2019年度 大学入試センター試験 本試験 物理 解答・解説

2019年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2019年度 大学入試センター試験 本試験「物理」の解答・解説です。第1問〜第4問が必答(25+20+20+20=85点)、第5問と第6問はどちらか1問を選択(15点)で、合計100点。
本記事では第5問・第6問の両方を解説していますので、選ばなかったほうの復習にも使ってください。設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。

第1問 小問集合(運動量・電場・凸レンズ・気体・ばね振り子)

力学・電磁気・波動・熱から1問ずつ。問3の凸レンズは「倍率1.0 なら物体もスクリーンも焦点距離の2倍の位置」を知っていれば一瞬です。問5は「重力があっても、ばね振り子の周期は変わらない」という頻出テーマ。

問1:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
運動エネルギーと運動量について述べた4つの文から、最も適当なものを選びます。

<考え方>
運動量はベクトル、運動エネルギーはスカラー。「運動量の変化 = 力積」「運動エネルギーの変化 = 仕事」という対応を取り違えないことがポイントです。

① 運動エネルギーはスカラー(向きをもたない)
  → 誤り

② 非弾性衝突では
  運動量の和は保存されるが
  運動エネルギーの和は保存されない
  → 正しい ←

③ 力積 = 運動量の変化
  運動エネルギーの変化 = 仕事
  → 対応が入れ替わっている。誤り

④ 等速円運動では速さは一定だが
  速度の向きが変わり続ける
  → 運動量(ベクトル)は一定でない。誤り
問2:正解 ⑥(配点5)

<問題要旨>
x 軸上の原点O に電気量 Q、x = d に電気量 q の点電荷が固定されています。x = 2d の位置の電場の大きさが 0 になるときの Q を求めます。

<考え方>
x = 2d から見ると、O までの距離は 2d、d までの距離は d。点電荷のつくる電場は電気量に比例し距離の2乗に反比例するので、それを足して 0 と置くだけです。符号も含めて計算します。

x = 2d の位置での電場(x 軸の正の向きを正とする)

 Q による電場:kQ/(2d)² = kQ/(4d²)
 q による電場:kq/d²

(どちらの電荷も 2d より左にあるので、
  正電荷なら +x 向きの電場をつくる)

合成が 0
 kQ/(4d²) + kq/d² = 0
 Q/4 + q = 0

 Q = −4q

Q は q と符号が逆で、大きさは 4 倍
問3:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
物体(文字板)とスクリーンを 1.0 m 離して置き、間で凸レンズの位置を調整したところ、倍率 1.0 の明瞭な像ができました。レンズの焦点距離(ア)と、スクリーン上の像を O′ 側から見たときの見え方(イ)を答えます。

<考え方>
倍率 1.0 の実像ができるのは、物体もスクリーンも焦点距離の2倍の位置にあるときです。像の向きは「凸レンズの実像は物体を 180° 回転させた向き」で決まります。

[ア]倍率 1.0 の実像
 物体距離 a とスクリーンまでの距離 b が
 a = b = 2f

 a + b = 1.0 m より
 4f = 1.0
 f = 0.25 m

[イ]凸レンズによる実像は
 物体を光軸のまわりに 180° 回転させた向き
 (上下も左右も逆になる)

 図2 の「P」を 180° 回転させると (A) の形

 → ア = 0.25,イ = (A)
問4:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
鉛直に立てた断面積 S のシリンダーに、質量 m のなめらかに動くピストンを取り付け、物質量 n の理想気体を閉じ込めます。ピストンが静止し温度が T のとき、底面からピストン下面までの高さ h を求めます。

<考え方>
まずピストンにはたらく力のつり合いから、中の気体の圧力を出します。大気圧に加えてピストンの重さのぶんだけ高くなります。あとは状態方程式に V = Sh を入れるだけです。

ピストンの力のつり合い(鉛直方向)
 下から:(気体の圧力 p)× S
 上から:(大気圧 p₀)× S + mg

 pS = p₀S + mg
 p = (p₀S + mg)/S

状態方程式 pV = nRT,V = Sh

 {(p₀S + mg)/S} × Sh = nRT
 (p₀S + mg) h = nRT

 h = nRT/(p₀S + mg)
問5:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
ばね定数 k の軽いばねに質量 m の小球をつけ、(a) なめらかな水平面上、(b) なめらかな傾き30°の斜面上、(c) 天井からつるす、の3通りで単振動させたときの周期 T_a, T_b, T_c を比較します。

<考え方>
重力(やその斜面方向の成分)は「大きさも向きも一定の力」なので、単振動の中心(つり合いの位置)をずらすだけで、復元力の比例定数 k は変わりません。したがって周期はどれも同じです。

いずれの場合も、つり合いの位置からの変位を x とすると
 復元力 F = −kx

(重力やその斜面方向の成分は一定の力なので、
  つり合いの位置をずらすだけ。
  x をそこから測れば式から消える)

周期はどれも
 T = 2π√(m/k)

 T_a = T_b = T_c

第2問 A 電磁気(半導体ダイオードと交流の整流)

pn 接合ダイオードの仕組みから入り、交流回路でのはたらきを見る流れです。問2は「ダイオードのある枝が半周期だけ導通する」ことに気づけば、正の側と負の側で電流の大きさが 2:1 になると分かります。

問1:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
二つの異なる半導体 A, B を接合したダイオードで、半導体A から半導体B へ電流が流れます。それぞれの半導体内の電流の担い手(キャリア)の組合せを選びます。

<考え方>
誘導文の「A, B 内のキャリアは接合面に移動して、接合面付近で結合する」が決定的です。結合できるのはホールと電子の組合せしかありません。電流の向き(A→B)と合わせると、A が p 型、B が n 型と決まります。

キャリアが接合面で「結合する」
 → ホールと電子の組合せ
 (イオンは結晶格子に固定されていて動けない)

電流は A → B の向き

 A 内:電流と同じ向きに動くキャリア
   = 正の電荷 = ホール(正孔)→ p 型
 B 内:電流と逆向きに動くキャリア
   = 負の電荷 = 電子 → n 型

 → 半導体A = ホール(正孔)
   半導体B = 電子
問2:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
直流電源を周期 T の交流電源に交換し、同じ抵抗値の抵抗を並列に付け加えた図2 の回路で、点P を流れる電流の時間変化を選びます。図3 は点a に対する点b の電位です。

<考え方>
点P には二つの枝の電流の和が流れます。上の抵抗だけの枝は常に導通しますが、ダイオードのある枝は順方向のときだけ導通します。つまり半周期は2本ぶん、半周期は1本ぶんの電流になります。

回路は「抵抗だけの枝」と
「ダイオード+抵抗の枝」の並列

[b の電位が正の半周期]
 ダイオードは順方向 → 両方の枝に電流
 点P の電流 = V/R + V/R = 2V/R(正の向き)

[b の電位が負の半周期]
 ダイオードは逆方向 → 導通するのは上の枝だけ
 点P の電流 = V/R(負の向き)

正の側の振幅が負の側の振幅の 2 倍

 → 正の山が大きく負の谷が小さい ⑤

第2問 B 電磁気(磁場中のレール上の導体棒)

導体棒の電気抵抗が 0 という設定がミソ。棒が止まっている間は棒が抵抗 R を短絡してしまい、動き出して誘導起電力が生じると事情が変わります。

問3:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
S を閉じると導体棒は右向きの力を受けます。導体棒が動かないように左向きに加えた力の大きさを求めます。

<考え方>
導体棒の電気抵抗が 0 なので、棒は抵抗 R の両端を短絡します。つまり R には電圧がかからず電流も流れず、電源の電流はすべて棒を通ります。あとは F = IBℓ です。

導体棒の抵抗は 0
 → 抵抗 R の両端の電位差は 0
 → R には電流が流れない

電源の回路は「V と r と 導体棒」だけ
 導体棒を流れる電流
 I = V/r

導体棒が磁場から受ける力
 F = IBℓ = VBℓ/r

つり合わせるために加える力も同じ大きさ
 VBℓ/r
問4:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
左向きの力をとりのぞくと導体棒は右向きに運動をはじめ、十分に時間が経つと導体棒に電流が流れなくなり、速さが一定値 v になりました。v を求めます。

<考え方>
「棒に電流が流れない」=棒にはたらく力が 0 =等速。このとき棒の起電力 Bℓv が、レール間の電位差とちょうどつり合っています。棒に電流が流れないので、電源の電流はすべて R を通ります。

棒に電流が流れない状態
 → 電源からの電流はすべて R を流れる

レール間(=R の両端)の電位差を U とすると

 電源の枝:I = (V − U)/r
 R の枝 :I = U/R

 この二つが等しいので
 (V − U)/r = U/R
 R(V − U) = rU
 RV = (r + R)U
 U = RV/(r + R)

棒に電流が流れない条件は
 棒の誘導起電力 Bℓv が U に等しいこと

 Bℓv = RV/(r + R)

 v = VR / {Bℓ(r + R)}

第3問 A 波動(薄膜による光の干渉と、透明な板による屈折)

問1は薄膜干渉を「作図の線分」だけで表す珍しい形式。EF = n·AB を使うと経路差が n(BD+DF) に化けるのが山場です。問2は「板の中では光の傾きがゆるくなる」の一点で全部決まります。

問1:正解 ①,③(配点3,2)

<問題要旨>
空気中を進む平行光線がガラス板上の薄膜に入射します。(解答番号1)屈折率 n を図中の線分の長さで表します。(解答番号2)観測者に届く光が強め合う条件を選びます。

<考え方>
線分AE は空気中の光の経路に垂直、線分BF は薄膜中の光の経路に垂直、つまりどちらも波面です。「同じ時間に空気中で EF、薄膜中で AB だけ進む」から屈折率が出ます。強め合う条件では、経路差を出したあとに反射での位相反転を2回ぶん数えます。

[解答番号1]
 AE は空気中の波面、BF は薄膜中の波面
 → 光が E から F へ進む間に、
   A から B へ進む

 屈折率 n =(空気中の速さ)/(薄膜中の速さ)
      =(同じ時間に進む距離の比)
      = EF/AB

[解答番号2]経路差
 経路1 の光学距離 = n(AD + DF)
 経路2 の光学距離 = EF = n·AB

 差 = n(AD + DF) − n·AB
  = n(AD − AB + DF)
  = n(BD + DF)

 反射による位相の反転
  D(薄膜 → ガラス,n < n')で π
  F(空気 → 薄膜,1 < n)で π
  → 2回で相殺、条件に影響しない

 強め合う条件
  n(BD + DF) = mλ
問2:正解 ④,②(配点2,3)

<問題要旨>
透明な壁の両側に姉と弟が立っています。(解答番号3)姉の目から弟の目へ向かう光が壁の中を進む経路。(解答番号4)弟から見た姉の目の位置と、姉から見た弟の目の位置が、壁がないときと比べてどうずれるか。

<考え方>
空気より屈折率の大きい壁の中では、光は法線(水平方向)に近づく=傾きがゆるくなります。壁の外の入射光線と出射光線は互いに平行(=傾きが急)です。この「急・ゆるい・急」の組合せで経路が決まります。

[解答番号3]
 壁の中:法線に近づく → 傾きがゆるい
 壁の外:入射光線と出射光線は平行 → 傾きが急

 姉の目から出た光は直線BE より急に下がる
 → 壁に入る点は B より下 = C

 壁の中はゆるいので、直線BE をまたいで上に出る
 → 壁から出る点は E より上 = D

 (出る光線は急な傾きなので、
  弟の目に届くには高い位置 D から出るしかない)

 → C → D

[解答番号4]
 イ:弟に届く光は、直線BE より上にずれた
  平行光線 → その延長は姉の目より上を通る
  → 姉の目は上にずれて見える

 ウ:光の逆進性で、姉に届く光は
  直線BE より下にずれた平行光線
  → 弟の目は下にずれて見える

 → イ = 上にずれて,ウ = 下にずれて

第3問 B 波動(単振動する音源のドップラー効果)

ばねにつけた音源を単振動させ、離れた観測者が聞く音を考えます。「いちばん高い音 = 観測者に向かう速さが最大」だけで答えが出ます。

問3:正解 ④(配点5)

<問題要旨>
図5 に表された音源の位置 x と時間 t の関係を表す式を選びます。

<考え方>
グラフを読むと t = 0 で x = a(振動の端)から始まっています。sin 型の式に合わせるには位相 π/2 が必要です。また、角振動数は 2π/T であって 1/T ではないことに注意します。

図5 の読み取り
 t = 0  :x = a(正の端)
 t = T/4:x = 0(点P)
 t = T/2:x = −a(点Q)
 t = 3T/4:x = 0(点R)
 t = T  :x = a(点S)

 → x = a cos(2πt/T)

選択肢は sin の形なので直す
 cosθ = sin(θ + π/2)

 x = a sin(2πt/T + π/2)

(角振動数は 2π/T。t/T ではない)
問4:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
観測者はドップラー効果を途切れることなく観測しました。図5 の点P, Q, R, S のうち、最も高い音として観測される音が発生する点を選びます。

<考え方>
ドップラー効果で音が最も高くなるのは、音源が観測者に向かって最大の速さで動いているときです。観測者は x 軸上の正の位置にいるので、x 軸の正の向きの速度が最大になる瞬間を探します。

観測者は x 軸上の正の位置
 → 音が最も高くなるのは
  「x の正の向きの速度が最大」のとき

速度はグラフの傾き
 P(t = T/4):傾きが負で最大の大きさ
        → 観測者から遠ざかる(最も低い音)
 Q(t = T/2):傾き 0
 R(t = 3T/4):傾きが正で最大の大きさ
        → 観測者に近づく(最も高い音)←
 S(t = T) :傾き 0

 → 点R

第4問 A 力学(減速する電車内の運動と慣性力)

減速する電車の中は、重力と「進行方向向きの慣性力」が同時にはたらく世界。二つを合成した「見かけの重力」を描けば、おもりの傾きもボールの軌道も一度に決まります。

問1:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
大きさ a の一定の加速度で減速している電車の中で、天井からつるしたおもりの糸が鉛直に対して角度 θ だけ傾いて静止しました。tanθ を求めます。

<考え方>
電車内から見ると、おもりには重力 mg(下向き)と慣性力 ma(進行方向向き=水平)がはたらき、糸の張力とつり合います。水平成分と鉛直成分の比がそのまま tanθ です。

電車内(減速中)から見た力
 重力 :mg(鉛直下向き)
 慣性力:ma(進行方向向き=水平)

糸の張力がこの二つの合力とつり合う
 → 糸は「重力と慣性力の合力」の向きに傾く

 tanθ =(水平成分)/(鉛直成分)
   = ma/(mg)
   = a/g
問2:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
電車内の少年が床から高さ h でボールを静かに放しました。電車内で観測したときのボールの軌道を表す図を選びます。

<考え方>
ボールにはたらくのは重力と慣性力だけ。どちらも大きさ・向きが一定なので、合力も一定=等加速度運動です。初速度 0 の等加速度運動の軌道は、合力の向きの直線になります。

電車内で見たボールにはたらく力
 重力 mg(下向き)+ 慣性力 ma(進行方向向き)
 → 合力は「斜め下・進行方向向き」で一定

初速度 0 の等加速度運動
 → 軌道は合力の向きの直線

 高さ h の点から、進行方向へ斜めに
 まっすぐ下りる線

(曲線になる ④ ⑥ は初速度がある場合の形。
  真下に落ちる ⑦ は慣性力を忘れた形)

 → ⑤

第4問 B 力学(釘にかかる振り子)

水平な位置から放した振り子が、最下点で釘にかかって半径の小さい円運動に変わります。エネルギー保存で速さを出し、円運動の運動方程式で張力を出す、という王道の二段構えです。

問3:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
糸が釘にかかるまでの小球の運動エネルギー K と、糸が水平方向OP となす角度 α の関係を表すグラフを選びます。

<考え方>
点P(水平位置)で静かに放すので、そこでの運動エネルギーは 0。角度 α のとき、小球は P から ℓ sinα だけ下がっています。力学的エネルギー保存を書けば K の式がそのまま出ます。

点P(α = 0)で静かに放す → K = 0

角度 α のとき、
 小球の高さは P より ℓ sinα だけ低い

力学的エネルギー保存
 K = mgℓ sinα

 α = 0 のとき K = 0
 α = 90°(最下点R)のとき K = mgℓ(最大)

sinα のグラフなので
 0 から立ち上がり、傾きがだんだんゆるくなって
 90° で最大になる曲線

(直線の ① や、傾きが増えていく ③ ではない)

 → ⑤
問4:正解 ⑥(配点5)

<問題要旨>
小球が点R を通過後 β = 90° となったとき、糸の張力の大きさを求めます。

<考え方>
釘にかかった後は、点Q を中心とする半径 ℓ−a の円運動です。β = 90° では糸が水平なので、重力は円の中心方向の成分をもちません。したがって張力だけが向心力になります。速さはエネルギー保存で出します。

釘にかかった後の円運動
 中心:点Q,半径:r = ℓ − a

β = 90° のとき、小球は点Q と同じ高さ
 → 最下点R より (ℓ − a) だけ高い

力学的エネルギー保存(点P を高さの基準に)
 点P は最下点R より ℓ 高い

 (1/2)mv² = mgℓ − mg(ℓ − a) = mga
 v² = 2ga

β = 90° では糸が水平
 → 重力は円の中心方向の成分をもたない
 → 張力だけが向心力

 T = mv²/r = m·(2ga)/(ℓ − a)

 T = 2amg/(ℓ − a)

第5問〔選択問題〕 熱力学(p-V 図の長方形サイクル)

第5問と第6問はどちらか1問を選択します(配点15点)。こちらは熱力学。p-V 図が長方形なので、仕事は面積、温度は pV に比例、という2点だけで3問とも解けます。

問1:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
過程 A→B(定積変化、圧力が p₀ から 2p₀)で、気体が熱を吸収するのか放出するのか、また内部エネルギーが増加するのか減少するのかを答えます。

<考え方>
定積変化なので気体は仕事をしません。したがって熱力学第一法則から Q = ΔU。内部エネルギーは温度で決まり、温度は pV に比例するので、圧力が上がれば温度も上がります。

A(V₀, p₀) → B(V₀, 2p₀) 定積変化

体積が変わらない → 気体がした仕事 W = 0

温度は pV に比例
 A:p₀V₀
 B:2p₀V₀
 → 温度は 2 倍になる → 内部エネルギーは増加

熱力学第一法則
 Q = ΔU + W = ΔU > 0
 → 外部から熱を吸収する

 ア = 外部から吸収し,イ = 増加する
問2:正解 ③(配点5)

<問題要旨>
過程 A→B→C→D→A の1サイクルの間に、気体が外部にした仕事の総和を求めます。

<考え方>
p-V 図の閉じた経路では、囲まれた面積が1サイクルの正味の仕事です。時計回りなら正(外部に仕事をする)、反時計回りなら負。定積変化の2辺は仕事 0 なので、実質は2辺だけの足し算でも同じ答えになります。

A(V₀, p₀) → B(V₀, 2p₀) → C(3V₀, 2p₀)
 → D(3V₀, p₀) → A(V₀, p₀)

各過程の仕事(気体が外部にした仕事)
 A→B:定積 → 0
 B→C:定圧 2p₀,体積 V₀ → 3V₀
     W = 2p₀ × 2V₀ = 4p₀V₀
 C→D:定積 → 0
 D→A:定圧 p₀,体積 3V₀ → V₀
     W = p₀ × (−2V₀) = −2p₀V₀

総和 = 4p₀V₀ − 2p₀V₀ = 2p₀V₀

(p-V 図の長方形の面積
  = (2p₀ − p₀) × (3V₀ − V₀) = 2p₀V₀
  経路は時計回りなので正)
問3:正解 ⑥(配点5)

<問題要旨>
過程 A→B→C→D→A を、横軸を温度、縦軸を圧力としたグラフに描き直したものを選びます。

<考え方>
温度は pV に比例するので、各点の pV を計算して並べます。定圧変化は横軸に平行な線分になり、その長さは体積の変化に対応します。

温度 ∝ pV
 A:p₀ × V₀ = 1(相対値)
 B:2p₀ × V₀ = 2
 C:2p₀ × 3V₀ = 6
 D:p₀ × 3V₀ = 3

(温度, 圧力)で並べると
 A(1, p₀) → B(2, 2p₀) → C(6, 2p₀)
  → D(3, p₀) → A(1, p₀)

 B→C:圧力 2p₀ 一定の水平線分(長さ 4)
 D→A:圧力 p₀ 一定の水平線分(長さ 2)

 → 上の辺(BC)が下の辺(DA)より長い
  台形の形になる ⑥

(平行四辺形の ③ ⑤ は上下の辺の長さが等しく不適)

第6問〔選択問題〕 原子(X線の発生とスペクトル)

第5問との選択問題(配点15点)。連続X線の最短波長は加速電圧で、特性X線のピーク位置は陽極金属で決まる──この2本立てが最後の問3にそのまま効いてきます。

問1:正解 ①(配点5)

<問題要旨>
陰極から飛び出した電子が電圧 V で加速され陽極に衝突するときの運動エネルギー E(ア)と、陽極から出るX線の振動数の最大値 ν₀(イ)を求めます。

<考え方>
加速で得るエネルギーは仕事 eV。X線の振動数が最大になるのは、電子の運動エネルギーがまるごと1個の光子になったときで、E = hν₀ です。

ア:電荷 e の電子が電圧 V で加速される
  静電気力がした仕事 = eV
  初速度は十分小さいので
  E = eV

イ:X線の光子1個のエネルギー = hν
  振動数が最大になるのは
  電子の運動エネルギーがすべて
  1個の光子になったとき

  E = hν₀
  ν₀ = E/h

(このとき波長は最短になる。
  λ₀ = c/ν₀ = hc/(eV))
問2:正解 ②(配点5)

<問題要旨>
図2 に見られる鋭いピーク部分のX線の名称(ウ)と、そのX線のエネルギー E_X(エ)を答えます。

<考え方>
鋭いピークは陽極金属に固有のものなので「特性(固有)X線」。エネルギーは、外側の軌道(準位 E₁)にあった電子が内側の空いた軌道(準位 E₀)へ落ち込むときの準位差です。

ウ:鋭いピーク = 陽極金属に固有
  → 特性(固有)X線
  (なだらかな部分は連続X線)

エ:エネルギー準位 E₁ の電子が
  空いた E₀ の軌道へ落ち込む

  放出されるX線のエネルギー
  E_X = E₁ − E₀

  (加速電圧 V は、内側の電子を
   たたき出すのに使われただけで、
   放出されるX線のエネルギーには入らない)
問3:正解 ⑤(配点5)

<問題要旨>
陽極金属の種類や加速電圧 V を変えて得られた三つのスペクトル (A), (B), (C) について、同じ加速電圧で得られた組合せ(オ)と、同じ陽極金属で得られた組合せ(カ)を答えます。

<考え方>
加速電圧は連続X線の「最短波長(グラフの左端)」を決めます。陽極金属は特性X線の「ピークの波長」を決めます。この二つを別々に見比べるだけです。

[オ:同じ加速電圧]
 加速電圧が決めるのは最短波長
 λ₀ = hc/(eV)

 図4 の左端(立ち上がりの位置)
 (A):約 2.0 × 10⁻¹¹ m
 (B):約 2.5 × 10⁻¹¹ m
 (C):約 2.5 × 10⁻¹¹ m

 → (B) と (C) が同じ加速電圧

[カ:同じ陽極金属]
 陽極金属が決めるのは特性X線のピーク波長

 (A) と (B):同じ波長に鋭いピークをもつ
 (C):鋭いピークが見られない

 → (A) と (B) が同じ陽極金属

 → オ = (B)と(C),カ = (A)と(B)

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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