力は大きさが等しく逆向き。したがって2本を合わせた運動量が保存されます。また、相対速度が 0 になれば起電力も 0 になり、そこで変化が止まります。

運動量保存(質量は等しく m)
 m v_a + m v_b = m v₀
 → v_a + v_b = v₀(常に成立)

 誘導起電力は「相対速度」で決まる
 V = Bd(v_a − v_b)

 電流が流れる限り a は減速、b は加速
 → 相対速度は 0 に近づく

 最終状態:v_a = v_b
 v_a + v_b = v₀ より
 v_a = v_b = v₀/2

 a:v₀ から v₀/2 へ減少
 b:0 から v₀/2 へ増加
 どちらも正の向き(右向き)のまま

 → ③

第3問 A 波動(ダイヤモンドが輝く理由 ─ 分散と全反射)

ダイヤモンドがなぜ明るく色とりどりに輝くのかを、分散と臨界角から説明していく大問。問3のグラフ読み取りが山場で、「臨界角が小さいほど全反射する入射角の範囲が広い」という結論に着地します。

問1:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
光が媒質中に入射したとき変化しない量(ア)と変化する量(イ)、およびダイヤモンドでは波長の短い光ほど屈折率が大きいことから、波長の短い光がとる経路(ウ)を答えます。

<考え方>
媒質が変わっても振動数は変わりません(波源の振動そのものだから)。変わるのは速さで、それに応じて波長が変わります。ウは「屈折率が大きい光ほど、面での曲がり方が大きい」を最後の EB 面まで追いかけます。

ア・イ:媒質が変わっても
 振動数 f は変わらない(波源が決めている)
 速さ v が変わる → λ = v/f より波長が変わる

 (媒質中の波長)/(真空中の波長) = 1/n
 これが色によって違う → 分散が起こる

ウ:波長が短い光 → 屈折率 n が大きい
 → DE 面で法線(鉛直方向)により近づくよう
  大きく曲げられる
 → 内部の経路がより鉛直に近くなる
 → AC・BC での反射位置が少しずつずれ、
  最後に EB 面から出るときも
  法線から大きく離れる向きに曲がる

 → 左側の (i) の経路
問2:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
DE 面での入射角 i と屈折角 r の関係(エ)と、AC 面での臨界角 θc を求める式(オ)を選びます。

<考え方>
屈折の法則は「(入射側の屈折率)× sin(入射角) =(屈折側の屈折率)× sin(屈折角)」。臨界角は「屈折角が 90° になる入射角」として求めます。

エ:空気(屈折率1)→ ダイヤモンド(屈折率 n)
 1 × sin i = n × sin r

 sin i = n sin r

オ:臨界角はダイヤモンド → 空気 で
 屈折角が 90° になる入射角

 n × sinθc = 1 × sin90° = 1

 sinθc = 1/n

(n が大きいほど θc は小さい。
  ダイヤモンドは n ≒ 2.4 で θc ≒ 24°)
問3:正解 ④,①(配点4,4)

<問題要旨>
図5 のグラフをもとに、ダイヤモンドとガラスの AC 面での反射のしかた(カ〜ク、解答番号20)と、ダイヤモンドがガラスより明るく輝く理由(ケ・コ、解答番号21)を答えます。

<考え方>
グラフで θAC が臨界角より上にあれば全反射、下にあれば部分反射(=一部は外へ抜けてしまう)。ダイヤモンドは 0° < i < ic で θAC が臨界角より上にあり、ガラスは全域で下にあります。

[解答番号20]図5(a) ダイヤモンド
 0° < i < ic:θAC は臨界角より大きい → 全反射(カ)
 ic < i < 90°:θAC は臨界角より小さい → 部分反射(キ)

 図5(b) ガラス
 0° < i' < 90° の全域で θ'AC は臨界角より小さい
 → 部分反射(ク)

 → カ = 全反射,キ = 部分反射,ク = 部分反射

[解答番号21]
 sinθc = 1/n より、n が大きいほど θc は小さい
 ダイヤモンドはガラスより屈折率が大きい(ケ)
 → 臨界角が小さい
 → 全反射する入射角の範囲が広い

 AC 面でも BC 面でも全反射する光が多く(コ)、
 光が外へ逃げずに上方の観察者へ向かう
 → 明るく輝く

 → ケ = 大きい,コ = 全反射

第3問 B 原子(蛍光灯が光る原理)

蛍光灯の中で何が起きているかを、電子と水銀原子の衝突として扱います。問5・問6は「運動量はどんな衝突でも保存するが、運動エネルギーは非弾性衝突では保存しない」という原則の確認です。

問4:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
電子が電圧 V で加速され、管内で水銀原子と一度も衝突せずにプレートに到達したときに得る運動エネルギーを求めます。電気素量を e とします。

<考え方>
静電気力がした仕事がそのまま運動エネルギーになります。仕事は(電気量)×(電位差)。

電子の電気量の大きさ = e
加速電圧 = V

静電気力がした仕事
 W = eV

 一度も衝突していないので、
 この仕事がすべて運動エネルギーになる

 運動エネルギー = eV

(V² の形になる ④〜⑥ は次元が合わない。
  仕事は「電気量 × 電位差」)
問5:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
過程(a)(水銀原子は状態A のまま)と過程(b)(水銀原子が状態B に変化する)のそれぞれについて、衝突の前後で電子と水銀原子の運動量の和がどうなるかを答えます。

<考え方>
運動量保存則は「外力がはたらかなければ成り立つ」もので、衝突が弾性か非弾性かには関係ありません。内部のエネルギー状態が変わっても、外から力を受けていない以上、運動量の和は保存します。

衝突の間、電子と水銀原子には外力がはたらかない
 (互いに及ぼし合う力は内力で、
  作用・反作用で打ち消し合う)

 → 運動量の和は保存する

 これは過程(a)(弾性衝突)でも
 過程(b)(水銀原子が励起される非弾性衝突)でも
 同じように成り立つ

 → 過程(a):保存する
  過程(b):保存する

(「エネルギーが失われるから運動量も失われる」
  と考えてしまうのが典型的な誤り)
問6:正解 ⑥(配点5)

<問題要旨>
過程(a)と過程(b)のそれぞれについて、衝突後の電子と水銀原子の運動エネルギーの和がどうなるかを答えます。

<考え方>
過程(a)は水銀原子の状態が変わらないので弾性衝突=運動エネルギーの和は変わりません。過程(b)は水銀原子を状態A から状態B へ引き上げるぶんのエネルギーが使われるので、その分だけ運動エネルギーの和は減ります。

過程(a):水銀原子は状態A のまま
 → 内部エネルギーは変わらない
 → 弾性衝突
 → 運動エネルギーの和は変化しない

過程(b):水銀原子が状態A → 状態B へ変化
 (状態B は状態A よりエネルギーが高い)
 → その差のぶんだけ運動エネルギーが使われる
 → 運動エネルギーの和は減る

(減ったぶんは水銀原子の内部エネルギーになり、
  やがて状態A に戻るときに紫外線として放出される。
  その紫外線が蛍光物質に当たって
  可視光線が生じる = 蛍光灯が光る)

 → 過程(a):変化しない,過程(b):減る

第4問 力学(氷上のそりへの投球 ─ 斜方投射と衝突)

台座の上から氷上のそりに向かってボールを投げる設定。問2で「水平方向の運動量だけが保存する」ことに気づけるかが分かれ目です。氷が鉛直方向の力を受け持つので、鉛直方向の運動量は保存しません。

問1:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
A さんが投げた瞬間のボールの高さのほうが、B さんに届く直前の高さより高いとき、v_A, v_B, θ_A, θ_B の大小関係を答えます。

<考え方>
斜方投射では水平方向の速度成分が変化しません。一方、落ちてきたぶんだけ力学的エネルギー保存から速さは増えます。この2つを組み合わせると角度の大小も決まります。

[速さ]力学的エネルギー保存
 投げた点のほうが高い
 → 落ちてきたぶん運動エネルギーが増える
 → v_A < v_B

[水平成分]空気抵抗を無視するので
 水平方向の速度成分は変化しない

 v_A cosθ_A = v_B cosθ_B

 cosθ_B = (v_A/v_B) cosθ_A

 v_A/v_B < 1 なので cosθ_B < cosθ_A
 0° < θ < 90° では cos は減少関数だから

 θ_A < θ_B

 → v_A < v_B,θ_A < θ_B

(落ちながら速くなり、向きも下向きに寝ていく)
問2:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
B さんが届いたボールを捕球して、そりと B さんとボールが一体となって氷上をすべり出しました。捕球後の速さ V を求めます。

<考え方>
そりと氷の間に摩擦がないので、水平方向には外力がはたらかず、水平方向の運動量だけが保存します。鉛直方向は氷からの垂直抗力が受け持つので保存しません。

水平方向の運動量保存

 捕球前:ボールだけが水平方向に動いている
  水平方向の運動量 = m v_B cosθ_B

 捕球後:そり+B さん+ボールが一体
  質量 = M + m
  水平方向の運動量 = (M + m)V

 m v_B cosθ_B = (M + m)V

 V = m v_B cosθ_B/(m + M)

(鉛直方向は氷からの垂直抗力という外力が
  はたらくので保存しない。だから sinθ_B ではなく
  cosθ_B が出てくる)
問3:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
問2のように一体となって運動するときの全力学的エネルギー E₂ と、捕球する直前の全力学的エネルギー E₁ の差 ΔE = E₂ − E₁ について述べた文を選びます。

<考え方>
捕球は「一体になる」完全非弾性衝突です。この種の衝突では力学的エネルギーは必ず減り、減ったぶんは熱や音、変形のエネルギーに変わります。

捕球 = 一体となる完全非弾性衝突

 完全非弾性衝突では力学的エネルギーは必ず減少する
 → ΔE = E₂ − E₁ < 0(負)

 失われたエネルギーは
 熱・音・グローブや体の変形などに変わる

(運動量は保存するがエネルギーは保存しない、
  という組合せをはっきり区別すること。
  m と M の大小によらず、必ず減る)
問4:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
B さんがボールを捕球できず、ボールがそり上面(水平でなめらか)に衝突して跳ね返りました。そりは衝突後も静止したままでした。この会話の空欄(ア・イ)を埋めます。

<考え方>
そりが動かなかったのは、そりが受けた力に水平方向の成分がなかったからです。鉛直方向には力を受けていますが、それは氷からの垂直抗力とつり合います。また、水平方向の速度が変わらなくても、鉛直方向で速さが落ちていれば非弾性衝突です。

ア:そり上面は水平でなめらか(摩擦なし)
 → ボールがそりに及ぼす力は面に垂直
  = 鉛直方向のみ
 → 水平方向の成分がゼロ
 → だからそりは水平方向に動かなかった

 (鉛直方向には力積を受けているが、
  氷からの垂直抗力とつり合うので沈まない。
  「力積がゼロ」ではない)

イ:摩擦がないので水平方向の速度は変わらない
 しかし鉛直方向の速さは
 跳ね返りで小さくなっているかもしれない

 → 運動エネルギーが減っている可能性がある
 → 必ずしも弾性衝突とは限らない

 → いいえ、鉛直方向の運動によっては
  弾性衝突とは限らない

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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